霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 狐火(きつねび)〔四四一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻 篇:第1篇 千軍万馬 よみ(新仮名遣い):せんぐんばんば
章:第11章 狐火 よみ(新仮名遣い):きつねび 通し章番号:441
口述日:1922(大正11)年02月22日(旧01月26日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年8月20日
概要: 舞台:カリガネ半島 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
一同は、カリガネ半島に上陸した。一同がこれまでの旅程を話し合っていると、前方より人馬の物音が聞こえてきた。
常世城が宣伝使捕縛のために使わした軍隊であった。この軍を指揮していたのは、固虎であった。固虎は一同を取り囲み、上空からは天の鳥船で天を覆い、宣伝使たちを威嚇した。
珍山彦は吹き出して、爆弾を投下するならやってみよ、と怒鳴り返すと、懐から火打ちを出して、枯れ葉につけた。珍山彦の焚き火は、常世城の爆撃の合図と同じであった。
固虎は自分たちが爆撃されてしまうのを恐れて、慌てて珍山彦の焚き火を消すように部下たちに下知した。しかし三姉妹たちが、向かってくる兵士たちを掴んでカリガネ湾にどんどん放り込む。
上空の鳥船は、珍山彦の焚き火を合図と勘違いし、次々に爆弾を投下し始めた。味方の爆弾で、固虎の兵士たちは死傷して、惨憺たる光景を表した。
固虎軍の兵士たちは、口々に降参と改心を申し出る。宣伝使たちが宣伝歌を歌い始めると、固虎をはじめとする兵士たちも歌い舞い始めた。知らず知らずに、爆弾で破れた体も元に戻り、負傷の跡形もなくなっていた。
固虎は翻然として悟り、三五教に改心して、ロッキー山への道案内を務めることとなった。固虎は後に、固山津見という神名をいただき、大活躍をすることになる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-07-15 22:05:38 文字数:3464 OBC :rm1011
愛善世界社版:90頁 八幡書店版:第2輯 423頁 修補版: 校定版:94頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
001川田(かはた)の町(まち)を離(はな)れたる
002常磐(ときは)の森(もり)の岩(いは)の根(ね)に
003心(こころ)も堅(かた)き五柱(いつはしら)
004珍山彦(うづやまひこ)を始(はじ)めとし
005浪(なみ)の響(ひびき)や吹(ふ)く風(かぜ)の
006淤縢山津見(おどやまづみ)の宣伝使(せんでんし)
007ミロクの御代(みよ)を松代姫(まつよひめ)
008梅ケ香姫(うめがかひめ)や竹野姫(たけのひめ)
009ここに五(ご)人(にん)はいそいそと
010アナウの高原(かうげん)打(う)ち越(こ)えて
011シラ山峠(やまたうげ)の東麓(とうろく)を
012こと問(と)ひあはすコトド川(がは)
013湯津(ゆつ)石村(いはむら)にたばしれる
014血潮(ちしほ)に染(そ)むる曲神(まがかみ)の
015苦(くる)しき悩(なや)みを洗(あら)はむと
016思(おも)ふ心(こころ)もカリガネの
017たより渚(なぎさ)のカリガネ湾(わん)
018東(ひがし)を指(さ)して浪(なみ)の上(うへ)
019進(すす)み行(ゆ)くこそ雄々(をを)しけれ。
020 南北(なんぽく)に帯(おび)の如(ごと)く延長(えんちやう)せるカリガネ半島(はんたう)に、021五(ご)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は上陸(じやうりく)した。022宣伝使(せんでんし)の影(かげ)は細(ほそ)き竹(たけ)の如(ごと)く、023長(なが)く地上(ちじやう)に東(ひがし)に向(むか)つて倒(たふ)れる。024遉(さすが)に長(なが)き春(はる)の日(ひ)も、025カリガネ湾(わん)の彼方(あなた)に舂(うすづ)き始(はじ)めた。026立(た)つて行(ゆ)く人(ひと)、027寝(ね)て進(すす)む人(ひと)、028十曜(とえう)の紋(もん)の十人(とたり)連(づれ)、029日没(にちぼつ)と共(とも)に惜(を)しき別(わか)れを告(つ)げにける。
030 靄(もや)に包(つつ)まれたる浪(なみ)を分(わ)けて、031十四夜(いざよひ)の月(つき)は東天(とうてん)に輝(かがや)き始(はじ)めぬ。032照(て)りもせず曇(くも)りも果(は)てぬ春(はる)の夜(よ)の朧月夜(おぼろづきよ)に、033又(また)もや微(かすか)な五(ご)人(にん)の姿(すがた)は西枕(にしまくら)に現(あら)はれて来(き)た。034蚊々虎(かがとら)は、
035蚊々虎(珍山彦)『ホー淤縢山(おどやま)さま、036吾々(われわれ)は常磐(ときは)の森(もり)から、037斯(か)うぶらぶらと、038シラ山峠(やまたうげ)の麓(ふもと)を廻(めぐ)つて、039音(おと)に響(ひび)いたコトド川(かは)をやうやう渡(わた)り、040草(くさ)の褥(しとね)の仮枕(かりまくら)、041沈(しづ)んだ浮世(うきよ)をカリガネの、042入江(いりえ)を渡(わた)つて十人(とたり)連(づれ)、043アヽ世(よ)は日(ひ)の暮(く)るるとともに、044親密(しんみつ)な五(ご)人(にん)に分(わか)れ、045ヤレ淋(さび)しやと思(おも)ふ間(ま)もなく、046又(また)もや五(ご)人(にん)のおつきあひが出来(でき)た。047矢張(やつぱ)り世(よ)の中(なか)は神歌(しんか)ではないが、048十(とう)でなければ治(をさ)まらぬ。049遠(とほ)い遠(とほ)い海山(うみやま)越(こ)えて、050どうやらかうやら此地(ここ)まで青息(あをいき)吐息(といき)の為体(ていたらく)でやつて来(き)た。051心(こころ)も荒(あら)き荒浪(あらなみ)の、052淤縢山津見(おどやまづみ)の宣伝使(せんでんし)、053松(まつ)吹(ふ)く風(かぜ)の松代姫(まつよひめ)、054ミロクさまがお上(あが)りになつた。055サアサア、056これから言霊姫(ことたまひめ)の鎮(しづ)まり給(たま)ふ常世国(とこよぐに)、057常世(とこよ)の暗(やみ)をとことんまで晴(は)らして、058常世(とこよ)神王(しんわう)に改心(かいしん)させねば吾々(われわれ)の役目(やくめ)がすまぬ。059烏羽玉(うばたま)の夜(よ)も、060月(つき)の光(ひかり)にシラ山(やま)山脈(さんみやく)、061サアサアこれから行(ゆ)きませう』
062淤縢山津見(おどやまづみ)『モシモシ珍山彦(うづやまひこ)様(さま)、063吾々(われわれ)は今(いま)まで五人(ごにん)連(づ)れで来(き)た筈(はず)だ。064それにあなたは十人(とたり)連(づ)れと云(い)ひましたねえ。065いつも途方(とはう)途轍(とてつ)もない法螺(ほら)を吹(ふ)いて吾々(われわれ)に栃麺棒(とちめんぼう)を振(ふ)らすのですか』
066珍山彦(うづやまひこ)(蚊々虎)『日(ひ)の神(かみ)様(さま)のお蔭(かげ)で十人(とたり)連(づ)れぢや、067神(かみ)のお蔭(かげ)がなければ、068矢張(やつぱ)り男女(だんぢよ)五(ご)人(にん)だ。069日(ひ)の神(かみ)のお蔭(かげ)にはづれたと思(おも)へば、070今度(こんど)はミロク様(さま)のお蔭(かげ)でまた元(もと)の十人(とたり)連(づ)れ。071情(つれ)ない浮世(うきよ)と人(ひと)は言(い)へども、072蛸(たこ)さへ釣(つ)れる世(よ)の中(なか)だ。073貴下(きか)も深山(みやま)の谷底(たにぞこ)で、074照彦(てるひこの)神(かみ)に蛸(たこ)をつられたさうですなア』
075淤縢山津見『その話(はなし)は聞(き)いて下(くだ)さるな。076一(いち)時(じ)も早(はや)くこのシラ山峠(やまたうげ)を向(むか)ふに渡(わた)つて、077常世(とこよ)の国(くに)へ参(まゐ)りませう。078実(じつ)はアナウ高原(かうげん)を渡(わた)つて、079テキサスの方(はう)から常世城(とこよじやう)の背面(はいめん)に出(で)る考(かんが)へでしたが、080何(なん)だか俄(にはか)に足(あし)が東(ひがし)に向(むか)つて、081川田(かはた)の町(まち)で不思議(ふしぎ)にも三(さん)人(にん)の姫(ひめ)に出会(であ)ひ、082又(また)もや常磐(ときは)の森(もり)で貴下(きか)にお目(め)にかかつたのも、083何(なに)かの霊界(かくりよ)からの御(お)指揮(さしづ)でせう』
084と話(はな)す折(をり)しも、085前方(ぜんぱう)より幾百(いくひやく)とも知(し)れぬ人馬(じんば)の物音(ものおと)聞(きこ)え来(きた)る。086五(ご)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は又(また)もや敵(てき)の襲来(しふらい)かと、087腹帯(はらおび)を締(し)め、088直(ただち)に月光(げつくわう)に向(むか)つて手(て)を合(あは)せ、089神言(かみごと)を奏上(そうじやう)し、090声(こゑ)を揃(そろ)へて宣伝歌(せんでんか)をうたひける。
091 追(お)ひおひ近(ちか)づき来(きた)る群衆(ぐんしう)の中(なか)より、092一人(ひとり)の棟梁(とうりやう)らしきもの現(あら)はれ、
093固虎『ヤアヤア、094それに居(を)る五(ご)人(にん)の者(もの)は三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)であらう。095テツキリ松(まつ)、096竹(たけ)、097梅(うめ)の三(さん)人(にん)の女(をんな)に相違(さうゐ)はあるまい。098常世城(とこよじやう)を夜陰(やいん)に乗(じやう)じて逃(に)げ出(いだ)し、099又(また)もやこのカリガネ半島(はんたう)に来(きた)つて宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ふ不届(ふとどき)至極(しごく)の奴(やつ)。100常世(とこよ)神王(しんわう)の命(めい)に依(よ)つて、101腕力(わんりよく)鉄(てつ)より固(かた)き固虎(かたとら)が召捕(めしとり)に向(むか)うたり。102サア尋常(じんじやう)に縛(ばく)に就(つ)くか。103否(いな)と申(まを)さば、104この槍(やり)のキツ尖(さき)にて貫(つらぬ)かうか。105返答(へんたふ)如何(いか)に』
106と馬(うま)を進(すす)ませ呶鳴(どな)りつつ迫(せま)り来(きた)る。
107 一行(いつかう)は何(なん)の応答(いらへ)もなく、108黙然(もくねん)として佇立(ちよりつ)し居(ゐ)たるに、109前後(ぜんご)左右(さいう)に忽(たちま)ち起(おこ)る鬨(とき)の声(こゑ)、110追(お)ひおひ身辺(しんぺん)に近寄(ちかよ)り来(きた)る。111空(そら)には数十(すうじふ)の天(あま)の鳥船(とりふね)天(てん)を覆(おほ)ひて猛(たけ)り狂(くる)ひ、112威嚇(ゐくわく)運動(うんどう)が開始(かいし)されて居(ゐ)る。113固虎(かたとら)は、
114固虎『ヤア、115汝(なんぢ)らは此(この)方(はう)の威勢(ゐせい)に恐(おそ)れて、116一言(いちげん)半句(はんく)も言葉(ことば)はなく、117がたがた慄(ふる)うて居(を)るのか。118今(いま)にこの固虎(かたとら)が合図(あひづ)を致(いた)さば、119空(そら)の鳥船(とりふね)より下(おろ)す投弾(なげだま)に、120汝(なんぢ)ら五(ご)人(にん)の身体(しんたい)は木端(こつぱ)微塵(みぢん)。121微塵(みじん)となつて滅(ほろ)ぶるよりも、122一寸(いつすん)延(の)びれば尋(ひろ)とやら、123一息(ひといき)の間(ま)も命(いのち)が惜(を)しからう。124サア此(この)方(はう)に四(し)の五(ご)の吐(ぬか)さず随(つ)いて来(こ)い。125六(ろく)でもない事(こと)囀(さへづ)つても、126この方(はう)はエエ七面倒(しちめんだう)くさい、127頤(あご)を叩(たた)くと八(は)り倒(たふ)して九(く)て仕舞(しま)ふのだ。128十(と)こよの国(くに)の固虎(かたとら)の旭日(きよくじつ)昇天(しようてん)の御(ご)威勢(ゐせい)を知(し)らぬか』
129と空威張(からゐばり)に威張(ゐば)り散(ち)らして呶鳴(どな)り居(ゐ)る。130珍山彦(うづやまひこ)は吹(ふ)き出(いだ)し、
131珍山彦(蚊々虎)『ウワハヽヽヽ、132ヤア固虎(かたとら)、133ほざいたりなほざいたりな、134ロッキー山(ざん)に常世城(とこよじやう)に、135巣(す)を構(かま)へたる八岐(やまた)の大蛇(をろち)の尻尾(しつぽ)の奴(やつ)ども、136此(この)方(はう)を何(なん)と心得(こころえ)てをるか、137世界(せかい)に名高(なだか)い三五教(あななひけう)の蚊々虎(かがとら)さまとは俺(おれ)の事(こと)だ。138名(な)を聞(き)いて一同(いちどう)の奴(やつ)、139肝(きも)を潰(つぶ)すな。140何程(なにほど)上(うへ)から爆弾(ばくだん)を投(な)げたとて、141それが何(なに)恐(おそ)ろしいか。142一(いち)時(じ)も早(はや)く合図(あひづ)を致(いた)して、143爆弾(ばくだん)を投(な)げさせよ。144此(この)方(はう)は神変(しんぺん)不可思議(ふかしぎ)の神力(しんりき)備(そな)はる、145いづのみたまの五人(ごにん)連(づ)れ。146貴様(きさま)の方(はう)は烏合(うがふ)の衆(しう)だ。147うごうご致(いた)した密集(みつしふ)部隊(ぶたい)へ、148爆弾(ばくだん)投下(とうか)は此(この)方(はう)にもつて来(こ)いだ。149敵(てき)の武器(ぶき)をもつて敵(てき)を滅(ほろ)ぼすとはこの事(こと)だ。150サア、151貴様(きさま)の用(もち)ふる合図(あひづ)は此(この)方(はう)がやつてやらう。152自縄(じじよう)自縛(じばく)、153自滅(じめつ)の端(たん)を開(ひら)く大(おほ)馬鹿者(ばかもの)』
154と云(い)ひながら、155蚊々虎(かがとら)は懐(ふところ)より火打(ひうち)を取(と)り出(だ)し、156火口(ほくち)に火(ひ)を移(うつ)し、157枯葉(かれは)を集(あつ)めて三箇所(さんかしよ)に火(ひ)を焚(た)き出(だ)せば、158固虎(かたとら)は、
159固虎『ヤア、160そりや大変(たいへん)だ。161此(この)方(はう)の合図(あひづ)をどうして知(し)つたか。162味方(みかた)の武器(ぶき)で味方(みかた)が滅(ほろび)る。163耐(たま)らぬ耐(たま)らぬ、164ヤイヤイ、165皆(みな)の者(もの)ども、166一(いち)時(じ)も早(はや)くあの火(ひ)を消(け)せよ』
167 一同(いちどう)は焚火(たきび)に向(むか)つて消(け)しにかからうとする奴(やつ)を、168松(まつ)、169竹(たけ)、170梅(うめ)の三(さん)人(にん)は、171三ケ所(さんかしよ)の火(ひ)の傍(そば)に突(つ)つ立(た)ち上(あが)り、172寄(よ)り来(く)る奴(やつ)を手玉(てだま)に取(と)つて、173一々(いちいち)カリガネ湾(わん)に投(な)げ込(こ)む。
174 忽(たちま)ち轟然(がうぜん)たる響(ひびき)聞(きこ)えて、175爆弾(ばくだん)は密集(みつしふ)部隊(ぶたい)の頭上(づじやう)に破裂(はれつ)せしかば、176泡(あわ)を吹(ふ)いて死傷(ししやう)算(さん)なく、177命(いのち)辛々(からがら)逃(に)げ行(ゆ)くもあり、178その場(ば)に倒(たふ)れて呻(うめ)く声(こゑ)、179此処(ここ)彼処(かしこ)に聞(きこ)え来(きた)る。180珍山彦(うづやまひこ)は大音声(だいおんじやう)、
181珍山彦(蚊々虎)『ヤアヤア、182固虎(かたとら)の部下(ぶか)の者(もの)共(ども)、183改心(かいしん)したか。184肝(きも)を潰(つぶ)し、185腰(こし)を抜(ぬ)かし、186鼻(はな)を挫(くじ)かれ、187口(くち)は引(ひ)き裂(さ)かれ、188眼球(めだま)は飛(と)び出(だ)し、189耳(みみ)はちぎれ、190腕(うで)は折(を)れ、191足(あし)はむしられ、192実(じつ)に気(き)の毒(どく)千万(せんばん)なるよ。193今(いま)この場(ば)に於(おい)て改心(かいしん)致(いた)さばよし、194否(いや)と云(い)ふなら、195ま一度(いちど)合図(あひづ)をしようか』
196 一同(いちどう)の中(なか)より、197泣(な)き声(ごゑ)を絞(しぼ)りながら、
198固虎の部下『蚊々虎(かがとら)様(さま)、199三(さん)人(にん)の姫(ひめ)様(さま)、200私(わたくし)は改心(かいしん)致(いた)します。201どうぞ助(たす)けて下(くだ)さいませ』
202珍山彦(蚊々虎)『改心(かいしん)致(いた)した奴(やつ)は、203この場(ば)で罪(つみ)を赦(ゆる)してやらう。204改心(かいしん)致(いた)すほど世(よ)の中(なか)に結構(けつこう)はない。205サア一同(いちどう)此(この)方(はう)の後(あと)に随(つ)いて宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)へ』
206一同(いちどう)『常世(とこよ)の国(くに)やロッキーの
207山(やま)に隠(かく)るる曲津(まがつ)神(かみ)
208八岐(やまた)大蛇(をろち)に狙(ねら)はれて
209神(かみ)の御国(みくに)を乱(みだ)さむと
210鼻息(はないき)高(たか)き鷹取別(たかとりわけ)の
211醜(しこ)の魔神(まがみ)の腰(こし)抜(ぬ)かし
212鼻(はな)みしやがれたその家来(けらい)
213肩(かた)で風(かぜ)切(き)る固虎(かたとら)が
214部下(てした)の者(もの)よ、よつく聞(き)け
215旭(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
216月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
217常世(とこよ)の国(くに)は沈(しづ)むとも
218曲津(まがつ)の砦(とりで)は破(やぶ)るとも
219三五教(あななひけう)は世(よ)を救(すく)ふ
220口(くち)は引(ひ)き裂(さ)け鼻(はな)曲(まが)り
221眼球(めだま)は飛(と)び出(だ)し耳(みみ)ちぎれ
222腕(かいな)は折(を)れて足(あし)はとれ
223子供(こども)の玩具(おもちや)の人形箱(にんぎやうばこ)
224ぶち開(あ)けたやうな今(いま)の態(ざま)
225改心(かいしん)するのは此(この)時(とき)ぞ
226改心(かいしん)するのは此(この)場合(ばあひ)
227月日(つきひ)は空(そら)に蚊々虎(かがとら)の
228宣(の)る言霊(ことたま)に耳(みみ)澄(す)ませ
229口(くち)を清(きよ)めて目(め)を洗(あら)ひ
230鼻(はな)を低(ひ)くして天地(あめつち)の
231神(かみ)を称(たた)ふる神言(かみごと)を
232一度(いちど)に宣(の)れよ皆(みな)のもの
233のれよのれのれ皇神(すめかみ)の
234救(すく)ひの船(ふね)に皆(みな)乗(の)れよ
235ロッキー山(ざん)に現(あら)はれし
236日(ひ)の出神(でのかみ)や伊弉冊(いざなみ)の
237神(かみ)と申(まを)すは世(よ)を乱(みだ)す
238大蛇(をろち)や金狐(きんこ)の化身(けしん)ぞや
239早(は)や目(め)を醒(さ)ませ目(め)を醒(さ)ませ
240心(こころ)にかかる村雲(むらくも)を
241吾(わが)言霊(ことたま)に吹(ふ)き払(はら)ひ
242清(きよ)めて救(すく)ふ神(かみ)の道(みち)
243国(くに)てふ国(くに)は多(おほ)けれど
244神(かみ)てふ神(かみ)は多(おほ)けれど
245常世(とこよ)の国(くに)は常久(とことは)に
246暗(やみ)ではおけぬ神(かみ)の胸(むね)
247ロッキー山(ざん)の曲神(まがかみ)の
248醜(しこ)の企(たく)みを此(この)侭(まま)に
249捨(す)ててはおかぬ神心(かみごころ)
250この世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
251心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
252唯(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
253直日(なほひ)に見直(みなほ)し宣(の)り直(なほ)し
254鬼(おに)や大蛇(をろち)や曲神(まがかみ)の
255醜(しこ)の猛(たけ)びを皇神(すめかみ)の
256救(すくひ)の舟(ふね)に乗(の)り直(なほ)し
257心(こころ)を直(なほ)せよ諸人(もろびと)よ
258この世(よ)を渡(わた)す麻柱(あななひ)の
259神(かみ)の造(つく)りし方船(はこぶね)は
260どこにも一(ひと)つ穴(あな)はない
261あな有難(ありがた)や尊(たふと)やと
262左(ひだり)右(みぎ)りの手(て)を合(あは)せ
263祈(いの)れよ祈(いの)れカリガネの
264この島人(しまびと)や固虎(かたとら)の
265部下(てした)のものよ逸早(いちはや)く
266神(かみ)の光(ひかり)に目(め)を醒(さ)ませ
267神(かみ)の光(ひかり)に目(め)を醒(さ)ませ
268日(ひ)は照(て)る光(ひか)る月(つき)は盈(み)つ
269日(ひ)の出神(でのかみ)が現(あら)はれて
270常夜(とこよ)の暗(やみ)を照(てら)せども
271行方(ゆくへ)も知(し)らぬ荒浪(あらなみ)の
272中(なか)に漂(ただよ)ふ醜船(しこぶね)の
273舵(かぢ)を取(と)られて人心(ひとごころ)
274心(こころ)の海(うみ)に日月(じつげつ)の
275光(ひかり)湛(たた)へて黄泉島(よもつじま)
276黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)の戦(たたかひ)に
277力(ちから)を尽(つく)せ身(み)を尽(つく)せ
278神(かみ)の守(まも)りは目(ま)のあたり
279神(かみ)の恵(めぐ)みは此(この)通(とほ)り』
280と歌(うた)ひ舞(ま)ふ。
281 固虎(かたとら)を始(はじ)め部下(ぶか)の者(もの)共(ども)は思(おも)はず知(し)らず、282蚊々虎(かがとら)の言霊車(ことたまぐるま)に乗(の)せられて、283自分(じぶん)の事(こと)と知(し)りながら、284知(し)らず知(し)らずに歌(うた)ひ舞(ま)ひ踊(をど)り狂(くる)ふ。285目(め)も鼻(はな)も口(くち)も耳(みみ)も手(て)も足(あし)も、286神(かみ)の恵(めぐ)みに救(すく)はれ、287元(もと)の通(とほ)りの完全(くわんぜん)な肉体(にくたい)に還元(くわんげん)して、288負傷(ふしやう)の痕(あと)さへ止(とど)めざるこそ不可思議(ふかしぎ)なる。
289 これより固虎(かたとら)は、290珍山彦(うづやまひこ)の歌(うた)に感(かん)じ、291翻然(ほんぜん)として悟(さと)り、292道案内(みちあんない)となつてロッキー山(ざん)に進(すす)み行(ゆ)く。293固虎(かたとら)は後(のち)に固山(かたやま)津見(づみ)の神名(しんめい)を戴(いただ)き、294神界(しんかい)のために大活動(だいくわつどう)を為(な)すに至(いた)れり。
295(大正一一・二・二二 旧一・二六 加藤明子録)
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