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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
第1章 都落
第2章 エデンの渡
第3章 三笠丸
第4章 大足彦
第5章 海上の神姿
第6章 刹那信心
第7章 地獄の沙汰
第2篇 一陽来復
第8章 再生の思
第9章 鴛鴦の衾
第10章 言葉の車
第11章 蓬莱山
第3篇 天涯万里
第12章 鹿島立
第13章 訣別の歌
第14章 闇の谷底
第15章 団子理屈
第16章 蛸釣られ
第17章 甦生
第4篇 千山万水
第18章 初陣
第19章 悔悟の涙
第20章 心の鏡
第21章 志芸山祇
第22章 晩夏の風
第23章 高照山
第24章 玉川の滝
第25章 窟の宿替
第26章 巴の舞
第5篇 百花爛漫
第27章 月光照梅
第28章 窟の邂逅
第29章 九人娘
第30章 救の神
第31章 七人の女
第32章 一絃琴
第33章 栗毛の駒
第34章 森林の囁
第35章 秋の月
第36章 偽神憑
第37章 凱歌
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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<<< 闇の谷底
(B)
(N)
蛸釣られ >>>
第一五章
団子
(
だんご
)
理屈
(
りくつ
)
〔四〇八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第3篇 天涯万里
よみ(新仮名遣い):
てんがいばんり
章:
第15章 団子理屈
よみ(新仮名遣い):
だんごりくつ
通し章番号:
408
口述日:
1922(大正11)年02月14日(旧01月18日)
口述場所:
筆録者:
森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
照彦に憑いた月照彦命は、谷底で淤縢山津見と駒山彦に説教を続けている。駒山彦はそれにいちいち口答えをしていたが、淤縢山津見はじっと聞いていた。
淤縢山津見は足が立つようになった。そして照彦に憑いた神に、教訓への感謝を捧げた。照彦の神は淤縢山津見に、カルの国に一人だけで進んで行くように、と命じた。
淤縢山津見が谷を立ち去ろうとするとき、ちょうど三五の明月が山頂に昇り、谷間を照らし出した。淤縢山津見は月光に力を得て、宣伝歌を歌いながら元来た道を帰って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-23 22:25:32
OBC :
rm0915
愛善世界社版:
119頁
八幡書店版:
第2輯 317頁
修補版:
校定版:
125頁
普及版:
47頁
初版:
ページ備考:
001
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
は
昇
(
のぼ
)
れども、
002
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
との
谷間
(
たにあひ
)
は、
003
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わ
)
かぬ
真
(
しん
)
の
暗
(
やみ
)
、
004
空
(
そら
)
せまく
地
(
つち
)
狭
(
せま
)
き
谷底
(
たにぞこ
)
に、
005
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
端坐
(
たんざ
)
し、
006
首
(
くび
)
ばかり
動
(
うご
)
かし
居
(
ゐ
)
る
折柄
(
をりから
)
、
007
何処
(
どこ
)
ともなく
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
唸
(
うな
)
るやうな
声
(
こゑ
)
、
008
木霊
(
こだま
)
を
響
(
ひび
)
かせ
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
009
声
『ウーオー』
010
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『イヤー
虎
(
とら
)
か
狼
(
おほかみ
)
か、
011
どえらい
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
012
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
さま、
013
神言
(
かみごと
)
でも
上
(
あ
)
げませうか』
014
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
『ヤー、
015
仕方
(
しかた
)
がない、
016
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
しませう』
017
照彦
(
てるひこ
)
『
カ
ヽヽ
神
(
か
み
)
を
松魚節
(
か
つをぶし
)
に
致
(
いた
)
す
宣伝使
(
せんでんし
)
、
018
か
なはぬ
時
(
とき
)
の
神頼
(
か
みだの
)
み、
019
「
神言
(
か
みごと
)
でも」とは
何
(
なん
)
だ。
020
それでも
宣伝使
(
せんでんし
)
か、
021
でも
宣伝使
(
せんでんし
)
。
022
稜威
(
みいづ
)
輝
(
か
がや
)
く
てる
の
国
(
くに
)
、
023
珍
(
うづ
)
は
てる
てる
はる
山
(
やま
)
曇
(
くも
)
る、
024
オツトドツコイ
淤縢山
(
おどやま
)
くもる、
025
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
雨
(
あめ
)
降
(
ふ
)
らす、
026
雨
(
あめ
)
は
雨
(
あめ
)
だが
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
だ。
027
か
なしさうな
其
(
その
)
面
(
つら
)
つき、
028
仮令
(
たとへ
)
か
らだは
八
(
や
)
つ
裂
(
ざき
)
になつても、
029
神
(
か
み
)
のためなら、
030
チツトも
か
まはないと
言
(
い
)
ふ
覚悟
(
か
くご
)
がなくて、
031
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
が
開
(
ひら
)
けるか、
032
カ
ラ
魂
(
だま
)
のさかしら
魂
(
だま
)
、
033
神
(
か
み
)
の
心
(
こころ
)
も
推量
(
すゐりやう
)
して
呉
(
く
)
れても
宜
(
よ
)
からう。
034
少
(
すこ
)
しの
艱難
(
か
んなん
)
辛苦
(
しんく
)
に
遭
(
あ
)
うても、
035
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つて
雲
(
くも
)
を
か
すみと
逃
(
に
)
げ
行
(
ゆ
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
、
036
か
らすのやうな
黒
(
くろ
)
い
魂
(
たま
)
で
誠
(
まこと
)
の
神
(
か
み
)
を
か
ついで、
037
勝手
(
か
つて
)
な
ねつ
を
吹
(
ふ
)
き
歩
(
ある
)
く
がとう
虫
(
むし
)
奴
(
め
)
が。
038
か
てて
加
(
くは
)
へて
蟹
(
か
に
)
が
行
(
ゆ
)
く
横
(
よこ
)
さの
道
(
みち
)
を
歩
(
あゆ
)
みながら、
039
吾程
(
われほど
)
誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
はない、
040
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つが
世
(
よ
)
の
宝
(
たから
)
、
041
誠
(
まこと
)
をつくせ、
042
真心
(
まごころ
)
になれと、
043
か
たる
計
(
ばか
)
りの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
044
か
らすのやうに
喧
(
か
し
)
ましい
蚊々虎
(
か
が
とら
)
さまの
素性
(
すじやう
)
も
知
(
し
)
らず、
045
軽
(
か
る
)
い
男
(
をとこ
)
と
侮
(
あなど
)
つて、
046
汗
(
あせ
)
か
き、
047
耻
(
はぢ
)
か
き、
048
頭
(
か
しら
)
か
き、
049
かばち
の
高
(
たか
)
い、
050
カ
ラ
威張
(
ゐば
)
りの
上手
(
じやうづ
)
な
神
(
か
み
)
の
使
(
つか
)
ひ、
051
カ
ラと
日本
(
にほん
)
の
戦
(
いくさ
)
があるとは、
052
汝
(
なんぢ
)
らが
御魂
(
みたま
)
の
立替
(
たて
か
)
へ
立直
(
たてなほ
)
し、
053
今
(
いま
)
までの
カ
ラ
魂
(
だま
)
を、
054
オツ
放
(
ぽ
)
り
出
(
だ
)
して、
055
水晶
(
すゐしやう
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の
日本
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
に
立替
(
たて
か
)
へいと
申
(
まを
)
すことだ。
056
喧
(
か
しま
)
しいばかりが
宣伝使
(
せんでんし
)
でないぞ。
057
改心
(
か
いしん
)
いたせばよし、
058
どこまでも
分
(
わか
)
らねば、
059
神
(
か
み
)
はモウ
一限
(
ひとき
)
りに
致
(
いた
)
すぞよ。
060
何程
(
なにほど
)
気
(
き
)
の
長
(
なが
)
い
神
(
か
み
)
でも、
061
愛想
(
あいさう
)
が
尽
(
つ
)
きて、
062
欠伸
(
あくび
)
が
出
(
で
)
るぞよ』
063
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
カ
ヽヽ
叶
(
か
な
)
はぬ
叶
(
か
な
)
はぬ、
064
勘忍
(
か
んにん
)
して
下
(
くだ
)
さいな。
065
是
(
これ
)
から
改心
(
か
いしん
)
致
(
いた
)
しますから、
066
モウ
吾々
(
われわれ
)
の
事
(
こと
)
に
構
(
か
ま
)
ひ
立
(
だ
)
てはして
下
(
くだ
)
さるなよ。
067
か
いて
走
(
はし
)
るやうな
掴
(
つか
)
まへ
処
(
どこ
)
のない
意見
(
いけん
)
を
聞
(
き
)
かされて、
068
アヽ
好
(
い
)
い
面
(
つら
)
の
皮
(
か
は
)
だ』
069
照彦
(
てるひこ
)
『
キ
ヽヽ
貴様
(
き
さま
)
は
余程
(
よほど
)
しぶとい
奴
(
やつ
)
、
070
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
申
(
まを
)
すことが
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬか。
071
奇怪
(
き
つくわい
)
千万
(
せんばん
)
な
駄法螺
(
だぼら
)
を
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
つて、
072
良
(
い
)
い
気
(
き
)
になつて
気楽
(
き
らく
)
さうに、
073
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ、
074
気
(
き
)
まぐれ
半分
(
はんぶん
)
に、
075
天下
(
てんか
)
を
廻
(
まは
)
る
狼狽者
(
うろたへもの
)
、
076
気抜
(
き
ぬ
)
け
面
(
づら
)
して、
077
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かぬも
程
(
ほど
)
がある。
078
鬼門
(
き
もん
)
の
金神
(
こんじん
)
現
(
あら
)
はれて
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る。
079
鬼畜
(
き
ちく
)
のやうな、
080
気違
(
き
ちが
)
ひ
魂
(
だま
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
081
世
(
よ
)
の
切
(
き
)
り
替
(
かへ
)
に
キ
ツパリと
取払
(
とりはら
)
ひ、
082
根
(
ねつ
)
から
葉
(
はつ
)
から
切
(
き
)
つて
了
(
しま
)
ふぞよ。
083
貴様
(
き
さま
)
の
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬは
尤
(
もつと
)
もだ。
084
ひどい
気強
(
き
づよ
)
い
鬼神
(
き
じん
)
のやうな
言葉
(
ことば
)
と
思
(
おも
)
ふであらうが、
085
よく
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて
味
(
あぢ
)
はうて
見
(
み
)
よ。
086
きくらげ
のやうな
耳
(
みみ
)
では
神
(
かみ
)
の
誠
(
まこと
)
の
言葉
(
ことば
)
は
聞
(
き
)
き
取
(
と
)
れまい。
087
気
(
き
)
が
気
(
き
)
でならぬ
神
(
かみ
)
の
胸
(
むね
)
、
088
いつまでも
諾
(
き
)
かねば
諾
(
き
)
くやうに
致
(
いた
)
して
諾
(
き
)
かして
見
(
み
)
せうぞよ。
089
汚
(
き
た
)
ない
心
(
こころ
)
をさつぱり
放
(
ほ
)
かして、
090
誠
(
まこと
)
の
神心
(
かみごころ
)
になり、
091
万事
(
ばんじ
)
に
対
(
たい
)
して
機転
(
き
てん
)
を
利
(
き
)
かし、
092
心配
(
こころくば
)
り、
093
気配
(
き
くば
)
りの
出来
(
でき
)
ぬやうな
事
(
こと
)
では、
094
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
御用
(
ごよう
)
は
到底
(
たうてい
)
勤
(
つと
)
まらぬぞよ。
095
き
な
き
な
思
(
おも
)
はず
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らいでも、
096
歯
(
は
)
に
衣
(
き
ぬ
)
を
着
(
き
)
せぬ
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
、
097
是
(
これ
)
から
気張
(
き
ば
)
つて
気分
(
き
ぶん
)
を
改
(
あらた
)
め、
098
気不性
(
き
ぶしやう
)
な
心
(
こころ
)
を
立直
(
たてなほ
)
し、
099
気随
(
き
ずゐ
)
気儘
(
き
まま
)
をさらりと
放
(
ほ
)
かし、
100
神
(
かみ
)
と
君
(
き
み
)
とに
誠
(
まこと
)
を
尽
(
つく
)
し、
101
気六
(
き
む
)
ツかしさうな
面
(
おもて
)
をやはらげ、
102
心
(
こころ
)
を
決
(
き
)
めて
荒胆
(
あら
ぎ
も
)
を
練
(
ね
)
り、
103
キ
ヤ
キ
ヤ
思
(
おも
)
はず
キ
ユウ
キ
ユウ
苦
(
くる
)
しまず、
104
心
(
こころ
)
を
清
(
き
よ
)
め
身
(
み
)
を
浄
(
き
よ
)
め、
105
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
に
従
(
したが
)
へば
気楽
(
き
らく
)
に
道
(
みち
)
が
拡
(
ひろ
)
まるぞよ。
106
キ
チリ
キ
チリと
箱
(
はこ
)
さした
様
(
やう
)
に
行
(
ゆ
)
くぞよ。
107
神
(
かみ
)
を
笠
(
かさ
)
に
着
(
き
)
るなよ。
108
抜刀
(
ぬ
き
み
)
や
刃物
(
き
れもの
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
になつて、
109
油断
(
ゆだん
)
を
致
(
いた
)
すな。
110
窮
(
き
は
)
まりもなき
神
(
かみ
)
の
恩
(
おん
)
、
111
万
(
よろづ
)
の
罪咎
(
つみとが
)
も
神
(
かみ
)
の
光
(
ひか
)
りに
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて、
112
身魂
(
みたま
)
は
穏
(
おだや
)
かに
改
(
あらた
)
まり、
113
さうした
上
(
うへ
)
で
始
(
はじ
)
めて
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
114
どうだ、
115
分
(
わか
)
つたか』
116
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
キ
ヽヽ
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
きました。
117
気張
(
き
ば
)
つて
気張
(
き
ば
)
つて
是
(
これ
)
から
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
します。
118
此
(
この
)
気味
(
き
み
)
の
悪
(
わる
)
い
谷底
(
たにぞこ
)
で、
119
奇妙
(
き
めう
)
奇天烈
(
き
てれつ
)
な
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
うて
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
まされて、
120
何
(
なん
)
たるマア
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
事
(
こと
)
だらう。
121
神
(
かみ
)
の
気勘
(
き
かん
)
に
叶
(
かな
)
うた
積
(
つもり
)
で、
122
気張
(
き
ば
)
つて
気張
(
き
ば
)
つて
心配
(
こころくば
)
り
気配
(
き
くば
)
りして、
123
此処
(
ここ
)
まで
勤
(
つと
)
めて
来
(
き
)
たのに、
124
思
(
おも
)
ひがけなき
気遣
(
き
づか
)
ひをさされた。
125
サア、
126
もう
キ
リキリと
決
(
き
ま
)
りをつけて、
127
来
(
き
)
た
道
(
みち
)
へ
帰
(
かへ
)
らうかい。
128
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
さまも
何
(
なん
)
だ、
129
一体
(
いつたい
)
気
(
き
)
の
小
(
ちひ
)
さい、
130
おどおどとして
顫
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
131
ナント
膽玉
(
き
もだま
)
の
弱
(
よわ
)
い
男
(
をとこ
)
だな。
132
こんな
所
(
ところ
)
に
長居
(
ながゐ
)
をすると、
133
猿
(
さる
)
の
小便
(
せうべん
)
ぢやないが、
134
先
(
さき
)
のことが
気
(
き
)
にかかるワ』
135
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
『
き
まりの
悪
(
わる
)
い、
136
不気味
(
ぶ
き
み
)
な
態
(
ざま
)
で
キ
ツウ
膏
(
あぶら
)
を
搾
(
しぼ
)
られました。
137
際
(
き
は
)
どいとこまで
素破
(
すつぱ
)
抜
(
ぬ
)
かれて、
138
アー
俺
(
おれ
)
も
気
(
き
)
が
気
(
き
)
ぢやないワ。
139
ドウデ
吾々
(
われわれ
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
気
(
き
)
に
入
(
い
)
るやうな
宣伝
(
せんでん
)
はできては
居
(
を
)
らぬからなア』
140
照彦
(
てるひこ
)
『
ク
ヽヽ
苦労
(
く
らう
)
なしの、
141
心
(
こころ
)
の
暗
(
く
ら
)
い
暗雲
(
やみ
く
も
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
』
142
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『モシモシ、
143
ク
ヽ
暗
(
く
ら
)
がりにそんな
下
(
く
だ
)
らぬ
事
(
こと
)
を、
144
モヽモウ
是
(
これ
)
位
(
ぐ
らゐ
)
で
止
(
や
)
めて
下
(
く
だ
)
さい』
145
照彦
(
てるひこ
)
『
苦
(
く
る
)
しいか、
146
苦面
(
く
めん
)
が
悪
(
わる
)
いか、
147
臭
(
く
さ
)
い
物
(
もの
)
に
蓋
(
ふた
)
をしたやうに
隠
(
かく
)
し
立
(
だ
)
てしても、
148
何程
(
なにほど
)
クスネ
ようと
思
(
おも
)
うても、
149
四十八
(
しじふはち
)
癖
(
く
せ
)
のあらむ
限
(
かぎ
)
りは
改
(
あらた
)
めてやるぞ。
150
下
(
く
だ
)
らぬ
理屈
(
りくつ
)
を
口
(
く
ち
)
から
出放題
(
ではうだい
)
、
151
グ
ヅ
グ
ヅ
グ
デ
グ
デと
ク
ドイ
理屈
(
りくつ
)
を
捏並
(
こねなら
)
べ、
152
一
(
ひと
)
つ
違
(
ちが
)
へば
ク
ナ
ク
ナ
腰
(
ごし
)
になつて、
153
一寸
(
ちよつと
)
した
事
(
こと
)
でも
苦
(
く
)
にするなり、
154
委
(
く
は
)
しき
事
(
こと
)
も
知
(
し
)
らずに、
155
喰
(
く
)
ひ
違
(
ちが
)
つた
御託
(
ごたく
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
156
九分
(
く
ぶ
)
九厘
(
く
りん
)
で
覆
(
かへ
)
るの
覆
(
かへ
)
らぬの、
157
一厘
(
いちりん
)
の
仕組
(
しぐみ
)
を
く
まなく
悟
(
さと
)
つたの、
158
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
つたのと、
159
そりや
何
(
なん
)
の
囈語
(
たわごと
)
、
160
汲
(
く
)
めども
尽
(
つ
)
きぬ
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
、
161
大空
(
たい
く
う
)
の
雲
(
く
も
)
を
掴
(
つか
)
むやうな
掴
(
つか
)
まへ
所
(
どころ
)
のない、
162
駄法螺
(
だぼら
)
を
吹
(
ふ
)
いたその
酬
(
むく
)
い、
163
悔
(
く
や
)
し
残念
(
ざんねん
)
をコバリコバリ、
164
今
(
いま
)
までの
取違
(
とりちが
)
ひを
悔
(
く
)
ひ
改
(
あらた
)
め、
165
ク
ヨ
ク
ヨ
思
(
おも
)
はずに
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
顕
(
あら
)
はし、
166
闇黒
(
く
らがり
)
の
世
(
よ
)
を
照
(
てら
)
し、
167
また
来
(
く
)
る
春
(
はる
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
、
168
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
を
呉々
(
く
れ
ぐ
れ
)
も
待
(
ま
)
つがよいぞよ。
169
ク
レンと
返
(
かへ
)
る
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
、
170
苦労
(
く
らう
)
の
花
(
はな
)
の
開
(
ひら
)
く
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
、
171
委
(
く
は
)
しいことが
知
(
し
)
りたくば、
172
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めて
神心
(
かみごころ
)
になれ。
173
噛
(
か
)
んで
く
くめるやうに
知
(
し
)
らして
置
(
お
)
くぞよ』
174
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
ク
ヽヽ
ク
ド
ク
ドしいお
説教
(
せつけう
)
、
175
モヽ
分
(
わか
)
りました
分
(
わか
)
りました、
176
結構
(
けつこう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
177
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
してモウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
取違
(
とりちが
)
ひは
致
(
いた
)
しませぬ。
178
何卒
(
どうぞ
)
これで
止
(
や
)
めて
下
(
く
だ
)
さいませ、
179
さうして
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
身体
(
からだ
)
を
自由
(
じいう
)
になるやうにして
下
(
く
だ
)
さい』
180
照彦
(
てるひこ
)
『
ケ
ヽヽ
結構
(
け
つこう
)
々々
(
け
つこう
)
とは
何
(
なに
)
が
結構
(
け
つこう
)
だ。
181
毛筋
(
け
すぢ
)
の
横巾
(
よこはば
)
も
違
(
ちが
)
はぬ
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
だ。
182
決心
(
け
つしん
)
が
第一
(
だいいち
)
だ。
183
道
(
みち
)
を
汚
(
け
が
)
してはならぬから、
184
神
(
かみ
)
が
気
(
け
)
もない
中
(
うち
)
から
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けるのだ。
185
怪体
(
け
つたい
)
な
心
(
こころ
)
を
取直
(
とりなほ
)
し、
186
ケ
チ
ケ
チ
致
(
いた
)
さず、
187
神心
(
かみごころ
)
になつて
居
(
を
)
らぬと、
188
獣
(
け
だもの
)
の
身魂
(
みたま
)
に
欺
(
だま
)
されて、
189
尻
(
け
つ
)
の
毛
(
け
)
まで
一本
(
いつぽん
)
もないやうにしられるぞよ。
190
嶮
(
け
は
)
しき
山
(
やま
)
を
上
(
のぼ
)
り
下
(
くだ
)
りしながら、
191
毛
(
け
)
を
吹
(
ふ
)
いて
疵
(
きず
)
を
求
(
もと
)
めるやうな
其
(
その
)
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
、
192
従者
(
け
らい
)
を
連
(
つ
)
れたり、
193
女
(
をんな
)
を
伴
(
つ
)
れたり、
194
そんな
事
(
こと
)
で
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
が
拡
(
ひろ
)
まるか、
195
毛虫
(
け
むし
)
よりも
劣
(
おと
)
つた
宣伝使
(
せんでんし
)
』
196
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
ケ
ヽヽ
怪体
(
け
つたい
)
なことを
言
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
だな。
197
淤縢山
(
おどやま
)
さま、
198
如何
(
どう
)
しよう。
199
耳
(
みみ
)
が
痛
(
いた
)
くつて、
200
面白
(
おもしろ
)
くもない、
201
コンナ
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はされやうと
思
(
おも
)
うたら、
202
宣伝
(
せんでん
)
に
廻
(
まは
)
つて
来
(
く
)
るぢやなかつたに、
203
アヽ
何
(
なん
)
と
宣伝使
(
せんでんし
)
は
辛
(
つら
)
いものぢやなア。
204
毛色
(
け
いろ
)
の
変
(
かは
)
つた
照彦
(
てるひこ
)
のやうな
男
(
をとこ
)
が
来
(
く
)
るものだから、
205
コンな
怪体
(
け
つたい
)
な
谷底
(
たにぞこ
)
で、
206
眉毛
(
まゆ
げ
)
を
読
(
よま
)
れ、
207
鼻毛
(
はな
げ
)
を
抜
(
ぬ
)
かれ、
208
尻
(
け
つ
)
の
毛
(
け
)
まで
抜
(
ぬ
)
かれるやうな、
209
怪
(
け
)
しからぬ
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
うて、
210
谷底
(
たにぞこ
)
へ
蹴落
(
け
おと
)
されて、
211
けが
したよりも
余程
(
よほど
)
つまらぬ
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
ふのか。
212
お
前
(
まへ
)
さまは
頭
(
あたま
)
が
坊主
(
ばうず
)
だから、
213
けが
なくてよからうが、
214
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
もならぬ
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
うて、
215
困
(
こま
)
り
切
(
き
)
つてゐるワイ』
216
照彦
(
てるひこ
)
『
コ
ヽヽ
駒山彦
(
こ
まやまひこ
)
、
217
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふか、
218
乞食
(
こ
じき
)
芝居
(
しばゐ
)
のやうに、
219
男女
(
だんぢよ
)
七
(
しち
)
人
(
にん
)
連
(
づれ
)
にて
ゴ
テ
ゴ
テと、
220
此処
(
こ
こ
)
彼処
(
かし
こ
)
ゴ
ロツキ
廻
(
まは
)
る
宣伝使
(
せんでんし
)
、
221
神
(
かみ
)
は
勘忍袋
(
かんにんぶくろ
)
が
破
(
やぶ
)
れるぞよ。
222
此世
(
こ
のよ
)
の
鬼
(
おに
)
を
往生
(
わうじやう
)
さして、
223
神
(
かみ
)
、
224
仏事
(
ぶつじ
)
、
225
人民
(
じんみん
)
を
悦
(
よろこ
)
ばす
神
(
かみ
)
の
心
(
こ
ころ
)
、
226
耐
(
こ
ら
)
へ
忍
(
しの
)
びのない
心
(
こ
ころ
)
の
定
(
き
)
まらぬ、
227
破
(
やぶ
)
れ
宣伝使
(
せんでんし
)
が
何
(
なに
)
になるか。
228
梢
(
こ
ずゑ
)
に
来
(
き
)
て
鳴
(
な
)
く
鶯
(
うぐひす
)
でも、
229
春夏
(
はるなつ
)
秋冬
(
あきふゆ
)
はよく
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るに、
230
応
(
こ
た
)
へたか、
231
此方
(
こ
のはう
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
つたか。
232
コ
ツ
コ
ツと
角張
(
かくば
)
つたもの
言
(
い
)
ひをしたり、
233
ゴ
テ
ゴ
テと
小理屈
(
こ
りくつ
)
を
捏
(
こ
)
ねたり、
234
事
(
こ
と
)
に
触
(
ふ
)
れ
物
(
もの
)
に
接
(
せつ
)
し、
235
下
(
くだ
)
らぬ
理屈
(
りくつ
)
を
捏
(
こ
)
ね
廻
(
まは
)
し、
236
人
(
ひと
)
の
好
(
こ
の
)
まぬ
事
(
こ
と
)
を
無理
(
むり
)
に
勧
(
すす
)
め、
237
怖
(
こ
は
)
がられて
強
(
つよ
)
い
物
(
もの
)
には
媚
(
こ
)
び
諂
(
へつら
)
ひ、
238
後先
(
あとさき
)
真暗
(
まつくら
)
の
神
(
かみ
)
を
困
(
こ
ま
)
らす
駒山彦
(
こ
まやまひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
239
米
(
こ
め
)
喰
(
く
)
ふ
虫
(
むし
)
の
製糞器
(
せいふんき
)
、
240
菰
(
こ
も
)
を
被
(
かぶ
)
つた
乞食
(
こ
じき
)
のやうに、
241
一寸
(
ちよつと
)
の
苦労
(
くらう
)
に
弱音
(
よわね
)
を
吹
(
ふ
)
き、
242
泣
(
な
)
き
声
(
ご
ゑ
)
をしぼり、
243
モウ
こ
いつあ
叶
(
かな
)
はぬ、
244
宣伝
(
せんでん
)
は
コ
リ
コ
リだと
弱気
(
よわぎ
)
を
出
(
だ
)
したり、
245
怖
(
こ
は
)
い
顔
(
かほ
)
して
威張
(
ゐば
)
つて
歩
(
ある
)
く
狼狽者
(
うろたへもの
)
の
得手
(
えて
)
勝手
(
かつて
)
な
ねつ
を
吹
(
ふ
)
くお
取次
(
とりつ
)
ぎとは、
246
おどましいぞよ。
247
鬼
(
おに
)
も
大蛇
(
をろち
)
も
狼
(
おほかみ
)
も
恐
(
おそ
)
れて、
248
尾
(
を
)
を
振
(
ふ
)
つて
跣足
(
はだし
)
で
逃
(
に
)
げる、
249
イヤ
逃
(
に
)
げぬ、
250
心
(
こ
ころ
)
の
小
(
こ
ま
)
こい
腰
(
こ
し
)
の
弱
(
よわ
)
い
困
(
こ
ま
)
り
者
(
もの
)
の
駒山彦
(
こ
まやまひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
』
251
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
サ
ヽヽ
囀
(
さ
へづ
)
るない、
252
サ
ツパリ
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
喋
(
しやべ
)
り
散
(
ち
)
らしよつて、
253
態
(
ざ
ま
)
が
悪
(
わる
)
いワイ。
254
逆捻
(
さ
かねぢ
)
に
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
からちつと
囀
(
さ
へづ
)
つてやらうか、
255
余
(
あま
)
り
喋
(
しやべ
)
ると
逆
(
さ
か
)
トンボリを
打
(
う
)
たねばならぬぞよ。
256
先
(
さ
き
)
にある
事
(
こと
)
を
世界
(
せかい
)
に
知
(
し
)
らす、
257
三五教
(
あななひけう
)
の
悟
(
さ
と
)
りのよい
流石
(
さ
すが
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
だ』
258
照彦
(
てるひこ
)
『
サ
ヽヽ
騒
(
さ
わ
)
がしいワイ』
259
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『アヽヽ
五月蝿
(
うるさ
)
いなア、
260
サ
ツパリ
油
(
あぶら
)
を
搾
(
しぼ
)
つて
了
(
しま
)
ひよつた。
261
さ
ても
さ
ても
残念
(
ざんねん
)
なことぢや』
262
照彦
(
てるひこ
)
『
サ
ア
サ
ア
サ
ア
是
(
これ
)
からだ。
263
賽
(
さ
い
)
の
河原
(
かはら
)
で
石
(
いし
)
を
積
(
つ
)
む、
264
積
(
つ
)
んでは
崩
(
くづ
)
す
積
(
つ
)
んでは
崩
(
くづ
)
す
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
尻
(
しり
)
の
結
(
むす
)
べぬ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
265
月
(
つき
)
は
御空
(
みそら
)
に
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
れども、
266
心
(
こころ
)
は
暗
(
くら
)
き
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
、
267
足許
(
あしもと
)
は
真暗
(
まつくら
)
がりで
谷底
(
たにぞこ
)
へ
逆
(
さ
か
)
トンボリを
打
(
う
)
たねばならぬぞよ。
268
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
すことを
逆様
(
さ
かさま
)
に
取
(
と
)
るとはソリヤ
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
、
269
先
(
さ
き
)
へ
先
(
さ
き
)
へと
知
(
し
)
らす
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
、
270
先
(
さ
き
)
の
知
(
し
)
れぬ
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
271
神
(
かみ
)
を
審神
(
さ
には
)
するといふ
探女
(
さ
ぐめ
)
のやうな、
272
御魂
(
みたま
)
の
暗
(
くら
)
い
奴
(
やつ
)
、
273
酒
(
さ
け
)
と
女
(
をんな
)
に
魂
(
たましひ
)
を
腐
(
くさ
)
らし、
274
やうやう
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して
俄
(
にはか
)
宣伝使
(
せんでんし
)
になつたとて、
275
サ
ヽそれが
何
(
なに
)
豪
(
えら
)
い。
276
差添
(
さ
しぞへ
)
の
種
(
たね
)
ぢやと
威張
(
ゐば
)
つて
居
(
を
)
るが、
277
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
差出
(
さ
しで
)
の
神
(
かみ
)
か、
278
イヤ
狸
(
たぬき
)
だ。
279
流石
(
さ
すが
)
の
其方
(
そなた
)
も
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
今
(
いま
)
の
言葉
(
ことば
)
、
280
指
(
ゆび
)
一本
(
いつぽん
)
指
(
さ
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
まい。
281
早速
(
さ
つそく
)
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
は
閉
(
すぼ
)
まろまいぞよ、
282
沙汰
(
さ
た
)
の
限
(
かぎ
)
りぢや。
283
サ
タン
悪魔
(
あくま
)
の
虜
(
とりこ
)
となつても、
284
サ
ツチもない
事
(
こと
)
を
触
(
ふ
)
れ
歩
(
ある
)
き、
285
偖
(
さ
て
)
も
偖
(
さ
て
)
も
悟
(
さ
と
)
りの
悪
(
わる
)
い
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
286
蚕
(
かひこ
)
の
サ
ナギのやうに、
287
一寸
(
ちよつと
)
の
事
(
こと
)
にもプリンプリン
尾
(
を
)
を
振
(
ふ
)
り
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
り、
288
盲目
(
めくら
)
滅法
(
めつぱふ
)
の
審神
(
さ
には
)
を
致
(
いた
)
し、
289
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
だ、
290
正
(
せい
)
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
だと
騒
(
さ
わ
)
ぎ
廻
(
まは
)
り、
291
日本
(
やまと
)
御魂
(
みたま
)
の
両刃
(
もろは
)
の
剣
(
つるぎ
)
は
サ
ツパリ
錆刀
(
さ
びがたな
)
。
292
探
(
さ
ぐ
)
り
審神者
(
さ
には
)
の
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ず、
293
様々
(
さまざま
)
の
曲津
(
まがつ
)
に
欺
(
あざむ
)
かれ、
294
えらい
目
(
め
)
にあはされながら、
295
まだ
目
(
め
)
が
醒
(
さ
)
めぬか。
296
之
(
これ
)
でも
未
(
ま
)
だ
未
(
ま
)
だ
我
(
が
)
を
張
(
は
)
るか。
297
偖
(
さ
て
)
も
さ
もしい
心
(
こころ
)
だのう。
298
塞
(
さ
や
)
ります
黄泉彦
(
よもつひこの
)
神
(
かみ
)
の
曲
(
まが
)
の
使
(
つかひ
)
を
信
(
しん
)
じ、
299
よくもよくも
呆
(
はう
)
けたものだ。
300
今
(
いま
)
から
さ
らりと
我
(
が
)
を
折
(
を
)
りて、
301
慢心心
(
まんしんごころ
)
を
洗
(
あら
)
ひ
去
(
さ
)
り、
302
各自
(
めいめい
)
に
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
省
(
かへり
)
みて、
303
猿
(
さ
る
)
の
尻
(
しり
)
笑
(
わら
)
ひを
致
(
いた
)
すでないぞ。
304
耻
(
はぢ
)
を
曝
(
さ
ら
)
されて
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
くより、
305
褌
(
まはし
)
でもしつかりとかけ。
306
騒
(
さ
わ
)
ぐな、
307
囀
(
さ
へづ
)
るな、
308
冴
(
さ
)
えた
心
(
こころ
)
の
望
(
もち
)
の
月
(
つき
)
、
309
サ
ア
サ
ア
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
、
310
駒山彦
(
こまやまひこ
)
、
311
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
がチツトは
腹
(
はら
)
に
入
(
はい
)
つたか』
312
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
シ
ヽヽヽ
し
ぶいワイ。
313
うかうか
聞
(
き
)
いてをれば
面白
(
おもしろ
)
くもない、
314
こんな
谷底
(
たにぞこ
)
でアイウエオ、
315
カキクケコの
言霊
(
ことたま
)
の
練習
(
れんしふ
)
をしよつて、
316
余
(
あま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にするない。
317
言霊
(
ことたま
)
なら
俺
(
おれ
)
も
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
ぢや、
318
負
(
ま
)
けはせぬぞ。
319
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はどんな
立派
(
りつぱ
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つても、
320
行
(
おこな
)
ひは
照彦
(
てるひこ
)
ぢやで、
321
さう
註文
(
ちうもん
)
通
(
どほ
)
りには
行
(
ゆ
)
くものぢやない。
322
ス
カ
屁
(
べ
)
を
放
(
ひ
)
つた
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
しよつて、
323
せ
んぐりせんぐりと、
324
ソ
ヽヽ
そ
ろ
そ
ろと
棚
(
た
な
)
おろしをしやがつて、
325
チ
ヽ
ち
つとも
応
(
こた
)
へぬのぢや。
326
ツ
ヽ
詰
(
つ
ま
)
らぬ
事
(
こと
)
を、
327
テ
ヽヽ
手柄
(
て
がら
)
さうに、
328
ト
ヽヽ
呆
(
と
ぼ
)
けやがつて、
329
ナ
ヽヽ
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しやがるのだ。
330
ニ
ヽヽ
憎
(
に
く
)
つたらしい、
331
ヌ
ヽヽ
抜
(
ぬ
)
けたやうな
声
(
こゑ
)
で、
332
ネ
ヽヽ
根
(
ね
)
も
葉
(
は
)
もないやうな
事
(
こと
)
を、
333
ノ
ヽヽ
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
て、
334
ハ
ヽヽ
腹
(
は
ら
)
が
承知
(
しようち
)
せぬワイ。
335
ヒ
ヽヽ
昼
(
ひ
る
)
ならよいがコンナ
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
に、
336
フ
ヽヽ
悪戯
(
ふ
ざけ
)
た
事
(
こと
)
を、
337
ヘ
ヽヽ
屁
(
へ
)
のやうに、
338
ホ
ヽヽ
吐
(
ほ
ざ
)
きよつて、
339
マ
ヽヽ
曲津
(
ま
がつ
)
神
(
かみ
)
奴
(
め
)
が、
340
ミ
ヽヽ
み
みず
奴
(
め
)
が、
341
ム
ヽヽ
虫
(
む
し
)
ケラ
奴
(
め
)
が、
342
メ
ヽヽ
盲目
(
め
くら
)
奴
(
め
)
が、
343
モ
ヽヽ
百舌
(
も
ず
)
の
親方
(
おやかた
)
奴
(
め
)
が、
344
ヤ
ヽヽ
八ケ間
(
や
かま
)
しい、
345
や
やこしい、
346
イ
ヽヽ
嫌
(
い
や
)
な
事
(
こと
)
を
ユ
ヽヽ
云
(
ゆ
)
ひよつて、
347
エ
ヽヽ
得体
(
え
たい
)
の
知
(
し
)
れぬ、
348
ヨ
ヽヽ
黄泉
(
よ
もつ
)
神
(
かみ
)
奴
(
め
)
が、
349
ラ
ヽヽ
埒
(
ら
ち
)
もない、
350
リ
ヽヽ
理屈
(
り
くつ
)
を
捏
(
こ
)
ねよつて、
351
ル
ヽヽ
類
(
る
ゐ
)
を
以
(
もつ
)
て
曲津
(
まがつ
)
を
集
(
あつ
)
めよつて、
352
レ
ヽヽ
連発
(
れ
んぱつ
)
する、
353
ロ
ヽヽ
碌
(
ろ
く
)
でなしの
世迷言
(
よまひごと
)
、
354
ワ
ヽヽ
分
(
わ
か
)
りもせぬ、
355
イ
ヽヽ
い
やらしい、
356
イ
ケ
好
(
す
)
かない
事
(
こと
)
を、
357
ウ
ヽヽ
呻
(
う
な
)
り
立
(
た
)
て、
358
エ
ヽヽ
エ
ー、
359
モー
恐
(
お
そ
)
ろしい
処
(
どころ
)
か、
360
を
かしいワイ。
361
お
化
(
ばけ
)
の
大蛇
(
を
ろち
)
の
神憑
(
かむがかり
)
奴
(
め
)
が』
362
照彦
(
てるひこ
)
『
シ
ヽヽ』
363
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『また
シ
ーやつてけつかる。
364
縛
(
し
ば
)
つてやらうか、
365
虱
(
し
らみ
)
の
守護神
(
し
ゆごじん
)
奴
(
め
)
が』
366
照彦
(
てるひこ
)
『
シ
ヽヽ
思案
(
し
あん
)
して
見
(
み
)
よ、
367
虱
(
し
らみ
)
の
親方
(
おやかた
)
、
368
人
(
ひと
)
の
血
(
ち
)
を
吸
(
す
)
ふ
毛虫
(
けむし
)
の
駒山彦
(
こまやまひこ
)
、
369
執念
(
し
ふねん
)
深
(
ぶか
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
、
370
修羅
(
し
ゆら
)
の
巷
(
ちまた
)
に
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ひ、
371
後先
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずの
困
(
こま
)
つた
駒山彦
(
こまやまひこ
)
。
372
叱
(
し
か
)
られる
事
(
こと
)
が
苦
(
くる
)
しいか、
373
叱
(
し
か
)
る
神
(
かみ
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
苦
(
くる
)
しいぞ。
374
シ
カと
正念
(
しやうねん
)
を
据
(
す
)
ゑて
シ
ツカリ
聞
(
き
)
け。
375
敷島
(
し
きしま
)
の
大和
(
やまと
)
の
国
(
くに
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に、
376
シ
ヽヽ
如
(
し
)
くものはないぞ。
377
醜
(
し
こ
)
の
曲津
(
まがつ
)
に
誑
(
たぶ
)
らかされ、
378
汝
(
なんぢ
)
が
仕態
(
し
ざま
)
は
何事
(
なにごと
)
ぞ。
379
獅子
(
し
し
)
、
380
狼
(
おほかみ
)
の
様
(
やう
)
な
心
(
こころ
)
をもつて、
381
世界
(
せかい
)
の
人間
(
にんげん
)
が
助
(
たす
)
けられるか、
382
至粋
(
し
すゐ
)
至純
(
し
じゆん
)
の
水晶
(
すゐしやう
)
の
心
(
こころ
)
になれ。
383
下
(
し
も
)
の
者
(
もの
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
致
(
いた
)
せよ。
384
し
ち
難
(
むつ
)
かしい
説教
(
せつけう
)
を
致
(
いた
)
すな。
385
シ
ツカリと
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
をあて
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ。
386
一度
(
いちど
)
は
死
(
し
)
なねばならぬ
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
、
387
死
(
し
)
んでも
生
(
い
)
き
通
(
とほ
)
しの
霊魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
けよ。
388
屡々
(
し
ばしば
)
神
(
かみ
)
は
諭
(
さと
)
せども、
389
あまり
分
(
わか
)
らぬから
神
(
かみ
)
も
痺
(
し
びれ
)
をきらして
居
(
を
)
るぞよ。
390
し
ぶといと
言
(
い
)
うてもあんまりだ。
391
終
(
し
ま
)
ひには
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
さねばならぬぞよ。
392
シ
ミ
ジ
ミと
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ。
393
腹帯
(
はらおび
)
を
シ
ツカリ
締
(
し
)
めて
掛
(
かか
)
れよ。
394
霜
(
し
も
)
を
踏
(
ふ
)
み
雪
(
ゆき
)
を
分
(
わ
)
けて
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
、
395
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つた
顔
(
かほ
)
して、
396
白々
(
し
らじら
)
しい
嘘言
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
くな。
397
尻
(
し
り
)
から
剥
(
は
)
げるやうな
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
くな。
398
知
(
し
)
ると
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
神
(
かみ
)
より
外
(
ほか
)
にないぞよ。
399
天地
(
てんち
)
の
事
(
こと
)
は
如何
(
どん
)
な
事
(
こと
)
でも
説
(
と
)
き
明
(
あか
)
すとは、
400
何
(
なん
)
の
シ
レ
言
(
ごと
)
、
401
困
(
こま
)
つた
代物
(
し
ろもの
)
ぢや。
402
嗄
(
しわが
)
れ
声
(
ごゑ
)
を
振
(
ふ
)
り
立
(
た
)
てて
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
したとて、
403
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
は
感動
(
かんどう
)
致
(
いた
)
さぬぞよ。
404
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
けよ、
405
身魂
(
みたま
)
さへ
研
(
みが
)
けたなら、
406
円満
(
ゑんまん
)
清朗
(
せいろう
)
な
声音
(
せいおん
)
が
湧
(
わ
)
いて
来
(
く
)
るぞよ。
407
強
(
し
)
ひて
嫌
(
いや
)
なものに
勧
(
すす
)
めるな。
408
因縁
(
いんねん
)
なきものは
時節
(
じ
せつ
)
が
来
(
こ
)
ねば
耳
(
みみ
)
へ
入
(
はい
)
らぬ。
409
修身
(
し
うしん
)
斉家
(
せいか
)
、
410
治国
(
ちこく
)
平
(
へい
)
天下
(
てんか
)
の
大道
(
だいだう
)
だと
偉
(
えら
)
さうに
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
れど、
411
吾
(
わが
)
身
(
み
)
一
(
ひと
)
つが
治
(
をさ
)
まらぬ、
412
仕様
(
し
やう
)
もない
宣伝使
(
せんでんし
)
、
413
何
(
なに
)
が
苦
(
くる
)
しうて
シ
ホ
シ
ホと
憔悴
(
し
を
)
れて
居
(
ゐ
)
るか。
414
荒魂
(
あらみたま
)
の
勇
(
いさ
)
みを
振
(
ふ
)
り
起
(
おこ
)
して、
415
モツト
勇気
(
ゆうき
)
を
出
(
だ
)
さぬかい』
416
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
シ
ヽヽ
シ
ツカリ
致
(
いた
)
します。
417
奥山
(
おくやま
)
に
紅葉
(
もみぢ
)
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
け
鳴
(
な
)
く
鹿
(
し
か
)
の、
418
声
(
こゑ
)
聞
(
き
)
く
時
(
とき
)
は
哀
(
あは
)
れなりけり、
419
だ。
420
えらい
鹿
(
し
か
)
に
出会
(
でくわ
)
して
しか
られたものだい』
421
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
『ヤア、
422
拙者
(
せつしや
)
は
脚
(
あし
)
が
起
(
た
)
つた、
423
身体
(
し
んたい
)
が
自由
(
じいう
)
になつた、
424
大分
(
だいぶ
)
に
魂
(
みたま
)
が
研
(
みが
)
けたと
見
(
み
)
えるワイ。
425
いやもう
何
(
いづ
)
れの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが、
426
よくもまあ
結構
(
けつこう
)
な
教訓
(
けうくん
)
を
垂
(
た
)
れさせられました。
427
屹度
(
きつと
)
之
(
これ
)
から
心
(
こころ
)
を
入
(
い
)
れ
替
(
か
)
へて、
428
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
のある
処
(
ところ
)
を
謹
(
つつ
)
しんで
遵奉
(
じゆんぽう
)
致
(
いた
)
します』
429
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『ヤア
淤縢山
(
おどやま
)
さま、
430
脚
(
あし
)
が
起
(
た
)
ちましたか、
431
アヽそれは
結構
(
けつこう
)
だ。
432
吾々
(
われわれ
)
はまだビクとも
致
(
いた
)
しませぬ、
433
胴
(
どう
)
が
据
(
すわ
)
つたものですな』
434
淤縢山津見
『
貴方
(
あなた
)
は
最前
(
さいぜん
)
から
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
れば
一々
(
いちいち
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
口答
(
くちごた
)
へをなさる、
435
貴方
(
あなた
)
は
発根
(
ほつこん
)
からまだ
改心
(
かいしん
)
は
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ない。
436
改心
(
かいしん
)
さへ
出来
(
でき
)
たならば
吾々
(
われわれ
)
の
様
(
やう
)
に、
437
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
脚
(
あし
)
を
起
(
た
)
たして
下
(
くだ
)
さいませう。
438
何卒
(
どうぞ
)
早
(
はや
)
く
屁理屈
(
へりくつ
)
を
止
(
や
)
めて
改心
(
かいしん
)
して
下
(
くだ
)
さい』
439
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
カ
ヽヽ
改心
(
か
いしん
)
と
言
(
い
)
つたて、
440
照彦
(
てるひこ
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつこ
)
さまに
憑
(
か
か
)
つて
来
(
く
)
る
様
(
やう
)
な
守護神
(
しゆごじん
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が、
441
如何
(
どう
)
して
聞
(
き
)
かれるものか、
442
神霊
(
しんれい
)
は
正邪
(
せいじや
)
賢愚
(
けんぐ
)
に
応
(
おう
)
じて
憑依
(
ひようい
)
されるものだ。
443
大抵
(
たいてい
)
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
を
標準
(
へうじゆん
)
としたら、
444
神
(
か
み
)
の
高下
(
か
うげ
)
は
分
(
わか
)
るでせう』
445
照彦
(
てるひこ
)
『
ス
ヽヽ
直様
(
す
ぐさま
)
、
446
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は
脚
(
あし
)
が
起
(
た
)
つたを
きり
として、
447
カルの
国
(
くに
)
に
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
け。
448
道伴
(
みちづ
)
れは
決
(
けつ
)
してならぬ』
449
淤縢山津見
『
仰
(
あふ
)
せに
従
(
したが
)
ひ
改心
(
かいしん
)
の
上
(
うへ
)
、
450
直様
(
すぐさま
)
参
(
まゐ
)
ります。
451
今
(
いま
)
まではえらい
考
(
かんが
)
へ
違
(
ちが
)
ひを
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました』
452
照彦
(
てるひこ
)
『
一時
(
ひととき
)
も
早
(
はや
)
く、
453
片時
(
かたとき
)
も
速
(
すみやか
)
に
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
れ』
454
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『アヽ
淤縢山
(
おどやま
)
さま、
455
それはあまり
得手
(
えて
)
勝手
(
かつて
)
だ。
456
自分
(
じぶん
)
は
脚
(
あし
)
が
起
(
た
)
つてよからうが、
457
吾々
(
われわれ
)
の
様
(
やう
)
な
脚
(
あし
)
の
起
(
た
)
たぬ
者
(
もの
)
を
見捨
(
みす
)
てて
行
(
い
)
つても、
458
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
に
叶
(
かな
)
ひませうか。
459
朋友
(
ほういう
)
の
難儀
(
なんぎ
)
を
見捨
(
みす
)
てて
何処
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くのです。
460
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
は、
461
親切
(
しんせつ
)
が
一等
(
いつとう
)
だと
聞
(
き
)
きました。
462
それでは
道
(
みち
)
が
違
(
ちが
)
ひませう』
463
照彦
(
てるひこ
)
『
駒山彦
(
こ
まやまひこ
)
の
小理屈
(
こ
りくつ
)
は
聞
(
き
)
くに
及
(
およ
)
ばぬ、
464
早
(
はや
)
く
起
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
け。
465
駒山彦
(
こ
まやまひこ
)
の
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
るまで、
466
此方
(
こ
のはう
)
が
膏
(
あぶら
)
を
搾
(
しぼ
)
つてやらうかい』
467
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は
徐々
(
しづしづ
)
と
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
らむとする
時
(
とき
)
、
468
三五
(
さんご
)
の
明月
(
めいげつ
)
は
山頂
(
さんちやう
)
に
昇
(
のぼ
)
り、
469
細
(
ほそ
)
き
谷間
(
たにま
)
を
皎々
(
かうかう
)
と
照
(
てら
)
せり。
470
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は
此
(
この
)
月光
(
げつくわう
)
に
力
(
ちから
)
を
得
(
え
)
、
471
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
谷道
(
たにみち
)
を
伝
(
つた
)
ひて、
472
もと
来
(
き
)
し
道
(
みち
)
を
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
473
(
大正一一・二・一四
旧一・一八
森良仁
録)
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(B)
(N)
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【第15章 団子理屈|第9巻|霊主体従|霊界物語|/rm0915】
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