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御手代の由来

インフォメーション
題名:御手代の由来 著者:出口王仁三郎
ページ:556 目次メモ:
概要: 備考:2023/09/28校正 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-09-28 02:00:28 OBC :B121805c252
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]『真如の光』大正15年6月15日号
 (いにしへ)は地方に()つて、杓子(しやくし)(その)家の主婦でなければ食物(しよくもつ)受授(じゆじゆ)するの権利を有しなかつた。それ故御飯(ごはん)の時の(わん)に盛る(めし)なども、必ず(その)家の主婦が(これ)を盛ると云ふ風習になつて居たものである。
 (いにしへ)の民謡にも、
  添うて八年()の有る仲だ 嫁に杓子を渡さんせ。
  年がよりても耄碌(もうろく)しても 嫁に杓子は渡されぬ。
などあるのも、(みな)一家(いつか)経済上の権利受授の代表たるべきものは杓子であつた事が分明(ぶんめい)である。右の二首の民謡の一は、嫁と(しうとめ)との中に入つた(むこ)歎息(たんそく)で、一は()(まで)も主婦の権利を持続しようとする姑の主張を(うた)つたものである。併し嫁を貰ふと直ぐに杓子の権利を嫁に譲る姑も(すくな)くは無かつたのである。
 この権利を嫁に譲ること即ち姑が嫁に世帯(しよたい)を任せるを杓子を渡すと云ひ、それから以後は飯を嫁に盛らせるのである。右の如く昔は杓子は生命(せいめい)の源泉たる食物(しよくもつ)を盛る為め一種の主婦権として貴重視されて居たのである。
 大本に(おい)て大正十二年以来御手代(みてしろ)として杓子を信仰堅実なる信者に渡すことに神定(しんてい)されたのも、未申(ひつじさる)金神(こんじん)(みづ)の大神が、丁度(ちやうど)姑が嫁に権利を譲渡すると同様に治病(ちびやう)一切の神権を譲つて下さると云ふ御経綸であつて杓子の拝戴者(はいたいしや)は実に神の殊恩に浴したる人と云ふべきものである。御手代の神力(しんりき)無限なる理由は、実にこの意義から特別の御神護(ごしんご)あるものと察する事が出来るのであります。
 又(さかづき)や茶碗、拇印(ぼいん)なども御手代の一つであつて、杓子と同様の御神護あるべきものであります。大本信徒は(すで)(すで)に実験されて()(はず)である。アゝ惟神霊幸倍坐世。
(大正一五・六・一五号 真如の光誌)
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