霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 (こころ)(おく)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第1篇 日本より奉天まで よみ(新仮名遣い):にっぽんよりほうてんまで
章:第5章 心の奥 よみ(新仮名遣い):こころのおく 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月15日(旧06月26日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年2月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
この話を聞いて、無抵抗主義、万有愛を標榜する教団の教主が馬賊と提携することに躊躇していた日出雄であった。
しかし、政治の行き届かない蒙古の荒野では馬賊も立派な政治的機関であり、徳をもってなづければ虎でも狼でも信服するものだ、と考えを改めた。
そして、神前に拍手して祝詞を上げるのみが宗教家の芸でもあるまい、心境を一変し、宗教的に世界の統一を図り地上に天国を建設する準備として、新王国を作ってみようと思い立った。
蒙古は言語学上からも、古事記の本文からも、東亜の根源地・経綸地である。宗教的、平和的に蒙古を統一し、東亜連盟実現の基礎を立ててみたい、と思い立った。
現在は事件中の身だが、裁判の終わるのを待っていたら二年、三年はかかってしまうという。ひとつこれは乗るか反るかで、元より身命を神に捧げた自分である、と大覚悟を決めたのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考:2023/12/29出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-12-29 15:23:35 OBC :rmnm05
愛善世界社版:40頁 八幡書店版:第14輯 562頁 修補版: 校定版:40頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 日出雄(ひでを)唐国別(からくにわけ)(はなし)()いて(しばら)(うつむ)いて(かんが)()んだ。002日出雄(ひでを)心天(しんてん)(たちま)大光明(だいくわうみやう)(かがや)いた。003満州(まんしう)蒙古(もうこ)活動(くわつどう)して()馬賊(ばぞく)といつても、004(けつ)して一般人(いつぱんじん)(かんが)へて()るやうな兇悪(きようあく)乱暴(らんばう)(もの)(ばか)りでもあるまい。005中古(ちうこ)(わが)(くに)元亀(げんき)天正(てんしやう)(ころ)群雄(ぐんゆう)割拠(かつきよ)して()たやうなもので、006規律(きりつ)整然(せいぜん)たるものであらう。007(けつ)して(ひと)財宝(ざいほう)掠奪(りやくだつ)したり、008殺人(さつじん)強姦(がうかん)などを(おこな)ふものではあるまい。009()(かく)(とく)(もつ)()づけたなら010(とら)でも(おほかみ)でも(こころ)(そこ)より帰順(きじゆん)するものだ。011(こと)蒙古(もうこ)馬賊(ばぞく)(いた)つては、012弱者(じやくしや)(たす)狂暴(きやうばう)なる(もの)(いまし)め、013社会(しやくわい)(よわ)人民(じんみん)保護(ほご)する(にん)(あた)ると()いて()る。014政治(せいぢ)行届(ゆきとど)かない蒙古(もうこ)広野(くわうや)では馬賊(ばぞく)(ひと)つの政治(せいぢ)(てき)機関(きくわん)だ。015今日(こんにち)満州王(まんしうわう)をもつて自任(じにん)して()東三省(とうさんしやう)保安(ほあん)総司令(そうしれい)である(ちやう)作霖(さくりん)底本(全集)では「(ちやう)作相(さくしやう)」。張作霖より6歳ほど年下で東三省保安総司令部の高官を務めているが、ここの文脈上は張作霖が正しいと思われる。校定版や愛善世界社版では張作霖に修正している。霊界物語ネットでも張作霖に直した。だつて、016(ちやう)宗昌(さうしやう)だつて、017(その)()()ある督軍(とくぐん)(たち)(みな)馬賊(ばぞく)から()()るのだ。018これを(かんが)へても馬賊(ばぞく)(けつ)して日本(につぽん)山賊(さんぞく)泥棒(どろばう)のやうなものではあるまい。019一層(いつそ)のこと()占魁(せんくわい)提携(ていけい)して蒙古(もうこ)新彊(しんきやう)王国(わうこく)建設(けんせつ)し、020日本(やまと)(だましひ)本領(ほんりやう)世界(せかい)(かがや)かすのも男子(だんし)として面白(おもしろ)事業(じげふ)だ。021(しか)馬賊(ばぞく)といつても種々(しゆじゆ)種類(しゆるゐ)があつて022掠奪(りやくだつ)のみを(もつ)(こと)とする(せう)トルの団体(だんたい)もある。023善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)混淆(こんかう)して()()(なか)だ、024天下(てんか)大事(だいじ)(おも)へば(ちひ)さいことに齷齪(あくせく)して()(わけ)には()かぬ。025()占魁(せんくわい)(ごと)天下(てんか)驍名(げうめい)()せた馬賊(ばぞく)頭目(とうもく)は、026(けつ)して人民(じんみん)(くる)しめるやうなことはせないだらう。027(かれ)宗教家(しうけうか)とが提携(ていけい)したつて(べつ)不都合(ふつがふ)はあるまい。028大神業(だいしんげふ)()経綸(けいりん)奉仕(ほうし)する一歩(いつぽ)としては()むを()ない今日(こんにち)場合(ばあひ)だ。029広大(くわうだい)なる地域(ちゐき)(いう)する蒙古(もうこ)一大(いちだい)王国(わうこく)建設(けんせつ)すると()計画(けいくわく)は、030(こと)成否(せいひ)(べつ)として、031日本(につぽん)男子(だんし)としては(じつ)壮快(さうくわい)(きは)まる(こころ)みだ、032宗教家(しうけうか)だと()つて神前(しんぜん)拍手(はくしゆ)祝詞(のりと)のみを()げて()るが(げい)でもあるまい。033万有愛(ばんいうあい)主義(しゆぎ)から是非(ぜひ)決行(けつかう)して()よう。034心境(しんきやう)一変(いつぺん)し、035宗教(しうけう)(てき)世界(せかい)統一(とういつ)(はか)地上(ちじやう)天国(てんごく)建設(けんせつ)する準備(じゆんび)として()新王国(しんわうこく)(つく)り、036東亜(とうあ)聯盟(れんめい)(はか)るのが順序(じゆんじよ)だらう。037あゝ(おも)へば(じつ)壮快(さうくわい)だ。038(うで)()()(をど)るやうだ。039言語学(げんごがく)(うへ)から()ても、040古事記(こじき)本文(ほんぶん)から()ても、041蒙古(もうこ)東亜(とうあ)根元地(こんげんち)であり、042経綸地(けいりんち)である。043日本人(につぽんじん)(むかし)から、044義勇(ぎゆう)(たみ)開国(かいこく)以来(いらい)(いま)一寸(いつすん)()外敵(ぐわいてき)(をか)されないと()つて自慢(じまん)して()るものがあるが、045(しか)吾々(われわれ)祖先(そせん)蒙古軍(もうこぐん)()めに(ぬぐ)ふべからざる大国辱(だいこくじよく)()けて()るのだ。046元寇(げんこう)(えき)はどうだつた。047国内(こくない)上下(じやうげ)(こぞ)つて蒙古(もうこ)襲来(しふらい)(こゑ)震駭(しんがい)し、0471恐怖(きようふ)し、048(その)()(うしな)ひ、049畏多(おそれおほ)くも亀山(かめやま)上皇(じやうくわう)()(もつ)国難(こくなん)(あた)らむことを岩清水(いはしみづ)八幡(はちまん)祈願(きぐわん)(たま)ふた結果(けつくわ)050全国(ぜんこく)(かく)大社(たいしや)には奇瑞(きずゐ)続出(ぞくしゆつ)して(つひ)伊勢(いせ)神風(かみかぜ)となり、051蒙古(もうこ)十万(じふまん)(ぐん)西海(せいかい)(なみ)(しづ)めた(こと)元明(げんみん)史略(しりやく)(その)()史実(しじつ)にも明記(めいき)され、052生命(せいめい)(まつた)ふして(かへ)()たるもの(わづか)(さん)(にん)といふことだ。053(しか)(なが)我国(わがくに)(これ)をもつて日本(につぽん)男子(だんし)武勇(ぶゆう)(ほこ)(こと)出来(でき)まい。054日本(につぽん)(まも)りたまふ神明(しんめい)加護(かご)畏多(おそれおほ)くも亀山(かめやま)上皇(じやうくわう)宸襟(しんきん)(なや)まされたその結果(けつくわ)である。055日本(につぽん)神国(しんこく)056(かみ)(まも)りたまふ(くに)で、057(けつ)して外敵(ぐわいてき)(うかが)ふことの出来(でき)ない磯輪垣(しわがき)秀津間(ほつま)(くに)058細矛(くはしほこ)千足(ちたる)(くに)(ほこ)つて()るが、059今日(こんにち)日本(につぽん)現状(げんじやう)外敵(ぐわいてき)(たい)しさう楽観(らくくわん)して()られるだらうか、060軍器(ぐんき)改良(かいりやう)された今日(こんにち)では、061少々(せうせう)神風(かみかぜ)(ぐらゐ)敵艦(てきかん)(くつがへ)すと()(こと)到底(たうてい)不可能(ふかのう)であらう。062(また)そんな神頼(かみだの)(ばか)りやつて()実行(じつかう)せないならば、063到底(たうてい)(くに)(たも)(こと)出来(でき)ないだらう。064()吾々(われわれ)祖先(そせん)蒙古(もうこ)十万(じふまん)大軍(たいぐん)(おびや)かされた末代(まつだい)大国辱(だいこくじよく)回復(くわいふく)し、065建国(けんこく)精神(せいしん)国威(こくい)をどうしても一度(いちど)中外(ちうぐわい)発揚(はつやう)して(わが)歴史(れきし)汚点(をてん)(ぬぐ)はねばなるまい。066宗教(しうけう)(てき)067平和(へいわ)(てき)蒙古(もうこ)統一(とういつ)068東亜(とうあ)聯盟(れんめい)実現(じつげん)基礎(きそ)(たて)()たいものだ。069自分(じぶん)今日(こんにち)黒雲(こくうん)のかかつた、070世人(せじん)から(うたがひ)()けて()()(うへ)である。071(この)(さい)グヅグヅせず(おも)()つて072驚天(きやうてん)動地(どうち)大活動(だいくわつどう)をやつて()たいものだ。073()占魁(せんくわい)()つたらば屹度(きつと)自分(じぶん)意志(いし)()()れるであらう。074自分(じぶん)(いま)裁判(さいばん)事件中(じけんちう)だが弁護士(べんごし)(はなし)によると、075本問題(ほんもんだい)神霊(しんれい)問題(もんだい)だから()(ねん)(さん)(ねん)(うち)には到底(たうてい)解決(かいけつ)がつくまいとのことだ。076これの解決(かいけつ)()つて()ようものなら、077(わが)民族(みんぞく)()(つき)窮地(きうち)(おちゐ)るばかりだ。078世界(せかい)(いた)(ところ)排日(はいにち)問題(もんだい)勃起(ぼつき)外交(ぐわいかう)(ほとん)孤立(こりつ)して()る。079(いま)(うち)(わが)同胞(どうはう)(ため)(しん)植民地(しよくみんち)でも(つく)つておかねば(わが)同胞(どうはう)(つひ)(ほろ)ぶより(ほか)はない。080(しか)(なが)大本(おほもと)信徒(しんと)にこんな(こと)()はふものならそれこそ大騒動(だいさうどう)だ。081(しか)面白(おもしろ)い、082ひとつやつて()よう()るか()るかぢや、083(もと)より身命(しんめい)(かみ)(ささ)げた自分(じぶん)だと大覚悟(だいかくご)(きは)めたのである。
 
084 大本(おほもと)野火(のび)()()(ごと)くなり(かぜ)()(たび)(ひろ)がりてゆく
085 この(たび)(ふか)経綸(しぐみ)底本(全集)ではフリガナが印刷されていない。校定版や愛善世界社版に準拠して「しぐみ」にした。惟神(かむながら)(ただ)一息(ひといき)人心(ひとごころ)なし
086 (かみ)()審判(さばき)(いま)逢坂(あふさか)(ひと)()らずに()(おく)りつつ
087 いつ(まで)(しこ)曲神(まがみ)(すさ)びなば(あや)ふからまし葦原(あしはら)(くに)
088 ()(なか)(うつ)らふ(さま)をながめては()つべき(とき)(きた)るを(さと)
089 排他(はいた)(てき)既成(きせい)宗教(しうけう)はあとにして(ひら)()かなむ(うみ)(そと)まで
090 ()かば()(しこ)木枯(こがらし)(つよ)くともわれには(はる)(そな)へこそあれ
091 白妙(しろたへ)(ころも)(そで)をしぼりつつ()(なげ)くかな(かく)れたる()
092 (おも)ひきや御国(みくに)(ため)(つく)()をあしさまに()(しこ)のたぶれら
093 ()(たま)(とら)へられたる(われ)なれど(こころ)(ひろ)天国(てんごく)(はる)
094 (はた)(よこ)()身魂(みたま)こそ(くる)しけれ(ひと)(とほ)せば(ひと)()たれつ
095 神業(かむわざ)をなすのが(はら)玉草(たまくさ)()まれ(にじ)られ(なが)(はな)()
096 天地(あめつち)(かみ)(つか)へて()御子(みこ)(あか)(こころ)(つく)(まつ)らむ
097 ()はよしや(とら)()野辺(のべ)()つるとも御国(みくに)(ため)(いのち)(おし)まず
098 故郷(ふるさと)にのこせし(はは)(おも)()もなくなく(つく)神国(しんこく)(ため)
099 (つき)(いま)地平線(ちへいせん)()(ひそ)みつつ()黎明(れいめい)()つぞ(ゆか)しき
100 惟神(かむながら)(まこと)(かみ)(さだ)めてし(ひと)()でずば(くに)(あや)ふし
101 (はな)()むと()でしにあらず()(さくら)(わが)衣手(ころもで)()をな(おく)りそ
102 言霊(ことたま)(たす)天照(あまて)()(もと)はすべての(くに)()らす神国(かみくに)
103 天津(あまつ)()(ただ)(ひと)つなり()(うへ)(ひと)つの(きみ)(をさ)まりて()
104 (みな)(ひと)(ねむ)りにつける真夜中(まよなか)にさめよと来鳴(きな)山郭公(やまほととぎす)
105 郭公(ほととぎす)(こゑ)御空(みそら)()きかれて(つき)(かげ)のみあとにふるへる
106 (くに)のため(つく)谷間(たにま)真人(まさびと)雲井(くもゐ)()げよ山郭公(やまほととぎす)
107 (こころ)のみ(まこと)(みち)にかなふとも(おこな)ひせずば(かみ)(まも)らじ
108 言挙(ことあ)げの(すぢ)数々(かずかず)ありながら暗夜(やみよ)をおしのわれぞ甲斐(かひ)なき
109 (きみ)(ため)御国(みくに)(ため)真心(まごころ)(つく)して(あと)津見(つみ)()はれぬ
110 (われ)()(ひと)こそ数多(あまた)ありぬれど(わが)(たま)()(ひと)()になし
111 西(にし)(ひがし)(みなみ)(きた)天地(あめつち)()なうて()てる(かみ)御柱(みはしら)
112 ()(ため)(つく)(こころ)数々(かづかづ)()白波(しらなみ)()ちさわぐなり
113 (うつ)()(いく)るも(かみ)御心(みこころ)ぞまかるも(かみ)(めぐみ)とぞ()
114 そよと()(かぜ)にも(こゑ)のあるものを(かみ)御声(みこゑ)(きこ)えざらめや
115 ()()なに()うでてあつき(なみだ)しぬ神座山(かみくらやま)(あら)されし(あと)
116 わが(なみだ)こりては霖雨(ながあめ)(ゆき)となり(いづみ)となりて御代(みよ)(きよ)めむ
117 (かみ)御名(みな)世界(せかい)(ひろ)(あら)はして永久(とは)()きなむ(のり)()すとも
118 (いにしへ)のエスキリストも()めまじきその(くる)しみを(われ)底本(全集)では「我」だが校定版・愛善世界社版では「吾」に修正されている。()(かな)
119 足乳根(たらちね)()います(はは)(しの)びつつ()()(われ)これは底本(全集)でも「吾」。(なみだ)こぼるる
120 濡衣(ぬれぎぬ)のひる(よし)もなき(かな)しさに霧島山(きりしまやま)()こそ(こひ)しき
121 (つき)(ひと)御空(みそら)にふるひ()一人(ひとり)(とも)なくふるふ(われ)底本(全集)では「我」だが校定版・愛善世界社版では「吾」に修正されている。ぞわびしき
122 退(しりぞ)きも(すす)みもならぬ(いま)()(かみ)のみ(ひと)(ちから)なりけり
 
123大正一四、八、一五加藤明子筆録)
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