霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二三章 中(なか)の高滝(たかたき)〔一八五四〕

インフォメーション
著者: 巻: 篇: よみ(新仮名遣い):
章: よみ(新仮名遣い): 通し章番号:
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: 文字数: OBC :rm7323
愛善世界社版: 八幡書店版: 修補版: 校定版: 普及版: 初版: ページ備考:
001 太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)は、002主(ス)の神(かみ)の神言(みこと)もちて高日(たかひ)の宮(みや)に禊(みそぎ)し給(たま)ひ、003如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)に御逢(みあ)ひて美玉姫(みたまひめ)の命(みこと)を生(う)ませ給(たま)ひ、004初(はじ)めて命(みこと)の名(な)を称(とな)へ給(たま)へり。005言霊(ことたま)の水火(いき)より成(な)り出(い)でましし神霊(しんれい)をすべて神(かみ)と称(とな)へ、006神(かみ)と神(かみ)との婚(とつ)ぎによりて生(あ)れませる神霊(しんれい)を命(みこと)と言(い)ふ。007此(これ)より後(のち)神(かみ)と命(みこと)の御名(みな)を判別(はんべつ)して、008言霊(ことたま)の神(かみ)より出(い)でし神(かみ)なりや、009婚(とつ)ぎによりて出(い)でし神(かみ)なりやを明(あきら)かにすべし。
010 善悪(ぜんあく)相混(あひこん)じ、011美醜(びしう)互(たがひ)に交(まじ)はる惟神(かむながら)の経綸(けいりん)によりて、012紫雲(しうん)棚曳(たなび)く高照山(たかてるやま)の八百八(やほや)谷(たに)の隈(くま)には妖邪(えうじや)の気(き)鬱積(うつせき)して茲(ここ)に邪神(じやしん)は顕現(けんげん)し、013大神(おほかみ)の神業(みわざ)に障(さや)らむとするぞ忌々(ゆゆ)しけれ。014世人(よびと)謂(おもへ)らく、015天界(てんかい)又(また)は天国(てんごく)と言(い)へば、016至善(しぜん)至美(しび)至厳(しげん)至重(しちよう)にして、017寸毫(すんがう)の濁(にご)りなく、018塵埃(ちりあくた)なく、019清浄(せいじやう)無垢(むく)なるべしと。020吾(われ)も亦(また)神界(しんかい)の奥底(あうてい)を探知(たんち)する迄(まで)は世人(せじん)の如(ごと)く考(かんが)へ居(ゐ)たりしが、021実地(じつち)の探検(たんけん)によりて、022意外(いぐわい)の感(かん)に打(う)たれたる程(ほど)なり。023さりながら、024至善(しぜん)至美(しび)のみにしては宇宙(うちう)の気(き)固(かた)まらず、025万有(ばんいう)は生(うま)れざるなり。026悪臭(あくしう)紛々(ふんぷん)たる糞尿(ふんねう)を土(つち)に与(あた)ふれば、027土地(とち)忽(たちま)ち肥沃(ひよく)して五穀(ごこく)は豊(ゆたか)にみのり、028百(もも)の花(はな)は美(うるは)しく咲(さ)き、029果物(くだもの)蔓物(つるもの)、030野菜(やさい)に至(いた)るまでよく生育(せいいく)し、031且(か)つ味(あぢ)よろしきが如(ごと)し。032故(ゆゑ)に醜悪(しうあく)の結果(けつくわ)は美(び)となり、033善(ぜん)となり、034良味(りやうみ)良智(りやうち)となるものなるを知(し)るべし。035唯(ただ)善悪(ぜんあく)の活用(はたらき)の度合(どあひ)によりて其(その)所名(しよめい)を変(へん)ずるのみ。036此(この)大宇宙(だいうちう)には絶対(ぜつたい)的(てき)の善(ぜん)もなく、037又(また)絶対(ぜつたい)的(てき)の悪(あく)もなし。038これ惟神(かむながら)にして自然(しぜん)の大道(たいだう)と言(い)ふなり。
039 如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)は御子(みこ)の日(ひ)に月(つき)に生(お)ひ立(た)ちませるを楽(たの)しみて、040朝(あさ)な夕(ゆふ)な森林(しんりん)をかきわけ、041高照谷(たかてるだに)の中津滝(なかつたき)に禊(みそぎ)せむと出(い)でたまふ。042さしもに鬱蒼(うつさう)として猿(ましら)もなほ攀(よ)づべからざる岩壁(がんぺき)を伝(つた)ひ出(い)でます事(こと)の危(あやふ)さを思(おも)ひて、043眼知男(まなこしりを)の神(かみ)は女神(めがみ)の後(うしろ)より密(ひそ)かに遠(とほ)く従(したが)ひ給(たま)ひぬ。044如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)は中津滝(なかつたき)の水勢(すゐせい)の猛烈(まうれつ)さと其(その)荘厳(さうごん)とに打(う)たれて、045暫(しば)し恍惚(くわうこつ)として、046吾身(わがみ)のあるを忘(わす)れて如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)を詠(うた)ひたまはく、
047『仰(あふ)ぎ見(み)れば雲(くも)より落(おつ)る中津滝(なかつたき)の
048水(みづ)の勢(いきほひ)すさまじきかな
049天地(あめつち)もわるるばかりの滝(たき)の音(おと)に
050われは寒(さむ)さを身(み)に感(かん)じつつ
051天(あま)の河(かは)の末(すゑ)の流(ながれ)と思(おも)ふまで
052この中滝(なかたき)の水(みづ)の秀(ほ)強(つよ)きも
053たぎち落(おつ)る水瀬(みなせ)の音(おと)に穿(うが)たれし
054この滝壺(たきつぼ)は底(そこ)なかるらむ
055常磐木(ときはぎ)は天(てん)を封(ふう)じてそそり立(た)ち
056中(なか)を一条(ひとすぢ)おつる滝(たき)はも
057国魂(くにたま)の神(かみ)を生(う)まむと吾(われ)はここに
058岩根(いはね)をよぢて登(のぼ)り来(き)しはや
059滝津瀬(たきつせ)の勢(いきほひ)いかにつよくとも
060神国(みくに)の為(た)めに禊(みそぎ)せむかな』
061 かく歌(うた)ひてざんぶと計(ばか)り滝壺(たきつぼ)に飛(と)び込(こ)み給(たま)へば、062猛烈(まうれつ)なる渦(うづ)に巻(ま)き込(こ)まれて水底(みなそこ)深(ふか)く沈(しづ)み給(たま)ふ。063折(をり)もあれ眼知男(まなこしりを)の神(かみ)は息(いき)せきと此処(ここ)に現(あらは)れ来(きた)り、064如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)の影(かげ)の失(う)せたまひたるに驚(おどろ)き、065如何(いかが)はせむと右往(うわう)左往(さわう)しながら厳(いづ)の言霊(ことたま)宣(の)り上(あ)げ給(たま)ふ。
066『一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(や)九(ここの)十(たり)百(もも)千(ち)万(よろづ)!
067あはれ今(いま)如衣(ゆくえ)の比女(ひめ)は滝壺(たきつぼ)の
068底(そこ)ひも深(ふか)く隠(かく)れましけり
069主(ス)の神(かみ)の深(ふか)き経綸(しぐみ)か知(し)らねども
070この有様(ありさま)をわれ如何(いか)にせむ
071主(ス)の神(かみ)の経綸(しぐみ)とあれば吾(われ)も亦(また)
072心(こころ)やすけくここにあるべし
073滝壺(たきつぼ)の水底(みなそこ)深(ふか)くかくれにし
074比女神(ひめがみ)思(おも)へば心(こころ)おちゐず
075美玉姫(みたまひめ)の御子(みこ)の命(みこと)の居(ゐ)ます世(よ)に
076隠(かく)れますとは心(こころ)もとなき』
077 斯(か)く謡(うた)ふ折(をり)しも、078滝壺(たきつぼ)より頭(かしら)に鹿(しか)の如(ごと)き大(だい)なる角(つの)を生(はや)したる大蛇(をろち)、079如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)をくはへながら頭(かしら)を水面(すゐめん)に擡(もた)げたれば、080眼知男(まなこしりを)の神(かみ)は大(おほい)に驚(おどろ)き、081厳(いづ)の言霊(ことたま)を繰返(くりかへ)し繰返(くりかへ)し、082大蛇(をろち)の帰順(きじゆん)を主(ス)の大神(おほかみ)に祈(いの)り給(たま)ふ。083如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)は大蛇(をろち)の巨口(きよこう)にくはへられながら、
084『吾(われ)は今(いま)荒振(あらぶる)神(かみ)に呑(の)まれつつ
085主(ス)の大神(おほかみ)の御許(みもと)にゆかむ
086背(せ)の岐美(きみ)に吾(わ)が事(こと)具(つぶさ)に語(かた)れかし
087なんぢ眼知男(まなこしりを)の神(かみ)よ』
088 眼知男(まなこしりを)の神(かみ)は慄(ふる)ひ乍(なが)ら、
089『神(かみ)の代(よ)を曇(くも)らし奉(まつ)る大蛇神(をろちがみ)
090命(いのち)にかけて言向(ことむ)け和(や)はさむ
091一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(や)の言霊(ことたま)に
092まつろひまつれ大蛇(をろち)の神(かみ)よ』
093 斯(か)く詠(うた)ひ給(たま)ふ眼知男(まなこしりを)の神(かみ)を尻目(しりめ)にかけながら、094大蛇(をろち)は比女神(ひめがみ)をくはへたるまま姿(すがた)を水中(すゐちう)に匿(かく)しける。095眼知男(まなこしりを)の神(かみ)は水面(すゐめん)の渦(うづ)を眺(なが)め入(い)りながら、096如何(いか)にして顕津男(あきつを)の神(かみ)に復命(かへりごと)申(まを)さむやと、097とつおひつ思案(しあん)にくれ給(たま)ふ。
098『天地(あめつち)の眼知男(まなこしりを)の神(かみ)ながら
099比女(ひめ)を助(たす)くるよしなき苦(くる)しさ
100わが魂(たま)は曇(くも)らひにけむ言霊(ことたま)の
101霊験(しるし)は見(み)えず比女(ひめ)失(うしな)へり
102如何(いか)にしてこの有様(ありさま)を比古神(ひこがみ)に
103つたへまつらむ苦(くる)し悲(かな)しも
104主(ス)の神(かみ)のみはかり事(ごと)とは知(し)り乍(なが)ら
105今日(けふ)の艱(なや)みは目(め)もあてられず
106主(ス)の神(かみ)の御(み)いきになりし天界(てんかい)も
107曲(まが)の荒(すさ)びのあるは悲(かな)しき
108喜(よろこ)びと栄(さか)えにみつる天界(てんかい)に
109歎(なげ)きありとは思(おも)はざりしを
110美玉姫(みたまひめ)命(みこと)の神代(みよ)に立(た)たすまでと
111思(おも)ひしことも水泡(みなわ)となりける
112中津滝(なかつたき)の水泡(みなわ)と消(き)えし如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の
113ゆくへは何処(いづこ)主(ス)の神(かみ)の右(みぎり)か
114顕津男(あきつを)の神言(みこと)の御稜威(みいづ)も比女神(ひめがみ)の
115なやみ救(すく)はす術(すべ)なきものか
116如衣(ゆくえ)比女(ひめ)神去(かむさ)りますと聞(き)かすならば
117歎(なげ)かせたまはむ比古遅(ひこぢ)の神(かみ)は
118如何(いか)にせむ泣(な)けど叫(さけ)べど如衣(ゆくえ)比女(ひめ)
119行方(ゆくへ)は水泡(みなわ)となりたまひぬる
120とうとうと無心(むしん)の滝(たき)はこの歎(なげ)き
121つゆ知(し)らぬがに落(お)ちたぎちつつ
122常磐木(ときはぎ)の松(まつ)の梢(こずゑ)も声(こゑ)ひそめ
123科戸(しなど)の風(かぜ)の音(おと)づれもなし
124吹(ふ)く風(かぜ)の便(たよ)りもがもと思(おも)へども
125せむ術(すべ)もなき谷間(たにま)なりけり
126いざさらば巌(いはほ)を下(くだ)り岩根(いはね)樹根(きね)
127ふみしめふみしめ宮居(みやゐ)に帰(かへ)らむ』
128 眼知男(まなこしりを)の神(かみ)は愁歎(しうたん)やる方(かた)なく、129如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)の沈(しづ)ませ給(たま)ふ滝壺(たきつぼ)を恨(うら)めしげに眺(なが)めやりつつ、130悄然(せうぜん)として岩壁(がんぺき)を下(くだ)り、131谷(たに)の難路(なんろ)を岩(いは)の根(ね)樹(き)の根(ね)踏(ふ)みわけ踏(ふ)みしめ、132辛(から)うじて高日(たかひ)の宮(みや)に帰(かへ)り着(つ)かせ給(たま)ひぬ。
133(昭和八・一〇・一六 旧八・二七 於水明閣 加藤明子謹録)
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