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聖師伝
はしがき
01 御誕生
02 穴太の里
03 祖父の話
04 祖父の性行
05 祖父の再生
06 幼少年時代
07 小学校時代
08 久兵衛池事件
09 青年時代
10 獣医学の研究
11 父の死
12 青年時代の煩悶
13 高熊山出修の動機
14 高熊山の修行
15 使命の自覚
16 幽斎の修業
17 開祖との会見
18 聖師の大本入り
19 聖師と筆先
20 聖師の苦闘
21 神苑の拡張と造営
22 神島開き
23 大本の発展
24 第一次大本事件
25 霊界物語の口述
26 エスペラントとローマ字の採用
27 世界紅卍字会との提携
28 蒙古入り
29 世界宗教連盟と人類愛善会
30 大正より昭和へ
31 明光社の設立
32 急激な発展
33 第二次大本事件
34 愛善苑の新発足
35 晩年の聖師
36 御昇天
37 御昇天後の大本
【附録】出口聖師年譜
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二六、エスペラントとローマ字の採用
インフォメーション
題名:
26 エスペラントとローマ字の採用
著者:
大本教学院・編
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100800c26
001
「いまや自己の運命を自覚している新しい人類の最初の仕事は、
002
万人に共通なる言語を採用することでなければならない」──こうロマン・ローラン
[
※
フランスの作家
]
が言っているように、
003
国際補助語の問題は、
004
解決すべき人類の諸問題の中で、
005
もっとも重大なものの一つであります。
006
聖師は大正十年の秋、
007
世界平和の精神的土台となるべき「霊界物語」を発表されるとともに、
008
第一に着手された仕事は、
009
国際補助語エスペラントとローマ字の採用でありました。
010
これは何でもないことのように考えられるかも知れませんが、
011
大本の歴史の上からみて、
012
最も特筆すべきことの一つでありました。
013
何故かと申しますと、
014
第一次大本事件以前の大本の信仰思想は、
015
排外的の国家主義であったからであります。
016
大本神諭には一見外国ぎらいのように解釈される文字が、
017
いたるところに散見されますので、
018
横文字などを読むものを、
019
外国魂
(
がいこくだま
)
扱いにして卑しんでいたものであります。
020
これなども神諭の真精神を曲解したおそるべき傾向の一つでありました。
021
そうしたかたくなな信仰思想は霊界物語の発表とともに漸次修正されてはいましたが、
022
聖師のエスペラントおよびローマ字の採用は、
023
当時の大本に革新的な空気を注ぎ入れました。
024
大正十二年七月、
025
聖師は京都同志社大学の学生・
重松
(
しげまつ
)
太喜三
(
たきぞう
)
氏を
招聘
(
しょうへい
)
して、
026
綾部において一週間講習会を開き、
027
みずから講習をうけ、
028
エスペラントを奨励されたので、
029
エスペラント運動はすばらしい勢いをもって燃え上りました。
030
まずエスペラント普及会を設けて雑誌「ヴェルダ・グローロ」(緑の光)を発行されることになりました。
031
のちにこの雑誌は「ヴェルダ・モンド」(緑の世界)と改題され、
032
全国各地に支部をおき活動したのであります。
033
聖師はさらに初学者のために「記憶便法エス和作歌辞典」を著されました。
034
公定語三千六百を選んで、
035
それを和歌に読みこみ、
036
その辞典を十五日間で完成されました。
037
エスペラントが採用されると、
038
日本の有名なエスぺランチストがつぎつぎに綾部をおとづれるようになり、
039
また大本からも各地でひらかれるエスペラントの会合に出席して、
040
エスペラント運動はたちまち全国の信者の間にひろがりました。
041
一方ジュネーヴ市の万国エスペラント協会の機関紙「エスペラント」誌上に大本運動の簡単な紹介記事が載せられましたところ、
042
各国のエスぺランチストたちからさかんに大本について照会の手紙が参りました。
043
大本ではエスペラント採用後まもないことでありましたが、
044
大本のあらましをパンフレットにまとめ、
045
世界四十八ヵ国のエスぺランチストや団体あてに発送しました。
046
世界にはエスペラントの新聞雑誌がいろいろ発行されていますが、
047
それらの新聞雑誌は一斉に大本を紹介しました。
048
また、
049
それが各国語に翻訳されるというわけで、
050
大本運動はエスペラントを通じて、
051
素直に欧米に紹介されたのであります。
052
本部では海外宣伝部をおいて、
053
エスペラントによる“Oomoto”(大本)という月刊雑誌を発行しました。
054
聖師はエスペラントを採用されるとともに日本式ローマ字を採用されました。
055
ローマ字論者は国字をローマ字に改めることを主張しているのでありますが、
056
聖師がローマ字を採用されたのは、
057
必ずしもそういう意味ではなかったようであります。
058
国語の復活に役立つということと、
059
日本語を世界にひろめるには、
060
ローマ字画気書きがよいということであったと思います。
061
日本の七不思議の一つは、
062
国語を死語としたこともない代りに、
063
国語を復活したこともないことであります。
064
むかしから
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さちは
)
う国と言われていながら、
065
今日ほど国語が複雑乱脈を極めている時代はないのであります。
066
新聞、
067
雑誌、
068
ラジオ等で不純な国語に接した人は、
069
国語をもっと正しく、
070
美しく、
071
豊かに、
072
統一あるものにしたいと願うでありましょう。
073
聖師はここに眼をつけられて、
074
大正十二年十月ローマ字普及会を設立し、
075
各地に支部を設け、
076
機関誌「言葉の光」〝Kotoba no Hikari〟を発行して、
077
ローマ字運動をひろめられました。
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