霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二三章 神(かみ)の慈愛(じあい)〔四五三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻 篇:第1篇 千軍万馬 よみ(新仮名遣い):せんぐんばんば
章:第23章 神の慈愛 よみ(新仮名遣い):かみのじあい 通し章番号:453
口述日:1922(大正11)年02月25日(旧01月29日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年8月20日
概要: 舞台:ロッキー山城、ロッキー城 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
そこへ大自在天・大国彦がやってきて、常世城の広国別が攻め寄せてきた、と伝えた。そして自分はここで広国別を迎え撃つが、大国姫は黄泉島へ行って神軍と最後の決戦をするように命じた。
大国姫が黄泉島へ向かって出立すると、固虎と淤縢山津見がやってきて、大国彦にロッキー城の落城を告げた。大国彦は慌てて二人を連れてロッキー城に駆けつけると、そこには人影もなく、ただ城門が開け放たれているのみであった。
淤縢山津見と固虎は自らの三五教への改心を明かし、大国彦に降伏を迫った。大国彦は最後の力を振り絞って大刀を抜き放ち、二人に撃ってかかる。二人は剣の下をかいくぐり、表門めがけて逃げ出した。
固虎は逃げながら、三五教の教えのために大国彦に反撃できないことを嘆くが、淤縢山津見は固虎に、敵といえどもすべては神の子であり、神の子を傷つけることはできない、と諭し、大国彦に改心を迫るのはまたの機会にしよう、と告げた。
二人を追って来た大国彦は、この会話を聞いて三五教の仁慈に富んだ教えに心を打たれ、大声をあげて泣きはじめた。大国彦は、泣き声を聞きつけた淤縢山津見に対して、改心を申し出た。
淤縢山津見は大国彦に、これから常世城に向かって広国別を言向け和そう、と促した。三人が常世城に向かうと、常世城の竹山彦らの軍勢は案に相違して、歓呼で迎えた。
これより、常世城とロッキー山には、十耀の神旗が翻った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-07-28 17:03:35 文字数:2577 OBC :rm1023
愛善世界社版:172頁 八幡書店版:第2輯 453頁 修補版: 校定版:179頁 普及版:80頁 初版: ページ備考:
001 大国姫(おほくにひめの)命(みこと)は、002武虎別(たけとらわけ)と共(とも)に、003此(この)場(ば)の怪(あや)しき光景(くわうけい)に胆(きも)を奪(うば)はれ、004呆然(ばうぜん)として何(なん)の辞(ことば)もなく佇(たたず)み居(ゐ)る折(をり)しも、005日(ひ)の出神(でのかみ)と称(しよう)する大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)は、006四五(しご)の従者(じうしや)と共(とも)に此(こ)の場(ば)に現(あら)はれ来(きた)り、
007日の出神(に化けた大国彦)『ヤア、008ロッキー城(じやう)は大変(たいへん)な事(こと)が起(おこ)つて来(き)た。009常世城(とこよじやう)常世(とこよ)神王(しんわう)、010数多(あまた)の軍勢(ぐんぜい)を引連(ひきつ)れ叛逆(はんぎやく)を企(くはだ)て、011味方(みかた)に於(おい)ては淤縢山津見(おどやまづみ)、012固虎彦(かたとらひこ)を以(もつ)て之(これ)に当(あた)らしめ居(を)れども、013始終(しじう)の勝利(しようり)は覚束(おぼつか)なし。014汝(なんぢ)大国姫(おほくにひめ)、015今(いま)より秘(ひそ)かに黄泉島(よもつじま)に渡(わた)り伊弉冊(いざなみの)尊(みこと)と称(しよう)して出陣(しゆつぢん)し、016味方(みかた)の士気(しき)を鼓舞(こぶ)し以(もつ)て大勝利(だいしようり)を博(はく)し、017神軍(しんぐん)を追払(おつぱら)へよ。018然(しか)らば如何(いか)に広国別(ひろくにわけ)勢(いきほひ)猛(たけ)く攻(せ)め来(きた)るとも、019汝(なんぢ)が武威(ぶゐ)に恐(おそ)れて忽(たちま)ち降服(かうふく)せむ。020本城(ほんじやう)に立籠(たてこも)り、021暗々(やみやみ)広国別(ひろくにわけ)に滅(ほろ)ぼされむは策(さく)の得(え)たるものに非(あら)ず。022吾(われ)は是(これ)より本城(ほんじやう)に止(とどま)りて、023寄(よ)せ来(く)る敵(てき)を待(ま)ち討(う)たむ。024汝(なんぢ)は一(いち)時(じ)も早(はや)く黄泉島(よもつじま)に向(むか)へ』
025大国姫(おほくにひめ)『委細(ゐさい)承知(しようち)仕(つかまつ)りました。026併(しか)しながら怪事(くわいじ)多(おほ)き此(この)城中(じやうちう)、027十二分(じふにぶん)の御(ご)注意(ちうい)あれ』
028と言(い)ひ棄(す)て、029天(あま)の磐船(いはふね)に乗(の)りて天空(てんくう)を轟(とどろ)かしながら、030四五(しご)の従兵(じうへい)と共(とも)に、031黄泉島(よもつじま)に向(むか)つて急(いそ)ぎ進(すす)み行(ゆ)く。
032 この時(とき)又(また)もや門外(もんぐわい)騒(さわ)がしく、033淤縢山津見(おどやまづみ)は、034固山彦(かたやまひこ)と共(とも)に周章(あわただ)しく入(い)り来(きた)り、
035淤縢山津見『日(ひ)の出神(でのかみ)に申上(まをしあ)げます。036ロッキー城(じやう)は、037最早(もはや)刀(かたな)折(を)れ矢(や)尽(つ)き、038遂(つひ)に敵(てき)の占領(せんりやう)する所(ところ)となりました』
039日出(ひのでの)神(かみ)(に化けた大国彦)『エヽ腑甲斐(ふがひ)なき奴輩(やつばら)奴(め)。040吾(われ)は是(これ)より広国別(ひろくにわけ)の軍(ぐん)に向(むか)ひ勝敗(しようはい)を決(けつ)せむ。041淤縢山津見(おどやまづみ)、042固虎(かたとら)、043吾(われ)に続(つづ)け』
044と言(い)ひながら、045駿馬(しゆんめ)に跨(またが)り、046威風(ゐふう)凛々(りんりん)として少数(せうすう)の軍卒(ぐんそつ)を率(ひき)ゐ、047ロッキー山城(さんじやう)を後(あと)に見(み)て、048ロッキー城(じやう)に向(むか)つて駆(か)けつくる。
049 ロッキー城(じやう)に致(いた)り見(み)れば、050表門(おもてもん)は開放(かいはう)され、051一人(ひとり)の敵軍(てきぐん)もなければ味方(みかた)の影(かげ)もなし。052贋(にせ)日(ひ)の出神(でのかみ)は怪(あや)しみながら、053将卒(しやうそつ)を率(ひき)ゐて四方(しはう)に心(こころ)を配(くば)りつつ奥深(おくふか)く進(すす)み入(い)る。054見(み)れば、055狐(きつね)の声(こゑ)四方(しはう)八方(はつぱう)より、
056狐の声『狐々(こんこん)怪々(くわいくわい)』
057 寂(せき)として人影(ひとかげ)もなし。
058日出(ひのでの)神(かみ)(に化けた大国彦)『合点(がてん)の行(ゆ)かぬ今(いま)の鳴声(なきごゑ)。059アイヤ、060淤縢山津見(おどやまづみ)、061固虎彦(かたとらひこ)、062残(のこ)る隅(くま)なく捜索(そうさく)せよ』
063淤縢山津見(おどやまづみ)『オー、064吾(われ)こそは三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)、065今(いま)まで汝(なんぢ)が味方(みかた)と云(い)ひしは、066汝(なんぢ)の悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)を懲(こら)さむ為(ため)なり。067サア、068斯(か)くなる以上(いじやう)は尋常(じんじやう)に降服(かうふく)するか』
069日の出神(に化けた大国彦)『エヽ』
070固山彦(かたやまひこ)『汝(なんぢ)は日(ひ)の出神(でのかみ)と名(な)を偽(いつは)り、071ロッキー城(じやう)に立籠(たてこも)り、072神界(しんかい)の経綸(けいりん)を根底(こんてい)より破壊(はくわい)せむとせし悪鬼(あくき)羅刹(らせつ)の張本(ちやうほん)、073斯(か)くなる以上(いじやう)は、074隠(かく)るるとも逃(に)ぐるとも、075最早(もはや)力(ちから)及(およ)ばぬ。076覚悟(かくご)を致(いた)せ』
077日出(ひのでの)神(かみ)(に化けた大国彦)『ヤー残念(ざんねん)至極(しごく)、078大国姫(おほくにひめ)は黄泉島(よもつじま)に向(むか)つて進軍(しんぐん)し、079部下(ぶか)の勇将(ゆうしやう)猛卒(まうそつ)は、080或(あるひ)は出陣(しゆつぢん)し或(あるひ)は遁走(とんそう)し、081今(いま)はわが身(み)一(ひと)つの、082如何(いかん)とも術(すべ)なし。083サア、084汝(なんぢ)等(ら)斬(き)るなら斬(き)れよ、085殺(ころ)すなら殺(ころ)せよ』
086淤縢山津見(おどやまづみ)『アイヤ贋(にせ)日(ひ)の出神(でのかみ)、087よつく聴(き)け。088天地(てんち)の神明(しんめい)は愛(あい)を以(もつ)て心(こころ)となし給(たま)ふ。089吾々(われわれ)人間(にんげん)として如何(いかん)ともなし難(がた)きは空気(くうき)と水(みづ)と死(し)とである。090死(し)するも生(い)くるも神(かみ)の御心(みこころ)だ。091徒(いたづら)に汝(なんぢ)が如(ごと)き命(いのち)を奪(うば)ひて何(なん)の効(かう)かあらむ。092仮令(たとへ)肉体(にくたい)は死(し)するとも、093汝(なんぢ)の霊(れい)は再(ふたた)び悪鬼(あくき)となりて天下(てんか)に横行(わうかう)し、094妖邪(えうじや)を行(おこな)ふは目(め)に見(み)るが如(ごと)し。095吾(われ)は汝(なんぢ)の生命(いのち)を奪(うば)ひて以(もつ)て事(こと)足(た)れりとなすものでない。096汝(なんぢ)が霊魂中(れいこんちう)に割拠(かつきよ)せる悪霊(あくれい)を悔(く)い改(あらた)めしめ、097或(あるひ)は退去(たいきよ)せしめ、098改過(かいくわ)遷善(せんぜん)の実(じつ)を挙(あ)げさせむと欲(ほつ)するのみ。099三五教(あななひけう)は汝(なんぢ)らの主張(しゆちやう)の如(ごと)き、100武器(ぶき)を以(もつ)て人(ひと)を征服(せいふく)し、101或(あるひ)は他国(たこく)を略奪(りやくだつ)するものにあらず。102至仁(しじん)至愛(しあい)の神(かみ)の教(をしへ)、103よつく耳(みみ)を洗(あら)つて聴聞(ちやうもん)せよ』
104日の出神(に化けた大国彦)『オー、105小賢(こざか)しき汝(なんぢ)の言葉(ことば)、106聞(き)く耳(みみ)持(も)たぬ。107斯(か)くなる以上(いじやう)は最早(もはや)吾(われ)等(ら)の運(うん)の尽(つき)、108鍛(きた)へに鍛(きた)へし都牟刈(つむがりの)太刀(たち)を味(あぢ)はつて見(み)よ』
109と言(い)ふより早(はや)く、110太刀(たち)をズラリと引(ひ)き抜(ぬ)いて、111淤縢山津見(おどやまづみ)、112固山彦(かたやまひこ)に斬(き)つて掛(か)かるその勢(いきほひ)凄(すさま)じく、113恰(あたか)も阿修羅(あしゆら)王(わう)の荒(あ)れ狂(くる)ふが如(ごと)し。114淤縢山津見(おどやまづみ)、115固山彦(かたやまひこ)は剣(つるぎ)の下(した)をくぐり、116一目散(いちもくさん)に表門(おもてもん)指(さ)して逃(に)げ出(いだ)す。
117日出(ひのでの)神(かみ)(に化けた大国彦)『ヤア、118卑怯(ひけふ)未練(みれん)な奴(やつ)。119ナゼ尋常(じんじやう)に勝負(しようぶ)を致(いた)さぬか』
120固山彦(かたやまひこ)『エヽ残念(ざんねん)だ、121淤縢山津見(おどやまづみ)さま、122如何(いか)に三五教(あななひけう)の玉(たま)の教(をしへ)なればとて、123斯(かく)の如(ごと)き侮辱(ぶじよく)を受(う)けながら、124旗(はた)を捲(ま)き鋒(ほこ)を納(をさ)めて、125この場(ば)を逃(に)ぐるは卑怯(ひけふ)と見(み)られませう。126変事(へんじ)に際(さい)して剣(つるぎ)の威徳(ゐとく)を現(あら)はすは、127神(かみ)も許(ゆる)し給(たま)ふべし』
128淤縢山津見(おどやまづみ)『イヤイヤ、129至仁(しじん)至愛(しあい)の神(かみ)の心(こころ)を以(もつ)て吾(われ)は此(この)場(ば)を逃(に)ぐるなり。130竜虎(りうこ)共(とも)に戦(たたか)はば勢(いきほ)ひ互(たがひ)に全(まつた)からず。131彼(かれ)を斬(き)るか、132斬(き)らるるか、133彼(かれ)も神(かみ)の子(こ)、134吾(われ)も神(かみ)の子(こ)、135神(かみ)の御子(みこ)同士(どうし)傷(きず)つけ合(あ)ふは、136親神(おやがみ)に対(たい)して申訳(まをしわけ)なし。137暫(しばら)く彼(かれ)が鋭鋒(えいほう)を避(さ)けて、138更(あらた)めて時(とき)を窺(うかが)ひ悔(く)い改(あらた)めしめむと思(おも)ふ』
139固山彦『エヽ三五教(あななひけう)は誠(まこと)に以(もつ)て行(や)り難(にく)い教(をしへ)であるワイ』
140と地団駄(ぢだんだ)踏(ふ)んで口惜(くや)しがる。141日(ひ)の出神(でのかみ)は見(み)え隠(がく)れに後(あと)をつけ来(きた)り、142この話(はなし)を聞(き)いて大(おほ)いに驚(おどろ)き、143思(おも)はず、
144日の出神(に化けた大国彦)『ワツ』
145とばかり泣(な)き伏(ふ)しにける。
146固山彦(かたやまひこ)『ヤア、147なんだか暗(くら)がりに泣声(なきごゑ)が致(いた)しますよ』
148淤縢山津見(おどやまづみ)『さうだなア、149何(なん)だか妙(めう)な泣声(なきごゑ)だ、150よく似(に)た声(こゑ)だ。151ヤア、152暗中(あんちう)に泣(な)き叫(さけ)ぶは何人(なんびと)なるぞ』
153 暗中(あんちう)より、
154日の出神(に化けた大国彦)『私(わたくし)は日(ひ)の出神(でのかみ)と名(な)を偽(いつは)つた大国彦(おほくにひこ)であります。155只今(ただいま)貴方(あなた)の仁慈(じんじ)に富(と)める御(お)言葉(ことば)を聞(き)いて、156感涙(かんるい)に咽(むせ)び思(おも)はず泣(な)きました。157私(わたくし)は今迄(いままで)の悪(あく)を翻然(ほんぜん)として悔(く)い改(あらた)めます。158どうぞ御(お)赦(ゆる)し下(くだ)さいませ』
159淤縢山津見(おどやまづみ)『ホー、160満足(まんぞく)々々(まんぞく)、161斯(か)くならば敵(てき)も味方(みかた)もない、162全(まつた)く兄弟(きやうだい)だ。163兄弟(きやうだい)を助(たす)けたさに、164吾(われ)は宣伝使(せんでんし)となつて苦労(くらう)を致(いた)して居(ゐ)るのだ。165貴方(あなた)の知(し)らるる如(ごと)く、166吾(われ)も旧(もと)は大逆(たいぎやく)無道(ぶだう)の醜国別(しこくにわけ)、167神(かみ)の仁慈(じんじ)の雨(あめ)に浴(よく)し、168悔(く)い改(あらた)めて宣伝使(せんでんし)となりし者(もの)、169かくなる上(うへ)は貴下(きか)と共(とも)に是(これ)より常世城(とこよじやう)に進(すす)み、170常世(とこよ)神王(しんわう)広国別(ひろくにわけ)を神(かみ)の教(をしへ)に帰順(きじゆん)せしめむ』
171固山彦(かたやまひこ)『ヤア、172流石(さすが)は淤縢山津見(おどやまづみ)さま、173本当(ほんたう)に感心(かんしん)だ。174実地(じつち)の良(よ)い教訓(けうくん)を受(う)けました。175サアサア日(ひ)の出神(でのかみ)……ではない大国彦(おほくにひこ)殿(どの)、176これより常世城(とこよじやう)に向(むか)ひませう』
177 嚇(おど)し上手(じやうず)の淤縢山津見(おどやまづみ)、178固(かた)い一方(いつぱう)の固山彦(かたやまひこ)、179目(め)から火(ひ)の出(で)る日(ひ)の出神(でのかみ)の、180意外(いぐわい)な憂目(うきめ)に大国彦(おほくにひこ)、181今(いま)は全(まつた)く悔(く)い改(あらた)めて、182心(こころ)の駒(こま)も勇(いさ)み立(た)ち、183三(さん)人(にん)一同(いちどう)に連銭(れんぜん)葦毛(あしげ)の駿馬(しゆんめ)に跨(またが)り、184魔神(まがみ)の猛(たけ)る常世(とこよ)の暗(やみ)の常世城(とこよじやう)、185群(むら)がる敵(てき)を物(もの)ともせず、186神(かみ)を力(ちから)に信仰(しんかう)を杖(つゑ)に、187生死(せいし)の境(さかひ)を超越(てうゑつ)し、188勇気(ゆうき)を鼓(こ)して敵(てき)の群衆(ぐんしう)に向(むか)つて、189馬(うま)の蹄(ひづめ)の音(おと)勇(いさ)ましく、190ハイヨーハイヨと鞭(むち)を加(くは)へて進(すす)み行(ゆ)く。
191 竹山彦(たけやまひこ)その他(た)の部将(ぶしやう)は、192この光景(くわうけい)を見(み)て、193抵抗(ていかう)するかと思(おも)ひの外(ほか)、194馬上(ばじやう)より、
195竹山彦『ヤア、196大国彦(おほくにひこの)命(みこと)、197ウローウロー、198目出度(めでた)しめでたし、199一(いち)時(じ)も早(はや)く奥殿(おくでん)に入(い)らせられよ』
200と案(あん)に相違(さうゐ)の挨拶(あいさつ)ぶり、201大国彦(おほくにひこ)は怪訝(けげん)の念(ねん)に駆(か)られながら、202淤縢山津見(おどやまづみ)、203固山彦(かたやまひこ)と共(とも)に、204馬上(ばじやう)ゆたかに奥(おく)へ奥(おく)へと進(すす)み行(ゆ)く。205今(いま)まで雲霞(うんか)の如(ごと)き大軍(たいぐん)と見(み)えしは、206夢(ゆめ)幻(まぼろし)と消(き)え失(う)せて跡形(あとかた)もなく、207奥殿(おくでん)には嚠喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)響(ひび)き渡(わた)り爽快(さうくわい)身(み)に迫(せま)る。208一同(いちどう)は奥(おく)の間(ま)に端坐(たんざ)し、209天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し宣伝歌(せんでんか)を唱(とな)ふ。
210 是(これ)よりロッキー城(じやう)も常世(とこよ)の城(しろ)も、211十曜(とえう)の神旗(しんき)翻(ひるが)へり、212神徳(しんとく)を讃美(さんび)する声(こゑ)天地(てんち)に響(ひび)き、213常世国(とこよのくに)は一(いち)時(じ)天国(てんごく)楽園(らくゑん)と化(くわ)したるぞ目出度(めでた)けれ。
214(大正一一・二・二五 旧一・二九 松村真澄録)
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