霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 救(すく)ひ舟(ぶね)〔五一六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第3篇 天岩戸開(三) よみ(新仮名遣い):あまのいわとびらき(三)
章:第20章 救ひ舟 よみ(新仮名遣い):すくいぶね 通し章番号:516
口述日:1922(大正11)年03月10日(旧02月12日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
時置師の祈りによって、海神が大亀となり、牛公を助けたのであった。牛公は助けられて改心の思いを吐露する。
時置師は、次は誰の番だ、と残った三人に問いかけると、馬、鹿、虎は泣き出したり、理屈をこねて逃げようとしたり、おかしな問答を繰り返している。
月が没して、黄金の朝日が海から昇ってきた。宣伝使を始めとする船中の人々は、朝日に向かって拍手再拝し、神恩を口々に感謝する。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-12 00:57:03 文字数:1890 OBC :rm1220
愛善世界社版:167頁 八幡書店版:第2輯 687頁 修補版: 校定版:177頁 普及版:72頁 初版: ページ備考:
001 三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)時置師(ときおかしの)神(かみ)の真心(まごころ)籠(こ)めし其(その)祈(いの)りに、002海(わだ)の神(かみ)も感(かん)じ給(たま)ひけむ、003巨大(きよだい)なる大亀(おほがめ)となり、004海面(かいめん)に浮(うか)ばせ給(たま)うた。005牛公(うしこう)は亀(かめ)の背(せ)より時置師(ときおかしの)神(かみ)に向(むか)つて、006涙(なみだ)を流(なが)しながら合掌(がつしやう)する。
007時置師(ときおかし)『アヽ、008私(わたくし)のお祈(いの)りも、009神(かみ)様(さま)のお告(つげ)の通(とほ)り効験(かうけん)が顕(あら)はれて、010命(いのち)を助(たす)けられ帰(かへ)つて来(き)た。011サア結構(けつこう)々々(けつこう)、012早(はや)く此(この)船(ふね)に乗(の)つたり乗(の)つたり』
013 亀(かめ)は船(ふね)に向(むか)つて近(ちか)づいて来(く)る。014時置師(ときおかしの)神(かみ)は右手(めて)をグツと延(の)ばし、015牛公(うしこう)の背(せな)を猫(ねこ)を掴(つか)むやうな調子(てうし)にてグツと掴(つか)むで船中(せんちう)に救(すく)ひ上(あ)げた。016ゴボンゴボンと水音(みづおと)立(た)てて亀(かめ)は海中(かいちう)に姿(すがた)を隠(かく)した。
017時置師(ときおかし)『牛公(うしこう)さま、018竜宮(りうぐう)が見度(みた)いと云(い)つて居(ゐ)たが、019見(み)られたかな』
020牛公(うしこう)『イヤ牛々(もうもう)見(み)られる所(どころ)か苦(くる)しくつて苦(くる)しくつて、021二三遍(にさんぺん)も息(いき)の根(ね)が断(き)れて了(しま)ひました。022さうすると貴方(あなた)様(さま)が海(うみ)の底(そこ)へ潜(くぐ)つて来(き)て私(わたくし)の腰(こし)を確(しつか)り握(にぎ)り、023救(すく)ひ上(あ)げて下(くだ)さつたと思(おも)へば亀(かめ)の背(せ)、024こんな有難(ありがた)い事(こと)は御座(ござ)いませぬ。025モウ牛(もう)牛公(うしこう)も今日(けふ)限(かぎ)り二本(にほん)の角(つの)を折(を)りまする』
026時置師(ときおかし)『神(かみ)様(さま)の有難(ありがた)い事(こと)が分(わか)つたら何(なに)より結構(けつこう)だ。027オー、028そこな鹿(しか)さま、029馬(うま)さま、030虎(とら)さま、031お前(まへ)達(たち)も一度(いちど)竜宮(りうぐう)へ往(い)つて見(み)たらどうだ。032都合(つがふ)によつたら又(また)俺(おれ)が助(たす)けに往(い)つてやらうも知(し)れぬが、033それは其(その)時(とき)の都合(つがふ)だ。034万一(まんいち)俺(おれ)が助(たす)けに往(ゆ)かなくつても、035因縁(いんねん)と思(おも)うて諦(あきら)めるのだ。036サア牛(うし)の次(つぎ)には馬(うま)かな』
037と、038グツと馬公(うまこう)の方(はう)に向(むか)つて猿臂(えんび)を延(の)ばす。
039馬公(うまこう)『ウマウマウマ待(ま)つて下(くだ)さいませ、040それは余(あんま)りで御座(ござ)います。041こんな事(こと)があらうと思(おも)つて、042人(ひと)の嫌(いや)がる目付役(めつけやく)や捕手(とりて)の役人(やくにん)をすつぱりと今日(けふ)から辞(や)めますと云(い)つたのに、043貴方(あなた)はお前(まへ)の天職(てんしよく)だから辞(や)めなと仰有(おつしや)つたぢや御座(ござ)いませぬか。044それだから私(わたくし)は捕手(とりて)の役(やく)をして三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)を随分(ずゐぶん)苦(くるし)めたのですが、045かう見(み)えても従順(すなほ)な男(をとこ)、046貴方(あなた)の仰有(おつしや)る通(とほ)り固(かた)く守(まも)つて来(き)たものを、047今更(いまさら)竜宮(りうぐう)へやるとは胴欲(どうよく)だ。048アンアンアン、049オンオンオン』
050時置師(ときおかし)『アハヽア、051此奴(こいつ)は妙(めう)な馬(うま)だ。052世(よ)が変(かは)れば変(かは)るものだなア。053ヒンヒンと云(い)うて嘶(な)く馬(うま)は沢山(たくさん)あるが、054アンアンオンオンと云(い)ふ馬(うま)の声(こゑ)は聞(き)き初(はじ)めだ。055アハヽヽヽ、056こんな嘶声(なきごゑ)をする馬(うま)は面白(おもしろ)くないから、057今度(こんど)は同(おな)じ四(よ)つ足(あし)の鹿(しか)の番(ばん)だ。058鹿(しか)はカイロと啼(な)くさうだ。059かう見(み)えても海(うみ)には道(みち)がついて居(ゐ)る。060海路(かいろ)があるのだ。061鹿(しか)なれば海(うみ)の中(なか)に放(ほ)り込(こ)むでも滅多(めつた)に困(こま)りはすまい。062カイロウと思(おも)へば直(す)ぐ帰(かへ)れるから、063船(ふね)にさへも櫂艪(かいろ)がついて居(を)る。064サア鹿公(しかこう)、065お前(まへ)の番(ばん)だぞ』
066鹿公(しかこう)『馬(うま)は海馬(かいば)と云(い)つて海(うみ)にでも棲(す)むで居(ゐ)ます。067虎(とら)は千(せん)里(り)の藪(やぶ)でも飛(と)び越(こ)えると云(い)ふのですから、068竜宮行(りうぐうゆき)は馬公(うまこう)か虎公(とらこう)が適任(てきにん)でせう。069鹿(しか)と云(い)ふ奴(やつ)は山(やま)の奥(おく)に居(を)る奴(やつ)で、070海(うみ)は一向(いつかう)不調法(ぶてうはふ)で御座(ござ)います。071さうして今(いま)は春(はる)で御座(ござ)います。072春駒(はるこま)と云(い)つて馬(うま)の時節(じせつ)、073筍(たけのこ)の出(で)る春先(はるさき)は虎(とら)の時節(じせつ)、074鹿(しか)は秋(あき)が時節(じせつ)、075秋(あき)まで待(ま)つて貰(もら)ひませう。076三五教(あななひけう)の教(をしへ)にも、077時世(ときよ)時節(じせつ)には神(かみ)も叶(かな)はぬと仰有(おつしや)るぢや御座(ござ)いませぬか。078竜宮行(りうぐうゆき)をする者(もの)はシカクが違(ちが)ひます』
079時置師(ときおかし)『アハヽヽ、080面白(おもしろ)い面白(おもしろ)い、081しかたがないなア、082それなら思(おも)ひ切(き)つて虎公(とらこう)かな』
083虎公(とらこう)『モシモシ、084私(わたくし)は不適任(ふてきにん)です。085虎穴(こけつ)に入(い)らずんば虎児(こじ)を獲(え)ずと云(い)つて、086山(やま)に穴(あな)を掘(ほ)つて穴(あな)の中(なか)にこけついて居(を)る代物(しろもの)ですから、087竜宮行(りうぐうゆき)は性(しやう)に合(あ)ひませぬ。088ウミの父上(ちちうへ)母様(ははさま)は何処(どこ)にどうして御座(ござ)るやら、089こけつ輾(まろ)びつ探(さが)して見(み)れば、090人目(ひとめ)に心(こころ)奥山(おくやま)の、091巌窟(いはや)の中(なか)の佗住居(わびずまゐ)、092どうぞ許(ゆる)して下(くだ)さいませ』
093時置師(ときおかし)『遉(さすが)は虎公(とらこう)だ。094名詮(みやうせん)自称(じしやう)、095とらまへどころのない事(こと)を云(い)ふ奴(やつ)だ。096そんなら竜宮行(りうぐうゆき)はこれで免除(めんぢよ)してやらう。097其(その)代(かは)りに俺(おれ)について来(く)るのだ』
098虎公(とらこう)『ハイハイ、099竜宮行(りうぐうゆき)さへ止(や)めさせて下(くだ)されば、100何処(どこ)へでもお伴(とも)致(いた)します』
101時置師(ときおかし)『私(わし)の云(い)ふ事(こと)は何(なん)でも諾(き)くなア。102張子(はりこ)の虎(とら)のやうにまさかの時(とき)になつて首(くび)を横(よこ)に振(ふ)りはせぬかな』
103虎公(とらこう)『トラ御(ご)心配(しんぱい)下(くだ)さいますな、104決(けつ)して違背(ゐはい)は致(いた)しませぬ』
105時置師(ときおかし)『これから橘島(たちばなじま)へ船(ふね)が着(つ)いたら、106あの島(しま)には大(おほ)きな虎(とら)が棲居(すまゐ)をして居(ゐ)る事(こと)は聞(き)いて居(ゐ)るだらうなア』
107虎公(とらこう)『トラもう昔(むかし)の昔(むかし)のトラ昔(むかし)から聞(き)いて居(を)ります』
108時置師(ときおかし)『トラ昔(むかし)と云(い)ふ事(こと)があるか、109去(さる)昔(むかし)だらう』
110虎公(とらこう)『十二(じふに)の干支(えと)の寅(とら)の裏(うら)は申(さる)、111丑(うし)のうらは未(ひつじ)だから一寸(ちよつと)表(おもて)の方(はう)から申上(まをしあ)げました』
112時置師(ときおかし)『橘島(たちばなじま)の虎(とら)の穴(あな)には大(おほ)きな虎(とら)が二匹(にひき)棲居(すまゐ)をして居(を)る。113さうして此(この)頃(ごろ)沢山(たくさん)の児(こ)を産(う)むで居(を)ると云(い)ふ事(こと)だ。114其(その)児(こ)を捕(とら)まへに行(ゆ)くのが虎公(とらこう)の役(やく)だ。115虎(とら)の児(こ)と虎公(とらこう)はいい釣合(つりあひ)だ、116虎穴(こけつ)に入(い)らずんば虎児(こじ)を獲(え)ず、117どうだ勤(つと)めるだらうなア』
118虎公(とらこう)『トラ、119モー、120ニヤン、121です、122シカと、123ウマくやれませぬワ』
124 月(つき)は西海(せいかい)に没(ぼつ)し、125久振(ひさしぶり)にて東海(とうかい)の浪(なみ)を割(わ)つて金色(こんじき)の太陽(たいやう)隆々(りうりう)と昇(のぼ)り来(きた)る。126その光景(くわうけい)は得(え)も云(い)はれぬ爽快(さうくわい)と畏敬(ゐけい)の念(ねん)に打(う)たれざるを得(え)ざりしと云(い)ふ。
127 宣伝使(せんでんし)を初(はじ)め船中(せんちう)の人々(ひとびと)は、128この太陽(たいやう)に向(むか)つて拍手(はくしゆ)再拝(さいはい)、129口々(くちぐち)に神恩(しんおん)を感謝(かんしや)する声(こゑ)天(てん)にも届(とど)くばかりなりける。
130(大正一一・三・一〇 旧二・一二 加藤明子録)
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