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玉全主義

インフォメーション
題名:玉全主義 著者:
ページ:566 目次メモ:
概要: 備考:霊界物語4巻18章(大正10年12月口述)の真ん中あたりの文章を若干修正したもの。a046「神人とは現代にいふ」~「実に遺憾の極みなりけり」 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-09-25 14:54:22 OBC :B121805c261
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]『瑞祥新聞』大正14年6月11日号
 神人(しんじん)とは、現代に()ふ人格の優れた人を云ふのではなく、人の形に造られた神の事で、(あるひ)竜蛇(りうじや)となり、猛虎(まうこ)となり、獅子となりて神変不思議の行為をなし()る神の(いひ)である。
 (ゆゑ)に神として元形(げんけい)のままに活動する時は、天地(てんち)をかけり、宇宙を自由自在に遠近明暗の区別なく活動し得るのである。宇宙の大元神(だいげんしん)(ここ)(おい)てその自由行動を圧抑(あつよく)し、地上の神界を修理せむとして神通力を除き神人なるものに生み()(かは)らしめ給うたのである。
 故に神人なるものは危急存亡の時に到るや、元の姿なる竜となり、白蛇(はくじや)となり、その他種々(しゆじゆ)の形に還元する事がある。(しか)れども還元するは神の生成化育、進歩発達の大精神に違反するものにして、一度(ひとたび)元形(げんけい)(ふく)し神変不可思議の神力(しんりき)(あら)はすや、(たちま)ち天則違反の大罪(だいざい)となりて、根底(ねそこ)の国に駆逐さるるのみならず、神格(たちま)ち下降して畜生道に陥るの恐れがある。故に神人たる名誉の地位を守るためには如何(いか)なる悔しさ、残念さをも隠忍して、その神格を保持する事を努力するのである。自暴自棄の神人は(つひ)に神格を捨て悪竜(あくりう)と変じ、(つひ)に万劫末代の亡びの(もと)(ひら)くのである。現代人の如き体主霊従の物質主義者は、(すべ)()の自暴自棄して再び畜生道に堕落したる邪神と同様である。(これ)を思はば人間たるものは、()くまで忍耐といふ事を厳守して、神の御裔(みすゑ)たる品格を永遠に保たねばならぬと思ふ。人間の中には短慮なるものがあつて、危急の場合とか一大事の場合に際し、身命を(なげう)ちてその主張を急速に達成せむとし、知らず識らずの間に自暴自棄的行動を敢行し、瓦全(ぐわぜん)よりも玉砕主義を選ぶと言つて誇るものがある。玉砕は自己の滅亡であつて(みづか)ら人格を無視するものとなり、神界の大神(おほかみ)()よりは自暴自棄、薄志弱行の()として指弾(しだん)され、霊魂の人格までも失墜するに致るのである。(すべ)瓦全(ぐわぜん)も玉砕も人間としては易々(いい)たる(わざ)である。天地(てんち)経綸(けいりん)の大司宰として(うま)()でしめられたる人間は、()くまでも隠忍自重して人格を尊重し、如何(いか)なる圧迫も困窮も災禍も、忍耐力即ち荒魂(あらみたま)(ゆう)(ふる)つて玉全(ぎよくぜん)を計らねばならぬのである。アア現代の人間にして(この)忍耐を守り、人格を傷害せざるもの幾人かある。人は残らず禽獣(きんじう)の域を脱する事(あた)はずして、神の造りし世界は日に月に餓鬼、修羅、畜生の暗黒と化しつつあるは実に遺憾の極みである。
(大正一四・六・一一号 瑞祥新聞)
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