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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第12巻(亥の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 天岩戸開(一)
第1章 正神邪霊
第2章 直会宴
第3章 蚊取別
第4章 初蚊斧
第5章 初貫徹
第6章 招待
第7章 覚醒
第2篇 天岩戸開(二)
第8章 思出の歌
第9章 正夢
第10章 深夜の琴
第11章 十二支
第12章 化身
第13章 秋月滝
第14章 大蛇ケ原
第15章 宣直し
第16章 国武丸
第3篇 天岩戸開(三)
第17章 雲の戸開
第18章 水牛
第19章 呉の海原
第20章 救ひ舟
第21章 立花島
第22章 一島攻撃
第23章 短兵急
第24章 言霊の徳
第25章 琴平丸
第26章 秋月皎々
第27章 航空船
第4篇 古事記略解
第28章 三柱の貴子
第29章 子生の誓
第30章 天の岩戸
余白歌
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第12巻(亥の巻)
> 第4篇 古事記略解 > 第28章 三柱の貴子
<<< 航空船
(B)
(N)
子生の誓 >>>
第二八章
三柱
(
みはしら
)
の
貴子
(
みこ
)
〔五二四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻
篇:
第4篇 古事記略解
よみ(新仮名遣い):
こじきりゃっかい
章:
第28章 三柱の貴子
よみ(新仮名遣い):
みはしらのみこ
通し章番号:
524
口述日:
口述場所:
筆録者:
谷村真友[#講演筆録]
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
伊邪那岐命は霊界の主宰者として、左の目を洗って、天照大御神を生みなされた。また右の目を洗って、月読命を生みなされた。目はもっとも重要な部分であり、宇宙を納める文字通り眼なのである。
天照大御神は、綾部の本部で祭っている神様である。
次に鼻を洗って須佐之男命を生みなされた。鼻は物質の元を意味する。また真ん中の位置を示し、統治を表すのである。
三貴神を得た伊邪那岐命は、喜んで御頸玉を天照大御神にお授けになった。この御頸玉の言霊解は、恒天暦、太陽暦、太陰暦の三つの暦をお授けになった、ということである。
天照大御神は全大宇宙の主宰であり、月読命はそれを助ける補佐の役目を与えられた、ということである。須佐之男命の海原とは、地球を意味している。
したがって、天孫降臨以前は、須佐之男命が地上をしろしめしていたことが、古事記からわかるのである。
しかし地上が混乱し、須佐之男命はたいへんお嘆きになった。神代といえども世が行き詰まって、さまざまなよからぬ事件が起こってきた。今日の状態も、古事記に見られる神代のこの岩戸開き前によく似ている。
伊邪那岐命は、このような状態になってしまったことで、須佐之男命を責められた。これは文武百官が体主霊従に陥り、政党の争いがあるため、須佐之男命がなにほど一柱で努力されても、混乱を治めることができなくなってしまったのである。
そのため、須佐之男命は責任をかぶり、母神・伊邪那美命のまします根の堅洲国(月界)へと帰りたい、と申し出たのである。
伊邪那岐命は、こうなってしまった原因は体主霊従の神々らにあることはわかっているのだが、彼らの眼を覚ますために敢えて、自分の子である須佐之男命を罰して、もって広く神々らを改心させようとしたのであった。
しかし体主霊従に陥った八百万の神々らは、かえって須佐之男命が主宰者として不適格であったと、冷淡な間違った考え方を持っていた。まことに、治めがたい世であったのである。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-06-12 11:34:25
OBC :
rm1228
愛善世界社版:
243頁
八幡書店版:
第2輯 716頁
修補版:
校定版:
259頁
普及版:
107頁
初版:
ページ備考:
初出
[?]
この文献の初出または底本となったと思われる文献です。
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:
神霊界
>
大正9年11月11日号(第131号)
>
天の岩戸開〔古事記の真解〕
001
神代
(
かみよ
)
の
太古
(
むかし
)
、
002
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
よりお
産
(
うま
)
れ
遊
(
あそ
)
ばした
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
様
(
さま
)
、
003
この
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
日
(
ひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
と
申上
(
まをしあ
)
げて、
004
本部
(
ほんぶ
)
綾部
(
あやべ
)
に
御
(
お
)
祀
(
まつ
)
りしてあります
所
(
ところ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
であります。
005
このへんから
申上
(
まをしあ
)
げます。
006
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
が
007
『
筑紫
(
つくし
)
の
日向
(
ひむか
)
の
橘
(
たちばな
)
の
小戸
(
をど
)
の
阿波岐
(
あはぎ
)
ケ
原
(
はら
)
に
於
(
おい
)
て
禊身
(
みそぎ
)
し
玉
(
たま
)
ふ
時
(
とき
)
、
008
左
(
ひだり
)
の
御
(
おん
)
目
(
め
)
を
洗
(
あら
)
ひ
給
(
たま
)
ひて
成
(
な
)
りませる
神
(
かみ
)
の
御名
(
みな
)
は
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
、
009
次
(
つぎ
)
に
右
(
みぎり
)
の
御
(
おん
)
目
(
め
)
を
洗
(
あら
)
ひ
給
(
たま
)
ひて
成
(
な
)
りませる
神
(
かみ
)
の
御名
(
みな
)
は
月読
(
つきよみの
)
命
(
みこと
)
』
010
といふことが
書
(
か
)
いて
御座
(
ござ
)
います。
011
目
(
め
)
といふものは
吾々
(
われわれ
)
肉体
(
にくたい
)
から
申
(
まを
)
しますると、
012
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
と
両方
(
りやうはう
)
に
持
(
も
)
ちて
居
(
を
)
りまして
物
(
もの
)
を
視
(
み
)
るといふことの
上
(
うへ
)
に
最
(
もつと
)
も
大切
(
たいせつ
)
なものであります
計
(
ばか
)
りか、
013
眼
(
め
)
は
心
(
こころ
)
の
窓
(
まど
)
と
申
(
まを
)
します
位
(
ぐらゐ
)
重要
(
ぢうえう
)
なもので
御座
(
ござ
)
います。
014
所
(
ところ
)
が
一歩
(
いつぽ
)
進
(
すす
)
んで
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ますと、
015
総
(
すべ
)
てこの
宇宙間
(
うちうかん
)
に
形
(
かたち
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
るものは
森羅
(
しんら
)
万象
(
ばんしやう
)
残
(
のこ
)
らず
目
(
め
)
すなはち
眼目
(
がんもく
)
といふものがなくてはならぬ。
016
実際
(
じつさい
)
凡
(
あら
)
ゆるものに
眼目
(
がんもく
)
があると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
吾人
(
ごじん
)
は
常
(
つね
)
に
之
(
これ
)
を
認
(
みと
)
め
得
(
う
)
るのであります。
017
姿
(
すがた
)
こそ
人間
(
にんげん
)
のやうな
姿
(
すがた
)
ではないけれど、
018
他
(
た
)
の
動物
(
どうぶつ
)
に
於
(
おい
)
てもこの
眼
(
め
)
をもつて
居
(
を
)
ります。
019
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
草木
(
さうもく
)
の
類
(
たぐひ
)
に
至
(
いた
)
るまで
此
(
この
)
眼
(
め
)
のないものはありませぬ。
020
また
一
(
ひと
)
つの
文章
(
ぶんしやう
)
を
読
(
よ
)
みましても、
021
この
中
(
なか
)
にも
必
(
かなら
)
ず
眼目
(
がんもく
)
といふものがあります。
022
御
(
ご
)
勅語
(
ちよくご
)
の
中
(
なか
)
にも
眼
(
め
)
があります。
023
『
皇祖
(
クワウソ
)
皇宗
(
クワウソウ
)
国
(
クニ
)
ヲ
肇
(
ハジ
)
ムルコト
宏遠
(
クワウエン
)
ニ
徳
(
トク
)
ヲ
樹
(
タ
)
ツルコト
深厚
(
シンコウ
)
ナリ、
024
汝
(
ナンジ
)
臣民
(
シンミン
)
克
(
ヨ
)
ク
忠
(
チユウ
)
ニ
克
(
ヨ
)
ク
孝
(
カウ
)
ニ』
025
これが
教育
(
けういく
)
勅語
(
ちよくご
)
の
眼目
(
がんもく
)
であります。
026
また
戊申
(
ぼしん
)
詔書
(
せうしよ
)
には、
027
『
淬礪
(
サイレイ
)
ノ
誠
(
マコト
)
ヲ
輸
(
イタ
)
サバ
国運
(
コクウン
)
発展
(
ハツテン
)
ノ
本
(
モト
)
近
(
チカ
)
ク
斯
(
ココ
)
ニ
在
(
ア
)
リ』
028
これが
詰
(
つま
)
り
眼
(
め
)
になつて
居
(
を
)
る。
029
その
通
(
とほ
)
り
初
(
はじ
)
め
天地
(
てんち
)
をお
造
(
つく
)
りになるに
当
(
あた
)
つても、
030
この
宇宙
(
うちう
)
を
治
(
をさ
)
める
為
(
ため
)
にはどうしても、
031
眼
(
め
)
といふものが
必要
(
ひつえう
)
であるといふので、
032
そこで
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
は
天地
(
てんち
)
の
主
(
しゆ
)
をお
創
(
はじ
)
めになつたのであります。
033
すなはち
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
は、
034
先
(
ま
)
づ
天
(
てん
)
の
主
(
しゆ
)
をこしらへたい、
035
この
霊界
(
れいかい
)
の
主宰者
(
しゆさいしや
)
をこしらへたいと
思召
(
おぼしめ
)
しになりまして
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
を
洗
(
あら
)
ひ
給
(
たま
)
うた、
036
この
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
といふのは
日
(
ひ
)
であります。
037
太陽神
(
たいやうしん
)
であつて
上
(
うへ
)
である。
038
右
(
みぎ
)
の
目
(
め
)
といふのが
太陰神
(
たいいんしん
)
であつて
下
(
した
)
であります。
039
言霊
(
ことたま
)
の
天則
(
てんそく
)
から
申
(
まを
)
しますと
左
(
ひだり
)
は
男
(
をとこ
)
、
040
右
(
みぎ
)
は
女
(
をんな
)
と、
041
これは
既
(
すで
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御代
(
みよ
)
から
定
(
き
)
まつた
掟
(
おきて
)
である。
042
然
(
しか
)
るにこの
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
を
洗
(
あら
)
うてお
生
(
うま
)
れになつたのが
日
(
ひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
043
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
であつて、
044
右
(
みぎ
)
の
目
(
め
)
を
洗
(
あら
)
うてお
生
(
うま
)
れになつたのが
月読
(
つきよみの
)
命
(
みこと
)
、
045
さうすると
目
(
め
)
からお
生
(
うま
)
れになつたのは、
046
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
女子
(
によし
)
でありました。
047
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
をお
洗
(
あら
)
ひになつて
直
(
す
)
ぐお
生
(
うま
)
れになつたのが
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
でありました。
048
これで
詰
(
つま
)
り
左
(
ひだり
)
を
宇宙
(
うちう
)
霊界
(
れいかい
)
とし、
049
右
(
みぎ
)
を
地球
(
ちきう
)
として、
050
天上
(
てんじやう
)
天下
(
てんか
)
の
君
(
きみ
)
をお
生
(
う
)
みになつた
訳
(
わけ
)
であります。
051
『
次
(
つぎ
)
に
御鼻
(
みはな
)
を
洗
(
あら
)
ひ
給
(
たま
)
ひしときに
成
(
な
)
りませる
神
(
かみ
)
の
御名
(
みな
)
は
建速
(
たけはや
)
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
』
052
はな
は
初
(
はじ
)
めに
成
(
な
)
るの
意義
(
いぎ
)
で
即
(
すなは
)
ち
初
(
はじ
)
めである。
053
物質
(
ぶつしつ
)
の
元
(
もと
)
であります。
054
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
いて
而
(
しか
)
して
後
(
あと
)
から
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
びます。
055
人間
(
にんげん
)
の
身体
(
からだ
)
が
出来
(
でき
)
るにつきましても、
056
先
(
ま
)
づ
胎内
(
たいない
)
に
於
(
おい
)
て
人間
(
にんげん
)
の
形
(
かたち
)
の
出来
(
でき
)
る
初
(
はじ
)
めは
鼻
(
はな
)
である。
057
それから
眼
(
め
)
が
出来
(
でき
)
る。
058
絵師
(
ゑし
)
が
人間
(
にんげん
)
の
絵
(
ゑ
)
を
描
(
か
)
きましても、
059
その
輪廓
(
りんくわく
)
を
描
(
か
)
くのに
何
(
なに
)
より
先
(
さき
)
に
鼻
(
はな
)
を
描
(
ゑが
)
く、
060
鼻
(
はな
)
は
真中
(
まんなか
)
である。
061
鼻
(
はな
)
を
先
(
さき
)
へ
描
(
か
)
いて
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
に
目
(
め
)
を
描
(
か
)
き
口
(
くち
)
を
描
(
か
)
いてそこで
都合
(
つがふ
)
好
(
よ
)
く
絵
(
ゑ
)
が
出来
(
でき
)
るのである。
062
この
初
(
はじ
)
めて
出来
(
でき
)
た
統治
(
とうぢ
)
の
位地
(
ゐち
)
にお
立
(
た
)
ちになるのが
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
であります。
063
俗
(
ぞく
)
に
何
(
なん
)
でも
物
(
もの
)
の
完成
(
くわんせい
)
したことを
眼鼻
(
めはな
)
がついたと
申
(
まを
)
します。
064
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
此
(
この
)
世界
(
せかい
)
をお
造
(
つく
)
りになつて、
065
さうしてそこに
初
(
はじ
)
めて
眼鼻
(
めはな
)
をおつけになつたのであります。
066
『
此
(
この
)
時
(
とき
)
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
太
(
いた
)
く
歓喜
(
よろこば
)
して
詔
(
の
)
り
給
(
たま
)
はく』
067
愈
(
いよいよ
)
天地
(
てんち
)
が
完全
(
くわんぜん
)
に
出来
(
でき
)
たから、
068
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
非常
(
ひじやう
)
にお
喜
(
よろこ
)
びになつた。
069
これまでに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
沢山
(
たくさん
)
な
御
(
お
)
子
(
こ
)
達
(
たち
)
をお
産
(
う
)
みになつて
居
(
を
)
りますが
衝立
(
つきたつ
)
船戸
(
ふなど
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
から
十二柱
(
じふにはしら
)
ありました。
070
その
次
(
つぎ
)
に
三柱
(
みはしら
)
お
生
(
うま
)
れになつてをるので
都合
(
つがふ
)
十五柱
(
じふごはしら
)
であります。
071
男神
(
をとこがみ
)
様
(
さま
)
は
我
(
われ
)
はかやうに
沢山
(
たくさん
)
の
子
(
こ
)
を
産
(
う
)
むだが、
072
しかし
今度
(
こんど
)
の
様
(
やう
)
な
眼鼻
(
めはな
)
になる
所
(
ところ
)
の
子
(
こ
)
は
初
(
はじ
)
めてである。
073
『
吾
(
われ
)
は
御子
(
みこ
)
生
(
う
)
みて、
074
生
(
う
)
みの
果
(
はて
)
に
三柱
(
みはしら
)
の
貴子
(
うづのみこ
)
得
(
え
)
たり』
075
と
仰
(
おほ
)
せられまして、
076
やがて、
077
『
其
(
その
)
御頸珠
(
みくびたま
)
の
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
母由良
(
もゆら
)
に
取
(
と
)
りゆらかして』
078
即
(
すなは
)
ちむかしの
勾玉
(
まがたま
)
と
申
(
まを
)
したやうな、
079
高貴
(
かうき
)
な
人
(
ひと
)
が
飾
(
かざ
)
りとしてかけて
居
(
を
)
つた
頸珠
(
くびたま
)
であります。
080
丁度
(
ちやうど
)
今
(
いま
)
で
申
(
まを
)
しますと
大
(
だい
)
勲位章
(
くんゐしやう
)
とか、
081
大綬章
(
だいじゆしやう
)
とか、
082
一等
(
いつとう
)
勲章
(
くんしやう
)
とか
云
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
の、
083
曲玉
(
まがたま
)
のやうなのを
掛
(
か
)
けて
居
(
を
)
られたかと
思
(
おも
)
はれます。
084
そこでこの
玉
(
たま
)
を
自分
(
じぶん
)
からお
取
(
と
)
り
脱
(
はづ
)
しになつて
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
にお
渡
(
わた
)
しになつた。
085
母由良
(
もゆら
)
にとりゆらかしてといふことは
何
(
なん
)
でも
非常
(
ひじやう
)
に
喜
(
よろこ
)
んで
物
(
もの
)
を
渡
(
わた
)
すときには、
086
自然
(
しぜん
)
に
手
(
て
)
や
身体
(
からだ
)
が
揺
(
ゆ
)
れる。
087
一面
(
いちめん
)
から
云
(
い
)
へば
揺
(
ゆ
)
つて
渡
(
わた
)
す。
088
頂
(
いただ
)
くときにも
亦
(
また
)
揺
(
ゆ
)
つて
頂
(
いただ
)
く、
089
今
(
いま
)
は
然
(
そ
)
う
云
(
い
)
ふやうなことでは
御座
(
ござ
)
いませぬけれども、
090
本当
(
ほんたう
)
に
嬉
(
うれ
)
しいときには
然
(
さ
)
うなつて
来
(
く
)
るのであります。
091
さて
之
(
これ
)
を
揺
(
ゆ
)
りよい
音鳴
(
ねな
)
りをさせながら
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
に
賜
(
たま
)
ひまして
詔給
(
のりたま
)
はく、
092
『
汝
(
な
)
が
命
(
みこと
)
は
高天
(
たかあま
)
の
原
(
はら
)
を
知
(
し
)
らせ』
093
と
高天原
(
たかあまはら
)
を
主宰
(
しゆさい
)
せよと
仰
(
おふ
)
せになつて
珠
(
たま
)
をお
授
(
さづ
)
けになつたのであります。
094
『かれ
其
(
その
)
御頸珠
(
みくびのたま
)
の
名
(
な
)
を
御倉
(
みくら
)
板挙之
(
たなの
)
神
(
かみ
)
と
申
(
まを
)
す』
095
此
(
こ
)
の
御倉
(
みくら
)
板挙之
(
たなの
)
神
(
かみ
)
といふことは、
096
言霊学
(
げんれいがく
)
上
(
じやう
)
から
見
(
み
)
ても、
097
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
方
(
はう
)
で
申
(
まを
)
されまする
暦
(
こよみ
)
――
此
(
この
)
世界
(
せかい
)
には
恒天暦
(
かうてんれき
)
、
098
太陽暦
(
たいやうれき
)
、
099
太陰暦
(
たいいんれき
)
の
三
(
み
)
つの
暦
(
こよみ
)
が
常
(
つね
)
に
運行
(
うんかう
)
循環
(
じゆんかん
)
して
居
(
を
)
るのであります。
100
で、
101
此
(
この
)
御頸珠
(
みくびたま
)
をお
授
(
さづ
)
けになつたといふのは、
102
所謂
(
いはゆる
)
御倉
(
みくら
)
板挙之
(
たなの
)
神
(
かみ
)
、
103
即
(
すなは
)
ち
恒天暦
(
かうてんれき
)
、
104
太陽暦
(
たいやうれき
)
、
105
太陰暦
(
たいいんれき
)
をお
授
(
さづ
)
けになつたのであります。
106
『
次
(
つぎ
)
に
月読
(
つきよみの
)
命
(
みこと
)
に
詔給
(
のりたま
)
はく「
汝
(
な
)
が
命
(
みこと
)
は
夜
(
よる
)
の
食国
(
をすくに
)
を
知
(
し
)
らせ」と
事依
(
ことよ
)
さし
給
(
たま
)
ひき』
107
右
(
みぎ
)
の
眼
(
め
)
よりお
生
(
うま
)
れになつた
月読
(
つきよみの
)
命
(
みこと
)
に
夜
(
よる
)
の
主宰
(
しゆさい
)
をせよと
仰
(
あふ
)
せられた。
108
知
(
し
)
らせといふことは、
109
大事
(
だいじ
)
に
守護
(
まも
)
り
能
(
よ
)
く
治
(
をさ
)
めよといふ
意味
(
いみ
)
で、
110
太陰
(
たいいん
)
の
世界
(
せかい
)
を
主宰
(
しゆさい
)
せよと
仰有
(
おつしや
)
つた。
111
高天原
(
たかあまはら
)
は
全大
(
ぜんだい
)
宇宙
(
うちう
)
である。
112
夜
(
よる
)
の
食国
(
おすくに
)
は
昼
(
ひる
)
の
従
(
じう
)
である。
113
それで
月読
(
つきよみの
)
命
(
みこと
)
はどこまでも
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
を
扶
(
たす
)
けて
宇宙
(
うちう
)
の
経綸
(
けいりん
)
に
当
(
あた
)
れと、
114
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
詔
(
みことのり
)
であります。
115
『
次
(
つぎ
)
に
建速
(
たけはや
)
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
に
詔給
(
のりたま
)
はく「
汝
(
な
)
が
命
(
みこと
)
は
海原
(
うなばら
)
を
知
(
し
)
らせ」と
事依
(
ことよ
)
さし
給
(
たま
)
ひき』
116
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
は
鼻
(
はな
)
からお
生
(
うま
)
れになつた
方
(
かた
)
であります。
117
海原
(
うなばら
)
といふのは
此
(
この
)
地球
(
ちきう
)
上
(
じやう
)
のことであります。
118
地球
(
ちきう
)
は
陸
(
りく
)
が
三分
(
さんぶん
)
の
一
(
いち
)
しかありませぬ、
119
三分
(
さんぶん
)
の
二
(
に
)
といふものは
海
(
うみ
)
であります。
120
で
地球
(
ちきう
)
を
総称
(
そうしよう
)
して
大海原
(
おほうなばら
)
と
申
(
まを
)
すのであります。
121
斯
(
こ
)
うして
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
は
深
(
ふか
)
いお
考
(
かんが
)
へから
夫々
(
それぞれ
)
其
(
その
)
知
(
し
)
ろしめす
所
(
ところ
)
を、
122
各々
(
おのおの
)
にお
分
(
わ
)
けになつて、
123
汝
(
なんぢ
)
は
高天原
(
たかあまはら
)
を、
124
汝
(
なんぢ
)
は
夜
(
よる
)
の
食国
(
おすくに
)
を、
125
汝
(
なんぢ
)
は
地球
(
ちきう
)
上
(
じやう
)
即
(
すなは
)
ち
大海原
(
おほうなばら
)
を
知
(
し
)
ろしめせと、
126
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
になつたのであります。
127
今日
(
こんにち
)
は
天照
(
あまてらす
)
大御神
(
おほみかみ
)
の
三代
(
さんだい
)
の
日子番能
(
ひこほの
)
邇々芸
(
ににぎの
)
命
(
みこと
)
が、
128
どうも
此
(
この
)
お
国
(
くに
)
が
治
(
をさ
)
まらぬといふので
天
(
てん
)
から
大神
(
おほかみ
)
の
神勅
(
しんちよく
)
を
奉
(
ほう
)
じて
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
になつて、
129
地球
(
ちきう
)
上
(
じやう
)
をお
治
(
をさ
)
め
遊
(
あそ
)
ばして、
130
さうして
我
(
わが
)
皇室
(
くわうしつ
)
の
御
(
ご
)
先祖
(
せんぞ
)
となり、
131
其
(
その
)
後
(
のち
)
万世
(
ばんせい
)
一系
(
いっけい
)
に
此
(
この
)
国
(
くに
)
をお
治
(
をさ
)
めになつてあるのでありますが、
132
それより
以前
(
いぜん
)
に
於
(
お
)
きましては、
133
古事記
(
こじき
)
によりますと
須佐之男
(
すさのをの
)
神
(
かみ
)
が
此
(
この
)
国
(
くに
)
を
知召
(
しろしめ
)
されたといふことは
前
(
さき
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
神勅
(
しんちよく
)
を
見
(
み
)
ても
明白
(
めいはく
)
な
事実
(
じじつ
)
であります。
134
『
故
(
かれ
)
各々
(
おのおの
)
依
(
よさ
)
し
給
(
たま
)
へる
御言
(
みこと
)
の
随
(
まま
)
に、
135
知
(
し
)
らしめす
中
(
うち
)
に、
136
速
(
はや
)
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
、
137
依
(
よ
)
さし
給
(
たま
)
へる
国
(
くに
)
を
知
(
し
)
らさずて、
138
八拳髯
(
やつかひげ
)
胸前
(
むなさき
)
に
至
(
いた
)
るまで
啼
(
なき
)
いさちき』
139
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
は
大神
(
おほかみ
)
の
仰
(
おほせ
)
に
随
(
したが
)
つて
地上
(
ちじやう
)
に
降臨
(
かうりん
)
遊
(
あそ
)
ばされた。
140
地上
(
ちじやう
)
を
治
(
をさ
)
める
為
(
た
)
めに、
141
お
降
(
くだ
)
りになりましたけれども、
142
その
時
(
とき
)
この
地上
(
ちじやう
)
は
乱
(
みだ
)
れて
居
(
を
)
つて、
143
神代
(
かみよ
)
にも
丁度
(
ちやうど
)
今日
(
こんにち
)
のやうな
世
(
よ
)
があつたものと
見
(
み
)
えます。
144
で
今日
(
こんにち
)
のやうに
政治
(
せいぢ
)
であらうが、
145
宗教
(
しうけう
)
であらうが、
146
教育
(
けういく
)
であらうが、
147
何
(
なに
)
から
何
(
なん
)
まで
一切
(
いつさい
)
のものが
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つて
了
(
しま
)
うて、
148
もう
行
(
ゆ
)
きも
戻
(
もど
)
りも
上
(
あ
)
げも
下
(
おろ
)
しも
出来
(
でき
)
ぬ
様
(
やう
)
になつて
居
(
を
)
つた。
149
それで
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
は、
150
この
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
安
(
やす
)
らけく
平
(
たひら
)
けく
治
(
をさ
)
めて
大神
(
おほかみ
)
を
安堵
(
あんど
)
させ
奉
(
たてまつ
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ないから
非常
(
ひじやう
)
にお
歎
(
なげ
)
きになつて、
151
『
八拳髯
(
やつかひげ
)
胸前
(
むなさき
)
に
至
(
いた
)
るまで』
長
(
なが
)
く
長
(
なが
)
く
髯
(
ひげ
)
が
延
(
の
)
びて
胸前
(
むなさき
)
の
所
(
ところ
)
まで
下
(
さが
)
つて
来
(
く
)
るまで
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をなすつた。
152
人
(
ひと
)
といふものは
髯
(
ひげ
)
を
拵
(
こしら
)
へたり
髪
(
かみ
)
を
整
(
ととの
)
へたり、
153
いろいろのことをして、
154
容貌
(
ようばう
)
を
整
(
ととの
)
へなくてはならぬけれども、
155
此
(
この
)
国
(
くに
)
を
治
(
をさ
)
めようといふ
事
(
こと
)
に、
156
余
(
あま
)
り
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
を
遊
(
あそ
)
ばしたのでありますから、
157
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
にこの
髯
(
ひげ
)
が
八拳
(
やつか
)
に
長
(
なが
)
く
伸
(
の
)
びて
居
(
を
)
つたのであります。
158
『
泣
(
な
)
きいさちき』
159
といふのは、
160
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
一切
(
いつさい
)
悉
(
ことごと
)
くのものが、
161
もうどうしても、
162
これから
進
(
すす
)
むで
行
(
ゆ
)
くとか、
163
開
(
ひら
)
けて
行
(
ゆ
)
くとか、
164
どうしたらよいかといふ
方法
(
はうはふ
)
がない、
165
手
(
て
)
のつけやうがないといふまでに
非常
(
ひじやう
)
に
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つて
了
(
しま
)
つた
状態
(
じやうたい
)
を、
166
お
歎
(
なげ
)
きになるさまに
形容
(
けいよう
)
したのであります。
167
『
其
(
その
)
泣
(
な
)
き
給
(
たま
)
ふ
状
(
さま
)
は』
168
どういふ
工合
(
ぐあひ
)
であつたかといふと、
169
『
青山
(
あをやま
)
を
枯山
(
かれやま
)
なす
泣
(
な
)
き
枯
(
か
)
らし』
170
今
(
いま
)
まで
山
(
やま
)
などの
草木
(
さうもく
)
が
青々
(
あをあを
)
と
生
(
お
)
ひ
繁
(
しげ
)
つて
居
(
ゐ
)
たのに、
171
世
(
よ
)
が
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つた
為
(
ため
)
に
枯
(
か
)
れて
了
(
しま
)
うた。
172
枯
(
か
)
らして
了
(
しま
)
うた。
173
山
(
やま
)
がすつかり
一変
(
いつぺん
)
して
枯山
(
かれやま
)
となつてしまうた。
174
これは
今日
(
こんにち
)
の
状態
(
じやうたい
)
によつく
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
るではありませぬか。
175
今
(
いま
)
まで
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
計画
(
けいくわく
)
、
176
百
(
ひやく
)
年
(
ねん
)
計画
(
けいくわく
)
といふやうな
風
(
ふう
)
にいろいろな
事業
(
じげふ
)
が
企
(
くはだ
)
てられた。
177
何会社
(
なにくわいしや
)
が
立
(
た
)
つの、
178
或
(
あるひ
)
は
何事業
(
なにじげふ
)
が
起
(
おこ
)
されたと、
179
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
くちや
)
に
四五
(
しご
)
年前
(
ねんぜん
)
から
本年
(
ほんねん
)
の
春
(
はる
)
までは
偉
(
えら
)
い
勢
(
いきほひ
)
で、
180
好景気
(
かうけいき
)
を
謳歌
(
おうか
)
して、
181
青々
(
あをあを
)
とした
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
くに
有頂天
(
うちやうてん
)
になつて
居
(
を
)
りましたが、
182
青山
(
あをやま
)
がいつまでも
天空
(
てんくう
)
につかへないが
如
(
ごと
)
くに、
183
なんぼ
木
(
き
)
が
伸
(
の
)
びたつて
天
(
てん
)
につかへる
気遣
(
きづか
)
ひのないやうに、
184
一朝
(
いつてう
)
行
(
ゆ
)
きつまれば
最早
(
もはや
)
さう
云
(
い
)
ふ
勢
(
いきほひ
)
はすつくり
枯
(
か
)
れて
了
(
しま
)
ふ。
185
今年
(
ことし
)
の
春
(
はる
)
からこの
方
(
かた
)
、
186
元
(
もと
)
も
子
(
こ
)
もなくなつて、
187
青山
(
あをやま
)
は
枯山
(
かれやま
)
になつた。
188
どうしても
伸
(
の
)
びる
方法
(
はうはふ
)
もない、
189
火
(
ひ
)
の
消
(
き
)
えたるが
如
(
ごと
)
き
有様
(
ありさま
)
になつて
了
(
しま
)
つたのであります。
190
『
河海
(
かはうみ
)
は
悉
(
ことごと
)
に
泣
(
な
)
き
乾
(
ほ
)
しき』
191
山
(
やま
)
が
枯山
(
かれやま
)
となつたと
同
(
おな
)
じく、
192
河
(
かは
)
も
海
(
うみ
)
も
悉
(
ことごと
)
く
乾
(
かわ
)
いて
了
(
しま
)
うて、
193
一滴
(
いつてき
)
の
水
(
みづ
)
もなくなつたといふのであります。
194
今日
(
こんにち
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
譬
(
たと
)
へて
申
(
まを
)
しますれば、
195
郵船
(
いうせん
)
会社
(
くわいしや
)
とか、
196
商船
(
しやうせん
)
会社
(
くわいしや
)
とか
其
(
その
)
他
(
た
)
いろいろの
海運業
(
かいうんげふ
)
も
追々
(
おひおひ
)
と
仕事
(
しごと
)
がなくなつて
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
も
行
(
ゆ
)
かなくなつた。
197
すると
此
(
この
)
海河
(
うみかは
)
の
労働
(
らうどう
)
仕事
(
しごと
)
に
従事
(
じうじ
)
して
居
(
ゐ
)
るものは、
198
稼殖
(
かしよく
)
の
途
(
みち
)
のなくなるのは
勿論
(
もちろん
)
、
199
稼業
(
かげふ
)
に
離
(
はな
)
れる、
200
職
(
しよく
)
に
離
(
はな
)
れるといふことになつて
来
(
く
)
ると
一家
(
いつか
)
は
子供
(
こども
)
に
至
(
いた
)
るまで、
201
悉
(
ことごと
)
く
泣
(
な
)
き
乾
(
ほ
)
しになる。
202
最早
(
もは
)
や
食
(
く
)
ふ
道
(
みち
)
がないやうになると、
203
もう
乾干
(
ひぼし
)
になるより
仕様
(
しやう
)
がない。
204
総
(
すべ
)
て
海
(
うみ
)
に
稼
(
かせ
)
いで
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
も、
205
河
(
かは
)
に
従事
(
じうじ
)
して
居
(
を
)
る
者
(
もの
)
も、
206
其
(
その
)
他
(
た
)
一切
(
いつさい
)
のことに
従事
(
じうじ
)
して
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
も、
207
みんな
泣
(
な
)
き
乾
(
ほ
)
しになつて
了
(
しま
)
うたのである。
208
『
是
(
これ
)
を
以
(
もつ
)
て
悪神
(
あらぶるかみ
)
の
音
(
おと
)
なひ、
209
狭蠅
(
さばへ
)
なす
皆
(
みな
)
沸
(
わ
)
き、
210
万
(
よろづ
)
の
物
(
もの
)
の
妖
(
わざはひ
)
悉
(
ことごと
)
に
発
(
おこ
)
りき』
211
神代
(
かみよ
)
に
於
(
おい
)
ても
世
(
よ
)
が
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つて
来
(
く
)
れば、
212
そこにいろいろの
不祥
(
ふしやう
)
なる
事件
(
じけん
)
が
起
(
おこ
)
つて
来
(
き
)
たものと
見
(
み
)
えます。
213
畏
(
かしこ
)
くも
明治
(
めいぢ
)
天皇
(
てんわう
)
陛下
(
へいか
)
が、
214
『
之
(
コレ
)
ヲ
古今
(
ココン
)
ニ
通
(
ツウ
)
ジテ
謬
(
アヤマ
)
ラズ
之
(
コレ
)
ヲ
中外
(
チユウグワイ
)
ニ
施
(
ホドコ
)
シテ
悖
(
モト
)
ラズ』
[
※
教育勅語の一節
]
215
と
仰
(
あふ
)
せられましたやうに、
216
真理
(
しんり
)
といふものは
何
(
いづ
)
れの
時代
(
じだい
)
にも
適応
(
てきおう
)
するので
御座
(
ござ
)
います。
217
既
(
すで
)
に
古事記
(
こじき
)
の
明文
(
めいぶん
)
にある
所
(
ところ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
218
今日
(
こんにち
)
の
状態
(
じやうたい
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
れば、
219
丁度
(
ちやうど
)
此
(
この
)
岩戸
(
いはと
)
開
(
びら
)
き
前
(
まへ
)
の
状態
(
じやうたい
)
と
克
(
よ
)
く
似
(
に
)
て
居
(
を
)
る。
220
世
(
よ
)
がどん
底
(
ぞこ
)
に
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つて
労働
(
らうどう
)
しようにも
仕事
(
しごと
)
がない、
221
仕事
(
しごと
)
がなければ
妻子
(
さいし
)
眷族
(
けんぞく
)
を
養
(
やしな
)
ふことが
出来
(
でき
)
ない。
222
生活
(
せいくわつ
)
といふことが
出来
(
でき
)
なくなるとそこで
悪神
(
あらぶるかみ
)
の
音
(
おと
)
なひとなり、
223
いろいろの
騒動
(
さうだう
)
が
起
(
おこ
)
つて
来
(
く
)
る、
224
人間
(
にんげん
)
の
心
(
こころ
)
が
荒
(
すさ
)
んで
来
(
く
)
る。
225
衣食
(
いしよく
)
足
(
た
)
つて
礼節
(
れいせつ
)
を
知
(
し
)
る、
226
今
(
いま
)
まで
善
(
よ
)
い
魂
(
たましひ
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
つたものも、
227
だんだん
悪
(
わる
)
い
魂
(
たま
)
の
力
(
ちから
)
に
押
(
おさ
)
へられて
悪化
(
あくくわ
)
して
了
(
しま
)
ふ。
228
食
(
く
)
ふか
食
(
く
)
はぬか、
229
死
(
し
)
ぬか
生
(
い
)
きるか、
230
喰
(
く
)
うて
死
(
し
)
ぬか
食
(
く
)
はずに
死
(
し
)
ぬか、
231
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
苦
(
くる
)
しい
立場
(
たちば
)
になりますと、
232
人心
(
じんしん
)
は
日増
(
ひま
)
しに
悪化
(
あくくわ
)
して
善
(
よ
)
くないことが
往々
(
わうわう
)
始
(
はじ
)
まる。
233
甚
(
はなは
)
だしきは
警察
(
けいさつ
)
へ
行
(
い
)
つて
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
になつた
方
(
はう
)
が
楽
(
らく
)
で、
234
養
(
やし
)
なつて
呉
(
く
)
れて
安全
(
あんぜん
)
だといふものが
出来
(
でき
)
る。
235
監獄
(
かんごく
)
に
入
(
い
)
れば
食
(
く
)
はして
呉
(
く
)
れる、
236
金銭
(
きんせん
)
はなくても
可
(
い
)
いといふ
具合
(
ぐあひ
)
に
自暴
(
じばう
)
自棄
(
じき
)
的
(
てき
)
に
悪神
(
あらぶるかみ
)
の
音
(
おと
)
なひが
始
(
はじ
)
まる。
237
此
(
この
)
音
(
おと
)
なひといふのは、
238
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
真意
(
しんい
)
に
背
(
そむ
)
いた
所
(
ところ
)
の、
239
いろいろの
論説
(
ろんせつ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るといふので、
240
あちらからも
此方
(
こちら
)
からも
異端
(
いたん
)
邪説
(
じやせつ
)
が
叢
(
むらが
)
り
起
(
おこ
)
ることであります。
241
然
(
さ
)
うした
結果
(
けつくわ
)
が、
242
うるさい
所
(
ところ
)
の
五月蠅
(
さばへ
)
のやうにブンブンブンといろいろの
事
(
こと
)
が
湧
(
わ
)
いて、
243
『
万
(
よろづ
)
の
物
(
もの
)
の
妖
(
わざはひ
)
悉
(
ことごと
)
に
発
(
おこ
)
りき』
244
一切
(
いつさい
)
のものに
災禍
(
さいくわ
)
が
起
(
おこ
)
つて
来
(
く
)
る。
245
外交
(
ぐわいかう
)
の
上
(
うへ
)
に
於
(
お
)
きましても、
246
内治
(
ないぢ
)
の
上
(
うへ
)
に
於
(
お
)
きましても、
247
商工業
(
しやうこうげふ
)
の
上
(
うへ
)
にも、
248
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
、
249
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
にも、
250
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
のありと
凡
(
あら
)
ゆるものに
向
(
むか
)
つて、
251
みな
災禍
(
さいくわ
)
が
起
(
おこ
)
つて
来
(
く
)
るのであります。
252
そこで
天
(
てん
)
から
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
大神
(
おほかみ
)
が
之
(
これ
)
を
御覧
(
ごらん
)
になつて、
253
『
速
(
はや
)
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
に
詔給
(
のりたま
)
はく』
254
仰有
(
おつしや
)
るのには、
255
『
何
(
なん
)
とかも、
256
いましは、
257
事依
(
ことよ
)
させる
国
(
くに
)
を
治
(
しら
)
さずて
泣
(
な
)
きいさちる』
258
そなたは、
259
此
(
この
)
大海原
(
おほうなばら
)
の
国
(
くに
)
を
治
(
をさ
)
めよと
言
(
い
)
うてあるのに、
260
何故
(
なにゆゑ
)
それを
治
(
をさ
)
めぬのか、
261
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
難局
(
なんきよく
)
に
陥
(
おちい
)
らせたのか、
262
何
(
ど
)
うして
騒
(
さわ
)
がしい
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
として
了
(
しま
)
うたのか、
263
と
大変
(
たいへん
)
にお
責
(
せめ
)
になつたのであります。
264
すると
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
は、
265
誠
(
まこと
)
に
相
(
あひ
)
済
(
す
)
まぬ
事
(
こと
)
であります。
266
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
これは
私
(
わたくし
)
に
力
(
ちから
)
が
足
(
た
)
らぬからであります。
267
私
(
わたくし
)
が
悪
(
わる
)
いのでありますとお
答
(
こた
)
へになつた。
268
併
(
しか
)
し
斯
(
か
)
うなつて
来
(
き
)
ては
如何
(
いか
)
なる
人
(
ひと
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ても、
269
此
(
この
)
時節
(
じせつ
)
には
敵
(
かな
)
はない。
270
治
(
をさ
)
まるときには
治
(
をさ
)
めなくても
治
(
をさ
)
まるが、
271
治
(
をさ
)
まらぬときに
之
(
これ
)
を
治
(
をさ
)
めるといふ
事
(
こと
)
は
難
(
むつ
)
かしいものであります。
272
人
(
ひと
)
盛
(
さか
)
んなれば
天
(
てん
)
に
勝
(
か
)
ち、
273
天
(
てん
)
定
(
さだ
)
まつて
人
(
ひと
)
を
制
(
せい
)
す、
274
悪運
(
あくうん
)
の
強
(
つよ
)
い
時
(
とき
)
には
如何
(
いか
)
なる
神
(
かみ
)
もこれを
何
(
ど
)
うも
斯
(
こ
)
うもする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ない。
275
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
様
(
さま
)
も
此
(
この
)
時節
(
じせつ
)
の
勢
(
いきほひ
)
には
敵
(
かな
)
はぬと
仰
(
あふ
)
せられて、
276
それで
三千
(
さんぜん
)
年間
(
ねんかん
)
あの
世
(
よ
)
に
隠
(
かく
)
れて、
277
今日
(
こんにち
)
の
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
時節
(
じせつ
)
を
待
(
ま
)
つて、
278
現在
(
げんざい
)
に
顕
(
あら
)
はれ
天
(
てん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
を
奉
(
ほう
)
じて、
279
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しをなさらうといふのであります。
280
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
でさへもさう
仰
(
あふ
)
せに
成
(
な
)
るのでありますから、
281
況
(
ま
)
して
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
が
大変
(
たいへん
)
に
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つた
地上
(
ちじやう
)
を
治
(
をさ
)
めようとなさつてもどうして
治
(
をさ
)
まらう
筈
(
はず
)
がありませう。
282
然
(
しか
)
らば
何故
(
なにゆゑ
)
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
御
(
お
)
一人
(
ひとり
)
では
治
(
をさ
)
まらないのであるかと
申
(
まを
)
せば、
283
それは
今日
(
こんにち
)
文武
(
ぶんぶ
)
百官
(
ひやくくわん
)
がありまして、
284
亦
(
ま
)
た
政党
(
せいたう
)
政派
(
せいは
)
が
互
(
たがひ
)
に
相
(
あひ
)
争
(
あらそ
)
ひ、
285
一方
(
いつぱう
)
が
斯
(
こ
)
うすれば
一方
(
いつぱう
)
が
苦情
(
くじやう
)
を
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
して
思
(
おも
)
ふやうにならぬ
如
(
ごと
)
く
前
(
まへ
)
に
申
(
まを
)
しましたやうに
既
(
すで
)
にいろいろの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
達
(
たち
)
が
沢山
(
たくさん
)
あつて、
286
其
(
その
)
神々
(
かみがみ
)
様
(
さま
)
が
各自
(
めいめい
)
に
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
を
取
(
と
)
り
違
(
ちが
)
へて、
287
所謂
(
いはゆる
)
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
に
陥
(
おちい
)
つて
居
(
を
)
られたので、
288
一人
(
ひとり
)
の
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
がどれ
程
(
ほど
)
誠
(
まこと
)
の
途
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
かうとなすつた
所
(
ところ
)
で、
289
更
(
さら
)
に
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
れるものがない、
290
各自
(
めいめい
)
に
勝手
(
かつて
)
な
真似
(
まね
)
をなさる。
291
丁度
(
ちやうど
)
強情
(
がうじやう
)
な
盲
(
めくら
)
と
聾
(
つんぼ
)
との
寄合
(
よりあひ
)
のやうであります。
292
そこに
千仭
(
せんじん
)
の
谷
(
たに
)
があつても
盲
(
めくら
)
は
顛覆
(
ひつくりか
)
へるまでは
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
をしてをる。
293
どれ
程
(
ほど
)
雷
(
かみなり
)
が
鳴
(
な
)
つても
聾
(
つんぼ
)
は
足下
(
あしもと
)
に
落
(
お
)
ちるまでは
平気
(
へいき
)
である。
294
それに
強情
(
がうじやう
)
を
張
(
は
)
つて
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
注意
(
ちゆうい
)
しても
聴
(
き
)
かない。
295
神代
(
かみよ
)
の
人
(
ひと
)
もそのやうに
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
で、
296
どうしても
命
(
みこと
)
の
命令
(
めいれい
)
を
聴
(
き
)
かなかつた。
297
それで
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
は、
298
これは
取
(
と
)
りも
直
(
なほ
)
さず
自分
(
じぶん
)
の
責任
(
せきにん
)
である、
299
自分
(
じぶん
)
の
不徳
(
ふとく
)
の
致
(
いた
)
す
所
(
ところ
)
である、
300
到底
(
たうてい
)
自分
(
じぶん
)
の
力
(
ちから
)
では
及
(
およ
)
ばないのであると、
301
自
(
みづか
)
らをお
責
(
せ
)
めになつて、
302
『あは
妣
(
はは
)
の
国
(
くに
)
、
303
根
(
ね
)
の
堅洲国
(
かたすくに
)
に
罷
(
まか
)
らんと
思
(
おも
)
ふが
故
(
ゆゑ
)
に
泣
(
な
)
く』
304
私
(
わたし
)
はもうお
暇
(
いとま
)
を
頂
(
いただ
)
いて、
305
母
(
はは
)
の
国
(
くに
)
に
帰
(
かへ
)
らうと
仰
(
あふ
)
せられたのであります。
306
根
(
ね
)
の
堅洲国
(
かたすくに
)
と
申
(
まを
)
すのは
母神
(
ははがみ
)
の
伊邪那美
(
いざなみの
)
命
(
みこと
)
がおいでになつてゐる
所
(
ところ
)
であります。
307
尤
(
もつと
)
もこれまでの
或
(
あ
)
る
国学者
(
こくがくしや
)
達
(
たち
)
は
根
(
ね
)
の
堅洲国
(
かたすのくに
)
といふのは
地下
(
ちか
)
の
国
(
くに
)
であると
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
りますが、
308
併
(
しか
)
し
一番
(
いちばん
)
に
此
(
この
)
伊邪那美
(
いざなみの
)
命
(
みこと
)
は
月読
(
つきよみの
)
命
(
みこと
)
と
同
(
おな
)
じく
月界
(
げつかい
)
に
御
(
お
)
出
(
い
)
でになつたのでありますから、
309
月界
(
げつかい
)
を
根
(
ね
)
の
堅洲国
(
かたすのくに
)
と
言
(
い
)
つたのであります。
310
で
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
は
自分
(
じぶん
)
の
力
(
ちから
)
が
足
(
た
)
らないのである、
311
不徳
(
ふとく
)
の
致
(
いた
)
す
所
(
ところ
)
であるからして
自
(
みづか
)
ら
身
(
み
)
を
引
(
ひ
)
いて、
312
根
(
ね
)
の
堅洲
(
かたす
)
の
国
(
くに
)
へ
行
(
ゆ
)
かうと
仰有
(
おつしや
)
つて、
313
一言
(
いちごん
)
も
部下
(
ぶか
)
の
神々
(
かみがみ
)
の
不心得
(
ふこころえ
)
や、
314
其
(
その
)
悪
(
わる
)
い
行状
(
ぎやうじやう
)
を
仰
(
あふ
)
せられなかつた。
315
如何
(
いか
)
にも
男
(
をとこ
)
らしい
潔白
(
けつぱく
)
なお
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
います。
316
所
(
ところ
)
が
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
になつた。
317
『
然
(
しか
)
らばみまし
此
(
この
)
国
(
くに
)
にはな
住
(
す
)
みそ』
318
其
(
その
)
方
(
はう
)
のやうな
此
(
この
)
海原
(
うなばら
)
を
治
(
をさ
)
める
力量
(
りきりやう
)
の
無
(
な
)
いものならば、
319
二度
(
にど
)
と
此
(
この
)
国
(
くに
)
に
住
(
す
)
むではならぬ。
320
勝手
(
かつて
)
に
根
(
ね
)
の
堅洲国
(
かたすくに
)
へ
行
(
い
)
つたがよからう。
321
一時
(
いつとき
)
でも
居
(
を
)
つてはならぬぞとお
叱
(
しか
)
りになつたけれども、
322
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
は
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
の
心中
(
しんちう
)
は
疾
(
と
)
くに
克
(
よ
)
く
御
(
ご
)
存知
(
ぞんぢ
)
である。
323
自分
(
じぶん
)
の
子
(
こ
)
がどうして
此
(
この
)
国
(
くに
)
を
治
(
をさ
)
める
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ないか、
324
どうして
自分
(
じぶん
)
の
珍
(
うづ
)
の
児
(
こ
)
の
言
(
い
)
ふことを
万
(
よろづ
)
の
神々
(
かみがみ
)
が
聴
(
き
)
かぬか、
325
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
では
充分
(
じゆうぶん
)
に
御
(
ご
)
存知
(
ぞんぢ
)
でありますが、
326
それを
彼此
(
かれこれ
)
仰有
(
おつしや
)
らない。
327
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
には
千万
(
せんまん
)
無量
(
むりやう
)
のお
悲
(
かな
)
しみを
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
られまするけれども、
328
他
(
ほか
)
に
多
(
おほ
)
くの
神々
(
かみがみ
)
に
傷
(
きず
)
をつけるといふことは
考
(
かんが
)
へ
物
(
もの
)
である。
329
それで
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
に
刑罰
(
けいばつ
)
を
与
(
あた
)
へて
罪人
(
ざいにん
)
としたならば、
330
その
他
(
た
)
の
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
、
331
これに
随
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
はそれを
見
(
み
)
て
皆
(
みな
)
改心
(
かいしん
)
するであらう、
332
その
悪
(
わる
)
かつたことを
悟
(
さと
)
るであらうと
思召
(
おぼしめ
)
して
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
は
自分
(
じぶん
)
の
子
(
こ
)
を
罰
(
ばつ
)
せられたのでありまして、
333
普通
(
ふつう
)
の
者
(
もの
)
の
出来
(
でき
)
難
(
にく
)
いことで
御座
(
ござ
)
います。
334
その
広大
(
くわうだい
)
なるお
情
(
なさけ
)
深
(
ぶか
)
い
御心
(
みこころ
)
は、
335
誠
(
まこと
)
に
勿体
(
もつたい
)
ない
次第
(
しだい
)
でありませぬか。
336
此
(
この
)
須佐之男
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
を
罪
(
つみ
)
に
問
(
と
)
うたならば、
337
あれこそ
吾々
(
われわれ
)
の
為
(
た
)
めに
罪
(
つみ
)
せられたのである、
338
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まないことであるから、
339
吾々
(
われわれ
)
は
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めて
本当
(
ほんたう
)
の
政治
(
せいぢ
)
をしなければならぬ、
340
改心
(
かいしん
)
を
早
(
はや
)
く
致
(
いた
)
して
命
(
みこと
)
の
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
されむ
事
(
こと
)
を
八百万
(
やほよろづ
)
の
神々
(
かみがみ
)
が
思
(
おも
)
ふであらうと
思召
(
おぼしめ
)
して
伊邪那岐
(
いざなぎの
)
命
(
みこと
)
は
此
(
この
)
処置
(
しよち
)
をお
取
(
と
)
り
遊
(
あそ
)
ばしたのであるが、
341
矢張
(
やつぱり
)
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
に
陥
(
おちい
)
られた
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
は
容易
(
ようい
)
にそれがお
解
(
わか
)
りにならず、
342
あれは
当然
(
たうぜん
)
である、
343
政治
(
せいぢ
)
の
主権
(
しゆけん
)
をあんな
者
(
もの
)
が
握
(
にぎ
)
つて
居
(
を
)
つては
国
(
くに
)
の
治
(
をさ
)
まらう
筈
(
はず
)
がない、
344
あれが
居
(
ゐ
)
なくなれば
又
(
また
)
善
(
よ
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
来
(
く
)
るに
違
(
ちが
)
ひない、
345
否
(
いな
)
吾々
(
われわれ
)
の
力
(
ちから
)
で
充分
(
じうぶん
)
に
世
(
よ
)
を
治
(
をさ
)
めようといふやうな
頗
(
すこぶ
)
る
冷淡
(
れいたん
)
な
間違
(
まちが
)
つた
考
(
かんが
)
へを
有
(
も
)
つて
居
(
を
)
つたのであります。
346
寔
(
まこと
)
にこんな
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
治
(
をさ
)
めようとするには
並大抵
(
なみたいてい
)
の
事
(
こと
)
ではないので
御座
(
ござ
)
います。
347
(
大正九・一〇・一五
講演筆録)
348
(
大正一一・三・五
再録
谷村真友
録)
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【第28章 三柱の貴子|第12巻|霊主体従|霊界物語|/rm1228】
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