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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
第1章 道すがら
第2章 吉崎仙人
第3章 帰郷
第4章 誤親切
第5章 三人組
第6章 曲の猛
第7章 火事蚊
第2篇 光風霽月
第8章 三ツ巴
第9章 稍安定
第10章 思ひ出(一)
第11章 思ひ出(二)
第12章 思ひ出(三)
第3篇 冒険神験
第13章 冠島
第14章 沓島
第15章 怒濤
第16章 禁猟区
第17章 旅装
第4篇 霊火山妖
第18章 鞍馬山(一)
第19章 鞍馬山(二)
第20章 元伊勢
第5篇 正信妄信
第21章 凄い権幕
第22章 難症
第23章 狐狸狐狸
第24章 呪の釘
第25章 雑草
第26章 日の出
第27章 仇箒
第28章 金明水
余白歌
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舎身活躍(第37~48巻)
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第38巻(丑の巻)
> 第5篇 正信妄信 > 第26章 日の出
<<< 雑草
(B)
(N)
仇箒 >>>
第二六章
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
〔一〇六三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
篇:
第5篇 正信妄信
よみ(新仮名遣い):
せいしんぼうしん
章:
第26章 日の出
よみ(新仮名遣い):
ひので
通し章番号:
1063
口述日:
1922(大正11)年10月19日(旧08月29日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
明治三十二年の夏、上谷で修業中の喜楽に小松林命が神がかりされ、明治三十五年の正月十五日までは綾部にて迫害に耐えるように、とお諭しがあった。
明治三十五年の正月十五日、今後のことを小松林命に尋ねると、明朝から園部方面に行くようとのことであった。澄子は臨月だったが、神様のお告げに夫婦だけで相談して出立することになった。
園部の奥村氏の別宅を貸してもらい、日夜宣伝した。奥村氏は園部の名望家だったので、その協力を得て地域の紳士連中の入信を得ることができた。
園部に落ち着いてから十二日目に、澄子が出産した夢を見た。神様に聞いてみると、たしかに出産したのでひとまず帰るようにと言われた。一人で綾部に戻る途上、自分を探しに来た四方祐助爺さんに出会った。
四方祐助に澄子と赤子の様子を尋ねたが、爺さんは答えをはぐらかし、自分を不安にさせるようなことを言って、行ってしまった。
綾部の役員信者たちは、無事に長女が生まれたことを告げたら喜楽は安心して園部に戻ってしまうだろう、と考えて四方祐助をよこし、わざと喜楽を不安にさせるようなことを言わせたのであった。
直日は自分が園部で夢を見た日に生まれた。新暦三月七日、旧正月二十八日であった。綾部では教祖様からさんざん小言を言われ、宮参りの済むまでの三十日は蟄居していた。
園部からの手紙で再び綾部を飛び出して、園部で布教をしていた。その間に四方平蔵・中村竹蔵に自分が三年間執筆した五百冊の書物をすべて焼かれてしまった。
それから大阪へ進出しようと、溝口中佐という休職軍人と一緒に、市中の稲荷下げを回って霊術比べをしたりしていた。今から思えば馬鹿らしいことを得意になってやっていた。
しかしこれもうまくいかず、綾部に戻り、明治三十八年の八月まで時を待つことにしたのであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
焚書
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-12 10:45:48
OBC :
rm3826
愛善世界社版:
266頁
八幡書店版:
第7輯 259頁
修補版:
校定版:
272頁
普及版:
142頁
初版:
ページ備考:
001
明治
(
めいぢ
)
三十二
(
さんじふに
)
年
(
ねん
)
の
夏
(
なつ
)
、
002
上谷
(
うへだに
)
の
修行場
(
しうぎやうば
)
にて
幽斎
(
いうさい
)
修行
(
しうぎやう
)
の
最中
(
さいちう
)
審神者
(
さには
)
の
喜楽
(
きらく
)
に
小松林
(
こまつばやしの
)
命
(
みこと
)
神懸
(
かむがかり
)
せられ、
003
『
如何
(
いか
)
なる
迫害
(
はくがい
)
や
圧迫
(
あつぱく
)
があつても
綾部
(
あやべ
)
を
去
(
さ
)
つてはならぬ。
004
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
明治
(
めいぢ
)
卅五
(
さんじふご
)
年
(
ねん
)
の
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
十五
(
じふご
)
日
(
にち
)
までは
綾部
(
あやべ
)
で
辛抱
(
しんばう
)
をせよ』
005
とのお
諭
(
さと
)
しであつた。
006
それで
喜楽
(
きらく
)
はあらゆる
迫害
(
はくがい
)
と
侮辱
(
ぶじよく
)
を
隠忍
(
いんにん
)
して
卅五
(
さんじふご
)
年
(
ねん
)
を
待
(
ま
)
ちつつ、
007
神妙
(
しんめう
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
を
修行
(
しうぎやう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
008
愈
(
いよいよ
)
卅五
(
さんじふご
)
年
(
ねん
)
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
十五
(
じふご
)
日
(
にち
)
が
来
(
き
)
たので、
009
喜楽
(
きらく
)
『
今後
(
こんご
)
如何
(
どう
)
しませうか』
010
と
伺
(
うかが
)
つて
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
、
011
『
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
からソツと
園部
(
そのべ
)
の
方面
(
はうめん
)
を
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
け』
012
との
神示
(
しんじ
)
が
降
(
くだ
)
つたので
軽装
(
けいさう
)
を
整
(
ととの
)
へ、
013
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
澄子
(
すみこ
)
に
其
(
その
)
意
(
い
)
を
告
(
つ
)
げ
布教
(
ふけう
)
伝道
(
でんだう
)
の
途
(
と
)
に
上
(
のぼ
)
つた。
014
澄子
(
すみこ
)
は
初
(
はじ
)
めての
妊娠
(
にんしん
)
で
已
(
すで
)
に
臨月
(
りんげつ
)
であつた。
015
何時
(
いつ
)
出産
(
しゆつさん
)
するかも
知
(
し
)
れない
場合
(
ばあひ
)
である。
016
自分
(
じぶん
)
も
大変
(
たいへん
)
に
初
(
はじ
)
めての
子
(
こ
)
の
出産
(
しゆつさん
)
であるから
気
(
き
)
にかかつて
仕方
(
しかた
)
がない。
017
けれども
一旦
(
いつたん
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
任
(
まか
)
した
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
、
018
妻
(
つま
)
の
為
(
ため
)
に
神務
(
しんむ
)
を
半時
(
はんとき
)
でも
悤
(
おろそか
)
にする
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬと
決心
(
けつしん
)
し、
019
夫婦
(
ふうふ
)
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
出立
(
しゆつたつ
)
したのである。
020
先
(
ま
)
づ
園部
(
そのべ
)
本町
(
ほんまち
)
の
奥村
(
おくむら
)
と
云
(
い
)
ふ
雑貨店
(
ざつくわてん
)
へ
落
(
お
)
ちつき、
021
主人
(
しゆじん
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
懇篤
(
こんとく
)
なる
世話
(
せわ
)
によつて
其
(
その
)
家
(
いへ
)
の
別宅
(
べつたく
)
を
無料
(
むれう
)
で
貸
(
か
)
して
貰
(
もら
)
ひ、
022
且
(
か
)
つ
衣食
(
いしよく
)
万端
(
ばんたん
)
を
奥村
(
おくむら
)
から
支給
(
しきふ
)
され
日夜
(
にちや
)
宣伝
(
せんでん
)
に
従事
(
じうじ
)
しつつあつた。
023
奥村
(
おくむら
)
氏
(
し
)
は
園部
(
そのべ
)
に
於
(
おい
)
て
相当
(
さうたう
)
の
地位
(
ちゐ
)
名望
(
めいばう
)
もあり
財産
(
ざいさん
)
もあつた。
024
さうして
清廉
(
せいれん
)
潔白
(
けつぱく
)
の
聞
(
きこ
)
えの
高
(
たか
)
い
紳士
(
しんし
)
である。
025
其
(
その
)
奥村
(
おくむら
)
氏
(
し
)
が
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
つて
商業
(
しやうげふ
)
の
傍
(
かたはら
)
、
026
熱心
(
ねつしん
)
に
宣伝
(
せんでん
)
したので、
027
地方
(
ちはう
)
の
紳士
(
しんし
)
連中
(
れんちう
)
は
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
うて
入信
(
にふしん
)
した。
028
園部
(
そのべ
)
へ
落
(
お
)
ちついてから
十二
(
じふに
)
日目
(
にちめ
)
の
夜
(
よる
)
に、
029
綾部
(
あやべ
)
に
残
(
のこ
)
してある
澄子
(
すみこ
)
が
出産
(
しゆつさん
)
した
様
(
やう
)
な
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たので、
030
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
ると
出産
(
しゆつさん
)
をしたから
一先
(
ひとま
)
づ
帰
(
かへ
)
つてやれと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
であつた。
031
そこで
奥村
(
おくむら
)
氏
(
し
)
に
其
(
その
)
旨
(
むね
)
を
告
(
つ
)
げ
留守中
(
るすちう
)
を
頼
(
たの
)
みおき、
032
浅井
(
あさゐ
)
はなと
云
(
い
)
ふ
婆
(
ばあ
)
サンに
神前
(
しんぜん
)
の
御
(
お
)
給仕
(
きふじ
)
を
命
(
めい
)
じて
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
スタスタと
檜山
(
ひのきやま
)
の
坂原
(
さかはら
)
巳之助
(
みのすけ
)
と
云
(
い
)
ふ
熱心
(
ねつしん
)
な
信者
(
しんじや
)
の
宅
(
たく
)
へ
立寄
(
たちよ
)
り
昼飯
(
ひるめし
)
を
供
(
きよう
)
せられ
一服
(
いつぷく
)
して
居
(
ゐ
)
ると、
033
其処
(
そこ
)
へ
慌
(
あわ
)
ただしく
綾部
(
あやべ
)
から
四方
(
しかた
)
祐助
(
いうすけ
)
と
云
(
い
)
ふ
爺
(
ぢい
)
サンが
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
きた
)
り
門口
(
かどぐち
)
から、
034
祐助
(
いうすけ
)
『
海潮
(
かいてう
)
サンはお
内
(
うち
)
に
居
(
を
)
られますか』
035
と
尋
(
たづ
)
ねてゐる。
036
坂原
(
さかはら
)
巳之助
(
みのすけ
)
は
綾部
(
あやべ
)
の
中村
(
なかむら
)
一派
(
いつぱ
)
のやり
方
(
かた
)
に
愛想
(
あいさう
)
をつかし、
037
喜楽
(
きらく
)
の
教
(
をしへ
)
のみを
信従
(
しんじゆう
)
してゐたのだから、
038
屹度
(
きつと
)
喜楽
(
きらく
)
は
此処
(
ここ
)
に
居
(
を
)
るだらうと
思
(
おも
)
つて
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
たのである。
039
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
で
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して
居
(
ゐ
)
た
喜楽
(
きらく
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて
静
(
しづ
)
かに
表
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
て、
040
喜楽
(
きらく
)
『あゝ
祐助
(
いうすけ
)
さん、
041
能
(
よ
)
う
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた、
042
まあ
一服
(
いつぷく
)
しなさい』
043
と
云
(
い
)
ふと
爺
(
おやぢ
)
サンは
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
ちはだかつた
儘
(
まま
)
、
044
祐助
(
いうすけ
)
『これ
海潮
(
かいてう
)
、
045
何
(
なに
)
をグヅグヅして
居
(
ゐ
)
るのだ。
046
綾部
(
あやべ
)
は
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
りますぜ』
047
とゴツゴツした
声
(
こゑ
)
で
睨
(
にら
)
めつける
様
(
やう
)
に
云
(
い
)
ふ。
048
喜楽
(
きらく
)
も
何
(
なに
)
か
澄子
(
すみこ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
に
就
(
つい
)
て
変事
(
へんじ
)
でも
出来
(
でき
)
たのではないかと、
049
少
(
すこ
)
しく
不安
(
ふあん
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
られて、
050
喜楽
(
きらく
)
『
祐助
(
いうすけ
)
サン、
051
澄子
(
すみこ
)
は
機嫌
(
きげん
)
よく
出産
(
しゆつさん
)
しましたかな』
052
と
尋
(
たづ
)
ねると、
053
祐助
(
いうすけ
)
は
首
(
くび
)
をブリブリと
振
(
ふ
)
つて、
054
祐助
(
いうすけ
)
『えー、
055
出産
(
しゆつさん
)
も
糞
(
くそ
)
もあるものか。
056
自分
(
じぶん
)
の
女房
(
にようばう
)
が
臨月
(
りんげつ
)
になつてゐるのに
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
に
隠
(
かく
)
れて
其処
(
そこ
)
ら
中
(
ぢう
)
をうろつき
廻
(
まは
)
り、
057
悠々
(
いういう
)
閑々
(
かんかん
)
と
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
ぢやい。
058
綾部
(
あやべ
)
には
大変
(
たいへん
)
の
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ましたぞ。
059
それだから
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
が
何処
(
どこ
)
へも
行
(
ゆ
)
くでないと
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
060
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
を
背
(
そむ
)
くと
何時
(
いつ
)
でもこの
通
(
とほ
)
りなりますのぢや』
061
と
息
(
いき
)
を
喘
(
はづ
)
ませて
諒解
(
りやうかい
)
し
難
(
がた
)
い
事
(
こと
)
を
呶鳴
(
どな
)
りたてる。
062
喜楽
(
きらく
)
は
益々
(
ますます
)
不安
(
ふあん
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
063
喜楽
(
きらく
)
『
澄子
(
すみこ
)
は
安産
(
あんざん
)
しただらうなア。
064
そして
男
(
をとこ
)
か
女
(
をんな
)
か
何方
(
どちら
)
が
出来
(
でき
)
た、
065
早
(
はや
)
く
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れ』
066
と
云
(
い
)
はせも
果
(
は
)
てず、
067
祐助
(
いうすけ
)
は
又
(
また
)
もや
首
(
くび
)
を
頻
(
しき
)
りに
振
(
ふ
)
つて、
068
祐助
(
いうすけ
)
『え、
069
凡夫
(
ぼんぶ
)
の
俺
(
わし
)
がそんな
事
(
こと
)
分
(
わか
)
つて
堪
(
たま
)
るものか。
070
海潮
(
かいてう
)
サンは
天眼通
(
てんがんつう
)
が
利
(
き
)
くぢやないか、
071
小松林
(
こまつばやし
)
に
尋
(
たづ
)
ねたら、
072
それ
位
(
ぐらゐ
)
の
事
(
こと
)
は
分
(
わか
)
りさうなものぢやないか。
073
それが
分
(
わか
)
らない
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
で
偉
(
えら
)
さうに
神懸
(
かむがかり
)
ぢやの、
074
先生
(
せんせい
)
ぢやのとは
云
(
い
)
ふて
貰
(
もら
)
ひますまい。
075
綾部
(
あやべ
)
は
何
(
なん
)
どころの
騒
(
さわ
)
ぎぢやないわ。
076
改心
(
かいしん
)
をせぬと、
077
こんな
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ると
何時
(
いつ
)
も
教祖
(
けうそ
)
さまが
仰有
(
おつしや
)
つたのを
尻
(
しり
)
に
聞
(
き
)
かして
居
(
ゐ
)
るものだから、
078
こんな
不都合
(
ふつがふ
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たのぢや。
079
初産
(
うひざん
)
の
事
(
こと
)
とて
教祖
(
けうそ
)
さまも
大変
(
たいへん
)
な
心配
(
しんぱい
)
、
080
此
(
この
)
祐助
(
いうすけ
)
も
何
(
ど
)
れ
丈
(
だけ
)
心配
(
しんぱい
)
したかしれませぬぞや。
081
お
前
(
まへ
)
サンも
綾部
(
あやべ
)
へヌケヌケと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
顔
(
かほ
)
がありますまい。
082
帰
(
かへ
)
るのが
嫌
(
いや
)
なら
帰
(
かへ
)
らいでも
宜
(
よろ
)
しい
左様
(
さやう
)
なら』
083
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
らスタスタと
阪原
(
さかはら
)
の
家
(
いへ
)
を
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
かうとする。
084
喜楽
(
きらく
)
は
益
(
ますま
)
す
気
(
き
)
になつて、
085
喜楽
(
きらく
)
『これ
祐助
(
いうすけ
)
サン、
086
吉
(
きち
)
か
凶
(
きよう
)
か、
087
どちらか、
088
それだけ
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れ』
089
と
小
(
ちひ
)
さい
声
(
こゑ
)
で
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
ると
祐助
(
いうすけ
)
は、
090
祐助
(
いうすけ
)
『そんな
事
(
こと
)
の
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
な
天眼通
(
てんがんつう
)
が
何
(
なん
)
になるものかい』
091
とブツブツ
囁
(
ささや
)
き
乍
(
なが
)
ら
委細
(
ゐさい
)
構
(
かま
)
はず
駆
(
か
)
け
出
(
いだ
)
し、
092
祐助
(
いうすけ
)
『よう
思案
(
しあん
)
するがよい』
093
と
捨台詞
(
すてぜりふ
)
を
残
(
のこ
)
して
早
(
はや
)
くも
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
094
喜楽
(
きらく
)
は
慌
(
あわて
)
て
阪原
(
さかはら
)
氏
(
し
)
に
送
(
おく
)
られ
一目散
(
いちもくさん
)
に
祐助
(
いうすけ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
駆
(
か
)
けた。
095
さうすると
祐助
(
いうすけ
)
は
三
(
さん
)
の
宮
(
みや
)
のある
茶店
(
ちやみせ
)
で
腰
(
こし
)
をかけ、
096
祐助
(
いうすけ
)
『あゝ
云
(
い
)
つておけば
屹度
(
きつと
)
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るに
相違
(
さうゐ
)
ない』
097
と
高
(
たか
)
を
括
(
くく
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
098
『
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
安産
(
あんざん
)
した。
099
そして
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
が
出来
(
でき
)
た』と
云
(
い
)
つたら、
100
『あゝさうか』と
云
(
い
)
つたきり
喜楽
(
きらく
)
は
帰
(
かへ
)
らぬから
心配
(
しんぱい
)
さしたら
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るだらうと、
101
綾部
(
あやべ
)
で
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
相談
(
さうだん
)
の
結果
(
けつくわ
)
祐助
(
いうすけ
)
が
代表者
(
だいへうしや
)
になつて
選
(
えら
)
まれて
来
(
き
)
たのだと
云
(
い
)
ふことが
後
(
あと
)
になつて
分
(
わか
)
つた。
102
丁度
(
ちやうど
)
自分
(
じぶん
)
が
園部
(
そのべ
)
で
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
た
其
(
その
)
日
(
ひ
)
に
直霊
(
なほひ
)
が
生
(
うま
)
れたのである。
103
其
(
その
)
日
(
ひ
)
は
新
(
しん
)
三
(
さん
)
月
(
ぐわつ
)
七日
(
なぬか
)
旧
(
きう
)
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
二十八
(
にじふはち
)
日
(
にち
)
であつた。
104
祐助
(
いうすけ
)
と
三人
(
さんにん
)
連
(
づ
)
れで
綾部
(
あやべ
)
の
宅
(
たく
)
に
帰
(
かへ
)
つて
見
(
み
)
ると、
105
盛
(
さかん
)
に
赤児
(
あかご
)
の
泣
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
106
初
(
はじ
)
めて
自分
(
じぶん
)
の
子
(
こ
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
は
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
はれぬ
感
(
かん
)
じがした。
107
然
(
しか
)
しあの
声
(
こゑ
)
で
子
(
こ
)
は
達者
(
たつしや
)
であるが、
108
澄子
(
すみこ
)
の
身体
(
からだ
)
は
如何
(
どう
)
だらうと
案
(
あん
)
じ
乍
(
なが
)
ら
門口
(
かどぐち
)
を
跨
(
また
)
げて
見
(
み
)
ると
母子
(
おやこ
)
とも
至極
(
しごく
)
壮健
(
さうけん
)
であつた。
109
それから
教祖
(
けうそ
)
さまに、
110
『
自分
(
じぶん
)
の
女房
(
にようばう
)
が
臨月
(
りんげつ
)
で
何時
(
いつ
)
子
(
こ
)
が
出来
(
でき
)
るか
分
(
わか
)
らぬのに、
111
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
も
聞
(
き
)
かずに、
112
そこら
中
(
ぢう
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
すのは
余
(
あま
)
り
水臭
(
みづくさ
)
いぢやないか』
113
と
散々
(
さんざん
)
叱言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
はれ、
114
謝
(
あやま
)
り
入
(
い
)
つて
三十
(
さんじふ
)
日
(
にち
)
の
間
(
あひだ
)
、
115
宮詣
(
みやまゐ
)
りのすむ
迄
(
まで
)
綾部
(
あやべ
)
に
蟄居
(
ちつきよ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
116
さうすると
園部
(
そのべ
)
の
奥村
(
おくむら
)
から『
沢山
(
たくさん
)
の
信者
(
しんじや
)
が
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るから
早
(
はや
)
く
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れ』と
云
(
い
)
ふ
手紙
(
てがみ
)
が
毎日
(
まいにち
)
の
様
(
やう
)
に
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るので、
117
四
(
し
)
月
(
ぐわつ
)
の
三日
(
みつか
)
再
(
ふたた
)
び
綾部
(
あやべ
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し
園部
(
そのべ
)
で
布教
(
ふけう
)
をつづけて
居
(
ゐ
)
た。
118
其
(
その
)
留守中
(
るすちう
)
に
自分
(
じぶん
)
が
明治
(
めいぢ
)
三十一
(
さんじふいち
)
年
(
ねん
)
、
119
穴太
(
あなを
)
に
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
から
三十四
(
さんじふよ
)
年
(
ねん
)
一杯
(
いつぱい
)
かかつて
執筆
(
しつぴつ
)
しておいた
五百冊
(
ごひやくさつ
)
の
書物
(
しよもつ
)
を、
120
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
、
121
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
の
発起
(
ほつき
)
で
立替
(
たてかへ
)
の
御用
(
ごよう
)
ぢやと
云
(
い
)
つて
悉皆
(
しつかい
)
焼
(
や
)
いて
了
(
しま
)
つたのである。
122
それから
園部
(
そのべ
)
を
根拠
(
こんきよ
)
として
大阪
(
おほさか
)
へ
教線
(
けうせん
)
を
開
(
ひら
)
き、
123
陸軍
(
りくぐん
)
砲兵
(
はうへい
)
中佐
(
ちうさ
)
の
溝口
(
みぞぐち
)
清俊
(
きよとし
)
と
云
(
い
)
ふ
休職
(
きうしよく
)
軍人
(
ぐんじん
)
と
心
(
こころ
)
を
協
(
あは
)
せて
大阪市
(
おほさかし
)
の
宣伝
(
せんでん
)
に
従事
(
じゆうじ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
124
此
(
この
)
中佐
(
ちうさ
)
の
宅
(
うち
)
へ
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
く
遊
(
あそ
)
びに
来
(
く
)
る、
125
背
(
せ
)
のスラツとした、
126
人品
(
じんぴん
)
のよい
少
(
すこ
)
し
頭
(
あたま
)
の
光
(
ひか
)
つた
男
(
をとこ
)
が
溝口
(
みぞぐち
)
中佐
(
ちうさ
)
に
説
(
と
)
きつけられて
熱心
(
ねつしん
)
な
信者
(
しんじや
)
となり、
127
追々
(
おひおひ
)
中流
(
ちうりう
)
以上
(
いじやう
)
の
信者
(
しんじや
)
が
出来
(
でき
)
て
天王寺
(
てんのうじ
)
の
附近
(
ふきん
)
に
一万
(
いちまん
)
坪
(
つぼ
)
の
地面
(
ぢめん
)
を
買
(
か
)
ひ、
128
霊学会
(
れいがくくわい
)
の
本部
(
ほんぶ
)
を
設置
(
せつち
)
する
段取
(
だんどり
)
とまでなつてきた。
129
さうして
其
(
その
)
溝口
(
みぞぐち
)
の
宅
(
たく
)
へ
出入
(
でい
)
りして
居
(
ゐ
)
た
男
(
をとこ
)
と
云
(
い
)
ふのは、
130
大阪
(
おほさか
)
の
難波
(
なんば
)
分所長
(
ぶんしよちやう
)
の
内藤
(
ないとう
)
正照
(
まさてる
)
氏
(
し
)
であつた。
131
内藤
(
ないとう
)
正照
(
まさてる
)
氏
(
し
)
と
溝口
(
みぞぐち
)
中佐
(
ちうさ
)
と
喜楽
(
きらく
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
大阪
(
おほさか
)
市中
(
しちう
)
の
稲荷下
(
いなりさ
)
げの
教会
(
けうくわい
)
を
巡歴
(
じゆんれき
)
して
種々
(
いろいろ
)
と
霊術比
(
れいじゆつくら
)
べをやり、
132
それを
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
楽
(
たの
)
しみとして
布教
(
ふけう
)
は、
133
そつちのけに
三百
(
さんひやく
)
六十
(
ろくじつ
)
軒
(
けん
)
ばかり
市中
(
しちう
)
の
神懸
(
かむがかり
)
[
※
初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神がかり」。
]
を
探
(
さが
)
し
廻
(
まは
)
つて
霊縛
(
れいばく
)
をしたり、
134
色々
(
いろいろ
)
と
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
の
霊術
(
れいじゆつ
)
を
誇
(
ほこ
)
り
得意
(
とくい
)
になつて
居
(
ゐ
)
た。
135
今
(
いま
)
から
思
(
おも
)
へば
実
(
じつ
)
に
馬鹿
(
ばか
)
らしい
事
(
こと
)
を
得意
(
とくい
)
になつてしたと
思
(
おも
)
ふ。
136
然
(
しか
)
し
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
に
神懸
(
かむがかり
)
[
※
初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神がかり」。
]
に
対
(
たい
)
する
非常
(
ひじやう
)
な
経験
(
けいけん
)
を
得
(
え
)
た
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば、
137
これも
矢張
(
やつぱり
)
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
であつたかも
知
(
し
)
れぬ。
138
それから
北海道
(
ほくかいだう
)
の
銀行
(
ぎんかう
)
の
頭取
(
とうどり
)
をやつて
居
(
ゐ
)
た
山田
(
やまだ
)
文辰
(
ぶんしん
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
や
内藤
(
ないとう
)
や、
139
京都
(
きやうと
)
牧場
(
ぼくぢやう
)
の
松原
(
まつばら
)
栄太郎
(
ゑいたらう
)
等
(
ら
)
と
人造
(
じんざう
)
精乳
(
せいにう
)
会社
(
くわいしや
)
を、
140
京都
(
きやうと
)
、
141
大阪
(
おほさか
)
、
142
園部
(
そのべ
)
に
設置
(
せつち
)
し、
143
数千
(
すうせん
)
円
(
ゑん
)
の
金
(
かね
)
を
醵出
(
きよしゆつ
)
して
一
(
ひと
)
つの
事業
(
じげふ
)
を
起
(
おこ
)
し
宣伝
(
せんでん
)
の
費用
(
ひよう
)
に
当
(
あ
)
てやうと
目論見
(
もくろみ
)
、
144
已
(
すで
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
して
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
へ、
145
京都
(
きやうと
)
の
高松
(
たかまつ
)
某
(
ぼう
)
が
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
の
指図
(
さしづ
)
によつて
会社
(
くわいしや
)
の
工場
(
こうぢやう
)
修繕
(
しうぜん
)
の
大工
(
だいく
)
に
雇
(
やと
)
はれ
散々
(
さんざん
)
に
喜楽
(
きらく
)
の
悪口
(
あくこう
)
をなし、
146
それが
基
(
もと
)
となつて
松原
(
まつばら
)
栄太郎
(
ゑいたらう
)
、
147
若林
(
わかばやし
)
某
(
ぼう
)
、
148
山田
(
やまだ
)
文辰
(
ぶんしん
)
等
(
ら
)
が
変心
(
へんしん
)
し
出
(
だ
)
し、
149
折角
(
せつかく
)
組
(
く
)
み
立
(
た
)
てた
発頭人
(
ほつとうにん
)
の
喜楽
(
きらく
)
や
内藤
(
ないとう
)
を
放逐
(
はうちく
)
せむとした。
150
中村
(
なかむら
)
は
何
(
なん
)
とかして
喜楽
(
きらく
)
が
京阪
(
けいはん
)
地方
(
ちはう
)
で
活動
(
くわつどう
)
するのを
妨害
(
ばうがい
)
し、
151
失敗
(
しつぱい
)
の
結果
(
けつくわ
)
綾部
(
あやべ
)
へ
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
り
一間
(
ひとま
)
へ
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
めて
活動
(
くわつどう
)
の
出来
(
でき
)
ないやうにしてやらねば
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にして
置
(
お
)
いては
虎
(
とら
)
を
野
(
の
)
に
放
(
はな
)
つやうなもので、
152
大本
(
おほもと
)
の
教
(
をしへ
)
をとつて
了
(
しま
)
ふに
違
(
ちが
)
ひないと
役員
(
やくゐん
)
一同
(
いちどう
)
が
相談
(
さうだん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
153
かう
云
(
い
)
ふ
手段
(
しゆだん
)
をとつたのであつた。
154
そこで
喜楽
(
きらく
)
は
已
(
やむ
)
を
得
(
え
)
ず
精乳
(
せいにう
)
会社
(
くわいしや
)
を
脱退
(
だつたい
)
し、
155
内藤
(
ないとう
)
正照
(
まさてる
)
と
愛善坂
(
あいぜんざか
)
の
麓
(
ふもと
)
で
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
祀
(
まつ
)
り、
156
布教
(
ふけう
)
宣伝
(
せんでん
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
157
難波
(
なんば
)
新地
(
しんち
)
の
婦人科
(
ふじんくわ
)
の
医者
(
いしや
)
で
杉村
(
すぎむら
)
牧太郎
(
まきたらう
)
と
云
(
い
)
ふ
金光教
(
こんくわうけう
)
の
熱心
(
ねつしん
)
な
信者
(
しんじや
)
があり、
158
又
(
また
)
杉本
(
すぎもと
)
恵
(
さとし
)
と
云
(
い
)
ふ
御嶽教
(
みたけけう
)
の
教導職
(
けうだうしよく
)
や
大阪
(
おほさか
)
大林区
(
だいりんく
)
署
(
しよ
)
に
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
た
高屋
(
たかや
)
利太郎
(
りたらう
)
、
159
並
(
なら
)
びに
錻力職
(
ぶりきしよく
)
の
池田
(
いけだ
)
大造
(
だいざう
)
らと
図
(
はか
)
り
大宣伝
(
だいせんでん
)
をやつて
居
(
ゐ
)
た。
160
大阪
(
おほさか
)
の
侠客
(
けふかく
)
の
団熊
(
だんぐま
)
や
山田
(
やまだ
)
嘉平
(
かへい
)
等
(
ら
)
も
信者
(
しんじや
)
となつて
大活動
(
だいくわつどう
)
を
始
(
はじ
)
め、
161
漸
(
やうや
)
く
曙光
(
しよくわう
)
を
認
(
みと
)
め、
162
高屋
(
たかや
)
利太郎
(
りたらう
)
は
一同
(
いちどう
)
の
代表者
(
だいへうしや
)
として
一度
(
いちど
)
綾部
(
あやべ
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
して
来
(
こ
)
やうと
云
(
い
)
つて
詣
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
、
163
中村
(
なかむら
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
喜楽
(
きらく
)
の
悪口
(
あくこう
)
をついて
且
(
かつ
)
脱線
(
だつせん
)
的
(
てき
)
の
言葉
(
ことば
)
を
並
(
なら
)
べ『
洋服
(
やうふく
)
を
着
(
き
)
た
様
(
やう
)
な
連中
(
れんちう
)
は
此処
(
ここ
)
には
来
(
く
)
る
事
(
こと
)
ならぬ』と
高屋
(
たかや
)
氏
(
し
)
を
箒
(
はうき
)
で
掃
(
は
)
き
出
(
だ
)
したので、
164
高屋
(
たかや
)
氏
(
し
)
が
大阪
(
おほさか
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て
憤慨
(
ふんがい
)
し
折角
(
せつかく
)
組
(
く
)
み
立
(
た
)
てた
霊学会
(
れいがくくわい
)
へ
ひび
が
這入
(
はい
)
り、
165
ゴタゴタして
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
へ
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
の
内命
(
ないめい
)
で
三牧
(
みまき
)
次三郎
(
じさぶらう
)
が
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
て、
166
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
が
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
喜楽
(
きらく
)
を
罵倒
(
ばたふ
)
したので
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
大阪
(
おほさか
)
を
立
(
た
)
ち
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのは
明治
(
めいぢ
)
三十六
(
さんじふろく
)
年
(
ねん
)
の
十一
(
じふいち
)
月
(
ぐわつ
)
頃
(
ごろ
)
であつた。
167
さうすると
役員
(
やくゐん
)
が
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
洋服
(
やうふく
)
を
剥
(
は
)
ぎとり、
168
帽
(
ばう
)
も
靴
(
くつ
)
も
服
(
ふく
)
も
引
(
ひき
)
裂
(
さ
)
いて
雪隠
(
せんち
)
へ
突
(
つ
)
つ
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
ひ、
169
『さあ、
170
これで
四
(
よ
)
ツ
足
(
あし
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
は
)
いでやつた。
171
これで
海潮
(
かいてう
)
も
改心
(
かいしん
)
をして、
172
おとなしくなるだらう。
173
神
(
かみ
)
に
背
(
そむ
)
いて
致
(
いた
)
した
事
(
こと
)
は
何事
(
なにごと
)
も
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
でグレンと
覆
(
かへ
)
るとお
筆
(
ふで
)
に
出
(
で
)
て
居
(
を
)
りますが、
174
これで
海潮
(
かいてう
)
サンも
気
(
き
)
がつくだらう』
175
と
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
が
極力
(
きよくりよく
)
妨害
(
ばうがい
)
しておき
乍
(
なが
)
ら、
176
神
(
かみ
)
さまの
業
(
わざ
)
の
様
(
やう
)
にすまし
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
177
それから
自分
(
じぶん
)
も
再
(
ふたた
)
び
離
(
はな
)
れの
六畳
(
ろくでふ
)
に
蟄居
(
ちつきよ
)
して
又
(
また
)
もや
隠
(
かく
)
れ
忍
(
しの
)
んで
古典学
(
こてんがく
)
を
研究
(
けんきう
)
したり、
178
筆
(
ふで
)
の
雫
(
しづく
)
や
道
(
みち
)
の
大本
(
おほもと
)
等
(
とう
)
の
執筆
(
しつぴつ
)
にとりかかり、
179
明治
(
めいぢ
)
三十八
(
さんじふはち
)
年
(
ねん
)
の
八
(
はち
)
月
(
ぐわつ
)
まで
綾部
(
あやべ
)
に
尻
(
しり
)
を
据
(
す
)
えて
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
としたのであつた。
180
(
大正一一・一〇・一九
旧八・二九
北村隆光
録)
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