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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
第1章 都落
第2章 エデンの渡
第3章 三笠丸
第4章 大足彦
第5章 海上の神姿
第6章 刹那信心
第7章 地獄の沙汰
第2篇 一陽来復
第8章 再生の思
第9章 鴛鴦の衾
第10章 言葉の車
第11章 蓬莱山
第3篇 天涯万里
第12章 鹿島立
第13章 訣別の歌
第14章 闇の谷底
第15章 団子理屈
第16章 蛸釣られ
第17章 甦生
第4篇 千山万水
第18章 初陣
第19章 悔悟の涙
第20章 心の鏡
第21章 志芸山祇
第22章 晩夏の風
第23章 高照山
第24章 玉川の滝
第25章 窟の宿替
第26章 巴の舞
第5篇 百花爛漫
第27章 月光照梅
第28章 窟の邂逅
第29章 九人娘
第30章 救の神
第31章 七人の女
第32章 一絃琴
第33章 栗毛の駒
第34章 森林の囁
第35章 秋の月
第36章 偽神憑
第37章 凱歌
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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(B)
(N)
刹那信心 >>>
第五章
海上
(
かいじやう
)
の
神姿
(
しんし
)
〔三九八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第1篇 長途の旅
よみ(新仮名遣い):
ちょうとのたび
章:
第5章 海上の神姿
よみ(新仮名遣い):
かいじょうのしんし
通し章番号:
398
口述日:
1922(大正11)年02月12日(旧01月16日)
口述場所:
筆録者:
桜井重雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
進み来る船団の大船には、気高き女神が舷頭に立ち会われた。気高き女神は東天を拝して、何事かを祈るごとくの様子であった。
女神の傍らには、筋骨たくましく眼光けいけいなる大神人が立っていた。その歌う宣伝歌に、三笠丸の人々は、これが日の出神であり、女神は伊邪那美大神であることを知った。
照彦をはじめ、松・竹・梅の三姉妹は思いもかけず伊邪那美大神と日の出神のお姿を拝することができたことを喜んだ。
船中の客たちはまたもや雑談を始めたが、そのとき船底に怪しい物音が聞こえた。船頭は大声で、船が座礁して沈没しつつあることを叫んでいる。船内は一度に大騒ぎとなってしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-23 19:26:19
OBC :
rm0905
愛善世界社版:
36頁
八幡書店版:
第2輯 288頁
修補版:
校定版:
38頁
普及版:
15頁
初版:
ページ備考:
001
数十艘
(
すうじつそう
)
の
大船
(
おほぶね
)
小船
(
こぶね
)
は
真帆
(
まほ
)
に
風
(
かぜ
)
を
孕
(
はら
)
んで、
002
堂々
(
だうだう
)
と
陣容
(
ぢんよう
)
を
整
(
ととの
)
へ
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る。
003
三笠丸
(
みかさまる
)
は
風
(
かぜ
)
に
逆
(
さか
)
らひながら、
004
櫂
(
かい
)
の
音
(
おと
)
高
(
たか
)
く
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
005
向
(
むか
)
ふの
大船
(
おほふね
)
には、
006
気高
(
けだか
)
き
女神
(
めがみ
)
舷頭
(
げんとう
)
に
立
(
た
)
ちあらはれ、
007
涼
(
すず
)
しき
瞳
(
ひとみ
)
滴
(
したた
)
るが
如
(
ごと
)
く、
008
楚々
(
そそ
)
たる
容貌
(
ようばう
)
、
009
窈窕
(
えうてう
)
たる
姿
(
すがた
)
、
010
いづこともなく
威厳
(
ゐげん
)
に
満
(
み
)
ち
東天
(
とうてん
)
を
拝
(
はい
)
して
何事
(
なにごと
)
か
祈
(
いの
)
るものの
如
(
ごと
)
くなり。
011
傍
(
かたはら
)
に
眉
(
まゆ
)
秀
(
ひい
)
で
鼻筋
(
はなすぢ
)
通
(
とほ
)
り、
012
色
(
いろ
)
飽
(
あ
)
くまで
白
(
しろ
)
く、
013
筋骨
(
きんこつ
)
たくましく、
014
眼光
(
ぐわんくわう
)
炯々
(
けいけい
)
として
人
(
ひと
)
を
射
(
い
)
る
大神人
(
だいしんじん
)
立
(
た
)
ちゐたり。
015
船中
(
せんちう
)
の
人々
(
ひとびと
)
は
期
(
き
)
せずして
此
(
こ
)
の
一神
(
いつしん
)
に
眼
(
まなこ
)
を
注
(
そそ
)
ぐ。
016
(日の出神)
『
限
(
かぎ
)
りも
知
(
し
)
れぬ
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
017
救
(
すく
)
ひの
船
(
ふね
)
をひきつれて
018
黄泉
(
よもつ
)
の
国
(
くに
)
におちいりし
019
百
(
もも
)
の
身魂
(
みたま
)
を
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ
020
仰
(
あふ
)
ぐも
高
(
たか
)
き
天教
(
てんけう
)
の
021
山
(
やま
)
にまします
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
022
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
023
あをみの
原
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
までも
024
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
へゆく
宣伝使
(
せんでんし
)
025
神
(
かむ
)
伊邪那美
(
いざなみ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
026
御許
(
みもと
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
たてまつ
)
る
027
吾
(
われ
)
は
日
(
ひ
)
の
出神司
(
でのかむつかさ
)
028
醜
(
しこ
)
のあつまる
黄泉島
(
よもつじま
)
029
黄泉軍
(
よもついくさ
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
030
世
(
よ
)
は
太平
(
たいへい
)
の
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
031
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
に
従
(
したが
)
ひて
032
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
と
顕現
(
けんげん
)
し
033
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る
034
この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
035
心
(
こころ
)
もひろき
大直日
(
おほなほひ
)
036
直日
(
なほひ
)
のみたまを
楯
(
たて
)
となし
037
厳
(
いづ
)
のみたまや
瑞
(
みづ
)
みたま
038
並
(
なら
)
んで
進
(
すす
)
む
荒海
(
あらうみ
)
の
039
波
(
なみ
)
をも
怖
(
お
)
ぢぬ
荒魂
(
あらみたま
)
040
風
(
かぜ
)
も
鎮
(
しづ
)
まる
和魂
(
にぎみたま
)
041
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
ふ
幸魂
(
さちみたま
)
042
暗世
(
やみよ
)
を
照
(
てら
)
す
奇魂
(
くしみたま
)
043
茲
(
ここ
)
に
揃
(
そろ
)
うて
伊都能売
(
いづのめ
)
の
044
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
神業
(
かむわざ
)
は
045
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
く
八千尋
(
やちひろ
)
の
046
海
(
うみ
)
より
深
(
ふか
)
き
仕組
(
しぐみ
)
なり
047
海
(
うみ
)
より
深
(
ふか
)
き
仕組
(
しぐみ
)
なり』
048
と
歌
(
うた
)
ふ
声
(
こゑ
)
も
風
(
かぜ
)
にさへぎられて、
049
終
(
つひ
)
には
波
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
のみ
聞
(
きこ
)
えけり。
050
照彦
(
てるひこ
)
はこの
歌
(
うた
)
に
耳
(
みみ
)
をすませ、
051
頭
(
かうべ
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
052
照彦
『モシ
松代姫
(
まつよひめ
)
様
(
さま
)
、
053
今
(
いま
)
往
(
ゆ
)
きちがひました
船
(
ふね
)
の
舷頭
(
げんとう
)
に
立
(
た
)
てる
二人
(
ふたり
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は、
054
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くも
伊邪那美
(
いざなみ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
と、
055
天下
(
てんか
)
に
名高
(
なだか
)
き
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
でありませう。
056
幽
(
かす
)
かに
聞
(
きこ
)
ゆる
歌
(
うた
)
の
心
(
こころ
)
によつて、
057
慥
(
たしか
)
に
頷
(
うなづ
)
かれます。
058
伊邪那美
(
いざなみ
)
の
命様
(
みことさま
)
は、
059
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
、
060
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
へお
出
(
い
)
で
遊
(
あそ
)
ばし、
061
最早
(
もは
)
や
此
(
こ
)
の
世
(
よ
)
に
御姿
(
みすがた
)
を
拝
(
はい
)
することの
出来
(
でき
)
ないものと、
062
私
(
わたくし
)
共
(
ども
)
は
覚悟
(
かくご
)
致
(
いた
)
してをりました。
063
然
(
しか
)
るに
思
(
おも
)
ひもかけぬ
此
(
こ
)
の
海原
(
うなばら
)
で、
064
伊邪那美
(
いざなみ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
目
(
め
)
にかかるといふは、
065
何
(
なん
)
とした
有難
(
ありがた
)
い
事
(
こと
)
でございませうか。
066
あゝ
実
(
じつ
)
に、
067
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
はお
父上
(
ちちうへ
)
を
探
(
たづ
)
ねてお
出
(
い
)
で
遊
(
あそ
)
ばす
船
(
ふね
)
の
上
(
うへ
)
で、
068
あの
世
(
よ
)
へ
一旦
(
いつたん
)
行
(
い
)
つた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が、
069
再
(
ふたた
)
び
此
(
こ
)
の
世
(
よ
)
へ
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
現
(
あら
)
はれ、
070
何処
(
どこ
)
かは
知
(
し
)
らぬが
東
(
ひがし
)
を
指
(
さ
)
してお
出
(
で
)
ましになつた
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば、
071
お
父上
(
ちちうへ
)
に
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
遊
(
あそ
)
ばすのは
決
(
けつ
)
して
絶望
(
ぜつばう
)
ではありませぬ。
072
否
(
いな
)
お
父上
(
ちちうへ
)
のみならず、
073
母上
(
ははうへ
)
も
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
でゐらつしやるかも
分
(
わか
)
りませぬ。
074
何
(
なん
)
と
今日
(
けふ
)
は
目出度
(
めでた
)
い
事
(
こと
)
でございませう』
075
松代姫
『あゝ、
076
あの
気高
(
けだか
)
い
御
(
お
)
姿
(
すがた
)
を
妾
(
わらは
)
は
拝
(
をが
)
んだ
時
(
とき
)
、
077
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
へぬ
崇高
(
すうかう
)
な
感
(
かん
)
じがしました。
078
又
(
また
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
とやらのお
姿
(
すがた
)
を
拝
(
はい
)
した
時
(
とき
)
は、
079
何
(
なん
)
となくゆかしき
感
(
かん
)
じがして、
080
わが
父上
(
ちちうへ
)
の
所在
(
ありか
)
を
御存
(
ごぞん
)
じの
方
(
かた
)
のやうに
思
(
おも
)
はれてなりませぬ。
081
もしや
父上
(
ちちうへ
)
は、
082
あのお
船
(
ふね
)
にお
乗
(
の
)
り
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るのではあるまいか。
083
あゝ
何
(
なん
)
となく
恋
(
こひ
)
しい
船
(
ふね
)
だ』
084
と
少
(
すこ
)
しく
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
を
曇
(
くも
)
らせながら
物語
(
ものがた
)
る。
085
竹野姫
(
たけのひめ
)
は、
086
竹野姫
『お
姉
(
あね
)
さま、
087
お
父
(
とう
)
さまに
会
(
あ
)
はれた
上
(
うへ
)
に、
088
又
(
また
)
お
母
(
かあ
)
さまに
会
(
あ
)
へるやうなことが
御座
(
ござ
)
いませうかな』
089
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
静
(
しづか
)
に、
090
梅ケ香姫
『
妾
(
わらは
)
の
いつも
の
夢
(
ゆめ
)
に、
091
お
父
(
とう
)
さまには
何時
(
いつ
)
も
会
(
あ
)
へますが、
092
お
母
(
かあ
)
さまに
会
(
あ
)
つても、
093
何
(
なん
)
だか
妙
(
めう
)
な
霞
(
かすみ
)
に
包
(
つつ
)
まれてハツキリ
致
(
いた
)
しませぬ。
094
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
父上
(
ちちうへ
)
にはめぐり
会
(
あ
)
ふ
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませうが、
095
お
母
(
かあ
)
さまに
会
(
あ
)
ふといふ
事
(
こと
)
は
覚束
(
おぼつか
)
ないでせう』
096
主従
(
しうじう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
き
話
(
はなし
)
を
船
(
ふね
)
の
片隅
(
かたすみ
)
で
ひそひそ
としてゐる。
097
船中
(
せんちう
)
の
無聊
(
むれう
)
に
堪
(
た
)
へかねて、
098
腰
(
こし
)
の
瓢
(
ひさご
)
から
酒
(
さけ
)
をついで、
099
互
(
たがひ
)
に
盃
(
さかづき
)
を
交
(
かは
)
す
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
若者
(
わかもの
)
あり。
100
追々
(
おひおひ
)
と
酔
(
よひ
)
がまはり、
101
遂
(
つひ
)
には
巻舌
(
まきじた
)
となり、
102
甲
(
かふ
)
『タヽヽヽヽ
誰
(
たれ
)
だい。
103
この
荒
(
あら
)
い
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
で、
104
死
(
し
)
んだお
母
(
かあ
)
さまに
会
(
あ
)
ひたいの、
105
会
(
あ
)
はれるのと
言
(
い
)
ひよつて、
106
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い。
107
ここは
何処
(
どこ
)
だと
思
(
おも
)
つてるのかい、
108
太平洋
(
たいへいやう
)
の
真中
(
まんなか
)
だぞ。
109
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
でも
血
(
ち
)
の
池
(
いけ
)
地獄
(
ぢごく
)
でもないワ。
110
死
(
し
)
んだ
者
(
もの
)
に、
111
それ
程
(
ほど
)
会
(
あ
)
ひたきや、
112
血
(
ち
)
の
池
(
いけ
)
へでも
舟
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
渡
(
わた
)
らぬかい。
113
クソ
面白
(
おもしろ
)
くもない。
114
折角
(
せつかく
)
甘
(
うま
)
い
酒
(
さけ
)
がマヅくなつて
了
(
しま
)
ふワ』
115
乙
(
おつ
)
『
貴様
(
きさま
)
、
116
酒
(
さけ
)
飲
(
の
)
むと、
117
ようグツグツ
管
(
くだ
)
を
巻
(
ま
)
きよる
奴
(
やつ
)
だな。
118
何
(
なん
)
でも
彼
(
か
)
でも
引
(
ひ
)
つかかりをつけ
人様
(
ひとさま
)
の
話
(
はなし
)
を
横取
(
よこど
)
りしよつて、
119
何
(
なに
)
をグツグツ
喧嘩
(
けんくわ
)
を
買
(
か
)
ひよるのだ。
120
あのお
方
(
かた
)
はな、
121
貴様
(
きさま
)
のやうな
素性
(
すじやう
)
の
卑
(
いや
)
しい
雲助
(
くもすけ
)
のやうな
奴
(
やつ
)
とは、
122
テンからお
顔
(
かほ
)
の
段
(
だん
)
が
違
(
ちが
)
ふのだ。
123
なんだ、
124
仕様
(
しやう
)
もない
雲助
(
くもすけ
)
野郎
(
やらう
)
が、
125
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つて、
126
寡婦
(
やもめ
)
の
行水
(
ぎやうずゐ
)
ぢやないが、
127
独
(
ひと
)
り
ゆう
とるワイと
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
で
笑
(
わら
)
つてゐらつしやるのかも
知
(
し
)
れぬぞ。
128
それだから
貴様
(
きさま
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
旅
(
たび
)
をするのは
御免
(
ごめん
)
だといふのだ。
129
酒癖
(
さけくせ
)
の
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
だな。
130
アフリカ
峠
(
たうげ
)
を
痩馬
(
やせうま
)
を
追
(
お
)
ふ
様
(
やう
)
に、
131
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
まぬ
時
(
とき
)
にはハイハイハイハイと
吐
(
ぬ
)
かしよつて、
132
屁
(
へ
)
ばかりたれて、
133
本当
(
ほんたう
)
に
上
(
あ
)
げも
下
(
おろ
)
しもならぬ
腰抜
(
こしぬ
)
けのツマらぬ
人間
(
にんげん
)
だが、
134
酒
(
さけ
)
を
食
(
くら
)
ふと
天下
(
てんか
)
でも
取
(
と
)
つたやうな
気
(
き
)
になつて、
135
何
(
なに
)
を
ほざ
くのだ、
136
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らず
奴
(
め
)
が。
137
一体
(
いつたい
)
あのお
方
(
かた
)
は
どなた
と
思
(
おも
)
つてるのか。
138
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くもヱルサレムの
宮
(
みや
)
に
天使長
(
てんしちやう
)
をお
勤
(
つと
)
め
遊
(
あそ
)
ばした
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
箱入娘
(
はこいりむすめ
)
さまだぞ』
139
甲
『ナヽヽヽ
何
(
なん
)
だ、
140
箱入娘
(
はこいりむすめ
)
だ、
141
箱入娘
(
はこいりむすめ
)
がものを
言
(
い
)
ふかい。
142
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬ
)
かすな。
143
箱入娘
(
はこいりむすめ
)
なら
俺
(
おら
)
の
所
(
ところ
)
には
沢山
(
たくさん
)
あるワ。
144
娘
(
むすめ
)
ばかりか
箱入
(
はこいり
)
息子
(
むすこ
)
も
箱入爺
(
はこいりぢい
)
さまでも
箱入婆
(
はこいりばあ
)
さまでも
箱入牛
(
はこいりうし
)
まで、
145
チヤーンと
とつ
といてあるのだ』
146
乙
『それは
貴様
(
きさま
)
、
147
間違
(
まちが
)
つてケツかる、
148
人形箱
(
にんぎやうばこ
)
の
事
(
こと
)
だらう』
149
甲
『さうだ、
150
人形
(
にんぎやう
)
だつたよ。
151
人形
(
にんぎやう
)
がものを
言
(
い
)
うて
堪
(
たま
)
るかい』
152
乙
『やア、
153
その
人形
(
にんぎやう
)
で
思
(
おも
)
ひだしたが、
154
この
海
(
うみ
)
には
頭
(
あたま
)
が
人間
(
にんげん
)
で
体
(
からだ
)
が
魚
(
さかな
)
で、
155
人魚
(
にんぎよ
)
とかいふものが
居
(
を
)
るさうだぞ。
156
そいつを
漁
(
と
)
つて
料理
(
れうり
)
して
喰
(
く
)
ふと、
157
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つても
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つても
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
らぬといふことだ。
158
一
(
ひと
)
つ
欲
(
ほ
)
しいものだのう』
159
丙
(
へい
)
『やかましう
言
(
い
)
ふない。
160
折角
(
せつかく
)
の
酔
(
よひ
)
が
醒
(
さ
)
めて
了
(
しま
)
ふぢやないか。
161
人
(
ひと
)
の
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
塞
(
ふさ
)
がりよつてな、
162
エーせめて
俺
(
おれ
)
の
眼
(
め
)
の
邪魔
(
じやま
)
なとすない。
163
俺
(
おれ
)
は
最前
(
さいぜん
)
からな、
164
あの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
三日月
(
みかづき
)
眉毛
(
まゆげ
)
の
花
(
はな
)
のやうな
美
(
うつく
)
しいお
姿
(
すがた
)
のお
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
顔
(
かほ
)
を、
165
チヨイチヨイと
拝
(
をが
)
んで、
166
それをソツと
肴
(
さかな
)
にして
楽
(
たの
)
しんでをるのだ。
167
そんな
所
(
ところ
)
に
立
(
た
)
つてガヤガヤ
吐
(
ぬ
)
かすと、
168
眼
(
め
)
の
邪魔
(
じやま
)
になるワイ』
169
かく
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも、
170
船底
(
ふなぞこ
)
に
怪
(
あや
)
しき
物音
(
ものおと
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
171
一同
(
いちどう
)
は、
172
一同
『ヤア
何
(
なん
)
だ』
173
と
驚
(
おどろ
)
いて
一度
(
いちど
)
に
立上
(
たちあが
)
る。
174
船頭
(
せんどう
)
は
力
(
ちから
)
なき
声
(
こゑ
)
にて、
175
船頭
『お
客
(
きやく
)
さま
達
(
たち
)
、
176
皆
(
みな
)
覚悟
(
かくご
)
をおしなさい。
177
もう
駄目
(
だめ
)
だから』
178
甲
(
かふ
)
『ダヽヽヽダメだつて、
179
ナヽヽヽ
何
(
なに
)
がダメだい。
180
ベヽヽヽ
別嬪
(
べつぴん
)
がダヽヽヽダメと
言
(
い
)
ふのかい』
181
船頭
(
せんどう
)
は
大声
(
おほごゑ
)
で、
182
船頭
『
船
(
ふね
)
が
岩
(
いは
)
に
打
(
ぶ
)
つかつたのだ。
183
裸
(
はだか
)
になつて
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
め、
184
沈没
(
ちんぼつ
)
だ
沈没
(
ちんぼつ
)
だ』
185
船内
(
せんない
)
一同
(
いちどう
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
声
(
こゑ
)
と
化
(
くわ
)
し
去
(
さ
)
りぬ。
186
あゝ
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
手弱女
(
たをやめ
)
一行
(
いつかう
)
の
運命
(
うんめい
)
は
如何
(
いかん
)
。
187
(
大正一一・二・一二
旧一・一六
桜井重雄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
刹那信心 >>>
霊界物語
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