霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二八章 窟(いはや)の邂逅(かいこう)〔四二一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第5篇 百花爛漫 よみ(新仮名遣い):ひゃっからんまん
章:第28章 窟の邂逅 よみ(新仮名遣い):いわやのかいこう 通し章番号:421
口述日:1922(大正11)年02月16日(旧01月20日) 口述場所: 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
梅ケ香姫に宿を申し出た男は、春山彦と名乗った。春山彦の妻・夏姫と、三人の娘たちが梅ケ香姫を出迎えて食事を供した。
夏姫は、後ろの山に密かに石室を築いて大神様を祭っているという。梅ケ香姫に、宣伝歌と神言の奏上を依頼した。案内されて行くと、石室の中からしとやかな宣伝歌が聞こえる。梅ケ香姫は宣伝歌に聞き入っていた。
そこにいたのは二人の姉・松代姫と竹野姫であった。三人が再開に嬉し涙を流す間に、表からは騒々しい物音が聞こえてきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-23 23:19:10 文字数:2467 OBC :rm0928
愛善世界社版:220頁 八幡書店版:第2輯 353頁 修補版: 校定版:228頁 普及版:93頁 初版: ページ備考:
001 冷(ひ)えたる月(つき)は天空(てんくう)に光(ひかり)輝(かがや)き、002木枯(こがらし)の風(かぜ)は肌(はだへ)に沁(し)み渡(わた)り、003骨(ほね)も徹(とほ)さむばかりなる寒(さむ)けき夜(よ)の細道(ほそみち)を一人(ひとり)の男(をとこ)に伴(ともな)はれ、004年(とし)は二八(にはち)か二九(にく)からぬ、005花(はな)の蕾(つぼみ)の梅ケ香姫(うめがかひめ)は、006疲(つか)れし足(あし)もたよたよと、007とある山蔭(やまかげ)の瀟洒(せうしや)たる一(ひと)つ家(や)に伴(ともな)はれ行(ゆ)く。008一人(ひとり)の男(をとこ)は、
009男(春山彦)『私(わたくし)は今(いま)まで途中(とちう)の事(こと)と言(い)ひ、010名前(なまへ)も申上(まをしあ)げませんでしたが、011春山彦(はるやまひこ)と申(まを)す者(もの)で御座(ござ)います。012実(じつ)に見窄(みすぼら)しき荒屋(あばらや)なれど、013どうかゆるゆる御(ご)休息(きうそく)の上(うへ)、014尊(たふと)きお話(はなし)を聴(き)かせて下(くだ)さいませ』
015と挨拶(あいさつ)しながら、016密(ひそ)かに門(もん)の戸(と)を開(ひら)いて梅ケ香姫(うめがかひめ)を迎(むか)へ入(い)れたり。017春(はる)山彦(やまひこ)は手軽(てがる)なる夕餉(ゆふげ)を出(だ)し、018梅ケ香姫(うめがかひめ)と諸共(もろとも)に食膳(しよくぜん)の箸(はし)を採(と)り、019茶漬(ちやづけ)さらさらと茲(ここ)に夕餉(ゆふげ)を済(す)ませたり。020春山彦(はるやまひこ)の娘(むすめ)と見(み)えて、021花(はな)を欺(あざむ)く三(さん)人(にん)の娘(むすめ)は、022叮嚀(ていねい)に会釈(ゑしやく)しながら膳部(ぜんぶ)を片(かた)づける。023春山彦(はるやまひこ)の妻(つま)夏姫(なつひめ)はこの場(ば)に現(あら)はれ、024叮嚀(ていねい)に挨拶(あいさつ)をしながら、
025夏姫『モシ宣伝使(せんでんし)様(さま)、026お年(とし)にも似合(にあ)はぬ、027お道(みち)のために世界(せかい)をお廻(まは)り遊(あそ)ばすとは、028真(まこと)に感心(かんしん)いたします。029妾(わらは)も御覧(ごらん)の通(とほ)り三(さん)人(にん)の娘(むすめ)を持(も)つて居(を)りますが、030何(ど)れも此(こ)れも嬢(ぢやう)さま育(そだ)ちで、031門(もん)へ一(ひと)つ出(で)るのにも、032風(かぜ)が当(あた)るの、033風(かぜ)をひくの、034恥(はづ)かしいのと申(まを)して、035親(おや)の懐(ふところ)ばかりに甘(あま)えて居(を)りますにも拘(かかは)らず、036貴女(あなた)様(さま)の雄々(をを)しき御(おん)志(こころざし)、037真(まこと)に感(かん)じ入(い)りました。038私(わたくし)も今年(ことし)の夏(なつ)の初(はじ)め頃(ごろ)より、039三五教(あななひけう)の信者(しんじや)となり、040神(かみ)様(さま)を祀(まつ)つて信仰(しんかう)を致(いた)して居(を)りますが、041何分(なにぶん)にも此処(ここ)は高砂(たかさご)の島(しま)から常世(とこよ)の国(くに)へ渡(わた)る喉首(のどくび)、042常世(とこよ)神王(しんわう)の宰相司(さいしやうがみ)鷹取別(たかとりわけ)の権力(けんりよく)強(つよ)く、043三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)がここを通(とほ)つたならば、044一人(ひとり)も残(のこ)らず縛(しば)り上(あ)げて、045常世城(とこよじやう)へ連(つ)れ参(まゐ)れとの厳(きび)しき布令(ふれ)が廻(まは)りまして、046誰(たれ)も彼(かれ)もこの国人(くにびと)は欲(よく)に迷(まよ)ひ褒美(ほうび)に与(あづか)らうとして、047昼(ひる)も夜(よ)も宣伝使(せんでんし)の通行(つうかう)を探(さが)して居(ゐ)るやうな次第(しだい)でございます。048夫(をつと)春山彦(はるやまひこ)は信仰(しんかう)の強(つよ)い者(もの)でありまして、049夏(なつ)の初(はじ)め智利(てる)の国(くに)から此方(こちら)へ帰(かへ)つて来(く)る際(さい)、050アタル丸(まる)の船中(せんちう)において美(うつく)しい姉妹(おとどい)三(さん)人(にん)の宣伝使(せんでんし)の歌(うた)を聞(き)いて、051今(いま)まで奉(ほう)じてゐたウラル教(けう)をスツカリ止(や)め、052三五教(あななひけう)に転(てん)じましたのでございます。053然(しか)るに表向(おもてむ)き三五教(あななひけう)を信(しん)ずれば、054常世(とこよ)神王(しんわう)様(さま)の御(ご)気勘(きかん)に叶(かな)はぬので、055何(ど)んな責苦(せめく)に遇(あ)はされやうも知(し)れませぬ故(ゆゑ)、056密(ひそ)かに後(うしろ)の山(やま)に岩屋戸(いはやど)を築(きづ)き、057石室(いしむろ)の中(なか)に祀(まつ)つて居(を)ります。058可(か)なり広(ひろ)い座敷(ざしき)でございますれば、059何卒(どうぞ)一度(いちど)、060神(かみ)様(さま)に宣伝歌(せんでんか)と神言(かみごと)を奏上(そうじやう)して下(くだ)さいませぬか』
061梅ケ香姫『有難(ありがた)うございます。062危(あやふ)ふき処(ところ)を助(たす)けられ御恩(ごおん)の返(かへ)しやうも御座(ござ)いませぬ。063左様(さやう)ならば神(かみ)様(さま)に神言(かみごと)を奏上(あげ)さして戴(いただ)きませう』
064 夏姫(なつひめ)は、
065夏姫『妾(わらは)が案内(あんない)いたしませう』
066と先(さき)に立(た)つて裏庭(うらには)を越(こ)え、067広(ひろ)き巌窟(がんくつ)の傍(かたはら)に伴(ともな)ひ行(ゆ)く。
068 石室(いしむろ)の中(なか)には、069淑(しと)やかなる女(をんな)の声(こゑ)にて宣伝歌(せんでんか)が聞(きこ)えて居(を)る。070夏姫(なつひめ)は梅ケ香姫(うめがかひめ)に向(むか)ひ、
071夏姫『サア、072どうぞ此(この)戸(と)を向(むか)ふへ押(お)して下(くだ)さいますれば、073可(か)なり広(ひろ)い間(ま)がございまして、074大神(おほかみ)様(さま)が祀(まつ)つてございます。075どうぞ神言(かみごと)を奏上(そうじやう)して下(くだ)さいまして、076悠(ゆる)りと御(ご)休息(きうそく)なさいませ。077表(おもて)に少(すこ)しく用(よう)がございますから、078妾(わらは)は是(これ)にて失礼(しつれい)いたします』
079と本宅(ほんたく)の方(はう)へ姿(すがた)を隠(かく)したり。
080 梅ケ香姫(うめがかひめ)は戸口(とぐち)に立(た)つて、081室内(しつない)の宣伝歌(せんでんか)を床(ゆか)しげに聞(き)いてゐる。
082声(松代姫、竹野姫)『天地(てんち)の神(かみ)の守(まも)ります
083美(うま)しの御国(みくに)に生(うま)れたる
084青人草(あをひとぐさ)のここかしこ
085茂(しげ)り栄(さか)ゆるその中(なか)に
086この世(よ)の花(はな)と謳(うた)はれし
087高天原(たかあまはら)の貴(うづ)の宮(みや)
088神(かみ)の長(をさ)なる桃上彦(ももがみひこ)の
089父(ちち)の命(みこと)の御跡辺(みあとべ)を
090日(ひ)に夜(よ)に恋(こ)ひつ慕(した)ひつつ
091雨(あめ)の夕(ゆふべ)や風(かぜ)の朝(あさ)
092心(こころ)をいため暮(くら)したる
093松竹梅(まつたけうめ)の姉妹(おとどい)が
094心(こころ)の暗(やみ)を晴(は)らさむと
095花(はな)咲(さ)く春(はる)の上三日(かみみつか)
096花(はな)の都(みやこ)を立(た)ち出(い)でて
097山川(やまかは)渡(わた)り海原(うなばら)の
098浪(なみ)おし分(わ)けてやうやうに
099智利(てる)の港(みなと)に着(つ)きにけり
100朝日(あさひ)もてるの港(みなと)より
101大蛇(をろち)の船(ふね)に乗(の)せられて
102空(そら)鳴(な)き渡(わた)る杜鵑(ほととぎす)
103悲(かな)しき三人(みたり)の姉妹(おとどい)が
104心(こころ)も清(きよ)き照彦(てるひこ)の
105御供(みとも)の神(かみ)と諸共(もろとも)に
106菖蒲(あやめ)も匂(にほ)ふ五月空(さつきぞら)
107五日(いつか)の宵(よひ)に嬉(うれ)しくも
108珍(うづ)の館(やかた)のわが父(ちち)に
109父子(ふし)の縁(えにし)の浅(あさ)からず
110神(かみ)の恵(めぐ)みに助(たす)けられ
111会(あ)うて嬉(うれ)しき相生(あひおひ)の
112祝(いは)ひの宴席(むしろ)とこしへに
113喜(よろこ)ぶ間(ま)もなく惟神(かむながら)
114神(かみ)の教(をしへ)を開(ひら)かむと
115四男(よなん)三女(さんによ)の宣伝使(せんでんし)
116父(ちち)の館(やかた)を後(あと)にして
117智利山(てるやま)峠(たうげ)の頂(いただ)きに
118立(た)ちて都(みやこ)を振返(ふりかへ)り
119父母(ふぼ)に名残(なごり)を惜(を)しみつつ
120ハルの港(みなと)[※他の箇所では「ハラの港」と呼ばれている]を船出(ふなで)して
121秘露(ひる)とカルとの国境(くにざかひ)
122アタルの港(みなと)を後(あと)になし
123神(かみ)の御稜威(みいづ)も高照(たかてる)の
124御山(みやま)を越(こ)えて進(すす)み来(く)る
125歩(あゆ)みも軽(かる)きカルの国(くに)
126ここに三人(みたり)の姉妹(おとどい)は
127袂(たもと)を分(わか)ちめいめいに
128三五教(あななひけう)の宣伝歌(せんでんか)
129歌(うた)ひて進(すす)む折柄(をりから)に
130間(はざま)の国(くに)に差掛(さしかか)る
131頃(ころ)しも秋(あき)の末(すゑ)つ方(かた)
132冬(ふゆ)の境(さかひ)の木枯(こがらし)に
133吹(ふ)かれて艱(なや)む旅(たび)の空(そら)
134鷹取別(たかとりわけ)の目付(めつけ)らに
135虐(しひた)げられて玉(たま)の緒(を)の
136息(いき)も絶(た)えなむその時(とき)に
137花(はな)も実(み)もある春山彦(はるやまひこ)の
138神(かみ)の命(みこと)に助(たす)けられ
139この世(よ)を忍(しの)ぶ松代姫(まつよひめ)
140竹野(たけの)の姫(ひめ)は今(いま)ここに
141美(うつ)しき顔(かほ)を見合(みあ)はせて
142神(かみ)の御言(みこと)を宣(の)りつれど
143心(こころ)にかかるは梅ケ香姫(うめがかひめ)
144わが妹(いもうと)の一人旅(ひとりたび)
145いづくの果(はて)に漂浪(さすらひ)の
146旅(たび)に足(あし)をや痛(いた)むらむ
147あゝ懐(なつ)かしき妹(いもうと)よ
148あゝうつくしき梅ケ香(うめがか)の
149姫(ひめ)の命(みこと)よ松竹(まつたけ)の
150姉(あね)の心(こころ)も白浪(しらなみ)の
151大海原(おほうなばら)に漂(ただよ)ふか
152荒野(あらの)の果(はて)にさまよふか
153心(こころ)慢(おご)れる鷹取別(たかとりわけ)の
154曲(まが)の手下(てした)の曲神(まがかみ)に
155虐(しひた)げられて千万(ちよろづ)の
156責苦(せめく)に遇(あ)うて苦(くる)しむか
157聞(き)かまほしきは妹(いもうと)の
158便(たよ)りなりけりいたはしや
159会(あ)ひたさ見(み)たさ懐(なつか)しと
160思(おも)へば心(こころ)もかき曇(くも)る
161この世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
162心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
163唯(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
164直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)し
165三五教(あななひけう)の御教(みをしへ)を
166思(おも)ひ廻(まは)せば廻(まは)す程(ほど)
167妹(いもと)の行方(ゆくへ)偲(しの)ばれて
168涙(なみだ)のかわく暇(ひま)もなし
169あゝわが涙(なみだ)この涙(なみだ)
170天(てん)に昇(のぼ)りて雨(あめ)となり
171雪(ゆき)ともなりて世(よ)の人(ひと)の
172心(こころ)の玉(たま)を洗(あら)へかし
173力(ちから)に思(おも)ふ照彦(てるひこ)の
174下僕(しもべ)の神(かみ)は今(いま)何処(いづこ)
175曲神(まがみ)の猛(たけ)ぶ黄泉島(よもつじま)
176黄泉(よもつ)の国(くに)に渡(わた)れるか
177常世(とこよ)の国(くに)にさまよふか
178せめては空(そら)行(ゆ)く雁(かりがね)の
179便(たよ)りもがもと思(おも)へども
180この世(よ)を忍(しの)ぶ今(いま)の身(み)の
181何(なん)と詮方(せんかた)なくばかり
182誠(まこと)の神(かみ)よ皇神(すめかみ)よ
183わが妹(いもうと)や照彦(てるひこ)に
184一日(ひとひ)も早(はや)く会(あ)はしませ
185一日(ひとひ)も早(はや)く会(あ)はせまし
186あゝ梅ケ香(うめがか)よ妹(いもうと)よ
187あゝ妹(いもうと)よ照彦(てるひこ)よ』
188と歌(うた)つてゐる。189梅ケ香姫(うめがかひめ)はこの声(こゑ)を聞(き)いて、190かつ驚(おどろ)きかつ悦(よろこ)び、191静(しづ)かに戸(と)を開(あ)けて一室(ひとま)の内(うち)にまろび込(こ)み、
192梅ケ香姫『あゝ恋(こひ)しき姉上(あねうへ)様(さま)』
193と言(い)つたきり、194嬉(うれ)しさに言葉(ことば)詰(つま)つて泣(な)くばかりなり。
195 松代姫(まつよひめ)、196竹野姫(たけのひめ)は思(おも)はぬ姉妹(きやうだい)の対面(たいめん)に、197狂喜(きやうき)の涙(なみだ)堰(せ)きあへず、198三(さん)人(にん)は無言(むごん)のまま嬉(うれ)し涙(なみだ)に咽(むせ)ぶのみなり。
199 折(をり)しも表(おもて)に当(あた)つて騒々(さうざう)しき物音(ものおと)聞(きこ)え来(きた)る。200アヽこの三(さん)人(にん)の娘(むすめ)の運命(うんめい)は如何(いか)になるべきか、201心許(こころもと)なき次第(しだい)なり。
202(大正一一・二・一六 旧一・二〇 森良仁録)
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