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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
第1章 都落
第2章 エデンの渡
第3章 三笠丸
第4章 大足彦
第5章 海上の神姿
第6章 刹那信心
第7章 地獄の沙汰
第2篇 一陽来復
第8章 再生の思
第9章 鴛鴦の衾
第10章 言葉の車
第11章 蓬莱山
第3篇 天涯万里
第12章 鹿島立
第13章 訣別の歌
第14章 闇の谷底
第15章 団子理屈
第16章 蛸釣られ
第17章 甦生
第4篇 千山万水
第18章 初陣
第19章 悔悟の涙
第20章 心の鏡
第21章 志芸山祇
第22章 晩夏の風
第23章 高照山
第24章 玉川の滝
第25章 窟の宿替
第26章 巴の舞
第5篇 百花爛漫
第27章 月光照梅
第28章 窟の邂逅
第29章 九人娘
第30章 救の神
第31章 七人の女
第32章 一絃琴
第33章 栗毛の駒
第34章 森林の囁
第35章 秋の月
第36章 偽神憑
第37章 凱歌
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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(B)
(N)
巴の舞 >>>
第二五章
窟
(
いはや
)
の
宿替
(
やどがへ
)
〔四一八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第4篇 千山万水
よみ(新仮名遣い):
せんざんばんすい
章:
第25章 窟の宿替
よみ(新仮名遣い):
いわやのやどがえ
通し章番号:
418
口述日:
1922(大正11)年02月16日(旧01月20日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
岩窟の前で祈念していた志芸山津見は、大蛇彦と何かを申し合わせると、谷川を渡って反対側の西の岩窟の中に入っていった。
熊公が追って行こうとすると、岩窟から大蛇彦の声が出て熊公を霊縛してその場にとどめた。そして、志芸山津見を頼らずに自力で宣伝するように、と諭した。
そこへ鹿公がやってきて熊公に声をかけた。大蛇彦は、熊公の霊縛を解いた。そして、これから西の岩窟に宿替えするから、鹿公と供に谷川を渡って西の岩窟の前に行くように、と命じた。
西の岩窟の前に着くと、岩窟から声が聞こえてきて、鹿公の悪事を責め、改心を迫る説教を始めた。鹿公は大蛇彦の声ではないと疑って岩窟の中に入ろうとしたが、大音響が響いてきて驚き、その場に平伏してしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-23 23:12:11
OBC :
rm0925
愛善世界社版:
193頁
八幡書店版:
第2輯 344頁
修補版:
校定版:
200頁
普及版:
82頁
初版:
ページ備考:
001
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
も
高照
(
たかてる
)
の
002
山
(
やま
)
より
落
(
お
)
つる
琴滝
(
ことだき
)
の
003
響
(
ひびき
)
に
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
る
玉川
(
たまがは
)
や
004
水音
(
みなおと
)
清
(
きよ
)
き
渓流
(
けいりう
)
の
005
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
に
千引岩
(
ちびきいは
)
006
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
巌窟
(
いはあな
)
に
007
千代
(
ちよ
)
の
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
ふ
008
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
も
大蛇彦
(
をろちひこ
)
009
教
(
をしへ
)
は
深
(
ふか
)
き
穴
(
あな
)
の
奥
(
おく
)
010
浅
(
あさ
)
き
賤
(
いや
)
しき
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
の
011
如何
(
いか
)
でか
知
(
し
)
らむ
志芸山祇
(
しぎやまづみ
)
の
012
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
や
肝
(
きも
)
向
(
むか
)
ふ
013
心
(
こころ
)
も
迷
(
まよ
)
ふ
熊公
(
くまこう
)
が
014
問
(
と
)
ひつ
答
(
こた
)
へつ
烏羽玉
(
うばたま
)
の
015
暗夜
(
やみよ
)
をここに
明
(
あか
)
しける
016
暗夜
(
やみよ
)
をここに
明
(
あか
)
しける
017
七十五
(
しちじふご
)
声
(
せい
)
の
音調
(
おんてう
)
に
天地
(
てんち
)
神人
(
しんじん
)
を
清
(
きよ
)
むる
言霊
(
ことたま
)
の
滝
(
たき
)
は、
018
水晶
(
すゐしやう
)
の
飛沫
(
ひまつ
)
の
玉
(
たま
)
を
遺憾
(
ゐかん
)
なく
飛散
(
ひさん
)
し、
019
水煙
(
すゐえん
)
濛々
(
もうもう
)
と
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
つて
深
(
ふか
)
き
谷間
(
たにま
)
を
包
(
つつ
)
んでゐる。
020
志芸山津見
(
しぎやまづみ
)
、
021
熊公
(
くまこう
)
の
二人
(
ふたり
)
は、
022
この
巌窟
(
いはあな
)
の
前
(
まへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
023
言霊
(
ことたま
)
の
問答
(
もんだふ
)
に
胸
(
むね
)
の
帳
(
とばり
)
は
開
(
ひら
)
かれて、
024
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
、
025
空
(
そら
)
を
茜
(
あかね
)
に
染
(
そ
)
めなしつ、
026
豊栄
(
とよさか
)
昇
(
のぼ
)
りに
輝
(
かがや
)
き
初
(
そ
)
めり。
027
志芸山津見
(
しぎやまづみ
)
は
何
(
なに
)
か
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
にて
巌窟
(
いはや
)
の
神
(
かみ
)
に
向
(
むか
)
ひ
問答
(
もんだふ
)
を
始
(
はじ
)
めてゐる。
028
その
声
(
こゑ
)
極
(
きは
)
めて
微
(
かすか
)
にして、
029
傍
(
かたはら
)
にある
熊公
(
くまこう
)
の
耳
(
みみ
)
にさへも
入
(
はい
)
らぬ
程度
(
ていど
)
である。
030
志芸山津見
(
しぎやまづみ
)
は
つと
巌窟
(
いはあな
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つて、
031
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
る
狭霧
(
さぎり
)
の
中
(
なか
)
に
姿
(
すがた
)
をかくし、
032
ひそかに
谷川
(
たにがは
)
を
渡
(
わた
)
りて
西
(
にし
)
の
巌窟
(
いはあな
)
の
奥
(
おく
)
ふかく
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し、
033
滝壺
(
たきつぼ
)
の
傍
(
かたはら
)
にある
鉢
(
はち
)
と
竹筒
(
たけづつ
)
を
左右
(
さいう
)
の
手
(
て
)
に
提
(
さ
)
げ、
034
水鉢
(
みづばち
)
に
水
(
みづ
)
を
盛
(
も
)
つて
巌窟
(
いはあな
)
の
奥深
(
おくふか
)
く
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めたるを
見
(
み
)
て、
035
熊公
(
くまこう
)
は、
036
熊公
『オイ、
037
志芸山津見
(
しぎやまづみ
)
、
038
何処
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くのだ。
039
先
(
ま
)
づ
待
(
ま
)
て、
040
俺
(
おれ
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
行
(
ゆ
)
かう』
041
この
時
(
とき
)
巌窟
(
いはあな
)
は
又
(
また
)
もや、
042
声(大蛇彦)
『ウー、
043
オー』
044
と
山
(
やま
)
も
崩
(
くづ
)
るるばかりの
大音響
(
だいおんきやう
)
を
発
(
はつ
)
したるが、
045
暫時
(
しばらく
)
にしてその
音響
(
おんきやう
)
止
(
と
)
まると
共
(
とも
)
に
巌窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
より、
046
声
『
熊公
(
くまこう
)
々々
(
くまこう
)
、
047
その
方
(
はう
)
は
暫
(
しばら
)
くこの
場
(
ば
)
を
動
(
うご
)
く
事
(
こと
)
はならぬ。
048
志芸山津見
(
しぎやまづみ
)
を
杖
(
つゑ
)
につき
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
むやうな
事
(
こと
)
で、
049
どうして
宣伝
(
せんでん
)
が
出来
(
でき
)
やうか。
050
汝
(
なんぢ
)
の
身体
(
からだ
)
には、
051
志芸山津見
(
しぎやまづみ
)
に
百千倍
(
ひやくせんばい
)
の
神力
(
しんりき
)
を
持
(
も
)
つた
神
(
かみ
)
が
守護
(
しゆご
)
をいたして
居
(
を
)
るぞ』
052
熊公
『ソソそれは、
053
誠
(
まこと
)
に
結構
(
けつこう
)
ですが、
054
一体
(
いつたい
)
彼
(
かれ
)
は
何処
(
どこ
)
へ
参
(
まゐ
)
つたのでせうか』
055
巌窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
より
大蛇彦
(
をろちひこ
)
は、
056
大蛇彦
『それを
訊
(
たづ
)
ねて
何
(
なん
)
とする。
057
汝
(
なんぢ
)
が
心
(
こころ
)
の
神
(
かみ
)
に
訊
(
たづ
)
ねるがよい』
058
かかる
所
(
ところ
)
へ、
059
昨日
(
きのふ
)
山口
(
やまぐち
)
の
芝生
(
しばふ
)
で
会
(
あ
)
つた
鹿公
(
しかこう
)
は、
060
数多
(
あまた
)
の
村人
(
むらびと
)
と
共
(
とも
)
にこの
巌窟
(
いはあな
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
061
叩頭
(
こうとう
)
拍手
(
はくしゆ
)
し
熊公
(
くまこう
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
062
鹿公
『オヤ、
063
お
前
(
まへ
)
は
昨日
(
きのふ
)
会
(
あ
)
つた
熊公
(
くまこう
)
ぢやないか、
064
どうだつた。
065
随分
(
ずゐぶん
)
叱
(
しか
)
られただらう。
066
さうして
虎公
(
とらこう
)
はどうしたのだ』
067
熊公
『オー、
068
鹿公
(
しかこう
)
か、
069
虎
(
とら
)
の
奴
(
やつ
)
、
070
友達
(
ともだち
)
甲斐
(
かひ
)
もない、
071
俺
(
おれ
)
をこんなとこへ
置
(
お
)
き
去
(
ざ
)
りにして
何処
(
どこ
)
か
勝手
(
かつて
)
に
行
(
い
)
つて
仕舞
(
しま
)
つたのだ。
072
俺
(
おれ
)
も
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つて
行
(
ゆ
)
かうかと
思
(
おも
)
つたが、
073
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが、
074
俄
(
にはか
)
に
胴
(
どう
)
が
据
(
すわ
)
つて
動
(
うご
)
けぬのだ』
075
鹿公
『そりや
貴様
(
きさま
)
、
076
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かしよつたのだらう、
077
弱
(
よわ
)
い
奴
(
やつ
)
だなア。
078
モシモシ、
079
巌窟
(
いはあな
)
の
中
(
なか
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
080
今日
(
けふ
)
は
沢山
(
たくさん
)
の
村人
(
むらびと
)
を
連
(
つ
)
れて
参
(
まゐ
)
りました。
081
どうぞ
村
(
むら
)
の
者
(
もの
)
に
結構
(
けつこう
)
な
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
かしてやつて
下
(
くだ
)
さいませ』
082
大蛇彦
(
をろちひこ
)
『ヤア
鹿公
(
しかこう
)
か、
083
よくも
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た。
084
この
巌窟
(
いはあな
)
は
昨日
(
きのふ
)
虎公
(
とらこう
)
がやつて
来
(
き
)
て
汚
(
けが
)
しよつたによつて、
085
唯今
(
ただいま
)
より
西
(
にし
)
の
巌窟
(
いはあな
)
に
宿替
(
やどがへ
)
を
致
(
いた
)
す。
086
熊公
(
くまこう
)
は
霊縛
(
れいばく
)
を
許
(
ゆる
)
したれば、
087
足腰
(
あしこし
)
は
自由
(
じいう
)
に
立
(
た
)
つであらう。
088
サア
熊公
(
くまこう
)
に
随
(
つ
)
いて、
089
鹿
(
しか
)
その
他
(
た
)
の
者共
(
ものども
)
はこの
谷川
(
たにがは
)
を
越
(
こ
)
えて、
090
西
(
にし
)
の
巌窟
(
いはあな
)
の
前
(
まへ
)
に
行
(
ゆ
)
け。
091
誠
(
まこと
)
の
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
かしてやらう。
092
ウー、
093
オー』
094
と
又
(
また
)
もや
大音響
(
だいおんきやう
)
を
発
(
はつ
)
し、
095
巌窟
(
いはあな
)
も
破裂
(
はれつ
)
せむかと
思
(
おも
)
ふばかりなり。
096
熊公
(
くまこう
)
を
先頭
(
せんとう
)
に
一同
(
いちどう
)
は
滝
(
たき
)
の
下
(
した
)
の
谷川
(
たにがは
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
えて、
097
西
(
にし
)
の
巌窟
(
いはあな
)
の
前
(
まへ
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
き
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げて、
098
熊公
(
くまこう
)
『ヨー
今日
(
けふ
)
は
大蛇彦
(
をろちひこ
)
様
(
さま
)
の
新
(
あたら
)
しき
御殿
(
ごてん
)
、
099
ではない
暗
(
くら
)
い
巌窟
(
いはあな
)
のお
座敷
(
ざしき
)
に
御
(
ご
)
転宅
(
てんたく
)
遊
(
あそ
)
ばされまして、
100
誠
(
まこと
)
にお
目出度
(
めでた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
101
お
取込
(
とりこみ
)
の
際
(
さい
)
とて、
102
嘸
(
さぞ
)
お
忙
(
いそが
)
しい
事
(
こと
)
でございませう。
103
私
(
わたくし
)
でお
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふ
事
(
こと
)
ならば、
104
どうぞ
手伝
(
てつだ
)
はせて
下
(
くだ
)
さいませ』
105
巌窟
(
いはあな
)
の
中
(
なか
)
より、
106
大蛇彦
『ブー、
107
ブー、
108
ブル、
109
ブル、
110
ブル、
111
ブル』
112
熊公
(
くまこう
)
『
大蛇彦
(
をろちひこ
)
の
神
(
かみ
)
さまとやら、
113
私
(
わたくし
)
がこれ
程
(
ほど
)
叮嚀
(
ていねい
)
に
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げて
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げて
居
(
ゐ
)
るのに、
114
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
のお
答
(
こたへ
)
もなく、
115
ブー、
116
ブー、
117
ブル、
118
ブル、
119
ブル、
120
ブルとは、
121
何程
(
なんぼ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
でも
些
(
ちつ
)
と
失敬
(
しつけい
)
ぢやありませぬか。
122
水桶
(
みづをけ
)
に
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つて、
123
揚
(
あ
)
げたり
浸
(
つ
)
けたりしながら、
124
屁
(
へ
)
を
放
(
ひ
)
つてお
尻
(
しり
)
で
返事
(
へんじ
)
をなさるとは、
125
それは
本気
(
ほんき
)
でなさるのか、
126
吾々
(
われわれ
)
を
侮辱
(
ぶじよく
)
するのか』
127
鹿公
(
しかこう
)
『オイオイ、
128
熊公
(
くまこう
)
、
129
本気
(
ほんき
)
も
何
(
なに
)
もあつたものかい、
130
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
平気
(
へ
いき
)
なものだよ。
131
貴様
(
きさま
)
のやうな
奴
(
やつ
)
はこれで
結構
(
けつこう
)
だ。
132
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
で
屁
(
へ
)
をこいたやうな
三五教
(
あななひけう
)
とやらに
恍
(
とぼ
)
けて
居
(
を
)
るから、
133
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
阿呆
(
あはう
)
らしいと
云
(
い
)
つて、
134
屁
(
へ
)
を
御
(
お
)
かまし
遊
(
あそ
)
ばしたのだ』
135
この
時
(
とき
)
巌窟
(
いはあな
)
の
中
(
なか
)
より、
136
竹筒
(
たけづつ
)
を
吹
(
ふ
)
くやうな
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
137
大蛇彦
『ブウー、
138
ブウー、
139
ブル、
140
ブル、
141
ブル、
142
ブル、
143
ブル』
144
熊公
(
くまこう
)
『なんだ、
145
阿呆
(
あほ
)
くさい、
146
また
屁
(
へ
)
だ、
147
屁
(
へ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だ』
148
巌窟
(
いはあな
)
の
中
(
なか
)
から、
149
大蛇彦
『
ア
ヽヽヽ
悪
(
あ
く
)
に
強
(
つよ
)
い
鹿公
(
しかこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
150
朝
(
あ
さ
)
から
晩
(
ばん
)
まで、
151
神
(
かみ
)
の
使
(
つか
)
はしめの
当山
(
たうざん
)
の
猪
(
しし
)
を
狩立
(
かりた
)
て、
152
兎
(
うさぎ
)
を
獲
(
と
)
り、
153
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らして、
154
玉山
(
ぎよくざん
)
の
麓
(
ふもと
)
の
玉芝
(
たましば
)
の
上
(
うへ
)
で、
155
虎
(
とら
)
、
156
熊
(
くま
)
の
二人
(
ふたり
)
に
向
(
むか
)
つて
ほざい
た
事
(
こと
)
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
るか。
157
イ
ヽヽヽ
否応
(
い
やおう
)
なしに
改心
(
かいしん
)
い
たせばよし、
158
違背
(
ゐ
はい
)
に
及
(
およ
)
べば、
159
今
(
い
ま
)
この
場
(
ば
)
において
白羽
(
しらは
)
の
矢
(
や
)
を
持
(
も
)
つて
射殺
(
い
ころ
)
して
仕舞
(
しま
)
はうか』
160
鹿公
(
しかこう
)
『モヽヽもし、
161
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
162
それは、
163
あ
まりぢや
あ
りませぬか。
164
貴神
(
あ
なた
)
様
(
さま
)
は、
165
悪
(
あ
く
)
に
強
(
つよ
)
い
者
(
もの
)
は
善
(
ぜん
)
にも
強
(
つよ
)
い、
166
悪
(
あ
く
)
をようせぬやうな
者
(
もの
)
は、
167
人間
(
にんげん
)
ぢやない、
168
この
神
(
かみ
)
の
氏子
(
うぢこ
)
ぢやない、
169
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
山河
(
やまかは
)
を
駆
(
か
)
けまはつて、
170
イ
ヽヽ
生物
(
い
きもの
)
の
命
(
い
のち
)
を
取
(
と
)
つて、
171
人
(
ひと
)
の
生血
(
い
きち
)
をしぼつて
威勢
(
ゐ
せい
)
よく
暮
(
くら
)
せ、
172
と
仰有
(
おつしや
)
つたぢやないか。
173
それに
今日
(
けふ
)
は
全然
(
まるで
)
掌
(
てのひら
)
をかへしたやうに
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
います。
174
大方
(
おほかた
)
貴神
(
あ
なた
)
は
悪魔
(
あ
くま
)
でせう。
175
東
(
ひがし
)
の
穴
(
あ
な
)
の
神
(
かみ
)
さまとは
違
(
ちが
)
ふのだらう』
176
熊公
(
くまこう
)
『オイ
鹿公
(
しかこう
)
、
177
それでも
貴様
(
きさま
)
、
178
これから
西
(
にし
)
の
巌窟
(
いはあな
)
へ
宿替
(
やどが
)
へすると
仰有
(
おつしや
)
つたぢやないか』
179
鹿公
『ウン、
180
それも、
181
さうぢやつたなあ』
182
熊公
『
貴様
(
きさま
)
は、
183
今日
(
けふ
)
は
叱
(
しか
)
られる
番
(
ばん
)
だ、
184
確
(
しか
)
と
耳
(
みみ
)
を
掃除
(
さうぢ
)
して
聞
(
き
)
くがよからう。
185
神
(
かみ
)
に
叱
(
しか
)
られ
気
(
き
)
は
紅葉
(
もみぢ
)
、
186
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ひ
鳴
(
な
)
く
鹿
(
しか
)
の、
187
声
(
こゑ
)
聞
(
き
)
く
時
(
とき
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なりける
次第
(
しだい
)
なりけりだ』
188
鹿公
『
馬鹿
(
ばか
)
にするない』
189
巌窟
(
いはあな
)
の
中
(
なか
)
から、
190
大蛇彦
『
ウ
ー、
191
ウ
ー
疑
(
う
たが
)
ふか、
192
鹿
(
しか
)
の
奴
(
やつ
)
、
193
疑
(
う
たが
)
へばその
方
(
はう
)
の
素性
(
すじやう
)
を
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
で
素破
(
すつぱ
)
抜
(
ぬ
)
かうか。
194
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで、
195
猪
(
しし
)
や
兎
(
う
さぎ
)
の
尻
(
しり
)
を
追
(
お
)
ひまくるのはまだしも、
196
東
(
ひがし
)
の
後家
(
ごけ
)
や
西
(
にし
)
の
後家
(
ごけ
)
、
197
五十
(
ごじふ
)
の
尻
(
しり
)
を
作
(
つく
)
つて、
198
若
(
わか
)
い
娘
(
むすめ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
廻
(
まは
)
し、
199
肘弓
(
ひぢゆみ
)
に
弾
(
はじ
)
かれて、
200
腹立
(
はらだち
)
紛
(
まぎ
)
れに
酒
(
さけ
)
を
喰
(
くら
)
ひ、
201
家
(
う
ち
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
女房
(
にようばう
)
に
面当
(
つらあて
)
、
202
その
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だ』
203
鹿公
『
ア
ヽもしもし、
204
岩
(
いは
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
205
それは
あ
まりです。
206
どうぞ、
207
そればかしは
言
(
い
)
はぬやうにして
下
(
くだ
)
さい。
208
あ
まり
気
(
き
)
のよいものでは
御座
(
ござ
)
いませぬ』
209
巌窟
(
いはあな
)
の
中
(
なか
)
より、
210
大蛇彦
『
エ
ヘヽヽ
え
らう
困
(
こま
)
つたさうなその
顔
(
かほ
)
は、
211
人
(
ひと
)
を
酷
(
え
ら
)
い
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はした
報
(
むく
)
いで、
212
今日
(
けふ
)
は
え
らい
恥
(
はぢ
)
を
曝
(
さら
)
されるのも
身
(
み
)
から
出
(
で
)
た
錆
(
さび
)
、
213
まだ、
214
まだ、
215
まだ、
216
まだあるぞ』
217
熊公
(
くまこう
)
『
エ
ヽヽ
好
(
え
)
い
加減
(
かげん
)
に
往生
(
わうじやう
)
せぬか、
218
鹿
(
しか
)
の
野郎
(
やらう
)
』
219
鹿公
『
何
(
なに
)
を
貴様
(
きさま
)
まで、
220
エ
ヽヽなんて
真似
(
まね
)
をしよつて、
221
何
(
なに
)
を
ほざき
よるのだ』
222
巌窟
(
いはあな
)
の
中
(
なか
)
より、
223
大蛇彦
『
オ
ヽヽ
大蛇彦
(
を
ろちひこ
)
の
眼
(
まなこ
)
は、
224
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
まで
透
(
す
)
き
通
(
とほ
)
る、
225
鬼
(
お
に
)
の
眼
(
め
)
に
見落
(
みおと
)
しはなし。
226
大盗賊
(
お
ほどろぼう
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
、
227
大悪魔
(
お
ほあくま
)
の
容器
(
いれもの
)
、
228
大
(
お
ほ
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
の
鹿
(
しか
)
の
奴
(
やつ
)
、
229
この
大穴
(
お
ほあな
)
の
前
(
まへ
)
で、
230
大恥
(
お
ほはじ
)
かいて
大味噌
(
お
ほみそ
)
つけて、
231
怖
(
お
)
ぢ
怖
(
お
)
ぢと
尾
(
を
)
を
捲
(
ま
)
く
可笑
(
を
か
)
しさ、
232
アハヽヽ』
233
鹿公
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
、
234
些
(
ちつ
)
と
をかしい
ぞ。
235
東
(
ひがし
)
の
巌窟
(
いはあな
)
の
声
(
こゑ
)
とは
余程
(
よほど
)
変
(
へん
)
だ。
236
竹筒
(
たけづつ
)
を
吹
(
ふ
)
いて、
237
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
ふやうな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひよる。
238
大方
(
お
ほかた
)
虎公
(
とらこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
239
俺
(
お
れ
)
を
一杯
(
いつぱい
)
かけやうと
思
(
お
も
)
つて、
240
熊公
(
くまこう
)
と
申合
(
まをしあは
)
せて
芝居
(
しばゐ
)
を
仕組
(
しぐ
)
みよつたのだらう。
241
よし、
242
よし、
243
よし、
244
これから、
245
この
鹿公
(
しかこう
)
が、
246
虎穴
(
こけつ
)
に
入
(
い
)
らずむば
虎児
(
こじ
)
を
得
(
え
)
ずだ。
247
一
(
ひと
)
つ
命
(
いのち
)
を
的
(
まと
)
に
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
探険
(
たんけん
)
と
出
(
で
)
かけやうカイ』
248
と
云
(
い
)
ひながら、
249
むつくと
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
250
鹿公
(
しかこう
)
が
今
(
いま
)
や
巌窟
(
いはあな
)
に
立
(
た
)
ち
入
(
い
)
らむとする
時
(
とき
)
、
251
天地
(
てんち
)
も
破
(
やぶ
)
るるばかりの
大音響
(
だいおんきやう
)
、
252
大蛇彦
『ウー、
253
オー』
254
鹿公
(
しかこう
)
は、
255
鹿公
『イヨー
此奴
(
こいつ
)
は
矢張
(
やは
)
り
本物
(
ほんもの
)
だ。
256
どうぞお
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
257
と
拍子
(
ひやうし
)
抜
(
ぬ
)
けしたやうな
声
(
こゑ
)
で、
258
又
(
また
)
もや
巌窟
(
いはあな
)
の
前
(
まへ
)
に
平伏
(
へいふく
)
する。
259
折
(
をり
)
から
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
烈風
(
れつぷう
)
の
梢
(
こずゑ
)
を
渡
(
わた
)
る
音
(
おと
)
、
260
滝
(
たき
)
の
響
(
ひび
)
きと
相和
(
あひわ
)
して
心
(
しん
)
砕
(
くだ
)
け、
261
魂
(
こん
)
消
(
き
)
ゆる
如
(
ごと
)
き
騒然
(
さうぜん
)
たる
光景
(
くわうけい
)
を
現出
(
げんしゆつ
)
したり。
262
(
大正一一・二・一六
旧一・二〇
加藤明子
録)
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