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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
第1章 道すがら
第2章 吉崎仙人
第3章 帰郷
第4章 誤親切
第5章 三人組
第6章 曲の猛
第7章 火事蚊
第2篇 光風霽月
第8章 三ツ巴
第9章 稍安定
第10章 思ひ出(一)
第11章 思ひ出(二)
第12章 思ひ出(三)
第3篇 冒険神験
第13章 冠島
第14章 沓島
第15章 怒濤
第16章 禁猟区
第17章 旅装
第4篇 霊火山妖
第18章 鞍馬山(一)
第19章 鞍馬山(二)
第20章 元伊勢
第5篇 正信妄信
第21章 凄い権幕
第22章 難症
第23章 狐狸狐狸
第24章 呪の釘
第25章 雑草
第26章 日の出
第27章 仇箒
第28章 金明水
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舎身活躍(第37~48巻)
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第38巻(丑の巻)
> 第5篇 正信妄信 > 第21章 凄い権幕
<<< 元伊勢
(B)
(N)
難症 >>>
第二一章
凄
(
すご
)
い
権幕
(
けんまく
)
〔一〇五八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
篇:
第5篇 正信妄信
よみ(新仮名遣い):
せいしんぼうしん
章:
第21章 凄い権幕
よみ(新仮名遣い):
すごいけんまく
通し章番号:
1058
口述日:
1922(大正11)年10月18日(旧08月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
明治三十七年になると日露戦争が勃発した。四方平蔵、中村竹蔵などお筆先を信じきっている連中の鼻息がにわかに荒くなってきた。
喜楽が古事記を研究したり霊界の消息を書いていると、中村竹蔵がやってきて、喜楽が角文字などを書いて改心しないから、神業が遅れているのだと難癖をつけてきた。
そして、喜楽の肉体はご神業に必要だけれども、喜楽に取り憑いている小松林命が悪さをしているのだ、と言って、三方から怒鳴りたてて攻め立てる。
そこへ福島久子もやってきた。四方平蔵は、福島久子にも加勢を頼もうとしていたので、喜楽は便所へ行く風をして裏口から逃げ出し、大槻鹿造宅へ逃げ込んだ。
鹿造はかくまってくれ、福島や中村や四方が来たら、牛肉のにおいで往生させてやったら面白いだろうと、店から上等の肉を持ってきて煮て食い始めた。
中村竹蔵が喜楽を探しに鹿造宅にやってくると、鹿造夫婦は中村をからかって、牛肉を勧めはじめた。中村は憤慨して、喜楽を引っ張ろうとするので、自分は牛肉を三百目一人で食ったとからかった。
中村は躍起となり、悪い身霊の因縁だと鹿造夫婦をけなした。鹿造は怒って中村に拳骨をくれる。中村は、酒呑童子の霊など恐れるもものか、と言いながら帰ってしまった。
綾部にいてはうるさいというので、園部の支部長がやってきたので、日暮れ頃から園部に行って隠れて布教をしていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-09 07:30:49
OBC :
rm3821
愛善世界社版:
217頁
八幡書店版:
第7輯 240頁
修補版:
校定版:
221頁
普及版:
116頁
初版:
ページ備考:
001
明治
(
めいぢ
)
卅七
(
さんじふしち
)
年
(
ねん
)
になつてから、
002
日露
(
にちろ
)
戦争
(
せんそう
)
が
勃発
(
ぼつぱつ
)
したので、
003
ソロソロ
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
、
004
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
、
005
村上
(
むらかみ
)
房之助
(
ふさのすけ
)
、
006
木下
(
きのした
)
慶太郎
(
けいたらう
)
、
007
田中
(
たなか
)
善吉
(
ぜんきち
)
、
008
本田
(
ほんだ
)
作次郎
(
さくじらう
)
、
009
小島
(
こじま
)
寅吉
(
とらきち
)
、
010
安田
(
やすだ
)
荘次郎
(
しやうじらう
)
、
011
四方
(
しかた
)
与平
(
よへい
)
、
012
塩見
(
しほみ
)
じゆん、
013
などの
連中
(
れんちう
)
が
俄
(
にはか
)
に
鼻息
(
はないき
)
が
荒
(
あら
)
くなり、
014
六畳
(
ろくでふ
)
の
離
(
はな
)
れに
喜楽
(
きらく
)
が
閉
(
と
)
ぢ
込
(
こ
)
められ、
015
隠
(
かく
)
れて
古事記
(
こじき
)
を
調
(
しら
)
べたり、
016
霊界
(
れいかい
)
の
消息
(
せうそく
)
を
書
(
か
)
いてゐると、
017
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
が
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
役員
(
やくゐん
)
と
共
(
とも
)
に
大手
(
おほで
)
をふつてやつて
来
(
き
)
た。
018
そして
喜楽
(
きらく
)
に
向
(
むか
)
ひ、
019
中村
(
なかむら
)
『
会長
(
くわいちやう
)
サン
如何
(
どう
)
です、
020
大望
(
たいまう
)
が
始
(
はじ
)
まつたぢやありませぬか、
021
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
をなさらぬと、
022
今年中
(
こんねんぢう
)
に
世界
(
せかい
)
は
丸潰
(
まるつぶ
)
れになりますぞ、
023
露国
(
ろこく
)
から
始
(
はじ
)
まりてもう
一戦
(
ひといくさ
)
があるとお
筆先
(
ふでさき
)
に
出
(
で
)
て
居
(
を
)
りますだないか、
024
ヘンこれでも
筆先
(
ふでさき
)
がちがひますかな、
025
霊学
(
れいがく
)
三分
(
さんぶ
)
筆先
(
ふでさき
)
七分
(
しちぶ
)
にせいと、
026
お
筆先
(
ふでさき
)
に
出
(
で
)
て
居
(
を
)
るのに、
027
一寸
(
ちよつと
)
も
筆先
(
ふでさき
)
をおよみにならぬから、
028
露国
(
ろこく
)
から
戦
(
いくさ
)
が
始
(
はじま
)
つても
何
(
なに
)
も
分
(
わか
)
りますまいがな、
029
この
先
(
さき
)
はどうなるといふ
事
(
こと
)
を
御存
(
ごぞん
)
じですか、
030
早
(
はや
)
く
教祖
(
けうそ
)
さまにお
詫
(
わび
)
をなされ』
031
と
威丈高
(
ゐたけだか
)
になつて、
032
説諭
(
せつゆ
)
するやうな
気分
(
きぶん
)
で
喋
(
しやべ
)
り
立
(
たて
)
た。
033
丁度
(
ちやうど
)
宣戦
(
せんせん
)
の
詔勅
(
せうちよく
)
が
下
(
くだ
)
つた
三日目
(
みつかめ
)
である。
034
そこで
喜楽
(
きらく
)
は
自分
(
じぶん
)
の
随筆
(
ずいひつ
)
と
題
(
だい
)
した
一冊
(
いつさつ
)
の
書物
(
しよもつ
)
を
出
(
だ
)
して、
035
中村
(
なかむら
)
に
示
(
しめ
)
し、
036
喜楽
(
きらく
)
『そんな
事
(
こと
)
はとうから
分
(
わか
)
つてゐるのだ、
037
これを
見
(
み
)
てくれ、
038
明治
(
めいぢ
)
卅五
(
さんじふご
)
年
(
ねん
)
の
一
(
いち
)
月
(
ぐわつ
)
にチヤンと
明治
(
めいぢ
)
卅七
(
さんじふしち
)
年
(
ねん
)
の
二
(
に
)
月
(
ぐわつ
)
から
日露
(
にちろ
)
戦争
(
せんそう
)
が
起
(
おこ
)
るといふ
事
(
こと
)
が
自分
(
じぶん
)
の
筆
(
ふで
)
でかいてある』
039
とそこを
広
(
ひろ
)
げてつき
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せると、
040
中村
(
なかむら
)
は
妙
(
めう
)
な
顔
(
かほ
)
をして、
041
中村
(
なかむら
)
『そんな
角文字
(
かくもじ
)
をまぜて、
042
外国
(
ぐわいこく
)
身魂
(
みたま
)
で
何程
(
なにほど
)
書
(
か
)
いても、
043
そんな
事
(
こと
)
はここでは
通用
(
つうよう
)
しませぬ、
044
何
(
な
)
にも
知
(
し
)
らぬ
学
(
がく
)
のない
神力
(
しんりき
)
ばかりの
教祖
(
けうそ
)
のお
筆先
(
ふでさき
)
が
尊
(
たつと
)
いのです』
045
と
木
(
き
)
で
鼻
(
はな
)
をこすつた
様
(
やう
)
に、
046
冷笑
(
れいせう
)
的
(
てき
)
に
云
(
い
)
ふ。
047
そこで
喜楽
(
きらく
)
は、
048
喜楽
(
きらく
)
『お
前
(
まへ
)
は
明治
(
めいぢ
)
卅三
(
さんじふさん
)
年
(
ねん
)
にも
今年
(
こんねん
)
に
日露
(
にちろ
)
戦争
(
せんそう
)
が
起
(
おこ
)
るといひ、
049
三十四
(
さんじふよ
)
年
(
ねん
)
にも
三十五
(
さんじふご
)
年
(
ねん
)
にも
毎年
(
まいねん
)
、
050
今年
(
ことし
)
は
日露
(
にちろ
)
戦争
(
せんそう
)
が
起
(
おこ
)
る、
051
立替
(
たてかへ
)
が
始
(
はじ
)
まる、
052
目
(
め
)
も
鼻
(
はな
)
もあかぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るというて
居
(
を
)
つたぢやないか、
053
そんな
予言
(
よげん
)
でもしまひには
当
(
あた
)
るもんだ』
054
といふと
中村
(
なかむら
)
は
威丈高
(
ゐたけだか
)
になり、
055
中村
(
なかむら
)
『
私
(
わたくし
)
は
自分
(
じぶん
)
が
言
(
い
)
ふたのではない、
056
勿体
(
もつたい
)
なくも
艮
(
うしとらの
)
大金神
(
だいこんじん
)
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
出口
(
でぐち
)
の
神
(
かみ
)
さまのお
筆先
(
ふでさき
)
に……
今年
(
こんねん
)
は
立替
(
たてかへ
)
が
始
(
はじ
)
まる、
057
露国
(
ろこく
)
との
戦
(
たたか
)
ひがある……と
現
(
あら
)
はれて
居
(
を
)
るので、
058
さういふたのです、
059
つまり
会長
(
くわいちやう
)
サンは
教祖
(
けうそ
)
ハンの
仰有
(
おつしや
)
つた
事
(
こと
)
や
神
(
かみ
)
さまの
御
(
お
)
言
(
ことば
)
をこなすのですか、
060
あなたの
御
(
ご
)
改心
(
かいしん
)
が
遅
(
おく
)
れた
為
(
ため
)
に
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
がおくれたので
御座
(
ござ
)
いますぞ。
061
会長
(
くわいちやう
)
サンが
明治
(
めいぢ
)
卅三
(
さんじふさん
)
年
(
ねん
)
に
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
つたら、
062
神
(
かみ
)
さまは
三十三
(
さんじふさん
)
年
(
ねん
)
に
立替
(
たてかへ
)
をなさるなり、
063
三十四
(
さんじふよ
)
年
(
ねん
)
に
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
つたら、
064
ヤツパリ
三十四
(
さんじふよ
)
年
(
ねん
)
に
立替
(
たてかへ
)
を
遊
(
あそ
)
ばす
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
にチヤンと
三千年
(
さんぜんねん
)
前
(
まへ
)
から
決
(
き
)
まつて
居
(
を
)
ります、
065
自分
(
じぶん
)
の
改心
(
かいしん
)
がおくれて
神
(
かみ
)
さまに
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
をかけ、
066
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
を
延
(
の
)
ばして、
067
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
を
苦
(
くる
)
しめておき
乍
(
なが
)
ら、
068
神
(
かみ
)
さまがウソを
言
(
い
)
ふたよに
仰有
(
おつしや
)
るのですか、
069
そんな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
ると、
070
綾部
(
あやべ
)
には
居
(
を
)
つて
貰
(
もら
)
へませぬ、
071
何
(
なん
)
というても
露国
(
ろこく
)
と
日本
(
にほん
)
との
戦争
(
せんそう
)
が
始
(
はじ
)
まつたのですから、
072
きつと
日本
(
にほん
)
は
九分
(
くぶ
)
九
(
く
)
りんまで、
073
サア
叶
(
かな
)
はぬといふ
所
(
ところ
)
まで
行
(
ゆき
)
ますぞ、
074
そうなつた
所
(
ところ
)
で
綾部
(
あやべ
)
の
大本
(
おほもと
)
から
艮
(
うしとらの
)
金神
(
こんじん
)
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
身魂
(
みたま
)
が
大出口
(
おほでぐち
)
の
神
(
かみ
)
と
現
(
あらは
)
れて、
075
艮
(
とど
)
めをさして
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
をうでくり
返
(
かへ
)
し、
076
天下
(
てんか
)
太平
(
たいへい
)
に
世
(
よ
)
を
治
(
おさ
)
めて、
077
後
(
あと
)
は
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
と
遊
(
あそ
)
ばすのですから、
078
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
をして
貰
(
もら
)
はぬと、
079
お
仕組
(
しぐみ
)
の
邪魔
(
じやま
)
になりますぞや、
080
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しの
御用
(
ごよう
)
の
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
した
者
(
もの
)
は、
081
万劫
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
書
(
か
)
きのこして、
082
見
(
み
)
せしめに
致
(
いた
)
して
其
(
その
)
身魂
(
みたま
)
を
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
へおとすぞよ………と
神
(
かみ
)
さまがお
筆先
(
ふでさき
)
にお
示
(
しめ
)
しになつて
居
(
を
)
りますぞや、
083
会長
(
くわいちやう
)
サンの
改心
(
かいしん
)
が
一
(
いち
)
日
(
にち
)
遅
(
おく
)
れたら
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
が
一
(
いち
)
日
(
にち
)
余計
(
よけい
)
苦
(
くる
)
しむといふ、
084
あんたの
身魂
(
みたま
)
は
極悪
(
ごくあく
)
の
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
だから、
085
何事
(
なにごと
)
も
改心
(
かいしん
)
が
一等
(
いつとう
)
ぞやとお
筆
(
ふで
)
に
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
ますぞえ』
086
と
脱線
(
だつせん
)
だらけの
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひ
並
(
なら
)
べて
攻
(
せ
)
め
立
(
た
)
てる。
087
会長
(
くわいちやう
)
は
可笑
(
おか
)
しさをこらへて、
088
喜楽
(
きらく
)
『
自分
(
じぶん
)
が
一
(
いち
)
日
(
にち
)
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
した
為
(
ため
)
に
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
人間
(
にんげん
)
が
一
(
いち
)
日
(
にち
)
早
(
はや
)
く
助
(
たす
)
かるといふよな、
089
善
(
ぜん
)
にもせよ
悪
(
あく
)
にもせよ、
090
そんな
人物
(
じんぶつ
)
なら
結構
(
けつこう
)
だが、
091
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
一人
(
ひとり
)
が
如何
(
どう
)
なつた
所
(
ところ
)
で、
092
世界
(
せかい
)
に
対
(
たい
)
して
何
(
なん
)
の
関係
(
くわんけい
)
があるものか、
093
余
(
あま
)
り
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふもんぢやない、
094
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふから、
095
綾部
(
あやべ
)
の
大本
(
おほもと
)
は、
096
気違
(
きちがひ
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
だとか、
097
迷信家
(
めいしんか
)
の
寄合
(
よりあひ
)
だとか、
098
世界
(
せかい
)
から
悪罵
(
あくば
)
されて、
099
はねのけ
者
(
もの
)
にされるのだ、
100
チツとは
考
(
かんが
)
へて
貰
(
もら
)
はぬと
困
(
こま
)
るぢやないか』
101
と
言
(
い
)
へば
中村
(
なかむら
)
は
口
(
くち
)
をとがらし、
102
中村
(
なかむら
)
『おだまりなされ
海潮
(
かいてう
)
サン
何程
(
なにほど
)
うまく
化
(
ば
)
けても
駄目
(
だめ
)
です。
103
世間
(
せけん
)
から
悪
(
わる
)
くいはれるのがそれ
程
(
ほど
)
気
(
き
)
にかかりますかな、
104
何
(
なん
)
と
気
(
き
)
の
小
(
ちひ
)
さい
先生
(
せんせい
)
ですな、
105
それだから
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
は
反対役
(
はんたいやく
)
だと
神
(
かみ
)
さまが
仰有
(
おつしや
)
るのだ、
106
世界中
(
せかいぢう
)
皆
(
みな
)
曇
(
くも
)
つて
昼中
(
ひるなか
)
に
提灯
(
ちやうちん
)
を
持
(
も
)
つて
歩
(
ある
)
かなならぬ
暗
(
くら
)
がりの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
になつてゐるのぢやから、
107
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
にほめられるよな
教
(
をしへ
)
がそれが
誠
(
まこと
)
ですかい、
108
トコトン
悪
(
わる
)
くいはれてトコトンよくなる
仕組
(
しぐみ
)
ですよ、
109
余
(
あま
)
りあんたは
角文字
(
かくもじ
)
や
外国
(
ぐわいこく
)
の
教
(
をしへ
)
にこるから、
110
サツパリ
霊
(
みたま
)
がねぢけて
了
(
しま
)
うて、
111
お
筆先
(
ふでさき
)
が
分
(
わか
)
らぬのだ。
112
チツとお
筆先
(
ふでさき
)
を
聞
(
き
)
きなされ』
113
と
呶鳴
(
どな
)
りつけ
乍
(
なが
)
ら、
114
恭
(
うやうや
)
しく
三宝
(
さんぱう
)
にのせて
来
(
き
)
た
七八冊
(
しちはつさつ
)
の
筆先
(
ふでさき
)
をよみ
始
(
はじ
)
め
出
(
だ
)
した。
115
喜楽
(
きらく
)
は
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
くなつて
来
(
き
)
て、
116
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くて
仕方
(
しかた
)
がない。
117
そこで、
118
喜楽
(
きらく
)
『
其
(
その
)
筆先
(
ふでさき
)
なら
何
(
なん
)
べんも
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
るから、
119
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
はいでもよい、
120
何
(
なに
)
もかも
知
(
し
)
つてゐる』
121
というや
否
(
いな
)
や、
122
中村
(
なかむら
)
『コラツ
小松林
(
こまつばやし
)
、
123
お
筆先
(
ふでさき
)
が
苦
(
くる
)
しいか、
124
サア
是
(
これ
)
からお
筆先
(
ふでさき
)
攻
(
ぜめ
)
にして
退
(
ど
)
かしてやろ、
125
サア
早
(
はや
)
く
小松林
(
こまつばやし
)
、
126
此
(
この
)
お
筆先
(
ふでさき
)
を
聞
(
き
)
いて、
127
トツトと
会長
(
くわいちやう
)
サンの
肉体
(
にくたい
)
を
立去
(
たちさ
)
れ、
128
そして
其
(
その
)
後
(
あと
)
へ
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
身魂
(
みたま
)
坤
(
ひつじさる
)
の
金神
(
こんじん
)
さまがお
鎮
(
しづ
)
まり
遊
(
あそ
)
ばすのだ、
129
会長
(
くわいちやう
)
サンの
肉体
(
にくたい
)
は、
130
貴様
(
きさま
)
のよな
四足
(
よつあし
)
の
這入
(
はい
)
る
肉体
(
にくたい
)
だないぞ、
131
コラ
退
(
ど
)
かぬか』
132
と
呶鳴
(
どな
)
りつける。
133
村上
(
むらかみ
)
や
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
が
傍
(
そば
)
から、
134
村上
(
むらかみ
)
『コラ
小松林
(
こまつばやし
)
、
135
何
(
なに
)
を
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
してゐるのだ、
136
早
(
はや
)
く
会長
(
くわいちやう
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
飛出
(
とびだ
)
して、
137
園部
(
そのべ
)
の
内藤
(
ないとう
)
へしづまらぬか、
138
悪
(
あく
)
の
霊
(
みたま
)
の
年
(
ねん
)
の
明
(
あ
)
きだぞ』
139
と
三方
(
さんぱう
)
から
攻
(
せ
)
めかける。
140
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
は
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らして、
141
四方
(
しかた
)
『コレ
小松林
(
こまつばやし
)
サン、
142
お
前
(
まへ
)
サンもよい
加減
(
かげん
)
に
改心
(
かいしん
)
をなさつたら
如何
(
どう
)
どすか、
143
お
前
(
まへ
)
サンの
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
ぬ
為
(
ため
)
に、
144
教祖
(
けうそ
)
さまが
有
(
あ
)
るに
有
(
あ
)
られぬ
苦労
(
くらう
)
をなされて
厶
(
ござ
)
るなり、
145
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
が
日々
(
にちにち
)
心配
(
しんぱい
)
をいたし
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
が
大変
(
たいへん
)
に
苦
(
くる
)
しんで
居
(
を
)
るぢやないか、
146
サア
早
(
はや
)
く
駿河
(
するが
)
の
稲荷
(
いなり
)
へ
帰
(
かへ
)
りなさい、
147
ここは
稲荷
(
いなり
)
のよな
下郎
(
げらう
)
の
寄
(
よ
)
る
所
(
ところ
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬぞや、
148
水晶魂
(
すゐしやうだま
)
の
誠
(
まこと
)
生粋
(
きつすゐ
)
の
身魂
(
みたま
)
斗
(
ばか
)
り
集
(
あつ
)
まつて
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
す
竜門館
(
りうもんやかた
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
で
厶
(
ござ
)
いますぞや』
149
ウンウンと
手
(
て
)
を
組
(
くん
)
で、
150
三方
(
さんぱう
)
から
鎮魂
(
ちんこん
)
をする、
151
どうにも
斯
(
こ
)
うにも
仕方
(
しかた
)
がないので、
152
会長
(
くわいちやう
)
は、
153
喜楽
(
きらく
)
『そんなら
仕方
(
しかた
)
がないから、
154
小松林
(
こまつばやし
)
は
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り、
155
いんで
了
(
しま
)
ふ、
156
そして
坤
(
ひつじさる
)
の
金神
(
こんじん
)
さまに
跡
(
あと
)
へ
這入
(
はい
)
つて
貰
(
もら
)
うて
御用
(
ごよう
)
をして
貰
(
もら
)
ひませう』
157
といふと、
158
竹造
(
たけざう
)
が、
159
中村
(
なかむら
)
『コレ
平蔵
(
へいざう
)
サン、
160
用心
(
ようじん
)
しなされや、
161
又
(
また
)
園部
(
そのべ
)
のよにだまされるかも
知
(
し
)
れませぬで。
162
悪神
(
あくがみ
)
といふ
奴
(
やつ
)
は
何処
(
どこ
)
までもしぶとい
奴
(
やつ
)
だから、
163
ウツカリしとると
馬鹿
(
ばか
)
にしられますで。
164
本当
(
ほんたう
)
に
小松林
(
こまつばやし
)
は
改心
(
かいしん
)
しとるのだない、
165
偉相
(
えらさう
)
に
笑
(
わら
)
うて
居
(
を
)
るぢやありませぬか、
166
コラ
小松林
(
こまつばやし
)
、
167
そんな
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
吐
(
ぬか
)
して、
168
会長
(
くわいちやう
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
使
(
つか
)
はうと
思
(
おも
)
つても、
169
此
(
この
)
中村
(
なかむら
)
が
承知
(
しようち
)
をせぬぞ、
170
サア
何
(
なん
)
ぞ
証拠
(
しようこ
)
を
出
(
だ
)
せ、
171
いよいよ
会長
(
くわいちやう
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
離
(
はな
)
れたといふ
事
(
こと
)
を
明
(
あきら
)
かに
示
(
しめ
)
して、
172
教祖
(
けうそ
)
にお
詫
(
わび
)
を
致
(
いた
)
さぬと、
173
どこまでも
許
(
ゆる
)
さぬのだ。
174
モウ
斯
(
こ
)
うなつた
以上
(
いじやう
)
は
三日
(
みつか
)
かかつても、
175
十日
(
とをか
)
かかつても、
176
会長
(
くわいちやう
)
の
肉体
(
にくたい
)
から
放
(
はう
)
り
出
(
だ
)
さなおかぬのだい』
177
と
四股
(
しこ
)
をふんで
雄健
(
をたけ
)
びをする、
178
千言
(
せんげん
)
万語
(
ばんご
)
を
尽
(
つく
)
して
諭
(
さと
)
せば
諭
(
さと
)
す
程
(
ほど
)
反対
(
はんたい
)
にとり、
179
どうにも、
180
かうにも
始末
(
しまつ
)
がつかぬやうになつて
来
(
き
)
た。
181
そこへ
八木
(
やぎ
)
から
福島
(
ふくしま
)
久子
(
ひさこ
)
がやつて
来
(
き
)
て、
182
教祖
(
けうそ
)
さまに
挨拶
(
あいさつ
)
をし、
183
終
(
をは
)
つて
慌
(
あは
)
ただしく
喜楽
(
きらく
)
の
前
(
まへ
)
に
来
(
きた
)
り、
184
久子
(
ひさこ
)
『
何
(
なん
)
とマア
平蔵
(
へいざう
)
サン、
185
お
筆先
(
ふでさき
)
は
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つたもので
厶
(
ござ
)
いますな。
186
とうとう
露国
(
ろこく
)
と
戦争
(
せんそう
)
が
起
(
おこ
)
つたぢやおへんか、
187
まだ
会長
(
くわいちやう
)
サンは
御
(
ご
)
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
ませぬのかい』
188
中村
(
なかむら
)
『コレはコレは
福島
(
ふくしま
)
ハンどすか、
189
よう
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた、
190
神
(
かみ
)
さまのお
筆先
(
ふでさき
)
は
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つたもんどすな、
191
こんな
御
(
ご
)
大望
(
たいまう
)
が
始
(
はじま
)
つて
居
(
を
)
るのに、
192
まだ
小松林
(
こまつばやし
)
が
頑張
(
ぐわんば
)
つて、
193
会長
(
くわいちやう
)
サンの
肉体
(
にくたい
)
を
離
(
はな
)
れぬので、
194
今
(
いま
)
皆
(
みな
)
の
役員
(
やくゐん
)
がよつて
説諭
(
せつゆ
)
をしとるのどすが、
195
中々
(
なかなか
)
ど
渋太
(
しぶと
)
うて
聞
(
き
)
いてくれませぬワ、
196
どうぞあんたも
一
(
ひと
)
つ
言
(
い
)
うてきかして
下
(
くだ
)
さいな』
197
と
福島
(
ふくしま
)
の
弁舌家
(
べんぜつか
)
に
応援
(
おうゑん
)
をさせようとかかつてゐる。
198
又
(
また
)
こんな
口
(
くち
)
喧
(
やかま
)
しい
女
(
をんな
)
にとつつかまつては
大変
(
たいへん
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
199
便所
(
べんじよ
)
へ
行
(
ゆ
)
くやうな
顔
(
かほ
)
して、
200
ソツと
裏口
(
うらぐち
)
から
飛出
(
とびだ
)
し、
201
西町
(
にしまち
)
の
大槻
(
おほつき
)
鹿造
(
しかざう
)
の
宅
(
たく
)
へ
一目散
(
いちもくさん
)
に
逃
(
にげ
)
て
行
(
い
)
つた。
202
大槻
(
おほつき
)
鹿造
(
しかざう
)
とお
米
(
よね
)
サンとの
二人
(
ふたり
)
が
喜楽
(
きらく
)
の
走
(
はし
)
つて
行
(
い
)
つたのを
見
(
み
)
て、
203
大槻
(
おほつき
)
『
会長
(
くわいちやう
)
サン、
204
又
(
また
)
喧嘩
(
けんくわ
)
が
始
(
はじ
)
まつたのかな』
205
と
笑
(
わら
)
うてゐる。
206
喜楽
(
きらく
)
『
八木
(
やぎ
)
の
福島
(
ふくしま
)
が
今
(
いま
)
やつて
来
(
き
)
よつたので、
207
うるさいから
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
たのだ』
208
といふと
大槻
(
おほつき
)
鹿造
(
しかざう
)
は、
209
大槻
(
おほつき
)
『アハヽヽ
又
(
また
)
例
(
れい
)
の
小松林
(
こまつばやし
)
サンかな、
210
まアここに
久子
(
ひさこ
)
が
八木
(
やぎ
)
へ
帰
(
かへ
)
る
迄
(
まで
)
、
211
ゆつくり
泊
(
とま
)
りなさい。
212
新宮
(
しんぐう
)
の
婆
(
ば
)
アさまも
婆
(
ば
)
アさまだ、
213
立替
(
たてかへ
)
だの
立直
(
たてなほ
)
しだのと、
214
第一
(
だいいち
)
それが
私
(
わたし
)
は
気
(
き
)
に
食
(
く
)
はぬのだ、
215
大槻
(
おほつき
)
鹿造
(
しかざう
)
は
大江山
(
おほえやま
)
の
酒呑
(
しゆてん
)
童子
(
どうじ
)
のみたまだなんて、
216
婆
(
ば
)
アさまが
吐
(
ぬ
)
かすので、
217
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
人
(
ひと
)
を
鬼
(
おに
)
扱
(
あつか
)
ひにしやがつて、
218
むかつくのむかつかぬのつて、
219
外
(
ほか
)
の
婆
(
ばば
)
アぢやつたら、
220
此
(
この
)
鹿造
(
しかざう
)
も
承知
(
しようち
)
をせぬのだけれど、
221
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
うてもお
米
(
よね
)
や
伝吉
(
でんきち
)
の
母親
(
ははおや
)
なりするもんだから、
222
辛抱
(
しんばう
)
してゐるのだ、
223
本当
(
ほんたう
)
にトボケ
人足
(
にんそく
)
計
(
ばか
)
り
集
(
あつ
)
まつたもんぢや、
224
それよりも
牛肉
(
ぎうにく
)
でもここでたいて
食
(
く
)
ひなさい、
225
何
(
いづ
)
れ
久子
(
ひさこ
)
か
平蔵
(
へいざう
)
か
中村
(
なかむら
)
が
捜
(
さが
)
しに
来
(
く
)
るに
違
(
ちがひ
)
ないから、
226
牛肉
(
ぎうにく
)
の
臭
(
にほひ
)
で
往生
(
わうじやう
)
さしてやるのも
面白
(
おもしろ
)
かろ』
227
と
幸
(
さいは
)
ひ
牛肉屋
(
ぎうにくや
)
を
開業
(
かいげふ
)
してゐるので、
228
店
(
みせ
)
から
三百目
(
さんびやくめ
)
[
※
目は匁(もんめ)の略。300匁≒1125g
]
ほど
上等
(
じやうとう
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て、
229
裏
(
うら
)
の
離
(
はな
)
れでグヅグヅと
煮
(
た
)
いて
食
(
く
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
230
そこへ
中村
(
なかむら
)
が、
231
中村
(
なかむら
)
『
大槻
(
おほつき
)
サン、
232
会長
(
くわいちやう
)
サンはもしやここへ
見
(
み
)
えては
居
(
を
)
りませぬかな』
233
と
裏口
(
うらぐち
)
の
方
(
はう
)
から
尋
(
たづ
)
ねて
居
(
を
)
る。
234
鹿造
(
しかざう
)
はチツと
耳
(
みみ
)
が
遠
(
とほ
)
いので、
235
明瞬
(
はつきり
)
分
(
わか
)
らなんだが、
236
お
米
(
よね
)
サンが、
237
お
米
(
よね
)
『
中村
(
なかむら
)
ハンか、
238
マア
這入
(
はい
)
つて
牛肉
(
ぎうにく
)
でも
食
(
く
)
ひなさい、
239
今
(
いま
)
会長
(
くわいちやう
)
に
牛肉
(
ぎうにく
)
をすすめて
食
(
く
)
はしてる
処
(
ところ
)
ぢや、
240
樫
(
かし
)
の
実
(
み
)
団子
(
だんご
)
を
食
(
く
)
つたり、
241
芋
(
いも
)
の
葉
(
は
)
のお
粥
(
かゆ
)
を
食
(
く
)
つとるより、
242
余程
(
よつぽど
)
気
(
き
)
がきいてるで、
243
ここは
大江山
(
おほえやま
)
の
酒呑
(
しゆてん
)
童子
(
どうじ
)
と
蛇
(
じや
)
との
因縁
(
いんねん
)
の
身魂
(
みたま
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
の
所
(
ところ
)
へ
鬼三郎
(
おにさぶらう
)
ハンが
来
(
き
)
て
居
(
を
)
るのだから、
244
みたま
相応
(
さうおう
)
で
牛肉
(
ぎうにく
)
を
食
(
く
)
て
居
(
を
)
るのだから、
245
お
前
(
まへ
)
もチと
鬼
(
おに
)
の
仲間入
(
なかまいり
)
したらどうぢや』
246
と
揶揄
(
からか
)
うてゐる。
247
中村
(
なかむら
)
は
鼻
(
はな
)
をつまみ
乍
(
なが
)
ら、
248
顔
(
かほ
)
しかめて
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
て、
249
中村
(
なかむら
)
『
御免
(
ごめん
)
なはれ、
250
大槻
(
おほつき
)
サン、
251
あんたは
教祖
(
けうそ
)
ハンの
御
(
ご
)
総領娘
(
そうりやうむすめ
)
を
女房
(
にようばう
)
に
持
(
も
)
つたり、
252
結構
(
けつこう
)
な
御
(
おん
)
子
(
こ
)
を
貰
(
もら
)
うて
居
(
を
)
り
乍
(
なが
)
ら
会長
(
くわいちやう
)
サンにそんな
事
(
こと
)
を
勧
(
すす
)
めて
済
(
す
)
みますか、
253
四
(
よ
)
ツ
足
(
あし
)
を
食
(
く
)
はしたり、
254
余
(
あんま
)
りぢやおへんか』
255
と
不足
(
ふそく
)
らしく
呶鳴
(
どな
)
つてゐる。
256
鹿造
(
しかざう
)
は
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
257
大槻
(
おほつき
)
『
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
一
(
いち
)
日
(
にち
)
でも
甘
(
うま
)
い
物
(
もの
)
喰
(
く
)
て、
258
好
(
す
)
きな
事
(
こと
)
をするのが
賢
(
かしこ
)
いのぢや、
259
お
前
(
まへ
)
もチと
改心
(
かいしん
)
して
牛肉
(
ぎうにく
)
でも
食
(
く
)
て、
260
元気
(
げんき
)
をつけ、
261
古物商
(
こぶつしやう
)
でもやつて
金儲
(
かねまう
)
けをし、
262
立派
(
りつぱ
)
な
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
て
甘
(
うま
)
いものでも
食
(
く
)
つたらどうだ、
263
何程
(
なにほど
)
善
(
ぜん
)
ぢや
善
(
ぜん
)
ぢやというてお
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
一人
(
ひとり
)
位
(
ぐらゐ
)
がしやちんなつても、
264
誰
(
たれ
)
も
相手
(
あひて
)
にする
者
(
もの
)
がないぞ、
265
会長
(
くわいちやう
)
サンは
流石
(
さすが
)
は
能
(
よ
)
う
分
(
わか
)
つとるワ、
266
此
(
この
)
時節
(
じせつ
)
に
四足
(
よつあし
)
の
肉
(
にく
)
が
食
(
く
)
へぬの
何
(
なん
)
のと、
267
そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
をいふ
奴
(
やつ
)
がどこにあるものか、
268
余程
(
よつぽど
)
よい
阿呆
(
あはう
)
だなア』
269
とからかひ
半分
(
はんぶん
)
に
呶鳴
(
どな
)
つてゐる。
270
お
米
(
よね
)
サンは
又
(
また
)
お
米
(
よね
)
サンで、
271
お
米
(
よね
)
『コレ
中村
(
なかむら
)
ハン、
272
お
前
(
まへ
)
は
播磨屋
(
はりまや
)
の
竹
(
たけ
)
ハンというて、
273
随分
(
ずゐぶん
)
博奕
(
ばくち
)
もうち、
274
女
(
をんな
)
も
拵
(
こしら
)
へ、
275
肉
(
にく
)
もドツサリ
食
(
く
)
た
男
(
をとこ
)
ぢやが、
276
さう
俄
(
にはか
)
に
神
(
かみ
)
さまにならうと
思
(
おも
)
うたて、
277
到底
(
たうてい
)
成
(
な
)
れはせぬぞえ、
278
あんな
新宮
(
しんぐう
)
の
気違
(
きちがひ
)
婆
(
ば
)
アさまにトボけて
居
(
を
)
らずに、
279
チト
明日
(
あす
)
から
牛肉
(
ぎうにく
)
でもかついで、
280
そこら
売
(
う
)
りに
往
(
い
)
つたら
如何
(
どう
)
だい、
281
誰
(
たれ
)
か
売
(
う
)
りにやらさうと
思
(
おも
)
うてる
処
(
ところ
)
ぢやが、
282
五
(
ご
)
円
(
ゑん
)
がとこ
売
(
う
)
つて
来
(
く
)
ると
一
(
いち
)
円
(
ゑん
)
位
(
ぐらゐ
)
儲
(
まう
)
かるから、
283
そしたらどうだな』
284
と
厭
(
いや
)
がるのを
知
(
し
)
りつつ
態
(
わざ
)
とにからかうてゐる。
285
中村
(
なかむら
)
は
蒼白
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
になり、
286
中村
(
なかむら
)
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
会長
(
くわいちやう
)
サンを
返
(
かへ
)
して
下
(
くだ
)
され、
287
大本
(
おほもと
)
の
御用
(
ごよう
)
をなさる
因縁
(
いんねん
)
の
身魂
(
みたま
)
だから、
288
こんな
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
ふと、
289
だんだんに
身魂
(
みたま
)
が
曇
(
くも
)
つて
仕方
(
しかた
)
がないと
教祖
(
けうそ
)
さまが
仰有
(
おつしや
)
りました、
290
サア
会長
(
くわいちやう
)
サン
早
(
はや
)
う
去
(
い
)
にませう』
291
と
引張
(
ひつぱ
)
らうとする。
292
会長
(
くわいちやう
)
は、
293
喜楽
(
きらく
)
『コレ
中村
(
なかむら
)
はん、
294
最前
(
さいぜん
)
から
牛肉
(
ぎうにく
)
を
三百目
(
さんびやくめ
)
かけて
貰
(
もら
)
うて
一人
(
ひとり
)
で
食
(
く
)
つて
了
(
しま
)
うた、
295
これは
小松林
(
こまつばやし
)
が
食
(
く
)
たのだから、
296
これから
坤
(
ひつじさる
)
の
金神
(
こんじん
)
さまに
三百目
(
さんびやくめ
)
程
(
ほど
)
お
供
(
そな
)
へしてから
帰
(
い
)
ぬから、
297
教祖
(
けうそ
)
ハンや、
298
お
久
(
ひさ
)
ハンや、
299
平蔵
(
へいざう
)
サンに
宜
(
よろ
)
しうというといてくれ』
300
とワザとに
劫腹
(
ごうはら
)
が
立
(
た
)
つので、
301
からかうてみると
中村
(
なかむら
)
は
躍気
(
やくき
)
となり、
302
中村
(
なかむら
)
『どうも
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
といふものは
仕方
(
しかた
)
のないもんぢやな、
303
悪
(
あく
)
の
霊
(
れい
)
の
所
(
ところ
)
へはヤツパリ
悪
(
あく
)
がよりたがると
見
(
み
)
えます』
304
といふのを
聞咎
(
ききとが
)
めて、
305
鹿造
(
しかざう
)
は、
306
大槻
(
おほつき
)
『コレ
中村
(
なかむら
)
、
307
おれを
鬼
(
おに
)
とは
何
(
なん
)
だ、
308
貴様
(
きさま
)
に
三文
(
さんもん
)
も
損
(
そん
)
をかけた
事
(
こと
)
もなし、
309
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
に
悪
(
あく
)
といはれる
筋
(
すぢ
)
があるか』
310
といふより
早
(
はや
)
く、
311
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つポカポカと
拳骨
(
げんこつ
)
をくれた。
312
中村
(
なかむら
)
は、
313
中村
(
なかむら
)
『ナアに
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の、
314
おれは
身魂
(
みたま
)
だから、
315
酒呑
(
しゆてん
)
童子
(
どうじ
)
の
霊
(
れい
)
位
(
ぐらゐ
)
に
恐
(
おそ
)
れるものか』
316
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
らスタスタと
新宮
(
しんぐう
)
さして
帰
(
かへ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
317
さうかうして
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
へ、
318
園部
(
そのべ
)
の
浅井
(
あさゐ
)
みのといふ
支部長
(
しぶちやう
)
がやつて
来
(
き
)
て、
319
それから
此処
(
ここ
)
にグヅグヅして
居
(
を
)
つては
又
(
また
)
うるさいといふので、
320
お
米
(
よね
)
サンに
何事
(
なにごと
)
も
頼
(
たの
)
んでおき、
321
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
頃
(
ごろ
)
から、
322
園部
(
そのべ
)
へ
行
(
い
)
つて
隠
(
かく
)
れて
布教
(
ふけう
)
することになつた。
323
(
大正一一・一〇・一八
旧八・二八
松村真澄
録)
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