霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 乱(みだ)れ髪(がみ)〔四四七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻 篇:第1篇 千軍万馬 よみ(新仮名遣い):せんぐんばんば
章:第17章 乱れ髪 よみ(新仮名遣い):みだれがみ 通し章番号:447
口述日:1922(大正11)年02月23日(旧01月27日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年8月20日
概要: 舞台:ロッキー城 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
城内に進み入った固虎は、逆国別に出会う。固虎は、宣伝使・淤縢山津見を生け捕って帰ったと告げて、「日の出神」に注進するようにと伝えた。
大自在天の「日の出神」が現れ、固虎と淤縢山津見に面会した。淤縢山津見は元大自在天の部下・醜国別である。
淤縢山津見は大自在天に、自分が今三五教の宣伝使となっているのは、三五教に潜入して、内情を探るためだ、と答えた。そして、伊弉冊命に化けているのは大国姫であろう、と企みを問いただして明かさせた。
しかし大自在天は二人が松・竹・梅の三姉妹の宣伝使を捕らえてこなかったことを疑い、問い詰めた。二人は困惑してしまうが、そこへ照彦が蚊々虎の姿となって現れ、松・竹・梅の宣伝使を差し出した。
そして昨年、常世城からロッキー山に護送されてきたのは、目の国の月・雪・花の三姉妹であって、これは常世城で常世神王の影武者をしている広国別の謀反の証拠である、と大自在天に信じさせた。
怒った大自在天は、逆国別に命じて、広国別捕縛の軍を常世城に向けた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-07-24 20:18:14 文字数:2846 OBC :rm1017
愛善世界社版:134頁 八幡書店版:第2輯 439頁 修補版: 校定版:140頁 普及版:63頁 初版: ページ備考:
001 固山彦(かたやまひこ)は何(なん)の憚(はばか)る気色(けしき)もなく、002淤縢山津見(おどやまづみ)を伴(ともな)ひて奥殿(おくでん)深(ふか)く入(い)る。003この時(とき)、004逆国別(さかくにわけ)は玄関(げんくわん)に現(あら)はれ、
005逆国別『ホー、006固虎彦(かたとらひこ)殿(どの)、007貴下(きか)は常世(とこよ)神王(しんわう)の命(めい)によつて、008軍隊(ぐんたい)を召(めし)つれ、009『目(め)』の国(くに)に出陣(しゆつぢん)されしと聞(き)いてゐた。010黄泉島(よもつじま)に味方(みかた)は殆(ほとん)ど出陣(しゆつぢん)して、011今(いま)はロッキー城(じやう)常世城(とこよじやう)、012共(とも)に守(まも)り甚(はなは)だ手薄(てうす)となつてゐる。013然(しか)るに貴下(きか)は常世城(とこよじやう)に帰(かへ)らず、014ここに出張(しゆつちやう)されしは何(なに)かの仔細(しさい)あらむ。015つぶさに物語(ものがた)られたし』
016固山彦(かたやまひこ)(固虎)『お前(まへ)は逆国別(さかくにわけ)、017これには深(ふか)い仔細(しさい)がある。018兎(と)も角(かく)、019常世城(とこよじやう)の固虎彦(かたとらひこ)、020三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)淤縢山津見(おどやまづみ)を生擒(いけど)り帰(かへ)つたりと奏上(そうじやう)せよ』
021 逆国別(さかくにわけ)は、
022逆国別『暫(しばら)く待(ま)つて下(くだ)さい。023日(ひ)の出神(でのかみ)に申上(まをしあ)げ、024お指図(さしづ)をうけます』
025と踵(きびす)をかへして奥(おく)に入(い)つた。026二人(ふたり)は案内(あんない)もなく玄関(げんくわん)に靴(くつ)と草鞋(わらぢ)を脱(ぬ)ぎ捨(す)て、027一間(ひとま)に入(い)つて息(いき)を休(やす)めゐたるに、028日(ひ)の出神(でのかみ)は四五(しご)の従者(じゆうしや)を引連(ひきつ)れ、029儼然(げんぜん)としてこの場(ば)に現(あら)はれ来(きた)り、
030日の出神(に化けた大国彦)『ホー、031固虎彦(かたとらひこ)、032何用(なによう)あつて来(こ)られしぞ』
033固山彦(固虎)『これには深(ふか)い様子(やうす)も御座(ござ)れば、034暫(しばら)く余人(よじん)を遠(とほ)ざけ給(たま)へ』
035日の出神(に化けた大国彦)『皆(みな)の者(もの)、036この場(ば)を遠(とほ)ざかり、037居間(ゐま)に帰(かへ)つて休息(きうそく)いたせ』
038一同『ハイ』
039と答(こた)へて一同(いちどう)は、040この場(ば)を立(た)ち去(さ)る。
041日出(ひのでの)神(かみ)(に化けた大国彦)『イヤ、042汝(なんぢ)は三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)に非(あら)ずや』
043淤縢山津見(おどやまづみ)(醜国別)『然(しか)り、044吾(われ)は昔(むかし)、045貴下(きか)に仕(つか)へたる醜国別(しこくにわけ)、046今(いま)は三五教(あななひけう)に偽(いつは)つて宣伝使(せんでんし)となり、047敵(てき)の様子(やうす)を窺(うかが)ひゐる者(もの)、048如何(いか)に機略(きりやく)縦横(じうわう)の貴下(きか)大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)と雖(いへど)も、049遠(とほ)く慮(おもんぱか)る所(ところ)なかる可(べ)からず。050吾(われ)は旧恩(きうおん)に報(むく)ゆるためワザと三五教(あななひけう)に入(い)り、051一切(いつさい)万事(ばんじ)の様子(やうす)を探知(たんち)し帰(かへ)りたる者(もの)、052必(かなら)ず疑(うたが)ひ給(たま)ふことなく、053胸襟(きようきん)をひらいて語(かた)らせ給(たま)へ。054貴下(きか)は日(ひ)の出神(でのかみ)と名乗(なの)らせ給(たま)へども、055その実(じつ)は神力(しんりき)無双(むさう)の大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこの)命(みこと)に坐(ま)しますこと、056一点(いつてん)の疑(うたが)ひの余地(よち)なし。057また伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)と称(とな)へ給(たま)ふは、058貴下(きか)の御(おん)妃(ひ)大国姫(おほくにひめ)なる事(こと)判然(はんぜん)せり。059斯(か)くなる上(うへ)は、060包(つつ)みかくさず、061一切(いつさい)の計画(けいくわく)を詳細(しやうさい)に物語(ものがた)られたし』
062日の出神(に化けた大国彦)『汝(なんぢ)が推量(すゐりやう)に違(たが)はず、063吾(われ)は大自在天(だいじざいてん)なり。064吾(わが)神謀(しんぼう)鬼策(きさく)には汝(なんぢ)も驚(おどろ)きしならむ』
065淤縢山津見(醜国別)『吾々(われわれ)は斯(か)くの如(ごと)く三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)と化(ば)け込(こ)み、066艱難(かんなん)辛苦(しんく)を致(いた)す位(くらゐ)のもの、067貴下(きか)の計画(けいくわく)は略(ほ)ぼ承知(しようち)の上(うへ)の事(こと)なり。068今(いま)この固虎彦(かたとらひこ)は常世(とこよ)神王(しんわう)広国別(ひろくにわけ)の命(めい)を奉(ほう)じ、069吾(われ)を召捕(めしと)らむために『目(め)』の国(くに)に数多(あまた)の軍勢(ぐんぜい)を引連(ひきつ)れ進(すす)み来(きた)りしも、070漸(やうや)く吾(わが)胸中(きようちう)を悟(さと)りヤツト安堵(あんど)し、071一切(いつさい)を打明(うちあ)けて吾(われ)を本城(ほんじやう)に導(みちび)きたる英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)、072感(かん)じ入(い)つたる固虎(かたとら)が働(はたら)き。073随分(ずゐぶん)お賞(ほ)めの言葉(ことば)を賜(たまは)りたし』
074日の出神(に化けた大国彦)『イヤ両人(りやうにん)の真心(まごころ)には感(かん)じ入(い)つた。075併(しか)しながら、076汝(なんぢ)が伴(ともな)ひし松(まつ)、077竹(たけ)、078梅(うめ)の宣伝使(せんでんし)、079及(およ)び蚊々虎(かがとら)は如何(いかが)されしや』
080 この言葉(ことば)に両人(りやうにん)はグツとつまり、
081両人(淤縢山津見、固山彦)『彼(かれ)ら四(よ)人(にん)は慮(おもんばか)る処(ところ)あり、082或(あ)る所(ところ)に秘(ひ)め置(お)きたり。083後(ご)して御(おん)目(め)にかけ申(まを)さむ』
084日の出神(に化けた大国彦)『一(いち)時(じ)も早(はや)く会(あ)ひたきものだ。085その所在(ありか)を今(いま)ここに於(おい)て吾(われ)に報告(はうこく)されよ。086吾(われ)は適当(てきたう)なる者(もの)を遣(つか)はして、087之(これ)を本城(ほんじやう)に迎(むか)へ還(かへ)らしめむ。088四(よ)人(にん)の宣伝使(せんでんし)の所在(ありか)知(し)れざる間(あひだ)は、089汝(なんぢ)等(ら)を疑(うたが)ふの余地(よち)充分(じうぶん)なり。090早(はや)く所在(ありか)を知(し)らせよ』
091固山彦(かたやまひこ)『ここ四五(しご)日(にち)の猶予(いうよ)を願(ねが)ひます』
092日の出神(に化けた大国彦)『汝(なんぢ)が言(い)ふ如(ごと)く、093真(しん)に吾々(われわれ)の為(た)めに、094今(いま)まで暗々裡(あんあんり)に活動(くわつどう)せしこと真(まこと)なりとせば、095その所在(ありか)の知(し)れざる筈(はず)なし。096返答(へんたふ)し得(え)ざるは汝(なんぢ)ら帰順(きじゆん)せしと偽(いつは)り、097心(こころ)を合(あは)せ、098手薄(てうす)のロッキー城(じやう)を顛覆(てんぷく)せしめむとの悪計(あくけい)ならむ。099返答(へんたふ)次第(しだい)によつては容赦(ようしや)し難(がた)し。100サア早(はや)く告(つ)げよ』
101と稍(やや)声(こゑ)をはげまし厳(きび)しく問(と)ひ詰(つ)められ、102二人(ふたり)は蚊々虎(かがとら)および三(さん)人(にん)の娘(むすめ)に、103山中(さんちう)に於(おい)て煙(けむり)と消(き)えられ、104その所在(ありか)を知(し)らず、105その返答(へんたふ)に苦(くる)しみ、106顔色(がんしよく)を変(へん)じ、107心中(しんちう)に「サア失敗(しくじ)つたり」と思(おも)ひ煩(わづら)ふ折(をり)からに、108中門(なかもん)を開(ひら)いて進(すす)み来(きた)る照彦(てるひこ)は、109俄(にはか)に蚊々虎(かがとら)の姿(すがた)と変(へん)じ、110月(つき)、111雪(ゆき)、112花(はな)の三(さん)人(にん)を伴(ともな)ひて入(い)り来(きた)り、
113蚊々虎(に化けた照彦)『吾(われ)は大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)、114今(いま)は日(ひ)の出神(でのかみ)の旧(もと)の家来(けらい)蚊々虎(かがとら)にて候(さふらふ)。115月(つき)、116雪(ゆき)、117花(はな)と偽(いつは)つて、118三五教(あななひけう)を宣伝(せんでん)し、119天下(てんか)を惑(まどは)す松(まつ)、120竹(たけ)、121梅(うめ)の女(をんな)宣伝使(せんでんし)を召連(めしつ)れ、122この場(ば)に引連(ひきつ)れ参(まゐ)りたり。123一(いち)時(じ)も早(はや)く、124日(ひ)の出神(でのかみ)、125実検(じつけん)せられよ』
126と呼(よ)ばはり居(ゐ)る。
127 日(ひ)の出神(でのかみ)を始(はじ)め固山彦(かたやまひこ)、128淤縢山津見(おどやまづみ)は、129寝耳(ねみみ)に水(みづ)の面持(おももち)にて互(たがひ)に顔(かほ)を見合(みあ)はせ、130黙然(もくねん)として控(ひか)へゐる。131照彦(てるひこ)は三(さん)人(にん)の娘(むすめ)を伴(ともな)ひ、132この場(ば)にドシドシと現(あら)はれ来(きた)り、
133蚊々虎(に化けた照彦)『ヤア、134これはこれは大国彦(おほくにひこ)様(さま)、135吾(われ)こそは旧臣(きうしん)の蚊々虎(かがとら)でございます。136漸(やうや)く三(さん)人(にん)の宣伝使(せんでんし)を尋(たづ)ね求(もと)めて、137これに参(まゐ)りました。138ここに現(あらは)れたる固虎彦(かたとらひこ)、139淤縢山津見(おどやまづみ)の二人(ふたり)も、140この事(こと)はよく御存(ごぞん)じの筈(はず)です。141仔細(しさい)に御(お)調(しらべ)を願(ねが)ひ奉(たてまつ)る』
142といふより早(はや)く、143三(さん)人(にん)の娘(むすめ)の被面布(ひめんぷ)を取(と)り除(のぞ)けば、144一同(いちどう)は思(おも)はず、
145一同『ヤア』
146と声(こゑ)をあげたまま、147黙然(もくねん)と三(さん)人(にん)の顔(かほ)を看守(みまも)つてゐる。148暫(しばら)くあつて、149日(ひ)の出神(でのかみ)は三(さん)人(にん)の娘(むすめ)の顔(かほ)を熟視(じゆくし)した上(うへ)、
150日の出神(に化けた大国彦)『合点(がてん)の行(ゆ)かぬ三(さん)人(にん)の宣伝使(せんでんし)、151汝(なんぢ)は松代姫(まつよひめ)、152竹野姫(たけのひめ)、153梅ケ香姫(うめがかひめ)に相違(さうゐ)なきや。154去年(きよねん)の冬(ふゆ)、155常世(とこよ)神王(しんわう)より松(まつ)、156竹(たけ)、157梅(うめ)の三(さん)人(にん)なりと申(まを)し立(た)て、158本城(ほんじやう)に送(おく)り来(きた)れる三五教(あななひけう)の松(まつ)、159竹(たけ)、160梅(うめ)の宣伝使(せんでんし)に比(くら)ぶれば、161容貌(ようばう)骨格(こつかく)その他(た)において非常(ひじやう)に相違(さうゐ)の点(てん)あり。162汝(なんぢ)は果(はた)して松(まつ)、163竹(たけ)、164梅(うめ)に相違(さうゐ)なきや』
165松竹梅の三人『妾(わらは)等(ら)は珍(うづ)の国(くに)の城主(じやうしゆ)正鹿(まさか)山津見(やまづみの)神(かみ)の娘(むすめ)、166松(まつ)、167竹(たけ)、168梅(うめ)の三(さん)人(にん)に相違(さうゐ)これなく候(さふらふ)。169妾(わらは)等(ら)三(さん)人(にん)は、170未(いま)だ嘗(かつ)て常世城(とこよじやう)に捕(とら)はれし事(こと)もなければ、171従(したが)つて本城(ほんじやう)に来(きた)りし事(こと)もなし。172何(なに)かの間違(まちが)ひにはおはさずや』
173 日(ひ)の出神(でのかみ)は双手(もろて)を組(く)み、174首(かうべ)を傾(かたむ)け思案(しあん)に沈(しづ)む。
175固山彦(かたやまひこ)『モシ、176日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)、177昨年(さくねん)常世(とこよ)神王(しんわう)より送(おく)り来(きた)りし松(まつ)、178竹(たけ)、179梅(うめ)の三(さん)人(にん)は、180御(ご)承知(しようち)の如(ごと)く何時(いつ)とはなしにこの警護(けいご)厳(きび)しき中(なか)を煙(けむり)の如(ごと)く消(き)え去(さ)りしは、181要(えう)するに常世(とこよ)神王(しんわう)広国別(ひろくにわけ)が妖術(えうじゆつ)にて、182彼(かれ)は表面(へうめん)貴下(きか)に随従(ずゐじう)する如(ごと)く見(み)せかけ、183密(ひそ)かに天教山(てんけうざん)に款(くわん)を通(つう)じ、184貴下(きか)等(ら)の計画(けいくわく)を根底(こんてい)より覆(くつが)へさむとするの悪辣(あくらつ)なる計略(けいりやく)を企(たく)みをる者(もの)。185拙者(せつしや)はその計略(けいりやく)の奥(おく)の手(て)を存(ぞん)じをれば、186広国別(ひろくにわけ)に迫(せま)つて、187その不都合(ふつがふ)を詰責(きつせき)せし処(ところ)、188広国別(ひろくにわけ)は終(つひ)に兜(かぶと)を脱(ぬ)ぎ、189賤(いや)しき門番(もんばん)の固虎(かたとら)をして口(くち)ふさぎのため重職(ぢうしよく)を授(さづ)けたるは、190全(まつた)くその奸計(かんけい)の他(た)に洩(も)れざらむがための彼(かれ)の術策(じゆつさく)。191昨冬(さくとう)松(まつ)、192竹(たけ)、193梅(うめ)と称(しよう)したるは、194広国別(ひろくにわけ)が魔術(まじゆつ)によつて現(あら)はれたる悪狐(あくこ)の所為(しよゐ)なれば、195必(かなら)ず御(ご)油断(ゆだん)あつてはなりませぬ』
196と言葉(ことば)巧(たくみ)に述(の)べ立(た)てたり。
197 大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)の日(ひ)の出神(でのかみ)はこれを聞(き)くとともに、198怒髪天(どはつてん)を衝(つ)き、
199日の出神(に化けた大国彦)『ヤアヤア逆国別(さかくにわけ)、200一(いち)時(じ)も早(はや)く家来(けらい)を差(さ)し向(む)け、201常世(とこよ)神王(しんわう)を召捕(めしと)りかへれ』
202と大音声(だいおんじやう)に呼(よば)はれば、
203逆国別『ハイ』
204と答(こた)へて逆国別(さかくにわけ)はその場(ば)に現(あら)はれ、205日(ひ)の出神(でのかみ)の命(めい)のまにまに数百(すうひやく)人(にん)の部下(ぶか)を引率(ひきつ)れ、206常世城(とこよじやう)に向(むか)ひ、207馬(うま)に跨(またが)り、208あわただしく出張(しゆつちやう)する。
209淤縢山津見(おどやまづみ)『日(ひ)の出神(でのかみ)に申上(まをしあ)げます。210実(じつ)に油断(ゆだん)のならぬは人心(ひとごころ)、211一切(いつさい)の秘密(ひみつ)を打明(うちあ)け、212御(ご)信任(しんにん)浅(あさ)からざる常世(とこよ)神王(しんわう)の広国別(ひろくにわけ)は、213かかる腹黒(はらぐろ)き者(もの)とは思(おも)はれなかつたでせう。214吾々(われわれ)も初(はじ)めて固虎彦(かたとらひこ)の言葉(ことば)を聞(き)きまして驚(おどろ)きました。215人(ひと)は見(み)かけによらぬものとは、216よく言(い)つたものですワ』
217日の出神(に化けた大国彦)『さうだ、218人(ひと)は見(み)かけによらぬものだ。219醜国別(しこくにわけ)が淤縢山津見(おどやまづみ)となつて三五教(あななひけう)のウラをかき、220広国別(ひろくにわけ)が常世(とこよ)神王(しんわう)となつて此(この)方(はう)のウラをかき、221天教山(てんけうざん)に款(くわん)を通(つう)ずるのも同(おな)じ道理(だうり)だ。222敵(てき)の中(なか)にも味方(みかた)あり、223味方(みかた)の中(なか)にも敵(てき)ありとはこの事(こと)だのう』
224淤縢山津見『私(わたくし)を信(しん)じて下(くだ)さいますか』
225固山彦(かたやまひこ)『吾々(われわれ)が日(ひ)の出神(でのかみ)であつたら、226容易(ようい)に信(しん)じないなア。227ハヽヽヽヽヽ』
228淤縢山津見(おどやまづみ)『固虎(かたとら)さま、229あまり口(くち)が過(す)ぎますよ。230あなた、231そんな顔(かほ)して居(を)つて、232心(こころ)の底(そこ)は天教山(てんけうざん)の三五教(あななひけう)に款(くわん)を通(つう)じてゐるのでせう。233アハヽヽヽヽ』
234日出(ひのでの)神(かみ)(に化けた大国彦)『何(なん)だか訳(わけ)が分(わか)らぬやうになつて来(き)た。235狐(きつね)につままれたやうだワイ』
236(大正一一・二・二三 旧一・二七 桜井重雄録)
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