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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
第1章 都落
第2章 エデンの渡
第3章 三笠丸
第4章 大足彦
第5章 海上の神姿
第6章 刹那信心
第7章 地獄の沙汰
第2篇 一陽来復
第8章 再生の思
第9章 鴛鴦の衾
第10章 言葉の車
第11章 蓬莱山
第3篇 天涯万里
第12章 鹿島立
第13章 訣別の歌
第14章 闇の谷底
第15章 団子理屈
第16章 蛸釣られ
第17章 甦生
第4篇 千山万水
第18章 初陣
第19章 悔悟の涙
第20章 心の鏡
第21章 志芸山祇
第22章 晩夏の風
第23章 高照山
第24章 玉川の滝
第25章 窟の宿替
第26章 巴の舞
第5篇 百花爛漫
第27章 月光照梅
第28章 窟の邂逅
第29章 九人娘
第30章 救の神
第31章 七人の女
第32章 一絃琴
第33章 栗毛の駒
第34章 森林の囁
第35章 秋の月
第36章 偽神憑
第37章 凱歌
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
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<<< エデンの渡
(B)
(N)
大足彦 >>>
第三章
三笠丸
(
みかさまる
)
〔三九六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第1篇 長途の旅
よみ(新仮名遣い):
ちょうとのたび
章:
第3章 三笠丸
よみ(新仮名遣い):
みかさまる
通し章番号:
396
口述日:
1922(大正11)年02月12日(旧01月16日)
口述場所:
筆録者:
池沢原次郎
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
エデンの河を渡り、山を越え野を越え、一行はアフリカにやってきた。アフリカのヨルの港から、三笠丸という船に乗り、高砂洲へと向かった。
地中海を渡る間、姉妹は身の上を読み込んだ宣伝歌を歌っていた。その歌声は船内に響き、船客たちはそれを聞いて噂話に花を咲かせたり、そのはずみに喧嘩をしたりしている。
このとき、またもや船内から男の声で宣伝歌が聞こえてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
(池沢原次郎、池沢原治郎、池沢原二郎)
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-10-16 17:32:22
OBC :
rm0903
愛善世界社版:
21頁
八幡書店版:
第2輯 283頁
修補版:
校定版:
23頁
普及版:
9頁
初版:
ページ備考:
001
主人
(
あるじ
)
を
思
(
おも
)
ふ
真心
(
まごころ
)
の
002
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
は
紅葉
(
もみぢば
)
の
003
色
(
いろ
)
にも
優
(
まさ
)
る
照彦
(
てるひこ
)
が
004
父
(
ちち
)
に
会
(
あ
)
ふ
日
(
ひ
)
を
松代姫
(
まつよひめ
)
005
心
(
こころ
)
の
竹野
(
たけの
)
ある
限
(
かぎ
)
り
006
山
(
やま
)
と
積
(
つ
)
みてし
苦
(
くる
)
しさや
007
谷
(
たに
)
の
戸
(
と
)
開
(
あ
)
けて
鶯
(
うぐひす
)
の
008
鳴
(
な
)
く
音
(
ね
)
淋
(
さび
)
しき
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
の
009
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
010
エデンの
河
(
かは
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
011
世
(
よ
)
は
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
足曳
(
あしびき
)
の
012
山
(
やま
)
を
打越
(
うちこ
)
え
野
(
の
)
を
渉
(
わた
)
り
013
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
む
四人
(
よにん
)
連
(
づれ
)
014
心
(
こころ
)
つくしのアフリカの
015
ヨルの
港
(
みなと
)
に
着
(
つ
)
きにけり。
016
今
(
いま
)
や
船
(
ふね
)
は
帆
(
ほ
)
に
風
(
かぜ
)
を
孕
(
はら
)
んで
智利
(
てる
)
の
国
(
くに
)
へ
向
(
むか
)
はむとしてゐる。
017
船人
(
ふなびと
)
は
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
出船
(
でぶね
)
の
時
(
とき
)
迫
(
せま
)
れるを
叫
(
さけ
)
んでゐる。
018
数十
(
すうじふ
)
の
乗客
(
じやうきやく
)
は
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
うて
乗込
(
のりこ
)
んだ。
019
松代姫
(
まつよひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
も
漸
(
やうや
)
くにして
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
りたるか、
020
三笠丸
(
みかさまる
)
は
青葉
(
あをば
)
滴
(
したた
)
る
岸
(
きし
)
を
離
(
はな
)
れて
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
波
(
なみ
)
の
琴
(
こと
)
を
弾
(
だん
)
じながら、
021
海面
(
かいめん
)
静
(
しづ
)
かに
滑
(
すべ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
022
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
斜
(
ななめ
)
に、
023
さしもに
広
(
ひろ
)
き
大海原
(
おほうなばら
)
は
金波
(
きんぱ
)
銀波
(
ぎんぱ
)
の
錦
(
にしき
)
の
蓆
(
むしろ
)
、
024
なみなみならぬ
眺
(
なが
)
めなりけり。
025
船頭
(
せんどう
)
は
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ、
026
船頭
『
筑紫
(
つくし
)
の
国
(
くに
)
をあとに
見
(
み
)
て
027
ウヅの
都
(
みやこ
)
へはせて
行
(
ゆ
)
く
028
道
(
みち
)
は
三千
(
さんぜん
)
三百
(
さんびやく
)
里
(
り
)
029
通
(
かよ
)
ふも
遠
(
とほ
)
き
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
』
030
と
暢気
(
のんき
)
さうに
唄
(
うた
)
ふ。
031
一行
(
いつかう
)
はあと
振返
(
ふりかへ
)
り
流
(
なが
)
れ
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
を
眺
(
なが
)
めて
望郷
(
ばうきやう
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
らるる
折
(
をり
)
しも、
032
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
水平線
(
すゐへいせん
)
下
(
か
)
に
姿
(
すがた
)
を
没
(
ぼつ
)
し、
033
夜
(
よる
)
の
帳
(
とばり
)
はおろされて、
034
黒白
(
あやめ
)
もわかぬ
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
、
035
滑
(
すべ
)
り
行
(
ゆ
)
く
海面
(
かいめん
)
は
僅
(
わづか
)
に
船
(
ふね
)
の
微
(
かすか
)
な
音
(
おと
)
の
聞
(
きこ
)
ゆるのみ。
036
この
時
(
とき
)
船
(
ふね
)
の
一隅
(
いちぐう
)
より、
037
女
『
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
038
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
039
筑紫
(
つくし
)
の
海
(
うみ
)
は
深
(
ふか
)
くとも
040
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
は
高
(
たか
)
くとも
041
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
如
(
し
)
かざらめ
042
神
(
かみ
)
の
いき
より
生
(
う
)
まれたる
043
わが
垂乳根
(
たらちね
)
は
今
(
いま
)
いづこ
044
母
(
はは
)
は
黄泉
(
よみぢ
)
に
出
(
い
)
でまして
045
何
(
なん
)
の
便
(
たよ
)
りもなみの
上
(
うへ
)
046
あとに
残
(
のこ
)
りし
桃上彦
(
ももがみひこ
)
の
047
父
(
ちち
)
の
命
(
みこと
)
の
在処
(
ありか
)
をば
048
探
(
たづ
)
ねむための
旅
(
たび
)
の
空
(
そら
)
049
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
050
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
ける
051
この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
052
罪科
(
つみとが
)
深
(
ふか
)
きわが
父
(
ちち
)
の
053
穢
(
けが
)
れをここに
荒磯
(
あらいそ
)
の
054
尊
(
たふと
)
き
夢
(
ゆめ
)
を
三笠丸
(
みかさまる
)
055
ウヅの
都
(
みやこ
)
を
立出
(
たちい
)
でて
056
うづ
まきわたる
和田
(
わだ
)
の
原
(
はら
)
057
親島
(
おやしま
)
子島
(
こしま
)
のここかしこ
058
数多
(
あまた
)
浮
(
うか
)
べる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
059
一人
(
ひとり
)
の
親
(
おや
)
に
生別
(
いきわか
)
れ
060
雲霧
(
くもきり
)
わけて
進
(
すす
)
む
身
(
み
)
の
061
みづの
身魂
(
みたま
)
ぞあはれなり
062
あゝ
皇神
(
すめかみ
)
よ
皇神
(
すめかみ
)
よ
063
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
く
大直日
(
おほなほひ
)
064
見直
(
みなほ
)
しまして
片時
(
かたとき
)
も
065
いと
速
(
すむや
)
けく
父上
(
ちちうへ
)
に
066
会
(
あ
)
はせ
給
(
たま
)
へよわだつ
神
(
かみ
)
067
風
(
かぜ
)
凪
(
な
)
ぎ
渡
(
わた
)
る
海原
(
うなばら
)
は
068
波
(
なみ
)
も
静
(
しづ
)
かにをさまれど
069
親
(
おや
)
を
慕
(
した
)
へる
雛鳥
(
ひなどり
)
の
070
心
(
こころ
)
の
波
(
なみ
)
は
騒
(
さわ
)
ぐなり
071
心
(
こころ
)
の
波
(
なみ
)
は
騒
(
さわ
)
ぐなり
072
ただ
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
073
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
074
身
(
み
)
の
苦
(
くる
)
しみは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
075
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
と
聞
(
き
)
きつれど
076
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
く
海
(
うみ
)
よりも
077
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐ
)
みの
神
(
かみ
)
の
裔
(
すゑ
)
078
桃上彦
(
ももがみひこ
)
のわが
父
(
ちち
)
に
079
いつか
相生
(
あひおひ
)
淡路島
(
あはぢしま
)
080
通
(
かよ
)
ふ
千鳥
(
ちどり
)
の
声
(
こゑ
)
高
(
たか
)
く
081
歌
(
うた
)
ふ
心
(
こころ
)
を
平
(
たひら
)
けく
082
いと
安
(
やす
)
らけく
聞
(
きこ
)
しめせ』
083
とやさしき
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
084
更
(
ふ
)
け
渡
(
わた
)
る
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
の
大空
(
おほぞら
)
は、
085
何処
(
どこ
)
ともなく
ドンヨリ
として、
086
星
(
ほし
)
は
疎
(
まば
)
らに、
087
あちらに
一
(
ひと
)
つ、
088
こちらに
三
(
み
)
つ、
089
五
(
いつ
)
つ、
090
十
(
とを
)
と、
091
雲
(
くも
)
の
帳
(
とばり
)
をあけて
覗
(
のぞ
)
くのみなり。
092
船客
(
せんきやく
)
はそろそろ
白河
(
しらかは
)
夜船
(
よぶね
)
を
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
し
寝
(
しん
)
に
就
(
つ
)
く。
093
折柄
(
をりから
)
の
東風
(
こち
)
は
ぴたり
とやみて、
094
肥
(
こ
)
えた
帆
(
ほ
)
は
痩
(
や
)
せしぼみ
極
(
きは
)
めて
静寂
(
せいじやく
)
なり。
095
船客
(
せんきやく
)
の
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
は
眠
(
ねむ
)
りもやらず
雑談
(
ざつだん
)
を
始
(
はじ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
096
甲
(
かふ
)
『オイ、
097
今
(
いま
)
のやさしい
声
(
こゑ
)
はあら
何
(
なん
)
だ。
098
月
(
つき
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも、
099
ナンテ
云
(
い
)
つてるやうだが、
100
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
真
(
しん
)
の
暗
(
やみ
)
だ。
101
照
(
て
)
るも
曇
(
くも
)
るもあつたものか、
102
訳
(
わけ
)
のわからぬ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
だね』
103
乙
(
おつ
)
『
貴様
(
きさま
)
、
104
わからぬ
奴
(
やつ
)
だな。
105
ありや
宣伝歌
(
せんでんか
)
だよ。
106
今晩
(
こんばん
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてるのではないよ。
107
ありや
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
歌
(
うた
)
ふ
神歌
(
しんか
)
だ。
108
よく
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
よ、
109
なかなか
味
(
あぢ
)
があるよ』
110
甲
(
かふ
)
『それでも
貴様
(
きさま
)
、
111
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
だと
云
(
い
)
つたよ。
112
現在
(
げんざい
)
今
(
いま
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてゐよるのだ。
113
貴様
(
きさま
)
は
女
(
をんな
)
宣伝使
(
せんでんし
)
だと
思
(
おも
)
つて
弁護
(
べんご
)
をするのか。
114
本当
(
ほんたう
)
に
抜目
(
ぬけめ
)
のない
奴
(
やつ
)
だ。
115
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
りながら
又
(
また
)
重
(
かさ
)
ねて
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
らうなんて、
116
ソンナ
野心
(
やしん
)
を
起
(
おこ
)
したつて
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
行
(
い
)
つたところで、
117
クレン
と
覆
(
かへ
)
されるのだ。
118
この
間
(
あひだ
)
の
朝日丸
(
あさひまる
)
に
乗
(
の
)
つた
時
(
とき
)
に、
119
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
120
改心
(
かいしん
)
せぬと
何時
(
いつ
)
船
(
ふね
)
が
覆
(
かへ
)
るやら
知
(
し
)
れぬと
云
(
い
)
つてゐたよ』
121
丙
(
へい
)
『
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
かへ
るのかへらぬのと
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふない』
122
甲
(
かふ
)
『ナンボ
船
(
ふね
)
だつて、
123
行
(
ゆ
)
き
切
(
き
)
りにはなりはしない。
124
いづれ
一篇
(
いつぺん
)
は
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るのだ。
125
かへ
らいで
堪
(
たま
)
らうかい。
126
今朝
(
けさ
)
も
出掛
(
でがけ
)
に
俺
(
おれ
)
の
所
(
ところ
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
が、
127
用
(
よう
)
がすみたら
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
頂戴
(
ちやうだい
)
、
128
三笠丸
(
みかさまる
)
に
乗
(
の
)
つて
智利
(
てる
)
の
国
(
くに
)
へ
行
(
い
)
つて、
129
妙
(
めう
)
な
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
みかさ
でもかかぬやうにして、
130
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいねえ、
131
ナンテ
吐
(
ぬ
)
かしよつて、
132
こなさまの
肩
(
かた
)
をトントンと
叩
(
たた
)
きよつた。
133
そしてな、
134
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
妾
(
わたし
)
の
船
(
ふね
)
に、
135
とよ』
136
丙
(
へい
)
『
莫迦
(
ばか
)
にするな。
137
何
(
なん
)
だい
乙姫
(
おとひめ
)
ナンテ、
138
どてかぼちや
の
ひちおたふく
みたやうな
嬶
(
かか
)
を
大事
(
だいじ
)
さうに、
139
乙姫
(
おとひめ
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れるワ。
140
貴様
(
きさま
)
が
智利
(
てる
)
の
国
(
くに
)
で
かさ
でも
被
(
かぶ
)
つて
戻
(
もど
)
つて
来
(
き
)
てな、
141
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
をやつて
貴様
(
きさま
)
の
嬶
(
かか
)
の
鼻
(
はな
)
を
おと
姫
(
ひめ
)
にするのだろ、
142
其処
(
そこ
)
らが
落
(
お
)
ちだよ』
143
乙
(
おつ
)
『オイオイ、
144
三
(
さん
)
人
(
にん
)
も
別嬪
(
べつぴん
)
が
乗
(
の
)
つてゐるぢやないか。
145
そんな
仕様
(
しやう
)
もない
話
(
はなし
)
をすると
愛想
(
あいそ
)
を
尽
(
つ
)
かされるよ』
146
丙
(
へい
)
『
愛想
(
あいそ
)
を
尽
(
つ
)
かされたつて
構
(
かま
)
ふものか。
147
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
の
自由
(
じいう
)
になるのではなし、
148
貴様
(
きさま
)
、
149
矢張
(
やつぱ
)
り
色気
(
いろけ
)
があるね』
150
乙
(
おつ
)
『あらいでかい、
151
この
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
色気
(
いろけ
)
と
自惚
(
うぬぼれ
)
と
欲
(
よく
)
のない
奴
(
やつ
)
があるものか。
152
貴様
(
きさま
)
は
欲
(
よく
)
はない、
153
よくない
奴
(
やつ
)
は
所謂
(
いはゆる
)
悪人
(
あくにん
)
だよ』
154
丙
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かしよる』
155
と
声
(
こゑ
)
を
目当
(
めあて
)
に
頭
(
あたま
)
をポカンとやつつける。
156
乙
『アイタタ、
157
こら
喧嘩
(
けんくわ
)
をするのか。
158
地中海
(
ちちうかい
)
の
汐風
(
しほかぜ
)
に
曝
(
さら
)
したこの
腕
(
うで
)
だぞ。
159
サア
来
(
こ
)
い』
160
と
暗闇
(
くらやみ
)
紛
(
まぎ
)
れに
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて、
161
見当
(
けんたう
)
を
定
(
さだ
)
めてブン
殴
(
なぐ
)
れば、
162
女
『キヤーア』
163
と
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
。
164
乙
『やあ、
165
これは
失敬
(
しつけい
)
。
166
狸
(
たぬき
)
の
奴
(
やつ
)
、
167
替玉
(
かへだま
)
を
使
(
つか
)
ひよつたな。
168
声
(
こゑ
)
を
上
(
あ
)
げぬか、
169
卑怯
(
ひけふ
)
ぢやないか』
170
くらがりから、
171
丙
(
へい
)
『
俺
(
おれ
)
もこんな
ひけふに
陥
(
おちい
)
つては
頭
(
あたま
)
が
上
(
あが
)
らぬワイ。
172
チウ
の
声
(
こゑ
)
も
出
(
で
)
ぬ
事
(
こと
)
はない
事
(
こと
)
はない』
173
丁
(
てい
)
『まるで
鼠
(
ねずみ
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
だなア』
174
と
囁
(
ささや
)
きゐる。
175
忽
(
たちま
)
ち
沖
(
おき
)
のあなたより
荒浪
(
あらなみ
)
狂
(
くる
)
ふ
音
(
おと
)
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
り、
176
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜぬ
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
に、
177
波
(
なみ
)
は
鬣
(
たてがみ
)
を
振
(
ふ
)
つて
舷
(
ふなばた
)
に
噛
(
か
)
みつき
来
(
きた
)
りしが、
178
此
(
この
)
時
(
とき
)
又
(
また
)
もや
男
(
をとこ
)
の
声
(
こゑ
)
として、
179
涼
(
すず
)
しき
宣伝歌
(
せんでんか
)
は
船
(
ふね
)
の
一隅
(
いちぐう
)
より
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
りぬ。
180
(
大正一一・二・一二
旧一・一六
池沢原次郎
録)
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(N)
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