霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第10巻(酉の巻)
序歌
凡例
総説歌
信天翁(一)
第1篇 千軍万馬
第1章 常世城門
第2章 天地暗澹
第3章 赤玉出現
第4章 鬼鼻団子
第5章 狐々怪々
第6章 額の裏
第7章 思はぬ光栄
第8章 善悪不可解
第9章 尻藍
第10章 注目国
第11章 狐火
第12章 山上瞰下
第13章 蟹の将軍
第14章 松風の音
第15章 言霊別
第16章 固門開
第17章 乱れ髪
第18章 常世馬場
第19章 替玉
第20章 還軍
第21章 桃の実
第22章 混々怪々
第23章 神の慈愛
第24章 言向和
第25章 木花開
第26章 貴の御児
第2篇 禊身の段
第27章 言霊解一
第28章 言霊解二
第29章 言霊解三
第30章 言霊解四
第31章 言霊解五
第3篇 邪神征服
第32章 土竜
第33章 鰤公
第34章 唐櫃
第35章 アルタイ窟
第36章 意想外
第37章 祝宴
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(三)
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスク完了しました
。どうもありがとうございます。
|
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第10巻(酉の巻)
> 第1篇 千軍万馬 > 第13章 蟹の将軍
<<< 山上瞰下
(B)
(N)
松風の音 >>>
第一三章
蟹
(
かに
)
の
将軍
(
しやうぐん
)
〔四四三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
篇:
第1篇 千軍万馬
よみ(新仮名遣い):
せんぐんばんば
章:
第13章 蟹の将軍
よみ(新仮名遣い):
かにのしょうぐん
通し章番号:
443
口述日:
1922(大正11)年02月22日(旧01月26日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年8月20日
概要:
舞台:
ロッキー山の山麓
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
淤縢山津見は固虎を案内者としてロッキー山に向かった。ロッキー山に着いてみると、多数の魔軍は武装を整え、今や出陣せんとする真っ最中であった。
淤縢山津見は固虎を偵察に使わした。偵察に赴いた固虎は、城門で蟹彦にばったりと出くわした。
蟹彦はやはり門番から上役に変えられて、将軍となっていたのであった。蟹彦は、出陣の理由を語って聞かせた。
天教山から伊弉諾命が黄泉島に現れ、黄泉比良坂に向かって軍勢を率いて出陣してきたので、常世の国にとって重要な地点である黄泉比良坂を守るために、ロッキー山の「伊弉冊命」が出陣を命じたのだ、と語った。
さらに蟹彦は、ロッキー山の伊弉冊命は実は、大自在天の妻・大国姫命であり、ロッキー山の日の出神は、大自在天・大国彦命が化けているのだ、と明かした。そうして、広国別が常世城で常世神王に化けているのだ、と語った。
そして、蟹彦は、実は聖地エルサレムの家来・竹島彦命であり、大自在天常世神王の命によって、わざと横歩きをして門番と化けていたのだ、と素性を明かした。
蟹彦の竹島彦命は、今回の出陣の第一隊の大将を命じられている、という。そして、今回の戦いには松・竹・梅の三宣伝使が三個の桃の実としてどうしても必要であり、三個の桃の実がなければ、この戦いは勝ち目がないのだ、と秘密を明かし、出陣の準備に行ってしまった。
固虎は淤縢山津見のところへ戻って、委細を詳しく報告した。淤縢山津見は、ロッキー山の秘密が珍山彦の神懸りで託宣されたとおりであるので、驚き、かつ託宣を疑っていた自分を恥じた。
ロッキー山からは、蟹彦を大将とした第一隊の軍勢が次々と出陣していく。次に美山別を大将に第二隊が出て行く。また、国玉姫、田糸姫、杵築姫を偽の三個の桃の実に扮して、桃の実隊を組織している。
二人が軍勢の様子を見ていると、木霊の中に宣伝歌が聞こえてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-07-15 22:15:22
OBC :
rm1013
愛善世界社版:
107頁
八幡書店版:
第2輯 429頁
修補版:
校定版:
111頁
普及版:
49頁
初版:
ページ備考:
001
固虎
(
かたとら
)
は
淤縢山
(
おどやま
)
津見
(
づみの
)
神
(
かみ
)
の
案内者
(
あんないしや
)
として、
002
山道
(
やまみち
)
を
攀
(
よ
)
ぢ、
003
谷
(
たに
)
を
渡
(
わた
)
り、
004
間道
(
かんだう
)
を
経
(
へ
)
てロッキー
山
(
ざん
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
着
(
つ
)
きしが、
005
数多
(
あまた
)
の
魔軍
(
まぐん
)
は
武装
(
ぶさう
)
を
整
(
ととの
)
へ、
006
今
(
いま
)
や
出陣
(
しゆつぢん
)
せむとする
真最中
(
まつさいちう
)
なり。
007
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は
偵察
(
ていさつ
)
の
為
(
ため
)
に
固虎
(
かたとら
)
を
遣
(
つか
)
はして、
008
ロッキー
山
(
ざん
)
の
城塞
(
じやうさい
)
に
向
(
むか
)
はしめ、
009
城門
(
じやうもん
)
に
入
(
い
)
らむとする
時
(
とき
)
、
010
ピタリと
蟹彦
(
かにひこ
)
に
出会
(
しゆつかい
)
せり。
011
蟹彦
(
かにひこ
)
『オー
固虎
(
かたとら
)
、
012
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
引率
(
ひきつ
)
れて、
013
『
目
(
め
)
』の
国
(
くに
)
カリガネ
半島
(
はんたう
)
へ
宣伝使
(
せんでんし
)
を
捕縛
(
ほばく
)
すべく
出陣
(
しゆつぢん
)
したではないか。
014
その
後
(
ご
)
一向
(
いつかう
)
何
(
なん
)
の
消息
(
せうそく
)
も
聞
(
き
)
かぬので、
015
如何
(
どう
)
なつたことかと
思
(
おも
)
つてゐたが、
016
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
此処
(
ここ
)
へ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たのは
何
(
なに
)
か
様子
(
やうす
)
があらう。
017
常世城
(
とこよじやう
)
へも
帰
(
かへ
)
らず、
018
一体
(
いつたい
)
引率
(
いんそつ
)
した
軍隊
(
ぐんたい
)
は
如何
(
どう
)
したのだい』
019
固虎
(
かたとら
)
『
何
(
ど
)
うも
斯
(
か
)
うもあつたものか。
020
戦
(
たたか
)
ひは
多
(
おほ
)
く
味方
(
みかた
)
を
損
(
そん
)
ぜざるを
以
(
もつ
)
て
最上
(
さいじやう
)
とする。
021
何
(
なに
)
も
知
(
し
)
らぬ
数多
(
あまた
)
の
戦士
(
いくさびと
)
を
傷
(
きず
)
つけるよりは、
022
高
(
たか
)
の
知
(
し
)
れた
宣伝使
(
せんでんし
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
や
五
(
ご
)
人
(
にん
)
、
023
計略
(
けいりやく
)
を
以
(
もつ
)
て
常世城
(
とこよじやう
)
へ
誘
(
おび
)
き
寄
(
よ
)
するに
如
(
し
)
かずと、
024
取置
(
とつと
)
きの
智慧
(
ちゑ
)
を
出
(
だ
)
したのだ。
025
マア
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
て
呉
(
く
)
れ、
026
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
働
(
はたら
)
きを』
027
蟹彦
『
門番
(
もんばん
)
の
成上
(
なりあが
)
り
奴
(
め
)
が、
028
あまり
偉
(
えら
)
さうに
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
くない』
029
固虎
『
門番
(
もんばん
)
の
成上
(
なりあが
)
りはお
互
(
たが
)
ひだ。
030
併
(
しか
)
し
斯
(
か
)
く
騒々
(
さうざう
)
しく
数多
(
あまた
)
の
戦士
(
いくさびと
)
を
集
(
あつ
)
めて、
031
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
如何
(
どう
)
する
積
(
つも
)
りだい』
032
蟹彦
『そんな
間
(
ま
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
るから
困
(
こま
)
るのだ。
033
貴様
(
きさま
)
は
未
(
ま
)
だ
知
(
し
)
らぬのか。
034
余程
(
よほど
)
薄
(
うす
)
のろ
だな。
035
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の、
036
眼
(
め
)
とも
鼻
(
はな
)
とも
喉首
(
のどくび
)
とも
譬
(
たと
)
へ
方
(
がた
)
ない
大事
(
だいじ
)
の
黄泉島
(
よもつじま
)
に、
037
天教山
(
てんけうざん
)
より
伊弉諾
(
いざなぎの
)
神
(
かみ
)
が
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
うて、
038
この
醜
(
しこ
)
けき
汚
(
きたな
)
き
黄泉国
(
よもつのくに
)
を
祓
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
め、
039
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
まで
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
らむと、
040
智仁勇
(
ちじんゆう
)
兼備
(
けんび
)
の
神将
(
しんしやう
)
を
数多
(
あまた
)
引率
(
いんそつ
)
して、
041
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
に
向
(
むか
)
つて
攻
(
せ
)
めかけ
来
(
きた
)
り
給
(
たま
)
うたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
042
さうなれば
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
は
片顎
(
かたあご
)
を
取
(
と
)
られたやうなもので、
043
滅亡
(
めつぼう
)
をするのは
目
(
ま
)
のあたりだと
云
(
い
)
ふので、
044
伊弉冊
(
いざなみの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
045
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
が
此処
(
ここ
)
に
数多
(
あまた
)
の
戦士
(
いくさびと
)
を
集
(
あつ
)
め、
046
是
(
これ
)
より
常世城
(
とこよじやう
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
と
合
(
がつ
)
し、
047
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
に
進軍
(
しんぐん
)
せむとさるる
間際
(
まぎは
)
なのだ。
048
貴様
(
きさま
)
も
早
(
はや
)
く
軍隊
(
ぐんたい
)
を
引率
(
ひきつ
)
れて
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
の
戦
(
たたかひ
)
に
参加
(
さんか
)
せなくては、
049
千載
(
せんざい
)
一遇
(
いちぐう
)
の
好機
(
かうき
)
を
逸
(
いつ
)
するぞ。
050
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
いたして
悔
(
くい
)
を
後世
(
こうせい
)
に
胎
(
のこ
)
すな。
051
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
のこの
場合
(
ばあひ
)
、
052
手柄
(
てがら
)
をするなら
今
(
いま
)
この
時
(
とき
)
だ』
053
固虎
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
といふものは、
054
大袈裟
(
おほげさ
)
なものだな。
055
犬
(
いぬ
)
も
喰
(
く
)
はない
夫婦
(
ふうふ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
に
大勢
(
おほぜい
)
のものが、
056
馬鹿
(
ばか
)
らしくつて
往
(
い
)
けるものか。
057
若
(
もし
)
も
戦
(
たたかひ
)
に
行
(
い
)
つて
生命
(
いのち
)
でも
取
(
と
)
られて
見
(
み
)
よ。
058
数万
(
すうまん
)
の
戦士
(
いくさびと
)
は、
059
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
可愛
(
かあい
)
い
女房
(
にようばう
)
や
子
(
こ
)
に
別
(
わか
)
れねばならぬ。
060
たつた
一
(
ひと
)
つの
夫婦
(
ふうふ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
に
使
(
つか
)
はれて、
061
大勢
(
おほぜい
)
のものが
後家
(
ごけ
)
にならねばならぬとは、
062
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ』
063
蟹彦
『
貴様
(
きさま
)
は
余程
(
よつぽど
)
よい
薄馬鹿
(
うすばか
)
だ。
064
ロッキー
山
(
ざん
)
や、
065
常世城
(
とこよじやう
)
の
秘密
(
ひみつ
)
は、
066
うすうす
判
(
わか
)
つて
居
(
を
)
りさうなものぢやないか。
067
知
(
し
)
らな
云
(
い
)
うてやらう。
068
伊弉冊
(
いざなみの
)
命
(
みこと
)
と
名乗
(
なの
)
つてござるのは、
069
その
実
(
じつ
)
は
大国姫
(
おほくにひめの
)
命
(
みこと
)
だ。
070
そして
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
名乗
(
なの
)
つて
居
(
を
)
るのは、
071
その
夫神
(
をつとがみ
)
の
大国彦
(
おほくにひこの
)
命
(
みこと
)
だよ。
072
固虎
(
かたとら
)
もそれが
判
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
ではダメだよ』
073
固虎
『
初
(
はじ
)
めて
聞
(
き
)
いた。
074
貴様
(
きさま
)
の
話
(
はなし
)
は
益々
(
ますます
)
合点
(
がてん
)
がゆかなくなつて
来
(
き
)
た。
075
それなら
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
は
誰
(
たれ
)
だい。
076
蟹公
(
かにこう
)
知
(
し
)
つてるだらう』
077
蟹彦
『
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
は
広国別
(
ひろくにわけ
)
だよ。
078
一旦
(
いつたん
)
死
(
し
)
んだと
云
(
い
)
つて
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
一般
(
いつぱん
)
のものを
誑
(
たぶら
)
かし、
079
自分
(
じぶん
)
が
大国彦
(
おほくにひこ
)
様
(
さま
)
と
相談
(
さうだん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
080
広国別
(
ひろくにわけ
)
が
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
になつて
居
(
を
)
るのだ。
081
これには
深
(
ふか
)
い
仔細
(
しさい
)
がある。
082
その
秘密
(
ひみつ
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
握
(
にぎ
)
つた
蟹彦
(
かにひこ
)
は、
083
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
の
内々
(
ないない
)
の
頼
(
たの
)
みに
依
(
よ
)
つて、
084
今
(
いま
)
まで
故意
(
わざ
)
と
門番
(
もんばん
)
になつてゐたのだよ』
085
固虎
『それなら
貴様
(
きさま
)
は、
086
元
(
もと
)
は
誰
(
たれ
)
だい』
087
蟹彦
『
馬鹿
(
ばか
)
だな、
088
未
(
ま
)
だ
分
(
わか
)
らぬか。
089
俺
(
おれ
)
は
わざ
と
身体
(
からだ
)
を
歪
(
ゆが
)
めて
横
(
よこ
)
に
歩
(
ある
)
き、
090
顔
(
かほ
)
にいろいろの
汁
(
しる
)
を
塗
(
ぬ
)
つて
化
(
ば
)
けてゐたのだが、
091
もと
を
糺
(
ただ
)
せば
聖地
(
せいち
)
ヱルサレムの
家来
(
けらい
)
であつた
竹島彦
(
たけしまひこの
)
命
(
みこと
)
だよ。
092
是
(
これ
)
から
吾々
(
われわれ
)
は
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
つて、
093
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
に
向
(
むか
)
ふのだ。
094
併
(
しか
)
し
軍機
(
ぐんき
)
の
秘密
(
ひみつ
)
は
洩
(
も
)
らされない、
095
他言
(
たごん
)
は
無用
(
むよう
)
だ。
096
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
097
ロッキー
山
(
ざん
)
の
伊弉冊
(
いざなみの
)
大神
(
おほかみ
)
さまは
全
(
まつた
)
くの
贋物
(
にせもの
)
だ。
098
吾々
(
われわれ
)
も
本物
(
ほんもの
)
に
使
(
つか
)
はれるのは、
099
たとへ
敵
(
てき
)
にもせよ
気分
(
きぶん
)
がよいが、
100
生地
(
きぢ
)
をかくした
鍍金
(
めつき
)
ものだと
思
(
おも
)
ふと、
101
何
(
なん
)
だかモー
一
(
ひと
)
つ
力瘤
(
ちからこぶ
)
が
這入
(
はい
)
らぬやうな
心持
(
こころもち
)
がするよ』
102
固虎
『
貴様
(
きさま
)
、
103
今度
(
こんど
)
は
誰
(
たれ
)
が
大将
(
たいしやう
)
で
往
(
ゆ
)
くのだ』
104
蟹彦
『
定
(
きま
)
つたことだ、
105
これだよ』
106
と
自分
(
じぶん
)
の
鼻
(
はな
)
を
押
(
おさ
)
へて
見
(
み
)
せる。
107
固虎
『
弱
(
よわ
)
い
大将
(
たいしやう
)
だな。
108
今度
(
こんど
)
の
戦
(
たたか
)
ひは
馬
(
ま
)
ーの
毛
(
け
)
だ。
109
何分
(
なにぶん
)
大将
(
たいしやう
)
が
間抜
(
まぬ
)
けだから
仕方
(
しかた
)
がない』
110
蟹彦(竹島彦)
『
馬鹿
(
ばか
)
を
云
(
い
)
ふな。
111
大将
(
たいしやう
)
は
馬鹿
(
ばか
)
がよいのだ。
112
あまり
智慧
(
ちゑ
)
があつて、
113
コセコセ
致
(
いた
)
すと
大局
(
たいきよく
)
を
誤
(
あやま
)
る
虞
(
おそれ
)
があるので、
114
この
薄
(
うす
)
のろ
の
竹島彦
(
たけじまひこ
)
が
全軍
(
ぜんぐん
)
統率
(
とうそつ
)
の
任
(
にん
)
に
当
(
あた
)
つて
居
(
を
)
るのだ。
115
これでも
三軍
(
さんぐん
)
の
将
(
しやう
)
だぞ。
116
あまり
馬鹿
(
ばか
)
にしては
貰
(
もら
)
ふまいかい。
117
併
(
しか
)
し
固虎
(
かたとら
)
、
118
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
何処
(
どこ
)
に
置
(
お
)
いたのだ。
119
松
(
まつ
)
、
120
竹
(
たけ
)
、
121
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
がなければこの
戦
(
たたか
)
ひは
勝目
(
かちめ
)
がないと、
122
伊弉冊
(
いざなみの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の……ドツコイ
大国姫
(
おほくにひめの
)
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
だ。
123
早
(
はや
)
く
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
貴様
(
きさま
)
の
手
(
て
)
にあるなら
御
(
お
)
目
(
め
)
にかけて、
124
抜群
(
ばつぐん
)
の
功名
(
こうみやう
)
をなし、
125
手柄者
(
てがらもの
)
と
謳
(
うた
)
はれるがよからう』
126
固虎
『よし、
127
今
(
いま
)
見
(
み
)
せてやらう』
128
蟹彦(竹島彦)
『
俺
(
おれ
)
に
見
(
み
)
せる
必要
(
ひつえう
)
はないから、
129
早
(
はや
)
く
伊弉冊
(
いざなみ
)
の
贋
(
にせ
)
の
大神
(
おほかみ
)
さまに
御
(
お
)
目
(
め
)
にかけるのだよ。
130
ヤア
鳴雷
(
なるいかづち
)
、
131
若雷
(
わかいかづち
)
、
132
早
(
はや
)
く
来
(
きた
)
れ』
133
と
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り
法螺貝
(
ほらがひ
)
を
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てながら、
134
ブウブウと
口角
(
こうかく
)
蟹
(
かに
)
のやうな
泡
(
あわ
)
を
飛
(
と
)
ばして
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
135
固虎
(
かたとら
)
は
蟹彦
(
かにひこ
)
の
偽
(
いつは
)
らざる
此
(
こ
)
の
物語
(
ものがたり
)
を
聴
(
き
)
いて
胸
(
むね
)
を
躍
(
をど
)
らせながら、
136
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
に
一切
(
いつさい
)
を
報告
(
はうこく
)
したるに、
137
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は
太
(
ふと
)
き
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
き、
138
淤縢山津見
『アヽさうか。
139
疑
(
うたが
)
はれぬは
神懸
(
かむがか
)
りだ。
140
蚊々虎
(
かがとら
)
の
神懸
(
かむがか
)
りを
実
(
じつ
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
へば、
141
今
(
いま
)
まで
疑
(
うたが
)
つてゐたのは
恥
(
はづ
)
かしい。
142
審神
(
さには
)
は
容易
(
ようい
)
に
吾々
(
われわれ
)
の
如
(
ごと
)
き
盲
(
めくら
)
では
出来
(
でき
)
るものではない。
143
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば、
144
珍山彦
(
うづやまひこ
)
の
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
力
(
ちから
)
には
感嘆
(
かんたん
)
せざるを
得
(
え
)
ない。
145
先
(
ま
)
づまづ
暫
(
しば
)
らく
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めて、
146
様子
(
やうす
)
を
窺
(
うかが
)
ふことにしよう』
147
と、
148
樹木
(
じゆもく
)
茂
(
しげ
)
れる
森林
(
しんりん
)
の
中
(
なか
)
に
両人
(
りやうにん
)
は
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ちゐる。
149
蟹彦
(
かにひこ
)
の
竹島彦
(
たけしまひこ
)
が
一隊
(
いつたい
)
を
引率
(
いんそつ
)
し、
150
威風
(
ゐふう
)
凛々
(
りんりん
)
として
四辺
(
あたり
)
を
払
(
はら
)
ひ
出陣
(
しゆつぢん
)
した
後
(
あと
)
に、
151
又
(
また
)
もや
法螺貝
(
ほらがひ
)
の
音
(
おと
)
、
152
太鼓
(
たいこ
)
の
響
(
ひびき
)
、
153
ハテ
訝
(
いぶ
)
かしやと
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
を
透
(
すか
)
して
打眺
(
うちなが
)
め、
154
固虎
(
かたとら
)
は
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
にて、
155
固虎
『ヤア、
156
また
第二隊
(
だいにたい
)
が
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
き
居
(
を
)
るぞ。
157
第二隊
(
だいにたい
)
の
大将
(
たいしやう
)
は
誰
(
たれ
)
だか
知
(
し
)
らむ』
158
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
『
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
159
敵
(
てき
)
近
(
ちか
)
く
寄
(
よ
)
つて
様子
(
やうす
)
を
査
(
しら
)
べ
報告
(
はうこく
)
して
呉
(
く
)
れないか』
160
固虎
『
畏
(
かしこ
)
まりました』
161
といふより
早
(
はや
)
く
固虎
(
かたとら
)
は、
162
猿
(
ましら
)
が
梢
(
こずゑ
)
を
伝
(
つた
)
ふが
如
(
ごと
)
く、
163
しのびしのび
敵前
(
てきぜん
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
164
美山別
(
みやまわけ
)
は
陣頭
(
ぢんとう
)
に
立
(
た
)
ち
采配
(
さいはい
)
を
打揮
(
うちふる
)
ひながら、
165
美山別
『
進
(
すす
)
め
進
(
すす
)
め』
166
と
号令
(
がうれい
)
してゐる。
167
左右
(
さいう
)
の
副将
(
ふくしやう
)
は
土雷
(
つちいかづち
)
、
168
伏雷
(
ふしいかづち
)
の
猛将
(
まうしやう
)
である。
169
花
(
はな
)
を
欺
(
あざむ
)
く
松
(
まつ
)
、
170
竹
(
たけ
)
、
171
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
扮
(
ふん
)
したる
国玉姫
(
くにたまひめ
)
、
172
田糸姫
(
たいとひめ
)
、
173
杵築姫
(
きつきひめ
)
は
馬上
(
ばじやう
)
に
跨
(
またが
)
りながら、
174
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
隊
(
たい
)
として
美々
(
びび
)
しき
衣裳
(
いしやう
)
を
太陽
(
たいやう
)
に
照
(
てら
)
されながら、
175
ピカリピカリと
進
(
すす
)
んで
来
(
く
)
る。
176
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
は
足音
(
あしおと
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
177
種々
(
しゆじゆ
)
の
武器
(
ぶき
)
を
携
(
たづさ
)
へ
繰出
(
くりだ
)
す
仰々
(
ぎやうぎやう
)
しさ。
178
固虎
(
かたとら
)
は
直様
(
すぐさま
)
引返
(
ひきかへ
)
し、
179
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
に
詳細
(
しやうさい
)
の
顛末
(
てんまつ
)
を
報告
(
はうこく
)
したり。
180
淤縢山津見
『ヤア、
181
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ご
苦労
(
くらう
)
、
182
ロッキー
山
(
ざん
)
の
軍人
(
いくさびと
)
はあれでしまひか』
183
固虎
『ナニ、
184
ほんの
一部分
(
いちぶぶん
)
です。
185
必要
(
ひつえう
)
に
応
(
おう
)
じて
未
(
ま
)
だ
未
(
ま
)
だ
出
(
だ
)
すかも
知
(
し
)
れませぬ』
186
淤縢山津見
『ウン、
187
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
醜神
(
しこがみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
、
188
吾々
(
われわれ
)
も
一
(
ひと
)
つ
考
(
かんが
)
へねばならぬワイ』
189
このとき
木霊
(
こだま
)
に
響
(
ひび
)
く
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
、
190
二人
(
ふたり
)
は
思
(
おも
)
はず
其
(
そ
)
の
声
(
こゑ
)
に
聞耳
(
ききみみ
)
澄
(
す
)
ました。
191
忽
(
たちま
)
ち
東南
(
とうなん
)
の
風
(
かぜ
)
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
んで
音
(
おと
)
騒
(
さわ
)
がしく、
192
宣伝歌
(
せんでんか
)
は
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
に
包
(
つつ
)
まれにける。
193
(
大正一一・二・二二
旧一・二六
外山豊二
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 山上瞰下
(B)
(N)
松風の音 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第10巻(酉の巻)
> 第1篇 千軍万馬 > 第13章 蟹の将軍
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第13章 蟹の将軍|第10巻|霊主体従|霊界物語|/rm1013】
合言葉「みろく」を入力して下さい→