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聖師伝
はしがき
01 御誕生
02 穴太の里
03 祖父の話
04 祖父の性行
05 祖父の再生
06 幼少年時代
07 小学校時代
08 久兵衛池事件
09 青年時代
10 獣医学の研究
11 父の死
12 青年時代の煩悶
13 高熊山出修の動機
14 高熊山の修行
15 使命の自覚
16 幽斎の修業
17 開祖との会見
18 聖師の大本入り
19 聖師と筆先
20 聖師の苦闘
21 神苑の拡張と造営
22 神島開き
23 大本の発展
24 第一次大本事件
25 霊界物語の口述
26 エスペラントとローマ字の採用
27 世界紅卍字会との提携
28 蒙古入り
29 世界宗教連盟と人類愛善会
30 大正より昭和へ
31 明光社の設立
32 急激な発展
33 第二次大本事件
34 愛善苑の新発足
35 晩年の聖師
36 御昇天
37 御昇天後の大本
【附録】出口聖師年譜
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二七、世界紅卍字会との提携
インフォメーション
題名:
27 世界紅卍字会との提携
著者:
大本教学院・編
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100800c27
001
大本が中国の新しい信仰団体たる
道院
(
どういん
)
(その活動団体を世界
紅
(
こう
)
卍字
(
まんじ
)
会という)と提携することになった動機は、
002
大正十二年の秋の関東大震災の時のことであります。
003
道院では
扶乩
(
フーチ
)
という神示にしたがって活動しているのでありますが、
004
この大震災の起こるべきことについては、
005
あらかじめ示されてあったので、
006
紅卍字会中華総会は幹部の
侯
(
こう
)
延爽
(
えんそう
)
氏の一行を東京に派遣して、
007
米二千石と銀五千ドルを贈りました。
008
扶乩には「日本に行けば道院と合同すべき教団がある」とあったので、
009
侯氏は東京の見舞をすまし、
010
あちこちとさがして天理教の本部へも行ってみましたが、
011
扶乩に示されたものではなかったものですから、
012
ひとまず帰ることとし神戸へ立ち寄った際、
013
ふと眼についた新聞記事――それも大本を悪罵した記事ではあるが、
014
読みゆくうちに何となく道院と関係があるように直感し、
015
十一月三日綾部に行き二代教主と会見、
016
そして四日、
017
聖師と会見して、
018
ここに二つの団体は相結ばれることになりました。
019
ついでにここで道院の起源について述べておきます。
020
孔子を出した山東省の首府・
済南
(
さいなん
)
から東北約七十里のところに
浜県
(
ひんけん
)
というところがあります。
021
大正五六年のころ、
022
その浜県知事の
呉
(
ご
)
福森
(
ふくしん
)
という人と当時浜県の駐防営長・
劉
(
りゅう
)
紹基
(
しょうき
)
という人が二人で、
023
県署の
尚
(
しょう
)
真人
(
しんじん
)
をまつる
大仙祠
(
だいせんし
)
で神壇をもうけ、
024
神仙聖仏の降臨をあおぎ神託をうけていました。
025
尚真人というのは、
026
唐の紀元後第一の
甲子
(
きのえね
)
八月
朔日
(
ついたち
)
に生まれ、
027
のち
宋
(
そう
)
の天佑二年二月二日化身し、
028
宋が南に移ってのち、
029
第一甲子の年八月朔日成道して仙籍に入ったと言い伝えられています。
030
ある日、
031
尚真人が神壇に降って左の意味のお示しがありました。
032
「
老祖
(
ろうそ
)
久しからずして世にくだり
劫
(
ごう
)
を救い給う。
033
まことにこれ数万年あい難きの機縁なり。
034
汝ら壇を設けてこれを求めよ。
035
」
036
この老祖というのは、
037
至聖
(
しせい
)
先天
(
せんてん
)
老祖と申し上げ宇宙の主宰神であります。
038
道院においては、
039
老祖を至尊至貴の神として奉斎し、
040
その下に万教同根の真理にもとづいて、
041
老子(道教)釈迦(仏教)キリスト(基教)マホメット(回教)項先師(儒教)の五大宗祖をまつっています。
042
道院の設立は大正十年旧二月九日で、
043
済南道院は各道院の母体として母院と称し、
044
北京の道院を総院と称えていました。
045
扶乩
(
フーチ
)
は昔から中国に伝わる神示の形式であります。
046
道院の人々はこの扶乩に示されたことを、
047
神示として絶対に信じています。
048
この扶乩には
乩筆
(
けいひつ
)
というものがあって、
049
木製の周囲約二寸、
050
長さ三尺余の丸い棒で、
051
その中央に五六寸のサキのとがった棒をとりつけた、
052
つまりT字形になった長い棒であります。
053
二人の人がいて、
054
一人は右手で、
055
いま一人は左手でこの棒の両端を持って、
056
中央に
沙盤
(
さばん
)
の中に盛られた白い
沙
(
すな
)
の上に、
057
中央の五六寸の棒のさきで文字を書くのであります。
058
沙盤というのは三尺ばかりの正方形の深さ二三寸の木箱であります。
059
これは自動書記の形式で書かれるもので、
060
「
巫
(
みこ
)
」という文字は扶乩の象形文字であります。
061
「靈」という字も、
062
雨は天(神)を表し、
063
口三つは神前に供える
三宝
(
さんぽう
)
、
064
その下に巫という形になっているものです。
065
この扶乩によって神示を仰ぐのは神前において行われます。
066
そうでない場合は別に神座を設け燈明を点じ香をたき、
067
神饌
(
しんせん
)
をささげます。
068
これを壇ととなえ、
069
壇における神示を
壇訓
(
だんくん
)
と申します。
070
これに奉仕する人々は実に敬けんな態度で、
071
役職の順に壇に向かって神前に礼拝し、
072
纂者
(
さんしゃ
)
(
乩筆
(
けいひつ
)
を支え持つ二人)が精神統一の状態に入ると、
073
乩筆がおのずから動いて、
074
沙盤の
沙
(
すな
)
の上に文字が書かれるのであります。
075
文字は
纂者
(
さんしゃ
)
からみれば横になって現われ、
076
沙上に書かれた文字を読み上げる人を
宣者
(
せんしゃ
)
といい、
077
これを記録してゆくのですが、
078
記録する人を
録者
(
ろくしゃ
)
とよんでいます。
079
その文字をつづり合せるとリッパな文章になっており、
080
その書かれる速度は、
081
普通一時間に千五百字から二千五百字ぐらいであります。
082
沙上の文字は読み上げられるごとに、
083
纂者によって板で消されてゆくのであります。
084
降臨する神霊は、
085
老祖をはじめ五大教の宗祖その他諸神仙聖仏で、
086
最初にいかなる神霊の降下されるかが示されて、
087
それから神示が出るのであります。
088
かくして世界紅卍字会との提携によって、
089
大本の世界的発展は着々とすすみ、
090
翌十三年三月六日神戸市に、
091
まず神戸道院が設立されることになりました。
092
ちなみに、
093
世界紅卍字会は、
094
当時華北から満州にかけて特に信者が多く、
095
中産階級以上の信者約六百万と称せられ、
096
中国における最も有力な信仰団体でありました。
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> 27 世界紅卍字会との提携
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