霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 団子(だんご)理屈(りくつ)〔四〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第3篇 天涯万里 よみ(新仮名遣い):てんがいばんり
章:第15章 団子理屈 よみ(新仮名遣い):だんごりくつ 通し章番号:408
口述日:1922(大正11)年02月14日(旧01月18日) 口述場所: 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
照彦に憑いた月照彦命は、谷底で淤縢山津見と駒山彦に説教を続けている。駒山彦はそれにいちいち口答えをしていたが、淤縢山津見はじっと聞いていた。
淤縢山津見は足が立つようになった。そして照彦に憑いた神に、教訓への感謝を捧げた。照彦の神は淤縢山津見に、カルの国に一人だけで進んで行くように、と命じた。
淤縢山津見が谷を立ち去ろうとするとき、ちょうど三五の明月が山頂に昇り、谷間を照らし出した。淤縢山津見は月光に力を得て、宣伝歌を歌いながら元来た道を帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-23 22:25:32 文字数:5938 OBC :rm0915
愛善世界社版:119頁 八幡書店版:第2輯 317頁 修補版: 校定版:125頁 普及版:47頁 初版: ページ備考:
001 三五(さんご)の月(つき)は昇(のぼ)れども、002山(やま)と山(やま)との谷間(たにあひ)は、003黒白(あやめ)も分(わ)かぬ真(しん)の暗(やみ)、004空(そら)せまく地(つち)狭(せま)き谷底(たにぞこ)に、005三(さん)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は端坐(たんざ)し、006首(くび)ばかり動(うご)かし居(ゐ)る折柄(をりから)、007何処(どこ)ともなく虎(とら)狼(おほかみ)の唸(うな)るやうな声(こゑ)、008木霊(こだま)を響(ひび)かせ聞(きこ)え来(きた)る。
009声『ウーオー』
010駒山彦(こまやまひこ)『イヤー虎(とら)か狼(おほかみ)か、011どえらい声(こゑ)が聞(きこ)えて来(き)た。012淤縢山津見(おどやまづみ)さま、013神言(かみごと)でも上(あ)げませうか』
014淤縢山津見(おどやまづみ)『ヤー、015仕方(しかた)がない、016神言(かみごと)を奏上(そうじやう)しませう』
017照彦(てるひこ)『カヽヽ神(かみ)を松魚節(かつをぶし)に致(いた)す宣伝使(せんでんし)、018かなはぬ時(とき)の神頼(かみだの)み、019「神言(かみごと)でも」とは何(なん)だ。020それでも宣伝使(せんでんし)か、021でも宣伝使(せんでんし)。022稜威(みいづ)輝(かがや)くてるの国(くに)、023珍(うづ)はてるてるはる山(やま)曇(くも)る、024オツトドツコイ淤縢山(おどやま)くもる、025駒山彦(こまやまひこ)は雨(あめ)降(ふ)らす、026雨(あめ)は雨(あめ)だが涙(なみだ)の雨(あめ)だ。027かなしさうな其(その)面(つら)つき、028仮令(たとへ)からだは八(や)つ裂(ざき)になつても、029神(かみ)のためなら、030チツトもかまはないと言(い)ふ覚悟(かくご)がなくて、031誠(まこと)の道(みち)が開(ひら)けるか、032カラ魂(だま)のさかしら魂(だま)、033神(かみ)の心(こころ)も推量(すゐりやう)して呉(く)れても宜(よ)からう。034少(すこ)しの艱難(かんなん)辛苦(しんく)に遭(あ)うても、035尻(しり)を捲(まく)つて雲(くも)をかすみと逃(に)げ行(ゆ)く宣伝使(せんでんし)、036からすのやうな黒(くろ)い魂(たま)で誠(まこと)の神(かみ)をかついで、037勝手(かつて)なねつを吹(ふ)き歩(ある)くがとう虫(むし)奴(め)が。038かてて加(くは)へて蟹(かに)が行(ゆ)く横(よこ)さの道(みち)を歩(あゆ)みながら、039吾程(われほど)誠(まこと)の者(もの)はない、040誠(まこと)一(ひと)つが世(よ)の宝(たから)、041誠(まこと)をつくせ、042真心(まごころ)になれと、043かたる計(ばか)りの宣伝使(せんでんし)。
044からすのやうに喧(かし)ましい蚊々虎(かがとら)さまの素性(すじやう)も知(し)らず、045軽(かる)い男(をとこ)と侮(あなど)つて、046汗(あせ)かき、047耻(はぢ)かき、048頭(かしら)かき、049かばちの高(たか)い、050カラ威張(ゐば)りの上手(じやうづ)な神(かみ)の使(つか)ひ、051カラと日本(にほん)の戦(いくさ)があるとは、052汝(なんぢ)らが御魂(みたま)の立替(たてか)へ立直(たてなほ)し、053今(いま)までのカラ魂(だま)を、054オツ放(ぽ)り出(だ)して、055水晶(すゐしやう)の生粋(きつすゐ)の日本(やまと)魂(だましひ)に立替(たてか)へいと申(まを)すことだ。056喧(かしま)しいばかりが宣伝使(せんでんし)でないぞ。057改心(かいしん)いたせばよし、058どこまでも分(わか)らねば、059神(かみ)はモウ一限(ひとき)りに致(いた)すぞよ。060何程(なにほど)気(き)の長(なが)い神(かみ)でも、061愛想(あいさう)が尽(つ)きて、062欠伸(あくび)が出(で)るぞよ』
063駒山彦(こまやまひこ)『カヽヽ叶(かな)はぬ叶(かな)はぬ、064勘忍(かんにん)して下(くだ)さいな。065是(これ)から改心(かいしん)致(いた)しますから、066モウ吾々(われわれ)の事(こと)に構(かま)ひ立(だ)てはして下(くだ)さるなよ。067かいて走(はし)るやうな掴(つか)まへ処(どこ)のない意見(いけん)を聞(き)かされて、068アヽ好(い)い面(つら)の皮(かは)だ』
069照彦(てるひこ)『キヽヽ貴様(きさま)は余程(よほど)しぶとい奴(やつ)、070此(この)方(はう)の申(まを)すことが気(き)に入(い)らぬか。071奇怪(きつくわい)千万(せんばん)な駄法螺(だぼら)を吹(ふ)き廻(まは)つて、072良(い)い気(き)になつて気楽(きらく)さうに、073宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひ、074気(き)まぐれ半分(はんぶん)に、075天下(てんか)を廻(まは)る狼狽者(うろたへもの)、076気抜(きぬ)け面(づら)して、077気(き)が利(き)かぬも程(ほど)がある。078鬼門(きもん)の金神(こんじん)現(あら)はれて善(ぜん)と悪(あく)とを立別(たてわけ)る。079鬼畜(きちく)のやうな、080気違(きちが)ひ魂(だま)の宣伝使(せんでんし)は、081世(よ)の切(き)り替(かへ)にキツパリと取払(とりはら)ひ、082根(ねつ)から葉(はつ)から切(き)つて了(しま)ふぞよ。083貴様(きさま)の気(き)に入(い)らぬは尤(もつと)もだ。084ひどい気強(きづよ)い鬼神(きじん)のやうな言葉(ことば)と思(おも)ふであらうが、085よく気(き)を付(つ)けて味(あぢ)はうて見(み)よ。086きくらげのやうな耳(みみ)では神(かみ)の誠(まこと)の言葉(ことば)は聞(き)き取(と)れまい。087気(き)が気(き)でならぬ神(かみ)の胸(むね)、088いつまでも諾(き)かねば諾(き)くやうに致(いた)して諾(き)かして見(み)せうぞよ。089汚(きた)ない心(こころ)をさつぱり放(ほ)かして、090誠(まこと)の神心(かみごころ)になり、091万事(ばんじ)に対(たい)して機転(きてん)を利(き)かし、092心配(こころくば)り、093気配(きくば)りの出来(でき)ぬやうな事(こと)では、094気(き)の利(き)いた御用(ごよう)は到底(たうてい)勤(つと)まらぬぞよ。095きなきな思(おも)はず気(き)に入(い)らいでも、096歯(は)に衣(きぬ)を着(き)せぬ神(かみ)の言葉(ことば)、097是(これ)から気張(きば)つて気分(きぶん)を改(あらた)め、098気不性(きぶしやう)な心(こころ)を立直(たてなほ)し、099気随(きずゐ)気儘(きまま)をさらりと放(ほ)かし、100神(かみ)と君(きみ)とに誠(まこと)を尽(つく)し、101気六(きむ)ツかしさうな面(おもて)をやはらげ、102心(こころ)を決(き)めて荒胆(あらぎも)を練(ね)り、103キヤキヤ思(おも)はずキユウキユウ苦(くる)しまず、104心(こころ)を清(きよ)め身(み)を浄(きよ)め、105誠(まこと)の神(かみ)に従(したが)へば気楽(きらく)に道(みち)が拡(ひろ)まるぞよ。106キチリキチリと箱(はこ)さした様(やう)に行(ゆ)くぞよ。107神(かみ)を笠(かさ)に着(き)るなよ。108抜刀(ぬきみ)や刃物(きれもの)の中(なか)に立(た)つて居(ゐ)る様(やう)な心持(こころもち)になつて、109油断(ゆだん)を致(いた)すな。110窮(きは)まりもなき神(かみ)の恩(おん)、111万(よろづ)の罪咎(つみとが)も神(かみ)の光(ひか)りに消(き)え失(う)せて、112身魂(みたま)は穏(おだや)かに改(あらた)まり、113さうした上(うへ)で始(はじ)めて三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)だ。114どうだ、115分(わか)つたか』
116駒山彦(こまやまひこ)『キヽヽ気(き)が付(つ)きました。117気張(きば)つて気張(きば)つて是(これ)から早(はや)く改心(かいしん)を致(いた)します。118此(この)気味(きみ)の悪(わる)い谷底(たにぞこ)で、119奇妙(きめう)奇天烈(きてれつ)な目(め)に逢(あ)うて気(き)を揉(も)まされて、120何(なん)たるマア気(き)の利(き)かぬ事(こと)だらう。121神(かみ)の気勘(きかん)に叶(かな)うた積(つもり)で、122気張(きば)つて気張(きば)つて心配(こころくば)り気配(きくば)りして、123此処(ここ)まで勤(つと)めて来(き)たのに、124思(おも)ひがけなき気遣(きづか)ひをさされた。125サア、126もうキリキリと決(きま)りをつけて、127来(き)た道(みち)へ帰(かへ)らうかい。128淤縢山津見(おどやまづみ)さまも何(なん)だ、129一体(いつたい)気(き)の小(ちひ)さい、130おどおどとして顫(ふる)うて居(ゐ)るぢやないか。131ナント膽玉(きもだま)の弱(よわ)い男(をとこ)だな。132こんな所(ところ)に長居(ながゐ)をすると、133猿(さる)の小便(せうべん)ぢやないが、134先(さき)のことが気(き)にかかるワ』
135淤縢山津見(おどやまづみ)『きまりの悪(わる)い、136不気味(ぶきみ)な態(ざま)でキツウ膏(あぶら)を搾(しぼ)られました。137際(きは)どいとこまで素破(すつぱ)抜(ぬ)かれて、138アー俺(おれ)も気(き)が気(き)ぢやないワ。139ドウデ吾々(われわれ)は神(かみ)様(さま)の気(き)に入(い)るやうな宣伝(せんでん)はできては居(を)らぬからなア』
140照彦(てるひこ)『クヽヽ苦労(くらう)なしの、141心(こころ)の暗(くら)い暗雲(やみくも)の宣伝使(せんでんし)』
142駒山彦(こまやまひこ)『モシモシ、143クヽ暗(くら)がりにそんな下(くだ)らぬ事(こと)を、144モヽモウ是(これ)位(ぐらゐ)で止(や)めて下(くだ)さい』
145照彦(てるひこ)『苦(くる)しいか、146苦面(くめん)が悪(わる)いか、147臭(くさ)い物(もの)に蓋(ふた)をしたやうに隠(かく)し立(だ)てしても、148何程(なにほど)クスネようと思(おも)うても、149四十八(しじふはち)癖(くせ)のあらむ限(かぎ)りは改(あらた)めてやるぞ。150下(くだ)らぬ理屈(りくつ)を口(くち)から出放題(ではうだい)、151グヅグヅグデグデとクドイ理屈(りくつ)を捏並(こねなら)べ、152一(ひと)つ違(ちが)へばクナクナ腰(ごし)になつて、153一寸(ちよつと)した事(こと)でも苦(く)にするなり、154委(くは)しき事(こと)も知(し)らずに、155喰(く)ひ違(ちが)つた御託(ごたく)を並(なら)べ立(た)て、156九分(くぶ)九厘(くりん)で覆(かへ)るの覆(かへ)らぬの、157一厘(いちりん)の仕組(しぐみ)をくまなく悟(さと)つたの、158汲(く)み取(と)つたのと、159そりや何(なん)の囈語(たわごと)、160汲(く)めども尽(つ)きぬ神(かみ)の教(をしへ)、161大空(たいくう)の雲(くも)を掴(つか)むやうな掴(つか)まへ所(どころ)のない、162駄法螺(だぼら)を吹(ふ)いたその酬(むく)い、163悔(くや)し残念(ざんねん)をコバリコバリ、164今(いま)までの取違(とりちが)ひを悔(く)ひ改(あらた)め、165クヨクヨ思(おも)はずに神(かみ)の光(ひかり)を顕(あら)はし、166闇黒(くらがり)の世(よ)を照(てら)し、167また来(く)る春(はる)の梅(うめ)の花(はな)、168開(ひら)く時(とき)を呉々(くれぐれ)も待(ま)つがよいぞよ。169クレンと返(かへ)る神(かみ)の仕組(しぐみ)、170苦労(くらう)の花(はな)の開(ひら)く神(かみ)の道(みち)、171委(くは)しいことが知(し)りたくば、172悔(く)い改(あらた)めて神心(かみごころ)になれ。173噛(か)んでくくめるやうに知(し)らして置(お)くぞよ』
174駒山彦(こまやまひこ)『クヽヽクドクドしいお説教(せつけう)、175モヽ分(わか)りました分(わか)りました、176結構(けつこう)で御座(ござ)います。177決(けつ)して決(けつ)してモウ此(この)上(うへ)は取違(とりちが)ひは致(いた)しませぬ。178何卒(どうぞ)これで止(や)めて下(くだ)さいませ、179さうして吾々(われわれ)三(さん)人(にん)の身体(からだ)を自由(じいう)になるやうにして下(くだ)さい』
180照彦(てるひこ)『ケヽヽ結構(けつこう)々々(けつこう)とは何(なに)が結構(けつこう)だ。181毛筋(けすぢ)の横巾(よこはば)も違(ちが)はぬ神(かみ)の教(をしへ)だ。182決心(けつしん)が第一(だいいち)だ。183道(みち)を汚(けが)してはならぬから、184神(かみ)が気(け)もない中(うち)から気(き)を付(つ)けるのだ。185怪体(けつたい)な心(こころ)を取直(とりなほ)し、186ケチケチ致(いた)さず、187神心(かみごころ)になつて居(を)らぬと、188獣(けだもの)の身魂(みたま)に欺(だま)されて、189尻(けつ)の毛(け)まで一本(いつぽん)もないやうにしられるぞよ。190嶮(けは)しき山(やま)を上(のぼ)り下(くだ)りしながら、191毛(け)を吹(ふ)いて疵(きず)を求(もと)めるやうな其(その)行(や)り方(かた)、192従者(けらい)を連(つ)れたり、193女(をんな)を伴(つ)れたり、194そんな事(こと)で神(かみ)の教(をしへ)が拡(ひろ)まるか、195毛虫(けむし)よりも劣(おと)つた宣伝使(せんでんし)』
196駒山彦(こまやまひこ)『ケヽヽ怪体(けつたい)なことを言(い)ふ神(かみ)だな。197淤縢山(おどやま)さま、198如何(どう)しよう。199耳(みみ)が痛(いた)くつて、200面白(おもしろ)くもない、201コンナ目(め)に遇(あ)はされやうと思(おも)うたら、202宣伝(せんでん)に廻(まは)つて来(く)るぢやなかつたに、203アヽ何(なん)と宣伝使(せんでんし)は辛(つら)いものぢやなア。204毛色(けいろ)の変(かは)つた照彦(てるひこ)のやうな男(をとこ)が来(く)るものだから、205コンな怪体(けつたい)な谷底(たにぞこ)で、206眉毛(まゆげ)を読(よま)れ、207鼻毛(はなげ)を抜(ぬ)かれ、208尻(けつ)の毛(け)まで抜(ぬ)かれるやうな、209怪(け)しからぬ目(め)に遇(あ)うて、210谷底(たにぞこ)へ蹴落(けおと)されて、211けがしたよりも余程(よほど)つまらぬ目(め)に遇(あ)ふのか。212お前(まへ)さまは頭(あたま)が坊主(ばうず)だから、213けがなくてよからうが、214駒山彦(こまやまひこ)は二進(につち)も三進(さつち)もならぬ目(め)に遇(あ)うて、215困(こま)り切(き)つてゐるワイ』
216照彦(てるひこ)『コヽヽ駒山彦(こまやまひこ)、217何(なに)を言(い)ふか、218乞食(こじき)芝居(しばゐ)のやうに、219男女(だんぢよ)七(しち)人(にん)連(づれ)にてゴテゴテと、220此処(ここ)彼処(かしこ)ゴロツキ廻(まは)る宣伝使(せんでんし)、221神(かみ)は勘忍袋(かんにんぶくろ)が破(やぶ)れるぞよ。222此世(このよ)の鬼(おに)を往生(わうじやう)さして、223神(かみ)、224仏事(ぶつじ)、225人民(じんみん)を悦(よろこ)ばす神(かみ)の心(こころ)、226耐(こら)へ忍(しの)びのない心(こころ)の定(き)まらぬ、227破(やぶ)れ宣伝使(せんでんし)が何(なに)になるか。228梢(こずゑ)に来(き)て鳴(な)く鶯(うぐひす)でも、229春夏(はるなつ)秋冬(あきふゆ)はよく知(し)つて居(ゐ)るに、230応(こた)へたか、231此方(このはう)の云(い)ふ事(こと)が分(わか)つたか。232コツコツと角張(かくば)つたもの言(い)ひをしたり、233ゴテゴテと小理屈(こりくつ)を捏(こ)ねたり、234事(こと)に触(ふ)れ物(もの)に接(せつ)し、235下(くだ)らぬ理屈(りくつ)を捏(こ)ね廻(まは)し、236人(ひと)の好(この)まぬ事(こと)を無理(むり)に勧(すす)め、237怖(こは)がられて強(つよ)い物(もの)には媚(こ)び諂(へつら)ひ、238後先(あとさき)真暗(まつくら)の神(かみ)を困(こま)らす駒山彦(こまやまひこ)の宣伝使(せんでんし)、239米(こめ)喰(く)ふ虫(むし)の製糞器(せいふんき)、240菰(こも)を被(かぶ)つた乞食(こじき)のやうに、241一寸(ちよつと)の苦労(くらう)に弱音(よわね)を吹(ふ)き、242泣(な)き声(ごゑ)をしぼり、243モウこいつあ叶(かな)はぬ、244宣伝(せんでん)はコリコリだと弱気(よわぎ)を出(だ)したり、245怖(こは)い顔(かほ)して威張(ゐば)つて歩(ある)く狼狽者(うろたへもの)の得手(えて)勝手(かつて)なねつを吹(ふ)くお取次(とりつ)ぎとは、246おどましいぞよ。247鬼(おに)も大蛇(をろち)も狼(おほかみ)も恐(おそ)れて、248尾(を)を振(ふ)つて跣足(はだし)で逃(に)げる、249イヤ逃(に)げぬ、250心(こころ)の小(こま)こい腰(こし)の弱(よわ)い困(こま)り者(もの)の駒山彦(こまやまひこ)の宣伝使(せんでんし)』
251駒山彦(こまやまひこ)『サヽヽ囀(さへづ)るない、252サツパリ分(わか)らぬ事(こと)を喋(しやべ)り散(ち)らしよつて、253態(ざま)が悪(わる)いワイ。254逆捻(さかねぢ)に俺(おれ)の方(はう)からちつと囀(さへづ)つてやらうか、255余(あま)り喋(しやべ)ると逆(さか)トンボリを打(う)たねばならぬぞよ。256先(さき)にある事(こと)を世界(せかい)に知(し)らす、257三五教(あななひけう)の悟(さと)りのよい流石(さすが)は宣伝使(せんでんし)だ』
258照彦(てるひこ)『サヽヽ騒(さわ)がしいワイ』
259駒山彦(こまやまひこ)『アヽヽ五月蝿(うるさ)いなア、260サツパリ油(あぶら)を搾(しぼ)つて了(しま)ひよつた。261さてもさても残念(ざんねん)なことぢや』
262照彦(てるひこ)『サアサアサア是(これ)からだ。263賽(さい)の河原(かはら)で石(いし)を積(つ)む、264積(つ)んでは崩(くづ)す積(つ)んでは崩(くづ)す気(き)の毒(どく)な尻(しり)の結(むす)べぬ宣伝使(せんでんし)。265月(つき)は御空(みそら)に冴(さ)え渡(わた)れども、266心(こころ)は暗(くら)き谷(たに)の底(そこ)、267足許(あしもと)は真暗(まつくら)がりで谷底(たにぞこ)へ逆(さか)トンボリを打(う)たねばならぬぞよ。268神(かみ)の申(まを)すことを逆様(さかさま)に取(と)るとはソリヤ何(なん)の事(こと)、269先(さき)へ先(さき)へと知(し)らす神(かみ)の教(をしへ)、270先(さき)の知(し)れぬ宣伝使(せんでんし)が、271神(かみ)を審神(さには)するといふ探女(さぐめ)のやうな、272御魂(みたま)の暗(くら)い奴(やつ)、273酒(さけ)と女(をんな)に魂(たましひ)を腐(くさ)らし、274やうやう改心(かいしん)致(いた)して俄(にはか)宣伝使(せんでんし)になつたとて、275サヽそれが何(なに)豪(えら)い。276差添(さしぞへ)の種(たね)ぢやと威張(ゐば)つて居(を)るが、277何(なに)も彼(か)も差出(さしで)の神(かみ)か、278イヤ狸(たぬき)だ。279流石(さすが)の其方(そなた)も神(かみ)の申(まを)す今(いま)の言葉(ことば)、280指(ゆび)一本(いつぽん)指(さ)す事(こと)は出来(でき)まい。281早速(さつそく)開(あ)いた口(くち)は閉(すぼ)まろまいぞよ、282沙汰(さた)の限(かぎ)りぢや。283サタン悪魔(あくま)の虜(とりこ)となつても、284サツチもない事(こと)を触(ふ)れ歩(ある)き、285偖(さて)も偖(さて)も悟(さと)りの悪(わる)い二人(ふたり)の宣伝使(せんでんし)、286蚕(かひこ)のサナギのやうに、287一寸(ちよつと)の事(こと)にもプリンプリン尾(を)を振(ふ)り頭(あたま)を振(ふ)り、288盲目(めくら)滅法(めつぱふ)の審神(さには)を致(いた)し、289本(ほん)守護神(しゆごじん)だ、290正(せい)副(ふく)守護神(しゆごじん)だと騒(さわ)ぎ廻(まは)り、291日本(やまと)御魂(みたま)の両刃(もろは)の剣(つるぎ)はサツパリ錆刀(さびがたな)。292探(さぐ)り審神者(さには)の向(むか)ふ見(み)ず、293様々(さまざま)の曲津(まがつ)に欺(あざむ)かれ、294えらい目(め)にあはされながら、295まだ目(め)が醒(さ)めぬか。296之(これ)でも未(ま)だ未(ま)だ我(が)を張(は)るか。297偖(さて)もさもしい心(こころ)だのう。298塞(さや)ります黄泉彦(よもつひこの)神(かみ)の曲(まが)の使(つかひ)を信(しん)じ、299よくもよくも呆(はう)けたものだ。300今(いま)からさらりと我(が)を折(を)りて、301慢心心(まんしんごころ)を洗(あら)ひ去(さ)り、302各自(めいめい)に吾(わが)身(み)を省(かへり)みて、303猿(さる)の尻(しり)笑(わら)ひを致(いた)すでないぞ。304耻(はぢ)を曝(さら)されて頭(あたま)を掻(か)くより、305褌(まはし)でもしつかりとかけ。306騒(さわ)ぐな、307囀(さへづ)るな、308冴(さ)えた心(こころ)の望(もち)の月(つき)、309サアサア淤縢山津見(おどやまづみ)、310駒山彦(こまやまひこ)、311神(かみ)の申(まを)す事(こと)がチツトは腹(はら)に入(はい)つたか』
312駒山彦(こまやまひこ)『シヽヽヽしぶいワイ。313うかうか聞(き)いてをれば面白(おもしろ)くもない、314こんな谷底(たにぞこ)でアイウエオ、315カキクケコの言霊(ことたま)の練習(れんしふ)をしよつて、316余(あま)り馬鹿(ばか)にするない。317言霊(ことたま)なら俺(おれ)も天下(てんか)の宣伝使(せんでんし)ぢや、318負(ま)けはせぬぞ。319言(い)ふ事(こと)はどんな立派(りつぱ)な事(こと)を言(い)つても、320行(おこな)ひは照彦(てるひこ)ぢやで、321さう註文(ちうもん)通(どほ)りには行(ゆ)くものぢやない。322スカ屁(べ)を放(ひ)つた様(やう)な事(こと)を吐(ぬか)しよつて、323せんぐりせんぐりと、324ソヽヽそろそろと棚(たな)おろしをしやがつて、325チヽちつとも応(こた)へぬのぢや。326ツヽ詰(つま)らぬ事(こと)を、327テヽヽ手柄(てがら)さうに、328トヽヽ呆(とぼ)けやがつて、329ナヽヽ何(なに)を吐(ぬか)しやがるのだ。330ニヽヽ憎(にく)つたらしい、331ヌヽヽ抜(ぬ)けたやうな声(こゑ)で、332ネヽヽ根(ね)も葉(は)もないやうな事(こと)を、333ノヽヽ述(の)べ立(た)て、334ハヽヽ腹(はら)が承知(しようち)せぬワイ。335ヒヽヽ昼(ひる)ならよいがコンナ暗(やみ)の夜(よ)に、336フヽヽ悪戯(ふざけ)た事(こと)を、337ヘヽヽ屁(へ)のやうに、338ホヽヽ吐(ほざ)きよつて、339マヽヽ曲津(まがつ)神(かみ)奴(め)が、340ミヽヽみみず奴(め)が、341ムヽヽ虫(むし)ケラ奴(め)が、342メヽヽ盲目(めくら)奴(め)が、343モヽヽ百舌(もず)の親方(おやかた)奴(め)が、344ヤヽヽ八ケ間(やかま)しい、345ややこしい、346イヽヽ嫌(いや)な事(こと)をユヽヽ云(ゆ)ひよつて、347エヽヽ得体(えたい)の知(し)れぬ、348ヨヽヽ黄泉(よもつ)神(かみ)奴(め)が、349ラヽヽ埒(らち)もない、350リヽヽ理屈(りくつ)を捏(こ)ねよつて、351ルヽヽ類(るゐ)を以(もつ)て曲津(まがつ)を集(あつ)めよつて、352レヽヽ連発(れんぱつ)する、353ロヽヽ碌(ろく)でなしの世迷言(よまひごと)、354ワヽヽ分(わか)りもせぬ、355イヽヽいやらしい、356イケ好(す)かない事(こと)を、357ウヽヽ呻(うな)り立(た)て、358エヽヽエー、359モー恐(おそ)ろしい処(どころ)か、360をかしいワイ。361お化(ばけ)の大蛇(をろち)の神憑(かむがかり)奴(め)が』
362照彦(てるひこ)『シヽヽ』
363駒山彦(こまやまひこ)『またシーやつてけつかる。364縛(しば)つてやらうか、365虱(しらみ)の守護神(しゆごじん)奴(め)が』
366照彦(てるひこ)『シヽヽ思案(しあん)して見(み)よ、367虱(しらみ)の親方(おやかた)、368人(ひと)の血(ち)を吸(す)ふ毛虫(けむし)の駒山彦(こまやまひこ)、369執念(しふねん)深(ぶか)い宣伝使(せんでんし)、370修羅(しゆら)の巷(ちまた)に踏(ふ)み迷(まよ)ひ、371後先(あとさき)見(み)ずの困(こま)つた駒山彦(こまやまひこ)。372叱(しか)られる事(こと)が苦(くる)しいか、373叱(しか)る神(かみ)も随分(ずゐぶん)苦(くる)しいぞ。374シカと正念(しやうねん)を据(す)ゑてシツカリ聞(き)け。375敷島(しきしま)の大和(やまと)の国(くに)の神(かみ)の教(をしへ)に、376シヽヽ如(し)くものはないぞ。377醜(しこ)の曲津(まがつ)に誑(たぶ)らかされ、378汝(なんぢ)が仕態(しざま)は何事(なにごと)ぞ。379獅子(しし)、380狼(おほかみ)の様(やう)な心(こころ)をもつて、381世界(せかい)の人間(にんげん)が助(たす)けられるか、382至粋(しすゐ)至純(しじゆん)の水晶(すゐしやう)の心(こころ)になれ。383下(しも)の者(もの)を大切(たいせつ)に致(いた)せよ。384しち難(むつ)かしい説教(せつけう)を致(いた)すな。385シツカリと胸(むね)に手(て)をあて考(かんが)へて見(み)よ。386一度(いちど)は死(し)なねばならぬ人(ひと)の身(み)、387死(し)んでも生(い)き通(とほ)しの霊魂(みたま)を研(みが)けよ。388屡々(しばしば)神(かみ)は諭(さと)せども、389あまり分(わか)らぬから神(かみ)も痺(しびれ)をきらして居(を)るぞよ。390しぶといと言(い)うてもあんまりだ。391終(しま)ひには往生(わうじやう)致(いた)さねばならぬぞよ。392シミジミと神(かみ)の教(をしへ)を考(かんが)へて見(み)よ。393腹帯(はらおび)をシツカリ締(し)めて掛(かか)れよ。394霜(しも)を踏(ふ)み雪(ゆき)を分(わ)けて世人(よびと)を救(すく)ふ宣伝使(せんでんし)、395知(し)らぬ事(こと)を知(し)つた顔(かほ)して、396白々(しらじら)しい嘘言(うそ)を吐(つ)くな。397尻(しり)から剥(は)げるやうな法螺(ほら)を吹(ふ)くな。398知(し)ると言(い)ふ事(こと)は神(かみ)より外(ほか)にないぞよ。399天地(てんち)の事(こと)は如何(どん)な事(こと)でも説(と)き明(あか)すとは、400何(なん)のシレ言(ごと)、401困(こま)つた代物(しろもの)ぢや。402嗄(しわが)れ声(ごゑ)を振(ふ)り立(た)てて神言(かみごと)を奏上(そうじやう)したとて、403天地(てんち)の神(かみ)は感動(かんどう)致(いた)さぬぞよ。404身魂(みたま)を研(みが)けよ、405身魂(みたま)さへ研(みが)けたなら、406円満(ゑんまん)清朗(せいろう)な声音(せいおん)が湧(わ)いて来(く)るぞよ。407強(し)ひて嫌(いや)なものに勧(すす)めるな。408因縁(いんねん)なきものは時節(じせつ)が来(こ)ねば耳(みみ)へ入(はい)らぬ。409修身(しうしん)斉家(せいか)、410治国(ちこく)平(へい)天下(てんか)の大道(だいだう)だと偉(えら)さうに申(まを)して居(を)れど、411吾(わが)身(み)一(ひと)つが治(をさ)まらぬ、412仕様(しやう)もない宣伝使(せんでんし)、413何(なに)が苦(くる)しうてシホシホと憔悴(しを)れて居(ゐ)るか。414荒魂(あらみたま)の勇(いさ)みを振(ふ)り起(おこ)して、415モツト勇気(ゆうき)を出(だ)さぬかい』
416駒山彦(こまやまひこ)『シヽヽシツカリ致(いた)します。417奥山(おくやま)に紅葉(もみぢ)踏(ふ)み分(わ)け鳴(な)く鹿(しか)の、418声(こゑ)聞(き)く時(とき)は哀(あは)れなりけり、419だ。420えらい鹿(しか)に出会(でくわ)してしかられたものだい』
421淤縢山津見(おどやまづみ)『ヤア、422拙者(せつしや)は脚(あし)が起(た)つた、423身体(しんたい)が自由(じいう)になつた、424大分(だいぶ)に魂(みたま)が研(みが)けたと見(み)えるワイ。425いやもう何(いづ)れの神(かみ)様(さま)か存(ぞん)じませぬが、426よくもまあ結構(けつこう)な教訓(けうくん)を垂(た)れさせられました。427屹度(きつと)之(これ)から心(こころ)を入(い)れ替(か)へて、428御(ご)神慮(しんりよ)のある処(ところ)を謹(つつ)しんで遵奉(じゆんぽう)致(いた)します』
429駒山彦(こまやまひこ)『ヤア淤縢山(おどやま)さま、430脚(あし)が起(た)ちましたか、431アヽそれは結構(けつこう)だ。432吾々(われわれ)はまだビクとも致(いた)しませぬ、433胴(どう)が据(すわ)つたものですな』
434淤縢山津見『貴方(あなた)は最前(さいぜん)から聞(き)いて居(を)れば一々(いちいち)神(かみ)様(さま)に口答(くちごた)へをなさる、435貴方(あなた)は発根(ほつこん)からまだ改心(かいしん)は出来(でき)て居(ゐ)ない。436改心(かいしん)さへ出来(でき)たならば吾々(われわれ)の様(やう)に、437神(かみ)様(さま)は脚(あし)を起(た)たして下(くだ)さいませう。438何卒(どうぞ)早(はや)く屁理屈(へりくつ)を止(や)めて改心(かいしん)して下(くだ)さい』
439駒山彦(こまやまひこ)『カヽヽ改心(かいしん)と言(い)つたて、440照彦(てるひこ)の様(やう)な奴(やつこ)さまに憑(かか)つて来(く)る様(やう)な守護神(しゆごじん)の言(い)ふ事(こと)が、441如何(どう)して聞(き)かれるものか、442神霊(しんれい)は正邪(せいじや)賢愚(けんぐ)に応(おう)じて憑依(ひようい)されるものだ。443大抵(たいてい)此(この)肉体(にくたい)を標準(へうじゆん)としたら、444神(かみ)の高下(かうげ)は分(わか)るでせう』
445照彦(てるひこ)『スヽヽ直様(すぐさま)、446淤縢山津見(おどやまづみ)は脚(あし)が起(た)つたをきりとして、447カルの国(くに)に進(すす)んで行(ゆ)け。448道伴(みちづ)れは決(けつ)してならぬ』
449淤縢山津見『仰(あふ)せに従(したが)ひ改心(かいしん)の上(うへ)、450直様(すぐさま)参(まゐ)ります。451今(いま)まではえらい考(かんが)へ違(ちが)ひを致(いた)して居(を)りました』
452照彦(てるひこ)『一時(ひととき)も早(はや)く、453片時(かたとき)も速(すみやか)に此(この)場(ば)を立去(たちさ)れ』
454駒山彦(こまやまひこ)『アヽ淤縢山(おどやま)さま、455それはあまり得手(えて)勝手(かつて)だ。456自分(じぶん)は脚(あし)が起(た)つてよからうが、457吾々(われわれ)の様(やう)な脚(あし)の起(た)たぬ者(もの)を見捨(みす)てて行(い)つても、458神(かみ)の道(みち)に叶(かな)ひませうか。459朋友(ほういう)の難儀(なんぎ)を見捨(みす)てて何処(どこ)へ行(ゆ)くのです。460神(かみ)の道(みち)は、461親切(しんせつ)が一等(いつとう)だと聞(き)きました。462それでは道(みち)が違(ちが)ひませう』
463照彦(てるひこ)『駒山彦(こまやまひこ)の小理屈(こりくつ)は聞(き)くに及(およ)ばぬ、464早(はや)く起(た)つて行(ゆ)け。465駒山彦(こまやまひこ)の改心(かいしん)が出来(でき)るまで、466此方(このはう)が膏(あぶら)を搾(しぼ)つてやらうかい』
467 淤縢山津見(おどやまづみ)は徐々(しづしづ)と此(この)場(ば)を立(た)ち去(さ)らむとする時(とき)、468三五(さんご)の明月(めいげつ)は山頂(さんちやう)に昇(のぼ)り、469細(ほそ)き谷間(たにま)を皎々(かうかう)と照(てら)せり。470淤縢山津見(おどやまづみ)は此(この)月光(げつくわう)に力(ちから)を得(え)、471宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひながら谷道(たにみち)を伝(つた)ひて、472もと来(き)し道(みち)を下(くだ)り行(ゆ)く。
473(大正一一・二・一四 旧一・一八 森良仁録)
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