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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第12巻(亥の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 天岩戸開(一)
第1章 正神邪霊
第2章 直会宴
第3章 蚊取別
第4章 初蚊斧
第5章 初貫徹
第6章 招待
第7章 覚醒
第2篇 天岩戸開(二)
第8章 思出の歌
第9章 正夢
第10章 深夜の琴
第11章 十二支
第12章 化身
第13章 秋月滝
第14章 大蛇ケ原
第15章 宣直し
第16章 国武丸
第3篇 天岩戸開(三)
第17章 雲の戸開
第18章 水牛
第19章 呉の海原
第20章 救ひ舟
第21章 立花島
第22章 一島攻撃
第23章 短兵急
第24章 言霊の徳
第25章 琴平丸
第26章 秋月皎々
第27章 航空船
第4篇 古事記略解
第28章 三柱の貴子
第29章 子生の誓
第30章 天の岩戸
余白歌
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第12巻(亥の巻)
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<<< 一島攻撃
(B)
(N)
言霊の徳 >>>
第二三章
短兵急
(
たんぺいきふ
)
〔五一九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻
篇:
第3篇 天岩戸開(三)
よみ(新仮名遣い):
あまのいわとびらき(三)
章:
第23章 短兵急
よみ(新仮名遣い):
たんぺいきゅう
通し章番号:
519
口述日:
1922(大正11)年03月11日(旧02月13日)
口述場所:
筆録者:
藤津久子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
深雪姫の館から海上を見下ろすと、幾百千もの戦船が島へ押し寄せてくるのが見えた。深雪姫は老臣・高杉別に、敵軍の見定めを命じた。
深雪姫は部下の大国別を呼ぶと、敵軍が何者にせよ、決して剣を抜いてはならぬ、善言美詞をもって対する素盞嗚命の御心を忘れるな、と申し付けた。
大国別は攻め寄せる大軍に対して今、日ごろたくわえ鍛えた武を用いるときではないのでしょうか、と深雪姫に反問する。深雪姫は再度、決して三五教の精神に則って、武に対して武を持って応えてはならぬ、ときつく宣示した。そして、今から御神前に祈願をして寄せ来る敵を言向け和す、といって奥殿に去ろうとする。
大国別は去っていこうとする深雪姫を留めて、なにとぞ今武勇を発揮することをお許しください、と懇願した。しかし深雪姫は悠々と宣伝歌を歌いながら奥殿に姿を隠してしまった。
数万の敵軍は上陸し、殺戮しながら城下に迫っている。深雪姫の将卒たちは、攻撃命令を今か今かと息を潜めて待っている。大国別は深雪姫の宣示にもろ手を組んでただ思案するのみであった。
そこへ、高杉別が帰って来た。高杉別は大国別が防戦の準備をしないで手をこまねいている様をなじり、自ら敵軍に対そうと外へ行こうとする。大国別は声をかけ、至仁至愛の神様の御心を考慮するように、と諭すが、高杉別は聞かない。
高杉別が敵に対しようと外に出ると、御年村の虎公こと手力男神は、ゆうゆうと敵軍の有様を見物している。高杉別は防戦を命じるが、手力男は取り合わない。
高杉別は怒って手討ちにしようとするが、逆に手力男に抑えられてしまう。手力男が手を離すと高杉別はまた討ってかかるが、手力男がひらりとよけたはずみで、抜き身のまま倒れてしまった。
黒煙は館を包み、攻め寄せる人馬の物音は近づいてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-11-12 01:02:17
OBC :
rm1223
愛善世界社版:
190頁
八幡書店版:
第2輯 695頁
修補版:
校定版:
201頁
普及版:
82頁
初版:
ページ備考:
派生
[?]
この文献を底本として書かれたと思われる文献です。
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:
出口王仁三郎著作集 > 第三巻 愛と美といのち > [6] 如是我観 > [6-2] 平和に生きる > [6-2-4] 言向けやわせ
001
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
なる
深雪姫
(
みゆきひめ
)
ケ
館
(
やかた
)
の
高楼
(
たかどの
)
より、
002
眼下
(
がんか
)
の
海面
(
かいめん
)
を
見渡
(
みわた
)
せば、
003
幾百千
(
いくひやくせん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなき
軍船
(
いくさぶね
)
、
004
魚鱗
(
ぎよりん
)
の
備
(
そな
)
へ
堂々
(
だうだう
)
として
島
(
しま
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
る
物々
(
ものもの
)
しさ。
005
唯事
(
ただごと
)
ならじと
深雪姫
(
みゆきひめ
)
は
近侍
(
きんじ
)
の
老臣
(
らうしん
)
高杉別
(
たかすぎわけ
)
を
近
(
ちか
)
く
招
(
まね
)
き
宣
(
の
)
り
玉
(
たま
)
ふ。
006
深雪姫
『
高杉別
(
たかすぎわけ
)
殿
(
どの
)
、
007
妾
(
わらは
)
は
今
(
いま
)
此
(
こ
)
の
高楼
(
たかどの
)
より
海面
(
かいめん
)
を
眺
(
なが
)
むれば、
008
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
攻
(
せ
)
め
来
(
く
)
る
数多
(
あまた
)
の
兵船
(
ひやうせん
)
ウラル
彦
(
ひこ
)
の
魔軍
(
まぐん
)
か、
009
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あ
)
れませる
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
神軍
(
しんぐん
)
か、
010
慥
(
たしか
)
に
見届
(
みとど
)
け
来
(
きた
)
られよ』
011
と
下知
(
げち
)
すれば、
012
高杉別
(
たかすぎわけ
)
は、
013
高杉別
『
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
りました。
014
われは
是
(
これ
)
より
当山
(
たうざん
)
を
下
(
くだ
)
り、
015
事
(
こと
)
の
実否
(
じつぴ
)
を
糺
(
ただ
)
した
上
(
うへ
)
直
(
ただち
)
に
報告
(
はうこく
)
仕
(
つかまつ
)
るべし』
016
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
017
深雪
(
みゆき
)
ケ
丘
(
をか
)
を
浜辺
(
はまべ
)
に
向
(
むか
)
つて
戞々
(
かつかつ
)
と
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
018
深雪姫
(
みゆきひめ
)
は
又
(
また
)
もや
大国別
(
ひろくにわけ
)
を
近
(
ちか
)
く
招
(
まね
)
き、
019
深雪姫
『アイヤ
大国別
(
ひろくにわけ
)
殿
(
どの
)
、
020
当山
(
たうざん
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
唯事
(
ただこと
)
ならず。
021
仮令
(
たとへ
)
ウラル
彦
(
ひこ
)
の
魔軍
(
まぐん
)
にもせよ、
022
必
(
かなら
)
ず
武器
(
ぶき
)
を
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
に
敵対
(
てきたい
)
すべからず、
023
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
曲
(
まが
)
を
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
すは
神
(
かむ
)
須佐之男
(
すさのを
)
の
命
(
みこと
)
の
大御心
(
おほみこころ
)
、
024
この
館
(
やかた
)
には
数多
(
あまた
)
の
武器
(
ぶき
)
、
025
兵士
(
つはもの
)
、
026
充
(
み
)
ち
備
(
そな
)
へありと
雖
(
いへど
)
も、
027
決
(
けつ
)
して
敵
(
てき
)
を
殺戮
(
さつりく
)
する
目的
(
もくてき
)
に
非
(
あら
)
ず。
028
天下
(
てんか
)
の
神人
(
しんじん
)
が
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
曲津軍
(
まがついくさ
)
を、
029
剣
(
つるぎ
)
の
威徳
(
ゐとく
)
に
依
(
よ
)
つて
怯
(
お
)
ぢ
怖
(
おそ
)
れしめ
帰順
(
きじゆん
)
せしむるの
神器
(
しんき
)
なれば、
030
弓
(
ゆみ
)
は
袋
(
ふくろ
)
に、
031
剣
(
つるぎ
)
は
鞘
(
さや
)
に
納
(
をさ
)
まり
返
(
かへ
)
つて、
032
総
(
すべ
)
ての
敵
(
てき
)
に
臨
(
のぞ
)
むべく
部下
(
ぶか
)
の
将卒
(
しやうそつ
)
にも
此
(
この
)
旨
(
むね
)
厳
(
きび
)
しく
伝
(
つた
)
へられよ』
033
と
言
(
ことば
)
厳
(
おごそ
)
かに
宣示
(
せんじ
)
された。
034
大国別
(
ひろくにわけ
)
『
敵
(
てき
)
は
雲霞
(
うんか
)
の
如
(
ごと
)
く、
035
当山
(
たうざん
)
に
向
(
むか
)
つて
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
り、
036
島人
(
しまびと
)
を
殺戮
(
さつりく
)
し、
037
民家
(
みんか
)
山林
(
さんりん
)
を
焼
(
や
)
き
払
(
はら
)
ひ、
038
火
(
ひ
)
は
炎々
(
えんえん
)
として
最早
(
もはや
)
館
(
やかた
)
の
間近
(
まぢか
)
く
燃
(
も
)
え
寄
(
よ
)
せたり。
039
日頃
(
ひごろ
)
武術
(
ぶじゆつ
)
を
鍛
(
きた
)
へたるは
斯
(
かか
)
る
時
(
とき
)
の
用意
(
ようい
)
ならめ。
040
研
(
みが
)
き
置
(
お
)
いたる
弓矢
(
ゆみや
)
の
手前
(
てまへ
)
、
041
胆
(
きも
)
を
練
(
ね
)
りたる
将卒
(
しやうそつ
)
の
今
(
いま
)
や
武勇
(
ぶゆう
)
の
現
(
あら
)
はれ
時
(
どき
)
、
042
この
時
(
とき
)
を
措
(
お
)
いて
何
(
いづ
)
れの
時
(
とき
)
か
戦
(
たたか
)
はむや。
043
みすみす
敵
(
てき
)
に
焼
(
や
)
き
滅
(
ほろぼ
)
されむは
心
(
こころ
)
もとなし。
044
神
(
かみ
)
は
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
に
坐
(
まし
)
ませども
時
(
とき
)
あつて
折伏
(
しやくふく
)
の
利剣
(
りけん
)
を
用
(
もち
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
045
况
(
いは
)
んや、
046
コーカス
山
(
ざん
)
に
鎮
(
しづ
)
まり
給
(
たま
)
ふ、
047
十握
(
とつか
)
の
宝剣
(
ほうけん
)
の
御魂
(
みたま
)
の
威徳
(
ゐとく
)
に
成
(
な
)
り
在
(
ま
)
せる
貴神
(
きしん
)
に
於
(
おい
)
てをや。
048
血迷
(
ちまよ
)
ひ
給
(
たま
)
ひしか、
049
今
(
いま
)
一度
(
いちど
)
反省
(
はんせい
)
されむ
事
(
こと
)
を
希
(
こひねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る』
050
深雪姫
(
みゆきひめ
)
『
剣
(
つるぎ
)
は
容易
(
ようい
)
に
用
(
もち
)
ふ
可
(
べか
)
らず。
051
剣
(
つるぎ
)
は
凶器
(
きやうき
)
なり。
052
凶
(
きやう
)
を
以
(
もつ
)
て
凶
(
きよう
)
に
当
(
あた
)
り、
053
暴
(
ばう
)
を
以
(
もつ
)
て
暴
(
ばう
)
に
報
(
むく
)
ゆるは
普通人
(
ふつうじん
)
の
行
(
おこな
)
ふ
手段
(
しゆだん
)
、
054
苟
(
いやし
)
くも
三五教
(
あななひけう
)
を
天下
(
てんか
)
に
宣伝
(
せんでん
)
する
天使
(
てんし
)
の
身
(
み
)
として、
055
また
宣伝使
(
せんでんし
)
の
職
(
しよく
)
として、
056
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
閑却
(
かんきやく
)
し、
057
武
(
ぶ
)
を
以
(
もつ
)
て
武
(
ぶ
)
に
当
(
あた
)
るは
我
(
わ
)
が
心
(
こころ
)
の
許
(
ゆる
)
さざる
所
(
ところ
)
、
058
ただ
何事
(
なにごと
)
も
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せよ。
059
武
(
ぶ
)
を
尚
(
たつと
)
び
雄健
(
ゆうけん
)
を
尊重
(
そんちよう
)
すると
云
(
い
)
ふは、
060
構
(
かま
)
へなきの
構
(
かま
)
へ、
061
武器
(
ぶき
)
あつて
武器
(
ぶき
)
を
用
(
もち
)
ゐず、
062
武器
(
ぶき
)
無
(
な
)
くして
武器
(
ぶき
)
を
用
(
もち
)
ゐ、
063
能
(
よ
)
く
堪忍
(
たへしの
)
び、
064
柔和
(
にうわ
)
を
以
(
もつ
)
て
狂暴
(
きやうばう
)
に
勝
(
か
)
ち、
065
善
(
ぜん
)
を
以
(
もつ
)
て
悪
(
あく
)
に
対
(
たい
)
し、
066
神
(
かみ
)
を
以
(
もつ
)
て
魔
(
ま
)
に
対
(
たい
)
す、
067
柔
(
じう
)
能
(
よ
)
く
剛
(
がう
)
を
制
(
せい
)
するは
神軍
(
しんぐん
)
の
兵法
(
へいはふ
)
、
068
六韜
(
りくたう
)
三略
(
さんりやく
)
の
神策
(
しんさく
)
なり。
069
汝
(
なんぢ
)
此
(
この
)
主旨
(
しゆし
)
を
忘却
(
ばうきやく
)
する
勿
(
なか
)
れ。
070
吾
(
われ
)
はこれより
奥殿
(
おくでん
)
に
入
(
い
)
り、
071
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
072
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
さむ。
073
一兵
(
いつぺい
)
一卒
(
いつそつ
)
の
端
(
はし
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
、
074
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
り
武器
(
ぶき
)
を
持
(
も
)
たしむるべからず』
075
と
宣示
(
せんじ
)
し、
076
悠々
(
いういう
)
として
奥殿
(
おくでん
)
に
入
(
い
)
らむとなしたまふ。
077
大国別
(
ひろくにわけ
)
は、
078
深雪姫
(
みゆきひめ
)
の
袖
(
そで
)
を
控
(
ひか
)
へて、
079
大国別
『まづまづ
暫
(
しばら
)
くお
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さいませ。
080
追
(
お
)
ひ
追
(
お
)
ひ
近
(
ちか
)
づく
矢叫
(
やさけ
)
びの
声
(
こゑ
)
、
081
如何
(
いか
)
に
善言美詞
(
みやび
)
の
神嘉言
(
かむよごと
)
を
以
(
もつ
)
て
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
さむとすればとて、
082
暴力
(
ばうりよく
)
には
及
(
およ
)
び
難
(
がた
)
からむ。
083
吾
(
われ
)
はこれより
部下
(
ぶか
)
の
将卒
(
しやうそつ
)
を
励
(
はげ
)
まし、
084
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
斬
(
き
)
り
立
(
た
)
て、
085
薙払
(
なぎはら
)
ひ、
086
日頃
(
ひごろ
)
鍛
(
きた
)
へし
武勇
(
ぶゆう
)
を
示
(
しめ
)
さむ。
087
此
(
この
)
事
(
こと
)
計
(
ばか
)
りは
強
(
た
)
つて
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
088
と
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
り
身
(
み
)
を
震
(
ふる
)
はし、
089
雄健
(
をたけ
)
びしつつ
願
(
ねが
)
ひ
居
(
ゐ
)
る。
090
深雪姫
(
みゆきひめ
)
は
悠々
(
いういう
)
迫
(
せま
)
らず、
091
悠長
(
いうちやう
)
なる
音調
(
おんてう
)
にて、
092
深雪姫
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
093
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
094
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
095
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
096
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
097
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
098
世
(
よ
)
の
曲言
(
まがこと
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
099
正義
(
せいぎ
)
に
刃向
(
はむか
)
ふ
剣
(
つるぎ
)
なし
100
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
101
神
(
かみ
)
を
力
(
ちから
)
に
三五
(
あななひ
)
の
102
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
杖
(
つゑ
)
として
103
如何
(
いか
)
なる
敵
(
てき
)
の
来
(
きた
)
るとも
104
神
(
かみ
)
の
嘉言
(
よごと
)
に
言向
(
ことむ
)
けて
105
敵
(
てき
)
を
傷
(
きず
)
つく
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ
106
神
(
かみ
)
は
汝
(
なんじ
)
と
倶
(
とも
)
にあり
107
神
(
かみ
)
は
誠
(
まこと
)
を
立
(
た
)
て
徹
(
とほ
)
す
108
誠
(
まこと
)
で
人
(
ひと
)
を
救
(
すく
)
ふべし
109
今
(
いま
)
は
身魂
(
みたま
)
の
試
(
ため
)
し
時
(
どき
)
110
心
(
こころ
)
の
持方
(
もちかた
)
一
(
ひと
)
つにて
111
善
(
ぜん
)
も
忽
(
たちま
)
ち
悪
(
あく
)
となり
112
悪
(
あく
)
も
忽
(
たちま
)
ち
善
(
ぜん
)
となる
113
善悪
(
ぜんあく
)
正邪
(
せいじや
)
の
分水嶺
(
ぶんすゐれい
)
114
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
にはおしなべて
115
敵
(
てき
)
も
味方
(
みかた
)
も
無
(
な
)
きものぞ
116
味方
(
みかた
)
も
時
(
とき
)
に
敵
(
てき
)
となり
117
敵
(
てき
)
も
味方
(
みかた
)
となり
変
(
かは
)
る
118
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
119
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せよ
悉
(
ことごと
)
く
120
心
(
こころ
)
を
焦
(
いら
)
ちて
過失
(
あやま
)
つな
121
神
(
かみ
)
は
汝
(
なんじ
)
と
倶
(
とも
)
に
住
(
す
)
む
122
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
123
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
124
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
125
此
(
この
)
神島
(
かみしま
)
は
焼
(
や
)
けるとも
126
神
(
かみ
)
は
必
(
かなら
)
ず
吾々
(
われわれ
)
が
127
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
を
御覧
(
みそなは
)
し
128
安
(
やす
)
きに
救
(
すく
)
ひ
給
(
たま
)
ふべし
129
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
玉鉾
(
たまぼこ
)
に
130
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
131
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
現
(
あら
)
はせよ
132
神
(
かみ
)
の
稜威
(
みいづ
)
を
輝
(
かがや
)
かせ』
133
と
歌
(
うた
)
ひながら、
134
奥殿
(
おくでん
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
させ
玉
(
たま
)
ふ。
135
数万
(
すうまん
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
は
全島
(
ぜんたう
)
に
火
(
ひ
)
を
放
(
はな
)
ち、
136
折
(
をり
)
からの
風
(
かぜ
)
に
煽
(
あふ
)
られて
黒煙
(
こくえん
)
濛々
(
もうもう
)
として
四辺
(
あたり
)
を
包
(
つつ
)
み、
137
数多
(
あまた
)
の
将卒
(
しやうそつ
)
は
何
(
いづ
)
れも
雄猛
(
をたけ
)
びして、
138
防戦
(
ばうせん
)
の
命
(
めい
)
の
下
(
くだ
)
るを
今
(
いま
)
や
遅
(
おそ
)
しと
固唾
(
かたづ
)
を
呑
(
の
)
むで
控
(
ひか
)
へゐる。
139
大国別
(
ひろくにわけ
)
は
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
むで、
140
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
、
141
如何
(
いかが
)
はせむと
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
るる
時
(
とき
)
しもあれ、
142
駒
(
こま
)
の
足音
(
あしおと
)
戞々
(
かつかつ
)
と
走
(
は
)
せ
帰
(
かへ
)
りたる
高杉別
(
たかすぎわけ
)
はヒラリと
駒
(
こま
)
を
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
りて、
143
大国別
(
ひろくにわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
144
高杉別
『ヤア
大国別
(
ひろくにわけ
)
殿
(
どの
)
、
145
貴神
(
きしん
)
は
何故
(
なにゆゑ
)
防戦
(
ばうせん
)
の
用意
(
ようい
)
をなさらぬか、
146
敵
(
てき
)
は
四方
(
しはう
)
より
数万騎
(
すうまんき
)
を
以
(
もつ
)
て
当山
(
たうざん
)
を
囲
(
かこ
)
み、
147
山林
(
さんりん
)
に
火
(
ひ
)
を
放
(
はな
)
ち
既
(
すで
)
に
当館
(
たうやかた
)
も
烏有
(
ういう
)
に
帰
(
き
)
せむとする
場合
(
ばあひ
)
、
148
何
(
なに
)
を
躊躇
(
ちうちよ
)
さるるや』
149
と
膝
(
ひざ
)
を
叩
(
たた
)
いて
呶鳴
(
どな
)
り
付
(
つ
)
けたるにぞ、
150
大国別
(
ひろくにわけ
)
は
何
(
なん
)
の
答
(
いらへ
)
もなく
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
むだ
儘
(
まま
)
俯
(
うつ
)
むき
涙
(
なみだ
)
さへ
腮辺
(
しへん
)
に
伝
(
つた
)
ふるを
見
(
み
)
て
取
(
と
)
つた
高杉別
(
たかすぎわけ
)
は
悖
(
もど
)
かしげに、
151
高杉別
『エイ、
152
日頃
(
ひごろ
)
の
武勇
(
ぶゆう
)
にも
似
(
に
)
ず、
153
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
こ
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
154
敵
(
てき
)
の
勢力
(
せいりよく
)
に
萎縮
(
ゐしゆく
)
して、
155
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
の
余
(
あま
)
り、
156
憂苦
(
いうく
)
に
沈
(
しづ
)
む
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
な
貴神
(
きしん
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
、
157
最早
(
もはや
)
斯
(
か
)
くなる
上
(
うへ
)
は、
158
貴神
(
きしん
)
に
相談
(
さうだん
)
するも
何
(
なん
)
の
益
(
えき
)
あらむや。
159
吾
(
わ
)
れはこれより
館
(
やかた
)
の
将卒
(
しやうそつ
)
を
率
(
ひき
)
ゐ、
160
此処
(
ここ
)
を
先途
(
せんど
)
と
一戦
(
いつせん
)
を
試
(
こころ
)
み、
161
勝敗
(
しようはい
)
を
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
決
(
けつ
)
せむ』
162
と
雄健
(
をたけ
)
びし
乍
(
なが
)
ら、
163
スタスタと
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
つて
表
(
おもて
)
に
出
(
いで
)
むとするを、
164
大国別
(
ひろくにわけ
)
は
言葉
(
ことば
)
をかけ、
165
大国別
『ヤア
高杉別
(
たかすぎわけ
)
殿
(
どの
)
、
166
貴下
(
きか
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
御尤
(
ごもつと
)
も
千万
(
せんばん
)
、
167
吾
(
わ
)
れとても
当館
(
たうやかた
)
の
主宰神
(
しゆさいじん
)
、
168
闇々
(
やみやみ
)
敵
(
てき
)
の
蹂躪
(
じうりん
)
に
任
(
まか
)
せ
袖手
(
しうしゆ
)
傍観
(
ばうくわん
)
するに
忍
(
しの
)
びむや。
169
さは
然
(
さ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
170
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
大神
(
おほかみ
)
が
天下
(
てんか
)
救済
(
きうさい
)
の
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
は
慎重
(
しんちよう
)
に
考慮
(
かうりよ
)
せざる
可
(
べ
)
からず。
171
貴神
(
きしん
)
暫
(
しばら
)
く
熟考
(
じゆくかう
)
せられよ』
172
高杉別
『
大国別
(
ひろくにわけ
)
殿
(
どの
)
の
言葉
(
ことば
)
とも
覚
(
おぼ
)
えぬ。
173
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
な
陳弁
(
ちんべん
)
、
174
貴神
(
きしん
)
は
本島
(
ほんたう
)
を
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
ふ
深雪姫
(
みゆきひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
宰神
(
さいしん
)
ならずや。
175
斯
(
か
)
かる
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
の
御
(
お
)
心掛
(
こころがけ
)
にて
闇々
(
やみやみ
)
敵
(
てき
)
に
占領
(
せんりやう
)
されなば、
176
何
(
なに
)
を
以
(
もつ
)
て
深雪姫
(
みゆきひめ
)
の
神
(
かみ
)
に
言解
(
ことわ
)
けあるか。
177
アレアレ
聞
(
き
)
かれよ、
178
山岳
(
さんがく
)
も
轟
(
とどろ
)
く
許
(
ばか
)
りの
敵
(
てき
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
、
179
到底
(
たうてい
)
貴神
(
きしん
)
の
賛成
(
さんせい
)
は
覚束
(
おぼつか
)
なければ、
180
吾
(
わ
)
れは
是
(
これ
)
より
単独
(
たんどく
)
にて
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
に
出
(
い
)
で、
181
本島
(
ほんたう
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せ
来
(
き
)
たる
雲霞
(
うんか
)
の
如
(
ごと
)
き
大軍
(
たいぐん
)
を、
182
日頃
(
ひごろ
)
鍛
(
きた
)
へし
武力
(
ぶりよく
)
を
以
(
もつ
)
て
鏖殺
(
おうさつ
)
せむ』
183
と
勢
(
いきほひ
)
込
(
こ
)
んで
表
(
おもて
)
をさして
駆出
(
かけいだ
)
す。
184
大国別
『ヤアヤア
高杉別
(
たかすぎわけ
)
殿
(
どの
)
、
185
暫
(
しばら
)
く
暫
(
しばら
)
くお
待
(
ま
)
ちあれ』
186
高杉別
『
何
(
なに
)
ツ、
187
此
(
この
)
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
むで
暫時
(
しばし
)
の
猶予
(
いうよ
)
がならうか、
188
勝
(
か
)
てば
官軍
(
くわんぐん
)
負
(
ま
)
くれば
賊
(
ぞく
)
、
189
大国別
(
ひろくにわけ
)
殿
(
どの
)
、
190
拙者
(
それがし
)
が
武勇
(
ぶゆう
)
を
御
(
おん
)
目
(
め
)
に
掛
(
か
)
けむ』
191
と
云
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
てて
表門
(
おもてもん
)
へと
駈出
(
かけい
)
だし、
192
部下
(
ぶか
)
の
将卒
(
しやうそつ
)
に
向
(
むか
)
つて、
193
戦闘
(
せんとう
)
準備
(
じゆんび
)
を
命令
(
めいれい
)
せむとする
折
(
をり
)
しも、
194
深雪
(
みゆき
)
ケ
丘
(
をか
)
より
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
れる
手力男
(
たぢからを
)
の
神
(
かみ
)
は
此
(
この
)
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
195
手力男
『ヤア、
196
大変
(
たいへん
)
に
面白
(
おもしろ
)
くなつて
来
(
き
)
ましたね。
197
一
(
ひと
)
つ
敵軍
(
てきぐん
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
を
緩
(
ゆつく
)
りと、
198
酒
(
さけ
)
でも
飲
(
の
)
むで
見物
(
けんぶつ
)
致
(
いた
)
しませうか』
199
高杉別
(
たかすぎわけ
)
『
汝
(
なんじ
)
は、
200
御年村
(
みとせむら
)
の
自称
(
じしよう
)
丑寅
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
手力男
(
たぢからを
)
ではないか。
201
かかる
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
202
何
(
なに
)
を
悠々
(
いういう
)
として
気楽
(
きらく
)
さうに
構
(
かま
)
へて
居
(
ゐ
)
らるるや。
203
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
204
防戦
(
ばうせん
)
の
用意
(
ようい
)
をなされ』
205
手力男
『アハヽヽヽ、
206
ヤア
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
207
高杉別
(
たかすぎわけ
)
のその
狼狽
(
うろたへ
)
かた、
208
イヤもう
臍
(
へそ
)
が
宿換
(
やどがへ
)
いたすワイ。
209
アハヽヽヽ、
210
マアマア
緩
(
ゆつく
)
り
落着
(
おちつ
)
いて
敵軍
(
てきぐん
)
の
襲撃
(
しふげき
)
を
見
(
み
)
てそれを
肴
(
さかな
)
に
一杯
(
いつぱい
)
やらうかい。
211
ヤア
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
酒
(
さけ
)
だ
酒
(
さけ
)
だ、
212
殺伐
(
さつばつ
)
な
剣
(
つるぎ
)
や
槍
(
やり
)
や
弓
(
ゆみ
)
の
様
(
やう
)
な
物
(
もの
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
鎮
(
しづ
)
まり
給
(
たま
)
ふ
聖地
(
せいち
)
に
於
(
おい
)
て
用
(
もち
)
ふる
物
(
もの
)
ではない。
213
武器
(
ぶき
)
は
兇器
(
きようき
)
だ』
214
高杉別
(
たかすぎわけ
)
はクワツと
怒
(
いか
)
り、
215
高杉別
『
放縦
(
はうじう
)
無責任
(
むせきにん
)
の
汝
(
なんぢ
)
の
言葉
(
ことば
)
、
216
門出
(
かどで
)
の
血祭
(
ちまつ
)
りにせむ』
217
と
一刀
(
いつたう
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
真向
(
まつこう
)
より
斬
(
き
)
りかかる。
218
手力男
(
たぢからをの
)
神
(
かみ
)
は、
219
門柱
(
もんばしら
)
をグツと
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
き
頭上
(
づじやう
)
高
(
たか
)
く
振
(
ふ
)
り
翳
(
かざ
)
し、
220
高杉別
(
たかすぎわけ
)
を
押
(
おさ
)
へ
付
(
つ
)
けた。
221
高杉別
(
たかすぎわけ
)
『ヤア、
222
貴様
(
きさま
)
は
今
(
いま
)
まで
忠実
(
ちうじつ
)
なる
味方
(
みかた
)
と
見
(
み
)
せかけて、
223
内外
(
ないぐわい
)
相
(
あひ
)
呼応
(
こおう
)
して、
224
此
(
この
)
聖地
(
せいち
)
を
占領
(
せんりやう
)
せむと
計画
(
けいくわく
)
しつつありし
曲者
(
くせもの
)
ならむ。
225
たとへ
吾身
(
わがみ
)
は
殺
(
ころ
)
されて
帰幽
(
きいう
)
する
共
(
とも
)
、
226
我
(
わが
)
誠忠
(
せいちう
)
正義
(
せいぎ
)
の
霊魂
(
れいこん
)
は
地上
(
ちじやう
)
に
留
(
とど
)
まり、
227
汝
(
なんぢ
)
が
悪念
(
あくねん
)
を
懲
(
こら
)
さで
置
(
お
)
くべきか』
228
手力男
(
たぢからをの
)
神
(
かみ
)
『アハヽヽヽヽ、
229
モシモシ
高杉別
(
たかすぎわけ
)
殿
(
どの
)
、
230
誤解
(
ごかい
)
されては
困
(
こま
)
りますよ』
231
と
云
(
い
)
ひながら
門柱
(
もんばしら
)
をサツと
取
(
と
)
り
除
(
の
)
けた。
232
高杉別
(
たかすぎわけ
)
はその
刹那
(
せつな
)
、
233
飛鳥
(
ひてう
)
の
如
(
ごと
)
く
飛
(
と
)
びかかつて、
234
高杉別
『
反逆
(
はんぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
曲者
(
くせもの
)
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
れや』
235
と
云
(
い
)
つて、
236
手力男
(
たぢからを
)
の
脇腹
(
わきばら
)
目蒐
(
めが
)
けて
突
(
つ
)
きかかる。
237
手力男
(
たぢからを
)
はヒラリと
体
(
たい
)
を
躱
(
かは
)
したる
途端
(
とたん
)
に、
238
高杉別
(
たかすぎわけ
)
は
狙
(
ねら
)
ひ
外
(
はづ
)
れて
勢
(
いきほひ
)
余
(
あま
)
り、
239
七八間
(
しちはちけん
)
も
前方
(
ぜんぱう
)
にトントントントンと
走
(
はし
)
つて
抜刀
(
ぬきみ
)
の
儘
(
まま
)
ピタリと
倒
(
たふ
)
れた。
240
黒煙
(
こくえん
)
は
益々
(
ますます
)
館
(
やかた
)
を
包
(
つつ
)
み、
241
風
(
かぜ
)
に
煽
(
あふ
)
られて
全山
(
ぜんざん
)
樹木
(
じゆもく
)
の
焼
(
や
)
ける
音
(
おと
)
、
242
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る
人馬
(
じんば
)
の
物音
(
ものおと
)
、
243
刻々
(
こくこく
)
に
近付
(
ちかづき
)
高
(
たか
)
まり
来
(
き
)
たりぬ。
244
(
大正一一・三・一一
旧二・一三
藤津久子
録)
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