霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サブスク完了しました。どうもありがとうございます。サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい

第一五章 団子(だんご)理屈(りくつ)〔四〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第3篇 天涯万里 よみ(新仮名遣い):てんがいばんり
章:第15章 団子理屈 よみ(新仮名遣い):だんごりくつ 通し章番号:408
口述日:1922(大正11)年02月14日(旧01月18日) 口述場所: 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
照彦に憑いた月照彦命は、谷底で淤縢山津見と駒山彦に説教を続けている。駒山彦はそれにいちいち口答えをしていたが、淤縢山津見はじっと聞いていた。
淤縢山津見は足が立つようになった。そして照彦に憑いた神に、教訓への感謝を捧げた。照彦の神は淤縢山津見に、カルの国に一人だけで進んで行くように、と命じた。
淤縢山津見が谷を立ち去ろうとするとき、ちょうど三五の明月が山頂に昇り、谷間を照らし出した。淤縢山津見は月光に力を得て、宣伝歌を歌いながら元来た道を帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-23 22:25:32 OBC :rm0915
愛善世界社版:119頁 八幡書店版:第2輯 317頁 修補版: 校定版:125頁 普及版:47頁 初版: ページ備考:
001 三五(さんご)(つき)(のぼ)れども、002(やま)(やま)との谷間(たにあひ)は、003黒白(あやめ)()かぬ(しん)(やみ)004(そら)せまく(つち)(せま)谷底(たにぞこ)に、005(さん)(にん)宣伝使(せんでんし)端坐(たんざ)し、006(くび)ばかり(うご)かし()折柄(をりから)007何処(どこ)ともなく(とら)(おほかみ)(うな)るやうな(こゑ)008木霊(こだま)(ひび)かせ(きこ)(きた)る。
009『ウーオー』
010駒山彦(こまやまひこ)『イヤー(とら)(おほかみ)か、011どえらい(こゑ)(きこ)えて()た。012淤縢山津見(おどやまづみ)さま、013神言(かみごと)でも()げませうか』
014淤縢山津見(おどやまづみ)『ヤー、015仕方(しかた)がない、016神言(かみごと)奏上(そうじやう)しませう』
017照彦(てるひこ)ヽヽ()松魚節(つをぶし)(いた)宣伝使(せんでんし)018なはぬ(とき)神頼(みだの)み、019神言(みごと)でも」とは(なん)だ。020それでも宣伝使(せんでんし)か、021でも宣伝使(せんでんし)022稜威(みいづ)(がや)てる(くに)023(うづ)てるてるはる(やま)(くも)る、024オツトドツコイ淤縢山(おどやま)くもる、025駒山彦(こまやまひこ)(あめ)()らす、026(あめ)(あめ)だが(なみだ)(あめ)だ。027なしさうな(その)(つら)つき、028仮令(たとへ)らだは()(ざき)になつても、029()のためなら、030チツトもまはないと()覚悟(くご)がなくて、031(まこと)(みち)(ひら)けるか、032(だま)のさかしら(だま)033()(こころ)推量(すゐりやう)して()れても()からう。034(すこ)しの艱難(んなん)辛苦(しんく)()うても、035(しり)(まく)つて(くも)すみと()()宣伝使(せんでんし)036らすのやうな(くろ)(たま)(まこと)()ついで、037勝手(つて)ねつ()(ある)がとう(むし)()が。038てて(くは)へて()()(よこ)さの(みち)(あゆ)みながら、039吾程(われほど)(まこと)(もの)はない、040(まこと)(ひと)つが()(たから)041(まこと)をつくせ、042真心(まごころ)になれと、043たる(ばか)りの宣伝使(せんでんし)
044らすのやうに()ましい蚊々虎(とら)さまの素性(すじやう)()らず、045()(をとこ)(あなど)つて、046(あせ)き、047(はぢ)き、048(しら)き、049かばち(たか)い、050威張(ゐば)りの上手(じやうづ)()使(つか)ひ、051ラと日本(にほん)(いくさ)があるとは、052(なんぢ)らが御魂(みたま)立替(たて)立直(たてなほ)し、053(いま)までの(だま)を、054オツ()()して、055水晶(すゐしやう)生粋(きつすゐ)日本(やまと)(だましひ)立替(たて)へいと(まを)すことだ。056(しま)しいばかりが宣伝使(せんでんし)でないぞ。057改心(いしん)いたせばよし、058どこまでも(わか)らねば、059()はモウ一限(ひとき)りに(いた)すぞよ。060何程(なにほど)()(なが)()でも、061愛想(あいさう)()きて、062欠伸(あくび)()るぞよ』
063駒山彦(こまやまひこ)ヽヽ()はぬ()はぬ、064勘忍(んにん)して(くだ)さいな。065(これ)から改心(いしん)(いた)しますから、066モウ吾々(われわれ)(こと)()()てはして(くだ)さるなよ。067いて(はし)るやうな(つか)まへ(どこ)のない意見(いけん)()かされて、068アヽ()(つら)()だ』
069照彦(てるひこ)ヽヽ貴様(さま)余程(よほど)しぶとい(やつ)070(この)(はう)(まを)すことが()()らぬか。071奇怪(つくわい)千万(せんばん)駄法螺(だぼら)()(まは)つて、072()()になつて気楽(らく)さうに、073宣伝歌(せんでんか)(うた)ひ、074()まぐれ半分(はんぶん)に、075天下(てんか)(まは)狼狽者(うろたへもの)076気抜()(づら)して、077()()かぬも(ほど)がある。078鬼門(もん)金神(こんじん)(あら)はれて(ぜん)(あく)とを立別(たてわけ)る。079鬼畜(ちく)のやうな、080気違(ちが)(だま)宣伝使(せんでんし)は、081()()(かへ)ツパリと取払(とりはら)ひ、082(ねつ)から(はつ)から()つて(しま)ふぞよ。083貴様(さま)()()らぬは(もつと)もだ。084ひどい気強(づよ)鬼神(じん)のやうな言葉(ことば)(おも)ふであらうが、085よく()()けて(あぢ)はうて()よ。086きくらげのやうな(みみ)では(かみ)(まこと)言葉(ことば)()()れまい。087()()でならぬ(かみ)(むね)088いつまでも()かねば()くやうに(いた)して()かして()せうぞよ。089()ない(こころ)をさつぱり()かして、090(まこと)神心(かみごころ)になり、091万事(ばんじ)(たい)して機転(てん)()かし、092心配(こころくば)り、093気配(くば)りの出来(でき)ぬやうな(こと)では、094()()いた御用(ごよう)到底(たうてい)(つと)まらぬぞよ。095(おも)はず()()らいでも、096()()()せぬ(かみ)言葉(ことば)097(これ)から気張()つて気分(ぶん)(あらた)め、098気不性(ぶしやう)(こころ)立直(たてなほ)し、099気随(ずゐ)気儘(まま)をさらりと()かし、100(かみ)()とに(まこと)(つく)し、101気六()ツかしさうな(おもて)をやはらげ、102(こころ)()めて荒胆(あら)()り、103(おも)はずユウユウ(くる)しまず、104(こころ)()()()め、105(まこと)(かみ)(したが)へば気楽(らく)(みち)(ひろ)まるぞよ。106チリチリと(はこ)さした(やう)()くぞよ。107(かみ)(かさ)()るなよ。108抜刀()刃物(れもの)(なか)()つて()(やう)心持(こころもち)になつて、109油断(ゆだん)(いた)すな。110()まりもなき(かみ)(おん)111(よろづ)罪咎(つみとが)(かみ)(ひか)りに()()せて、112身魂(みたま)(おだや)かに(あらた)まり、113さうした(うへ)(はじ)めて三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)だ。114どうだ、115(わか)つたか』
116駒山彦(こまやまひこ)ヽヽ()()きました。117気張()つて気張()つて(これ)から(はや)改心(かいしん)(いた)します。118(この)気味()(わる)谷底(たにぞこ)で、119奇妙(めう)奇天烈(てれつ)()()うて()()まされて、120(なん)たるマア()()かぬ(こと)だらう。121(かみ)気勘(かん)(かな)うた(つもり)で、122気張()つて気張()つて心配(こころくば)気配(くば)りして、123此処(ここ)まで(つと)めて()たのに、124(おも)ひがけなき気遣(づか)ひをさされた。125サア、126もうリキリと()りをつけて、127()(みち)(かへ)らうかい。128淤縢山津見(おどやまづみ)さまも(なん)だ、129一体(いつたい)()(ちひ)さい、130おどおどとして(ふる)うて()るぢやないか。131ナント膽玉(もだま)(よわ)(をとこ)だな。132こんな(ところ)長居(ながゐ)をすると、133(さる)小便(せうべん)ぢやないが、134(さき)のことが()にかかるワ』
135淤縢山津見(おどやまづみ)まりの(わる)い、136不気味()(ざま)ツウ(あぶら)(しぼ)られました。137()どいとこまで素破(すつぱ)()かれて、138アー(おれ)()()ぢやないワ。139ドウデ吾々(われわれ)(かみ)(さま)()()るやうな宣伝(せんでん)はできては()らぬからなア』
140照彦(てるひこ)ヽヽ苦労(らう)なしの、141(こころ)()暗雲(やみ)宣伝使(せんでんし)
142駒山彦(こまやまひこ)『モシモシ、143()がりにそんな()らぬ(こと)を、144モヽモウ(これ)(らゐ)()めて()さい』
145照彦(てるひこ)()しいか、146苦面(めん)(わる)いか、147()(もの)(ふた)をしたやうに(かく)()てしても、148何程(なにほど)クスネようと(おも)うても、149四十八(しじふはち)()のあらむ(かぎ)りは(あらた)めてやるぞ。150()らぬ理屈(りくつ)()から出放題(ではうだい)151デとドイ理屈(りくつ)捏並(こねなら)べ、152(ひと)(ちが)へば(ごし)になつて、153一寸(ちよつと)した(こと)でも()にするなり、154()しき(こと)()らずに、155()(ちが)つた御託(ごたく)(なら)()て、156九分()九厘(りん)(かへ)るの(かへ)らぬの、157一厘(いちりん)仕組(しぐみ)まなく(さと)つたの、158()()つたのと、159そりや(なん)囈語(たわごと)160()めども()きぬ(かみ)(をしへ)161大空(たい)()(つか)むやうな(つか)まへ(どころ)のない、162駄法螺(だぼら)()いたその(むく)い、163()残念(ざんねん)をコバリコバリ、164(いま)までの取違(とりちが)ひを()(あらた)め、165(おも)はずに(かみ)(ひかり)(あら)はし、166闇黒(らがり)()(てら)し、167また()(はる)(うめ)(はな)168(ひら)(とき)呉々()()つがよいぞよ。169レンと(かへ)(かみ)仕組(しぐみ)170苦労(らう)(はな)(ひら)(かみ)(みち)171()しいことが()りたくば、172()(あらた)めて神心(かみごころ)になれ。173()んでくめるやうに()らして()くぞよ』
174駒山彦(こまやまひこ)ヽヽドしいお説教(せつけう)175モヽ(わか)りました(わか)りました、176結構(けつこう)御座(ござ)います。177(けつ)して(けつ)してモウ(この)(うへ)取違(とりちが)ひは(いた)しませぬ。178何卒(どうぞ)これで()めて()さいませ、179さうして吾々(われわれ)(さん)(にん)身体(からだ)自由(じいう)になるやうにして()さい』
180照彦(てるひこ)ヽヽ結構(つこう)々々(つこう)とは(なに)結構(つこう)だ。181毛筋(すぢ)横巾(よこはば)(ちが)はぬ(かみ)(をしへ)だ。182決心(つしん)第一(だいいち)だ。183(みち)()してはならぬから、184(かみ)()もない(うち)から()()けるのだ。185怪体(つたい)(こころ)取直(とりなほ)し、186(いた)さず、187神心(かみごころ)になつて()らぬと、188(だもの)身魂(みたま)(だま)されて、189()()まで一本(いつぽん)もないやうにしられるぞよ。190()しき(やま)(のぼ)(くだ)りしながら、191()()いて(きず)(もと)めるやうな(その)()(かた)192従者(らい)()れたり、193(をんな)()れたり、194そんな(こと)(かみ)(をしへ)(ひろ)まるか、195毛虫(むし)よりも(おと)つた宣伝使(せんでんし)
196駒山彦(こまやまひこ)ヽヽ怪体(つたい)なことを()(かみ)だな。197淤縢山(おどやま)さま、198如何(どう)しよう。199(みみ)(いた)くつて、200面白(おもしろ)くもない、201コンナ()()はされやうと(おも)うたら、202宣伝(せんでん)(まは)つて()るぢやなかつたに、203アヽ(なん)宣伝使(せんでんし)(つら)いものぢやなア。204毛色(いろ)(かは)つた照彦(てるひこ)のやうな(をとこ)()るものだから、205コンな怪体(つたい)谷底(たにぞこ)で、206眉毛(まゆ)(よま)れ、207鼻毛(はな)()かれ、208()()まで()かれるやうな、209()しからぬ()()うて、210谷底(たにぞこ)蹴落(おと)されて、211けがしたよりも余程(よほど)つまらぬ()()ふのか。212(まへ)さまは(あたま)坊主(ばうず)だから、213けがなくてよからうが、214駒山彦(こまやまひこ)二進(につち)三進(さつち)もならぬ()()うて、215(こま)()つてゐるワイ』
216照彦(てるひこ)ヽヽ駒山彦(まやまひこ)217(なに)()ふか、218乞食(じき)芝居(しばゐ)のやうに、219男女(だんぢよ)(しち)(にん)(づれ)にてテと、220此処()彼処(かし)ロツキ(まは)宣伝使(せんでんし)221(かみ)勘忍袋(かんにんぶくろ)(やぶ)れるぞよ。222此世(のよ)(おに)往生(わうじやう)さして、223(かみ)224仏事(ぶつじ)225人民(じんみん)(よろこ)ばす(かみ)(ころ)226()(しの)びのない(ころ)()まらぬ、227(やぶ)宣伝使(せんでんし)(なに)になるか。228(ずゑ)()()(うぐひす)でも、229春夏(はるなつ)秋冬(あきふゆ)はよく()つて()るに、230()へたか、231此方(のはう)()(こと)(わか)つたか。232ツと角張(かくば)つたもの()ひをしたり、233テと小理屈(りくつ)()ねたり、234()()(もの)(せつ)し、235(くだ)らぬ理屈(りくつ)()(まは)し、236(ひと)()まぬ()無理(むり)(すす)め、237()がられて(つよ)(もの)には()(へつら)ひ、238後先(あとさき)真暗(まつくら)(かみ)()らす駒山彦(まやまひこ)宣伝使(せんでんし)239()()(むし)製糞器(せいふんき)240()(かぶ)つた乞食(じき)のやうに、241一寸(ちよつと)苦労(くらう)弱音(よわね)()き、242()()をしぼり、243モウいつあ(かな)はぬ、244宣伝(せんでん)リだと弱気(よわぎ)()したり、245()(かほ)して威張(ゐば)つて(ある)狼狽者(うろたへもの)得手(えて)勝手(かつて)ねつ()くお取次(とりつ)ぎとは、246おどましいぞよ。247(おに)大蛇(をろち)(おほかみ)(おそ)れて、248()()つて跣足(はだし)()げる、249イヤ()げぬ、250(ころ)()こい()(よわ)()(もの)駒山彦(まやまひこ)宣伝使(せんでんし)
251駒山彦(こまやまひこ)ヽヽ(へづ)るない、252ツパリ(わか)らぬ(こと)(しやべ)()らしよつて、253()(わる)いワイ。254逆捻(かねぢ)(おれ)(はう)からちつと(へづ)つてやらうか、255(あま)(しやべ)ると()トンボリを()たねばならぬぞよ。256()にある(こと)世界(せかい)()らす、257三五教(あななひけう)()りのよい流石(すが)宣伝使(せんでんし)だ』
258照彦(てるひこ)ヽヽ()がしいワイ』
259駒山彦(こまやまひこ)『アヽヽ五月蝿(うるさ)いなア、260ツパリ(あぶら)(しぼ)つて(しま)ひよつた。261てもても残念(ざんねん)なことぢや』
262照彦(てるひこ)(これ)からだ。263()河原(かはら)(いし)()む、264()んでは(くづ)()んでは(くづ)()(どく)(しり)(むす)べぬ宣伝使(せんでんし)265(つき)御空(みそら)()(わた)れども、266(こころ)(くら)(たに)(そこ)267足許(あしもと)真暗(まつくら)がりで谷底(たにぞこ)()トンボリを()たねばならぬぞよ。268(かみ)(まを)すことを逆様(かさま)()るとはソリヤ(なん)(こと)269()()へと()らす(かみ)(をしへ)270()()れぬ宣伝使(せんでんし)が、271(かみ)審神(には)するといふ探女(ぐめ)のやうな、272御魂(みたま)(くら)(やつ)273()(をんな)(たましひ)(くさ)らし、274やうやう改心(かいしん)(いた)して(にはか)宣伝使(せんでんし)になつたとて、275ヽそれが(なに)(えら)い。276差添(しぞへ)(たね)ぢやと威張(ゐば)つて()るが、277(なに)()差出(しで)(かみ)か、278イヤ(たぬき)だ。279流石(すが)其方(そなた)(かみ)(まを)(いま)言葉(ことば)280(ゆび)一本(いつぽん)()(こと)出来(でき)まい。281早速(つそく)()いた(くち)(すぼ)まろまいぞよ、282沙汰()(かぎ)りぢや。283タン悪魔(あくま)(とりこ)となつても、284ツチもない(こと)()(ある)き、285()()()りの(わる)二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)286(かひこ)ナギのやうに、287一寸(ちよつと)(こと)にもプリンプリン()()(あたま)()り、288盲目(めくら)滅法(めつぱふ)審神(には)(いた)し、289(ほん)守護神(しゆごじん)だ、290(せい)(ふく)守護神(しゆごじん)だと()(まは)り、291日本(やまと)御魂(みたま)両刃(もろは)(つるぎ)ツパリ錆刀(びがたな)292()審神者(には)(むか)()ず、293様々(さまざま)曲津(まがつ)(あざむ)かれ、294えらい()にあはされながら、295まだ()()めぬか。296(これ)でも()()()()るか。297()もしい(こころ)だのう。298()ります黄泉彦(よもつひこの)(かみ)(まが)使(つかひ)(しん)じ、299よくもよくも(はう)けたものだ。300(いま)かららりと()()りて、301慢心心(まんしんごころ)(あら)()り、302各自(めいめい)(わが)()(かへり)みて、303()(しり)(わら)ひを(いた)すでないぞ。304(はぢ)()されて(あたま)()くより、305(まはし)でもしつかりとかけ。306()ぐな、307(へづ)るな、308()えた(こころ)(もち)(つき)309淤縢山津見(おどやまづみ)310駒山彦(こまやまひこ)311(かみ)(まを)(こと)がチツトは(はら)(はい)つたか』
312駒山彦(こまやまひこ)ヽヽヽぶいワイ。313うかうか()いてをれば面白(おもしろ)くもない、314こんな谷底(たにぞこ)でアイウエオ、315カキクケコの言霊(ことたま)練習(れんしふ)をしよつて、316(あま)馬鹿(ばか)にするない。317言霊(ことたま)なら(おれ)天下(てんか)宣伝使(せんでんし)ぢや、318()けはせぬぞ。319()(こと)はどんな立派(りつぱ)(こと)()つても、320(おこな)ひは照彦(てるひこ)ぢやで、321さう註文(ちうもん)(どほ)りには()くものぢやない。322()()つた(やう)(こと)(ぬか)しよつて、323んぐりせんぐりと、324ヽヽろと()おろしをしやがつて、325つとも(こた)へぬのぢや。326()らぬ(こと)を、327ヽヽ手柄(がら)さうに、328ヽヽ()けやがつて、329ヽヽ(なに)(ぬか)しやがるのだ。330ヽヽ()つたらしい、331ヽヽ()けたやうな(こゑ)で、332ヽヽ()()もないやうな(こと)を、333ヽヽ()()て、334ヽヽ()承知(しようち)せぬワイ。335ヽヽ()ならよいがコンナ(やみ)()に、336ヽヽ悪戯(ざけ)(こと)を、337ヽヽ()のやうに、338ヽヽ()きよつて、339ヽヽ曲津(がつ)(かみ)()が、340ヽヽみず()が、341ヽヽ()ケラ()が、342ヽヽ盲目(くら)()が、343ヽヽ百舌()親方(おやかた)()が、344ヽヽ八ケ間(かま)しい、345やこしい、346ヽヽ()(こと)ヽヽ()ひよつて、347ヽヽ得体(たい)()れぬ、348ヽヽ黄泉(もつ)(かみ)()が、349ヽヽ()もない、350ヽヽ理屈(くつ)()ねよつて、351ヽヽ()(もつ)曲津(まがつ)(あつ)めよつて、352ヽヽ連発(んぱつ)する、353ヽヽ()でなしの世迷言(よまひごと)354ヽヽ()りもせぬ、355ヽヽやらしい、356()かない(こと)を、357ヽヽ()()て、358ヽヽー、359モー()ろしい(どころ)か、360かしいワイ。361(ばけ)大蛇(ろち)神憑(かむがかり)()が』
362照彦(てるひこ)ヽヽ』
363駒山彦(こまやまひこ)『またーやつてけつかる。364()つてやらうか、365(らみ)守護神(ゆごじん)()が』
366照彦(てるひこ)ヽヽ思案(あん)して()よ、367(らみ)親方(おやかた)368(ひと)()()毛虫(けむし)駒山彦(こまやまひこ)369執念(ふねん)(ぶか)宣伝使(せんでんし)370修羅(ゆら)(ちまた)()(まよ)ひ、371後先(あとさき)()ずの(こま)つた駒山彦(こまやまひこ)372()られる(こと)(くる)しいか、373()(かみ)随分(ずゐぶん)(くる)しいぞ。374カと正念(しやうねん)()ゑてツカリ()け。375敷島(きしま)大和(やまと)(くに)(かみ)(をしへ)に、376ヽヽ()くものはないぞ。377()曲津(まがつ)(たぶ)らかされ、378(なんぢ)仕態(ざま)何事(なにごと)ぞ。379獅子()380(おほかみ)(やう)(こころ)をもつて、381世界(せかい)人間(にんげん)(たす)けられるか、382至粋(すゐ)至純(じゆん)水晶(すゐしやう)(こころ)になれ。383()(もの)大切(たいせつ)(いた)せよ。384(むつ)かしい説教(せつけう)(いた)すな。385ツカリと(むね)()をあて(かんが)へて()よ。386一度(いちど)()なねばならぬ(ひと)()387()んでも()(とほ)しの霊魂(みたま)(みが)けよ。388屡々(ばしば)(かみ)(さと)せども、389あまり(わか)らぬから(かみ)(びれ)をきらして()るぞよ。390ぶといと()うてもあんまりだ。391()ひには往生(わうじやう)(いた)さねばならぬぞよ。392ミと(かみ)(をしへ)(かんが)へて()よ。393腹帯(はらおび)ツカリ()めて(かか)れよ。394()()(ゆき)()けて世人(よびと)(すく)宣伝使(せんでんし)395()らぬ(こと)()つた(かほ)して、396白々(らじら)しい嘘言(うそ)()くな。397()から()げるやうな法螺(ほら)()くな。398()ると()(こと)(かみ)より(ほか)にないぞよ。399天地(てんち)(こと)如何(どん)(こと)でも()(あか)すとは、400(なん)(ごと)401(こま)つた代物(ろもの)ぢや。402(しわが)(ごゑ)()()てて神言(かみごと)奏上(そうじやう)したとて、403天地(てんち)(かみ)感動(かんどう)(いた)さぬぞよ。404身魂(みたま)(みが)けよ、405身魂(みたま)さへ(みが)けたなら、406円満(ゑんまん)清朗(せいろう)声音(せいおん)()いて()るぞよ。407()ひて(いや)なものに(すす)めるな。408因縁(いんねん)なきものは時節(せつ)()ねば(みみ)(はい)らぬ。409修身(うしん)斉家(せいか)410治国(ちこく)(へい)天下(てんか)大道(だいだう)だと(えら)さうに(まを)して()れど、411(わが)()(ひと)つが(をさ)まらぬ、412仕様(やう)もない宣伝使(せんでんし)413(なに)(くる)しうてホと憔悴()れて()るか。414荒魂(あらみたま)(いさ)みを()(おこ)して、415モツト勇気(ゆうき)()さぬかい』
416駒山彦(こまやまひこ)ヽヽツカリ(いた)します。417奥山(おくやま)紅葉(もみぢ)()()()鹿()の、418(こゑ)()(とき)(あは)れなりけり、419だ。420えらい鹿()出会(でくわ)してしかられたものだい』
421淤縢山津見(おどやまづみ)『ヤア、422拙者(せつしや)(あし)()つた、423身体(んたい)自由(じいう)になつた、424大分(だいぶ)(みたま)(みが)けたと()えるワイ。425いやもう(いづ)れの(かみ)(さま)(ぞん)じませぬが、426よくもまあ結構(けつこう)教訓(けうくん)()れさせられました。427屹度(きつと)(これ)から(こころ)()()へて、428()神慮(しんりよ)のある(ところ)(つつ)しんで遵奉(じゆんぽう)(いた)します』
429駒山彦(こまやまひこ)『ヤア淤縢山(おどやま)さま、430(あし)()ちましたか、431アヽそれは結構(けつこう)だ。432吾々(われわれ)はまだビクとも(いた)しませぬ、433(どう)(すわ)つたものですな』
434淤縢山津見貴方(あなた)最前(さいぜん)から()いて()れば一々(いちいち)(かみ)(さま)口答(くちごた)へをなさる、435貴方(あなた)発根(ほつこん)からまだ改心(かいしん)出来(でき)()ない。436改心(かいしん)さへ出来(でき)たならば吾々(われわれ)(やう)に、437(かみ)(さま)(あし)()たして(くだ)さいませう。438何卒(どうぞ)(はや)屁理屈(へりくつ)()めて改心(かいしん)して(くだ)さい』
439駒山彦(こまやまひこ)ヽヽ改心(いしん)()つたて、440照彦(てるひこ)(やう)(やつこ)さまに()つて()(やう)守護神(しゆごじん)()(こと)が、441如何(どう)して()かれるものか、442神霊(しんれい)正邪(せいじや)賢愚(けんぐ)(おう)じて憑依(ひようい)されるものだ。443大抵(たいてい)(この)肉体(にくたい)標準(へうじゆん)としたら、444()高下(うげ)(わか)るでせう』
445照彦(てるひこ)ヽヽ直様(ぐさま)446淤縢山津見(おどやまづみ)(あし)()つたをきりとして、447カルの(くに)(すす)んで()け。448道伴(みちづ)れは(けつ)してならぬ』
449淤縢山津見(あふ)せに(したが)改心(かいしん)(うへ)450直様(すぐさま)(まゐ)ります。451(いま)まではえらい(かんが)(ちが)ひを(いた)して()りました』
452照彦(てるひこ)一時(ひととき)(はや)く、453片時(かたとき)(すみやか)(この)()立去(たちさ)れ』
454駒山彦(こまやまひこ)『アヽ淤縢山(おどやま)さま、455それはあまり得手(えて)勝手(かつて)だ。456自分(じぶん)(あし)()つてよからうが、457吾々(われわれ)(やう)(あし)()たぬ(もの)見捨(みす)てて()つても、458(かみ)(みち)(かな)ひませうか。459朋友(ほういう)難儀(なんぎ)見捨(みす)てて何処(どこ)()くのです。460(かみ)(みち)は、461親切(しんせつ)一等(いつとう)だと()きました。462それでは(みち)(ちが)ひませう』
463照彦(てるひこ)駒山彦(まやまひこ)小理屈(りくつ)()くに(およ)ばぬ、464(はや)()つて()け。465駒山彦(まやまひこ)改心(かいしん)出来(でき)るまで、466此方(のはう)(あぶら)(しぼ)つてやらうかい』
467 淤縢山津見(おどやまづみ)徐々(しづしづ)(この)()()()らむとする(とき)468三五(さんご)明月(めいげつ)山頂(さんちやう)(のぼ)り、469(ほそ)谷間(たにま)皎々(かうかう)(てら)せり。470淤縢山津見(おどやまづみ)(この)月光(げつくわう)(ちから)()471宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら谷道(たにみち)(つた)ひて、472もと()(みち)(くだ)()く。
473大正一一・二・一四 旧一・一八 森良仁録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→