霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 大蛇(をろち)ケ原(はら)〔五一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第2篇 天岩戸開(二) よみ(新仮名遣い):あまのいわとびらき(二)
章:第14章 大蛇ケ原 よみ(新仮名遣い):おろちがはら 通し章番号:510
口述日:1922(大正11)年03月09日(旧02月11日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
初公の前身は、聖地エルサレムで天使長を補佐する行成彦の従神・行平別であった。それがイホの都の人民の中に、侠客と現れていたのであった。
初公は谷道を宣伝使たちを探して降ってくると、大蛇が宣伝使たちを口にくわえて飲み込んでしまったところに出くわした。
初公は怒り、大蛇に向かって宣伝歌を歌おうとしたが、体が動かなくなってしまった。大蛇はやってきて、初公も飲み込んでしまった。初公は真っ暗な大蛇の腹の中を宣伝歌を歌いながら進んで行くと、光るものに出会ったと思ったら、それは蚊取別の頭であった。
気がつくと、そこは大蛇の腹の中ではなく、秋月の滝のちょっと下手の谷道であった。初公は、またしても大蛇に幻惑されたかと思うや、大岩石が一同めがけて降り注いだ。
一同は岩石をよけていたが、疲れ果ててついには谷底に落ち込んでしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-12 00:42:54 文字数:2277 OBC :rm1214
愛善世界社版:117頁 八幡書店版:第2輯 668頁 修補版: 校定版:123頁 普及版:50頁 初版: ページ備考:
001有為(うゐ)転変(てんべん)の世(よ)の習(なら)ひ
002淵瀬(ふちせ)と変(かは)る人(ひと)の身(み)は
003栄枯(えいこ)盛衰(せいすゐ)会者(ゑしや)定離(ぢやうり)
004浮世(うきよ)の風(かぜ)に操(あやつ)られ
005高天原(たかあまはら)の天使長(てんしちやう)
006その神政(しんせい)を輔翼(ほよく)する
007行成彦(ゆきなりひこ)の伴神(ともがみ)と
008仕(つか)へて其(その)名(な)を内外(うちそと)に
009轟(とどろ)かしたる行平別(ゆきひらわけ)[※初公の本名]の
010神(かみ)の命(みこと)はイホの国(くに)
011花(はな)の都(みやこ)に現(あら)はれて
012卑(いや)しき人(ひと)の群(むれ)に入(い)り
013弱(よわ)きを救(すく)ふ侠客(をとこだて)
014名(な)も初公(はつこう)と改(あらた)めて
015花(はな)咲(さ)く春(はる)を待(ま)つ間(うち)に
016世(よ)は常暗(とこやみ)となり果(は)てて
017春夏秋(はるなつあき)の別(わか)ちなく
018悪魔(あくま)は日々(ひび)にふゆの空(そら)
019心(こころ)さむしく世(よ)を渡(わた)る
020身(み)の果(はて)こそは哀(あはれ)なり
021月日(つきひ)は廻(めぐ)る時津風(ときつかぜ)
022神(かみ)の伊吹(いぶき)に払(はら)はれて
023心(こころ)も勇(いさ)む宣伝使(せんでんし)
024五(ご)人(にん)の後(あと)に従(したが)ひて
025夜(よ)も秋月(あきづき)の滝(たき)の音(ね)に
026曲(まが)言向(ことむ)けて唯(ただ)一人(ひとり)
027神(かみ)の御稜威(みいづ)を称(たた)へつつ
028深雪(みゆき)の滝(たき)に立(た)ち向(むか)ふ。
029 初公(はつこう)の行平別(ゆきひらわけ)は、030荊棘(けいきよく)茂(しげ)る谷道(たにみち)を、031尋(たづ)ね尋(たづ)ねて瀑布(たき)を目当(めあ)てに下(くだ)り行(ゆ)く。032瀑布(ばくふ)の前(まへ)には数十(すうじふ)人(にん)の人声(ひとごゑ)、033見(み)れば蚊取別(かとりわけ)、034祝姫(はふりひめ)その他(た)の宣伝使(せんでんし)を口(くち)に啣(くわ)へながら、035蜒々(えんえん)たる大蛇(をろち)は鎌首(かまくび)を立(た)て此方(こなた)に向(むか)つて進(すす)み来(く)る。
036 数十(すうじふ)人(にん)の人々(ひとびと)はこの光景(くわうけい)を見(み)て、037手(て)を打(う)ち心地(ここち)よげに立(た)ち騒(さわ)いで居(ゐ)る。038初公(はつこう)は之(これ)を見(み)るより怒(いか)り心頭(しんとう)に達(たつ)し、
039行平別(初公)『につくき大蛇(をろち)の悪魔(あくま)、040五(ご)人(にん)の宣伝使(せんでんし)を呑(の)み食(くら)はむとするか、041待(ま)て待(ま)て我(わが)真心(まごころ)の言霊(ことたま)の剣(つるぎ)に亡(ほろ)ぼし呉(く)れむ』
042と宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)はむとすれば、043口(くち)塞(ふさ)がり痺(しび)れてピリツとも動(うご)かなくなつて居(を)る。044身体(からだ)は見(み)る見(み)る硬直(かうちよく)して自由(じいう)に動(うご)く事(こと)さへ出来(でき)なくなつて来(き)た。
045 行平別(ゆきひらわけ)は身体(からだ)を縛(しば)られ口(くち)を鎖(とざ)され、046どうする事(こと)も出来(でき)ず、047力(ちから)と頼(たの)む五(ご)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は、048見(み)る見(み)る大蛇(をろち)に呑(の)まれて了(しま)つた。049大蛇(をろち)は行平別(ゆきひらわけ)に向(むか)つて、
050大蛇(をろち)『ヤア彼処(あそこ)に、051もう一人(ひとり)の片割(かたわ)れが居(を)る。052これも序(ついで)に呑(の)むでやらうか』
053と云(い)ひながら大口(おほぐち)を開(あ)けて、054今(いま)や一口(ひとくち)に食(くら)はむとする勢(いきほひ)である。055行平別(ゆきひらわけ)は心(こころ)の中(うち)で神言(かみごと)を奏上(そうじやう)しながら……どうなとなれよ、056神々(かみがみ)に任(まか)した此(この)体(からだ)、057呑(の)むなら呑(の)めよ……と口(くち)には得(え)云(い)はねど顔色(がんしよく)に現(あら)はして居(ゐ)る。058心(こころ)では一生(いつしやう)懸命(けんめい)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)するや、059不思議(ふしぎ)に発声(はつせい)の自由(じいう)を得(え)た。
060行平別『ヤア大蛇(をろち)の奴(やつ)、061貴様(きさま)は怪(け)しからぬ奴(やつ)だ。062五(ご)人(にん)の宣伝使(せんでんし)を、063今(いま)見(み)て居(を)れば、064一口(ひとくち)に呑(の)んで了(しま)ひよつたな。065ヨシ俺(おれ)が貴様(きさま)の腹(はら)の中(なか)に這入(はい)つて、066大蛇(をろち)身中(しんちゆう)の神(かみ)となつて平(たひら)げてやらう。067サア足(あし)から呑(の)むか、068頭(あたま)から呑(の)むか、069お望(のぞ)み次第(しだい)だ』
070 大蛇(をろち)は一丈(いちぢやう)ばかりの岐(また)になつた舌(した)をペロペロと出(だ)し、071行平別(ゆきひらわけ)を舌(した)の先(さき)に巻(ま)いてグツと呑(の)み込(こ)むで了(しま)つた。
072行平別『ヤア、073たうとう俺(おれ)を呑(の)むで了(しま)ひよつたナ。074随分(ずゐぶん)暗(くら)い穴(あな)だ。075五(ご)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は何処(どこ)迄(まで)行(い)つて居(を)るのか知(し)ら。076大分(だいぶん)に来(き)た積(つも)りだがねつから其処辺(そこら)に声(こゑ)がせぬ。077随分(ずゐぶん)大(おほ)きな大蛇(をろち)だ。078この間(あひだ)夢(ゆめ)に見(み)た奴(やつ)かも知(し)れぬぞ、079この儘(まま)雲(くも)を起(おこ)して俺(おれ)達(たち)を呑(の)むだまま天(てん)に舞(ま)ひ上(あが)るのか知(し)ら。080何(なに)構(かま)ふものか舞(ま)ひ上(あが)つたつて腹(はら)の中(なか)だ、081落(お)ちる心配(しんぱい)はない、082また地(ち)から天(てん)におつこちた者(もの)もない、083マア緩(ゆつ)くり宣伝歌(せんでんか)でも歌(うた)つてやらうかい』
084と、085真暗(まつくら)がりの大蛇(をろち)の腹(はら)を四股(しこ)踏(ふ)み進(すす)んで行(ゆ)く。
086行平別『ヤア大分(だいぶ)にジクジクして居(を)るぞ。087大蛇(をろち)の小便袋(せうべんぶくろ)を踏(ふ)むだのぢやなからうかなア』
088 遥(はるか)向(むか)ふの方(はう)に少(すこ)し光(ひか)る物(もの)がある。
089行平別『サアこれからあの光(ひかり)を目蒐(めが)けて、090どんどんと行平別(ゆきひらわけ)だ』
091と云(い)ひながら足(あし)を速(はや)めた。092何(なん)だか黒(くろ)き頭(あたま)が見(み)える。
093行平別『ヤア此奴(こいつ)ア子持(こもち)だな、094大蛇(をろち)の卵(たまご)だらう』
095と立止(たちとどま)つて思案(しあん)をして居(を)る、096闇(くらがり)より蚊取別(かとりわけ)の声(こゑ)として、
097蚊取別『ヤア初公(はつこう)さま甚(えろ)う遅(おそ)かつたねえ』
098行平別『ヤア蚊取別(かとりわけ)さまか、099秋月(あきづき)の滝(たき)で魔神(ましん)を言向(ことむ)け和(やは)して居(ゐ)る間(うち)にお前(まへ)さまも腹(はら)の悪(わる)い、100五(ご)人(にん)一度(いちど)にどろんと消(き)えて、101初(はつ)さま一人(ひとり)をほつときぼりにして、102余(あんま)り酷(ひど)いぢやないか、103五(ご)人(にん)が五(ご)人(にん)ながら揃(そろ)うて五人情(ごにんじよう)の薄(うす)いお方(かた)だ。104私(わたくし)一(いち)人(にん)にするとは余(あんま)りだよ』
105蚊取別(かとりわけ)『イヤ、106秋月(あきづき)の滝(たき)はお前(まへ)に一任(いちにん)したのだから、107それで当然(あたりまへ)だ。108我々(われわれ)の精神(せいしん)を誤認(ごにん)されては困(こま)るよ』
109行平別(ゆきひらわけ)『エヽ六(ろく)人(にん)でも無(な)い事(こと)を仰有(おつしや)りますな。110併(しか)し此処(ここ)は大蛇(をろち)のトンネルですか、111イヤ祝姫(はふりひめ)様(さま)も万寿山(まんじゆざん)の宣伝使(せんでんし)も其処(そこ)に居(を)られますか。112どうです怪我(けが)はありませぬか』
113祝姫(はふりひめ)『別(べつ)に、114お蔭(かげ)で怪我(けが)もせず、115谷道(たにみち)を越(こ)えて此処(ここ)迄(まで)やつて来(き)ました。116どうも暗(くら)い事(こと)ですなア、117軈(やが)て深雪(みゆき)の滝(たき)に間(ま)もありますまいから、118此処(ここ)で一服(いつぷく)揃(そろ)うてして居(ゐ)ますのよ』
119高光彦(たかてるひこ)『ヤア初(はつ)さま、120御(ご)苦労(くらう)でしたなア、121マア緩(ゆつ)くり一服(いつぷく)致(いた)しませうかい』
122行平別(ゆきひらわけ)『さう気楽(きらく)な事(こと)も云(い)うて居(を)られますまい、123此処(ここ)は大蛇(をろち)のトンネルぢやありませぬか。124今(いま)貴方(あなた)方(がた)五(ご)人(にん)が大蛇(をろち)に呑(の)まれて居(ゐ)たのを見(み)ましたので、125何(なん)くそ、126この行平別(ゆきひらわけ)の言霊(ことたま)によつて、127大蛇(をろち)を征服(せいふく)してやらむものと、128深雪(みゆき)の滝(たき)に進(すす)み入(い)つたところ、129大蛇(をろち)の奴(やつ)、130又(また)もや我(われ)を大(おほ)きな長(なが)い舌(した)の先(さき)でペロリと舐(なめ)て喉坂峠(のどさかたうげ)をごろごろ、131漸(やうや)く細頸道(ほそくびみち)を探(さぐ)り探(さぐ)りて大野腹(おほのはら)にやつて来(き)て見(み)れば、132貴方(あなた)方(がた)の私語声(ささやきごゑ)、133一体(いつたい)この大蛇(をろち)と云(い)ふ奴(やつ)よほど太(ふと)い奴(やつ)ですなア。134どうでせう、135六(ろく)人(にん)が力(ちから)を合(あは)せて横(よこ)つ腹(ぱら)に穴(あな)でも開(あ)けて出(で)てやりませうか』
136蚊取別(かとりわけ)『オイオイ、137初公(はつこう)さまお前(まへ)何(なに)を呆(とぼ)けて居(を)るのだ。138ここはシナイ山(ざん)の麓(ふもと)の秋月(あきづき)の滝(たき)の二三町(にさんちやう)下手(しもて)だよ』
139と云(い)はれて初公(はつこう)は、140目(め)を擦(こす)り四辺(あたり)を見(み)れば、141こは抑(そも)如何(いか)に水音(みなおと)滔々(たうたう)として白瀬川(しらせがは)が布(ぬの)を晒(さら)したる如(ごと)く流(なが)れて居(ゐ)る。
142行平別(ゆきひらわけ)『ヤアまた大蛇(をろち)の奴(やつ)、143魅(つま)みよつたなア、144油断(ゆだん)も隙(すき)もあつたものぢやないワ、145岩(いは)も木(き)も草(くさ)も皆(みな)化(ば)けて化(ば)けて化(ば)けさがしよるワ。146その筈(はず)だ。147最前(さいぜん)も云(い)つたなア、148我(われ)は大化物(おほばけもの)だと、149大方(おほかた)蚊取別(かとりわけ)が目(め)を眩(くら)ますのだろう』
150 此(この)時(とき)山岳(さんがく)も崩(くづ)るるばかりの物音(ものおと)凄(すご)く、151見上(みあ)ぐる許(ばか)りの大岩石(だいがんせき)は風(かぜ)に吹(ふ)かれて散(ち)る木葉(このは)の如(ごと)く、152天(てん)に舞(ま)ひ上(あが)り地上(ちじやう)に向(むか)つて、153ドスンドスンと音(おと)を立(た)てて雨(あめ)や霰(あられ)と降(ふ)り来(きた)る。154一行(いつかう)六(ろく)人(にん)は空(そら)を仰(あふ)ぎながら、155岩(いは)に打(う)たれじと前後(ぜんご)左右(さいう)に躰(たい)をかはし、156汗(あせ)を流(なが)して飛(と)び廻(まは)る事(こと)殆(ほとん)ど一時(ひととき)ばかり、157遂(つひ)には足(あし)疲(つか)れ目(め)眩(くら)み千仭(せんじん)の谷間(たにま)にズデンドウと顛落(てんらく)した。158ハツと思(おも)ふその途端(とたん)目(め)を開(ひら)けば、159高熊山(たかくまやま)の巌窟(がんくつ)の前(まへ)、160十四夜(いざよひ)の月(つき)は早(はや)くも弥仙山(みせんざん)の頂(いただき)に姿(すがた)を隠(かく)さむとする真夜中(まよなか)頃(ごろ)なりき。
161(大正一一・三・九 旧二・一一 加藤明子録)
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