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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第73巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 紫微天界
第1章 天之峯火夫の神
第2章 高天原
第3章 天之高火男の神
第4章 ⦿の神声
第5章 言幸比古の神
第6章 言幸比女の神
第7章 太祓
第8章 国生み神生みの段
第9章 香具の木の実
第10章 婚ぎの御歌
第11章 紫微の宮司
第12章 水火の活動
第13章 神の述懐歌(一)
第14章 神の述懐歌(二)
第2篇 高照神風
第15章 国生みの旅
第16章 八洲の河
第17章 駒の嘶き
第18章 佐田の辻
第19章 高日の宮
第20章 廻り逢ひ
第21章 禊の段
第22章 御子生みの段
第23章 中の高滝
第24章 天国の旅
第25章 言霊の滝
第3篇 東雲神国
第26章 主神の降臨
第27章 神秘の扉
第28章 心内大蛇
第29章 無花果
第30章 日向の河波
第31章 夕暮の館
第32章 玉泉の月
第33章 四馬の遠乗
第34章 国魂の発生
第35章 四鳥の別れ
第36章 荒野の駿馬
第37章 玉手の清宮
余白歌
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(B)
(N)
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第二四章
天国
(
てんごく
)
の
旅
(
たび
)
〔一八五五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
篇:
第2篇 高照神風
よみ(新仮名遣い):
たかてるしんぷう
章:
第24章 天国の旅
よみ(新仮名遣い):
てんごくのたび
通し章番号:
1855
口述日:
1933(昭和8)年10月16日(旧08月27日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1933(昭和8)年11月22日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
眼知男の神は太元顕津男の神に一部始終を復命する。顕津男の神は、このことは主の神言によって事前に知っており、比女神は美玉姫の命を産んで神業を果たし、主の神の元に帰ったと歌い、眼知男の神を慰める。
続いて、滝の大蛇を言向けて、天界の災いを払わずにはおれない、と決意をあらわにする。
顕津男の神、大物主の神、眼知男の神が奥殿深く入っていくと、そこにはすでに御霊代が祭壇の上に納められていた。顕津男の神はあらかじめ主の神にこの遭難を知らされていたのである。
眼知男の神、大物主の神は、何事も主の神の定めとして過去を嘆かず、如衣比女の神の冥福を祈り、美玉姫の命に仕えていく心を歌う。顕津男の神も、弔いの歌を歌う。
神々は如衣比女の神の昇天を聞いて駆けつけ、各々弔いの歌を歌った。
最後に真澄の神は、滝の大蛇の言向けを提唱した。神々はみな一同賛成し、中津滝に向かって
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7324
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 94頁
修補版:
校定版:
234頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
眼知男
(
まなこしりを
)
の
神
(
かみ
)
は
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
見
(
み
)
て
驚
(
おどろ
)
き
且
(
か
)
つ
歎
(
なげ
)
きつつ、
002
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
の
神司
(
かむつかさ
)
、
003
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
に
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
を
報
(
はう
)
ぜむと、
004
猿
(
さる
)
も
通
(
かよ
)
はぬ
巌壁
(
がんぺき
)
や
岩
(
いは
)
の
根
(
ね
)
樹
(
き
)
の
根
(
ね
)
をふみさくみつつ、
005
辛
(
から
)
うじて
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
に
帰
(
かへ
)
りつき、
006
轟
(
とどろ
)
く
胸
(
むね
)
をおさへ
乍
(
なが
)
ら
落着
(
おちつ
)
かむとして
落着
(
おちつ
)
かず、
007
宮
(
みや
)
の
広庭
(
ひろには
)
に
呆然
(
ばうぜん
)
として
立
(
た
)
ち
給
(
たま
)
ひ、
008
天
(
てん
)
を
拝
(
はい
)
し
地
(
ち
)
を
拝
(
はい
)
し、
009
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
る
折
(
をり
)
もあれ、
010
大物主
(
おほものぬし
)
の
神
(
かみ
)
を
従
(
したが
)
へて、
011
悠々
(
いういう
)
と
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
御殿
(
ごてん
)
の
階段
(
きざはし
)
を
降
(
お
)
り
給
(
たま
)
ひ、
012
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
の
呆然
(
ばうぜん
)
たる
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
013
『
汝
(
なれ
)
こそは
眼知男
(
まなこしりを
)
の
神
(
かみ
)
なれや
014
黙
(
もだ
)
して
立
(
た
)
たすさまのあやしも』
015
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
は
初
(
はじ
)
めて
此
(
こ
)
の
御歌
(
みうた
)
に
心
(
こころ
)
づき、
016
『
復言
(
かへりごと
)
申
(
まを
)
さむ
術
(
すべ
)
なき
今日
(
けふ
)
の
吾
(
われ
)
を
017
おもひて
天
(
てん
)
に
祈
(
いの
)
りてしはや
018
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
は
滔々
(
たうたう
)
落
(
お
)
つる
中滝
(
なかたき
)
の
019
滝壺
(
たきつぼ
)
ふかくかくれましけり
020
滝壺
(
たきつぼ
)
にひそみて
住
(
す
)
める
大蛇神
(
をろちがみ
)
は
021
比女
(
ひめ
)
の
神言
(
みこと
)
を
呑
(
の
)
みてかくれぬ
022
言霊
(
ことたま
)
の
力
(
ちから
)
に
救
(
すく
)
ひ
奉
(
まつ
)
らむと
023
吾
(
わ
)
がねがひさへ
水泡
(
みなわ
)
となりぬる
024
如何
(
いか
)
にして
此
(
こ
)
の
有様
(
ありさま
)
を
申
(
まを
)
さむかと
025
われは
汀
(
みぎは
)
にたたずみ
居
(
ゐ
)
しはや』
026
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
として、
027
色
(
いろ
)
をも
変
(
へん
)
じ
給
(
たま
)
はず、
028
御歌
(
みうた
)
うたはせ
給
(
たま
)
ふ。
029
『
比女神
(
ひめがみ
)
の
今
(
いま
)
の
歎
(
なげ
)
きはかねてより
030
我
(
われ
)
はさとれり
主
(
ス
)
の
神言
(
みこと
)
もて
031
美玉姫
(
みたまひめ
)
の
命
(
みこと
)
を
安
(
やす
)
く
産
(
う
)
みおきて
032
天
(
あめ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
に
昇
(
のぼ
)
りし
比女神
(
ひめがみ
)
033
比女神
(
ひめがみ
)
の
高
(
たか
)
き
功
(
いさを
)
に
報
(
むく
)
いむと
034
我
(
われ
)
は
御霊
(
みたま
)
を
祀
(
まつ
)
りて
待
(
ま
)
ちぬ
035
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
のみ
業
(
わざ
)
なれば
036
泣
(
な
)
くも
悔
(
くや
)
むも
詮
(
せん
)
なかるべし
037
神業
(
かむわざ
)
を
全
(
また
)
く
終
(
をは
)
りて
御子
(
みこ
)
を
産
(
う
)
み
038
天
(
あめ
)
に
昇
(
のぼ
)
りし
比女
(
ひめ
)
ぞ
尊
(
たふと
)
し
039
さり
乍
(
なが
)
ら
滝
(
たき
)
の
大蛇
(
をろち
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
040
この
天界
(
てんかい
)
の
禍
(
わざ
)
を
祓
(
はら
)
はむ』
041
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
はこの
御歌
(
みうた
)
に、
042
はつと
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
しながら、
043
『
広
(
ひろ
)
きあつき
岐美
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
に
宣直
(
のりなほ
)
し
044
見直
(
みなほ
)
しますぞ
嬉
(
うれ
)
しかりけり
045
比女神
(
ひめがみ
)
のみ
供
(
とも
)
に
仕
(
つか
)
へただ
一人
(
ひとり
)
046
かへらむつらさ
苦
(
くる
)
しさにをり
047
比女神
(
ひめがみ
)
の
隠
(
かく
)
れまししを
目
(
ま
)
のあたり
048
打
(
う
)
ち
仰
(
あふ
)
ぎつつ
心
(
こころ
)
みだれぬ
049
八千尋
(
やちひろ
)
の
水底
(
みなそこ
)
ふかく
隠
(
かく
)
れましし
050
比女
(
ひめ
)
の
神言
(
みこと
)
の
悩
(
なや
)
みかしこし
051
今日
(
けふ
)
よりは
女神
(
めがみ
)
いまさず
如何
(
いか
)
にして
052
国
(
くに
)
つくらすとおもひわづらふ』
053
大物主
(
おほものぬし
)
の
神
(
かみ
)
は
両神
(
りやうしん
)
の
仲
(
なか
)
に
立
(
た
)
ちて、
054
涙
(
なみだ
)
ぐみつつ
声低
(
こゑひく
)
に
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
055
『
比古神
(
ひこがみ
)
の
今日
(
けふ
)
の
心
(
こころ
)
の
苦
(
くる
)
しさを
056
おもひて
吾
(
われ
)
は
涙
(
なみだ
)
にくるる
057
貴御子
(
うづみこ
)
と
夫神
(
をがみ
)
を
遺
(
のこ
)
し
神去
(
かむさ
)
りし
058
比女
(
ひめ
)
の
神言
(
みこと
)
の
心
(
こころ
)
しのばゆ
059
如何
(
いか
)
にして
御子
(
みこ
)
を
育
(
はごく
)
み
奉
(
まつ
)
らむと
060
大物主
(
おほものぬし
)
のこころなやまし
061
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
の
心遣
(
こころづか
)
ひを
聞
(
き
)
く
身
(
み
)
には
062
ふたたび
涙
(
なみだ
)
あらたなりけり
063
わが
涙
(
なみだ
)
天
(
あめ
)
に
昇
(
のぼ
)
りて
雲
(
くも
)
となり
064
地
(
つち
)
に
降
(
くだ
)
りて
雨
(
あめ
)
となるらむ』
065
斯
(
か
)
く
謡
(
うた
)
ひて
両眼
(
りやうがん
)
の
涙
(
なみだ
)
をスーと
拭
(
ぬぐ
)
はせ
給
(
たま
)
ひぬ。
066
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
も
亦
(
また
)
悄然
(
せうぜん
)
として
再
(
ふたた
)
び
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
067
『
二柱
(
ふたはしら
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
068
吾
(
われ
)
は
言
(
い
)
ふべき
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
もなし
069
如何
(
いか
)
にせむ
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
御使
(
みつかひ
)
の
070
吾
(
われ
)
は
女神
(
めがみ
)
を
見捨
(
みす
)
ててかへりし
071
この
上
(
うへ
)
は
滝
(
たき
)
の
大蛇
(
をろち
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
072
み
代
(
よ
)
の
禍
(
わざはひ
)
はらはむとおもふ』
073
斯
(
か
)
く
謡
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
074
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
は
奥殿
(
おくでん
)
深
(
ふか
)
く
入
(
い
)
らせ
給
(
たま
)
ひ、
075
祭壇
(
さいだん
)
の
前
(
まへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
して、
076
生言霊
(
いくことたま
)
の
神言
(
かむごと
)
を
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ふ。
077
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
比女
(
ひめ
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
神命
(
しんめい
)
に
依
(
よ
)
りて
前知
(
ぜんち
)
し、
078
早
(
はや
)
くも
御霊代
(
みたましろ
)
を
造
(
つく
)
りて
祓
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
め、
079
祭壇
(
さいだん
)
の
上
(
うへ
)
に
納
(
をさ
)
め、
080
いろいろの
花
(
はな
)
を
供
(
そな
)
へ、
081
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
の
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
るを
待
(
ま
)
ち
給
(
たま
)
ひたるなりき。
082
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
は
此
(
こ
)
のさまを
見
(
み
)
て
驚
(
おどろ
)
きながら、
083
『
岐美
(
きみ
)
こそは
真
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
よ
瑞
(
みづ
)
の
神
(
かみ
)
084
比女
(
ひめ
)
の
遭難
(
さうなん
)
前
(
まへ
)
に
知
(
し
)
りませり
085
明
(
あきら
)
けき
岐美
(
きみ
)
の
神霊
(
みたま
)
を
今更
(
いまさら
)
に
086
仰
(
あふ
)
ぎぬるかな
目
(
め
)
の
神
(
かみ
)
吾
(
われ
)
は
087
語
(
かた
)
らはむ
術
(
すべ
)
なき
身
(
み
)
ぞと
思
(
おも
)
ひしを
088
前
(
まへ
)
に
知
(
し
)
らせるあはれ
岐美
(
きみ
)
はも
089
何事
(
なにごと
)
も
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
のみさだめと
090
おもひさだめて
歎
(
なげ
)
かざるべし
091
滝津瀬
(
たきつせ
)
の
音
(
おと
)
滔々
(
たうたう
)
と
吾
(
わ
)
が
耳
(
みみ
)
に
092
今
(
いま
)
も
聞
(
きこ
)
ゆる
恨
(
うら
)
めしきかな
093
恨
(
うら
)
むまじ
歎
(
なげ
)
くまじとは
思
(
おも
)
へども
094
霊代
(
たましろ
)
拝
(
はい
)
せばひとしほ
恋
(
こ
)
ほし』
095
大物主
(
おほものぬし
)
の
神
(
かみ
)
は
拍手
(
はくしゆ
)
を
終
(
をは
)
り、
096
声
(
こゑ
)
さはやかに
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
097
『
八洲河
(
やすかは
)
のみ
底
(
そこ
)
ゆ
安
(
やす
)
く
生
(
あ
)
れましし
098
如衣
(
ゆくえ
)
の
比女
(
ひめ
)
はあはれ
世
(
よ
)
になし
099
春駒
(
はるこま
)
を
曳
(
ひ
)
きて
仕
(
つか
)
へし
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
100
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
をおもへば
悲
(
かな
)
しも
101
幾年
(
いくとせ
)
を
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
に
住
(
す
)
みまして
102
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
ませし
功績
(
いさをし
)
おもふ
103
これよりは
御子
(
みこ
)
の
命
(
みこと
)
にかしづきて
104
岐美
(
きみ
)
の
神業
(
みわざ
)
をつがせ
奉
(
まつ
)
らむ
105
比女神
(
ひめがみ
)
の
御霊
(
みたま
)
は
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
に
106
帰
(
かへ
)
れど
此処
(
ここ
)
にいます
如
(
ごと
)
おもふ
107
比古神
(
ひこがみ
)
の
御手代
(
みてしろ
)
となりいやますに
108
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ
比女
(
ひめ
)
よ
安
(
やす
)
かれ』
109
比古神
(
ひこがみ
)
の
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は、
110
儼然
(
げんぜん
)
として
霊代
(
たましろ
)
の
前
(
まへ
)
に
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
111
『
幾年
(
いくとせ
)
を
吾
(
われ
)
に
仕
(
つか
)
へてつつがなく
112
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
ませる
公
(
きみ
)
ぞかしこき
113
一柱
(
ひとはしら
)
御子
(
みこ
)
の
命
(
みこと
)
のある
上
(
うへ
)
は
114
我
(
われ
)
は
力
(
ちから
)
を
落
(
おと
)
さざるべし
115
比女
(
ひめ
)
よ
比女
(
ひめ
)
あとに
心
(
こころ
)
を
残
(
のこ
)
さずに
116
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
大宮
(
おほみや
)
にゆけ
117
汝
(
なれ
)
に
逢
(
あ
)
ひし
日
(
ひ
)
を
思
(
おも
)
ひつつ
今
(
いま
)
茲
(
ここ
)
に
118
くやみの
涙
(
なみだ
)
とどめあへぬも
119
さり
乍
(
なが
)
ら
神
(
かみ
)
の
定
(
さだ
)
めは
詮
(
すべ
)
もなし
120
我
(
われ
)
もこころをたて
直
(
なほ
)
してむ
121
せめてもの
我
(
わ
)
が
志
(
こころざし
)
と
霊代
(
たましろ
)
の
122
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
これの
供物
(
くもつ
)
を
召
(
め
)
せよ』
123
八百万
(
やほよろづ
)
の
神々
(
かみがみ
)
は、
124
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
昇天
(
しようてん
)
と
聞
(
き
)
きて
吾先
(
われさき
)
にと、
125
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
に
集
(
あつま
)
り
給
(
たま
)
ひ、
126
弔
(
とむら
)
ひの
歌
(
うた
)
を
次々
(
つぎつぎ
)
謡
(
うた
)
はせ
給
(
たま
)
ふ。
127
遠津
(
とほつ
)
御幸
(
みゆき
)
の
神
(
かみ
)
、
128
『
歎
(
なげ
)
くとも
詮
(
せん
)
なきものか
比女神
(
ひめがみ
)
は
129
天津
(
あまつ
)
神国
(
みくに
)
に
昇
(
のぼ
)
りましぬる
130
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
天国
(
みくに
)
に
帰
(
かへ
)
りましませど
131
霊
(
たま
)
は
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
を
照
(
て
)
らさむ
132
姫御子
(
ひめみこ
)
を
後
(
あと
)
に
遺
(
のこ
)
して
神去
(
かむさ
)
りし
133
比女神
(
ひめがみ
)
の
心
(
こころ
)
いたはしきかも
134
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
にかかる
歎
(
なげ
)
きのあらむとは
135
おもはざりしよ
御幸
(
みゆき
)
の
神
(
かみ
)
は』
136
次
(
つぎ
)
に
大御母
(
おほみはは
)
の
神
(
かみ
)
は、
137
比女神
(
ひめがみ
)
の
昇天
(
しようてん
)
をいたく
悼
(
いた
)
ませ
給
(
たま
)
ひて、
138
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
139
『
八洲河
(
やすかは
)
の
清水
(
しみづ
)
に
生
(
あ
)
れし
比女神
(
ひめがみ
)
は
140
惜
(
を
)
しや
天国
(
みくに
)
に
昇
(
のぼ
)
りましける
141
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
貴
(
うづ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
か
知
(
し
)
らねども
142
われ
朝夕
(
あさゆふ
)
のなげかひ
絶
(
た
)
えず
143
幾千代
(
いくちよ
)
も
共
(
とも
)
にみわざに
仕
(
つか
)
へむと
144
わがおもひしは
夢
(
ゆめ
)
なりにけり
145
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
のみ
心
(
こころ
)
を
146
おしはかりつつ
涙
(
なみだ
)
しぐるる
147
白銀
(
しろがね
)
の
駒
(
こま
)
にまたがり
迎
(
むか
)
へたる
148
よき
日
(
ひ
)
おもへば
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
149
歎
(
なげ
)
くとも
最早
(
もはや
)
詮
(
せん
)
なしこの
上
(
うへ
)
は
150
美玉
(
みたま
)
の
姫
(
ひめ
)
を
育
(
はごく
)
み
仕
(
つか
)
へむ
151
比女神
(
ひめがみ
)
の
神去
(
かむさ
)
りましし
此
(
この
)
宮
(
みや
)
は
152
月日
(
つきひ
)
の
光
(
かげ
)
もうすら
曇
(
くも
)
りつ
153
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
も
月
(
つき
)
も
歎
(
なげ
)
かせ
給
(
たま
)
ふらむ
154
今日
(
けふ
)
の
御空
(
みそら
)
はうすらくもれり』
155
日
(
す
)
の
本
(
もと
)
の
神
(
かみ
)
は
誄歌
(
しのびうた
)
詠
(
よ
)
み
給
(
たま
)
ふ。
156
『
高照
(
たかてる
)
の
山
(
やま
)
もくもりて
比女神
(
ひめがみ
)
の
157
今日
(
けふ
)
のみゆきを
仰
(
あふ
)
ぎおくりつ
158
からたまの
神
(
かみ
)
生
(
う
)
みましし
功績
(
いさをし
)
を
159
のこして
比女
(
ひめ
)
は
神去
(
かむさ
)
りにけり
160
神去
(
かむさ
)
りし
比女
(
ひめ
)
の
神言
(
みこと
)
のけなげさよ
161
平然
(
へいぜん
)
として
大蛇
(
をろち
)
に
呑
(
の
)
まれぬ
162
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
比女
(
ひめ
)
の
神言
(
みこと
)
の
訃
(
ふ
)
を
聞
(
き
)
きて
163
日
(
す
)
の
本山
(
もとやま
)
より
降
(
くだ
)
り
来
(
き
)
にけり
164
諸々
(
もろもろ
)
の
神
(
かみ
)
一柱
(
ひとはしら
)
おちもなく
165
比女
(
ひめ
)
の
昇天
(
しようてん
)
惜
(
を
)
しまざるなし
166
比古神
(
ひこがみ
)
の
心
(
こころ
)
如何
(
いか
)
にと
思
(
おも
)
ひつつ
167
空
(
そら
)
に
知
(
し
)
られぬ
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
降
(
ふ
)
る
168
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
大
(
おほ
)
みよさしにまつろひて
169
如衣
(
ゆくえ
)
の
比女
(
ひめ
)
は
神去
(
かむさ
)
りにけむ』
170
片照
(
かたてる
)
の
神
(
かみ
)
はまた
謡
(
うた
)
ふ。
171
『おもひきや
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
の
神柱
(
かむばしら
)
172
如衣
(
ゆくえ
)
の
比女
(
ひめ
)
の
神去
(
かむさ
)
りますとは
173
一度
(
ひとたび
)
は
見
(
み
)
らくおもひつ
比女神
(
ひめがみ
)
に
174
あはで
別
(
わか
)
るる
事
(
こと
)
の
惜
(
を
)
しさよ
175
比女神
(
ひめがみ
)
の
昇天
(
しようてん
)
ききて
吾
(
われ
)
はただ
176
夢
(
ゆめ
)
になれよと
祈
(
いの
)
りけるかな
177
紫微界
(
しびかい
)
に
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
えずも
比女神
(
ひめがみ
)
は
178
天
(
あめ
)
の
高宮
(
たかみや
)
に
輝
(
かがや
)
き
居
(
ゐ
)
まさむ
179
吾
(
われ
)
はしも
片照
(
かたてる
)
の
神
(
かみ
)
高地秀
(
たかちほ
)
の
180
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
をわけて
来
(
きた
)
り
弔
(
とむら
)
ふ
181
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
今日
(
けふ
)
はしも
182
比女
(
ひめ
)
弔
(
とむら
)
ふと
降
(
くだ
)
り
来
(
き
)
しはや
183
比女神
(
ひめがみ
)
の
神去
(
かむさ
)
り
給
(
たま
)
ふは
惜
(
を
)
しかれど
184
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
とおもへば
尊
(
たふと
)
し』
185
明晴
(
あけはる
)
の
神
(
かみ
)
はまた
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
186
『
比女神
(
ひめがみ
)
のここに
現
(
あらは
)
れましてより
187
この
天界
(
てんかい
)
は
明晴
(
あけはる
)
の
神
(
かみ
)
188
あきらけく
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りたる
天界
(
てんかい
)
の
189
今日
(
けふ
)
は
曇
(
くも
)
りぬ
比女
(
ひめ
)
いまさねば
190
あけくれを
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りし
比女神
(
ひめがみ
)
の
191
かげだに
見
(
み
)
えず
淋
(
さび
)
しき
今日
(
けふ
)
なり
192
比古神
(
ひこがみ
)
の
雄々
(
をを
)
しき
心
(
こころ
)
きくにつけ
193
わが
天界
(
てんかい
)
の
栄
(
さか
)
えをおもふ
194
美玉姫
(
みたまひめ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
に
従
(
まつ
)
ろひて
195
吾
(
われ
)
は
神国
(
みくに
)
をひらき
照
(
て
)
らさむ』
196
近見男
(
ちかみを
)
の
神
(
かみ
)
は
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
197
『
中滝
(
なかたき
)
の
大蛇
(
をろち
)
の
神
(
かみ
)
の
醜業
(
しこわざ
)
を
198
比女神
(
ひめがみ
)
のために
退
(
やら
)
はむと
思
(
おも
)
ふ
199
愛善
(
あいぜん
)
の
光
(
ひかり
)
に
満
(
み
)
つる
天界
(
てんかい
)
に
200
仇
(
あだ
)
報
(
むく
)
ゆるは
如何
(
いかが
)
あるべき
201
さり
乍
(
なが
)
ら
世
(
よ
)
の
禍
(
わざはひ
)
を
打
(
う
)
ち
祓
(
はら
)
ふ
202
みわざは
神
(
かみ
)
も
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
はむ
203
これに
在
(
ま
)
す
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
きこし
召
(
め
)
せ
204
世
(
よ
)
のため
大蛇
(
をろち
)
の
神
(
かみ
)
のぞかばや』
205
茲
(
ここ
)
に
真澄
(
ますみ
)
の
神
(
かみ
)
は
声
(
こゑ
)
高々
(
たかだか
)
と
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
206
『ます
鏡
(
かがみ
)
真澄
(
ますみ
)
の
神
(
かみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
207
切
(
き
)
り
放
(
はふ
)
るべし
滝
(
たき
)
の
大蛇
(
をろち
)
を
208
天
(
てん
)
も
地
(
ち
)
も
真澄
(
ますみ
)
に
澄
(
す
)
みてある
世
(
よ
)
なり
209
醜
(
しこ
)
の
曲霊
(
まがひ
)
を
清
(
きよ
)
めずあるべき
210
われここに
真澄
(
ますみ
)
の
神
(
かみ
)
と
現
(
あらは
)
れて
211
比女
(
ひめ
)
を
弔
(
とむら
)
ひ
言
(
こと
)
はかりすも
212
天界
(
てんかい
)
に
禍
(
わざはひ
)
をなす
醜神
(
しこがみ
)
を
213
打
(
う
)
ちきためずば
神世
(
みよ
)
は
栄
(
さか
)
えじ』
214
斯
(
か
)
く
滝
(
たき
)
の
大蛇
(
をろち
)
の
言向
(
ことむ
)
けを
提唱
(
ていしやう
)
し
給
(
たま
)
へば、
215
百神
(
ももがみ
)
は
一度
(
いちど
)
に「オー」と
答
(
こた
)
へて、
216
真澄
(
ますみ
)
の
神
(
かみ
)
の
御謀
(
みはか
)
り
事
(
ごと
)
に
参
(
さん
)
じ、
217
これより
百
(
もも
)
の
神々
(
かみがみ
)
は、
218
中津滝
(
なかつたき
)
に
向
(
むか
)
つて
大蛇
(
をろち
)
を
言向
(
ことむ
)
けやはすべく、
219
さしも
難路
(
なんろ
)
の
高照山
(
たかてるやま
)
の
谿間
(
たにま
)
を
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふぞ
畏
(
かしこ
)
けれ。
220
(
昭和八・一〇・一六
旧八・二七
於水明閣
内崎照代
謹録)
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