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大正八年三月八日
インフォメーション
種類:
伊都能売神諭
年月日:
1919(大正8)年3月8日(旧2月7日)
神霊界掲載号:
大正8年3月15日号(第82号) 4頁
神霊界八幡書店復刻版:
第4巻 254頁
八幡書店版伊都能売神諭:
131頁
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-01-05 19:53:47
OBC :
is26
001
大正八年三月八日 旧二月七日
002
天
(
てん
)
に
坐
(
まし
)
ます
日
(
ひ
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
は、
003
天地
(
てんち
)
初発
(
しよつぱつ
)
の
時
(
とき
)
から、
004
世界
(
せかい
)
万物
(
ばんもつ
)
を
造
(
つく
)
りて
之
(
これ
)
を
愛護
(
あいご
)
し
給
(
たま
)
ひ、
005
永遠無窮
(
とこしえ
)
に
光
(
ひか
)
りを
与
(
あた
)
え、
006
地
(
ち
)
の
世界
(
せかい
)
を
照
(
て
)
らして
御守護
(
ごしゆごう
)
遊
(
あそ
)
ばすなり、
007
五六七
(
みろく
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
は
人民
(
じんみん
)
よりも
下
(
し
)
たに
降
(
を
)
りて、
008
地
(
ち
)
の
在
(
あ
)
らむ
限
(
かぎ
)
り、
009
遺
(
のこ
)
る
隈
(
くま
)
なく、
010
隠
(
かく
)
れて
御守護
(
ごしゆごう
)
下
(
くだ
)
され、
011
何
(
なに
)
一
(
ひ
)
とつ
自由
(
じゆう
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
も
成
(
な
)
さらずに、
012
万物
(
ばんぶつ
)
を
養育
(
やういく
)
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るなり。
013
地
(
ち
)
の
固成主
(
かためぬし
)
なる
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
は、
014
坤
(
ひつじさる
)
の
根神
(
こんじん
)
[
*
「根神」は底本通り
]
豊雲野尊
(
とよくもぬのみこと
)
と
水火
(
いき
)
を
合
(
あ
)
はして、
015
夫
(
そ
)
れ
夫
(
ぞ
)
れの
守護神
(
しゆごうじん
)
に
御苦労
(
ごくろう
)
に
成
(
な
)
りて
地
(
ち
)
を
固
(
かた
)
め
締
(
し
)
め、
016
一旦
(
いつたん
)
は
地
(
ち
)
の
世界
(
せかい
)
の
主宰者
(
つかさ
)
と
成
(
な
)
りたなれど、
017
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
の
為
(
ため
)
に
永
(
なが
)
らくの
間
(
あいだ
)
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
一代
(
いちだい
)
艮
(
うしとら
)
へ
押込
(
をしこ
)
められて、
018
隠
(
かげ
)
から
斯世
(
このよ
)
を
守護
(
しゆごう
)
いたして
居
(
を
)
りた
事
(
こと
)
の、
019
誠
(
まこと
)
の
精神
(
せいしん
)
と
行状
(
おこない
)
が
天地
(
てんち
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
の
御眼
(
おめ
)
に
留
(
とど
)
まりて、
020
再
(
ふたた
)
び
地
(
ち
)
の
世界
(
せかい
)
の
神界
(
しんかい
)
を
守護
(
しゆごう
)
いたすやうになりたのは、
021
誠
(
まこと
)
に
神
(
かみ
)
は
満足
(
まんぞく
)
であれども、
022
是
(
これ
)
だけに
乱
(
みだ
)
れた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を、
023
善
(
ぜん
)
一
(
ひ
)
とつの
神代
(
かみよ
)
の
神政
(
しんせい
)
に
改造
(
たてなを
)
すのは、
024
中々
(
なかなか
)
大業
(
たいもう
)
で
在
(
あ
)
るから、
025
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
に
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
と
共
(
とも
)
に
世
(
よ
)
に
落
(
をと
)
された
神々
(
かみがみ
)
を、
026
今度
(
こんど
)
の
天之岩戸開
(
あまのいわとびら
)
きの
御用
(
ごよう
)
いたさす
為
(
ため
)
に、
027
世
(
よ
)
に
上
(
あ
)
げて
神政成就
(
たてなをし
)
の
御用
(
ごよう
)
に
使
(
つか
)
ふから、
028
其
(
その
)
神々
(
かみがみ
)
の
名
(
な
)
を
上
(
うへ
)
から
上
(
うへ
)
から
表
(
あら
)
はして
置
(
を
)
くぞよ。
029
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
の
侍従長
(
わきだち
)
を
勤
(
つと
)
めたのは、
030
右
(
みぎ
)
が
猿田彦命
(
さるたひこのみこと
)
と
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
なり、
031
右
(
みぎ
)
の
侍従
(
つき
)
が
八雲立命
(
やくもたちのみこと
)
と
出雲姫命
(
いづもひめのみこと
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
なり、
032
左
(
ひだり
)
の
侍従長
(
わきだち
)
が
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
と
事足姫命
(
ことたるひめのみこと
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
なり、
033
左
(
ひだり
)
の
侍従
(
つき
)
が
国彦命
(
くにひこのみこと
)
と
国比女命
(
くにひめのみこと
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
の
神
(
かみ
)
でありたぞよ。
034
其他
(
そのほか
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
付々
(
つきづき
)
や
眷属
(
けんぞく
)
は
在
(
あ
)
りたなれど、
035
時節
(
じせつ
)
に
応
(
をう
)
じ、
036
手柄
(
てがら
)
に
由
(
よ
)
りて、
037
次々
(
つぎつぎ
)
に
名
(
な
)
を
表
(
あら
)
はすぞよ。
038
天
(
てん
)
の
規則
(
きそく
)
が
破
(
やぶ
)
れた
始
(
はじま
)
りは、
039
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
の
最
(
もつと
)
も
愛
(
あい
)
して
居
(
を
)
りた
百照彦命
(
ももてるひこのみこと
)
に
春子姫命
(
はるこひめのみこと
)
と
申
(
もう
)
す
妻
(
つま
)
がありたが、
040
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
は
愛情
(
あいぜう
)
深
(
ふか
)
き
神
(
かみ
)
で
在
(
あ
)
つたが、
041
終
(
つい
)
には
百照彦
(
ももてるひこ
)
の
命
(
みこと
)
の
妻
(
つま
)
の
春子姫
(
はるこひめ
)
に
手
(
て
)
が
掛
(
かか
)
り、
042
不調法
(
ぶちやうほう
)
が
出来
(
でき
)
たので、
043
天
(
てん
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
から
役目
(
やくめ
)
を
御取上
(
おとりあ
)
げに
成
(
な
)
つたのであるぞよ。
044
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
は
事足姫命
(
ことたるひめのみこと
)
と
申
(
もう
)
す
妻神
(
つまがみ
)
が
在
(
あ
)
りて、
045
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
、
046
行成彦命
(
ゆきなりひこのみこと
)
と
云
(
い
)
ふ
二柱
(
ふたはしら
)
の
神子
(
みこ
)
が
出来
(
でき
)
てあるにも
関
(
かか
)
はらず、
047
情
(
なさ
)
けに
耽
(
おぼ
)
れて
春子姫
(
はるこひめ
)
との
間
(
あいだ
)
に
怪
(
あや
)
しき
行為
(
おこない
)
が
結
(
むす
)
ばれたので、
048
天
(
てん
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
から
天
(
てん
)
の
規則
(
きそく
)
破
(
やぶ
)
りの
罪
(
つみ
)
として、
049
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
の
侍従長
(
わきだち
)
を
退職
(
たいしよく
)
されたので、
050
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
は
自分
(
じぶん
)
の
失態
(
しつたい
)
を
愧
(
は
)
ぢて
終
(
つい
)
に
国替
(
くにがへ
)
を
致
(
いた
)
されたので
在
(
あ
)
るぞよ。
051
そこで
八百万
(
やほよろづ
)
の
神々
(
かみがみ
)
も
其
(
その
)
心事
(
しんじ
)
を
気之毒
(
きのどく
)
に
思召
(
おぼしめ
)
されて、
052
種々
(
いろいろ
)
と
持
(
も
)
てなしを
成
(
な
)
されて、
053
長男
(
ちやうなん
)
の
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
が
父神
(
ちち
)
の
後
(
あと
)
を
継
(
つ
)
ぎて、
054
左
(
ひだり
)
の
侍従長
(
わきだち
)
と
成
(
な
)
り、
055
仁愛
(
じんあい
)
を
以
(
もつ
)
て
下
(
しも
)
を
治
(
をさ
)
め、
056
一時
(
いちじ
)
は
天下
(
てんが
)
泰平
(
たいへい
)
に
世
(
よ
)
が
治
(
をさ
)
まりて、
057
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
の
威勢
(
いせい
)
も
揚
(
あが
)
りたので
在
(
あ
)
りたぞよ。
058
然
(
しか
)
る
所
(
ところ
)
に
未亡神
(
みぼうじん
)
なる
事足姫命
(
ことたるひめのみこと
)
は、
059
夫神
(
おつと
)
の
御心情
(
ごしんぜう
)
も
察
(
さつ
)
せずに、
060
春永彦命
(
はるながひこのみこと
)
と
云
(
い
)
ふ
後
(
のち
)
の
夫
(
をつと
)
を
持
(
も
)
ちて、
061
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
を
生
(
う
)
み、
062
夫婦
(
ふうふ
)
の
神
(
かみ
)
が
仲良
(
なかよ
)
く
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
りたが、
063
是
(
これ
)
が
大変
(
たいへん
)
に
天
(
てん
)
の
規則
(
きそく
)
に
照
(
てら
)
して
面白
(
おもしろ
)
く
無
(
な
)
き
行為
(
をこない
)
で
在
(
あ
)
るぞよ。
064
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
下
(
しも
)
を
憐
(
あわれ
)
む、
065
精神
(
せいしん
)
の
善
(
よ
)
き
神
(
かみ
)
でありたから、
066
種違
(
たねちが
)
いの
兄神
(
あに
)
の
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
も
大変
(
たいへん
)
に
安神
(
あんしん
)
いたして、
067
自分
(
じぶん
)
の
副神
(
さしそえ
)
に
任
(
にん
)
じて、
068
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
の
祐
(
たす
)
けを
為
(
さ
)
せて
居
(
を
)
りたが、
069
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
は
月日
(
つきひ
)
の
経
(
た
)
つに
連
(
つ
)
れて、
070
始
(
はじ
)
めの
善良
(
ぜんれう
)
なる
精神
(
せいしん
)
が
狂
(
くる
)
ひ
出
(
だ
)
し、
071
上
(
うへ
)
の
神
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
も
聞
(
き
)
かず、
072
外神
(
かみがみ
)
の
難義
(
なんぎ
)
も
顧
(
かへり
)
みず、
073
終
(
つひ
)
には
慢神
(
まんしん
)
益々
(
ますます
)
増長
(
ぞうちやう
)
して、
074
兄神
(
あにがみ
)
の
権利
(
けんり
)
と
地位
(
ちい
)
を
占領
(
せんりよう
)
し、
075
只管
(
ひたすら
)
下
(
しも
)
斗
(
ばか
)
りの
機嫌
(
きげん
)
を
取
(
と
)
る
事
(
こと
)
に
而巳
(
のみ
)
心
(
こころ
)
を
碎
(
くだ
)
きたるが
故
(
ゆへ
)
に、
076
下
(
しも
)
の
神々
(
かみがみ
)
は
恩
(
をん
)
に
馴
(
な
)
れて
安楽
(
あんらく
)
な
道
(
みち
)
ばかりに
傾
(
かたむ
)
き
誠
(
まこと
)
の
天則
(
てんそく
)
を
守
(
まも
)
る
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
反対
(
はんたい
)
いたし
出
(
だ
)
し、
077
神界
(
しんかい
)
の
政治
(
せいじ
)
は
上
(
あ
)
げも
下
(
お
)
ろしも
成
(
な
)
らぬ
如
(
よ
)
うに
成
(
な
)
り
果
(
はて
)
て、
078
終
(
しまい
)
には
重立
(
をもだち
)
たる
侍従神
(
つきつき
)
もチリチリ
破乱々々
(
ばらばら
)
に
世
(
よ
)
に
押込
(
をしこ
)
められて
了
(
しも
)
ふて、
079
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
は
枝葉
(
えだは
)
を
断
(
き
)
られた
大樹
(
たいじゆ
)
の
如
(
よ
)
うに
致
(
いた
)
されて
了
(
しも
)
ふたので
在
(
あ
)
るぞよ。
080
是
(
これ
)
が
此世
(
このよ
)
に
体主霊従
(
あく
)
と
申
(
もう
)
す
事
(
こと
)
の
初
(
はじま
)
りであるぞよ。
081
◎
082
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
の
未亡神
(
みぼうじん
)
なる
事足姫命
(
ことたりひめのみこと
)
は、
083
貞操
(
ていさう
)
を
破
(
やぶ
)
りて
春永彦命
(
はるながひこのみこと
)
と
云
(
い
)
ふ
後
(
のち
)
の
夫神
(
をつとがみ
)
を
持
(
も
)
ち、
084
其間
(
そのあいだ
)
に
生
(
うま
)
れた
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
で
在
(
あ
)
るから、
085
初
(
はじ
)
めの
間
(
あいだ
)
は
大変
(
たいへん
)
に
円満
(
ゑんまん
)
な
神
(
かみ
)
で
在
(
あ
)
つたなれども、
086
母
(
はは
)
の
規則
(
きそく
)
破
(
やぶ
)
り、
087
不貞操
(
ふていさう
)
の
水火
(
いき
)
が
伝
(
つた
)
はりて
居
(
を
)
るから、
088
終
(
しまい
)
には
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
な
精神
(
せいしん
)
が
現
(
あら
)
はれて、
089
野心
(
やしん
)
を
起
(
をこ
)
し、
090
天地
(
てんち
)
の
経綸
(
しぐみ
)
を
破
(
やぶ
)
りたので
在
(
あ
)
るから、
091
神
(
かみ
)
は
猶更
(
なをさら
)
、
092
人民
(
じんみん
)
は
神
(
かみ
)
に
次
(
つい
)
での
結構
(
けつこう
)
な
身魂
(
みたま
)
であるから、
093
夫婦
(
ふうふ
)
の
道
(
みち
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
守
(
まも
)
り、
094
一夫一婦
(
いつぷいつぷ
)
の
規定
(
きてい
)
を
守
(
まも
)
らぬと、
095
終
(
つい
)
には
身
(
み
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼし、
096
家
(
いへ
)
を
破
(
やぶ
)
り
国家
(
こくか
)
に
害毒
(
がいどく
)
を
流
(
なが
)
して、
097
天地
(
てんち
)
の
規則
(
きそく
)
破
(
やぶ
)
りの
大罪人
(
だいざいにん
)
に
落
(
を
)
ちて
苦
(
くる
)
しまねば
成
(
な
)
らぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
しゆつたい
)
いたすぞよ。
098
事足姫命
(
ことたりひめのみこと
)
の
不貞操
(
ふていさう
)
な
行状
(
をこない
)
が
元
(
もと
)
に
成
(
な
)
りて、
099
神界
(
しんかい
)
が
一旦
(
いつたん
)
乱
(
みだ
)
れて
了
(
しま
)
ひ、
100
次
(
つぎ
)
に
人民
(
じんみん
)
の
世界
(
せかい
)
が
今
(
いま
)
の
如
(
よ
)
うに
乱
(
みだ
)
れて
来
(
き
)
たので
在
(
あ
)
るから、
101
悪
(
あく
)
と
云
(
い
)
ふ
行為
(
をこない
)
は
毛筋
(
けすじ
)
も
今度
(
こんど
)
は
無
(
な
)
きやうに、
102
水晶
(
すいしよう
)
の
神世
(
かみよ
)
に
立直
(
たてなを
)
すので
在
(
あ
)
るから、
103
皆
(
みな
)
の
人民
(
じんみん
)
は
互
(
たがい
)
に
気
(
き
)
を
注
(
つ
)
け
合
(
あ
)
ふて
心得
(
こころえ
)
て
下
(
くだ
)
されよ。
104
取返
(
とりかへ
)
しの
成
(
な
)
らん
事
(
こと
)
が
出来
(
しゆつたい
)
いたすぞよ。
105
斯
(
こ
)
の
天則
(
てんそく
)
を
破
(
やぶ
)
りた
二柱神
(
ふたはしらがみ
)
の
子
(
こ
)
の
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
が、
106
大野心
(
だいやしん
)
を
起
(
をこ
)
して、
107
下々
(
したじた
)
の
神
(
かみ
)
に
対
(
たい
)
し
贔屓
(
ひいき
)
を
取
(
と
)
らんとして、
108
八方
(
はつぽう
)
美人
(
びじん
)
主義
(
しゆぎ
)
を
非常
(
ひじやう
)
に
発揮
(
はつき
)
したる
為
(
ため
)
、
109
下
(
しも
)
は
之
(
これ
)
に
馴
(
な
)
れて
上
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
一
(
ひとつ
)
も
聞
(
き
)
かぬやうに
成
(
な
)
りたので、
110
他
(
ほか
)
の
善神
(
かみ
)
から
大禍津美命
(
おほまがつみのみこと
)
と
名
(
な
)
を
付
(
つ
)
けられたので
在
(
あ
)
るぞよ。
111
この
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
は
八十猛彦
(
やそたけるひこ
)
と
百武留彦
(
ももたけるひこ
)
を
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
寵愛
(
ちようあい
)
し、
112
両神
(
れうしん
)
を
頤使
(
つかい
)
て
益々
(
ますます
)
自己
(
われ
)
の
野心
(
やしん
)
を
遂行
(
すいこう
)
いたし、
113
自由
(
じゆう
)
自在
(
じざい
)
に
斯世
(
このよ
)
を
持荒
(
もちあ
)
らしたが
為
(
ため
)
に、
114
今
(
いま
)
に
世界
(
せかい
)
が
体主霊従
(
あく
)
の
身魂
(
みたま
)
斗
(
ばか
)
りに
成
(
な
)
りたので
在
(
あ
)
るぞよ。
115
それから
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
の
左
(
ひだり
)
の
侍従
(
つき
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
を
)
りた、
116
国比古之命
(
くにひこのみこと
)
は
侍従長
(
わきだち
)
の
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
の
国替
(
くにがへ
)
に
由
(
よ
)
り、
117
首長
(
かしら
)
の
無
(
な
)
くなつたのに
気
(
き
)
を
赦
(
ゆ
)
るし、
118
自由自在
(
じゆうじざい
)
に
自己主義
(
われよし
)
の
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
を
致
(
いた
)
して
世
(
よ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
119
大権力
(
だいけんりよく
)
を
振
(
ふ
)
り
舞
(
ま
)
はし、
120
終
(
つい
)
に
世界
(
せかい
)
を
乱
(
みだ
)
して
了
(
しも
)
ふたので
在
(
あ
)
るぞよ。
121
国比古之命
(
くにひこのみこと
)
と
国比女命
(
くにひめのみこと
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
間
(
あいだ
)
に
三柱
(
みはしら
)
の
神子
(
みこ
)
が
生
(
うま
)
れて、
122
長子
(
ちやうし
)
を
真道知彦命
(
まみちしるひこのみこと
)
、
123
次子
(
じし
)
を
青森行成彦命
(
あをもりゆきなりひこのみこと
)
、
124
三子
(
さんし
)
を
梅ケ香彦命
(
うめがかひこのみこと
)
と
申
(
もう
)
す
名
(
な
)
が
付
(
つ
)
けてありたぞよ。
125
此
(
こ
)
の
三神
(
さんじん
)
の
兄弟
(
きやうだい
)
は、
126
父母
(
ふぼ
)
の
神
(
かみ
)
に
似
(
に
)
ぬ
厳格
(
げんかく
)
にして、
127
智仁勇
(
ちじんゆう
)
兼備
(
けんび
)
の
善良
(
ぜんりやう
)
な
神
(
かみ
)
で
在
(
あ
)
るから、
128
父母
(
ちちはは
)
両神
(
りようしん
)
に
度々
(
たびたび
)
兄弟
(
きようだい
)
が
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
る
意見
(
いけん
)
を
致
(
いた
)
したなれど、
129
少
(
すこ
)
しも
聞入
(
ききい
)
れなき
故
(
ゆへ
)
に、
130
何
(
いづ
)
れも
時節
(
じせつ
)
を
待
(
ま
)
つて
父母
(
ふぼ
)
の
改心
(
かいしん
)
を
促
(
うな
)
がさんと、
131
古
(
ふる
)
き
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
より、
132
堪
(
こら
)
え
堪
(
こら
)
えて
貯
(
たくわ
)
えし、
133
誠
(
まこと
)
の
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
く
世
(
よ
)
に
成
(
な
)
りたから、
134
今度
(
こんど
)
の
二度目
(
にどめ
)
の
天之岩戸開
(
あまのいわとびら
)
きに
就
(
つい
)
て、
135
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
の
大神業
(
だいしんげう
)
を
輔
(
たす
)
け、
136
父母
(
ふぼ
)
の
大罪
(
だいざい
)
を
償
(
つぐな
)
はんと、
137
一生懸命
(
いつせうけんめい
)
に
兄弟
(
きやうだい
)
の
神
(
かみ
)
が
力
(
ちから
)
を
合
(
あ
)
はして
活動
(
かつどう
)
いたして
居
(
を
)
れるぞよ。
138
◎
139
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
と
行成彦命
(
ゆきなりひこのみこと
)
は、
140
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
と
事足姫命
(
ことたりひめのみこと
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
の
間
(
あいだ
)
の
神子
(
みこ
)
であるぞよ。
141
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
は
未亡神
(
みぼうじん
)
事足姫命
(
ことたりひめのみこと
)
と、
142
後添
(
のちをひ
)
の
夫神
(
をつと
)
春永彦命
(
はるながひこのみこと
)
の
間
(
なか
)
の
神子
(
みこ
)
であるぞよ。
143
◎
144
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
は
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
の
為
(
ため
)
に、
145
非常
(
ひじやう
)
なる
困難
(
こんなん
)
の
地位
(
ちい
)
に
落
(
を
)
ち、
146
筆紙
(
ひつし
)
に
尽
(
つく
)
されぬ
程
(
ほど
)
の
艱難辛苦
(
かんなんしんく
)
を
致
(
いた
)
した
神
(
かみ
)
であるぞよ。
147
其
(
その
)
原因
(
げんいん
)
は
父神
(
ちちがみ
)
の
真心彦命
(
うらひこのみこと
)
が
大罪
(
だいざい
)
を
犯
(
をか
)
して
天則
(
てんそく
)
を
破
(
やぶ
)
り、
148
侍従長
(
わきだち
)
重職
(
じうしよく
)
を
退
(
しりぞ
)
き、
149
且
(
か
)
つ
神去
(
かみさり
)
ましたので、
150
忠孝
(
ちうこう
)
仁義
(
じんぎ
)
に
厚
(
あつ
)
き
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
は、
151
昔
(
むかし
)
から
貯
(
たくわ
)
えた
善
(
ぜん
)
の
神力
(
しんりき
)
で、
152
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
稜威
(
みいづ
)
を
輝
(
かが
)
やかし、
153
天地万有
(
てんちばんゆう
)
を
安
(
やす
)
きに
救
(
すく
)
ひ、
154
且
(
か
)
つ
父母
(
ふぼ
)
両神
(
れうしん
)
の
大罪
(
だいざい
)
を
償
(
つぐな
)
はんと
思召
(
おぼしめ
)
しての、
155
御艱難
(
ごかんなん
)
を
為
(
し
)
て
居
(
を
)
れるぞよ。
156
此
(
この
)
神
(
かみ
)
は
至善
(
しぜん
)
至愛
(
しあい
)
の
身魂
(
みたま
)
であれど、
157
其
(
その
)
温順
(
おんじゆん
)
なる
身魂
(
みたま
)
の
性来
(
せうらい
)
として
厳
(
きび
)
しき
事
(
こと
)
を
申
(
もう
)
すのが
嫌
(
いや
)
で
在
(
あ
)
つた
為
(
ため
)
に、
158
異父弟
(
をとうと
)
の
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
の
乱政
(
らんせい
)
を
戒
(
いまし
)
め、
159
改
(
あらた
)
めしめる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
なんだのが、
160
此
(
この
)
神
(
かみ
)
の
一生
(
いつせう
)
の
失敗
(
しつぱい
)
でありたぞよ。
161
それで
此
(
こ
)
の
大本
(
おほもと
)
の
教
(
をしへ
)
は、
162
天
(
てん
)
の
規則
(
きそく
)
に
外
(
は
)
づれた
事
(
こと
)
は、
163
容赦
(
ようしや
)
なく
厳
(
きび
)
しく
申
(
もう
)
して
戒
(
いまし
)
める
御道
(
おみち
)
であるから、
164
情義
(
ぜうぎ
)
にからまれて
天
(
てん
)
の
規則
(
きそく
)
を
外
(
はづ
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬぞよ。
165
桃上彦命
(
ももがみひこのみこと
)
の
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
が
天則
(
てんそく
)
に
外
(
は
)
づれて
居
(
を
)
りた
斗
(
ばか
)
りに、
166
下々
(
したじた
)
が
段々
(
だんだん
)
と
増長
(
ぞうちよう
)
して、
167
君
(
きみ
)
、
168
大臣
(
おうみ
)
、
169
小臣
(
おみ
)
、
170
民
(
たみ
)
の
四階級
(
しかいきう
)
を
破壊
(
はかい
)
して
了
(
しも
)
ふたので、
171
八百万
(
やほよろづ
)
の
真
(
まこと
)
の
神々
(
かみがみ
)
が
忍
(
しの
)
び
兼
(
かね
)
て
各自
(
めんめ
)
に
退職
(
たいしよく
)
を
致
(
いた
)
されたので、
172
神界
(
しんかい
)
の
政治
(
せいじ
)
は
如何
(
いかん
)
ともする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬやうに
成
(
な
)
りたので
在
(
あ
)
るぞよ。
173
そこで
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
は
弟神
(
おとうとがみ
)
の
行成彦命
(
ゆきなりひこのみこと
)
と
力
(
ちから
)
を
合
(
あ
)
はせ、
174
心
(
こころ
)
を
一
(
いつ
)
にして
天則
(
てんそく
)
を
厳守
(
げんしゆ
)
し、
175
回天
(
かいてん
)
の
事業
(
じげう
)
を
起
(
をこ
)
し、
176
完全
(
かんぜん
)
に
神代
(
かみよ
)
を
改造
(
かいざう
)
せんと
焦慮
(
せうりよ
)
せられたなれど、
177
安逸
(
あんいつ
)
なる
放縱神政
(
よのやりかた
)
に
馴
(
な
)
れたる
神々
(
かみがみ
)
は
一柱
(
ひとはしら
)
も
賛成
(
さんせい
)
なく、
178
天地
(
てんち
)
は
益々
(
ますます
)
暗黒界
(
あんこくかい
)
と
成
(
な
)
り、
179
上
(
あ
)
げも
下
(
お
)
ろしも
出来
(
でき
)
ず、
180
万妖億邪
(
わざわい
)
一度
(
いちど
)
に
突発
(
とつぱつ
)
したので、
181
国常立尊
(
くにとこたちのみこと
)
の
侍従
(
つき
)
の
役
(
やく
)
を
勤
(
つと
)
めた、
182
猿田彦命
(
さるたひこのみこと
)
の
妻神
(
つまがみ
)
なる
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
と、
183
八雲立命
(
やくもたちのみこと
)
の
妻神
(
つまがみ
)
なる
出雲姫命
(
いづもひめのみこと
)
が、
184
非常
(
ひじやう
)
に
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
り
身
(
み
)
を
竭
(
つく
)
し、
185
神政改造
(
しんせいかいざう
)
の
為
(
ため
)
に
在
(
あ
)
るに
在
(
あ
)
られん
数十万年
(
すうじうまんねん
)
の
永
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
の
御艱難
(
ごかんなん
)
を
成
(
な
)
されて、
186
今
(
いま
)
に
神界
(
しんかい
)
で
大変
(
たいへん
)
な
御活動
(
ごかつどう
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
を
)
られるが、
187
今
(
いま
)
に
苦労
(
くろう
)
の
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
くやうに
成
(
な
)
りて
来
(
き
)
たから、
188
今度
(
こんど
)
は
苦労
(
くろう
)
の
凝
(
かたま
)
りで、
189
万劫末代
(
まんごうまつだい
)
萎
(
しほ
)
れぬ
結構
(
けつこう
)
な
生花
(
いきばな
)
が
開
(
ひら
)
くから、
190
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
は
是
(
これ
)
を
見
(
み
)
て
一日
(
いちにち
)
も
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して、
191
君国
(
くんこく
)
の
為
(
ため
)
に
出来
(
でき
)
るだけの
苦労
(
くろう
)
を
勇
(
いさ
)
んで
致
(
いた
)
して、
192
日本魂
(
やまとだましい
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
193
神国
(
しんこく
)
成就
(
ぜうじゆ
)
の
為
(
ため
)
に
真心
(
まごごろ
)
を
尽
(
つく
)
して
下
(
くだ
)
されよ。
194
後
(
あと
)
にも
先
(
さき
)
にも
無
(
な
)
き
結構
(
けつこう
)
な
天地
(
てんち
)
の
岩戸
(
いわと
)
が
開
(
ひら
)
くのであるから、
195
日本
(
にほん
)
の
人民
(
じんみん
)
は
一人
(
いちにん
)
なりとも
余計
(
よけい
)
に
改心
(
かいしん
)
して、
196
岩戸
(
いわと
)
開
(
びら
)
きの
御用
(
ごよう
)
に
身魂
(
みたま
)
を
捧
(
ささ
)
げて
下
(
くだ
)
されよ。
197
末代
(
まつだい
)
名
(
な
)
の
残
(
のこ
)
る
事
(
こと
)
であるぞよ。
198
猿田彦命
(
さるたひこのみこと
)
と
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
の
間
(
なか
)
に
三柱
(
みはしら
)
の
神子
(
みこ
)
が
生
(
うま
)
れて、
199
長女
(
ちようじよ
)
が
杵築姫命
(
きづきひめのみこと
)
、
200
次女
(
じじよ
)
が
朝子姫命
(
あさこひめのみこと
)
、
201
三女
(
さんじよ
)
が
猿子姫命
(
さるこひめのみこと
)
と
申
(
もう
)
すぞよ。
202
天
(
てん
)
の
規則
(
きそく
)
が
破
(
やぶ
)
れて、
203
神政
(
しんせい
)
が
潰滅
(
ほろび
)
た
際
(
さい
)
に、
204
猿田彦命
(
さるたひこのみこと
)
は
妻神
(
つまがみ
)
の
意見
(
いけん
)
を
聞
(
き
)
かず、
205
却
(
かへ
)
つて
大
(
おほい
)
に
立腹
(
りつぷく
)
せられ、
206
三柱
(
みはしら
)
の
姫神
(
ひめがみ
)
を
引連
(
ひきつ
)
れて
天上
(
てんぜう
)
に
昇
(
のぼ
)
りて
了
(
しも
)
ふた、
207
神政
(
しんせい
)
に
冷淡
(
れいたん
)
なる
神
(
かみ
)
であるぞよ。
208
茲
(
ここ
)
に
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
は
思
(
をも
)
ひ
掛
(
が
)
けも
無
(
な
)
く
夫神
(
をつとがみ
)
と
三柱
(
みはしら
)
の
大切
(
たいせつ
)
な
姫神
(
ひめがみ
)
とに
生
(
い
)
き
別
(
わか
)
れの
辛酸
(
しんさん
)
を
甞
(
な
)
められた、
209
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
神
(
かみ
)
であるぞよ。
210
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
は
悲歎
(
ひたん
)
行
(
や
)
る
方
(
かた
)
なく、
211
天
(
てん
)
を
仰
(
おほ
)
ぎ
地
(
ち
)
に
伏
(
ふ
)
して、
212
猿田彦命
(
さるたひこのみこと
)
に
天
(
てん
)
より
降
(
くだ
)
り
玉
(
たま
)
ひて、
213
此
(
こ
)
の
乱
(
みだ
)
れた
神代
(
かみよ
)
を
改造
(
かいざう
)
し
給
(
たま
)
へと、
214
一生懸命
(
いつせうけんめい
)
に
歎願
(
たんがん
)
致
(
いた
)
されたなれど、
215
一徹短慮
(
いつてつたんりよ
)
の
猿田彦命
(
さるたひこのみこと
)
は
妻神
(
つまがみ
)
の
言
(
ことば
)
に
耳
(
みみ
)
を
藉
(
か
)
さず、
216
三柱
(
みはしら
)
の
姫神
(
ひめがみ
)
までも
地
(
ち
)
へ
降
(
をろ
)
されなんだのであるぞよ。
217
茲
(
ここ
)
に
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
は
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
の
窮状
(
きうぜう
)
を
察
(
さつ
)
し、
218
一方
(
いつぽう
)
の
力
(
ちから
)
に
成
(
な
)
らんと、
219
弟神
(
をとうとがみ
)
の
行成彦命
(
ゆきなりひこのみこと
)
と
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
、
220
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
に
向
(
むか
)
ひて
申
(
もう
)
さるるには、
221
斯
(
こ
)
の
騒動
(
さうだう
)
は
吾々
(
われわれ
)
にも
大責任
(
だいせきにん
)
あり
傍観
(
ぼうかん
)
する
時
(
とき
)
に
非
(
あら
)
ず、
222
貴神
(
あなた
)
の
国土
(
こくど
)
の
為
(
ため
)
に
心
(
こころ
)
を
碎
(
くだ
)
きなさるのを
御助
(
おたす
)
け
申上
(
もうしあ
)
げたいからと、
223
兄弟
(
きやうだい
)
の
神
(
かみ
)
が
心
(
こころ
)
を
一
(
ひと
)
つに
致
(
いた
)
して
漸
(
やうや
)
く
苦心
(
くしん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
224
猿田姫命
(
さるたひめのみこと
)
の
一時
(
いちじ
)
の
困難
(
こんなん
)
を
助
(
たす
)
けた
誠
(
まこと
)
に
至善
(
しぜん
)
なる
神
(
かみ
)
でありたぞよ。
225
◎
226
茲
(
ここ
)
に
猿田彦命
(
さるたひこのみこと
)
は
天上
(
てんぜう
)
に
昇
(
のぼ
)
りて、
227
自由
(
じゆう
)
に
神政
(
しんせい
)
の
経綸
(
しぐみ
)
を
為
(
な
)
さんとすれど、
228
元
(
もと
)
より
妻神
(
つまがみ
)
を
見捨
(
みすて
)
られし
位
(
ぐらい
)
の
気儘
(
きまま
)
な
神
(
かみ
)
で
在
(
あ
)
るから、
229
真
(
まこと
)
の
日本魂
(
やまとだましい
)
が
欠
(
か
)
けて
居
(
を
)
る
為
(
ため
)
に、
230
事
(
こと
)
志
(
こころざし
)
と
相違
(
さうい
)
し、
231
中界
(
ちうかい
)
の
魔神
(
まじん
)
とまで
成
(
な
)
り
果
(
は
)
てたのであるが、
232
高天原
(
たかあまはら
)
の
岩戸
(
いわと
)
が
開
(
ひら
)
けて
後
(
のち
)
、
233
皇孫
(
こうそん
)
二二岐命
(
ににぎのみこと
)
が
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
水穂国
(
みづほのくに
)
に、
234
天照皇大神
(
あまてらすおほかみ
)
の
神勅
(
しんちよく
)
を
奉
(
ほう
)
じて
地上
(
ちじよう
)
に
降臨
(
こうりん
)
あらせらるるに
際
(
さい
)
し、
235
猿田彦
(
さるたひこ
)
大将軍
(
だいせうぐん
)
と
成
(
な
)
りて、
236
中界
(
ちうかい
)
の
魔軍
(
まぐん
)
を
数多
(
あまた
)
召
(
よ
)
び
集
(
つど
)
へ、
237
天
(
あま
)
の
八衢
(
やちまた
)
[
*
底本は「八街(やまた)」
]
に
出
(
い
)
でで、
238
皇孫
(
くわうそん
)
降臨
(
こうりん
)
の
途
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
がんと
為
(
な
)
したるを、
239
神代
(
かみよ
)
の
女傑神
(
じよけつしん
)
天宇受売命
(
あめのうづめのみこと
)
の
為
(
ため
)
に
矛
(
ほこ
)
を
返
(
かへ
)
して
皇孫
(
くわうそん
)
に
帰順
(
きじゆん
)
し、
240
悪心
(
あくしん
)
を
翻
(
ひる
)
がへして
忽
(
たちま
)
ち
善良
(
ぜんれう
)
の
神
(
かみ
)
となり、
241
皇孫
(
くわうそん
)
の
御先導
(
ごせんどう
)
となりて、
242
筑紫
(
つくし
)
の
国
(
くに
)
の
櫛振
(
くしふり
)
の
峰
(
みね
)
に
送
(
をく
)
り
仕
(
つか
)
え
奉
(
まつ
)
られたのであるぞよ。
243
此
(
こ
)
の
天宇受売命
(
あめのうづめのみこと
)
は
元来
(
ぐわんらい
)
は
出雲姫命
(
いづもひめのみこと
)
の
変化
(
へんげ
)
の
神
(
かみ
)
でありたが、
244
天
(
てん
)
の
規則
(
きそく
)
が
破
(
やぶ
)
れた
折
(
をり
)
に、
245
何
(
なん
)
なりとも
善
(
ぜん
)
を
尽
(
つく
)
し
義
(
ぎ
)
を
立
(
た
)
てて、
246
神国
(
しんこく
)
の
麻柱
(
あなない
)
の
道
(
みち
)
を
立
(
た
)
てんと
焦心
(
しようしん
)
せられたなれど、
247
何分
(
なにぶん
)
にも
肝腎
(
かんじん
)
の
大本元
(
だいほんげん
)
が
破壊
(
はくわい
)
されて
在
(
あ
)
るのであるから、
248
真実
(
まこと
)
の
神業
(
しんげう
)
は
成功
(
せいこう
)
する
事
(
こと
)
に
至
(
いた
)
らずして、
249
大正
(
たいせう
)
の
御代
(
みよ
)
の
今日
(
こんにち
)
まで
忍耐
(
にんたい
)
をいたして
居
(
を
)
れたが、
250
此
(
こ
)
の
神
(
かみ
)
の
誠
(
まこと
)
の
活動
(
かつだう
)
が
成就
(
ぜうじゆ
)
するのは
今後
(
これから
)
であるぞよ。
251
広心彦命
(
ひろむねひこのみこと
)
も
非常
(
ひじやう
)
に
苦心
(
くしん
)
致
(
いた
)
され、
252
天
(
あめ
)
の
下
(
した
)
を
平
(
たひら
)
けく
安
(
やす
)
らけく
治
(
をさ
)
め
玉
(
たま
)
ふ
現人神
(
げんじんしん
)
の、
253
隠
(
かげ
)
から
御守護
(
ごしゆごう
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
れど、
254
今
(
いま
)
に
誠
(
まこと
)
の
事
(
こと
)
は
成功
(
せいこう
)
致
(
いた
)
さず、
255
小
(
ちい
)
さい
国
(
くに
)
の
一
(
ひと
)
つ
位
(
ぐら
)
いでは
未
(
ま
)
だ
十分
(
じうぶん
)
の
満足
(
まんぞく
)
が
出来
(
でき
)
ぬので、
256
科学
(
かがく
)
の
力
(
ちから
)
を
借
(
か
)
りて
三千世界
(
さんぜんせかい
)
を
開
(
ひら
)
かうと
思召
(
おぼしめ
)
し、
257
○○を
用
(
もち
)
ゐる
程
(
ほど
)
益々
(
ますます
)
体主霊従
(
あく
)
が
盛
(
さか
)
んになりて
来
(
き
)
て、
258
世界
(
せかい
)
が
段々
(
だんだん
)
と
乱
(
みだ
)
れる
斗
(
ばか
)
りで、
259
上
(
あ
)
げも
下
(
お
)
ろしも
成
(
な
)
らぬやうに
成
(
な
)
りたなれど、
260
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
の
時代
(
じだい
)
から
絶
(
た
)
えずに
国土
(
こくど
)
を
思
(
をも
)
ひ、
261
神君
(
しんくん
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
思
(
をも
)
はれた
誠
(
まこと
)
の
在
(
あ
)
る
神
(
かみ
)
であるから、
262
今度
(
こんど
)
の
二度目
(
にどめ
)
の
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
の
生
(
い
)
き
神
(
がみ
)
が、
263
揃
(
そろ
)
ふて
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
の
配下
(
はいか
)
で
艮
(
とどめ
)
の
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
さるるに
就
(
つい
)
て、
264
神代
(
かみよ
)
からの
順次
(
じゆんじ
)
を
明白
(
ありやか
)
に
立別
(
たてわ
)
けて
御用
(
ごよう
)
に
掛
(
かか
)
りて
居
(
を
)
れるぞよ。
265
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
の
昔
(
むかし
)
からの
因縁
(
いんねん
)
の
判
(
わか
)
る
時節
(
じせつ
)
に
成
(
な
)
りたから、
266
誰
(
だれ
)
に
由
(
よ
)
らず
改心
(
かいしん
)
が
一等
(
いつとう
)
ぞよ。
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【大正8年3月8日|伊都能売神諭|/is26】
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