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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第10巻(酉の巻)
序歌
凡例
総説歌
信天翁(一)
第1篇 千軍万馬
第1章 常世城門
第2章 天地暗澹
第3章 赤玉出現
第4章 鬼鼻団子
第5章 狐々怪々
第6章 額の裏
第7章 思はぬ光栄
第8章 善悪不可解
第9章 尻藍
第10章 注目国
第11章 狐火
第12章 山上瞰下
第13章 蟹の将軍
第14章 松風の音
第15章 言霊別
第16章 固門開
第17章 乱れ髪
第18章 常世馬場
第19章 替玉
第20章 還軍
第21章 桃の実
第22章 混々怪々
第23章 神の慈愛
第24章 言向和
第25章 木花開
第26章 貴の御児
第2篇 禊身の段
第27章 言霊解一
第28章 言霊解二
第29章 言霊解三
第30章 言霊解四
第31章 言霊解五
第3篇 邪神征服
第32章 土竜
第33章 鰤公
第34章 唐櫃
第35章 アルタイ窟
第36章 意想外
第37章 祝宴
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(三)
余白歌
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第10巻(酉の巻)
> 第1篇 千軍万馬 > 第18章 常世馬場
<<< 乱れ髪
(B)
(N)
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第一八章
常世
(
とこよ
)
馬場
(
ばんば
)
〔四四八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
篇:
第1篇 千軍万馬
よみ(新仮名遣い):
せんぐんばんば
章:
第18章 常世馬場
よみ(新仮名遣い):
とこよばんば
通し章番号:
448
口述日:
1922(大正11)年02月23日(旧01月27日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年8月20日
概要:
舞台:
常世城
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
常世城では門番たちが、のんきに話しにふけっていた。そこへ、ロッキー山からやってきた逆国別が到着した。
門を開けさせた逆国別は、城の出入り口を兵士たちに見晴らせて、乗馬のまま中門を潜り進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-07-16 00:33:31
OBC :
rm1018
愛善世界社版:
142頁
八幡書店版:
第2輯 442頁
修補版:
校定版:
149頁
普及版:
67頁
初版:
ページ備考:
001
春日
(
はるひ
)
に
照
(
て
)
れる
常世城
(
とこよじやう
)
、
002
霞
(
かすみ
)
棚引
(
たなび
)
く
天守閣
(
てんしゆかく
)
、
003
ロッキー
山
(
ざん
)
とロッキー
城
(
じやう
)
、
004
常世
(
とこよ
)
の
城
(
しろ
)
の
三
(
み
)
つ
葵
(
あふひ
)
、
005
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
自在天
(
じざいてん
)
、
006
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
疑
(
うたが
)
ひ
受
(
う
)
けしとは
露白旗
(
つゆしらはた
)
の、
007
ばたばた
風
(
かぜ
)
に
翻
(
ひるが
)
へる、
008
様子
(
やうす
)
も
知
(
し
)
らぬ
門番
(
もんばん
)
は
広
(
ひろ
)
き
馬場
(
ばんば
)
の
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に、
009
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たへて
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
り
居
(
ゐ
)
る。
010
高彦
(
たかひこ
)
は、
011
高彦
『オイ
倉彦
(
くらひこ
)
、
012
去年
(
きよねん
)
の
冬
(
ふゆ
)
だつたかねえ、
013
松
(
まつ
)
、
014
竹
(
たけ
)
、
015
梅
(
うめ
)
の
天女
(
てんによ
)
のやうな
宣伝使
(
せんでんし
)
がやつて
来
(
き
)
て、
016
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
さまが、
017
ほく
ほくもので、
018
終
(
おしまひ
)
には
逆上
(
のぼせあが
)
つて
門番
(
もんばん
)
の
縮尻
(
しくじ
)
つた
奴
(
やつ
)
を
重役
(
ぢゆうやく
)
にしたり、
019
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
働
(
はたら
)
いた
立派
(
りつぱ
)
なお
役人
(
やくにん
)
を
門番
(
もんばん
)
に
昇級
(
しようきふ
)
さしたり、
020
照彦
(
てるひこ
)
といふ
化物
(
ばけもの
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て
荒
(
あ
)
れ
廻
(
まは
)
す、
021
月
(
つき
)
、
022
雪
(
ゆき
)
、
023
花
(
はな
)
と
云
(
い
)
ふ
途方
(
とはう
)
途轍
(
とてつ
)
もない
別嬪
(
べつぴん
)
がやつて
来
(
き
)
て、
024
この
広
(
ひろ
)
い
常世
(
とこよ
)
の
城
(
しろ
)
は、
025
日々
(
にちにち
)
百花
(
ひやくくわ
)
爛漫
(
らんまん
)
たる
弥生
(
やよひ
)
の
陽気
(
やうき
)
に
満
(
み
)
ちて、
026
糸竹
(
しちく
)
管絃
(
くわんげん
)
の
響
(
ひび
)
きに、
027
吾々
(
われわれ
)
も
耳
(
みみ
)
の
穴
(
あな
)
の
掃除
(
さうぢ
)
をしたものだが、
028
コロリ
転変
(
てんぺん
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
029
城
(
しろ
)
の
中
(
なか
)
だと
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
たら、
030
神王
(
しんわう
)
さまを
始
(
はじ
)
め、
031
吾々
(
われわれ
)
迄
(
まで
)
が、
032
この
馬場
(
ばんば
)
だつたね、
033
夜露
(
よつゆ
)
に
曝
(
さら
)
されて
馬鹿
(
ばか
)
を
見
(
み
)
たことがある。
034
狐
(
きつね
)
の
声
(
こゑ
)
が、
035
彼方
(
あちら
)
にも
此方
(
こちら
)
にもコンコン、
036
クワイクワイ
聞
(
きこ
)
えると
思
(
おも
)
へば、
037
駕籠
(
かご
)
に
乗
(
の
)
つて
来
(
き
)
た
照彦
(
てるひこ
)
も、
038
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
も
煙
(
けむり
)
になつて
消
(
き
)
えてしまふなり、
039
怪体
(
けつたい
)
な
事
(
こと
)
があつたものだ。
040
横歩
(
よこある
)
きの
上手
(
じやうず
)
な
蟹彦
(
かにひこ
)
奴
(
め
)
が、
041
豪
(
えら
)
さうに
竹島彦
(
たけしまひこ
)
と
名乗
(
なの
)
つて、
042
沢山
(
たくさん
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
を
引率
(
いんそつ
)
して
黄泉島
(
よもつじま
)
へ
出陣
(
しゆつぢん
)
する、
043
まるで
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
クラリ
転変
(
てんぺん
)
だ。
044
又
(
また
)
あんな
事
(
こと
)
があると、
045
門番
(
もんばん
)
だつて
馬鹿
(
ばか
)
にならぬワ。
046
待
(
ま
)
てば
海路
(
うなぢ
)
の
風
(
かぜ
)
があると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
047
ロッキー
山
(
ざん
)
も
常世城
(
とこよじやう
)
も
皆
(
みな
)
出陣
(
しゆつじん
)
して
仕舞
(
しま
)
つて、
048
後
(
あと
)
に
人物
(
じんぶつ
)
が
払底
(
ふつてい
)
と
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのだから、
049
きつと
選抜
(
せんばつ
)
されて
高彦
(
たかひこ
)
が
鷹取別
(
たかとりわけ
)
におなり
遊
(
あそ
)
ばすかも
知
(
し
)
れないよ』
050
倉彦
(
くらひこ
)
『
貴様
(
きさま
)
、
051
日
(
ひ
)
が
永
(
なが
)
いので
夢
(
ゆめ
)
でも
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
るのか。
052
高彦
(
たかひこ
)
が
鷹取別
(
たかとりわけ
)
になつて、
053
化物
(
ばけもの
)
の
火
(
ひ
)
の
玉
(
たま
)
に
鼻
(
はな
)
を
挫
(
くじ
)
かれて、
054
鼻
(
はな
)
ビシヤゲ
彦
(
ひこ
)
となるも
面白
(
おもしろ
)
からう』
055
高彦
『
何
(
なに
)
、
056
鼻
(
はな
)
位
(
くらゐ
)
べしやげ
たつて
構
(
かま
)
ふものか、
057
鷹取別
(
たかとりわけ
)
は
矢張
(
やは
)
り
鷹取別
(
たかとりわけ
)
ぢや。
058
三軍
(
さんぐん
)
の
将
(
しやう
)
として
威風
(
ゐふう
)
堂々
(
だうだう
)
四辺
(
あたり
)
を
払
(
はら
)
ひ、
059
黄泉島
(
よもつじま
)
に
数多
(
あまた
)
の
軍
(
ぐん
)
を
引率
(
いんそつ
)
して
出
(
で
)
た
美々
(
びび
)
しい
姿
(
すがた
)
は、
060
この
高彦
(
たかひこ
)
の
目
(
め
)
から
見
(
み
)
ても
実
(
じつ
)
に
羨望
(
せんばう
)
の
至
(
いた
)
りだつたよ』
061
倉彦
『
欲
(
よく
)
の
熊高彦
(
くまたかひこ
)
、
062
股
(
また
)
裂
(
さ
)
けると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るかい』
063
高彦
『め
くら
の、
064
ぼん
くら
の、
065
なま
くら
彦
(
ひこ
)
、
066
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ。
067
人
(
ひと
)
の
出世
(
しゆつせ
)
は
運
(
うん
)
にあるのだ。
068
俺
(
おれ
)
の
運
(
うん
)
が
貴様
(
きさま
)
に
分
(
わか
)
るか』
069
倉彦
『
貴様
(
きさま
)
の
ウン
を
知
(
し
)
らぬものがあるかい。
070
この
間
(
あひだ
)
も
雪隠
(
せつちん
)
に
行
(
ゆ
)
くのが
邪魔
(
じやま
)
くさいと
云
(
い
)
ひよつて、
071
橋
(
はし
)
の
袂
(
たもと
)
で
行灯
(
あんど
)
のかきたて
坊子
(
ばうし
)
のやうな
形
(
かたち
)
をした、
072
どえらい
左巻
(
ひだりまき
)
を
垂
(
た
)
れたぢやないか。
073
沢山
(
たくさん
)
の
金蠅
(
きんばへ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
よつて、
074
ブンブンと
黒
(
くろ
)
くなるほど
たか
つて
居
(
ゐ
)
た。
075
貴様
(
きさま
)
は
鷹取別
(
たかとりわけ
)
ぢやない
はへたかり
彦
(
ひこ
)
の
糞野郎
(
くそやらう
)
だなア』
076
高彦
『
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
だなア。
077
運
(
うん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はそんなものぢやないワイ』
078
倉彦
『それなら
何
(
なん
)
だ』
079
高彦
『
運
(
うん
)
と
云
(
い
)
うたら、
080
雲
(
くも
)
の
上
(
うへ
)
まで
出世
(
しゆつせ
)
をする
事
(
こと
)
だ。
081
それにどんな
望
(
のぞ
)
みでも、
082
ここの
大将
(
たいしやう
)
の
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
さまが
諾
(
うん
)
と
云
(
い
)
つたら
最後
(
さいご
)
、
083
あの
横歩
(
よこある
)
きの
糞垂腰
(
ばばたれごし
)
の
蟹彦
(
かにひこ
)
でも
上役
(
うはやく
)
になつたぢやないか。
084
どうだ
分
(
わか
)
つたか、
085
運
(
うん
)
の
因縁
(
いんねん
)
が』
086
倉彦
『あゝさうか、
087
ウンと
云
(
い
)
へば
出世
(
しゆつせ
)
が
出来
(
でき
)
るのだな。
088
それなら
貴様
(
きさま
)
を
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
の
上役
(
うはやく
)
、
089
脇立
(
わきだち
)
にしてやらう、
090
ウン、
091
ウン、
092
ウン』
093
高彦
『
何
(
なん
)
だ、
094
雪隠
(
せつちん
)
に
這入
(
はい
)
つて
跨
(
また
)
げたやうな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
しよつて、
095
そんな
運
(
うん
)
が
何
(
なん
)
になるか』
096
かく
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
る
折
(
をり
)
しも、
097
数十騎
(
すうじつき
)
の
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
098
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
勢
(
いきほひ
)
よく
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る
者
(
もの
)
あり。
099
二人
『イヨー、
100
ロッキー
城
(
じやう
)
から
又
(
また
)
何
(
なん
)
だか
上使
(
じやうし
)
がやつて
来
(
き
)
たぞ。
101
かうしては
居
(
を
)
られない、
102
早
(
はや
)
く
這入
(
はい
)
つて
門
(
もん
)
を
閉
(
し
)
めるのだ』
103
と
二人
(
ふたり
)
は
狼狽
(
あわ
)
てて
門
(
もん
)
の
内
(
うち
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み、
104
閂
(
かんぬき
)
をがたりと
入
(
い
)
れ、
105
高彦
(
たかひこ
)
『サア、
106
運
(
うん
)
の
開
(
ひら
)
け
口
(
ぐち
)
だ。
107
この
門
(
もん
)
開
(
ひら
)
けといつたが
最後
(
さいご
)
、
108
ウンと
云
(
い
)
うて
開
(
ひら
)
くのだよ』
109
倉彦
(
くらひこ
)
『オイオイ、
110
さう
心
(
こころ
)
易
(
やす
)
く
開
(
ひら
)
いちや
価値
(
かち
)
がないぞ。
111
蟹彦
(
かにひこ
)
のやうに
出世
(
しゆつせ
)
をしようと
思
(
おも
)
へば、
112
力
(
ちから
)
一
(
いつ
)
ぱい、
113
頑張
(
ぐわんば
)
つて
見
(
み
)
るのだ』
114
かかる
所
(
ところ
)
へ、
115
逆国別
(
さかくにわけ
)
は
数多
(
あまた
)
の
部下
(
ぶか
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ
門前
(
もんぜん
)
に
現
(
あら
)
はれ、
116
逆国別
『ロッキー
山
(
ざん
)
の
館
(
やかた
)
の
姫神
(
ひめがみ
)
伊諾冊
(
いざなみの
)
大神
(
おほかみ
)
、
117
ロッキー
城
(
じやう
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
ご
)
上使
(
じやうし
)
逆国別
(
さかくにわけ
)
、
118
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
に
急用
(
きふよう
)
あり、
119
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
くこの
門
(
もん
)
を
開
(
ひら
)
け』
120
二人
(
ふたり
)
『ヤア、
121
お
出
(
い
)
でたお
出
(
い
)
でた、
122
いよいよ
運
(
うん
)
の
開
(
ひら
)
け
口
(
ぐち
)
、
123
これだから
辛
(
つら
)
い
門番
(
もんばん
)
も
辛抱
(
しんばう
)
せいと
云
(
い
)
ふのだ。
124
犬
(
いぬ
)
も
歩
(
ある
)
けば
棒
(
ぼう
)
に
当
(
あた
)
る』
125
と
訳
(
わけ
)
も
知
(
し
)
らずに
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
126
門外
(
もんぐわい
)
よりは
声
(
こゑ
)
高
(
たか
)
く、
127
逆国別
『ヤア、
128
何故
(
なぜ
)
この
門
(
もん
)
開
(
あ
)
けぬか、
129
門番
(
もんばん
)
は
眠
(
ねむ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのか』
130
高彦
(
たかひこ
)
『オー、
131
ロッキー
山
(
ざん
)
の
上使
(
じやうし
)
とかや、
132
大切
(
たいせつ
)
なる
役目
(
やくめ
)
を
蒙
(
かうむ
)
るこの
門番
(
もんばん
)
、
133
昼
(
ひる
)
の
日中
(
ひなか
)
に
眠
(
ねむ
)
る
奴
(
やつ
)
があつて
耐
(
たま
)
らうか。
134
何程
(
なにほど
)
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
上使
(
じやうし
)
でも、
135
此
(
この
)
門
(
もん
)
の
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
ては、
136
門番
(
もんばん
)
の
権利
(
けんり
)
だ。
137
頭
(
あたま
)
ごなしに
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てな、
138
駄目
(
だめ
)
だぞ』
139
倉彦
(
くらひこ
)
『オイ、
140
もつと
カスリ
声
(
ごゑ
)
を
出
(
だ
)
さぬか。
141
そんな
間抜
(
まぬ
)
けた、
142
竹筒
(
たけづつ
)
を
吹
(
ふ
)
いたやうな
声
(
こゑ
)
では、
143
おちこぼれがないぞ。
144
底抜
(
そこぬ
)
け
野郎
(
やらう
)
』
145
門外
(
もんぐわい
)
より、
146
逆国別
『
早
(
はや
)
く
開
(
あ
)
けよ、
147
時
(
とき
)
が
迫
(
せま
)
つた』
148
と
頻
(
しき
)
りに
叩
(
たた
)
く。
149
両人
(
りやうにん
)
は、
150
二人
『オイ、
151
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
開
(
あ
)
けての
上
(
うへ
)
の
御
(
ご
)
分別
(
ふんべつ
)
だ』
152
と
閂
(
かんぬき
)
を
外
(
はづ
)
し、
153
左右
(
さいう
)
にパツと
表門
(
おもてもん
)
を
開
(
ひら
)
く。
154
逆国別
(
さかくにわけ
)
は
乗馬
(
じやうば
)
の
侭
(
まま
)
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
り
入
(
い
)
り、
155
逆国別
『ホー、
156
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
、
157
常世城
(
とこよじやう
)
の
東西
(
とうざい
)
南北
(
なんぼく
)
の
鉄門
(
かなど
)
を
警護
(
けいご
)
致
(
いた
)
せ。
158
一
(
いち
)
人
(
にん
)
たりとも
見
(
み
)
のがしてはならぬぞ』
159
と
云
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
て、
160
ドシドシ
中門
(
なかもん
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
161
高
(
たか
)
、
162
倉
(
くら
)
は
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけ、
163
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
馬
(
うま
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
に
縋
(
すが
)
りつき、
164
高彦
(
たかひこ
)
『モシモシ、
165
逆国別
(
さかくにわけ
)
さま、
166
みだりに
中門
(
なかもん
)
を
潜
(
くぐ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ』
167
逆国別
(
さかくにわけ
)
『
上使
(
じやうし
)
に
向
(
むか
)
つて
不都合
(
ふつがふ
)
千万
(
せんばん
)
、
168
退
(
さが
)
れツ』
169
馬
(
うま
)
『ヒンヒン、
170
ブウブウブウ』
171
倉彦
(
くらひこ
)
『ヤア、
172
馬鹿
(
ばか
)
にしやがる、
173
臭
(
くさ
)
い
屁
(
へ
)
を
嗅
(
か
)
がしよつて、
174
日
(
ひ
)
に
三升
(
さんじよう
)
のくづ
豆
(
まめ
)
喰
(
くら
)
ひ、
175
十六文
(
じふろくもん
)
で
二足
(
にそく
)
の
履
(
くつ
)
穿
(
は
)
きよつて、
176
この
倉彦
(
くらひこ
)
さまに
屁
(
へ
)
を
くら
はし、
177
音高彦
(
おとたかひこ
)
さまとは
洒落
(
しやれ
)
て
けつ
かる。
178
モシモシ
御
(
ご
)
上使
(
じやうし
)
、
179
物
(
もの
)
を
註文
(
ちゆうもん
)
する
時
(
とき
)
には
前金
(
ぜんきん
)
が
要
(
い
)
りますぜ。
180
あなたが
中門
(
なかもん
)
を
開
(
ひら
)
けと
仰有
(
おつしや
)
るなら、
181
此方
(
こちら
)
にも
註文
(
ちゆうもん
)
がある』
182
かくする
内
(
うち
)
、
183
中門
(
なかもん
)
はサラリと
開
(
ひら
)
いた。
184
逆国別
(
さかくにわけ
)
は
乗馬
(
じやうば
)
のまま
中門
(
なかもん
)
を
潜
(
くぐ
)
らむとする。
185
高彦
(
たかひこ
)
、
186
倉彦
(
くらひこ
)
は
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
187
二人
『ヤア、
188
この
門
(
もん
)
みだりに
入
(
い
)
るべからず。
189
下馬
(
げば
)
下乗
(
げじやう
)
だツ、
190
下
(
さが
)
れツ』
191
と
呶鳴
(
どな
)
りつけるを、
192
逆国別
(
さかくにわけ
)
は
数人
(
すうにん
)
の
家来
(
けらい
)
と
共
(
とも
)
に、
193
委細
(
ゐさい
)
かまはず
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
194
高彦
(
たかひこ
)
『たうとう
我慢
(
がまん
)
の
強
(
つよ
)
い、
195
這入
(
はい
)
つて
仕舞
(
しま
)
ひよつた』
196
倉彦
(
くらひこ
)
『
門番
(
もんばん
)
の
権威
(
けんゐ
)
もよい
加減
(
かげん
)
なものだなア。
197
貴様
(
きさま
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
198
倉彦
(
くらひこ
)
が
照山彦
(
てるやまひこ
)
で、
199
貴様
(
きさま
)
が
鷹取別
(
たかとりわけ
)
になるかも
知
(
し
)
れないぞ。
200
まア、
201
そんな
心配
(
しんぱい
)
らしい
顔
(
かほ
)
をすな。
202
ヨウヨウ、
203
門
(
もん
)
を
閉
(
し
)
め
置
(
お
)
かないものだから、
204
吾々
(
われわれ
)
に
無断
(
むだん
)
で
駕籠
(
かご
)
が
三
(
みつ
)
つも
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
よる。
205
また
昨年
(
さくねん
)
の
冬
(
ふゆ
)
のやうに、
206
松
(
まつ
)
、
207
竹
(
たけ
)
、
208
梅
(
うめ
)
の
化物
(
ばけもの
)
かも
知
(
し
)
れないぞ』
209
高彦
『これが
出世
(
しゆつせ
)
の
導
(
みちび
)
きだ。
210
昨年
(
さくねん
)
もさうだつたらう。
211
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女
(
をんな
)
が
来
(
き
)
て、
212
次
(
つぎ
)
に
強
(
つよ
)
い
照彦
(
てるひこ
)
がやつて
来
(
き
)
て
暴
(
あば
)
れよつて、
213
その
後
(
あと
)
へまた
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
が
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
ただろう。
214
その
時
(
とき
)
の
騒動
(
さうだう
)
のお
蔭
(
かげ
)
で、
215
蟹彦
(
かにひこ
)
の
奴
(
やつ
)
、
216
今
(
いま
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
三軍
(
さんぐん
)
の
将
(
しやう
)
となりよつたのだ。
217
うまいうまい』
218
と
云
(
い
)
ひながら
門
(
もん
)
を
ぴしやり
と
閉
(
し
)
め、
219
閂
(
かんぬき
)
をおろし、
220
高彦
『サアサア、
221
これから
次
(
つぎ
)
の
幕
(
まく
)
だ。
222
また
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
が
破
(
やぶ
)
つて
這入
(
はい
)
つて
来
(
く
)
るまで、
223
開
(
あ
)
けてはならないぞ』
224
この
時
(
とき
)
何処
(
いづく
)
ともなく、
225
破鐘
(
われがね
)
のやうな
声
(
こゑ
)
がして、
226
声
『
天狗
(
てんぐ
)
の
鼻高彦
(
はなたかひこ
)
、
227
心
(
こころ
)
の
目倉彦
(
めくらひこ
)
、
228
今
(
いま
)
に
運
(
うん
)
が
開
(
ひら
)
かぬぞよ。
229
ウワハヽヽヽ』
230
二人
(
ふたり
)
は
思
(
おも
)
はず
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて
仰天
(
ぎやうてん
)
したり。
231
(
大正一一・二・二三
旧一・二七
加藤明子
録)
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