霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 山上(さんじやう)瞰下(かんか)〔四四二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻 篇:第1篇 千軍万馬 よみ(新仮名遣い):せんぐんばんば
章:第12章 山上瞰下 よみ(新仮名遣い):さんじょうかんか 通し章番号:442
口述日:1922(大正11)年02月22日(旧01月26日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年8月20日
概要: 舞台:シラ山山脈の峠 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
一行は固虎の案内で、シラ山山脈を越えている。ロッキー山は西にそびえている。
珍山彦は淤縢山津見に、ロッキー山の伊弉冊命が本物かどうか、問いかけている。淤縢山津見は竜宮城で別れるときに、伊弉冊命が「ロッキー山に行く」と言っていたことを信じていた。
固虎も常世の国の人民一般は、ロッキー山に現れたのが真の伊弉冊命であると信じている、と言う。
珍山彦は、神様の経綸は表もあり裏もある、と言って、注意を促す。また、ロッキー山に行ってみて、現実が思っていたとおりと違っていても、信仰をぐらつかせることがあってはならない、と諭した。
固虎は、昨冬にここにいる松・竹・梅と同じ名前の宣伝使が常世城に囚われてきて、そのときの騒動で自分は門番から上役に変えられた、とこれまでの経緯を語った。
すると、ロッキー山の方から鬨の声が聞こえてきた。一行はシラ山の山頂でそれぞれ袂を分かち、各自行動することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-14 20:52:43 文字数:2519 OBC :rm1012
愛善世界社版:100頁 八幡書店版:第2輯 426頁 修補版: 校定版:104頁 普及版:46頁 初版: ページ備考:
001 固虎(かたとら)の案内(あんない)にてシラ山(やま)山脈(さんみやく)を春風(はるかぜ)に吹(ふ)かれながら、002漸(やうや)うにしてその峠(たうげ)の巓(いただき)に達(たつ)したり。003東(ひがし)には漂渺(へうべう)たる大海原(おほうなばら)、004際限(さいげん)もなく展開(てんかい)し、005西(にし)に聳(そび)ゆるロッキーの山(やま)は、006中腹(ちうふく)より山巓(さんてん)にかけて、007或(あるひ)は濃(こ)く、008或(あるひ)は淡(あは)き叢雲(むらくも)に包(つつ)まれてゐる。
009 一行(いつかう)六(ろく)人(にん)は峠(たうげ)の青草(あをくさ)萠(も)ゆる芝生(しばふ)の上(うへ)に息(いき)を休(やす)め、010四方(よも)の景色(けしき)に眼(め)を新(あたら)しく洗(あら)ふ。
011珍山彦(うづやまひこ)『ホー、012淤縢山(おどやま)さま、013貴方(あなた)は矢張(やつぱ)りロッキー山(ざん)に伊邪那美(いざなみの)尊(みこと)、014日(ひ)の出神(でのかみ)が坐(ま)しますと信(しん)じて居(ゐ)ますか』
015淤縢山津見(おどやまづみ)『無論(むろん)の事(こと)です。016之(これ)がどうして信(しん)ぜられずに居(を)れませうか。017現(げん)に竜宮城(りうぐうじやう)から御(お)供(とも)して海上(かいじやう)で別(わか)れた時(とき)、018之(これ)からロッキー山(ざん)に行(い)つて身(み)を隠(かく)す、019とお口(くち)づから御(お)言葉(ことば)を承(うけたま)はつたのですから』
020珍山彦『成程(なるほど)、021それも無理(むり)のないことだが、022私(わたくし)の神懸(かむがか)りで言(い)つた事(こと)は、023如何(どう)しても信(しん)じませぬか』
024淤縢山津見『信(しん)じない事(こと)もないですが、025今(いま)の処(ところ)では五里(ごり)霧中(むちゆう)に彷徨(はうくわう)するとでも言(い)ふやうな心理(しんり)状態(じやうたい)です』
026珍山彦『神(かみ)様(さま)の御(ご)経綸(けいりん)は、027その大体(だいたい)に於(おい)て一定(いつてい)不変(ふへん)であつても、028其処(そこ)には又(また)裏(うら)もあり表(おもて)もあるものだ。029奥(おく)の奥(おく)にも奥(おく)があれば、030底(そこ)の底(そこ)にも底(そこ)がないほど深(ふか)い底(そこ)のあるもの、031そこの処(ところ)をよく審神(さには)せぬと大変(たいへん)な間違(まちが)ひが起(おこ)りますよ。032それだから神(かみ)の道(みち)の宣伝使(せんでんし)は、033見直(みなほ)し、034聞(き)き直(なほ)し、035宣(の)り直(なほ)せと神歌(しんか)に示(しめ)されてあるのですよ』
036淤縢山津見『ハア、037その真偽(しんぎ)、038当否(たうひ)は時(とき)の問題(もんだい)です。039吾々(われわれ)は一(いち)日(にち)も早(はや)く万難(ばんなん)を排(はい)して敵(てき)の厳(きび)しき警戒(けいかい)を突破(とつぱ)し、040ロッキー山(ざん)に登(のぼ)つてその消息(せうそく)を探(さぐ)つて見(み)たいと思(おも)ふのです』
041珍山彦『斯(か)う申(まを)すと済(す)まぬが、042貴方(あなた)の心(こころ)の裡(うち)は恰度(ちやうど)、043あのロッキー山(ざん)の様(やう)ですよ。044半分(はんぶん)は雲(くも)に包(つつ)まれ、045半分(はんぶん)は春(はる)の野山(のやま)の生地(きぢ)を顕(あら)はして居(ゐ)るのと同(おな)じ事(こと)だ。046心(こころ)の雲(くも)を晴(は)らさねば、047真実(ほんたう)の神(かみ)の経綸(しぐみ)はハツキリしない。048この固虎(かたとら)に聞(き)いたら一番(いちばん)よく分(わか)るであらう』
049固虎(かたとら)『いえ、050私(わたくし)も確(たしか)な事(こと)は申上(まをしあ)げられませぬが、051常世(とこよ)神王(しんわう)の仰(あふ)せによれば、052伊邪那美(いざなみ)の大神(おほかみ)様(さま)、053日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)は、054ロッキー山(ざん)に居(を)られるとの事(こと)、055常世城(とこよじやう)は申(まを)すに及(およ)ばず、056一般(いつぱん)の人民(じんみん)も左様(さやう)だと思(おも)つて確(かた)く信(しん)じて居(を)ります。057吾々(われわれ)も、058どちらかと言(い)へば、059信(しん)じて居(を)る方(はう)の仲間(なかま)ですよ』
060珍山彦(うづやまひこ)『淤縢山(おどやま)さまと云(い)ひ、061固虎(かたとら)さまと云(い)ひ、062実(じつ)に曖昧(あいまい)模糊(もこ)の考(かんが)へですな。063貴方(あなた)の精神(せいしん)は不安(ふあん)ではありませぬか。064よくマア、065そんな頼(たよ)りない事(こと)で信念(しんねん)が続(つづ)くかと、066不思議(ふしぎ)に思(おも)はれてなりませぬワ』
067淤縢山津見(おどやまづみ)『何(なに)を言(い)つても、068愚昧(ぐまい)な吾々(われわれ)人間(にんげん)の考(かんが)へで、069広大(くわうだい)無辺(むへん)の神(かみ)様(さま)の御(ご)神業(しんげふ)がハツキリと分(わか)るべきものでない。070寧(むし)ろ分(わか)らないのが当然(たうぜん)だらうと思(おも)ひます。071神(かみ)様(さま)の御(ご)神業(しんげふ)に対(たい)して審神(さには)をしたり、072或(あるひ)は批評(ひへう)をするのは、073人間(にんげん)の分際(ぶんざい)として僣越(せんえつ)だと考(かんが)へて居(を)ります。074只(ただ)何事(なにごと)も刹那心(せつなしん)で、075行(ゆ)く処(ところ)まで行(ゆ)かなくては分(わか)らない』
076珍山彦『若(も)し伊邪那美(いざなみの)神(かみ)様(さま)、077日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)が贋物(にせもの)であつたら、078その時(とき)貴方(あなた)は如何(どう)致(いた)しますか』
079淤縢山津見『その時(とき)始(はじ)めて心(こころ)の雲霧(くもきり)が晴(は)れ、080心(こころ)の海(うみ)に真如(しんによ)の日月(じつげつ)が輝(かがや)き渡(わた)るのです。081只(ただ)何事(なにごと)も惟神(かむながら)です』
082珍山彦『腹(はら)を立(た)てる様(やう)な事(こと)はありますまいか』
083淤縢山津見『三五教(あななひけう)の宣伝歌(せんでんか)の通(とほ)り、084その時(とき)こそは直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)し、085宣(の)り直(なほ)す覚悟(かくご)です』
086珍山彦『ホー、087そのお考(かんが)へならば貴方(あなた)も宣伝使(せんでんし)の及第点(きふだいてん)が得(え)られますよ。088大変(たいへん)に信仰(しんかう)の持(も)ち方(かた)が変(かは)つて来(き)ましたなア。089信仰(しんかう)の力(ちから)は山(やま)をも動(うご)かすと云(い)ふ事(こと)があるが、090貴方(あなた)はあの山(やま)を自分(じぶん)の前(まへ)に引寄(ひきよ)せるだけの信仰力(しんかうりよく)をもつて居(ゐ)ますか』
091淤縢山津見『到底(たうてい)そんな事(こと)は霊的(れいてき)の事(こと)で、092現実(げんじつ)的(てき)には出来(でき)ますまい。093貴方(あなた)は出来(でき)ますか』
094珍山彦『出来(でき)ますとも、095霊界(れいかい)のみでない、096現実(げんじつ)的(てき)に私(わたくし)の前(まへ)に山(やま)を引寄(ひきよ)せて見(み)せませう。097貴方(あなた)等(がた)も私(わたくし)の後(うしろ)に跟(つ)いて御(お)出(い)でなさい。098手(て)を翻(ひるがへ)せば雨(あめ)となり、099手(て)を覆(くつが)へせば雲(くも)となる、100自由(じいう)自在(じざい)の世(よ)の中(なか)、101万々一(まんまんいち)吾(わが)言霊(ことたま)によつて動(うご)いて来(こ)なかつた時(とき)は、102山(やま)の神(かみ)さまに何(なに)か御(ご)都合(つがふ)があつてお忙(いそが)しいのだらうから、103こちらの方(はう)から歩(ある)いて往(い)つて目(め)の前(まへ)に引寄(ひきよ)せるまでの事(こと)ですよ』
104淤縢山津見『大抵(たいてい)ソンナ事(こと)だと思(おも)つて居(ゐ)た。105それなら吾々(われわれ)も海(うみ)でも引寄(ひきよ)せるワ』
106珍山彦『オー、107固虎(かたとら)さま、108貴方(あなた)は今(いま)の今(いま)まで、109悪神(わるがみ)の眷属(けんぞく)となつて大変(たいへん)に吾々(われわれ)を苦(くる)しめようとされたが、110ようマア俄(にはか)に掌(てのひら)を返(かへ)した様(やう)に変(かは)つたものですなア』
111固虎(かたとら)『手(て)を翻(ひるがへ)せば雨(あめ)となり、112手(て)を覆(くつが)へせば雲(くも)となる』
113珍山彦(うづやまひこ)『オイオイ、114真似(まね)をしてはいかぬよ。115悪(あく)なら悪(あく)、116善(ぜん)なら善(ぜん)、117何処迄(どこまで)もつき通(とほ)したら如何(どう)だ。118悪(わる)かつたと思(おも)つて、119俄(にはか)に精神(せいしん)を燕(つばめ)返(かへ)しにすると言(い)ふのは、120日頃(ひごろ)剛毅(がうき)の固虎(かたとら)さまにも似合(にあ)はぬではないか』
121固虎『これは心得(こころえ)ぬ宣伝使(せんでんし)のお言葉(ことば)、122悪(あく)を謬(あやま)つて善(ぜん)と信(しん)じた時(とき)は、123何処(どこ)までも猛進(まうしん)するのが男(をとこ)の本領(ほんりやう)だ。124悪(わる)かつたと思(おも)つて気(き)がついた時(とき)は、125忽(たちま)ち見直(みなほ)し、126聞(き)き直(なほ)し、127宣(の)り直(なほ)すのが誠(まこと)の男(をとこ)ではありますまいか』
128珍山彦『変説(へんせつ)改論(かいろん)の御(ご)本尊(ほんぞん)、129宣(の)り直(なほ)しは結構(けつこう)だ。130角(つの)の生(は)えた牛雲別(うしくもわけ)や嘴(くちばし)の鋭(するど)い鷹取別(たかとりわけ)を離(はな)れて、131牛(うし)を馬(うま)に乗(の)り換(か)へのり直(なほ)すと云(い)ふやうなものだなア』
132淤縢山津見(おどやまづみ)『アツハツハヽヽ、133面白(おもしろ)い面白(おもしろ)い』
134珍山彦(うづやまひこ)『固虎(かたとら)さま、135またロッキー山(ざん)へ行(い)つたら、136燕(つばめ)返(かへ)しではないかなア。137変説(へんせつ)改論(かいろん)の張本(ちやうほん)だから案(あん)じられたものだよ』
138固虎(かたとら)『巌(いは)より堅(かた)い固虎(かたとら)の鉄(てつ)の様(やう)な腹中(はらわた)を見(み)て下(くだ)さい。139さう馬鹿(ばか)にしたものぢやありませぬよ。140かたがた以(もつ)て無礼(ぶれい)千万(せんばん)なことを仰有(おつしや)いますが、141それに就(つい)ても合点(がてん)のゆかぬは、142常世城(とこよじやう)の昨冬(さくとう)の不思議(ふしぎ)、143今(いま)此処(ここ)に御座(ござ)る三(さん)人(にん)の宣伝使(せんでんし)様(さま)と同(おな)じ名(な)のついた宣伝使(せんでんし)が、144間(はざま)の国(くに)から召捕(めしと)られて常世城(とこよじやう)に入(い)り、145常世(とこよ)神王(しんわう)の大変(たいへん)なお気(き)に入(い)りであつた処(ところ)、146何時(いつ)の間(ま)にやら煙(けむり)の様(やう)になつて消(き)えて了(しま)つたのです。147そのとき私(わたくし)は門番(もんばん)をやつて居(ゐ)ましたが、148照彦(てるひこ)と言(い)ふ三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)も召捕(めしと)られて、149これまた不思議(ふしぎ)や、150煙(けむり)となつて消(き)えて了(しま)ひ、151種々(いろいろ)な不思議(ふしぎ)を現(あら)はし、152常世(とこよ)神王(しんわう)や鷹取別(たかとりわけ)等(ら)を心(こころ)の侭(まま)に散々(さんざん)の目(め)に遇(あ)はし、153私(わたくし)はその時(とき)の罰(ばつ)によつて、154門番(もんばん)から常世城(とこよじやう)の上役人(うはやくにん)に落(おと)されましたのか、155上(あ)げられたのか、156イヤハヤ、157もう訳(わけ)の分(わか)らぬ事(こと)ですよ。158之(これ)が所謂(いはゆる)、159迷宮(めいきう)と云(い)ふのでせうか。160門番(もんばん)も俄(にはか)に天(てん)に上(のぼ)つて羽振(はぶ)りを利(き)かし、161大勢(おほぜい)の家来(けらい)を連(つ)れてカリガネ半島(はんたう)に貴方(あなた)等(がた)を囲(かこ)んで一(ひと)つ手柄(てがら)をしようと思(おも)つたらあの有様(ありさま)、162改心(かいしん)せずには居(を)れないぢやありませぬか』
163珍山彦『怖(こは)さ、164恐(おそ)ろしさ、165生命(いのち)が惜(を)しさの改心(かいしん)は真実(ほんたう)の改心(かいしん)ぢやない、166怪心(くわいしん)だ。167固虎(かたとら)、168宣(の)り直(なほ)しなさい』
169 この時(とき)ロッキー山(ざん)の方(はう)に当(あた)つて鬨(とき)の声(こゑ)一(いち)時(じ)に聞(きこ)え来(きた)る。170一行(いつかう)六(ろく)人(にん)は、
171一同『ヨー危機(きき)一髪(いつぱつ)だ。172皆(みな)さま、173之(これ)から各自(めいめい)に覚悟(かくご)致(いた)しませう』
174と思(おも)ひ思(おも)ひに山頂(さんちやう)に向(むか)つて袂(たもと)を別(わか)ち、175愈(いよいよ)ロッキー山(ざん)に対(たい)して自由(じいう)行動(かうどう)をとる事(こと)となれり。176嗚呼(ああ)この結果(けつくわ)は如何(いかん)。177心許(こころもと)なくまた心強(こころづよ)し。
178(大正一一・二・二二 旧一・二六 北村隆光録)
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