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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
第1章 道すがら
第2章 吉崎仙人
第3章 帰郷
第4章 誤親切
第5章 三人組
第6章 曲の猛
第7章 火事蚊
第2篇 光風霽月
第8章 三ツ巴
第9章 稍安定
第10章 思ひ出(一)
第11章 思ひ出(二)
第12章 思ひ出(三)
第3篇 冒険神験
第13章 冠島
第14章 沓島
第15章 怒濤
第16章 禁猟区
第17章 旅装
第4篇 霊火山妖
第18章 鞍馬山(一)
第19章 鞍馬山(二)
第20章 元伊勢
第5篇 正信妄信
第21章 凄い権幕
第22章 難症
第23章 狐狸狐狸
第24章 呪の釘
第25章 雑草
第26章 日の出
第27章 仇箒
第28章 金明水
余白歌
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(B)
(N)
誤親切 >>>
第三章
帰郷
(
ききやう
)
〔一〇四〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
篇:
第1篇 千万無量
よみ(新仮名遣い):
せんまんむりょう
章:
第3章 帰郷
よみ(新仮名遣い):
ききょう
通し章番号:
1040
口述日:
1922(大正11)年10月14日(旧08月24日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
上谷の修行場で二十有余人の修行者の審神者と奉仕していたところ、郷里から老母危篤の報が届いた。見舞いには行きたいが、自分が離れると邪神が修行場をかき乱すに違いない途方にれていた。
神界に伺ってみたところ、四五日の間に帰ってくればたいした邪魔はないであろう、とのことであった。また出口教祖からも、祖母の病気は生命には別状ないから、一心に鎮魂すれば八九分は平癒する、とのお示しがあった。
そこで四方藤太郎に修行場を頼んで、穴太に行くことになった。四方氏には、喜楽が不在中に綾部から教祖様が迎えに来られても、一人も修行者をやってはならない、特に四方春蔵、塩見せい子、黒田きよ子は気をつけよ、と念を押した。
しかし二三日後に教祖様から神の御命令だからと右三名を綾部に迎えに来た。四方氏は教祖の命だからと抗しきれず、三人を連れて帰られてしまった。三人は教祖のお迎えだからと慢心し、邪神が急激に襲来して金明会の広間は大騒ぎになってしまった。
喜楽が実家に戻ると、祖母は病床で寝ていた。母は祖母に気遣って、喜楽が帰ってきたことを知らせずに祖母を寝かしておいた。すると祖母がうなされ始めたので、母と介抱した。
祖母は目を覚ますと母と喜楽に向かって、夢の中でご先祖さまから、喜三郎は神様のお使いとして世に尽くす使命を持っているのだから、家に結び付けてはいけない、ときつい戒めを受けたことを語った。
喜楽は祖母の言葉に涙し、すぐに家を出立しようとした。しかし母は、親戚の次郎松やお政さんを引き連れて来て、二三日逗留するようにと引き留めをした。喜楽は次郎松とお政さんに家業を継ぐように責め立てられて閉口した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-30 13:25:34
OBC :
rm3803
愛善世界社版:
28頁
八幡書店版:
第7輯 167頁
修補版:
校定版:
28頁
普及版:
13頁
初版:
ページ備考:
001
心
(
こころ
)
なき
人
(
ひと
)
の
誹
(
そしり
)
も
何
(
なに
)
かあらむ
002
神
(
かみ
)
に
任
(
ま
)
かせし
吾
(
わが
)
身
(
み
)
なりせば
003
上谷
(
うへだに
)
の
修業場
(
しうげふば
)
で、
004
二十
(
にじふ
)
有余
(
いうよ
)
人
(
にん
)
の
幽斎
(
いうさい
)
修業者
(
しうげふしや
)
の
審神者
(
さには
)
に
奉仕
(
ほうし
)
しつつある
処
(
ところ
)
、
005
自分
(
じぶん
)
の
郷里
(
きやうり
)
から『
老母
(
らうぼ
)
危篤
(
きとく
)
すぐ
帰
(
かへ
)
れ』との
電信
(
でんしん
)
が
着
(
つ
)
いた。
006
祖母
(
そぼ
)
の
急病
(
きふびやう
)
と
聞
(
き
)
いた
以上
(
いじやう
)
は、
007
是非
(
ぜひ
)
共
(
とも
)
一度
(
いちど
)
は
帰
(
かへ
)
つて
見舞
(
みま
)
うて
来
(
こ
)
ねばならぬ。
008
併
(
しか
)
しながら
一方
(
いつぱう
)
の
修業者
(
しうげふしや
)
の
様子
(
やうす
)
を
見
(
み
)
れば、
009
一日
(
いちじつ
)
片時
(
かたとき
)
も
目
(
め
)
をはなすことが
出来
(
でき
)
ぬことになつてゐる。
010
ぢやと
云
(
い
)
つて
祖母
(
そぼ
)
の
病気
(
びやうき
)
を
孫
(
まご
)
として、
011
そ
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
に
打
(
うち
)
すてておく
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
012
修業者
(
しうげふしや
)
を
見放
(
みはな
)
しすれば、
013
又
(
また
)
しても
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
く
邪神
(
じやしん
)
が
襲来
(
しふらい
)
して、
014
修行場
(
しうぎやうば
)
をかき
乱
(
みだ
)
すに
違
(
ちが
)
ひない、
015
喜楽
(
きらく
)
が
失敗
(
しつぱい
)
するのを、
016
鵜
(
う
)
の
目
(
め
)
鷹
(
たか
)
の
目
(
め
)
で
待構
(
まちかま
)
へ、
017
欠点
(
けつてん
)
を
捜
(
さが
)
して、
018
機会
(
きくわい
)
だにあらば
放逐
(
はうちく
)
せむとして
居
(
ゐ
)
る
某々
(
ぼうぼう
)
がある。
019
喜楽
(
きらく
)
は
神
(
かみ
)
さまの
御
(
お
)
道
(
みち
)
と
祖母
(
そぼ
)
の
危急
(
ききふ
)
の
場合
(
ばあひ
)
を
思
(
おも
)
ふと、
020
如何
(
どう
)
決心
(
けつしん
)
したら
良
(
い
)
いか、
021
進退
(
しんたい
)
谷
(
きは
)
まつて
途方
(
とはう
)
に
暮
(
く
)
れてゐた。
022
兎
(
と
)
にも
角
(
かく
)
にも
神界
(
しんかい
)
へ
伺
(
うかが
)
つて
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
、
023
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
告
(
つげ
)
に
依
(
よ
)
れば、
024
『ここ
四五
(
しご
)
日
(
にち
)
の
間
(
あひだ
)
に
修業場
(
しうげふば
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
れば
余
(
あま
)
り
大
(
たい
)
した
邪魔
(
じやま
)
は
在
(
あ
)
るまい……』
025
との
事
(
こと
)
であつた。
026
そして、
027
『
祖母
(
そぼ
)
の
病気
(
びやうき
)
は
余程
(
よほど
)
重態
(
ぢうたい
)
ではあるが、
028
生命
(
いのち
)
には
別状
(
べつじやう
)
はない、
029
とは
言
(
い
)
ふものの
祖母
(
そぼ
)
のことであるから、
030
近所
(
きんじよ
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
対
(
たい
)
しても、
031
帰
(
かへ
)
らずにはおかれまい、
032
早
(
はや
)
く
行
(
い
)
つて
来
(
く
)
るがよい、
033
一心
(
いつしん
)
になつて
鎮魂
(
ちんこん
)
をすれば、
034
八九分
(
はちくぶ
)
通
(
どほ
)
りは
平癒
(
へいゆ
)
する』
035
とのことであつた。
036
無論
(
むろん
)
出口
(
でぐち
)
教祖
(
けうそ
)
さまのお
口
(
くち
)
を
通
(
とほ
)
してのお
示
(
しめ
)
しである。
037
そこで
四方
(
しかた
)
藤太郎
(
とうたらう
)
を
不在中
(
ふざいちゆう
)
の
審神者
(
さには
)
に
依頼
(
いらい
)
しおき、
038
喜楽
(
きらく
)
の
帰郷中
(
ききやうちう
)
、
039
修行者
(
しうぎやうしや
)
一同
(
いちどう
)
を
托
(
たく
)
して、
040
一先
(
ひとま
)
づ
穴太
(
あなを
)
へ
行
(
ゆ
)
くことになつた。
041
喜楽
(
きらく
)
は
出立
(
しゆつたつ
)
に
際
(
さい
)
し、
042
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
に
命
(
めい
)
じたのは、
043
喜楽
(
きらく
)
『
不在中
(
ふざいちゆう
)
に、
044
綾部
(
あやべ
)
から
教祖
(
けうそ
)
さまが
迎
(
むか
)
へに
来
(
こ
)
られても、
045
福島
(
ふくしま
)
が
来
(
き
)
ても、
046
又
(
また
)
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つて
来
(
き
)
ても
此処
(
ここ
)
の
修行者
(
しうぎやうしや
)
は
一人
(
ひとり
)
も
綾部
(
あやべ
)
へやつてはならぬ。
047
わけて
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
、
048
塩見
(
しほみ
)
せい
子
(
こ
)
、
049
黒田
(
くろだ
)
きよ
子
(
こ
)
には
十分
(
じふぶん
)
気
(
き
)
をつけて
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
い』
050
と
頼
(
たの
)
んでおいた。
051
四方
(
しかた
)
藤太郎
(
とうたらう
)
氏
(
し
)
は
喜楽
(
きらく
)
の
言
(
ことば
)
をよく
守
(
まも
)
つて
厳格
(
げんかく
)
に
審神者
(
さには
)
を
奉仕
(
ほうし
)
してゐた。
052
さうすると
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
たつて、
053
教祖
(
けうそ
)
さまから
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
だからと
云
(
い
)
つて、
054
右
(
みぎ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
修行者
(
しうぎやうしや
)
を
綾部
(
あやべ
)
の
金明会
(
きんめいくわい
)
へ
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
られた。
055
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
も
教祖
(
けうそ
)
の
命令
(
めいれい
)
には
抗弁
(
かうべん
)
しかねて、
056
やむを
得
(
え
)
ず
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
渡
(
わた
)
して
了
(
しま
)
うた。
057
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
修行者
(
しうぎやうしや
)
は、
058
教祖
(
けうそ
)
がワザワザ
自分
(
じぶん
)
でお
迎
(
むか
)
いに
来
(
こ
)
られる
位
(
くらゐ
)
だから、
059
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
大変
(
たいへん
)
に
神界
(
しんかい
)
の
思召
(
おぼしめし
)
に
叶
(
かな
)
うてゐるに
相違
(
さうゐ
)
ないと、
060
直様
(
すぐさま
)
慢心
(
まんしん
)
をした
為
(
ため
)
に、
061
又
(
また
)
もや
妖魅
(
えうみ
)
が
急激
(
きふげき
)
に
襲来
(
しふらい
)
して、
062
恰
(
あたか
)
も
気違
(
きちがひ
)
芝居
(
しばゐ
)
のやうなことを
演
(
えん
)
じ
出
(
だ
)
し、
063
金明会
(
きんめいくわい
)
の
広間
(
ひろま
)
は、
064
発狂者
(
はつきやうしや
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
の
様
(
やう
)
になつて
了
(
しま
)
つたのである。
065
○
066
さて
喜楽
(
きらく
)
は
綾部
(
あやべ
)
から
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
で、
067
十四
(
じふよ
)
里
(
り
)
の
山路
(
やまみち
)
をボツボツ
徒歩
(
かち
)
で
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ると、
068
吾
(
わが
)
家
(
や
)
の
軒
(
のき
)
まで
差
(
さし
)
かかつた
時
(
とき
)
、
069
何
(
なん
)
とも
形容
(
けいよう
)
の
出来
(
でき
)
ない
一種
(
いつしゆ
)
の
悲哀
(
ひあい
)
の
感
(
かん
)
じが
胸
(
むね
)
に
浮
(
う
)
かんで
来
(
き
)
た。
070
『あゝ
祖母
(
そぼ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
は
如何
(
どう
)
だらう。
071
まだ
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
命
(
いのち
)
は
切
(
き
)
れずにあるだらうか。
072
母
(
はは
)
は
如何
(
どう
)
して
居
(
を
)
るだらう……』
073
とくさぐさの
思
(
おも
)
ひに
胸
(
むね
)
は
張裂
(
はりさ
)
けるやうであつた。
074
急
(
いそ
)
いで
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
入
(
い
)
り
見
(
み
)
れば、
075
母
(
はは
)
は
縁先
(
えんさき
)
の
障子
(
しやうじ
)
を
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
開
(
あ
)
けて
涼
(
すず
)
しい
風
(
かぜ
)
を
入
(
い
)
れつつ、
076
今年
(
こんねん
)
八十六
(
はちじふろく
)
歳
(
さい
)
になつた
祖母
(
そぼ
)
の
看病
(
かんびやう
)
をしてゐる
処
(
ところ
)
であつた。
077
祖母
(
そぼ
)
も
今日
(
けふ
)
は
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
気分
(
きぶん
)
が
良
(
よ
)
いといつて、
078
庭
(
には
)
の
若
(
わか
)
い
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
を
眺
(
なが
)
めて、
079
勢
(
いきほひ
)
のよい
枝振
(
えだぶり
)
りなどを
褒
(
ほ
)
めて
居
(
を
)
られた。
080
喜楽
(
きらく
)
の
妹
(
いもうと
)
の
君
(
きみ
)
といふ
八
(
はつ
)
歳
(
さい
)
の
幼女
(
えうぢよ
)
が
学校
(
がくかう
)
から
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て
枕許
(
まくらもと
)
で
何
(
なん
)
だか
無理
(
むり
)
を
言
(
い
)
つて、
081
母
(
はは
)
を
困
(
こま
)
らして
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
であつた。
082
祖母
(
そぼ
)
は
喜楽
(
きらく
)
の
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たことを
知
(
し
)
らずに、
083
又
(
また
)
何時
(
いつ
)
とはなしにスヤスヤとよく
寝入
(
ねい
)
つて
居
(
を
)
られた。
084
折角
(
せつかく
)
寝
(
ね
)
て
居
(
を
)
られるのを、
085
目
(
め
)
をさましては
却
(
かへつ
)
て
病気
(
びやうき
)
の
障
(
さは
)
りになつてはならぬと、
086
母
(
はは
)
は
自然
(
しぜん
)
に
目
(
め
)
のさめる
迄
(
まで
)
、
087
喜楽
(
きらく
)
の
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たことを
知
(
し
)
らさぬ
様
(
やう
)
にしてゐた。
088
喜楽
(
きらく
)
は
先
(
ま
)
づ
母
(
はは
)
に
不在中
(
ふざいちゆう
)
の
辛労
(
しんらう
)
を
謝
(
しや
)
したり、
089
祖母
(
そぼ
)
の
病気
(
びやうき
)
の
様子
(
やうす
)
などを
尋
(
たづ
)
ねて
居
(
ゐ
)
た。
090
折
(
をり
)
しも
今迄
(
いままで
)
楽
(
らく
)
相
(
さう
)
に
眠
(
ねむ
)
つて
居
(
を
)
られた
祖母
(
そぼ
)
は、
091
何者
(
なにもの
)
にか
襲
(
おそ
)
はれたやうに、
092
恐
(
おそ
)
ろしい
悶絶
(
もんぜつ
)
の
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
し、
093
稍
(
やや
)
苦
(
くるし
)
みの
心
(
こころ
)
が
見
(
み
)
えた。
094
母
(
はは
)
も
喜楽
(
きらく
)
もあわてて
側
(
そば
)
へ
寄
(
よ
)
り、
095
よくよく
見
(
み
)
れば、
096
祖母
(
そぼ
)
は
今
(
いま
)
正
(
まさ
)
に
何者
(
なにもの
)
にかうなされて
居
(
ゐ
)
る
様子
(
やうす
)
である。
097
母
(
はは
)
と
喜楽
(
きらく
)
とが
左右
(
さいう
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて、
098
静
(
しづ
)
かに
起
(
おこ
)
し、
099
背
(
せな
)
をなでさすりなどして
居
(
ゐ
)
ると、
100
やうやう
目
(
め
)
をさまし、
101
正気
(
しやうき
)
にかへられた。
102
老
(
おい
)
の
身
(
み
)
のやせ
衰
(
おとろ
)
へた
病人
(
びやうにん
)
の
事
(
こと
)
とて、
103
額
(
ひたひ
)
も
足
(
あし
)
も
手
(
て
)
も
冷汗
(
ひやあせ
)
にビシヨぬれになつて、
104
見
(
み
)
るからにいぢらしく、
105
自然
(
しぜん
)
に
喜楽
(
きらく
)
の
目
(
め
)
にも
涙
(
なみだ
)
が
一杯
(
いつぱい
)
にあふれて
来
(
き
)
た。
106
稍
(
やや
)
あつて
祖母
(
そぼ
)
は
力
(
ちから
)
なき
目
(
め
)
を
見
(
み
)
ひらき、
107
祖母
(
そぼ
)
『あゝ
不思議
(
ふしぎ
)
な
夢
(
ゆめ
)
をみたものだ。
108
お
米
(
よね
)
、
109
そこにゐるか。
110
よう
聞
(
き
)
いてお
呉
(
く
)
れ、
111
吾
(
わが
)
家
(
や
)
の
御
(
ご
)
先祖
(
せんぞ
)
様
(
さま
)
が、
112
只今
(
ただいま
)
の
先
(
さき
)
、
113
孫
(
まご
)
の
喜三郎
(
きさぶらう
)
を
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
うと
仰有
(
おつしや
)
つて、
114
長
(
なが
)
い
刀
(
かたな
)
を
引
(
ひき
)
ぬいて
追
(
おひ
)
かけまはして
居
(
を
)
られる。
115
喜三郎
(
きさぶろう
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
逃
(
に
)
げまはす。
116
見
(
み
)
るに
見
(
み
)
かねて
私
(
わたし
)
が
御
(
ご
)
先祖
(
せんぞ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
117
暫
(
しばら
)
くの
御
(
ご
)
猶予
(
いうよ
)
をと、
118
泣
(
な
)
いてお
頼
(
たの
)
みしたら、
119
御
(
ご
)
先祖
(
せんぞ
)
さまも
少
(
すこ
)
し
顔色
(
かほいろ
)
を
和
(
やは
)
らげて、
120
……そんならお
前
(
まへ
)
から
喜三郎
(
きさぶろう
)
に
諭
(
さと
)
してやるがよい。
121
上田
(
うへだ
)
の
家
(
いへ
)
は
藤原
(
ふぢはら
)
の
鎌足
(
かまたり
)
の
末
(
すゑ
)
である。
122
うつり
行
(
ゆ
)
く
世
(
よ
)
の
慣
(
なら
)
ひ、
123
家
(
いへ
)
の
系図
(
けいづ
)
は
幾
(
いく
)
つにも
別
(
わか
)
れてゐるが、
124
中
(
なか
)
には
今
(
いま
)
に
歴然
(
れきぜん
)
として
時
(
とき
)
めいてゐる
子孫
(
しそん
)
もあり、
125
大商人
(
だいしやうにん
)
になつてゐる
子孫
(
しそん
)
もあり、
126
百姓
(
ひやくしやう
)
になつたのも
沢山
(
たくさん
)
ある。
127
又
(
また
)
中途
(
ちうと
)
にして
家
(
いへ
)
の
断絶
(
だんぜつ
)
したのもあるが、
128
吾
(
わが
)
家
(
や
)
こそは
百姓
(
ひやくしやう
)
になつた
人
(
ひと
)
の
家筋
(
いへすぢ
)
で、
129
先祖
(
せんぞ
)
から
代々
(
だいだい
)
お
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
になることを
勤
(
つと
)
めて
来
(
き
)
たのである。
130
併
(
しか
)
しモウ
斯
(
か
)
う
百姓
(
ひやくしやう
)
に
成
(
な
)
り
下
(
さが
)
つて
了
(
しま
)
うては、
131
如何
(
どう
)
することも
出来
(
でき
)
ぬと
幽界
(
いうかい
)
から
歎
(
なげ
)
いてゐたのである。
132
併
(
しか
)
しながら
有難
(
ありがた
)
き
御代
(
みよ
)
になつて、
133
百姓
(
ひやくしやう
)
でも
誠
(
まこと
)
があり
力
(
ちから
)
さへあれば、
134
どんなことでも
出来
(
でき
)
るやうになつたのだから、
135
どうかして
吾
(
わが
)
子孫
(
しそん
)
から
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
になる
者
(
もの
)
を
現
(
あら
)
はしたいと
思
(
おも
)
ひ、
136
神界
(
しんかい
)
の
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
しを
受
(
う
)
けて、
137
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
尊
(
たふと
)
きお
道
(
みち
)
を
明
(
あきら
)
かに
世界
(
せかい
)
へ
現
(
あら
)
はし、
138
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
安楽
(
あんらく
)
な
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
にしたい
為
(
ため
)
に、
139
喜三郎
(
きさぶろう
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
使
(
つかひ
)
として、
140
一身
(
いつしん
)
を
捧
(
ささ
)
げて
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
さしたいと
思
(
おも
)
ひ、
141
其
(
その
)
身辺
(
しんぺん
)
を
昼夜
(
ちうや
)
に
守護
(
しゆご
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
るのである。
142
かかる
重
(
おも
)
き
使命
(
しめい
)
を
有
(
も
)
つてゐる
者
(
もの
)
が、
143
祖母
(
そぼ
)
の
病気
(
びやうき
)
のために
心
(
こころ
)
を
紊
(
みだ
)
し、
144
肝賢
(
かんじん
)
の
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
をすてて、
145
のめのめと
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
るとは
不届
(
ふとど
)
き
千万
(
せんばん
)
な
奴
(
やつ
)
だ。
146
神界
(
しんかい
)
へ
対
(
たい
)
して
申訳
(
まをしわけ
)
が
立
(
た
)
たぬから、
147
一層
(
いつそう
)
のこと
切
(
き
)
り
捨
(
す
)
てて
了
(
しま
)
ふと
仰有
(
おつしや
)
つて、
148
大変
(
たいへん
)
な
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
、
149
そこで
私
(
わたし
)
がいろいろとお
詫
(
わび
)
をして、
150
暫
(
しばら
)
くの
御
(
ご
)
猶予
(
いうよ
)
を
願
(
ねが
)
うたと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
、
151
不意
(
ふい
)
に
誰
(
たれ
)
にか
揺起
(
ゆりおこ
)
されたと
思
(
おも
)
ふたら、
152
ヤツパリ
夢
(
ゆめ
)
であつた。
153
アー
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
御
(
ご
)
先祖
(
せんぞ
)
さまのお
言葉
(
ことば
)
は
夢
(
ゆめ
)
とはいふものの、
154
等閑
(
なほざり
)
にすることは
出来
(
でき
)
ぬ。
155
喜三郎
(
きさぶろう
)
も
其
(
その
)
心得
(
こころえ
)
で
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に、
156
神
(
かみ
)
さまの
御用
(
ごよう
)
を
一心
(
いつしん
)
に
勤
(
つと
)
めて
貰
(
もら
)
へば、
157
先祖
(
せんぞ
)
さまに
対
(
たい
)
して
申訳
(
まをしわけ
)
が
立
(
た
)
つから、
158
中途
(
ちうと
)
に
気
(
き
)
をくぢかぬやうに
頼
(
たの
)
むぞ。
159
妾
(
わたし
)
は
老木
(
おいき
)
の
末短
(
すゑみじか
)
き
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
、
160
お
前
(
まへ
)
はまだ
血気
(
けつき
)
盛
(
ざか
)
り、
161
半時
(
はんとき
)
の
間
(
ま
)
も
無益
(
むえき
)
に
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
ることは
出来
(
でき
)
ぬから、
162
妾
(
わたし
)
に
構
(
かま
)
はずお
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
に
潔
(
いさぎよ
)
く
尽
(
つく
)
して
呉
(
く
)
れ。
163
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
人間
(
にんげん
)
は
老少
(
らうせう
)
不定
(
ふぢやう
)
だから、
164
これが
別
(
わか
)
れになるかも
知
(
し
)
れぬ。
165
ズイ
分
(
ぶん
)
身体
(
からだ
)
を
大切
(
たいせつ
)
にせよ』
166
と
後
(
あと
)
は
言葉
(
ことば
)
もなく、
167
其
(
その
)
目
(
め
)
には
涙
(
なみだ
)
が
泛
(
うか
)
んでゐた。
168
喜楽
(
きらく
)
の
目
(
め
)
にもいつの
間
(
ま
)
にやら
涙
(
なみだ
)
が
漂
(
ただよ
)
ひ、
169
腮辺
(
しへん
)
を
伝
(
つた
)
ふのを
押
(
おし
)
かくし、
170
喜楽
(
きらく
)
『お
祖母
(
ば
)
アさま、
171
そんならこれから
綾部
(
あやべ
)
へ
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
ます。
172
どうぞ
達者
(
たつしや
)
にしてゐて
下
(
くだ
)
さい』
173
と
門口
(
かどぐち
)
を
出
(
で
)
やうとする
時
(
とき
)
、
174
いつの
間
(
ま
)
にか
母
(
はは
)
は
株内
(
かぶうち
)
の
次郎松
(
じろまつ
)
やお
政
(
まさ
)
後家
(
ごけ
)
サンを
伴
(
ともな
)
うて
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
り、
175
母
(
はは
)
『
喜三郎
(
きさぶろう
)
、
176
お
前
(
まへ
)
に
一寸
(
ちよつと
)
相談
(
さうだん
)
があるから、
177
今
(
いま
)
帰
(
かへ
)
ることは
出来
(
でき
)
ぬ。
178
どうぞ
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
待
(
ま
)
つて
貰
(
もら
)
はねばならぬ』
179
と
引
(
ひき
)
とめられた。
180
……サア
了
(
しま
)
つた。
181
モウ
仕方
(
しかた
)
がない。
182
せめて
二三
(
にさん
)
分間
(
ぷんかん
)
母
(
はは
)
の
帰宅
(
きたく
)
が
遅
(
おそ
)
かつたならば、
183
甘
(
うま
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
をぬけて
帰
(
かへ
)
られたのに、
184
又
(
また
)
もや
母
(
はは
)
や
次郎松
(
じろまつ
)
サンから、
185
沢山
(
たくさん
)
の
苦情
(
くじやう
)
をかまされることだらう……と
思
(
おも
)
ふたが、
186
最早
(
もはや
)
仕方
(
しかた
)
がない。
187
先
(
ま
)
づ
二人
(
ふたり
)
に
時
(
とき
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
や、
188
不在中
(
ふざいちゆう
)
お
世話
(
せわ
)
になつた
好意
(
かうい
)
を
陳謝
(
ちんしや
)
し、
189
座
(
ざ
)
につくや
否
(
いな
)
や、
190
次郎松
(
じろまつ
)
サンがいきなり、
191
目
(
め
)
をむいて、
192
次郎
(
じろ
)
『コレ
喜三
(
きさ
)
ヤン、
193
お
前
(
まへ
)
は
一体
(
いつたい
)
全体
(
ぜんたい
)
、
194
何
(
なに
)
をト
呆
(
ぼ
)
けて
居
(
を
)
るのだ。
195
こんな
老人
(
としより
)
や
母親
(
ははおや
)
を
見
(
み
)
すてて、
196
如何
(
いか
)
に
百姓
(
ひやくしやう
)
が
嫌
(
いや
)
ぢやとて、
197
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
にいなごの
様
(
やう
)
に、
198
朝夕
(
あさゆふ
)
そこらを
飛
(
とび
)
あるくとは、
199
余
(
あま
)
り
物
(
もの
)
が
分
(
わか
)
らぬすぎるぢやないか。
200
それとも
如何
(
どう
)
しても
内
(
うち
)
を
出
(
で
)
て
極道
(
ごくだう
)
がしたいと
思
(
おも
)
うなら、
201
毎月
(
まいげつ
)
金
(
かね
)
を
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
なさい。
202
其
(
その
)
金
(
かね
)
でお
前
(
まへ
)
の
代
(
かは
)
りに
人足
(
にんそく
)
を
雇
(
やと
)
うて
百姓
(
ひやくしやう
)
さすから、
203
如何
(
どう
)
ぢや、
204
分
(
わか
)
つたかなア。
205
一体
(
いつたい
)
お
前
(
まへ
)
が
家
(
いへ
)
を
出
(
で
)
てから、
206
一年余
(
いちねんあま
)
りになるが、
207
金
(
かね
)
一文
(
いちもん
)
送
(
おく
)
つて
来
(
く
)
るでもなし、
208
たより
一
(
いつ
)
ぺんするでもなし、
209
生
(
い
)
きて
居
(
を
)
るのか
死
(
し
)
んで
居
(
を
)
るのか、
210
但
(
ただし
)
は
家
(
いへ
)
を
忘
(
わす
)
れて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
処
(
ところ
)
が
知
(
し
)
れなんだのか、
211
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬといふても
余
(
あま
)
りぢやないか。
212
私
(
わたし
)
は
上田家
(
うへだけ
)
の
為
(
ため
)
に
先祖
(
せんぞ
)
に
成
(
な
)
り
代
(
かは
)
つて
意見
(
いけん
)
しに
来
(
き
)
たのだから、
213
私
(
わたし
)
の
忠告
(
ちうこく
)
をも
聞
(
き
)
かずに、
214
綾部
(
あやべ
)
へ
行
(
ゆ
)
くなら
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
なさい。
215
不在中
(
ふざいちゆう
)
の
此
(
この
)
家
(
いへ
)
の
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
は
私
(
わたし
)
はお
断
(
ことわ
)
り
申
(
まを
)
す。
216
私
(
わたし
)
計
(
ばか
)
りか
株内
(
かぶうち
)
も
近所
(
きんじよ
)
も
皆
(
みな
)
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りだ。
217
どんなことが
出来
(
しゆつたい
)
しても
構
(
かま
)
はぬから、
218
今
(
いま
)
ここでキツパリと
返答
(
へんたふ
)
をしてくれ』
219
と
真赤
(
まつか
)
な
顔
(
かほ
)
して
呶鳴
(
どな
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
220
又
(
また
)
一人
(
ひとり
)
の
別家
(
べつけ
)
のお
政
(
まさ
)
といふ
後家
(
ごけ
)
サンが、
221
喧
(
やかま
)
しう
泣
(
な
)
くやうに
綾部
(
あやべ
)
へ
行
(
ゆ
)
くなと
口説
(
くど
)
きたてる。
222
二人
(
ふたり
)
共
(
とも
)
神界
(
しんかい
)
のことはテンで
頭
(
あたま
)
にない。
223
只
(
ただ
)
肉体
(
にくたい
)
上
(
じやう
)
から
見
(
み
)
て、
224
上田家
(
うへだけ
)
の
前途
(
ぜんと
)
を
案
(
あん
)
じての
親切
(
しんせつ
)
から
云
(
い
)
ふてくれるのであるから、
225
二人
(
ふたり
)
の
心情
(
しんじやう
)
を
察
(
さつ
)
してみると、
226
帰
(
かへ
)
りもならず、
227
それぢやと
言
(
い
)
ふて
穴太
(
あなを
)
に
居
(
を
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
228
退引
(
のつぴき
)
ならぬ
仕儀
(
しぎ
)
となり
閉口
(
へいこう
)
をした。
229
(
大正一一・一〇・一四
旧八・二四
松村真澄
録)
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