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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第10巻(酉の巻)
序歌
凡例
総説歌
信天翁(一)
第1篇 千軍万馬
第1章 常世城門
第2章 天地暗澹
第3章 赤玉出現
第4章 鬼鼻団子
第5章 狐々怪々
第6章 額の裏
第7章 思はぬ光栄
第8章 善悪不可解
第9章 尻藍
第10章 注目国
第11章 狐火
第12章 山上瞰下
第13章 蟹の将軍
第14章 松風の音
第15章 言霊別
第16章 固門開
第17章 乱れ髪
第18章 常世馬場
第19章 替玉
第20章 還軍
第21章 桃の実
第22章 混々怪々
第23章 神の慈愛
第24章 言向和
第25章 木花開
第26章 貴の御児
第2篇 禊身の段
第27章 言霊解一
第28章 言霊解二
第29章 言霊解三
第30章 言霊解四
第31章 言霊解五
第3篇 邪神征服
第32章 土竜
第33章 鰤公
第34章 唐櫃
第35章 アルタイ窟
第36章 意想外
第37章 祝宴
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(三)
余白歌
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第10巻(酉の巻)
> 第1篇 千軍万馬 > 第5章 狐々怪々
<<< 鬼鼻団子
(B)
(N)
額の裏 >>>
第五章
狐々
(
こンこン
)
怪々
(
くわいくわい
)
〔四三五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
篇:
第1篇 千軍万馬
よみ(新仮名遣い):
せんぐんばんば
章:
第5章 狐々怪々
よみ(新仮名遣い):
こんこんかいかい
通し章番号:
435
口述日:
1922(大正11)年02月19日(旧01月23日)
口述場所:
筆録者:
東尾吉雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年8月20日
概要:
舞台:
常世城
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ロッキー山の命令を聞いた常世神王は、お気に入りの三姉妹を差し出すのに忍びず、身代わりとして、間の国の春山彦の三人娘を差し出そうとする。早速遠山別が三人娘を迎えに間の国へと出立した。
そこへ、間の国で捕らえた三五教の宣伝使・照彦が護送されてきた。照彦は護送の駕籠からでると、座敷にどっかと座して常世城の没落を不適にも予言すると、笑い声と共にどこかへ消えてしまった。
一同はあっけに取られたが、竹山彦は狐のいたずらであろう、と笑っている。
そこへ門番の蟹彦が、照彦が門前で現れて暴れている、と注進があった。急いで駆けつけると、そこには誰もおらず、ただ月が皓皓と照っているのみであった。
彼方の森からは狐の鳴き声が聞こえてくる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-24 01:41:02
OBC :
rm1005
愛善世界社版:
42頁
八幡書店版:
第2輯 405頁
修補版:
校定版:
45頁
普及版:
19頁
初版:
ページ備考:
001
美山別
(
みやまわけ
)
、
002
国玉姫
(
くにたまひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
上使
(
じやうし
)
の
悠々
(
いういう
)
と
帰
(
かへ
)
りし
後
(
あと
)
の
奥殿
(
おくでん
)
は、
003
何
(
なん
)
となく
一座
(
いちざ
)
白
(
しら
)
けて、
004
互
(
たがひ
)
に
吐息
(
といき
)
の
聞
(
きこ
)
ゆるのみ。
005
竹山彦
『ワハヽヽヽヽ、
006
何
(
なん
)
とまあ、
007
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
まま
ならぬものだなア。
008
吾々
(
われわれ
)
が
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
し
心
(
こころ
)
を
竭
(
つく
)
して
照山彦
(
てるやまひこ
)
と
二人
(
ふたり
)
で、
009
松
(
まつ
)
、
010
竹
(
たけ
)
、
011
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
此処
(
ここ
)
までお
供
(
とも
)
を
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げ、
012
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
機嫌斜
(
きげんなな
)
めならず、
013
吾々
(
われわれ
)
もお
蔭
(
かげ
)
で
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
にお
賞
(
ほ
)
めの
詞
(
ことば
)
を
戴
(
いただ
)
いて
喜
(
よろこ
)
ぶ
間
(
ま
)
もなく、
014
有為
(
うゐ
)
転変
(
てんぺん
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
とは
云
(
い
)
ひながら、
015
変
(
かは
)
れば
変
(
かは
)
るものだなア。
016
手
(
て
)
を
覆
(
くつが
)
へせば
雲
(
くも
)
となり、
017
手
(
て
)
を
翻
(
ひるが
)
へせば
雨
(
あめ
)
となる。
018
折角
(
せつかく
)
喜
(
よろこ
)
んで
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
019
常世城
(
とこよじやう
)
内
(
ない
)
に
錦上
(
きんじやう
)
更
(
さら
)
に
花
(
はな
)
を
添
(
そ
)
へたと
思
(
おも
)
つたのは
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
、
020
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
幻
(
まぼろし
)
か、
021
ロッキー
山
(
ざん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
より、
022
松
(
まつ
)
、
023
竹
(
たけ
)
、
024
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
速
(
すみや
)
かに
生擒
(
いけどり
)
にして
送
(
おく
)
つて
来
(
こ
)
いとの
御
(
ご
)
厳命
(
げんめい
)
、
025
あれ
程
(
ほど
)
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
のよい
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
に、
026
如何
(
どう
)
してその
厳命
(
げんめい
)
を
伝
(
つた
)
へられやうか。
027
屹度
(
きつと
)
掌中
(
しやうちう
)
の
玉
(
たま
)
を
奪
(
と
)
られたやうに、
028
失望
(
しつばう
)
落胆
(
らくたん
)
の
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しづ
)
まれるのは
見
(
み
)
えるやうだ。
029
マアマアお
役目柄
(
やくめがら
)
、
030
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
は
下役
(
したやく
)
の
竹山彦
(
たけやまひこ
)
は
都合
(
つがふ
)
がいいワイ。
031
サアサア
鷹取別
(
たかとりわけ
)
さま、
032
上使
(
じやうし
)
の
趣
(
おもむき
)
、
033
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
へ
御
(
ご
)
奏上
(
そうじやう
)
遊
(
あそ
)
ばさるがよからう』
034
鷹取別
(
たかとりわけ
)
、
035
鼻
(
はな
)
のベシヤゲた
顔
(
かほ
)
をあげて、
036
鷹取別
『フガフガホンガ……ホンナホトハ、
037
ハタハタハタドリハケガフハズトモ、
038
フチノヨウヒク、
039
ハケハマヒコガ、
040
ソソモンヒテフレ』
041
竹山彦
『フガフガフガ、
042
ホンナホトハなんて、
043
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だか
竹山彦
(
たけやまひこ
)
にはさつぱり
分
(
わか
)
りやしない。
044
ハナハナもつて
困
(
こま
)
り
入
(
い
)
つた。
045
ヤア、
046
仕方
(
しかた
)
がない、
047
遠山別
(
とほやまわけ
)
さまの
番
(
ばん
)
だ。
048
フヤクホウジヨウハサレハセ』
049
遠山別
(
とほやまわけ
)
は
苦虫
(
にがむし
)
を
噛
(
か
)
むだやうな
面付
(
つらつき
)
しながら、
050
むつく
と
立
(
た
)
ち、
051
寝殿
(
しんでん
)
目蒐
(
めが
)
けて
足
(
あし
)
重
(
おも
)
たげに、
052
ノソリノソリと
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
053
竹山彦
『
折角
(
せつかく
)
生命
(
いのち
)
がけになつて
猪
(
しし
)
を
捕
(
と
)
つた
犬
(
いぬ
)
が、
054
猟師
(
れふし
)
に
鉄砲
(
てつぱう
)
の
台
(
だい
)
で
頭
(
あたま
)
を
こづかれ
たやうなものだなア。
055
酒屋
(
さかや
)
へ
三
(
さん
)
里
(
り
)
、
056
豆腐屋
(
とうふや
)
へ
五
(
ご
)
里
(
り
)
の
山坂
(
やまさか
)
を
越
(
こ
)
えて、
057
漸
(
やうや
)
う
油揚
(
あぶらあげ
)
を
買
(
か
)
つて
大方
(
おほかた
)
家
(
うち
)
の
軒
(
のき
)
まで
帰
(
かへ
)
つた
時
(
とき
)
に、
058
空
(
そら
)
の
鳶
(
とび
)
に
禿頭
(
はげあたま
)
をコツンとやられて、
059
吃驚
(
びつくり
)
して
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かした
矢先
(
やさき
)
、
060
油揚
(
あぶらあげ
)
を
攫
(
さら
)
へて
去
(
い
)
なれたやうな、
061
面白
(
おもしろ
)
からぬ
有難
(
ありがた
)
くもない
怪体
(
けつたい
)
な
場面
(
ばめん
)
だ。
062
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
も
短
(
みじか
)
い
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
られたものだ。
063
今夜
(
こん
や
)
のやうな
こん
な
結構
(
けつこう
)
な、
064
丸
(
まる
)
で
婚礼
(
こん
れい
)
見
(
み
)
たやうに、
065
目出度
(
めでた
)
いめでたいと
よろ
こん
だ
間
(
ま
)
もなく、
066
コン
コン
さまに
魅
(
つま
)
まれたやうに、
067
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やらさつぱり
コン
と
訳
(
わけ
)
が
判
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
になつて
了
(
しま
)
うた。
068
それだから
コン
タン
は
夢
(
ゆめ
)
の
枕
(
まくら
)
と
云
(
い
)
ふのだ。
069
ああ、
070
コン
コン
チキチン
、
071
コン
チキチン
だ。
072
春山彦
(
はるやまひこ
)
が
よろ
こん
で
隠
(
かく
)
まうて
居
(
を
)
つた
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
を、
073
鷹取別
(
たかとりわけ
)
が
鷹
(
たか
)
が
雀
(
すずめ
)
を
掴
(
つか
)
むやうに
引奪
(
ひつたく
)
つて
帰
(
かへ
)
つて、
074
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
に
賞
(
ほ
)
めてもらつて、
075
鼻高々
(
はなたかだか
)
と
今夜
(
こんや
)
は
帰
(
かへ
)
つて
女房
(
にようばう
)
に
自慢
(
じまん
)
をしようと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たのに、
076
鼻
(
はな
)
はメシヤゲて
こん
な
態
(
ざま
)
、
077
それについても
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
の
広国別
(
ひろくにわけ
)
さま、
078
今夜
(
こん
や
)
の
驚
(
おどろ
)
きはお
察
(
さつ
)
し
申
(
まを
)
す。
079
コン
ナ
コン
トラストが
又
(
また
)
と
世界
(
せかい
)
にあるものか。
080
鼈
(
すつぽん
)
に
尻
(
しり
)
をぬかれたと
言
(
い
)
はうか、
081
嘘
(
うそ
)
を
月夜
(
つきよ
)
に
釜
(
かま
)
をぬかれたと
言
(
い
)
はうか、
082
たとへ
方
(
がた
)
ない
今晩
(
こん
ばん
)
の
仕儀
(
しぎ
)
、
083
実
(
じつ
)
に
コン
難
(
なん
)
コン
窮
(
きう
)
の
至
(
いた
)
りだ。
084
コン
コン
チキチン
、
085
コン
チキチン
だ』
086
照山彦
(
てるやまひこ
)
『オイ
竹山彦
(
たけやまひこ
)
、
087
ソンナ
無駄口
(
むだぐち
)
を
言
(
い
)
つてる
場合
(
ばあひ
)
ぢやなからう。
088
何
(
なん
)
とか
善後策
(
ぜんごさく
)
を
講
(
かう
)
じなくてはならないのだ。
089
お
前
(
まへ
)
もいよいよ
鷹取別
(
たかとりわけ
)
さまと
肩
(
かた
)
を
並
(
なら
)
べる
様
(
やう
)
になつたのも、
090
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
首尾
(
しゆび
)
よく
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
つたお
蔭
(
かげ
)
ぢやないか。
091
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
のお
心
(
こころ
)
をお
察
(
さつ
)
し
申
(
まを
)
せば、
092
そんな
気楽
(
きらく
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
うて
居
(
を
)
られるかい』
093
竹山彦
『ハテ、
094
困
(
こま
)
つたなア、
095
誰
(
たれ
)
ぞよい
智慧
(
ちゑ
)
貸
(
か
)
しては
呉
(
く
)
れまいか、
096
この
竹山彦
(
たけやまひこ
)
に』
097
かかる
処
(
ところ
)
へ、
098
広国別
(
ひろくにわけ
)
の
偽
(
にせ
)
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
は、
099
遠山別
(
とほやまわけ
)
を
従
(
したが
)
へこの
場
(
ば
)
に
現
(
あらは
)
れ、
100
気分
(
きぶん
)
勝
(
すぐ
)
れぬ
面
(
おも
)
もちにて、
101
常世神王(広国別)
『アイヤ
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
、
102
松
(
まつ
)
、
103
竹
(
たけ
)
、
104
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を、
105
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
くロッキー
山
(
ざん
)
の
館
(
やかた
)
にお
送
(
おく
)
り
申
(
まを
)
さなくてはならぬ。
106
ぢやと
申
(
まを
)
して……』
107
竹山彦
(
たけやまひこ
)
『
ぢや
と
申
(
まを
)
して、
108
鬼
(
おに
)
と
申
(
まを
)
して、
109
虎
(
とら
)
と
申
(
まを
)
して、
110
竹山彦
(
たけやまひこ
)
には
何
(
なん
)
とも、
111
しし
仕様
(
しやう
)
がありませぬワイ。
112
これは
一
(
ひと
)
つ
鷹取別
(
たかとりわけ
)
さまに
智慧
(
ちゑ
)
を
貸
(
か
)
して
貰
(
もら
)
ひませう。
113
モシモシ、
114
ハタホリアケハン、
115
ホイケンハ、
116
ホウデホザリマス』
117
とわざと
鼻声
(
はなごゑ
)
を
出
(
だ
)
す。
118
鷹取別
(
たかとりわけ
)
は、
119
鷹取別
『フガフガフガ』
120
と
解
(
わか
)
らぬ
言語
(
げんご
)
を
続
(
つづ
)
けるのみ。
121
常世神王(広国別)
『
折角
(
せつかく
)
予
(
よ
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
つたる
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
、
122
お
渡
(
わた
)
し
申
(
まを
)
すは
本意
(
ほんい
)
なれど、
123
今
(
いま
)
暫
(
しばら
)
く
当
(
たう
)
城内
(
じやうない
)
に
留
(
とど
)
め
置
(
お
)
きたし。
124
吾
(
われ
)
聞
(
き
)
く、
125
春山彦
(
はるやまひこ
)
には、
126
月
(
つき
)
、
127
雪
(
ゆき
)
、
128
花
(
はな
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
花
(
はな
)
の
如
(
ごと
)
き
娘
(
むすめ
)
ありとのこと、
129
手段
(
てだて
)
を
以
(
もつ
)
て
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
130
身代
(
みがは
)
りとしてロッキー
山
(
ざん
)
に
送
(
おく
)
らば
如何
(
いか
)
に』
131
遠山別
『イヤ、
132
遉
(
さすが
)
は
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
さま、
133
天晴
(
あつぱ
)
れの
妙案
(
めうあん
)
、
134
遠山別
(
とほやまわけ
)
言葉
(
ことば
)
を
構
(
かま
)
へ、
135
これより
間
(
はざま
)
の
国
(
くに
)
に
向
(
むか
)
ひ、
136
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
召
(
め
)
し
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
らせませう』
137
常世神王(広国別)
『
委細
(
ゐさい
)
は
汝
(
なんぢ
)
に
任
(
まか
)
す。
138
よきに
取
(
と
)
り
計
(
はか
)
らへよ』
139
竹山彦
『ワハヽヽヽ、
140
妙案
(
めうあん
)
々々
(
めうあん
)
妙
(
めう
)
ちきチン、
141
コン
コン
チキチン
、
142
コン
チキチン
、
143
竹山彦
(
たけやまひこ
)
、
144
カンカンチキチン、
145
カンチキチン』
146
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へ、
147
目付役
(
めつけやく
)
の
雁若
(
かりわか
)
は
慌
(
あわただ
)
しく
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
り、
148
雁若
『
申上
(
まをしあ
)
げます。
149
ただいま
中依別様
(
なかよりわけさま
)
、
150
間
(
はざま
)
の
国
(
くに
)
より
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
151
照彦
(
てるひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
豪
(
がう
)
の
者
(
もの
)
を
唐丸
(
たうまる
)
駕籠
(
かご
)
に
乗
(
の
)
せ
御
(
ご
)
帰城
(
きじやう
)
でございます。
152
如何
(
いかが
)
取
(
と
)
り
計
(
はか
)
らひませうか』
153
常世神王(広国別)
『アイヤ、
154
遠山別
(
とほやまわけ
)
、
155
その
他
(
た
)
一同
(
いちどう
)
の
者
(
もの
)
、
156
中依別
(
なかよりわけ
)
の
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
りし
照彦
(
てるひこ
)
とやらを、
157
この
庭前
(
ていぜん
)
に
引
(
ひ
)
き
据
(
す
)
ゑ、
158
詳細
(
しやうさい
)
なる
訊問
(
じんもん
)
いたせ』
159
一同
(
いちどう
)
『ハハーツ』
160
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
は
悠々
(
いういう
)
として
寝殿
(
しんでん
)
さして
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
161
○
162
(
話
(
はなし
)
は
少
(
すこ
)
し
元
(
もと
)
へ
返
(
かへ
)
る)
163
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り
悠々
(
いういう
)
と
意気
(
いき
)
衝天
(
しようてん
)
の
鼻息
(
はないき
)
荒
(
あら
)
く、
164
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
照彦
(
てるひこ
)
を
捕
(
とら
)
へて、
165
常世城
(
とこよじやう
)
の
門前
(
もんぜん
)
に
立帰
(
たちかへ
)
つたる
中依別
(
なかよりわけ
)
は、
166
門
(
もん
)
の
戸
(
と
)
叩
(
たた
)
いて
大音声
(
だいおんじやう
)
。
[
※
照彦(白狐が化けた偽者)が中依別に捕まるシーンは第9巻第36章「偽神懸」にある。
]
167
中依別
『アイヤ、
168
門番
(
もんばん
)
、
169
中依別
(
なかよりわけ
)
なるぞ。
170
速
(
すみや
)
かにこの
門
(
もん
)
開
(
ひら
)
け』
171
蟹彦
(
かにひこ
)
『ヤ、
172
ナンヂヤ、
173
又
(
また
)
妙
(
めう
)
な
奴
(
やつ
)
がやつて
来
(
き
)
たのでないかな。
174
中
(
なか
)
よりアケ
なんて、
175
決
(
きま
)
つたことを
言
(
い
)
ひよるワイ。
176
閂
(
かんぬき
)
のした
門
(
もん
)
を、
177
中
(
なか
)
より
開
(
あ
)
け
るのは
当然
(
あたりまへ
)
だ。
178
外
(
そと
)
より
開
(
あ
)
けられる
門
(
もん
)
なら、
179
外
(
そと
)
から
呶鳴
(
どな
)
らなくても、
180
黙
(
だま
)
つて
開
(
あ
)
けて
這入
(
はい
)
ればいいのだ』
181
とつぶやきながら、
182
閂
(
かんぬき
)
を
左右
(
さいう
)
にソツと
開
(
ひら
)
いた。
183
中依別
(
なかよりわけ
)
は
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
りながら、
184
中依別
『アイヤ、
185
蟹彦
(
かにひこ
)
、
186
夜中
(
やちう
)
に
開門
(
かいもん
)
大儀
(
たいぎ
)
であつた。
187
この
駕籠
(
かご
)
が
通
(
とほ
)
つた
後
(
あと
)
は、
188
門扉
(
もんぴ
)
を
堅
(
かた
)
く
閉
(
し
)
め
守
(
まも
)
れよ。
189
ヤアヤア
家来
(
けらい
)
の
者共
(
ものども
)
、
190
大儀
(
たいぎ
)
であつた。
191
汝
(
なんぢ
)
らは
各自
(
めいめい
)
家
(
いへ
)
に
帰
(
かへ
)
り
休息
(
きうそく
)
せよ』
192
と
云
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
てて
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
193
中依別
(
なかよりわけ
)
は
中門
(
なかもん
)
の
外
(
そと
)
にて
馬
(
うま
)
をヒラリと
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
り、
194
馬
(
うま
)
の
鬣
(
たてがみ
)
、
195
顔
(
かほ
)
、
196
首
(
くび
)
などを
撫
(
な
)
で
擦
(
さす
)
りながら、
197
中依別
『ヤア、
198
鹿毛
(
かげ
)
よ、
199
長々
(
ながなが
)
苦労
(
くらう
)
をかけた。
200
ゆつくり
廐
(
うまや
)
へ
行
(
い
)
つて
休
(
やす
)
んでくれ』
201
蟹彦
(
かにひこ
)
は
腰
(
こし
)
から
上
(
うへ
)
の
横
(
よこ
)
に
曲
(
まが
)
つた、
202
細長
(
ほそなが
)
き
身体
(
からだ
)
を
揺
(
ゆす
)
りながら
馳
(
は
)
せ
来
(
きた
)
り、
203
駕籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
を
一寸
(
ちよつと
)
覗
(
のぞ
)
き、
204
蟹彦
『イヤー』
205
と
又
(
また
)
もや
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かして
大地
(
だいち
)
に
倒
(
たふ
)
れ
伏
(
ふ
)
す。
206
中門
(
なかもん
)
はサツと
開
(
ひら
)
かれ、
207
中依別
(
なかよりわけ
)
は
駕籠
(
かご
)
を
舁
(
かつ
)
がせながら
奥深
(
おくふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
208
庭先
(
にはさき
)
に
駕籠
(
かご
)
を
下
(
おろ
)
させ、
209
中依別
『
只今
(
ただいま
)
無事
(
ぶじ
)
帰城
(
きじやう
)
致
(
いた
)
しました。
210
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
照彦
(
てるひこ
)
、
211
よく
御
(
おん
)
検視
(
あらため
)
下
(
くだ
)
さいませ』
212
竹山彦
(
たけやまひこ
)
『ヤー、
213
これはこれは
中依別
(
なかよりわけ
)
殿
(
どの
)
、
214
お
手柄
(
てがら
)
お
手柄
(
てがら
)
、
215
定
(
さだ
)
めて
別嬪
(
べつぴん
)
で
御座
(
ござ
)
らうな』
216
中依別
『イヤ、
217
なに
竹山彦
(
たけやまひこ
)
殿
(
どの
)
、
218
八字髭
(
はちじひげ
)
を
生
(
は
)
やした、
219
筋骨
(
きんこつ
)
逞
(
たくま
)
しき
鬼
(
おに
)
をも
取
(
と
)
りひしぐ
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
でござる、
220
御
(
ご
)
油断
(
ゆだん
)
あらせられるな』
221
鷹取別
(
たかとりわけ
)
は
鼻声
(
はなごゑ
)
にて、
222
鷹取別
『ホレハホレハ、
223
ハカハカヒヨリワケカ、
224
ヒヤクメ、
225
ハイギハイギ』
226
竹山彦
(
たけやまひこ
)
『
百目
(
ひやくめ
)
、
227
二百目
(
にひやくめ
)
、
228
一貫目
(
いつくわんめ
)
、
229
三十
(
さんじふ
)
貫目
(
くわんめ
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
、
230
さぞ
重
(
おも
)
かつたでござんせうな』
231
照山彦
『
竹山彦
(
たけやまひこ
)
殿
(
どの
)
、
232
冗戯
(
じようだん
)
も
時
(
とき
)
にこそよれ、
233
櫛風
(
しつぷう
)
沐雨
(
もくう
)
、
234
難
(
なん
)
を
冒
(
をか
)
して
使命
(
しめい
)
を
全
(
まつた
)
うし、
235
漸
(
やうや
)
く
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
りし
中依別
(
なかよりわけ
)
殿
(
どの
)
、
236
鄭重
(
ていちよう
)
に
御
(
おん
)
待遇
(
もてなし
)
なさらぬか、
237
照山彦
(
てるやまひこ
)
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
申
(
まを
)
す』
238
駕籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
より、
239
照彦(戸山津見)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
照彦
(
てるひこ
)
とは
仮
(
かり
)
の
名
(
な
)
、
240
一
(
ひと
)
、
241
二
(
ふた
)
、
242
三
(
み
)
、
243
四
(
よ
)
、
244
五
(
いつ
)
、
245
六
(
むゆ
)
、
246
七
(
なな
)
、
247
八
(
や
)
、
248
九
(
ここの
)
、
249
十
(
たり
)
、
250
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ひし
戸山
(
とやま
)
津見
(
づみ
)
の
神
(
かみ
)
、
251
見参
(
けんざん
)
せむ』
252
竹山彦
(
たけやまひこ
)
『ヤア、
253
これは
中々
(
なかなか
)
手強
(
てごわ
)
き
奴
(
やつ
)
でござる。
254
アイヤ
方々
(
かたがた
)
、
255
御
(
ご
)
油断
(
ゆだん
)
あるな』
256
遠山別
(
とほやまわけ
)
『
拙者
(
せつしや
)
はこれより
臣下
(
しんか
)
を
召
(
め
)
し
連
(
つ
)
れ、
257
間
(
はざま
)
の
国
(
くに
)
に
出張
(
しゆつちやう
)
いたさむ。
258
後
(
あと
)
は
鷹取別
(
たかとりわけ
)
殿
(
どの
)
、
259
照山彦
(
てるやまひこ
)
殿
(
どの
)
、
260
竹山彦
(
たけやまひこ
)
殿
(
どの
)
、
261
万事
(
ばんじ
)
宜
(
よろ
)
しく
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
る』
262
と
言
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
てて
旅装
(
りよさう
)
を
整
(
ととの
)
へ、
263
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
264
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
家来
(
けらい
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ、
265
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
びながら
一目散
(
いちもくさん
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
[
※
遠山別が月雪花の三姉妹を捕まえるシーンは第9巻第37章「凱歌」にある。
]
266
照彦
(
てるひこ
)
は
駕籠
(
かご
)
の
戸
(
と
)
開
(
あ
)
けて
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれ、
267
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなく
座敷
(
ざしき
)
の
真中
(
まんなか
)
にドツカと
坐
(
ざ
)
し、
268
照彦
『
吾
(
われ
)
こそは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
269
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
枉神
(
まがかみ
)
を
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
すそのために、
270
手段
(
てだて
)
を
以
(
もつ
)
て
中依別
(
なかよりわけ
)
が
駕籠
(
かご
)
に
乗
(
の
)
り、
271
ここに
現
(
あら
)
はれし
上
(
うへ
)
は、
272
汝
(
なんぢ
)
らが
運命
(
うんめい
)
も
朝日
(
あさひ
)
に
露
(
つゆ
)
の
消
(
き
)
ゆるが
如
(
ごと
)
く、
273
春日
(
かすが
)
に
雪
(
ゆき
)
の
解
(
と
)
くるが
如
(
ごと
)
く、
274
風前
(
ふうぜん
)
の
燈火
(
ともしび
)
、
275
扨
(
さて
)
も
扨
(
さて
)
もいぢらしい
者
(
もの
)
だ。
276
アハヽヽヽ』
277
と
言
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
れば、
278
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
えて
行方
(
ゆくへ
)
も
空
(
そら
)
に
白煙
(
しらけむり
)
、
279
松
(
まつ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
庭木
(
にはき
)
をわたる
声
(
こゑ
)
のみ
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
280
照山彦
(
てるやまひこ
)
『
合点
(
がてん
)
ゆかぬこの
場
(
ば
)
の
仕儀
(
しぎ
)
、
281
中依別
(
なかよりわけ
)
殿
(
どの
)
、
282
彼
(
かれ
)
は
何者
(
なにもの
)
なりしぞ』
283
中依別
(
なかよりわけ
)
『………………』
284
竹山彦
(
たけやまひこ
)
『ワハヽヽヽヽ、
285
此奴
(
こいつ
)
、
286
狐
(
きつね
)
の
悪戯
(
いたづら
)
だらう。
287
多士
(
たし
)
済々
(
さいさい
)
たるこの
城中
(
じやうちう
)
に、
288
人
(
ひと
)
もあらうに
中依別
(
なかよりわけ
)
の、
289
中
(
なか
)
にも
別
(
わ
)
け
て
より
処
(
どころ
)
のない
馬鹿
(
ばか
)
役人
(
やくにん
)
を
遣
(
つか
)
はしたその
酬
(
むく
)
い、
290
泣
(
な
)
かぬばかりの
顔付
(
かほつき
)
して、
291
よりどころなき
今
(
いま
)
の
体裁
(
ていさい
)
、
292
訳
(
わけ
)
の
判
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
だワイ。
293
アハヽヽヽヽヽヽ』
294
かかる
折
(
をり
)
しも、
295
横歩
(
よこある
)
きの
蟹彦
(
かにひこ
)
は、
296
庭先
(
にはさき
)
の
樹間
(
このま
)
潜
(
くぐ
)
つてこの
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
297
蟹彦
『
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
に
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げます。
298
タヽ
大変
(
たいへん
)
でございます。
299
只今
(
ただいま
)
駕籠
(
かご
)
に
乗
(
の
)
つて
来
(
き
)
た
罪人
(
とがにん
)
は、
300
門前
(
もんぜん
)
に
現
(
あら
)
はれ、
301
大勢
(
おほぜい
)
の
家来
(
けらい
)
を
手玉
(
てだま
)
に
取
(
と
)
つて、
302
乱暴
(
らんばう
)
狼藉
(
ろうぜき
)
の
最中
(
さいちう
)
、
303
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
彼
(
かれ
)
を
召捕
(
めしと
)
り
下
(
くだ
)
さいますやう』
304
鷹取別
(
たかとりわけ
)
『ホガホガホガ』
305
照山彦
(
てるやまひこ
)
『
素破
(
すは
)
こそ
一大事
(
いちだいじ
)
。
306
ヤアヤア
者
(
もの
)
共
(
ども
)
、
307
表門
(
おもてもん
)
に
向
(
むか
)
へ』
308
竹山彦
(
たけやまひこ
)
『コリヤ
面白
(
おもしろ
)
い、
309
ワハヽヽヽヽ』
310
照山彦
(
てるやまひこ
)
は
数多
(
あまた
)
の
家来
(
けらい
)
を
引連
(
ひきつ
)
れ、
311
門前
(
もんぜん
)
に
慌
(
あわただ
)
しく
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
て
見
(
み
)
れば、
312
こはそも
如何
(
いか
)
に、
313
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
りの
馬場先
(
ばばさき
)
は、
314
皎々
(
かうかう
)
たる
月
(
つき
)
に
照
(
て
)
らされ
昼
(
ひる
)
の
如
(
ごと
)
く、
315
人影
(
ひとかげ
)
らしきもの
目
(
め
)
に
当
(
あた
)
らず
寂然
(
せきぜん
)
たり。
316
照山彦
(
てるやまひこ
)
は
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み、
317
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
318
照山彦
『ハテナー』
319
彼方
(
かなた
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
より、
320
何物
(
なにもの
)
の
声
(
こゑ
)
とも
知
(
し
)
らぬ、
321
声
『
コン
コン
、
322
クワイクワイ』
323
照山彦
『
今
(
いま
)
のは
狐
(
きつね
)
の
声
(
こゑ
)
ではなからうかな』
324
(
大正一一・二・一九
旧一・二三
東尾吉雄
録)
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【第5章 狐々怪々|第10巻|霊主体従|霊界物語|/rm1005】
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