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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
第1章 都落
第2章 エデンの渡
第3章 三笠丸
第4章 大足彦
第5章 海上の神姿
第6章 刹那信心
第7章 地獄の沙汰
第2篇 一陽来復
第8章 再生の思
第9章 鴛鴦の衾
第10章 言葉の車
第11章 蓬莱山
第3篇 天涯万里
第12章 鹿島立
第13章 訣別の歌
第14章 闇の谷底
第15章 団子理屈
第16章 蛸釣られ
第17章 甦生
第4篇 千山万水
第18章 初陣
第19章 悔悟の涙
第20章 心の鏡
第21章 志芸山祇
第22章 晩夏の風
第23章 高照山
第24章 玉川の滝
第25章 窟の宿替
第26章 巴の舞
第5篇 百花爛漫
第27章 月光照梅
第28章 窟の邂逅
第29章 九人娘
第30章 救の神
第31章 七人の女
第32章 一絃琴
第33章 栗毛の駒
第34章 森林の囁
第35章 秋の月
第36章 偽神憑
第37章 凱歌
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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<<< 栗毛の駒
(B)
(N)
秋の月 >>>
第三四章
森林
(
しんりん
)
の
囁
(
ささやき
)
〔四二七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第5篇 百花爛漫
よみ(新仮名遣い):
ひゃっからんまん
章:
第34章 森林の囁
よみ(新仮名遣い):
しんりんのささやき
通し章番号:
427
口述日:
1922(大正11)年02月17日(旧01月21日)
口述場所:
筆録者:
高橋常祥
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
間の森に現れたのは、照彦の宣伝使であった。森を見張っていた村人たちが照彦を取り囲んだが、その威勢に押されて取り押さえることができない。
取り巻いている村人たちが馬鹿話をしている間に、駒にまたがった春山彦が到着した。春山彦は、宣伝使の神力があまりにも強いと叫んで、村人たちに退散するようにと言い渡した。
それでも何人かは、このことを聞いて恐ろしさに腰を抜かしてその場に留まってしまう者たちがいた。春山彦は照彦に、歌に託して自分が松・竹・梅の三宣伝使をかくまっていることを伝えた。
照彦は春山彦の意を覚り、春山彦に降参した振りをして、一緒に駒にまたがった。これを見た村人たちは、照彦が春山彦の威勢によって降ったと思い込んだ。
春山彦は照彦を伴って館へと帰って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-23 23:45:39
OBC :
rm0934
愛善世界社版:
262頁
八幡書店版:
第2輯 368頁
修補版:
校定版:
273頁
普及版:
110頁
初版:
ページ備考:
001
宵闇
(
よひやみ
)
の
月
(
つき
)
は
御空
(
みそら
)
に
照彦
(
てるひこ
)
の、
002
すたすた
来
(
きた
)
る
宣伝使
(
せんでんし
)
、
003
折柄
(
をりから
)
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
る
村時雨
(
むらしぐれ
)
、
004
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めむと
間
(
はざま
)
の
森
(
もり
)
に
立寄
(
たちよ
)
つて
雨宿
(
あまやど
)
りしながら、
005
照彦
『
月
(
つき
)
は
照
(
て
)
る
照
(
て
)
る
常世
(
とこよ
)
は
曇
(
くも
)
る
006
間
(
はざま
)
の
森
(
もり
)
に
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
る』
007
と
歌
(
うた
)
つてゐる。
008
木蔭
(
こかげ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
四五
(
しご
)
の
若者
(
わかもの
)
、
009
甲
『ヤアまた
出
(
で
)
たぞ、
010
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
011
夜前
(
やぜん
)
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
奴
(
やつ
)
は
幽
(
いう
)
の
字
(
じ
)
に
霊
(
れい
)
の
字
(
じ
)
だつたが、
012
今夜
(
こんや
)
の
奴
(
やつ
)
は
力
(
ちから
)
のある
声
(
こゑ
)
で
歌
(
うた
)
つてゐるワ。
013
到底
(
たうてい
)
此奴
(
こいつ
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
手
(
て
)
に
合
(
あ
)
はぬ。
014
村中
(
むらぢう
)
が
総出
(
そうで
)
して
此処
(
ここ
)
を
通
(
とほ
)
さぬやうにせぬことには、
015
鷹取別
(
たかとりわけの
)
神
(
かみ
)
さまに、
016
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
咽首
(
のどくび
)
に
居
(
を
)
つて、
017
何故
(
なぜ
)
ウカウカと
宣伝使
(
せんでんし
)
を
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
入
(
い
)
れたかと
言
(
い
)
つて、
018
村中
(
むらぢう
)
のお
目玉
(
めだま
)
、
019
また
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
司
(
つかさ
)
に
何
(
ど
)
のやうに
叱
(
しか
)
らるるかも
知
(
し
)
れぬ。
020
それぢやと
云
(
い
)
つて
吾々
(
われわれ
)
五六
(
ごろく
)
人
(
にん
)
では、
021
到底
(
たうてい
)
捕捉
(
とつつか
)
まへることが
出来
(
でき
)
ぬ。
022
早
(
はや
)
く
貴様
(
きさま
)
ら
各自
(
めいめい
)
手配
(
てわけ
)
して
村中
(
むらぢう
)
の
者
(
もの
)
を
招
(
よ
)
んで
来
(
こ
)
い。
023
俺
(
おれ
)
は
此処
(
ここ
)
に
見張
(
みは
)
りをしてゐる。
024
』
025
乙、丙
『よし
来
(
き
)
た』
026
と、
027
五六
(
ごろく
)
人
(
にん
)
の
若者
(
わかもの
)
は
東西
(
とうざい
)
南北
(
なんぼく
)
に
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
ち、
028
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
てら
)
され
家々
(
いへいへ
)
を
叩
(
たた
)
き
廻
(
まは
)
る。
029
照彦
(
てるひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
030
悠々
(
いういう
)
として
木株
(
きかぶ
)
に
腰
(
こし
)
打下
(
うちおろ
)
し、
031
照彦
『アヽア、
032
何時
(
いつ
)
見
(
み
)
ても
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は
心持
(
こころも
)
ちの
好
(
よ
)
いものだ。
033
况
(
ま
)
して
森
(
もり
)
の
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
を
洩
(
も
)
れる
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
は
一層
(
いつそう
)
気味
(
きみ
)
の
好
(
よ
)
いものだな。
034
併
(
しか
)
しながら、
035
この
間
(
はざま
)
の
国
(
くに
)
は
常世
(
とこよ
)
へ
渡
(
わた
)
る
咽首
(
のどくび
)
だ。
036
今
(
いま
)
までのやうにウカウカとしては
居
(
を
)
られぬ。
037
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
り、
038
敵
(
てき
)
の
奸計
(
かんけい
)
に
陥
(
おちい
)
らぬやう、
039
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
願
(
ねが
)
ひをいたさうかな。
040
オーさうぢや』
041
と
独語
(
ひとりご
)
ちつつ
拍手
(
かしはで
)
の
音
(
おと
)
を
木霊
(
こだま
)
に
響
(
ひび
)
かせ、
042
音吐
(
おんと
)
朗々
(
らうらう
)
として
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
する
処
(
ところ
)
へ、
043
さしもに
広
(
ひろ
)
き
森林
(
しんりん
)
を
縫
(
ぬ
)
うて
幾百
(
いくひやく
)
とも
知
(
し
)
れぬ
提燈
(
ちやうちん
)
の
光
(
ひかり
)
瞬
(
またた
)
き
来
(
きた
)
る。
044
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
照彦
(
てるひこ
)
の
周囲
(
まはり
)
は
黒山
(
くろやま
)
の
如
(
ごと
)
く、
045
提燈
(
ちやうちん
)
の
火
(
ひ
)
は
夏
(
なつ
)
の
螢
(
ほたる
)
の
如
(
ごと
)
く、
046
遠巻
(
とほま
)
きに
巻
(
ま
)
きゐる。
047
されど
彼
(
かれ
)
らは
宣伝使
(
せんでんし
)
の
威勢
(
ゐせい
)
に
恐
(
おそ
)
れてか、
048
一人
(
ひとり
)
として
近寄
(
ちかよ
)
り
来
(
きた
)
るもの
無
(
な
)
く、
049
一方
(
いつぱう
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せたる
男
(
をとこ
)
、
050
甲
(
かふ
)
『オイ
今度
(
こんど
)
の
奴
(
やつ
)
は
中々
(
なかなか
)
手硬
(
てごわ
)
いぞ。
051
何
(
ど
)
うしても
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
司
(
つかさ
)
がお
出
(
い
)
でにならなくちや、
052
マア
六ケ
(
むつか
)
しいなあ』
053
乙
(
おつ
)
『ソウ
心配
(
しんぱい
)
するな、
054
今
(
いま
)
に
栗毛
(
くりげ
)
の
駒
(
こま
)
に
乗
(
の
)
つてお
出
(
い
)
で
遊
(
あそ
)
ばすのだ、
055
チヤンと
報告
(
はうこく
)
がしてあるからのう』
056
甲
(
かふ
)
『さうか、
057
それなら
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
058
早
(
はや
)
く
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さるとよいがなあ』
059
丙
(
へい
)
『
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
神
(
かみ
)
さまは
智慧
(
ちゑ
)
もあり
力
(
ちから
)
もあり、
060
情深
(
なさけぶか
)
いお
方
(
かた
)
だが、
061
昨夜
(
ゆふべ
)
も
昨夜
(
ゆふべ
)
とて、
062
それはそれは
美
(
うつく
)
しい
松竹梅
(
まつたけうめ
)
とかいふ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
を、
063
甘
(
うま
)
いこと
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
へ
引張
(
ひつぱ
)
り
込
(
こ
)
んで、
064
御
(
お
)
利益
(
ため
)
ごかしに
鷹取別
(
たかとりわけ
)
にお
渡
(
わた
)
しになつたと
云
(
い
)
ふことだ。
065
俺
(
おれ
)
は
つひ
よう
行
(
い
)
かなかつたが、
066
隣
(
となり
)
の
八公
(
はちこう
)
がさう
言
(
い
)
うてゐたよ』
067
甲
(
かふ
)
『そんなことは、
068
俺
(
おれ
)
も
昨夜
(
ゆふべ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
が
送
(
おく
)
られて
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
に
見
(
み
)
てをつたのだ。
069
別嬪
(
べつぴん
)
だといつても
大
(
たい
)
したものではないよ。
070
まあ
俺
(
おれ
)
の
女房
(
にようばう
)
に
比
(
くら
)
べたらチヽヽちーと
位
(
くらゐ
)
なものだ』
071
乙
(
おつ
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かしよるのだい。
072
あのやうな
立派
(
りつぱ
)
な
天人娘
(
てんにんむすめ
)
と、
073
貴様
(
きさま
)
の
嬶
(
かかあ
)
と
比
(
くら
)
べものになつて
堪
(
たま
)
るかい。
074
大
(
おほ
)
神楽鼻
(
かぐらばな
)
の、
075
鰐口
(
わにぐち
)
の、
076
出歯
(
でば
)
の、
077
兎耳
(
うさぎみみ
)
の、
078
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
みたやうな、
079
碾臼
(
ひきうす
)
に
菰巻
(
こもま
)
いたやうな
醜態
(
ぶざま
)
な
嬶
(
かかあ
)
を
持
(
も
)
ちよつて、
080
ちーと
好
(
よ
)
いの、
081
悪
(
わる
)
いのつて、
082
よう
呆
(
とぼ
)
けたものだな。
083
云
(
い
)
うと
済
(
す
)
まぬが、
084
河豚
(
ふぐ
)
の
横跳
(
よこと
)
びのやうな
嬶
(
かかあ
)
でも、
085
貴様
(
きさま
)
の
目
(
め
)
には
柳
(
やなぎ
)
のやうに
見
(
み
)
えるのだらう。
086
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
手
(
て
)
では
一抱
(
ひとかか
)
へに
抱
(
かか
)
へられぬやうな
胴腹
(
どてつぱら
)
をして、
087
やがて
臨月
(
りんげつ
)
だとか
云
(
い
)
うて、
088
昨日
(
きのふ
)
も
俺
(
おれ
)
ん
所
(
とこ
)
へ
貴様
(
きさま
)
の
嬶
(
かか
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
をつて、
089
すつぽん
に
蓼
(
たで
)
を
噛
(
か
)
ましたやうに
鼻
(
はな
)
をペコつかせ、
090
フースーフースーと
苦
(
くる
)
しさうな
息
(
いき
)
づかひをして
居
(
を
)
つたが、
091
俺
(
おら
)
あ、
092
その
時
(
とき
)
に
鍛冶屋
(
かぢや
)
の
鞴
(
ふいご
)
にでもしたら
調法
(
てうはふ
)
だと
思
(
おも
)
つた
位
(
くらゐ
)
だ』
093
甲
(
かふ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
にすな。
094
一抱
(
ひとかか
)
へあれど
柳
(
やなぎ
)
は
柳
(
やなぎ
)
かな
095
だ。
096
貴様
(
きさま
)
のやうな
部屋住
(
へやずみ
)
が
女
(
をんな
)
の
味
(
あぢ
)
を
知
(
し
)
つてたまるかい。
097
なに
程
(
ほど
)
綺麗
(
きれい
)
な
御
(
お
)
姫
(
ひめ
)
さまでも
自分
(
じぶん
)
の
自由
(
じいう
)
にならねば、
098
別嬪
(
べつぴん
)
でも
何
(
な
)
んでもないワイ。
099
自分
(
じぶん
)
の
専有物
(
せんいうぶつ
)
にしてこそ
立派
(
りつぱ
)
な
女
(
をんな
)
だよ』
100
丙
(
へい
)
『よう、
101
偉
(
えら
)
い
権幕
(
けんまく
)
だなア、
102
もうよう
言
(
い
)
はぬワ、
103
フヽヽヽヽ』
104
斯
(
か
)
く
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
る
折
(
を
)
りしも、
105
駒
(
こま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
かつかつと
馳
(
は
)
せ
来
(
きた
)
る
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
あり。
106
村人
(
むらびと
)
『ヤア、
107
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
司
(
つかさ
)
だ。
108
アヽこれでもう
吾々
(
われわれ
)
も
安心
(
あんしん
)
だ。
109
ヤー
進
(
すす
)
め
進
(
すす
)
め』
110
と
虎
(
とら
)
の
威
(
ゐ
)
を
借
(
か
)
る
狐
(
きつね
)
の
勢
(
いきほ
)
ひ、
111
俄
(
にはか
)
に
肩臂
(
かたひぢ
)
をいからしながら、
112
宣伝使
(
せんでんし
)
の
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つてチクチクと
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
近
(
ちか
)
づき
迫
(
せま
)
つて
来
(
く
)
る。
113
照彦
(
てるひこ
)
は
声
(
こゑ
)
を
張揚
(
はりあ
)
げて、
114
照彦
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
115
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る
116
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
117
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
118
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
は
世
(
よ
)
に
亡
(
ほろ
)
ぶ
119
月
(
つき
)
は
照
(
て
)
るてる
常世
(
とこよ
)
は
曇
(
くも
)
る
120
間
(
はざま
)
の
森
(
もり
)
の
雨
(
あめ
)
晴
(
は
)
るる』
121
と
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
せば、
122
馬上
(
ばじやう
)
の
一人
(
ひとり
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
に
向
(
むか
)
ひ、
123
(春山彦)
『ヤアヤア、
124
汝
(
なんぢ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
125
此処
(
ここ
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てをらるる。
126
勿体
(
もつたい
)
なくも
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
の
御
(
ご
)
領分
(
りやうぶん
)
、
127
鷹取別
(
たかとりわけ
)
が
管掌
(
くわんしやう
)
の
下
(
もと
)
に、
128
ウラル
教
(
けう
)
を
以
(
もつ
)
て
教
(
をしへ
)
を
樹
(
た
)
つる
間
(
はざま
)
の
国
(
くに
)
。
129
御
(
ご
)
上意
(
じやうい
)
だツ。
130
神妙
(
しんめう
)
に
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
されよ』
131
照彦
(
てるひこ
)
はカラカラと
打笑
(
うちわら
)
ひ、
132
照彦
『われこそは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
133
戸山
(
とやま
)
津見
(
づみ
)
の
神
(
かみ
)
なるぞ。
134
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
鷹取別
(
たかとりわけ
)
に
諂
(
こ
)
び
諛
(
へつら
)
ひ、
135
この
世
(
よ
)
を
曇
(
くも
)
らす
悪魔
(
あくま
)
の
部下
(
てした
)
、
136
耳
(
みみ
)
をさらへてわが
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
聴
(
き
)
け』
137
(春山彦)
『ヤアヤア
村人
(
むらびと
)
達
(
たち
)
、
138
この
宣伝使
(
せんでんし
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
の
魔力
(
まりよく
)
を
以
(
もつ
)
て、
139
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ、
140
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
が
身体
(
しんたい
)
を
鉄縛
(
かなしば
)
りにいたす
魔神
(
まがみ
)
であるぞ。
141
われこそはウラル
山
(
さん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
神力
(
しんりき
)
を
得
(
え
)
て、
142
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
術
(
じゆつ
)
を
得
(
え
)
たれば
少
(
すこ
)
しも
怖
(
おそ
)
るることなし。
143
汝
(
なんぢ
)
らは
力
(
ちから
)
の
弱
(
よわ
)
き
臆病者
(
おくびやうもの
)
なれば、
144
生命
(
いのち
)
の
惜
(
を
)
しき
奴
(
やつ
)
は
早
(
はや
)
くこの
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
れ。
145
汝
(
なんぢ
)
らが
遁
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りし
後
(
あと
)
は
華々
(
はなばな
)
しき
竜虎
(
りゆうこ
)
の
争
(
あらそ
)
ひ、
146
春山彦
(
はるやまひこ
)
が
生命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らるるか、
147
宣伝使
(
せんでんし
)
を
生擒
(
いけど
)
りにして
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
せ、
148
縛
(
しば
)
つてわが
家
(
や
)
へ
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
るか、
149
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つのこの
場
(
ば
)
の
境
(
さかひ
)
、
150
足手
(
あして
)
纏
(
まと
)
ひにならぬうち
早
(
はや
)
く
立去
(
たちさ
)
れ』
151
と
大音声
(
だいおんじやう
)
に
呼
(
よば
)
はれば、
152
群衆
(
ぐんしう
)
は
各々
(
めいめい
)
提燈
(
ちやうちん
)
の
火
(
ひ
)
を
吹
(
ふ
)
き
消
(
け
)
し、
153
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
遁
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
154
この
言葉
(
ことば
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
155
腰
(
こし
)
をぬかした
弱虫
(
よわむし
)
共
(
ども
)
は、
156
彼方
(
あつち
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
此方
(
こつち
)
に
五
(
ご
)
人
(
にん
)
と
戦
(
をのの
)
いてゐる。
157
春山彦
(
はるやまひこ
)
は
又
(
また
)
もや、
158
春山彦
『ヤア
村
(
むら
)
の
者
(
もの
)
ども、
159
残
(
のこ
)
らず
遁
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つたか。
160
グヅグヅいたせば
険難
(
けんのん
)
だぞ』
161
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
より、
162
声
『モーシモーシ
腰
(
こし
)
が
抜
(
ぬ
)
けました、
163
ニヽヽヽヽヽ
遁
(
に
)
げられませぬ。
164
どういたしませう』
165
春山彦
(
はるやまひこ
)
は
小声
(
こごゑ
)
で、
166
春山彦
『ヤア
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
だな。
167
腰
(
こし
)
は
抜
(
ぬ
)
けても、
168
耳
(
みみ
)
は
利
(
き
)
いてゐる。
169
コリヤ、
170
迂闊
(
うつかり
)
したことは
言
(
い
)
はれない』
171
と
呟
(
つぶや
)
きながら、
172
春山彦
『ヤア
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
173
この
春山彦
(
はるやまひこ
)
が
現
(
あら
)
はれし
上
(
うへ
)
は、
174
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
秘術
(
ひじゆつ
)
あるとも
到底
(
たうてい
)
叶
(
かな
)
ふまじ。
175
速
(
すみや
)
かにわが
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つてわが
館
(
やかた
)
に
来
(
きた
)
れ、
176
取調
(
とりしら
)
ぶる
仔細
(
しさい
)
あり。
177
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
月日
(
つきひ
)
の
照
(
て
)
る
中
(
なか
)
に
178
情
(
なさ
)
けを
知
(
し
)
らぬ
人
(
ひと
)
のあるべき』
179
と
歌
(
うた
)
ひかけた。
180
腰
(
こし
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
弱虫
(
よわむし
)
連中
(
れんちう
)
はこの
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いて、
181
甲
(
かふ
)
『オイ、
182
何
(
なん
)
だ、
183
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
司
(
つかさ
)
は……
久振
(
ひさしぶ
)
りに、
184
つきもののついた
化物
(
ばけもの
)
奴
(
め
)
、
185
人
(
ひと
)
は
知
(
し
)
らぬと
思
(
おも
)
ふか
情
(
なさ
)
けない、
186
と
仰有
(
おつしや
)
つたぞ』
187
乙
(
おつ
)
『
偉
(
えら
)
いな、
188
流石
(
さすが
)
は
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
司
(
つかさ
)
だ』
189
照彦
(
てるひこ
)
はこの
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いて、
190
暫
(
しば
)
し
頭
(
かうべ
)
を
傾
(
かたむ
)
け
考
(
かんが
)
へゐたりしが、
191
照彦
『
昇
(
のぼ
)
る
日
(
ひ
)
に
消
(
き
)
えしと
見
(
み
)
えし
星影
(
ほしかげ
)
は
192
消
(
き
)
えしにあらずかくれたるなり』
193
と
答
(
こた
)
へけるに、
194
春山彦
(
はるやまひこ
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
のわが
意
(
い
)
を
悟
(
さと
)
りし
事
(
こと
)
を
悦
(
よろこ
)
び、
195
春山彦
『
汝
(
なんぢ
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
196
今
(
いま
)
の
言葉
(
ことば
)
に
依
(
よ
)
れば
往生
(
わうじやう
)
せしと
見
(
み
)
えたり。
197
サア、
198
早
(
はや
)
くこの
駒
(
こま
)
に
乗
(
の
)
つてわが
館
(
やかた
)
に
来
(
きた
)
れ』
199
と
呼
(
よ
)
ばはる。
200
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
201
照彦
『われは
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
202
汝
(
なんぢ
)
が
如
(
ごと
)
き
悪魔
(
あくま
)
の
家
(
いへ
)
に
伴
(
ともな
)
はれ
行
(
ゆ
)
くは
汚
(
けが
)
らはしけれど、
203
衆生
(
しうじやう
)
済度
(
さいど
)
のために
汝
(
なんぢ
)
が
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つて
遣
(
つか
)
はすべし』
204
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
くヒラリと
跨
(
またが
)
り、
205
春山彦
(
はるやまひこ
)
と
轡
(
くつわ
)
を
列
(
なら
)
べて、
206
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
高
(
たか
)
らかに
館
(
やかた
)
を
指
(
さ
)
して
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
207
(
大正一一・二・一七
旧一・二一
高橋常祥
録)
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