霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三二章 一絃琴(いちげんきん)〔四二五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第5篇 百花爛漫 よみ(新仮名遣い):ひゃっからんまん
章:第32章 一絃琴 よみ(新仮名遣い):いちげんきん 通し章番号:425
口述日:1922(大正11)年02月17日(旧01月21日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
高砂洲から間の国へ宣伝の旅を続けていた駒山彦は、鷹取別の手下である春山彦の館から、梅ケ香姫の一弦琴の音色が聞こえてくるのを聞きつけた。
もしや姫が囚われの身になっているのではないかと案じた駒山彦は、春山彦の館の門を叩いて、中に入れるようにと大音声で呼ばわった。
迎えに出た竹野姫、梅ケ香姫と駒山彦は、久々の再会を果たした。奥へ通された駒山彦は、常世神王の部下である春山彦が主神を祀っているのを見て驚いたが、松代姫から一部始終を聞かされて納得した。
駒山彦は喜び、神に感謝してこれまでの来歴を歌に歌いこんだ。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-23 23:37:06 文字数:2375 OBC :rm0932
愛善世界社版:248頁 八幡書店版:第2輯 363頁 修補版: 校定版:259頁 普及版:105頁 初版: ページ備考:
001空(そら)に轟(とどろ)く磐船(いはふね)の
002響(ひび)きは何時(いつ)か消(き)え失(う)せて
003冬樹(ふゆき)を渡(わた)る木枯(こがらし)の
004声(こゑ)も寂(さび)しく聞(きこ)ゆなる
005冬(ふゆ)の初(はじ)めとなりぬれど
006春(はる)めき渡(わた)る春山彦(はるやまひこ)の
007神(かみ)の屋敷(やしき)に神寿(かみほぎ)の
008言霊(ことたま)清(きよ)き一絃琴(いちげんきん)
009天地(てんち)に通(つう)ずる一条(ひとすぢ)の
010その声(こゑ)清(きよ)き琴糸(こといと)の
011捌(さばき)の音色(ねいろ)もサヤサヤに
012五臓(ござう)六腑(ろつぷ)を洗(あら)ふなり
013折(を)りから門前(もんぜん)に佇(たたず)む男(をとこ)
014片手(かたて)を耳(みみ)にあてながら
015木枯(こがらし)荒(すさ)ぶ初冬(はつふゆ)の
016峰(みね)の嵐(あらし)か松風(まつかぜ)か
017訪(たづ)ぬる人(ひと)の琴(こと)の音(ね)か
018心(こころ)の駒山彦(こまやまひこ)の神(かみ)
019とどめて聴(き)くも縁(えん)の端(はし)
020心(こころ)に通(かよ)ふ琴(こと)の音(ね)は
021常磐(ときは)の松(まつ)の松代姫(まつよひめ)
022思(おも)ひの竹野(たけの)著(いちじる)く
023戸外(こぐわい)に響(ひび)く床(ゆか)しさよ
024一度(いちど)に開(ひら)く梅ケ香姫(うめがかひめ)の
025貴(うづ)の命(みこと)の御(おん)すさび
026何処(どこ)とはなしに潤(うるほ)ひの
027声(こゑ)をしるべに独言(ひとりごと)。
028駒山彦(こまやまひこ)『合点(がつてん)のゆかぬこの館(やかた)の様子(やうす)、029梅ケ香姫(うめがかひめ)の日頃(ひごろ)奏(かな)でさせ給(たま)ふ一絃琴(いちげんきん)のその音色(ねいろ)、030様子(やうす)ありげな春山彦(はるやまひこ)のこの館(やかた)、031進(すす)み入(い)つて事(こと)の実否(じつぴ)を探(さぐ)らむと、032心(こころ)の駒(こま)は逸(はや)れども、033人目(ひとめ)の垣(かき)に隔(へだ)てられ、034何(なん)とせむ方(かた)冬(ふゆ)の日(ひ)の、035心(こころ)短(みじか)き門番(もんばん)に怒鳴(どな)りつけられ、036追(お)つ払(ぱら)はれなば如何(いか)にせむ。037虫(むし)が知(し)らすか何(なん)となく、038立(た)ち去(さ)り兼(か)ねしこの門口(かどぐち)、039神(かみ)の誠(まこと)の教(のり)を以(も)て叩(たた)かば開(ひら)く胸(むね)の裡(うち)、040叩(たた)いて見(み)むか待(ま)て暫(しば)し、041ここは春山(はるやま)の郷(さと)の司(つかさ)、042ウラル彦(ひこ)の教(をしへ)を奉(ほう)ずる曲神(まがかみ)の住所(すみか)、043言向(ことむ)け和(やは)すは易(やす)けれど、044大事(だいじ)の前(まへ)の一(いち)小事(せうじ)、045くだらぬ事(こと)に暇(ひま)をとり大切(たいせつ)なる吾(わ)が使命(しめい)を仕損(しそん)じなば、046天地(てんち)の神(かみ)に対(たい)し奉(たてまつ)り、047何(なん)と言訳(いひわけ)あるべきぞ。048嗚呼(ああ)恨(うら)めしやウラル彦(ひこ)、049開(あ)けて入(はい)らうか、050開(あ)けずに居(を)らうか、051開(あ)けて口惜(くや)しき玉手箱(たまてばこ)』
052 魂(たま)の御柱(みはしら)搗(つ)き固(かた)め、053心(こころ)の駒(こま)に鞭(むち)うちて、054思(おも)ひきつたる大音声(だいおんじやう)。
055駒山彦『三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)駒山彦(こまやまひこ)とは吾事(わがこと)なり。056悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)の鷹取別(たかとりわけ)が魔神(まがみ)に組(くみ)する春山彦(はるやまひこ)、057この門(もん)開(ひら)け』
058と右手(みぎて)に拳(こぶし)を固(かた)めつつ、059割(わ)れむ許(ばか)りに門(もん)の扉(とびら)を打叩(うちたた)く。060声(こゑ)に驚(おどろ)き松代姫(まつよひめ)は、061何(なん)となく聞(き)き覚(おぼ)えある門(かど)の声(こゑ)、
062松代姫『竹野姫(たけのひめ)、063梅ケ香姫(うめがかひめ)、064そなたは御(ご)苦労(くらう)ながら門口(かどぐち)に出(い)で、065いかなる人(ひと)か、066調(しら)べて給(た)も』
067竹野姫、梅ケ香姫『ハイ』
068と答(こた)へて両人(りやうにん)は徐々(しづしづ)と起(た)つて門(かど)の口(くち)。
069竹野姫『何方(いづかた)なれば門戸(もんこ)を叩(たた)きたまふぞ。070何(なん)となく床(ゆか)しき、071聞(き)き覚(おぼ)えのある御(おん)声(こゑ)、072名告(なの)らせたまへ』
073と声(こゑ)かくれば、074駒山彦(こまやまひこ)は門外(もんぐわい)より、
075駒山彦『ヤアさう聞(き)く声(こゑ)は竹野姫(たけのひめ)殿(どの)、076梅ケ香姫(うめがかひめ)殿(どの)、077吾(われ)こそは智利(てる)の国(くに)にて別(わか)れたる駒山彦(こまやまひこ)の宣伝使(せんでんし)にて候(さふらふ)。078三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)たる身(み)を以(もつ)て、079而(しか)も御(おん)二方(ふたがた)様(さま)、080悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)の鷹取別(たかとりわけ)が幕下(ばくか)の春山彦(はるやまひこ)、081ウラル教(けう)を奉(ほう)ずる曲神(まがかみ)の館(やかた)に忍(しの)ばせ給(たま)ふは何故(なにゆゑ)ぞ。082これには深(ふか)き様子(やうす)もあらむ、083委細(ゐさい)包(つつ)まず述(の)べられたし』
084竹野姫『これには深(ふか)き仔細(しさい)のござれば、085先(ま)づまづお這入(はい)り下(くだ)さいませ』
086と門(もん)の閂(かんぬき)をとり外(はづ)し、087左右(さいう)に開(ひら)いて現(あら)はれ出(い)で、088駒山彦(こまやまひこ)の手(て)をとつて奥(おく)へ奥(おく)へと進(すす)み行(ゆ)く。089二人(ふたり)の娘(むすめ)は手(て)を支(つか)へ、
090竹野姫、梅ケ香姫『アヽこれはこれは駒山彦(こまやまひこ)の宣伝使(せんでんし)様(さま)、091魔神(まがみ)の猛(たけ)る荒野原(あらのはら)、092さぞお困(こま)りでございませう。093先(ま)づまづお這入(はい)り下(くだ)さいませ』
094と門(もん)の戸(と)ガラリと押(お)し開(ひら)く。095駒山彦(こまやまひこ)は、
096駒山彦『然(しか)らば御免(ごめん)』
097と言(い)ひつつズツと座敷(ざしき)に通(とほ)れば、098思(おも)ひがけなき松代姫(まつよひめ)、099春山彦(はるやまひこ)が家内(かない)の各々(めいめい)、100皇(すめ)大神(おほかみ)の御(おん)前(まへ)に山野(やまぬの)河海(かはうみ)の供物(くもつ)を献(けん)じ、101神(かみ)を慰(いさ)むる真最中(まつさいちう)、102駒山彦(こまやまひこ)は不審(ふしん)の面色(おももち)にて、
103駒山彦『思(おも)ひ掛(がけ)なき松代姫(まつよひめ)殿(どの)、104この家(や)の御主人(あるじ)春山彦(はるやまひこ)殿(どの)、105貴下(あなた)はウラル教(けう)を奉(ほう)じ鷹取別(たかとりわけ)に媚(こ)び諛(へつら)ふ春山(はるやま)の、106郷(さと)の司(つかさ)と聞(き)きしに拘(かか)はらず、107神前(しんぜん)恭(うやうや)しく三五教(あななひけう)の奉(ほう)ずる皇(すめ)大神(おほかみ)を祀(まつ)り、108神慮(しんりよ)を慰(なぐさ)め居(ゐ)給(たま)ふこの場(ば)の光景(くわうけい)、109合点(がつてん)ゆかず、110包(つつ)み隠(かく)さず委細(ゐさい)物語(ものがた)られたし』
111と迫(せま)るにぞ、112松代姫(まつよひめ)は、
113松代姫『貴神(きしん)は駒山彦(こまやまひこ)殿(どの)、114一別(いちべつ)以来(いらい)何(なん)の消息(たより)もなく、115雨(あめ)、116風(かぜ)、117霜(しも)の憂(う)き節(ふし)に、118心(こころ)にかかる汝(なれ)が身(み)の上(うへ)、119ようマア無事(ぶじ)に居(ゐ)て下(くだ)さいました。120妾(わらは)姉妹(おとどい)三(さん)人(にん)は、121実(じつ)に愧(はづ)かしき事(こと)ながら、122鷹取別(たかとりわけ)の計略(けいりやく)にかかり、123一命(いちめい)すでに危(あやふ)き処(ところ)、124情(なさけ)も深(ふか)き春山彦(はるやまひこ)の夫婦(ふうふ)の神(かみ)に助(たす)けられ、125今(いま)やこの場(ば)を立(た)ち去(さ)らむとするきはどい処(ところ)、126貴神(きしん)にお目(め)に懸(かか)つたのも測(はか)り知(し)られぬ神(かみ)様(さま)の御(お)思召(ぼしめし)、127どうぞ御(ご)夫婦(ふうふ)に、128妾(わらは)に代(かは)つて厚(あつ)く御(おん)礼(れい)申(まを)して下(くだ)さい』
129駒山彦『久振(ひさしぶ)りの対面(たいめん)と云(い)ひ、130春山彦(はるやまひこ)の帰順(きじゆん)と云(い)ひ、131案(あん)に相違(さうゐ)の神(かみ)様(さま)の御(おん)引(ひ)き合(あ)はせ。132アヽこれは御(ご)夫婦(ふうふ)様(さま)、133よくもよくも御(ご)親切(しんせつ)に御(お)世話(せわ)下(くだ)さいました、134有難(ありがた)う存(ぞん)じます』
135と、136遉(さすが)剛毅(がうき)の駒山彦(こまやまひこ)も嬉(うれ)し涙(なみだ)の袖(そで)をしぼる。
137 春山彦(はるやまひこ)は初(はじ)めて口(くち)を開(ひら)き、
138春山彦『神(かみ)の造(つく)りしこの国(くに)は、139恵(めぐ)みの花(はな)のパラダイス、140何処(いづこ)の空(そら)にも神柱(かむばしら)、141太敷(ふとし)く立(た)てて守(まも)ります、142その御柱(みはしら)と選(えら)ばれし、143春山彦(はるやまひこ)が親子(おやこ)夫婦(ふうふ)の嬉(うれ)しさ。144御(お)礼(れい)は却(かへ)つて恐(おそ)れ入(い)る、145幾久(いくひさ)しくも変(かは)りなく、146吾(われ)らの心(こころ)を護(まも)らせ給(たま)へ、147四柱(よはしら)の宣伝使(せんでんし)殿(どの)』
148 妻(つま)夏姫(なつひめ)を始(はじ)めとし月(つき)、149雪(ゆき)、150花(はな)の三(さん)人(にん)は紅葉(もみぢ)の如(ごと)き手(て)を合(あ)はせ、151嬉(うれ)し涙(なみだ)にかきくれて駒山彦(こまやまひこ)の英姿(えいし)をば伏拝(ふしをが)むこそ殊勝(しゆしよう)なれ。152嬉(うれ)し涙(なみだ)に掻曇(かきくも)る、153心(こころ)の空(そら)を霽(はら)さむと、154駒山彦(こまやまひこ)は衝立(つつた)ち上(あが)り、
155駒山彦『雪(ゆき)に輝(かがや)く高白(かうはく)の
156山(やま)に攻(せ)め来(く)る御軍(みいくさ)の
157言霊別(ことたまわけ)の司(つかさ)をば
158撃(う)つて捨(す)てむと常世彦(とこよひこ)
159常世(とこよ)の姫(ひめ)の仰(あふ)せにて
160数多(あまた)の神軍(しんぐん)引率(いんそつ)し
161攻(せ)むる折(をり)しも大空(おほぞら)を
162轟(とどろ)き来(きた)る磐船(いはふね)や
163鳥船(とりふね)よりは投(な)げ下(おろ)す
164激(はげ)しき弾(たま)に砕(くぢ)かれて
165何(なに)かは堪(たま)らむ玉(たま)の緒(を)の
166生命(いのち)消(き)えなむ折柄(をりから)に
167この世(よ)を救(すく)ふ皇神(すめかみ)の
168情(なさけ)の網(あみ)に掬(すく)はれて
169惜(をし)き生命(いのち)をながらへつ
170三笠(みかさ)の丸(まる)の船中(せんちう)に
171光(ひか)り輝(かがや)く朝日子(あさひこ)の
172日(ひ)の出神(でのかみ)に助(たす)けられ
173この世(よ)を救(すく)ふ宣伝使(せんでんし)
174羽山津見(はやまづみ)の神(かみ)となり
175深山(みやま)の奥(おく)に捨(す)てられて
176心(こころ)も闇(くら)き谷底(たにぞこ)の
177百日(ももひ)百夜(ももよ)の苦(くる)しみを
178凌(しの)ぎて此処(ここ)に村肝(むらきも)の
179心(こころ)も智利(てる)の国(くに)を越(こ)え
180足(あし)に任(まか)せて秘露(ひる)の国(くに)
181夜(よる)の旅路(たびぢ)を重(かさ)ねつつ
182千座(ちくら)の罪(つみ)もカルの空(そら)
183北(きた)へ北(きた)へと進(すす)み来(く)る
184ハザマの森(もり)を乗(の)り越(こ)えて
185松竹梅(まつたけうめ)の宣伝使(せんでんし)
186如何(いかが)ならむと煩(わづら)ひつ
187縁(えにし)の糸(いと)に操(あやつ)られ
188冬(ふゆ)とは言(い)へど春山(はるやま)の
189館(やかた)に立(た)ちて門内(もんない)の
190様子(やうす)窺(うかが)ふ折柄(をりから)に
191耳(みみ)に馴染(なじみ)の一絃琴(いちげんきん)
192その言霊(ことたま)も澄(す)み渡(わた)り
193琴(こと)の音色(ねいろ)も清々(すがすが)と
194縋(すが)る思(おも)ひの門(もん)の口(くち)
195佇(たたず)む折柄(をりから)竹野姫(たけのひめ)
196梅ケ香姫(うめがかひめ)の御(おん)姿(すがた)
197思(おも)ひもかけぬ今日(けふ)の日(ひ)の
198神(かみ)の許(ゆる)しのこの対面(たいめん)
199春山彦(はるやまひこ)よ夏姫(なつひめ)よ
200月(つき)雪(ゆき)花(はな)の三娘(みむすめ)よ
201栄(さか)え久(ひさ)しき松(まつ)の代(よ)を
202松竹梅(まつたけうめ)の永久(とこしへ)に
203教(をしへ)も開(ひら)く神(かみ)の前(まへ)
204嬉(うれ)しし嬉(うれ)し喜(よろこ)ばし
205御恵(みめぐ)み深(ふか)き野立彦(のだちひこ)
206野立(のだち)の姫(ひめ)や木(こ)の花姫(はなひめ)の
207神(かみ)の命(みこと)の御(ご)高恩(かうおん)
208遥(はるか)に感謝(かんしや)し奉(たてまつ)る』
209と始(はじ)め終(をは)りの物語(ものがたり)、210勇(いさ)みに勇(いさ)む駒山彦(こまやまひこ)のその顔(かんばせ)、211他所(よそ)の見(み)る目(め)も勇(いさ)ましき。
212(大正一一・二・一七 旧一・二一 北村隆光録)
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