霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 婚(とつ)ぎの御歌(みうた)〔一八四一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻 篇:第1篇 紫微天界 よみ(新仮名遣い):しびてんかい
章:第10章 婚ぎの御歌 よみ(新仮名遣い):とつぎのみうた 通し章番号:1841
口述日:1933(昭和8)年10月10日(旧08月21日) 口述場所:水明閣 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1933(昭和8)年11月22日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
太元顕津男の神は高野比女の神を正妃と定め、祝詞を奏し、主の大神の神業の達成を誓った。その祝詞中には、世界最初のいろは歌が歌われていた。
次に、高野比女は婚ぎの神祝言を歌った。その中には天之数歌が含まれていた。
婚ぎの祝に集まった神は、遠津御幸の神、片照の神、魂之男の神、日之本(すのもと)の神以下、十六柱であった。そのうち、遠津御幸の神が祝の歌を歌った。
註として、太元顕津男の神の最初のいろは歌の言霊解が示されている。いろは歌の元は、紫微宮の昔に由来し、空海はそれをもとに平仮名文字を作り出した。いろは歌の各言霊は婚ぎのさまざまな局面をあらわしてはいるが、それのみではなく、宇宙万有一切の発生の真理を歌ったものである。
また、高野比女が歌った天之数歌も注解されている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:天の数歌 データ凡例: データ最終更新日:2022-02-01 04:08:47 文字数:3049 OBC :rm7310
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 47頁 修補版: 校定版:58頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)は主(ス)の大神(おほかみ)の大神言(おほみこと)を畏(かしこ)み、002非時(ときじく)の香具(かぐ)の木(こ)の実(み)に生(な)りませる高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)を正妃(せいひ)と定(さだ)めて、003茲(ここ)に依(よ)さしの神業(みわざ)を大神(おほかみ)の御前(みまへ)に執行(とりおこな)はせ給(たま)ひ、004八百万(やほよろづ)の祭司神(まつりつかさがみ)を率(ひき)ゐて厳(おごそ)かなる祝詞(のりと)を奏(そう)し給(たま)ひ、005天之(あめの)御柱(みはしら)、006国之(くにの)御柱(みはしら)を見立(みた)て給(たま)ひて、007男神(をがみ)は左(ひだり)より、008女神(めがみ)は右(みぎり)より御柱(みはしら)を廻(めぐ)り、009再(ふたた)び神前(みまへ)に太祝詞(ふとのりと)白(まを)し給(たま)はく、
010『掛巻(かけまく)も綾(あや)に尊(たふと)き久方(ひさかた)の貴(うづ)の宮居(みやゐ)に鎮(しづ)まり給(たま)ふ主(ス)の大神(おほかみ)の御前(みまへ)に慎(つつし)み敬(ゐやま)ひ願白(ねぎまを)さく。011久方(ひさかた)の高天原(たかあまはら)は澄(す)みきらひ、012此(これ)の紫微(しび)天界(てんかい)の国々(くにぐに)は清(きよ)く清(すが)しく、013五穀(たなつもの)は豊(ゆた)かに実(みの)り木(こ)の実(み)は枝(えだ)もたわわに熟(じゆく)しつつ、014神(かみ)の依(よ)さしの神国(みくに)は今(いま)目(ま)のあたり𪫧怜(うまら)に委曲(つばら)に生(あ)れましぬ。015嗚呼(ああ)惟神(かむながら)々々(かむながら)神(かみ)の尊(たふと)き御恵(みめぐみ)に、016今日(けふ)の良(よ)き日(ひ)の良(よ)き辰(とき)を婚(とつ)ぎの綱(つな)と定(さだ)めつつ、017高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)を妻(つま)となし世(よ)を治(をさ)めよと神(かみ)の宣(の)らすこそ実(げ)にも尊(たふと)き限(かぎ)りなれ。018吾(われ)は之(これ)より主(ス)の神(かみ)の大神(おほみ)言葉(ことば)を身(み)に受(う)けて、019天(あめ)の壁立極(かべたつきは)み国(くに)の退立限(そぎたつかぎ)り、020清(きよ)き正(ただ)しき天津誠(あまつまこと)の心以(こころも)てあらゆる神(かみ)を撫(な)で慈(いつく)しみ、021荒振(あらぶる)神(かみ)を言向和(ことむけやは)し大神言(おほみこと)に仕(つか)へ奉(まつ)らむとす。022仰(あふ)ぎ願(ねが)はくは主(ス)の大神(おほかみ)の御稜威(みいづ)を蒙(かか)ぶりて、023御依(みよ)さしの神業(みわざ)を生(な)り遂(と)げさせ給(たま)へ、024いろはにほへとちりぬるを、025わかよたれそつねならむ、026うゐのおくやまけふこえて、027あさきゆめみしゑひもせす、028けふの良(よ)き日(ひ)を微日(ひみ)の間(ま)も、029忘(わす)るる事(こと)なく何時迄(いつまで)も、030誠(まこと)の心(こころ)を経(たて)となし、031愛(あい)と善(ぜん)との真心(まごころ)を緯(よこ)に織(おり)なし、032御機(みはた)の糸(いと)の縺(もつ)れなく、033乱(みだ)れもあらに神(かみ)の世(よ)の大御(おほみ)経綸(しぐみ)に仕(つか)へ奉(まつ)らむ。034上(かみ)は主(ス)の大御神(おほみかみ)より下(しも)百神(ももがみ)の端(はて)までも、035吾(わが)真心(まごころ)を誓(ちか)ひ奉(まつ)り仕(つか)へ奉(まつ)る事(こと)の由(よし)を、036主(ス)の大神(おほかみ)を初(はじ)めとし、037八百万(やほよろづ)の神(かみ)平(たひら)けく安(やすら)けく聞召(きこしめ)さへと宣(の)る』
038 ここに高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)は、039婚(とつ)ぎの神祝言(かむほぎごと)を声(こゑ)朗(ほが)らかに宇宙(うちう)に響(ひび)けと謡(うた)ひ給(たま)ふ。040その御(おん)歌(うた)、
041『久方(ひさかた)の空(そら)に雲(くも)なくスの水火(いき)は
042澄(す)み切(き)り澄(す)みきらひて神国(みくに)を照(てら)す
043大太陽(あまつひ)は宇宙(うちう)のあらむ限(かぎ)りまで
044稜威(みいづ)を伊照(いてら)し給(たま)ひて日々(ひび)に栄行(さかゆ)く
045神国(かみくに)の此(こ)の瑞祥(ずゐしやう)ぞ畏(かしこ)けれ
046一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(や)九(ここの)十(たり)
047百千万(ももちよろづ)の神(かみ)達(たち)に
048わが神業(かむわざ)を守(まも)られて
049主(ス)の大神(おほかみ)の大御心(おほみこころ)に
050報(むく)い奉(まつ)らむ高野(たかの)比女(ひめ)の真心(まごころ)を
051諾(うべな)ひませよ吾(われ)はしも女神(めがみ)の身(み)にしあれど
052主(ス)の大神(おほかみ)の稜威(みいづ)と御光(みひかり)を頸(うなじ)に受(う)けて
053吾(わが)夫(つま)の神(かみ)と諸共(もろとも)に
054心(こころ)を合(あは)せ力(ちから)を一(いつ)に結(むす)び合(あは)せ
055浜(はま)の真砂(まさご)の数(かず)の如(ごと)
056貴(うづ)の御子(みこ)をば生(う)み生(う)みて
057普(あまね)く世界(せかい)に分(くま)り配(くば)り
058大経綸(おほみしぐみ)の神業(かむわざ)に
059仕(つか)へ奉(まつ)るぞ嬉(うれ)しけれ
060嗚呼(ああ)惟神(かむながら)々々(かむながら)
061顕津男(あきつを)の神(かみ)比古神(ひこがみ)は
062妾(わらは)の弱(よわ)き魂(たましひ)を
063貴(うづ)の力(ちから)にみなぎらせ
064神(かみ)の依(よ)さしの神業(かむわざ)を
065𪫧怜(うまら)に委曲(つばら)に仕(つか)へませ
066一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(や)九(ここの)十(たり)百(もも)千(ち)万(よろづ)と
067祝(いは)ひ納(をさ)むる今日(けふ)の良(よ)き日(ひ)ぞ畏(かしこ)けれ』
068 今日(けふ)の婚(とつ)ぎの神祝(かむほぎ)に伊寄(いよ)り集(つど)ひし神々(かみがみ)は、069遠津(とほつ)御幸(みゆき)の神(かみ)、070片照(かたてる)の神(かみ)、071魂之男(たまのを)の神(かみ)、072日之本(すのもと)の神(かみ)以下(いか)十六柱(じふろくはしら)におはせり。
073 遠津(とほつ)御幸(みゆき)の神(かみ)は千万(せんまん)里(り)の遠(とほ)きを厭(いと)はず、074天(あめ)の浮橋(うきはし)を打渡(うちわた)りつつ真先(まつさき)に此(これ)の宴席(うたげ)に集(つど)ひ玉(たま)ひけり。075遠津(とほつ)御幸(みゆき)の神(かみ)は祝(しゆく)し給(たま)ふ。076其(そ)の御(おん)歌(うた)、
077『天(あめ)なるや主(ス)の大神(おほかみ)の大宮(おほみや)に
078非時(ときじく)実(みの)る香具(かぐ)の木(こ)の実(み)と生(あ)れまして
079高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)は西南(せいなん)の天(あめ)より此所(ここ)に降(くだ)ります
080太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)の女(め)と定(さだ)まりて
081厳(おごそ)かに天(あめ)の御柱(みはしら)廻(めぐ)り合(あ)ひ
082国(くに)の御柱(みはしら)固(かた)めつつ
083高天原(たかあまはら)の花(はな)となり
084諸神(ももかみ)の上(うへ)に望(のぞ)ませ給(たま)ふぞ尊(たふと)けれ
085吾(われ)は主(ス)の大御神(おほみかみ)の神言(みこと)畏(かしこ)み
086西(にし)東(ひがし)南(みなみ)や北(きた)とかけ廻(めぐ)り
087近(ちか)き遠(とほ)きの差別(けぢめ)なく
088神国(みくに)を教(をし)へ道(みち)布(し)きつ
089神業(みわざ)に仕(つか)へる神柱(かむばしら)
090今日(けふ)の寿(ことほ)ぎ見(み)るにつけ
091神(かみ)の経綸(しぐみ)の果(は)てしなく
092清(きよ)く尊(たふと)き神業(かむわざ)を
093愈(いよいよ)深(ふか)く覚(さと)りけり
094西(にし)の宮居(みやゐ)は天(あめ)の道立(みちたつ)の神(かみ)
095東(ひがし)の宮(みや)には太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)
096各(おの)も各(おの)もに領有(うしは)ぎ給(たま)ふ
097此(これ)の神国(みくに)はいろはの水火(いき)も澄(す)みきらひ
098濁(にご)らひも無(な)く曇(くも)りなし
099大太陽(あまつひ)は中天(なかぞら)に
100輝(かがや)き給(たま)ひ七色(なないろ)の
101光彩(くわうさい)を放(はな)たせ給(たま)ひつ
102紫微(しび)天界(てんかい)は弥益(いやます)も
103光(ひか)り輝(かがや)き渡(わた)らひつ
104百(もも)の神々(かみがみ)勇(いさ)み立(た)ち
105今日(けふ)の御式(みのり)に馳(は)せ寄(よ)りて
106例(ためし)も知(し)らぬ喜(よろこ)びに
107逢(あ)ふぞ嬉(うれ)しき此(こ)の神前(みまへ)
108千代(ちよ)に八千代(やちよ)に寿(ほ)ぎ奉(まつ)る
109嗚呼(ああ)惟神(かむながら)神霊(みたま)幸(さちは)ひ坐(まし)ませよ』
110註(ちう)
 
111『いろはにほへとちりぬるを』と顕津男(あきつを)の神(かみ)の詠(よ)みし言霊(ことたま)を解(かい)し奉(まつ)れば、
112いは水(みづ)と火(ひ)の並(なら)びたる象徴(しやうちよう)也(なり)、113右(みぎ)は水(みづ)、114左(ひだり)は火(ひ)。
115ろは水(みづ)と火(ひ)の固(かた)まりて水火(いき)となり、116宇宙(うちう)に開(ひら)く言霊(ことたま)を、117はといふ。
118言霊(ことたま)宇宙(うちう)に開(ひら)きて前後(ぜんご)左右(さいう)に活用(はたら)く象(かたち)は、119に也(なり)。
120此(こ)の活動(はたらき)によりて一(ひと)つのヽ(ほち)現(あら)はる、121即(すなは)ち、122ほの言霊(ことたま)也(なり)。
123ほは次第(しだい)に高(たか)く昇(のぼ)り膨(ふく)れ拡(ひろ)がる態(さま)を、124へといふ。
125との言霊(ことたま)は水火(いき)の完成(くわんせい)したる言霊(ことたま)也(なり)。
126水火(いき)完成(くわんせい)して宇宙(うちう)に滋味(じみ)を生(しやう)ず、127之(これ)をちといふ。128ちは子(こ)を育(そだ)つる母乳(ぼにう)の意(い)也(なり)。129又(また)万物(ばんぶつ)発生(はつせい)の経綸場(けいりんぢやう)たる大地(だいち)の意(い)也(なり)。
130りの言霊(ことたま)は女男(めを)二神(にしん)水火(いき)を合(あは)せて並(なら)び立(た)たせる言霊(ことたま)也(なり)。
131ぬの言霊(ことたま)は互(たがひ)に和(やは)らぎ寝(ぬる)み温(あたた)かき心(こころ)を以(もつ)て神業(みわざ)に尽(つく)す水火(いき)の象(かたち)也(なり)。
132るは夫婦(ふうふ)の道(みち)又(また)は天界(てんかい)の総(すべ)ての定(さだ)まりし言霊(ことたま)也(なり)。
133をは心(こころ)也(なり)。
134わは和(やは)らぎ睦(むつ)み御子(みこ)を生(う)み給(たま)ふ態(さま)を言(い)ふ也(なり)。
135かは抱(かか)へ合(あ)ひ、136輝(かがや)き合(あ)ふ意(い)にして、137俗言(ぞくげん)に嬶(かか)といふも此(こ)の言霊(ことたま)の意(い)也(なり)。
138よは夫婦(ふうふ)二神(にしん)世帯(しよたい)を持(も)てる象(かたち)也(なり)。
139たは円満(ゑんまん)具足(ぐそく)の意(い)也(なり)。
140れは夫唱(ふしやう)婦随(ふずゐ)の意(い)也(なり)。
141そは上下(じやうげ)四方(しはう)揃(そろ)ふ意(い)也(なり)。142左右(さいう)の指(ゆび)の五本(ごほん)と五本(ごほん)と合(あは)せて拍手(はくしゆ)せし態(さま)也(なり)。
143つは永久(えいきう)に続(つづ)く意(い)にして世人(せじん)のいふ玉椿(たまつばき)の八千代(やちよ)までといふも同(おな)じ。
144ねは懇(ねもごろ)にして夫婦(ふうふ)同衾(どうきん)の意(い)也(なり)。
145なは二人(ふたり)並(なら)ばし寝給(ねたま)ふ象(かたち)也(なり)。
146らは左旋(させん)右旋(うせん)の意(い)にして婚(とつ)ぎの時(とき)の態(さま)をいふ。
147むは蒸(む)し蒸(む)して生(む)し蒸生(わか)し息子(むすこ)娘(むすめ)を生(う)むの意(い)也(なり)。
148うは潤(うるほ)ひの意(い)、149又(また)天消(てんせう)地滅(ちめつ)的(てき)場合(ばあひ)に発(はつ)す言霊(ことたま)也(なり)。
150ゐは快感(くわいかん)の極度(きよくど)に達(たつ)したる時(とき)の意(い)也(なり)。
151のは一物(いちぶつ)より迸(ほとばし)る水気(すゐき)の意(い)也(なり)。
152おは穏(おだや)かに修(をさ)まりし心(こころ)。
153くは夫婦(ふうふ)組合(くみあ)ひたる象(かたち)。
154やは弥益々(いやますます)の意(い)。
155まは誠(まこと)の心(こころ)を以(も)ちて幾万(いくまん)年(ねん)も夫婦(ふうふ)の道(みち)を守(まも)らむとの意(い)也(なり)。
156けは身(み)の汚(けが)れの意(い)也(なり)。
157ふは吹払(ふきはら)ふ言霊(ことたま)にして男女(だんぢよ)の汚(けが)れを吹(ふ)き払(はら)ふの意(い)也(なり)。
158こは子(こ)にして、
159えは胞衣(えな)也(なり)。
160ては照(て)り輝(かがや)く意(い)にして、161暗夜(あんや)の神業(みわざ)も終局(しうきよく)の時(とき)火(ひ)を照(てら)す意味(いみ)也(なり)。
162あは暗室(あんしつ)に点(てん)じたる火(ひ)によりて一切(いつさい)のもの現(あらは)れる意(い)也(なり)。
163さは避(さ)くる意(い)にして男神(をがみ)は女神(めがみ)の面(おも)を見(み)る事(こと)を避(さ)け、164又(また)女神(めがみ)は男神(をがみ)の面(おも)を見(み)る事(こと)を恥(はぢ)らひ避(さ)くる事(こと)の意(い)也(なり)。
165きは気(き)の高(たか)ぶりて心(こころ)いそいそする意(い)也(なり)。
166ゆは豊(ゆた)かの意(い)にして仲(なか)の好(よ)くなりし言霊(ことたま)。
167めは木(き)の芽(め)を吹(ふ)き出(だ)す如(ごと)く御子(みこ)の種(たね)宿(やど)り始(はじ)めたる意(い)。
168みは弥々(いよいよ)胎児(たいじ)となりし言霊(ことたま)也(なり)。
169しはしつくりの意(い)にして、170茲(ここ)に愈(いよいよ)夫婦(ふうふ)らしく初(はじ)めて落(お)ち着(つ)けるの言霊(ことたま)也(なり)。
171ゑは歓(ゑら)ぎ喜(よろこ)ぶ意(い)にして、172御子(みこ)の生(うま)れたるを見(み)て互(たがひ)に笑(ゑ)み栄(さか)えるの言霊(ことたま)也(なり)。
173ひは日子(ひこ)日女(ひめ)の意(い)也(なり)。
174もは催合(もや)ふ意(い)にして、175一家(いつか)和合(わがふ)の言霊(ことたま)也(なり)。
176せは川(かは)の瀬(せ)の意(い)にして、177夫婦(ふうふ)の仲(なか)に一点(いつてん)の邪曲(わだかまり)もなく清(きよ)らかなる態(さま)の言霊(ことたま)也(なり)。
178すはいよいよ澄(す)みきりて親子(おやこ)睦(むつま)じく世(よ)に住(す)む言霊(ことたま)也(なり)。
179あなかしこ。
180 世(よ)には此(こ)のいろは歌(うた)を以(もつ)て僧(そう)空海(くうかい)の作(つく)りたるものと信(しん)ずるものあれども誤(あやま)りなり。181いろは歌(うた)は天極(てんきよく)紫微宮(しびきう)の昔(むかし)、182太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)の言霊(ことたま)より鳴(な)り出(い)でし神歌(しんか)にして、183空海(くうかい)は只(ただ)平易(へいい)簡単(かんたん)に文字(もじ)に現(あらは)さむとして平仮名(ひらがな)文字(もじ)を作(つく)り出(だ)したるものなり。184故(ゆゑ)にいろは歌(うた)は空海(くうかい)の詠(よ)みしものにあらざることを知(し)るべし。185すべていろは歌(うた)は婚(とつ)ぎの意味(いみ)のみに非(あら)ず、186宇宙(うちう)万有(ばんいう)一切(いつさい)発生(はつせい)の真理(しんり)を謡(うた)へるものなり。
187 高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)の祝歌(しゆくか)の註(ちう)。
188 高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)が婚(とつ)ぎの御宴(ぎよえん)に際(さい)し言挙(ことあ)げ給(たま)ひたる一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)の歌(うた)、
189 一(ひと)は霊(れい)也(なり)、190火(ひ)也(なり)、191日(ひ)也(なり)。
192 二(ふた)は力(ちから)也(なり)、193吹(ふ)く呼吸(いき)也(なり)。
194 三(み)は体(たい)也(なり)、195元素(げんそ)也(なり)。
196 四(よ)は世界(せかい)の世(よ)也(なり)。
197 五(いつ)は出(いづ)る也(なり)。
198 六(むゆ)は燃(むゆ)る也(なり)。
199 七(なな)は地(ち)成(な)る也(なり)。
200 八(や)は弥々(いよいよ)益々(ますます)の意(い)也(なり)。
201 九(ここの)は凝(こ)り固(かたま)るの意(い)也(なり)。
202 十(たり)は完成(くわんせい)の意(い)也(なり)。
203 百(もも)は諸々(もろもろ)の意(い)也(なり)。
204 千(ち)は光(ひかり)也(なり)、205血汐(ちしほ)の血(ち)也(なり)。
206 万(よろづ)は夜(よ)出(いづ)るの意(い)也(なり)。
207 之(これ)を大括(たいくわつ)して略解(りやくかい)すれば、208霊力体(れいりよくたい)によつて世(よ)が発生(はつせい)し、209水火(すゐくわ)の呼吸(いき)燃(も)え上(あが)り、210初(はじ)めて地(ち)成(な)り、211弥々(いよいよ)益々(ますます)水火(すゐくわ)の気(き)凝(こ)り固(かたま)りて完全(くわんぜん)無欠(むけつ)の宇宙(うちう)天界(てんかい)は完成(くわんせい)され、212諸々(もろもろ)の地(ち)の光(ひかり)は暗夜(あんや)に出現(しゆつげん)して総(すべ)てのものの目(め)に入(い)るといふ言霊(ことたま)にして、213造化(ざうくわ)三神(さんしん)の神徳(しんとく)を称(たた)へ奉(まつ)り、214其(そ)の徳(とく)にあやかりて紫微(しび)天界(てんかい)を修理(しうり)固成(こせい)し、215諸神(しよしん)安住(あんぢう)の清所(すがど)に照(てら)さむとの意(い)を謳(うた)ひ給(たま)ひしものと知(し)るべし。
216(昭和八・一〇・一〇 旧八・二一 於水明閣 森良仁謹録)
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