霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 一島(ひとつじま)攻撃(こうげき)〔五一八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第3篇 天岩戸開(三) よみ(新仮名遣い):あまのいわとびらき(三)
章:第22章 一島攻撃 よみ(新仮名遣い):ひとつじまこうげき 通し章番号:518
口述日:1922(大正11)年03月11日(旧02月13日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
尚武の気に富む深雪姫は、サルジニヤ島にあって、アルプス山より掘り出した鋼鉄で種々の武器を作り、国家鎮護の神業に奉仕するため、島に英雄豪傑を集めて悪魔征討の準備をしていた。
天照大御神はこの様子に、素盞嗚命が善言美詞をもって世の曲業を見直し聞き直し宣り直すべき惟神の大道を無視しているのは、高天原を占領しようという汚い心があるのではないか、と疑いを抱いた。
サルジニヤ島では、兵士たちが日夜訓練をしている。新入り兵の御年村の虎公は、深雪姫が武を蓄えているのは、三五教の精神を忘れたからではない、悪魔を武の威徳によって帰順させるためであり、また、まさかの事態に備えているのだ、と語る。
兵士たちは、館が騒がしくなったのを見て、一目散に走って帰った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:サルヂニヤ島(サルジニヤ、一つ島) データ凡例: データ最終更新日:2020-11-12 00:59:32 OBC :rm1222
愛善世界社版:184頁 八幡書店版:第2輯 693頁 修補版: 校定版:194頁 普及版:79頁 初版: ページ備考:
001大空(おほぞら)(くも)()(ふさ)海原(うなばら)
002(きり)()()めて四方(よも)(くに)
003(かみ)(めぐみ)(つゆ)もなく
004山川(やまかは)草木(くさき)()()して
005黒白(あやめ)()かぬ(やみ)()
006(いま)(てら)さむ瀬戸(せと)(うみ)
007(もも)(かみ)たち百人(ももびと)
008(まつ)神代(かみよ)(すゑ)(なが)
009(すく)はむために素盞嗚(すさのを)
010(かみ)御言(みこと)(かしこ)みて
011(おも)ひは(つも)深雪姫(みゆきひめ)
012()くるよしなき真心(まごころ)
013(まこと)(ひと)つの(ひと)(じま)
014(あつ)(なみだ)多気理(たぎり)(ひめ)
015コーカス(ざん)()れませる
016十握(とつか)(つるぎ)威徳(ゐとく)にて
017雲霧(くもきり)四方(よも)()(はら)
018(しこ)曲津(まがつ)(のぞ)かむと
019高杉別(たかすぎわけ)(こも)りたる
020この神島(かみしま)宮柱(みやばしら)
021太敷(ふとしき)()てて()(しの)
022瑞霊(みづのみたま)深雪姫(みゆきひめ)
023()()(かぜ)(なまぐさ)
024人馬(じんば)(おと)絶間(たえま)なく
025矢叫(やさけ)びの(こゑ)(とき)(こゑ)
026()(さわ)がしく群鳥(むらどり)
027()()つばかり(おき)(とり)
028(おき)(かもめ)(こゑ)さへも
029いと(わび)しげに(きこ)ゆなり
030ここは()()ふサルジニヤ
031(かみ)(まも)りもアルプスの
032(まがね)(くろがね)()()でて
033(もも)兵器(つはもの)(つく)りつつ
034(うづ)御魂(みたま)(つか)へたる
035(こころ)(たけ)兵士(つはもの)
036(くも)(ごと)くに(あつ)まれり。
037 コーカス(ざん)(うづ)(みや)に、038御巫子(みかんのこ)として(つか)へたる、039(つき)(ゆき)(はな)姉妹(おとどひ)一人(ひとり)040深雪姫(みゆきひめ)は、041尚武(しやうぶ)勇健(ゆうけん)気質(きしつ)()み、042十握(とつか)(つるぎ)威徳(ゐとく)(かん)じて、043アルプス(さん)鋼鉄(まがね)掘出(ほりだ)し、044種々(しゆじゆ)武器(ぶき)(つく)(そな)へて、045国家(こくか)鎮護(ちんご)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)せむと、046天下(てんか)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)(この)(しま)(あつ)め、047悪魔(あくま)征討(せいたう)準備(じゆんび)(そな)へつつあつた。
048 宮殿(きうでん)屋根(やね)千木(ちぎ)049勝男木(かつをぎ)(たか)く、050千木(ちぎ)(さき)鋭利(えいり)なる両刃(もろは)(つるぎ)(もつ)(つく)り、051勝男木(かつをぎ)もまた両端(りやうたん)(つるぎ)(ごと)(とが)らせ、052(やかた)周囲(しうゐ)には(つるぎ)(かき)(めぐ)らし、053曲津(まがつ)侵入(しんにふ)(ゆる)さず用心(ようじん)堅固(けんご)金城(きんじやう)鉄壁(てつぺき)なりける。
054 武勇(ぶゆう)(かみ)(さき)(あらそ)うてこの(ひと)(じま)(あつ)まり(きた)り、055天下(てんか)邪神(じやしん)掃蕩(さうたう)し、056(あまね)神人(しんじん)安堵(あんど)せしめむと昼夜(ちうや)間断(かんだん)なく武術(ぶじゆつ)稽古(けいこ)余念(よねん)なく、057剣戟(けんげき)射御(しやぎよ)(いそし)(こゑ)瀬戸(せと)(うみ)()えて、058(とほ)天教山(てんけうざん)(しづ)まります(つき)御柱(みはしら)(かみ)059天照(あまてらす)大神(おほかみ)(おん)(もと)にも、060()()るが(ごと)(とどろ)(わた)りぬ。
061 天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)は、062善言(ぜんげん)美詞(びし)をもつて()曲業(まがわざ)を、063見直(みなほ)()(なほ)()(なほ)すべき天地(てんち)惟神(かむながら)大道(だいだう)無視(むし)して、064殺伐(さつばつ)なる武器(ぶき)(つく)武芸(ぶげい)(はげ)むは弟神(おとうとがみ)素盞嗚(すさのをの)(みこと)高天原(たかあまはら)占領(せんりやう)せむとする、065(きたな)(こころ)のあるならむと、066内心(ないしん)日夜(にちや)不快(ふくわい)(ねん)()られ(たま)ひつつあらせられた。
067 四五(しご)勇士(ゆうし)武術(ぶじゆつ)稽古(けいこ)(をは)り、068眺望(てうばう)よき(ひと)(じま)山巓(さんてん)(のぼ)り、069諸々(もろもろ)木実(このみ)(あさ)り、070(ふくべ)(さけ)(かたむ)けながら雑談(ざつだん)(ふけ)()る。
071(かふ)我々(われわれ)はかうして昼夜(ちうや)区別(くべつ)なく太刀打(たちうち)稽古(けいこ)072(やり)稽古(けいこ)(からだ)(ほね)もグダグダになつて仕舞(しま)つた。073太刀(たち)(やり)との稽古(けいこ)()めば、074また(ゆみ)稽古(けいこ)075(うま)()りの稽古(けいこ)をと(しひ)られるのだ。076(てき)()いのに(この)離島(はなれじま)で、077これだけ武芸(ぶげい)(はげ)まされるのは(なん)のためだらう』
078(おつ)平和(へいわ)(とき)()()るのが武術(ぶじゆつ)奥義(おくぎ)だ。079サア戦争(せんそう)勃発(ぼつぱつ)したからと()つて、080(にはか)(あわ)てたところが、081(なん)(やく)にも()たない。082武士(ぶし)(くに)(まも)るものだ。083(つね)から武術(ぶじゆつ)鍛練(たんれん)必要(ひつえう)だから、084それで日々(にちにち)稽古(けいこ)をさせられるのだよ』
085(へい)『かう毎日(まいにち)日日(ひにち)(そら)(くも)り、086()(きり)とも(もや)とも()れぬ(もの)()()めて、087一間先(いつけんさき)碌々(ろくろく)()えぬやうになつて()たのだから、088(この)()(なか)物騒(ぶつそう)で、089安心(あんしん)して(くら)されぬやうになつたので、090各自(めいめい)護身(ごしん)のために、091大慈(だいじ)大悲(だいひ)(かみ)(さま)武術(ぶじゆつ)奨励(しやうれい)なさるのだよ』
092(かふ)三五教(あななひけう)(をしへ)には……(かみ)言霊(ことたま)をもつて言向(ことむ)(やは)すのであるから、093武器(ぶき)をもつて征伐(せいばつ)(おこな)つたり、094侵略(しんりやく)したり、095()(くに)併呑(へいどん)するやうな体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(てき)(をしへ)でない。096道義(だうぎ)(てき)世界(せかい)統一(とういつ)するのだ……と(あふ)せられて()るではないか、097(なに)(くる)しむで武備(ぶび)(ととの)へ、098平地(へいち)(なみ)(おこ)すやうな(こと)をなさるのだらう。099まるでウラル(けう)のやうぢやないか』
100(おつ)『さうだなア、101三五教(あななひけう)教理(けうり)とは名実(めいじつ)(あひ)(はん)して()るやり(かた)だ。102大声(おほごゑ)では()はれぬが、103これや(なん)でも深雪姫(みゆきひめ)(かみ)(さま)八岐(やまた)大蛇(をろち)か、104(おに)()いて()せるのだらうよ』
105(へい)実際(じつさい)それだつたら我々(われわれ)(じつ)(つま)らぬものだ。106一生(いつしやう)懸命(けんめい)骨身(ほねみ)(くだ)くやうな(つら)稽古(けいこ)をさせられて、107天則(てんそく)違反(ゐはん)大罪(だいざい)(かさ)ねるやうでは(つま)らぬじやないか』
108(てい)(かみ)(さま)()()り、109数多(あまた)武器(ぶき)(たくは)(たま)ふのは変事(へんじ)(さい)して天下(てんか)万民(ばんみん)(すく)うためだよ。110大慈(だいじ)大悲(だいひ)(かみ)(さま)(なに)しに(この)むで殺伐(さつばつ)修業(しうげふ)(あそ)ばすものかい。111悪魔(あくま)(つるぎ)威徳(ゐとく)(おそ)れ、112武術(ぶじゆつ)(とく)によつて(こころ)(あらた)め、113善道(ぜんだう)帰順(きじゆん)するものだ。114如何(いか)善言(ぜんげん)美詞(びし)言霊(ことたま)(いへど)も、115(くも)()つたる悪神(あくがみ)(みみ)には(はい)るものでない、116そこで(かみ)(さま)大慈(だいじ)大悲心(だいひしん)発揮(はつき)して、117()にものを()せて、118改心(かいしん)させると()ふお経綸(しぐみ)だ。119素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)一寸(ちよつと)()たところでは、120(じつ)(おそ)ろしい、121(たけ)しい(いくさ)()きの(かみ)(さま)のやうだが、122(けつ)して殺伐(さつばつ)(こと)はお(この)みにはならぬ。123それ(ゆゑ)(この)()愛想(あいさう)()かして、124円満(ゑんまん)具足(ぐそく)温和(をんわ)なる(つき)大神(おほかみ)世界(せかい)(かへ)()いと()つて、125日夜(にちや)()(なげ)(あそ)ばし、126慈愛(じあい)(なみだ)()れて()られると、127そこへ()父神(ちちがみ)(てん)よりお(くだ)りになつて、128(まへ)のやうな()(よわ)(こと)ではどうして(この)()(をさ)まるか、129勇気(ゆうき)絶倫(ぜつりん)(なんぢ)(えら)むで、130悪魔(あくま)(はびこ)海原(うなばら)(くに)修理(しうり)固成(こせい)せよと命令(めいれい)(くだ)してあるに、131その女々(めめ)しいやり(かた)()しからぬ、132()つて大変(たいへん)()立腹(りつぷく)(あそ)ばしたので、133素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)は、134姉君(あねぎみ)天照(あまてらす)大神(おほかみ)にお暇乞(いとまごひ)のために、135高天原(たかあまはら)にお(のぼ)りになつたと()(こと)だ。136(その)御魂(みたま)()()いだる(うづ)御子(みこ)深雪姫(みゆきひめ)(さま)は、137尚武(しやうぶ)勇健(ゆうけん)なる女神(めがみ)(ましま)(ゆゑ)まさか(とき)用意(ようい)()()つて()らるるのであらうよ。138武術(ぶじゆつ)(けつ)して折伏(しやくふく)のためではない、139摂受(せつじゆ)のためだ。140悪魔(あくま)(はら)万民(ばんみん)(すく)真心(まごころ)から()でさせられた()神策(しんさく)(ちが)ひないワ』
141(かふ)『お(まへ)はよく(くは)しい(こと)()つて()るなア、142一体(いつたい)何処(どこ)から()たのだ。143(この)道場(だうぢやう)()てから()()もないに、144武術(ぶじゆつ)中々(なかなか)立派(りつぱ)なものだなア』
145(てい)(おれ)か、146(おれ)(もと)百姓(ひやくしやう)だ。147御年村(みとせむら)虎公(とらこう)()(をとこ)だよ』
148(かふ)『ヤア、149(まへ)があの名高(なだか)自称(じしよう)(うしとら)金神(こんじん)だな、150道理(だうり)(おほ)きな(をとこ)だと(おも)つたよ』
151虎公(とらこう)『アア、152(たしか)(それ)とは(わか)らぬが、153(なん)だか(やかた)騒動(さうだう)がおつ(ぱじ)まつたやうだ。154サア(みな)連中(れんちう)155愚図(ぐづ)々々(ぐづ)しては()れない。156(はや)(やかた)()けつけよう』
157(とら)さまを先頭(せんとう)一同(いちどう)(をか)(くだ)り、158(やかた)()して一散走(いつさんばし)りに()けり()く。
159大正一一・三・一一 旧二・一三 加藤明子録)
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