霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 (くれ)海原(うなばら)〔五一五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第3篇 天岩戸開(三) よみ(新仮名遣い):あまのいわとびらき(三)
章:第19章 呉の海原 よみ(新仮名遣い):くれのうなばら 通し章番号:515
口述日:1922(大正11)年03月10日(旧02月12日) 口述場所: 筆録者:岩田久太郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
時置師は何事か海面に向かって祈祷すると、微笑んで元の席に戻ってしまった。残された三人が時置師の仕業を恐れて話し合っていると、時置師は三人を見つけて、話しかけてきた。
三人は、牛公のように海に投げ入れられるのではないかと恐れて、恐々応対している。そうするうちに、牛公は巨大な亀の背に乗せられて、海面に浮かんできた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-12 00:56:33 OBC :rm1219
愛善世界社版:161頁 八幡書店版:第2輯 685頁 修補版: 校定版:170頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 時置師(ときおかしの)(かみ)牛公(うしこう)投身(とうしん)したる海面(かいめん)(むか)ひて、002暗祈(あんき)黙祷(もくたう)しつつあつた。003(しばら)くあつて満面(まんめん)(ゑみ)(たた)へ、004悠々(いういう)(もと)(せき)(かへ)つて()くのであつた。005馬公(うまこう)小声(こごゑ)になつて、
006馬公(うまこう)『オイ鹿(しか)007(とら)008どうだ。009三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)でさへも、010牛公(うしこう)(うみ)飛込(とびこ)むだのを()て、011(たす)けようともせず、012愉快(ゆくわい)さうに、013ニタリニタリと(わら)つて()つたぢやないか』
014鹿公(しかこう)『ウン、015さうだのう、016(えら)さうに(ひと)(たす)ける宣伝使(せんでんし)だと()つた(ところ)で、017(くち)(ばか)りだよ。018どうでコンナ()(なか)になつて()れば……(まこと)(もの)(くすり)にする(ほど)()い……と()(かみ)(さま)(をしへ)(どほ)りぢや。019(おほ)きな(こゑ)(しやべ)つて()ると、020(また)どんな()()はせられるか()れやしないぞ。021(しづか)にせい、022(しづか)にせい、023()ひたけら(だま)つてものを()ふのだよ』
024馬公(うまこう)(だま)つてものを()(こと)出来(でき)るかい、025手品師(てじなし)でもあるまいし』
026虎公(とらこう)出来(でき)いでかい、027そこが以心(いしん)伝心(でんしん)だ。028()(くち)(ほど)にものを()ふと()(こと)がある。029霊界(れいかい)物語(ものがたり)にも(みみ)()()()(はな)(もの)()うて(くち)()がねば(もの)(わか)らぬ、030()()第1巻第24章の章末に記されている歌だが、そちらでは「物は」ではなく「神は」になっている。ぢやないか』
031馬公(うまこう)『そんな(こと)はどうでも()いわ。032マア(しづか)にしようかい。033オイオイ時置師(ときおかしの)(かみ)(おほ)きな()をむいて、034ギロギロと見廻(みまは)()したぢやないか。035どうやら()(はち)(まは)りさうだぞ』
036()(なが)らクルクルと(おび)(ほど)きかける。
037鹿公(しかこう)『オイ馬公(うまこう)038貴様(きさま)(おび)()いてどうするつもりだ』
039馬公(うまこう)(やかま)()ふない、040(これ)には秘密(ひみつ)があるのだ。041手廻(てまは)しだ』
042虎公(とらこう)手廻(てまは)して(なん)だい』
043馬公(うまこう)牛公(うしこう)(やう)着物(きもの)()たなりで、044()()むでもつまらぬから、045時置師(ときおかしの)(かみ)が「コラツ」とやつて()よつたら、046(おれ)はチヤンと()(さき)(この)(おび)()()かしの(かみ)(さま)となつて、047真裸(まつぱだか)のまま(うみ)(なか)へドブンだ。048貴様(きさま)()用意(ようい)せ、049用意(ようい)を』
050 時置師(ときおかしの)(かみ)四辺(あたり)キヨロキヨロ見廻(みまは)しながら、051(さん)(にん)(ささや)(ばなし)()き、
052時置師『ヤアー、053(ひさ)しく()はなかつた。054()(まへ)()牛公(うしこう)同役(どうやく)055ウラル(けう)目附(めつけ)(うま)056鹿(しか)057(とら)(さん)(にん)ぢやないか』
058虎公(とらこう)トラ(ちが)ひます、059シカ()(くだ)さいませ、060(けつ)してウマ(こと)(ひと)(いつは)(やう)な、061正直(しやうぢき)(をとこ)ぢや御座(ござ)いませぬ』
062時置師(ときおかし)『アハヽヽヽヽ、063(その)狼狽(うろた)(やう)(なん)だ、064(はだか)になつて()るぢやないか』
065馬公(うまこう)(はだか)(もの)(おと)しませぬからなア。066肝腎(かんじん)(ひと)つより()(いのち)(おと)しては(つま)らぬから、067まさか(とき)用意(ようい)(はだか)になつて()きませうかい。068(はげ)しい時津風(ときつかぜ)()いて、069(ふね)(かへ)(やう)(こと)があつては(たま)りませぬから』
070時置師(ときおかし)()(まへ)(たしか)牛公(うしこう)(つれ)だらう、071人間(にんげん)正直(しやうぢき)にするものだぞ』
072馬公(うまこう)『ハイハイ、073ドウド(ゆる)して(くだ)さいませ。074正真(ほんま)(こと)()つたら(いのち)がありませぬわ。075今日(けふ)時節(じせつ)は、076真実(ほんと)(こと)()へば、077(わる)(やつ)ぢやと()つて、078(ひど)()()はされる()(なか)です。079(うそ)(たから)となる()(なか)080(うそ)から()(まこと)081(まこと)から()(うそ)082(うそ)(まこと)か、083(あめ)(かぜ)か、084そこはそれ()加減(かげん)(あやつ)つて(わた)るのが当世(たうせい)()(かた)085(けつ)して(けつ)して(この)()(なか)(さか)らう(やう)な、086(わる)人間(にんげん)ぢや御座(ござ)いませぬ。087時世(ときよ)時節(じせつ)(したが)(ぜん)()(かた)088(とき)さまに(したが)ひます』
089時置師(ときおかし)『アハヽヽヽヽ、090どこ(まで)もウラル(けう)主義(しゆぎ)だなア』
091鹿公(しかこう)斯様(かやう)()()うシカジカの因縁(いんねん)によつて、092しか(おな)国武丸(くにたけまる)一蓮(いちれん)托生(たくしやう)093(そで)()()ふも他生(たしやう)(えん)094(つまづ)(いし)(えん)(はし)095団子(だんご)()ふのも囲炉裡(ゐろり)(かまち)
096時置師(ときおかし)『コラコラ(なに)()ふのだ、097貴様(きさま)()(こと)時々(ときどき)脱線(だつせん)するから(こま)る』
098鹿公(しかこう)鹿(しか)鹿(しか)り、099(とき)にとつての(とき)さんへの()(なぐさ)み、100時世(ときよ)時節(じせつ)(こは)いもの、101この(ひろ)()(なか)102(ひと)つや(ふた)(わる)(こと)をしたつて、103まさか(とき)さまに遭遇(でつくわ)すとは(おも)はなかつた。104アーアー(ひろ)(やう)(せま)いは(この)()(なか)だ、105まだまだ(せま)いのは(ふね)(なか)106(ひと)(せま)いは(はら)(なか)
107時置師(ときおかし)『ナカナカ()(さへづ)(やつ)だなア』
108鹿公(しかこう)()鹿(しか)よりも()かぬ(ほたる)()(こが)す』
109時置師(ときおかし)シカタの()(やつ)だ。110(なん)だビリビリと(ふる)ひよつて』
111鹿公(しかこう)身体(からだ)()いたる曲津(まがつ)(かみ)(ふる)(おと)して()るのですよ。112どうぞもう(わたし)(ふる)(つみ)は、113貴方(あなた)もさつぱりと、114(これ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、115都合(つがふ)がついたら、116(ほか)(ふね)にでも()(なほ)して(くだ)されば、117大変(たいへん)都合(つがふ)()いのだがなア』
118時置師(ときおかし)貴様(きさま)面白(おもしろ)(やつ)だ、119イヤ面黒(おもくろ)(やつ)だ。120まるで渋紙(しぶかみ)(さん)(やう)(をとこ)だ。121(かほ)渋味(しぶみ)があつて一寸(ちよつと)(しつか)りした目附役(めつけやく)122捕手(とりて)(やく)には()つて()いだ』
123虎公(とらこう)『モシモシ時様(ときさん)124鹿公(しかこう)最前(さいぜん)から随分(ずゐぶん)()うて()ましたぜ。125それはそれは大変(たいへん)()うてましたよ』
126時置師(ときおかし)(なに)()うて()たのだ』
127鹿公(しかこう)『ユフユフ自適(じてき)128(かみ)(さま)有難(ありがた)(こと)()うて()たのです。129さうして三五教(あななひけう)結構(けつこう)(をしへ)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)沢山(たくさん)ござる。130(なか)にも()()けて()慈悲(じひ)(ぶか)い、131神力(しんりき)(つよ)い、132男前(をとこまへ)のよい活神(いきがみ)さまの(やう)宣伝使(せんでんし)()うたら、133マー(とき)さまの時置師(ときおかしの)(かみ)さまより(ほか)にはあるまい……と()うて()()(まを)して()つたのですよ』
134虎公(とらこう)『コラ鹿公(しかこう)135ユフユフ()ふない。136モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)137鹿公(しかこう)のは(うそ)から()(まこと)でなくて(まこと)から()(うそ)ですよ』
138鹿公(しかこう)(かま)ふない、139(とら)野郎(やらう)140貴様(きさま)余程(よつぽど)卑怯(ひけふ)(やつ)だ。141(おれ)()二人(ふたり)はどうなつても()い、142貴様(きさま)一人(ひとり)(たす)かりさへすれば()いと(おも)ふのか。143よし、144それなら(おれ)にも(かんが)へがある。145モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)146この虎公(とらこう)()(やつ)147コーカス(ざん)八王(やつこす)から沢山(たくさん)手当(てあて)(もら)ひよつて、148(じつ)(ところ)貴方(あなた)(あと)追従(つけ)()よつたのです、149(その)証拠(しようこ)には此奴(こいつ)(ふところ)()んでますぜ』
150時置師(ときおかし)()んで()らうが()んで()るまいが、151どうでも()いぢやないか』
152虎公(とらこう)『モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)153(わたくし)()了解(れうかい)して(くだ)さいませ』
154鹿公(しかこう)(なに)(ぬか)しよるのだ。155そりや了解(れうかい)もして(くだ)さるだらう。156宣伝使(せんでんし)何々(なになに)しようと(おも)うて、157追従(つけ)(ねろ)うて()(わる)(やつ)だから、158(ふところ)()んで()ると()(こと)を、159()了解(れうかい)して(くだ)さるワイ。160(かはず)(くち)から、161匕首(あいくち)(ふさ)がらぬワイ』
162 かく(はな)(をり)しも、163(ふね)前面(ぜんめん)見上(みあ)げる(ばか)りの水柱(みづばしら)立昇(たちのぼ)るよと()()に、164巨大(きよだい)なる(かめ)()()せられて、165牛公(うしこう)(うれ)しさうに海面(かいめん)(うか)むで()た。166(うま)167鹿(しか)168(とら)一度(いちど)に、
169馬公、鹿公、虎公『ヤアー牛公(うしこう)が……(たす)かつた』
170大正一一・三・一〇 旧二・一二 岩田久太郎録)
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