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昭和七年を想ふ

インフォメーション
題名:昭和七年を想ふ 著者:出口王仁三郎
ページ:536 目次メモ:
概要: 備考:2023/09/28校正 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-09-28 04:15:56 OBC :B121805c239
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]『人類愛善新聞』昭和7年1月3日号
◇昭和七年の感想、出来事をまともに話したら、世人(せじん)屹度(きつと)吃驚(びつくり)するだらう。(あるひ)は私を狂人視するのであらう。日本も極東事変も各植民地、国と国、民族と民族間に軋轢(あつれき)(いま)はしい闘争が演ぜられるであらう。勿論(もちろん)産業、経済、思想、政治、一切の世相、内治(ないち)の上にも大変動は免れぬ。で国民は(この)場合腹帯(はらおび)()()めて、()の難局に善処するの覚悟がなくてはならぬ、日本も一時は悲境に立つにしても結局は天佑神助によつて、九分九厘の所で(てのひら)(かへ)すやうに最後の勝利者になれる。
(つま)り日本を助けることは世界人類を助けることに帰着する。何故ならば日本は世界の元津国(もとつくに)であり世界の親国(おやぐに)であるから、日本が潰れるとなると世界も(とも)に潰れてしまふ。日本の国難を打破して世界の平和、人類の幸福を促進せむとせば、満蒙に於ける日本の権益を十分に確保せねばならぬ。満州事変なぞは芝居に(たと)へる三番臾(さんばんそう)で段々花道から本舞台に(はい)る。大正六年の大本神歌に『日清間の戦ひは、演劇に譬へて一番臾、日露戦争が二番叟、三番叟がこの(たび)の、五年に亘りし世界戦、竜虎(りうこ)(あひ)()(つちのえ)の、(うま)(とし)より本舞台、いよいよ初段と相成れば、西伯利亜(しべりや)線を花道と、(さだ)めて攻め()る曲津神』とは今度のことだ、(つちのえ)(うま)(とし)(おこ)(はず)だつた芝居は十二年延びてゐる。(これ)からお筆先通り一分一厘間違ひなく出て来る。露西亜(ろしあ)は今(さか)んに軍備の拡張につとめてゐる。油断は大敵だ。
◇これと反対に、英国はズルイから成るだけ兵を動かさないで,日本を胡魔化(ごまくわ)さうとしてゐる。米国の()つのは○、○年の(のち)だ。国際連盟なぞは、世界各国の国魂(くにたま)混茶(ごつちや)にさして(かへつ)て紛糾させるばかり。正義仁道とか国際信義なぞは権力や暴力の前には通らない。理事会の如きは大正十年事件の大本疑獄(ぎごく)そつくりだ。支那が加藤確治(かくぢ)で原告側になり、日本が大本の立場になつて被告である。そして十二()(こく)の理事国と亜米利加(アメリカ)が裁判官の役目で日本を(さば)く。要するに軍縮平和、国際会議の如きものは自国本位のもので、神意の国会開きでなくては、(しん)の平和は地上に招来されぬ。()うせ英米西(えべす)大国(だいこく)一肚(ひとはら)になつて日本をいぢめるであらう。本年から混乱が続き、本当に世界が安穏になるには、一九三七年()であらう。
◇満蒙は美貌よき乙女のやうな所とて、列国が流目(ながしめ)(つか)つてゐる。一人娘に(むこ)八人と言ふが、此のお(まん)さんには十三人からの(むこ)候補がゐる。蒙古は日本の十八倍、満州の東四(とうよん)遼寧省,吉林省,黒竜江省、熱河省の東北四省。は日本の四倍の面積を有し、天産自給の地だ。故に此処(ここ)にシツカリ国家が建設され、立派な統治が()かれたら東洋の平和は(おろ)か世界の幸福が確保されるのだ。で私は大正十三年大本事件の最中、身は責付(せきふ)でありながら積年の宿望(しゆくばう)と使命を(はた)すため、一身を挺して君国(くんこく)に殉ずるの大決心を以て万難を排し、三人の従者を犬、猿、雉子(きじ)(なぞら)へ、(みづか)ら桃太郎になつた気で蒙古入(もうこいり)をした。当時往年の宗社党(そうしやたう)巴布札布(ペプチヤツプ)秘将(ひしやう)()占魁(せんくわい)中将が蒙古大庫倫(だいくうろん)を征服し驍名(げうめい)()せたが失脚し(ちやう)作霖(さくりん)客分(きやくぶん)となつてゐたので、これと(かた)らひ(ちやう)の諒解を得てこれを(じやう)将軍として決行した。(もと)より日本政府には何等(なんら)のかかはりが無いので、縦横無碍(むげ)馳駆(ちく)したが、結果は失敗し、()上将(じやうしやう)(たふ)れ、私は白音太拉(パインタラ)から這々(はうはう)(てい)(のが)れた。
◇満蒙の紳民(しんみん)(かん)紳民とは紳士(上流階級)と民衆の意。には、宣統帝を擁立して独立国を建設しようと(くはだ)ててゐる。宣統帝の()(あが)るのも今が汐時であらう。明光(めいくわう)帝国明光帝国とは、満洲国建国以前に企図されていた国名の一つ。の名称は事変(ぜん)から屡々(しばしば)支那の要人に会つた時(すす)めてゐた。マア私が名付親とでも云はうか。
 (ついで)に述べて置くが、大本の立場だ。大本は武器は持たない。破壊の役目でなくてその(はう)()にある。大本は修理固成即ち世界の立直しをするのが神から授かつた大使命だ。此の目的の(もと)に昭和青年会は立直した。青年の奮起、それは二三年の(のち)になるやも知れぬ。
(昭和七・一・三号 人類愛善新聞)
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