霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三二章 土竜(もぐら)〔四六二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻 篇:第3篇 邪神征服 よみ(新仮名遣い):じゃしんせいふく
章:第32章 土竜 よみ(新仮名遣い):もぐら 通し章番号:462
口述日:1922(大正11)年02月27日(旧02月01日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年8月20日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
海月なす漂える国を固めた伊邪那岐皇大神は、日の国の元津御座に帰りましました。そして神伊邪那美大神は、月の御国に帰りましました。
速須佐之男大神が大海原の主宰神と定められた。そして、伊都能売の神の霊である木之花姫神と日の出神に、現界・幽界・神界を守られた。
天地はよく治まり、ミロクの御代となった。
しかしそうした時代もつかの間、荒ぶる八岐大蛇や鬼や狐の曲津神が起こって神の国をかき乱す。
大自在天・大国彦とその妻神大国姫は、真の神の光に照らされて神人を守る神となった。
しかし常世彦・常世姫の末裔であるウラル彦・ウラル姫は、懲りずにまた盤古神王と偽って、アーメニヤに都を構えてまたぞろ世を乱す活動を始めた。
東雲別の宣伝使・東彦は、石凝姥神となって、アーメニヤに宣伝をしようとアルタイ山の原野に進んで行く。
ここには大きな川が行く手をふさいでいた。この川は渡る者の命を奪い、死の川、魔の川といわれる恐ろしい川であった。
そこへ上流から濁流が流れてきて、巨大な材木を流し、自然に浮橋ができた。この光景を見て魔の川のほとりに話しにふける四五人の男たちがいた。
男たちは、ウラル彦が三五教の宣伝使を捕らえればこの川に橋をかけてやる、と言っていたことを思い出して話していた。そこへ石凝姥神が三五教の宣伝歌を歌いながらやってきた。
男たちは川べりの砂の中に首から下をすっかり隠して潜り、宣伝使を待ち構えた。そこへ石凝姥神がやってきて川の面をみると、沢山の材木が自然の浮橋を架けている。
石凝姥神は神恩を感謝し、河辺で神言を奏上し始めた。おりしも日は西山に傾きはじめている。すると、祝詞の声が始まると共に、付近の河辺からうめき声が聞こえてきた。
石凝姥神は正体を見極めようと河辺の砂原に降りた。すると男たちはむっくと砂から姿をあらわし、宣伝使を捕らえようと前後左右から石凝姥神を取り囲んだ。
石凝姥神は天の数歌を唱えると、男たちは頭痛を催して、砂の中に逃げ込んだ。石凝姥神は砂を握って団子にし、ふっと息をかけると石になった。それを砂の中の男たちに次々に投げつけると、男たちはたまりかねて砂から姿を表し、両手を合わせて平伏し、降参した。
石凝姥神はこの土竜のような男たちを許す宣伝歌を歌った。男たちは石凝姥神の神にしたがって浮橋を渡り、一緒にアーメニヤに宣伝に行くこととなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-07-16 02:11:16 OBC :rm1032
愛善世界社版:243頁 八幡書店版:第2輯 479頁 修補版: 校定版:249頁 普及版:111頁 初版: ページ備考:
001海月(くらげ)なす(ただよ)(くに)真細(まつぶ)さに
002(かた)()したる伊邪那岐(いざなぎ)
003(すめ)大神(おほかみ)()(くに)
004元津(もとつ)御座(みくら)(かへ)りまし
005(かむ)伊邪那美(いざなみ)大神(おほかみ)
006(つき)御国(みくに)(かへ)りまし
007(はや)須佐之男(すさのを)大神(おほかみ)
008大海原(おほうなばら)主宰神(つかさがみ)(さだ)(たま)ひて
009伊都能売(いづのめ)(かみ)(みたま)木之花(このはな)(ひめ)
010()出神(でのかみ)現界(うつつ)幽界(かくりよ)(かみ)()
011(まも)らせ(たま)天地(あめつち)
012()(をさ)まりて日月(じつげつ)
013(きよ)()(わた)(かぜ)(さわや)かに
014(あめ)順序(ついで)程々(ほどほど)
015(さか)えミロクの御代(みよ)となり
016天津(あまつ)(かみ)(たち)八百万(やほよろづ)
017国津(くにつ)(かみ)(たち)八百万(やほよろづ)
018(もも)民草(たみくさ)千万(ちよろづ)
019草木(くさき)(けもの)(いた)るまで
020(めぐ)みの(つゆ)(うるほ)ひて
021(ゑら)(よろこ)(その)(こゑ)
022高天原(たかあまはら)()(ひび)
023芽出度(めでた)神世(かみよ)となりにけり
024黄泉軍(よもついくさ)戦争(たたかひ)
025八十(やそ)曲津(まがつ)()()せて
026(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
027(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
028直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
029(たがひ)(むつ)(した)しみて
030(あめ)(した)には争闘(あらそひ)
031疾病(やまひ)(おい)()()くて
032(をさ)まりけるも(つか)()
033隙行(ひまゆ)(こま)此処(ここ)彼処(かしこ)
034荒振(あらぶ)(かみ)曲津見(まがつみ)
035八岐(やまた)大蛇(をろち)(しこ)(おに)
036(しこ)(きつね)曲業(まがわざ)
037おこり(きた)りて千早(ちはや)()
038(かみ)御国(みくに)()(みだ)
039世人(よびと)(こころ)(やうや)くに
040あらぬ(かた)にと(かたむ)きて
041(みだ)(さわ)ぐぞ由々(ゆゆ)しけれ
042(めぐ)みも(ふか)皇神(すめかみ)
043(まこと)(ひかり)()らされて
044常世(とこよ)(くに)自在天(じざいてん)
045大国彦(おほくにひこ)大国姫(おほくにひめ)(みこと)(かしこ)くも
046(たま)真柱(まはしら)()(なほ)
047(まけ)のまにまに黄泉国(よもつくに)
048常世(とこよ)(くに)(とど)まりて
049四方(よも)神人(かみびと)(まも)れども
050常世(とこよ)(ひこ)常世姫(とこよひめ)
051(かみ)末裔(すゑ)なるウラル(ひこ)
052ウラルの(ひめ)()りずまに
053盤古(ばんこ)神王(しんわう)(いつわ)りて
054ウラルの(やま)(ふもと)なる
055アーメニヤの()(みやこ)(かま)
056探女(さぐめ)醜女(しこめ)諸々(もろもろ)
057八十(やそ)曲津(まがつ)引寄(ひきよ)せて
058(また)もや(この)()(みだ)()くこそ是非(ぜひ)なけれ。
059 (やみ)(てら)東雲別(しののめわけ)宣伝使(せんでんし)060東彦(あづまひこ)石凝姥(いしこりどめの)(かみ)となつて、061アルタイ(さん)(ふもと)原野(げんや)(すす)()く。062ここには()なり(おほ)きな(かは)(なが)れて()る。063(これ)宇智川(うちがは)()ふ。064(この)(かは)(わた)るもの、065(ひやく)(にん)(うち)ほとんど九十九(くじふく)(にん)まで生命(いのち)をとらるるので、066一名(いちめい)()(かは)(また)()(かは)(とな)へて()る。067石凝姥(いしこりどめの)(かみ)はアーメニヤに宣伝(せんでん)(こころ)みむとし、068アルタイ(さん)()え、069クスの原野(げんや)(わた)り、070アカシの(みづうみ)071ビワの(うみ)(わた)つてコーカス(ざん)南麓(なんろく)(とほ)り、072アーメニヤに()かむと(かう)(いそ)ぎける。
073 石凝姥(いしこりどめの)(かみ)(やうや)(この)()(かは)(ほとり)()いた。074(はし)()ければ(ふね)()い。075(くは)ふるに濁流(だくりう)(みなぎ)つて()る。076(たまたま)上流(じやうりう)より巨大(きよだい)なる材木(ざいもく)続々(ぞくぞく)として(なが)(きた)り、077(かは)(よこ)たはり、078自然(しぜん)浮橋(うきはし)出来(でき)た。079この(とき)四五(しご)(をとこ)川辺(かはべ)()(この)光景(くわうけい)(なが)めて(はなし)(ふけ)()たり。
080(かふ)(この)(かは)何時(いつ)泥水(どろみづ)(なが)(どほ)しで、081(むか)ふへ(わた)らうと(おも)へば(たれ)(かれ)(かは)真中(まんなか)(みな)生命(いのち)をとられて仕舞(しま)ふのだが、082今日(けふ)(また)(めづ)らしい材木(ざいもく)沢山(たくさん)(なが)れて()よつて、083自然(しぜん)(はし)出来(でき)たがどうだらう。084吾々(われわれ)三年前(さんねんまへ)にあの(はし)出来(でき)て、085こちらに()果物(くだもの)があるのを(さいは)ひに(やうや)(わた)つたと(おも)へば(はし)(なが)れて仕舞(しま)ひ、086(かへ)(こと)出来(でき)なくなつて、087もう一生(いつしやう)川向(かはむか)ふの吾家(わがや)には(かへ)(こと)はあるまいと覚悟(かくご)して()たのに、088今日(けふ)(また)如何(どう)した(こと)か、089(はし)()かつた。090(この)()(さいは)ひに(かへ)らうぢやないか』
091(おつ)『まア()て、092(ひと)思案(しあん)せなくてはならぬ。093大切(だいじ)な、094(ひと)つより()生命(いのち)だ。095()(かは)藻屑(もくず)になつても(こま)るからのう』
096(へい)(なに)097(かま)ふものかい。098(こひ)しい女房(にようばう)兄弟(きやうだい)心配(しんぱい)して()つてゐるから、099(うん)(てん)(まか)して(ひと)(わた)つて()ようかい』
100(てい)(なん)でも(この)水上(みなかみ)にウラル(ひこ)家来(けらい)悪神(わるがみ)()つて、101三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)とやらが(この)(かは)(わた)らぬ(やう)魔神(まがみ)守護(しゆご)して()ると()(こと)だよ。102吾々(われわれ)はウラル(けう)でもなければ、103三五教(あななひけう)でもない。104いろいろの(かみ)さまが(あら)はれて、105両方(りやうはう)から喧嘩(けんくわ)をなさるものだから、106吾々(われわれ)迷惑(めいわく)()(うへ)なしだよ』
107(かふ)『オー、108(その)三五教(あななひけう)(おも)(おこ)したが、109ウラル(ひこ)(かみ)とやらが、110三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)()たら、111引攫(ひつつかま)へてアルタイ(さん)(とりで)まで引立(ひつた)てて()い。112さうすれば(この)(かは)(はし)()けてやる。113そして沢山(たくさん)褒美(ほうび)()るとの(こと)だから、114こんな(ところ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)()よつたら、115それこそ引捉(ひつとら)まへて(ひと)手柄(てがら)をしようぢやないか』
116(おつ)『そんな都合(つがふ)()(こと)があれば結構(けつこう)だが、117吾々(われわれ)(やう)賓頭盧(びんづる)(がた)では、118到底(たうてい)(おも)ひも()らぬ(こと)だ。119(さん)(ねん)()うして(かは)(へだ)てて、120棚機(たなばた)さまでさへも(とし)一度(いちど)逢瀬(あふせ)はあるに、121(なが)(あひだ)(かは)(へだ)てて(たがひ)(かほ)見乍(みなが)ら、122(まま)ならぬ憂目(うきめ)()うて()(やう)不運(ふうん)(もの)だから、123そんな(こと)はまア(まご)(だい)(ぐらゐ)には()ふかも()れぬよ』
124 ()(かた)()(ところ)何気(なにげ)なく石凝姥(いしこりどめの)(かみ)は、125三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)(すす)(きた)る。126一同(いちどう)(この)(こゑ)(みみ)をすませ(くび)(かたむ)け、
127(かふ)『オー、128(うはさ)をすれば(かげ)とやら、129()ぶより(そし)れとは(この)(こと)だ。130三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(うた)らしい。131オイオイ(みな)(やつ)132(この)川辺(かはべり)(すな)(なか)体躯(からだ)をスツカリ(かく)して(くび)だけ()して、133様子(やうす)(かんが)へて()ようかい』
134 一同(いちどう)(はい)(やう)(かる)(やはら)かい(すな)(なか)へ、135(くび)から(した)をスツカリ(かく)して仕舞(しま)ひ、136俯伏(うつぶせ)になつて宣伝歌(せんでんか)()いて()る。137石凝姥(いしこりどめの)(かみ)何気(なにげ)なく(この)川辺(かはべり)(すす)(きた)り、138(かは)(おも)()れば、139沢山(たくさん)材木(ざいもく)横倒(よこだふ)れになつて自然(しぜん)(はし)()けてゐる。
140石凝姥神『ホー、141(かみ)(さま)御恵(みめぐみ)()ふものは結構(けつこう)なものだナア。142(じつ)(この)宇智川(うちがは)()(かは)とか()(かは)とか()つて到底(たうてい)(わた)(こと)出来(でき)ない。143(この)(かは)首尾(しゆび)()(わた)るものは(ひやく)(にん)一人(ひとり)より()いと()(こと)()いて()たが、144今日(けふ)(また)145(なん)()都合(つがふ)()(こと)だらう。146(これ)(まつた)三五教(あななひけう)(かみ)()守護(しゆご)だ。147アヽ(これ)(おも)へば前途(ぜんと)光明(くわうみやう)赫々(かくかく)として(かがや)(わた)(やう)(おも)ひがするワイ。148(なに)()もあれ広大(くわうだい)無辺(むへん)神恩(しんおん)感謝(かんしや)する()めに、149此処(ここ)(ひと)神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、150宣伝歌(せんでんか)(いさぎよ)(うた)つて(わた)(こと)にしよう』
151独語(ひとりご)(なが)神言(かみごと)奏上(そうじやう)(はじ)むる。
152 ()西山(せいざん)(かたむ)いて川水(かはみづ)(ひかり)()げて()る。153祝詞(のりと)(こゑ)(はじ)まると(とも)に、154附近(ふきん)川辺(かはべ)から(うめ)(ごゑ)(きこ)(きた)不思議(ふしぎ)さ。
155 石凝姥(いしこりどめの)(かみ)不図(ふと)(こゑ)する(はう)(なが)むれば、156四五(しご)(くろ)(まる)いものが(なん)だかウンウンと(うめ)いてゐる。
157石凝姥神『ホー、158此奴(こいつ)はウラル(ひこ)部下(てした)魔神(まがみ)所作(しよさ)だナア。159大方(おほかた)悪魔(あくま)()けてゐるのだらう。160(なん)西瓜畑(すゐくわばたけ)(やう)に……(くろ)い、161(まる)いものがウンウンと(うめ)()したぞ。162どれ(ひと)正体(しやうたい)見届(みとど)けてやらうか』
163(ひざ)(ぼつ)する(やはら)かき砂原(すなはら)(あし)()け、164(くろ)(まる)(かたまり)(つか)んで()れば、165土人(どじん)(くび)である。166()れば()をギヨロギヨロさせ(くち)()けて、
167土人の一人『アヽヽア、168(まへ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)か、169(この)(かは)()(かは)()つて(わた)るものは(みな)生命(いのち)()くなるのだ。170三五教(あななひけう)がある()めに(この)土地(とち)人民(じんみん)はどれだけ苦労(くらう)するか()れやしない。171(これ)から吾々(われわれ)()つてたかつて、172(まへ)引捉(ひつとら)まへてアルタイ(ざん)魔神(まがみ)(とりで)()れて()くから覚悟(かくご)をせい。173()(はし)(かか)つた(やう)()えても(この)(はし)化物(ばけもの)だ。174吾々(われわれ)(むか)(ぎし)(かへ)りたいのだが土産(みやげ)()ければ(わた)(こと)出来(でき)ぬ。175オイ(みな)(もの)176()此奴(こいつ)引捉(ひつとら)まへて()れ。177(おれ)(あたま)()引掴(ひつつか)へよつて(はな)さうとしよらぬので如何(どう)する(こと)出来(でき)やしない』
178 (この)(こゑ)()(にん)(あたま)(にはか)(すな)よりムツク姿(すがた)(あらは)し、179前後(ぜんご)左右(さいう)より石凝姥(いしこりどめ)()(かこ)む。
180一同(いちどう)『ヤア、181()ちに()つたる三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)182さア尋常(じんじやう)()(まは)せ』
183石凝姥神貴様(きさま)()一体(いつたい)(なん)だ、184(すな)(なか)住居(すまゐ)(いた)人間(にんげん)か。185オチヨボ(むし)ベンベコ(むし)(やう)(やつ)だなア。186()んな馬鹿(ばか)(ざま)すな187(この)(はう)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)だ。188(この)(かは)(わた)つてアーメニヤに(すす)み、189ウラル(ひこ)悪神(わるがみ)(たひら)げてお(まへ)(たち)難儀(なんぎ)(すく)うてやるのだ。190心配(しんぱい)(いた)すな
191一同(いちどう)(いた)すな(くそ)もあるものかい、192(すな)(なか)自由(じいう)自在(じざい)(くぐ)(この)(はう)だ。193(よわ)(やつ)引捉(ひつとら)まへてウラル(ひこ)(かみ)(たてまつ)()褒美(ほうび)頂戴(ちやうだい)(いた)(つも)りだが、194万々一(まんまんいち)(まへ)()()へぬ(がう)(もの)なら、195(おれ)(たち)(すな)(なか)(くぐ)つて(かく)れるから、196如何(どう)する(こと)出来(でき)やせぬぞ』
197石凝姥神(なん)だ、198貴様(きさま)土竜(もぐらもち)か、199火鼠(ひねずみ)か、200蚯蚓(みみづ)(やう)(やつ)だな。201(すな)(くぐ)る、202それは面白(おもしろ)い。203一遍(いつぺん)その芸当(げいたう)(たび)(なぐさ)めに()せて()れないか。204素直(すな)(すな)くぐりを(いた)せ。205やり(そこ)なひはすな
206一同洒落(しやれ)やがるない。207貴様(きさま)こそ素直(すな)()(まは)せ、208()(ぞこ)なひを(いた)して(あと)で、209後悔(こうくわい)すな
210()(なが)(すな)(つか)んで石凝姥(いしこりどめの)(かみ)両眼(りやうがん)めがけて一生(いつしやう)懸命(けんめい)()げつける。211石凝姥(いしこりどめの)(かみ)()(ふさ)(なが)(おも)はず一人(ひとり)(をとこ)手放(てばな)した。212()(にん)一度(いちど)()(あが)り、
213五人『さア、214()うなつてはもう大丈夫(だいぢやうぶ)だ。215(はや)(この)(はう)(まを)(とほ)りに(いた)さぬか』
216石凝姥(いしこりどめ)(ひと)217(ふた)218()219()220(いつ)221(むゆ)222(なな)223()224(ここの)225(たり)226(もも)227()228(よろづ)
229五人『ヤア、230こいつは()まらぬ。231(あたま)(いた)い、232()(くら)む、233(もぐ)れ、234(もぐ)れ』
235土竜(もぐら)(やう)(すな)ムクムクさせ(なが)全身(ぜんしん)(かく)して(はし)()くのが(なみ)(やう)()えて()る。236石凝姥(いしこりどめ)(すな)両手(りやうて)(にぎ)つて団子(だんご)(こしら)(いき)をふつかけると、237(たちま)凝結(ぎようけつ)して(いし)(たま)となりける。238その(たま)(すな)(なみ)()がけて、239ポンポンと()げつくれば、240一同(いちどう)土人(どじん)()まり()ねてか、241(すな)まぶれ体躯(からだ)ヌツ(あら)はし、242両手(りやうて)(あは)せ、
243五人『カヽヽヽ勘忍(かんにん)々々(かんにん)
244砂上(さじやう)平伏(へいふく)して(あやま)()る。
245石凝姥神『オイ、246土竜(もぐらもち)247(ゆる)してやるから(おれ)(まへ)()()い。248(なに)()()ぢとして()るか。249(すこ)しも(こは)(こと)はないぞ』
250五人『ハイ、251本当(ほんたう)に、252タヽヽヽ(たす)けて(もら)へますか』
253石凝姥神()りにも三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)たるもの、254(うそ)(いつは)りは(すこ)しも(まを)さぬ。255素直(すなほ)(この)(はう)(まへ)(あつ)まり(きた)れ。256()(こと)()かして()らう』
257 土人(どじん)(おそ)(おそ)(まへ)(あつ)まり(きた)り、258俯伏(うつぶ)せになり半泣(はんな)きになつて()る。259石凝姥(いしこりどめ)(また)もや宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(さわや)かに(うた)(はじ)めたり。
260石凝姥神(われ)石凝姥(いしこりどめ)(かみ)
261ウラルの(かみ)曲津見(まがつみ)
262言向(ことむ)(やは)三五(あななひ)
263(かみ)(をしへ)(すく)はむと
264東雲(しののめ)(そら)()(のぼ)
265(あづま)(ひこ)宣伝使(せんでんし)
266(こころ)(かた)石凝姥(いしこりどめ)
267(かみ)(みこと)(あら)はれて
268数多(あまた)悪魔(あくま)もアルタイの
269(やま)(とりで)(きよ)めむと
270()()()いで(みち)()
271世人(よびと)(すく)真心(まごころ)
272宇智(うち)川辺(かはべ)()()れば
273(うり)(はたけ)()(ごと)
274(まる)(あたま)此処(ここ)彼処(かしこ)
275これ枉神(まがかみ)曲業(まがわざ)
276川辺(かはべ)()()(かみ)()
277一寸(ちよつと)(にぎ)つて(なが)むれば
278(からす)(やう)(くろ)(かほ)
279美事(みごと)目鼻(めはな)(くち)(みみ)
280眉毛(まゆげ)(ひたい)出来(でき)てゐる
281(かしら)ばかりの人間(にんげん)
282如何(どう)して此処(ここ)()まうかと
283思案(しあん)にくるる折柄(をりから)
284土竜(もぐら)(やう)ムクムクと
285(すな)もち()げて(あら)はれし
286(くろ)さも(くろ)鍋墨(なべずみ)
287(やう)体躯(からだ)化物(ばけもの)
288(おほ)馬鹿者(ばかもの)()らねども
289三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
290召捕(めしと)()れむと四方(しはう)より
291(われ)(むか)つて()(きた)
292その有様(ありさま)可笑(をか)しさに
293(あま)数歌(かずうた)()りつれば
294(あたま)(おさ)()(しか)
295(こら)()ねたる(てい)たらく
296(わが)()(みち)三五(あななひ)
297(をしへ)なれどもお(まへ)()
298穴有(あなあ)(けう)(たちま)ちに
299土竜(もぐら)(やう)(あな)あけて
300(すな)(なみ)をば()たせゐる
301あな面白(おもしろ)面白(おもしろ)
302(ひと)(おど)して()ようとて
303(すな)(にぎ)つて(かた)めおき
304(かみ)御息(みいき)()()けて
305石凝姥(いしこりどめ)(たま)となし
306前後(ぜんご)左右(さいう)()げやれば
307こりや()まらぬと各自(めいめい)
308生命(いのち)()しさに()()つて
309素直(すな)(われ)(したが)ひし
310(こころ)(かみ)(たす)(がみ)
311もう(これ)からは(つつし)みて
312(けつ)して馬鹿(ばか)真似(まね)すな
313素直(すな)(こころ)(あらた)めよ
314素直(すな)(こころ)(あらた)めよ』
315滑稽(こつけい)(まじ)りに宣伝歌(せんでんか)(うた)ひければ、316()(にん)一斉(いつせい)(かほ)()げ、
317五人『アヽヽア、318有難(ありがた)御座(ござ)います。319もう(これ)からスツカリ改心(かいしん)(いた)します。320すな仰有(おつしや)つた(こと)すなほに()めまする。321オイオイ(みな)(やつ)322これから素直(すな)になれよ』
323石凝姥(いしこりどめ)貴様(きさま)もよく洒落(しやれ)(やつ)だな、324さア(これ)から(この)(はし)(わた)るのだ。325(まへ)(たち)(おれ)()いて()い。326(おれ)宣伝歌(せんでんか)(うた)(あと)から一緒(いつしよ)(うた)ふのだ。327さうすれば無事(ぶじ)安全(あんぜん)(わた)れるから』
328(かふ)可愛(かあい)(かかあ)(ひさ)()りに()面会(めんくわい)(かな)ひますかなア』
329(おつ)(また)(かかあ)(こと)()ひよるワ。330(わた)つた(うへ)(こと)だ。331一寸先(いつすんさき)(やみ)()だよ』
332石凝姥(いしこりどめ)貴様(きさま)はウラル(けう)だな』
333(おつ)滅相(めつさう)な、334ウラメシ(けう)です。335もう(これ)から(わたくし)三五教(あななひけう)になります。336(しか)(わたくし)女房(にようばう)だけはあなない(けう)にして(もら)つては(こま)ります』
337(へい)三五教(あななひけう)でも心配(しんぱい)するな。338()()り、339あな有難(ありがた)アルタイ(さん)だ』
340としやれながら、341石凝姥(いしこりどめの)(かみ)(あと)()いて浮木(うきき)(はし)西(にし)(むか)つて(やうや)(わた)(をは)りぬ。
342大正一一・二・二七 旧二・一 北村隆光録)
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