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聖師伝
はしがき
01 御誕生
02 穴太の里
03 祖父の話
04 祖父の性行
05 祖父の再生
06 幼少年時代
07 小学校時代
08 久兵衛池事件
09 青年時代
10 獣医学の研究
11 父の死
12 青年時代の煩悶
13 高熊山出修の動機
14 高熊山の修行
15 使命の自覚
16 幽斎の修業
17 開祖との会見
18 聖師の大本入り
19 聖師と筆先
20 聖師の苦闘
21 神苑の拡張と造営
22 神島開き
23 大本の発展
24 第一次大本事件
25 霊界物語の口述
26 エスペラントとローマ字の採用
27 世界紅卍字会との提携
28 蒙古入り
29 世界宗教連盟と人類愛善会
30 大正より昭和へ
31 明光社の設立
32 急激な発展
33 第二次大本事件
34 愛善苑の新発足
35 晩年の聖師
36 御昇天
37 御昇天後の大本
【附録】出口聖師年譜
(メニューの右肩に*1が付いているものは、本文がまだテキスト化されていないもの。*2は内容がほぼ同じ他のテキストがあるもの。)
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二〇、聖師の苦闘
インフォメーション
題名:
20 聖師の苦闘
著者:
大本教学院・編
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100800c20
001
この間における大本の役員たちの聖師に対する反対、
002
排斥、
003
圧迫はとても口や筆で言いつくすことは出来ないのでありまして、
004
今から考えると、
005
そんなバカバカしい、
006
理不尽なことが果してあったのであろうかと疑われるくらいのものであります。
007
当時の役員たちは、
008
開祖の筆先の上よりみて、
009
聖師の肉体は神業のために必要なので追い出すことは出来ないが、
010
その肉体にやどっている守護神が、
011
小松林
(
こまつばやしの
)
命
(
みこと
)
という四つ足の悪の守護神であるという風にとっていたのですから、
012
聖師に対してさまざまな無礼をしたものであります。
013
聖師に塩をふりかけたり、
014
タンツバをかけたり、
015
しまいには六畳敷の一室に入れて一挙一動を監視するというようなことになって来ました。
016
ある時は
四方
(
しかた
)
春三以下十人ばかりの役員が、
017
暗殺隊をつくって待ち伏せていましたが、
018
聖師に機先を制せられて逃げ帰り、
019
開祖から叱られたようなこともありました。
020
「開祖は
経
(
たて
)
の教えを説かれる役、
021
聖師は
緯
(
よこ
)
の教えを説く役」であると説明しても、
022
役員たちは信ぜず、
023
聖師はほとほと困られたのですが、
024
聖師は役員たちに向かって、
025
026
「君らは開祖様の御馳走される糞尿と、
027
私が御馳走する飯と鯛と、
028
どちらをとるか」
029
と聞いてみると、
030
一人の役員は
031
「開祖様の糞尿ならありがたく頂戴する」
032
と言うので、
033
これでは到底ダメだと考え、
034
聖師は大阪の内藤七郎氏方へ行かれたことがあります。
035
その後、
036
用が出来たので、
037
聖師は洋服を着て綾部へ帰られました。
038
一同は聖師の行方を探していたので、
039
聖師の帰って来られたのを喜びはしたものの、
040
またまた小松林の四つ足の悪の守護神呼ばわりをし出し、
041
洋服を着たり皮のカバンをもつなどということは、
042
外国のヤリ方だというわけで、
043
洋服はひきむいて
雪隠
(
せっちん
)
へほうり込む、
044
鞄はどこかへ片づけてしまいました。
045
そしてどこへ行くにも張番をしてついてくるので、
046
たまらなくなって出て行こうとするけれども、
047
出してくれず、
048
しいて出て行こうとすれば、
049
「これでも行くか」といって四・五の役員らが出刃包丁をもって切腹しようとするのです。
050
おどかしでなく本気なのだから、
051
手がつけられず、
052
仕方なしに往生して一ヵ年ばかりまた腰をすえることにされました。
053
また聖師が苦心して書かれた書物を役員たちは、
054
ことごとく焼きすて、
055
神という字はモッタイないといって、
056
一々神の字だけを切りぬきました。
057
その切り抜いた神の字だけが、
058
蜜柑箱
(
みかんばこ
)
に数杯あったということであります。
059
その中で残ったのが現在の「道の栞」、
060
「道の大本」、
061
「筆のしづく」などであります。
062
一室へおしこめられて、
063
代る代る張番をして自分の自由にならぬので、
064
古事記を研究しようとすると、
065
そんなコジキの学問なんか、
066
釈迦の真似などすることは要らぬといってとり上げてしまう。
067
それじゃ日本書紀を読もうというと、
068
日本書紀ならよかろうというわけでしたが、
069
その本を見てこれは角文字ぢゃないか、
070
大本は横文字や角文字はいかん、
071
いろは四十八文字で世を開くのだというので、
072
とり上げて焼いてしまうという始末です。
073
仕方がないので、
074
フトンをかぶって豆ランプの火で調べものをしたり、
075
筆を執ったりされました。
076
聖師は大本の役員連中が目をさますまで、
077
一時大本を去っている方がよいとお考えになりまして、
078
明治三十九年から四十年まで大本を去られました。
079
聖師は三十六歳の時、
080
明治三十九年旧七月二十二日京都の皇典講究所へ入学され、
081
明治四十年旧二月十八日に卒業されました。
082
聖師は
建勲
(
たけいさお
)
神社
[
※
京都市北区の船岡山にある神社で主祭神は織田信長
]
の
主典
(
しゅてん
)
に補せられ、
083
その後、
084
御嶽教
(
みたけきょう
)
の副管長を務められましたが、
085
聖師が大本を去られてからは、
086
役員信者は一旦チリヂリバラバラになって、
087
大本は火の消えたようになってしまいました。
088
しかし、
089
聖師は多年にわたる研鑽の結果、
090
今まで疑われていた筆先の真意の了解がつきましたので、
091
明治四十一年にほかの仕事を全部やめて、
092
綾部にお帰りになられましてから、
093
再び大本は勢いよくひろがって行ったのであります。
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