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聖師伝
はしがき
01 御誕生
02 穴太の里
03 祖父の話
04 祖父の性行
05 祖父の再生
06 幼少年時代
07 小学校時代
08 久兵衛池事件
09 青年時代
10 獣医学の研究
11 父の死
12 青年時代の煩悶
13 高熊山出修の動機
14 高熊山の修行
15 使命の自覚
16 幽斎の修業
17 開祖との会見
18 聖師の大本入り
19 聖師と筆先
20 聖師の苦闘
21 神苑の拡張と造営
22 神島開き
23 大本の発展
24 第一次大本事件
25 霊界物語の口述
26 エスペラントとローマ字の採用
27 世界紅卍字会との提携
28 蒙古入り
29 世界宗教連盟と人類愛善会
30 大正より昭和へ
31 明光社の設立
32 急激な発展
33 第二次大本事件
34 愛善苑の新発足
35 晩年の聖師
36 御昇天
37 御昇天後の大本
【附録】出口聖師年譜
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聖師伝
> 37 御昇天後の大本
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三七、御昇天後の大本
インフォメーション
題名:
37 御昇天後の大本
著者:
大本教学院・編
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100800c37
001
聖師の御昇天は全信徒にとって落日の後のようなさびしい感じに打たれました。
002
聖師こそみろくの世実現のために降られた大救世主であると確信していた信徒にとって、
003
聖師の御昇天が如何に大きなショックを与えたかは想像にあまりあるものがあります。
004
しかし、
005
澄子夫人は世の常の婦人のように、
006
ただ夫の死を哀しみ傷んでいるような方ではありませんでした。
007
哀悼のためにともすれば暗くしめっぽくなろうとする空気の中にあって、
008
夫人は万感を胸にこめつつも、
009
常に
従容
(
しょうよう
)
たる態度を持し、
010
「聖師さまの後は私がリッパに御用をさしてもらいます。
011
艮
(
とど
)
めの御用は私がするのどす」と自信満々たるお言葉をもって、
012
幾度か役員信者を激励勇気づけられました。
013
天恩郷に集まって来た信者たちは、
014
いづれも暗夜に光明を見出したごとく、
015
失望から希望へ落胆から勇気へと
起
(
た
)
ち上がりました。
016
澄子夫人は開祖、
017
聖師の道統を継承されて、
018
愛善苑二代苑主として起たれました。
019
神諭に「大本のお世継は末子の澄子と
定
(
き
)
まりたぞよ」との神示の実現であります。
020
聖師の五十年の神業遂行の御生涯を通して、
021
常に蔭にあって聖師の神業を助けられたのは二代苑主だったのであります。
022
聖師が夫人やその家族の人々と水入らずで暮らされたというのは、
023
おそらく第二次大本事件の保釈後の中矢田農園の極めて短い年月の間だけではなかったかと思われます。
024
聖師は毎日わずか三四時間の睡眠しかおとりになられず、
025
起きれば周囲には役員信者が集まり、
026
内に外に御活動の絶え間のないお忙しい御生活でした。
027
「人間の出来ることなら何でも出来る」と堅い自信をもっておられた聖師は、
028
著述や絵や詩歌のような精神労働はもちろん、
029
耕作、
030
土木、
031
建築、
032
植樹、
033
文撰、
034
活字拾い、
035
印刷等各種の肉体的労働にあたられました。
036
そうかと思うと、
037
カミシモをつけて夫人とともに浄瑠璃が語られたり、
038
盆おどりには
櫓
(
やぐら
)
に上がって音頭をとられたり、
039
また自ら踊りの輪に入ったりされました。
040
万能の人とは聖師のごとき人を指して言ったものでありましょう。
041
信者ばかりでなく、
042
実に多くの人々が聖師に面接していますが、
043
一度でも聖師に会われた日は無限の親しみと懐しみを感じました。
044
しかも男女老若の分ちなく、
045
貧富智愚の別なく、
046
その人その人に応じてお話になられるのですから、
047
どんな人でも聖師のお傍を離れたくなくなってしまうのでした。
048
また決して気どったり、
049
いわゆる、
050
ぶったりされることなく、
051
大きな小児のような方でありました。
052
かつて御巡教の旅に出られた時、
053
新聞記者が訪ねて来て、
054
大本教の信者は全国でどのくらいありますか?と質問したのに対し、
055
随行のある役員が「数十万ある」と答えると、
056
かたわらで聞いておられた聖師は「そんなにありませんで」と正直なところをさらけ出してしまいました。
057
そんなにありもしない信者の数を多くみせて、
058
虚勢を張ろうとするようなお気持は全然ないのであります。
059
そうかと思うと、
060
第一次大本事件の際、
061
法廷で聖師の精神鑑定が問題になった時など、
062
「私が
気狂
(
きちが
)
いぢゃない、
063
世間の者が気狂いや、
064
私が世間の人間の精神鑑定をしてやるのや」と子供のように威張ったりされるような無邪気な方でありました。
065
こうした無数の逸話や言行は、
066
いずれ「聖師言行録」にまとめて発表される時期があろうと思います。
067
おそらく今後どれほど多くの歴史家や学者や伝説記者や作家たちが、
068
聖師を題材にして研究したり筆を執ったりするかわからないほど、
069
興味
津々
(
しんしん
)
たる千変万化の波乱に富んだ御生涯でありました。
070
二代苑主の起たれた後の愛善苑は新たな希望と力をもって隆々と発展してゆきました。
071
昭和二十四年十二月八日には、
072
人類愛善会が再発足され、
073
澄子夫人は総裁として平和運動の陣頭に立って指導されることになり、
074
亀岡町に総本部をおき、
075
機関紙「人類愛善新聞」が復活されて、
076
世界連邦運動と協力して活動を開始することになりました。
077
昭和二十五年十二月二十九日、
078
人類愛善会々長・出口伊佐男氏は世界連邦日本国会委員会事務局長・日高一輝氏とともに、
079
十二月三十日よりジュネーヴに開かれる世界連邦大会に出席するため羽田を出発、
080
途中ローマ市に立寄り法王と会見した後、
081
大会に出席しました。
082
人類愛善会総本部は世界連邦の主旨を全国に普及徹底せしめるため、
083
人類愛善新聞五十六万七千部を発行しました。
084
かつて百万部を突破して全国に雄飛した人類愛善新聞は、
085
十五年ぶりで再発足後いまだ一年足らずの間に、
086
以上のごとき一躍驚異的発展を遂げたことは、
087
全会員の熱誠によるとともに、
088
人類愛善運動が如何に時代の要望に応えているかを物語るものであると言わねばなりません。
089
一方、
090
宗教法人愛善苑はますます本来の大本の宗教的信念にもとづいてその使命を発揮し、
091
昭和二十五年十二月八日教団の名を「大本愛善苑」と改称し、
092
全国に教線を拡張し、
093
組織を整備して終戦後の宗教界に目ざましい活動を進めてゆきました。
094
二代苑主はまず綾部にみろく殿の建設を
慫慂
(
しょうよう
)
され、
095
梅化
(
ばいか
)
運動を提唱されました。
096
梅化運動とは、
097
大本愛善苑の教団と、
098
愛善苑発足後昭和二十一年二月創立された「愛善みずほ会」(増産、
099
農村振興運動)前記「人類愛善会」、
100
大本楽天社(昭和二十四年十二月八日創立した芸術運動)、
101
エスペラント普及会(昭和二十五年二月再発足)、
102
大本の社会福祉事業等が、
103
あたかも梅の花の五弁の花のように一体となって積極的活動をしてゆく運動のことであります。
104
梅化
(
ばいか
)
は倍加に通じ、
105
梅の花が霜雪をしのいでりんりんと先端をきって運動を全世界にひろめてゆこうという運動であります。
106
しかし、
107
聖師の御昇天後再び全信徒の上に大きな悲しむべき事実が起りました。
108
それは昭和二十七年三月三十一日、
109
二代苑主が突如として御昇天になられたことでありました。
110
父を失い、
111
つづいて母に別れねばならなかった子供のように、
112
全信徒は再び大きな精神的打撃をうけたことは申すまでもありません。
113
信者の中には、
114
聖師の御昇天以上に二代苑主の御昇天に驚愕した人々もあったでありましょう。
115
中には聖師の御昇天の時に充分覚悟が出来ていて、
116
いよいよわれわれ信徒が独り歩きをすべき時期が来たのだと信じた人々もいたでありましょう。
117
二代苑主が表に立たれて活動された期間はまことに短いものでありました。
118
享年七十。
119
御遺骸は綾部天王平の開祖、
120
聖師の中央のやや後方に埋葬されました。
121
二代苑主の御生涯が比較的短かかったのは長年の御苦労、
122
ことに第二次大本事件の六年八カ月にわたる長期の獄中生活等のためであったでしょう。
123
晩年の苑主の御業績の中には御老体にもかかわらず、
124
全国的の御巡教をつづけられたこと、
125
原子爆弾の中心地広島市において犠牲者の霊に黙祷され、
126
綾部において万国戦災犠牲者の慰霊祭を執り行われたことなどが挙げられます。
127
二代苑主御昇天の翌日、
128
即ち昭和二十七年四月一日は奇しくも、
129
宗教法人法の改正に伴う教団規則の改正によって、
130
従来の「大本愛善苑」の名称が本来の「大本」に復帰し、
131
「苑主」が「教主」と改められて実施される日でありました。
132
この日、
133
出口
直日
(
なおひ
)
さんが、
134
かねて神定されていた通り三代教主として
起
(
た
)
たれることになったのであります。
135
大本は昭和二十七年の十一月十八日開教六十周年祭を迎え、
136
開祖、
137
聖師、
138
二代教主の基礎時代を経て、
139
いよいよ実践の時代に入ったのであります。
140
綾部に平和の聖堂たるみろく殿も建設されました。
141
大本が立替立直の枢軸として恒久世界平和の実現のために、
142
新しい世界宗教としての本来の使命を果すか否かは、
143
一に今後全信徒が如何に自覚し実践するかにかかっているのであります。
144
(終)
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聖師伝
> 37 御昇天後の大本
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霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
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【37 御昇天後の大本|聖師伝|聖師伝/B100800c37】
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