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聖師伝
はしがき
01 御誕生
02 穴太の里
03 祖父の話
04 祖父の性行
05 祖父の再生
06 幼少年時代
07 小学校時代
08 久兵衛池事件
09 青年時代
10 獣医学の研究
11 父の死
12 青年時代の煩悶
13 高熊山出修の動機
14 高熊山の修行
15 使命の自覚
16 幽斎の修業
17 開祖との会見
18 聖師の大本入り
19 聖師と筆先
20 聖師の苦闘
21 神苑の拡張と造営
22 神島開き
23 大本の発展
24 第一次大本事件
25 霊界物語の口述
26 エスペラントとローマ字の採用
27 世界紅卍字会との提携
28 蒙古入り
29 世界宗教連盟と人類愛善会
30 大正より昭和へ
31 明光社の設立
32 急激な発展
33 第二次大本事件
34 愛善苑の新発足
35 晩年の聖師
36 御昇天
37 御昇天後の大本
【附録】出口聖師年譜
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一六、幽斎の修業
インフォメーション
題名:
16 幽斎の修業
著者:
大本教学院・編
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2019-04-30 07:54:29
OBC :
B100800c16
001
高熊山の御修行は聖師の生涯における一大転換期でありました。
002
喜三郎さんはこれまでの牧畜場その他の仕事を一さい人手にゆずって神の道を宣べ伝えられることになりました。
003
しかし、
004
神の道であるとか真理であるとかいったところで、
005
世間一般、
006
ことに田舎ではなかなか耳をかすものがありませんでした。
007
ある人が、
008
初めは病気なおしをした方がよい、
009
といって忠告してくれました。
010
幸い友人の斉藤
宇一
(
ういち
)
という人が理解をして、
011
奥座敷を貸してくれましたので、
012
喜三郎さんは幽斎の修行と病気の心霊治療を始められました。
013
その当時は珍らしい憑霊現象がいろいろあらわれたり、
014
また病気がよく治ったので、
015
近所界隈に大評判になりました。
016
明治三十一年の四月三日のことであります。
017
駿河の稲荷講社の配札係をしていた
三矢
(
みつや
)
喜右衛
(
きうえ
)
門
(
もん
)
という人が来て、
018
いろいろ心霊学の話をし、
019
静岡県安部郡富士見村
月見里
(
やまなし
)
稲荷神社附属、
020
稲荷講社総本部の総長・長沢
雄楯
(
かつたて
)
翁の霊力非凡なことを吹聴し、
021
長沢先生との面会をしきりにすすめましたが、
022
喜三郎さんは稲荷講社という名称について、
023
いささか迷惑のような気がされました。
024
なぜかといえば、
025
口丹波
(
くちたんば
)
辺りは稲荷講社といえば、
026
直ぐ稲荷おろしを連想し、
027
狐狸を祀るものだと誤解されるからでありました。
028
しかし、
029
霊学の大家だと聞いて喜三郎さんは大いに心を動かされ、
030
四月十三日出発、
031
三矢氏に案内されて長沢翁を訪問されることになりました。
032
喜三郎さんは京都まで徒歩し、
033
生まれて初めて汽車に乗って翌日長沢翁と会見されました。
034
翁の母堂に
豊子
(
とよこ
)
という方があって、
035
喜三郎さんにむかい、
036
037
「お前さんは丹波から来られたそうだが、
038
本田さん(本田
親徳
(
ちかあつ
)
先生)が十年前におっしゃったのには、
039
これから十年ほど先になったら、
040
丹波からコレコレの男が来るだろう。
041
神の道は丹波から開けるとおっしゃったから、
042
キッとお前さんのことだろう。
043
これも時節が来たのだ。
044
ついては本田さんからあずかっておいた鎮魂の玉や天然笛があるから、
045
これを上げましょう。
046
これをもってドシドシ布教をしなされ」
047
と二つの神器を出して、
048
喜三郎さんに与え、
049
また神伝秘書の巻物まで渡されましたので、
050
喜三郎さんは非常に喜ばれました。
051
かつ、
052
これまでの霊学上に関する疑問も、
053
また一さいの煩悶も拭うがごとく払拭されました。
054
喜三郎さんは長沢翁から
審神
(
さにわ
)
を受けることになりましたが、
055
その結果、
056
小松林
(
こまつばやしの
)
命
(
みこと
)
の
神懸
(
かみがか
)
りであるということが明かになり、
057
鎮魂
(
ちんこん
)
帰神
(
きしん
)
の二科高等得業を証すという免状をもらわれました。
058
小松林命というのは、
059
武内
(
たけのうちの
)
宿禰
(
すくね
)
の神界における神名であります。
060
喜三郎さんは今まで世間から発狂者だ、
061
山師だ、
062
狐つきだとケナされて、
063
誰一人として見わけてくれるものがなかったところを、
064
高等の神がかりと断定を下されたので、
065
大いに力づき、
066
喜んで長沢翁の門人となられました。
067
喜三郎さんは一週間ばかり滞在ののち、
068
帰宅されました。
069
帰郷後、
070
喜三郎さんはますます幽斎修行に油がのり、
071
心霊研究をつづけられました。
072
この幽斎修行中には珍らしい面白い霊的体験談が沢山ありますが、
073
岐路に入りますから、
074
ここには省略しておきます。
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