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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
第1章 都落
第2章 エデンの渡
第3章 三笠丸
第4章 大足彦
第5章 海上の神姿
第6章 刹那信心
第7章 地獄の沙汰
第2篇 一陽来復
第8章 再生の思
第9章 鴛鴦の衾
第10章 言葉の車
第11章 蓬莱山
第3篇 天涯万里
第12章 鹿島立
第13章 訣別の歌
第14章 闇の谷底
第15章 団子理屈
第16章 蛸釣られ
第17章 甦生
第4篇 千山万水
第18章 初陣
第19章 悔悟の涙
第20章 心の鏡
第21章 志芸山祇
第22章 晩夏の風
第23章 高照山
第24章 玉川の滝
第25章 窟の宿替
第26章 巴の舞
第5篇 百花爛漫
第27章 月光照梅
第28章 窟の邂逅
第29章 九人娘
第30章 救の神
第31章 七人の女
第32章 一絃琴
第33章 栗毛の駒
第34章 森林の囁
第35章 秋の月
第36章 偽神憑
第37章 凱歌
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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霊界物語
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第9巻(申の巻)
> 第1篇 長途の旅 > 第2章 エデンの渡
<<< 都落
(B)
(N)
三笠丸 >>>
第二章 エデンの
渡
(
わたし
)
〔三九五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第1篇 長途の旅
よみ(新仮名遣い):
ちょうとのたび
章:
第2章 エデンの渡
よみ(新仮名遣い):
えでんのわたし
通し章番号:
395
口述日:
1922(大正11)年02月12日(旧01月16日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
姫たちは渡し場で、男たちに向こう岸に渡してくれるよう交渉を始めた。しかし姫たちが桃上彦の娘と分かると、船頭たちの態度は一変した。
そして、姫たちに自分たちの妻になれ、と無理難題を言い始めた。そこへ照彦が追いついて、自ら大天狗と名乗って船頭たちを掴んでは投げ、追い散らしてしまった。
一同は危機を乗り越えたことを神に感謝した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-24 11:17:42
OBC :
rm0902
愛善世界社版:
12頁
八幡書店版:
第2輯 279頁
修補版:
校定版:
14頁
普及版:
4頁
初版:
ページ備考:
001
松
(
まつ
)
、
002
竹
(
たけ
)
、
003
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
美人
(
びじん
)
はエデンの
渡
(
わた
)
し
場
(
ば
)
に
漸
(
やうや
)
く
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
きぬ。
004
松代姫
(
まつよひめ
)
は
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
005
豊
(
ゆたか
)
な
頬
(
ほほ
)
に
紅
(
くれなゐ
)
の
潮
(
うしほ
)
を
漲
(
みなぎ
)
らし、
006
潤
(
うるほ
)
ひのある
涼
(
すず
)
しき
眼
(
まなこ
)
に
緑
(
みどり
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
の
乱
(
みだ
)
れを
繕
(
つくろ
)
ひながら、
007
松代姫
『もし、
008
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
はこのお
里
(
さと
)
の
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
いますか。
009
何卒
(
なにとぞ
)
妾
(
わらは
)
を
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
へ
渡
(
わた
)
して
下
(
くだ
)
さいませぬか』
010
甲
(
かふ
)
『ヤ、
011
天
(
あま
)
の
川
(
がは
)
を
下
(
くだ
)
つて
御
(
お
)
出
(
い
)
でなさつた
棚機姫
(
たなばたひめ
)
様
(
さま
)
で
御座
(
ござ
)
いますか。
012
ハイハイ
喜
(
よろこ
)
んでお
供
(
とも
)
いたしませう。
013
天
(
あま
)
の
川
(
がは
)
のやうに
深
(
ふか
)
い
事
(
こと
)
もありませぬ、
014
又
(
また
)
高
(
たか
)
いこともありませぬから、
015
滅多
(
めつた
)
に
天
(
てん
)
へ
落
(
お
)
ちる
筈
(
はず
)
はありませぬ、
016
サアサ、
017
天
(
てん
)
の
棚機姫
(
たなばたひめ
)
様
(
さま
)
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
、
018
私
(
わたくし
)
の
宅
(
たく
)
へおいで
下
(
くだ
)
さいませ』
019
松代姫
『イヤ、
020
妾
(
わらは
)
は
天
(
てん
)
から
来
(
き
)
たのでは
御座
(
ござ
)
いませぬ。
021
聖地
(
せいち
)
エルサレムから
一人
(
ひとり
)
の
父
(
ちち
)
を
探
(
たづ
)
ねて、
022
ウヅの
国
(
くに
)
へ
参
(
まゐ
)
るもので
御座
(
ござ
)
います』
023
乙
(
おつ
)
『アヽお
前
(
まへ
)
さまは
矢張
(
やつぱ
)
りさうすると
人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
だなア。
024
あまり
美
(
うつく
)
しいので
天女
(
てんによ
)
の
天降
(
あまくだ
)
りか、
025
棚機
(
たなばた
)
さまだらうかと、
026
今
(
いま
)
も
今
(
いま
)
とて
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
が
噂
(
うはさ
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました。
027
アヽ
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
れば
年
(
とし
)
は
二八
(
にはち
)
か
二九
(
にく
)
からぬ、
028
十九
(
つづ
)
か
二十
(
はたち
)
の
花盛
(
はなざか
)
り、
029
真実
(
ほんと
)
に
惜
(
を
)
しいものだね。
030
そして
今
(
いま
)
貴女
(
あなた
)
は
一人
(
ひとり
)
の
父
(
ちち
)
を
探
(
たづ
)
ねると
仰有
(
おつしや
)
つたが、
031
其
(
その
)
お
父
(
とう
)
さまと
云
(
い
)
ふのは
何方
(
どなた
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
ですかい』
032
松代姫
『ハイ、
033
妾
(
わらは
)
の
父
(
ちち
)
は
聖地
(
せいち
)
ヱルサレムの
元
(
もと
)
の
天使長
(
てんしちやう
)
でありました
桃上彦
(
ももがみひこの
)
命
(
みこと
)
で
御座
(
ござ
)
います』
034
丙
(
へい
)
『ヤア
何
(
なん
)
だい、
035
極悪
(
ごくあく
)
無道
(
ぶだう
)
の
桃上彦
(
ももがみひこの
)
命
(
みこと
)
の
娘
(
むすめ
)
かい、
036
何
(
なん
)
とまあ
烏
(
からす
)
が
鶴
(
つる
)
を
生
(
う
)
んだのか、
037
鳶
(
とび
)
が
鷹
(
たか
)
を
生
(
う
)
んだと
云
(
い
)
ふのか、
038
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
変
(
へん
)
なものだなア。
039
吾々
(
われわれ
)
の
妹
(
いもうと
)
も
桃上彦
(
ももがみひこの
)
命
(
みこと
)
の
家来
(
けらい
)
の
奴
(
やつ
)
に
誘拐
(
かどわか
)
されて
今
(
いま
)
に
行衛
(
ゆくへ
)
も
知
(
し
)
れず、
040
如何
(
どう
)
なつた
事
(
こと
)
かと、
041
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
妹
(
いもうと
)
の
在処
(
ありか
)
を
心
(
こころ
)
にかけて
忘
(
わす
)
れた
遑
(
いとま
)
はないのだ。
042
思
(
おも
)
へば
敵
(
かたき
)
の
端
(
はし
)
だ、
043
ヤアもう
今日
(
けふ
)
は
妙
(
めう
)
な
心持
(
こころもち
)
になつて
来
(
き
)
た、
044
何程
(
なにほど
)
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
でも
敵
(
てき
)
の
娘
(
むすめ
)
と
聞
(
き
)
けば、
045
エー
面黒
(
おもくろ
)
くもない』
046
と
黒
(
くろ
)
い
腕
(
うで
)
をヌツと
出
(
だ
)
し、
047
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
の
前
(
まへ
)
につき
出
(
だ
)
しながら、
048
丙
『ヤイ、
049
貴様
(
きさま
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だと
思
(
おも
)
つて、
050
チツトは
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
も
面喰
(
めんくら
)
つて
居
(
ゐ
)
た
処
(
ところ
)
だ。
051
それに、
052
そつちから
吾
(
われ
)
と
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
桃上彦
(
ももがみひこ
)
の
娘
(
むすめ
)
と
名乗
(
なの
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
053
ヨモヤそれに
相違
(
さうゐ
)
はあるまい。
054
サアかうなる
以上
(
いじやう
)
は
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
荒
(
あら
)
くれ
男
(
をとこ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
孱弱
(
かよわ
)
い
女
(
をんな
)
だ。
055
ジタバタしたつて、
056
もうあかぬ。
057
潔
(
いさぎよ
)
く
俺
(
おい
)
らの
女房
(
にようばう
)
となるか。
058
嫌
(
いや
)
ぢやなどと
貴様
(
きさま
)
の
白
(
しろ
)
い
首
(
くび
)
を
横
(
よこ
)
にでも
振
(
ふ
)
つて
見
(
み
)
よれ、
059
この
鉄拳
(
てつけん
)
が
貴様
(
きさま
)
の
頭上
(
づじやう
)
にポカンと
御
(
お
)
見舞
(
みまひ
)
だぞ。
060
サア
返答
(
へんたふ
)
はどうだ』
061
乙
(
おつ
)
『ヤイヤイ、
062
見
(
み
)
れば
見
(
み
)
るほど
美
(
うつく
)
しい、
063
惜
(
を
)
しいものだ。
064
いづれ
貴様
(
きさま
)
らも
一篇
(
いつぺん
)
は
夫
(
をつと
)
を
持
(
も
)
たねばなるまい、
065
ドンナ
男
(
をとこ
)
に
添
(
そ
)
ふのも
因縁
(
いんねん
)
だ。
066
俺
(
おい
)
らの
女房
(
にようばう
)
になる
気
(
き
)
はないか。
067
ヤイ
何
(
なに
)
、
068
嫌
(
いや
)
と
云
(
い
)
ふのか、
069
素直
(
すなほ
)
に
首
(
くび
)
を
縦
(
たて
)
に
振
(
ふ
)
つてアイと
云
(
い
)
はつしやい。
070
お
姫
(
ひめ
)
さま、
071
之程
(
これほど
)
恐
(
こは
)
く
見
(
み
)
えても
矢張
(
やつぱ
)
り
男
(
をとこ
)
と
女
(
をんな
)
だ。
072
女
(
をんな
)
にかけたら
涙
(
なみだ
)
脆
(
もろ
)
いものだよ。
073
一黒
(
いちくろ
)
、
074
二赤
(
にあか
)
、
075
三白
(
さんしろ
)
といつて、
076
黒
(
くろ
)
い
奴
(
やつ
)
は
味
(
あじ
)
がよいものだ。
077
どうだ、
078
如何
(
どう
)
だい、
079
返答
(
へんたふ
)
聞
(
き
)
かう』
080
松代姫
『オホヽヽヽ、
081
皆
(
みな
)
さま、
082
こんな
不束
(
ふつつか
)
な
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
してお
嬲
(
なぶ
)
りなさるのですか。
083
冗談
(
じやうだん
)
も
良
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
にして
下
(
くだ
)
さいな。
084
妾
(
わらは
)
の
父
(
ちち
)
は
貴方
(
あなた
)
の
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
り
悪
(
わる
)
い
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか
知
(
し
)
りませぬが、
085
妾
(
わらは
)
には
何
(
なに
)
の
罪咎
(
つみとが
)
もない。
086
幸
(
さいは
)
ひ
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
の
姉妹
(
きやうだい
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
087
旅
(
たび
)
は
道伴
(
みちづ
)
れ
世
(
よ
)
は
情
(
なさけ
)
、
088
世界
(
せかい
)
に
鬼
(
おに
)
はないと
聞
(
き
)
きました。
089
何卒
(
どうぞ
)
妾
(
わらは
)
にそんな
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
らずにこの
河
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
090
丙
(
へい
)
『
何卒
(
どうぞ
)
妾
(
わらは
)
にソンナ
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
らずに
渡
(
わた
)
して
下
(
くだ
)
さいませ、
091
ソリヤ、
092
何
(
なに
)
吐
(
ぬか
)
しよるのだ。
093
此
(
この
)
渡
(
わた
)
しを
渡
(
わた
)
して
下
(
くだ
)
さいませ、
094
なんて、
095
此方
(
こちら
)
が
石
(
いし
)
のやうに
硬
(
かた
)
く
出
(
で
)
れば
綿
(
わた
)
のやうに
柔
(
やはら
)
かく
出
(
で
)
よつて、
096
イヤモウ
優
(
やさ
)
しい
面
(
つら
)
をして
酢
(
す
)
でも
菎蒻
(
こんにやく
)
でもゆく
奴
(
やつ
)
ではないワイ。
097
オイ
皆
(
みな
)
のもの、
098
掛合
(
かけあ
)
ふも
面倒
(
めんだう
)
臭
(
くさ
)
い。
099
此奴
(
こいつ
)
ら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
をこの
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せて、
100
河
(
かは
)
の
真中
(
まんなか
)
に
連
(
つ
)
れて
退引
(
のつぴ
)
きさせぬ
談判
(
だんぱん
)
をやるのだ。
101
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、
102
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せた
上
(
うへ
)
は
此方
(
こつち
)
のものだ。
103
河
(
かは
)
の
真中
(
まんなか
)
に
船
(
ふね
)
をとめてゆつくりと
談判
(
だんぱん
)
をやるに
限
(
かぎ
)
る。
104
女
(
をんな
)
の
一心
(
いつしん
)
、
105
岩
(
いは
)
をも
徹
(
とほ
)
すと
云
(
い
)
ふが、
106
男
(
をとこ
)
の
一心
(
いつしん
)
は
一口
(
ひとくち
)
、
107
半句
(
はんく
)
も
いは
いでも
徹
(
とほ
)
すのだ。
108
河
(
かは
)
の
中
(
なか
)
へ
伴
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
けば、
109
変
(
かは
)
り
易
(
やす
)
きは
女
(
をんな
)
の
心
(
こころ
)
、
110
乗
(
の
)
りかけた
船
(
ふね
)
だ、
111
アヽア
仕方
(
しかた
)
がない、
112
それなら
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
の
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
りに
致
(
いた
)
します。
113
此
(
この
)
エデンの
河
(
かは
)
の
様
(
やう
)
に、
114
深
(
ふか
)
くふかく
かは
いがつて
下
(
くだ
)
さいと
仰有
(
おつしや
)
るのは
目
(
ま
)
のあたりだ。
115
淵瀬
(
ふちせ
)
と
変
(
かは
)
る
人
(
ひと
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
、
116
昨日
(
きのふ
)
や
今日
(
けふ
)
の
飛鳥川
(
あすかがは
)
、
117
明日
(
あす
)
をも
知
(
し
)
れぬ
生命
(
いのち
)
だ、
118
一寸
(
いつすん
)
さきは
暗
(
やみ
)
の
世
(
よ
)
だ。
119
たとへ
一息
(
ひといき
)
の
間
(
ま
)
でもコンナ
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
と
添
(
そ
)
ふ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たら
一生
(
いつしやう
)
の
光栄
(
くわうえい
)
だ。
120
イヤ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のお
方
(
かた
)
、
121
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
122
乗
(
の
)
せませう。
123
その
代
(
かは
)
りに、
124
吾々
(
われわれ
)
ものせて
貰
(
もら
)
はなならぬからな、
125
宜
(
よろ
)
しいかな。
126
親切
(
しんせつ
)
を
尽
(
つく
)
して
助
(
たす
)
け
助
(
たす
)
けられ、
127
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
はまはり
持
(
も
)
ちだ。
128
浮世
(
うきよ
)
の
船
(
ふね
)
に
棹
(
さを
)
さして
激
(
はげ
)
しき
河
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
を
渡
(
わた
)
るも
何
(
なに
)
かの
因縁
(
いんねん
)
だらう。
129
此処
(
ここ
)
は
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
ぢやない、
130
花
(
はな
)
は
麗
(
うるは
)
しく
果物
(
くだもの
)
豊
(
ゆた
)
かな
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
だ、
131
イヤ
貴女
(
あなた
)
等
(
がた
)
も
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
の
花
(
はな
)
となつて
睦
(
むつま
)
じく
暮
(
くら
)
すのだよ。
132
さうなれば
妹
(
いもうと
)
の
仇
(
あだ
)
も
何
(
なに
)
も
此
(
この
)
エデンの
河
(
かは
)
へサツパリ
流
(
なが
)
れ
勘定
(
かんぢやう
)
だ。
133
流
(
なが
)
れ
川
(
がは
)
で
尻
(
しり
)
を
洗
(
あら
)
つたやうにすつかり
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて、
134
清
(
きよ
)
い
清
(
きよ
)
い
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
の
恵
(
めぐ
)
みを
楽
(
たの
)
しむのだな。
135
売言葉
(
うりことば
)
に
買
(
か
)
ひ
言葉
(
ことば
)
、
136
魚心
(
うをごころ
)
あれば
水心
(
みづごころ
)
あり、
137
斯
(
か
)
う
見
(
み
)
えても
真実
(
ほんと
)
に
優
(
やさ
)
しい
男
(
をとこ
)
だよ。
138
人
(
ひと
)
には
添
(
そ
)
うてみい、
139
馬
(
うま
)
には
跨
(
またが
)
つて
見
(
み
)
い、
140
船
(
ふね
)
には
乗
(
の
)
つて
見
(
み
)
いだ。
141
さあ
早
(
はや
)
く
乗
(
の
)
つたり
乗
(
の
)
つたり』
142
竹野姫
(
たけのひめ
)
はためらいながら、
143
竹野姫
『
姉
(
ねえ
)
さま、
144
妹
(
いもうと
)
、
145
如何
(
どう
)
致
(
いた
)
しませう。
146
妾
(
わたし
)
恐
(
おそ
)
ろしいワ』
147
梅ケ香姫
『
姉
(
ねえ
)
さま、
148
やめませうか、
149
もう
帰
(
かへ
)
りませう、
150
生
(
うま
)
れてからコンナ
恐
(
こは
)
い
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
つた
事
(
こと
)
はありませぬ。
151
アヽ
誰
(
たれ
)
ぞ
助
(
たす
)
けに
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れるものはありますまいかね』
152
と
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
憂
(
うれ
)
ひを
浮
(
うか
)
べて
涙
(
なみだ
)
を
袖
(
そで
)
に
拭
(
ぬぐ
)
ふ。
153
甲
(
かふ
)
『さあ
早
(
はや
)
く
乗
(
の
)
らぬかい、
154
何
(
なに
)
を
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
してるのだ。
155
乗
(
の
)
せて
呉
(
く
)
れえと
頼
(
たの
)
んだぢやないか。
156
吾々
(
われわれ
)
は
色々
(
いろいろ
)
と
評議
(
ひやうぎ
)
をして、
157
到頭
(
たうとう
)
お
前
(
まへ
)
たちを
乗
(
の
)
せてやることになつたのだ。
158
人
(
ひと
)
の
親切
(
しんせつ
)
を
無
(
む
)
にして
乗
(
の
)
らぬと
云
(
い
)
ふのか。
159
この
場
(
ば
)
になつて
乗
(
の
)
るの
乗
(
の
)
らぬのと、
160
そんな
馬鹿
(
ばか
)
なことがあつたものかい、
161
乗
(
の
)
らぬなら
乗
(
の
)
らぬで
宜
(
よ
)
い、
162
男
(
をとこ
)
の
一心
(
いつしん
)
いは
いでも
徹
(
とほ
)
す、
163
フン
縛
(
じば
)
つてでも
乗
(
の
)
せてやるのだ』
164
と
云
(
い
)
ひながら
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
は、
165
今
(
いま
)
や
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
美人
(
びじん
)
に
向
(
むか
)
つて
乱暴
(
らんばう
)
に
及
(
およ
)
ばむとする。
166
此
(
この
)
時
(
とき
)
浅黄
(
あさぎ
)
の
被布
(
ひふ
)
に
襷
(
たすき
)
を
綾取
(
あやど
)
つた
男
(
をとこ
)
、
167
息
(
いき
)
せききつて
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
168
男(照彦)
『ヤアヤア、
169
待
(
ま
)
つた
待
(
ま
)
つた、
170
待
(
ま
)
てと
申
(
まを
)
さば
待
(
ま
)
つが
宜
(
よ
)
からうぞ』
171
甲
(
かふ
)
『ナヽヽ、
172
ナヽヽ
何
(
なに
)
邪魔
(
じやま
)
をするのだ、
173
唐変木
(
たうへんぼく
)
奴
(
め
)
が。
174
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
と
云
(
い
)
ふ
処
(
ところ
)
へやつて
来
(
き
)
よつて、
175
待
(
ま
)
つも
待
(
ま
)
たぬもあつたものかい、
176
邪魔
(
じやま
)
をひろぐと
生命
(
いのち
)
がないぞ』
177
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
はカラカラと
打笑
(
うちわら
)
ひ、
178
男(照彦)
『
吾
(
われ
)
こそは
地教
(
ちけう
)
の
山
(
やま
)
に
鎮
(
しづ
)
まる
大天狗
(
だいてんぐ
)
だ。
179
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬか
)
すと、
180
腕
(
かひな
)
を
むし
り
股
(
また
)
を
引裂
(
ひきさ
)
き、
181
エデンの
河
(
かは
)
に
投込
(
なげこ
)
んでやらうか』
182
一同
(
いちどう
)
は、
183
一同
『
何
(
なに
)
、
184
その
広言
(
くわうげん
)
は
後
(
のち
)
にせよ』
185
と、
186
各自
(
てんで
)
に
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて
四方
(
しはう
)
より
打
(
う
)
つてかかるを、
187
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
は
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
間
(
あひだ
)
を
駆廻
(
かけまは
)
り、
188
襟髪
(
えりがみ
)
とつてドツとばかりエデンの
流
(
なが
)
れに
向
(
むか
)
つて
投
(
な
)
げつけ、
189
また
来
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
を
首筋
(
くびすぢ
)
掴
(
つか
)
んで、
190
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
くドツとばかりに
投
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
む
早業
(
はやわざ
)
。
191
残
(
のこ
)
る
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をしながら
又
(
また
)
もや
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつくを、
192
男(照彦)
『エイ
面倒
(
めんだう
)
』
193
と
足
(
あし
)
をあげてポンと
蹴
(
け
)
る
途端
(
とたん
)
に、
194
ヨロヨロヨロと
よろめ
き
大地
(
だいち
)
に
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
に
倒
(
たふ
)
れ
伏
(
ふ
)
す。
195
残
(
のこ
)
る
二人
(
ふたり
)
は
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
り……。
196
松
(
まつ
)
、
197
竹
(
たけ
)
、
198
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
地獄
(
ぢごく
)
で
仏
(
ほとけ
)
に
会
(
あ
)
うたる
心地
(
ここち
)
して、
199
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
両手
(
りやうて
)
をつき、
200
松代姫
(
まつよひめ
)
『
何処
(
いづこ
)
の
方
(
かた
)
かは
知
(
し
)
りませぬが、
201
危
(
あやふ
)
き
処
(
ところ
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいまして……』
202
と
云
(
い
)
はむとすれば、
203
男
(
をとこ
)
は
大地
(
だいち
)
に
平伏
(
へいふく
)
して、
204
男(照彦)
『イヤ
勿体
(
もつたい
)
ない、
205
お
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
206
私
(
わたくし
)
は
照彦
(
てるひこ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
207
一足
(
ひとあし
)
の
事
(
こと
)
で
大変
(
たいへん
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
208
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
で
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さつたのでせう。
209
私
(
わたくし
)
も
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
思
(
おも
)
はぬ
力
(
ちから
)
が
出
(
で
)
ました
。
210
これ
全
(
まつた
)
く
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
の
然
(
しか
)
らしむるところ、
211
此処
(
ここ
)
で
一同
(
いちどう
)
揃
(
そろ
)
うて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
致
(
いた
)
しませう』
212
松代姫
『アヽ、
213
汝
(
なんぢ
)
は
照彦
(
てるひこ
)
、
214
ようまア、
215
いい
処
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れました。
216
妾
(
わらは
)
ら
姉妹
(
きやうだい
)
はお
前
(
まへ
)
に
黙
(
だま
)
つて
来
(
き
)
て
済
(
す
)
まなかつたが、
217
お
前
(
まへ
)
に
旅
(
たび
)
の
苦労
(
くらう
)
をさすのが
可愛
(
かあい
)
さうだと
思
(
おも
)
つて、
218
姉妹
(
しまい
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
牒
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せ、
219
此処
(
ここ
)
まで
来
(
く
)
るは
来
(
き
)
たものの、
220
虎
(
とら
)
、
221
狼
(
おほかみ
)
、
222
獅子
(
しし
)
、
223
大蛇
(
をろち
)
の
荒
(
あら
)
び
猛
(
たけ
)
ぶ
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
え、
224
心
(
こころ
)
淋
(
さび
)
しき
折柄
(
をりから
)
に、
225
此
(
この
)
渡
(
わた
)
し
場
(
ば
)
にヤツト
一息
(
ひといき
)
する
間
(
ま
)
もなく、
226
又
(
また
)
もや
荒
(
あら
)
くれ
男
(
をとこ
)
の
無理
(
むり
)
難題
(
なんだい
)
、
227
進退
(
しんたい
)
谷
(
きは
)
まつた
其
(
そ
)
の
刹那
(
せつな
)
、
228
お
前
(
まへ
)
に
会
(
あ
)
うたのは
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
引合
(
ひきあは
)
せ、
229
何卒
(
どうぞ
)
、
230
父上
(
ちちうへ
)
の
国
(
くに
)
まで
送
(
おく
)
つて
下
(
くだ
)
さらぬか』
231
照彦
(
てるひこ
)
は、
232
照彦
『ハイ』
233
と
答
(
こた
)
へて
平伏
(
へいふく
)
する。
234
二人
(
ふたり
)
の
妹
(
いもうと
)
は
嬉
(
うれ
)
しさうに、
235
竹野姫、梅ケ香姫
『アヽ、
236
照彦
(
てるひこ
)
、
237
能
(
よ
)
う
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
238
サアサ
一同
(
いちどう
)
、
239
お
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
あ
)
げませう』
240
茲
(
ここ
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
主従
(
しうじう
)
は
路傍
(
みちばた
)
の
芝生
(
しばふ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
241
拍手
(
かしはで
)
をうつて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
242
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
しぬ。
243
(
大正一一・二・一二
旧一・一六
北村隆光
録)
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