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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
第1章 水火訓
第2章 神示の経綸
第3章 金剛心
第4章 微燈の影
第5章 心の奥
第6章 出征の辞
第7章 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
第8章 聖雄と英雄
第9章 司令公館
第10章 奉天出発
第11章 安宅の関
第12章 焦頭爛額
第13章 洮南旅館
第14章 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
第15章 公爺府入
第16章 蒙古の人情
第17章 明暗交々
第18章 蒙古気質
第19章 仮司令部
第20章 春軍完備
第21章 索倫本営
第4篇 神軍躍動
第22章 木局収ケ原
第23章 下木局子
第24章 木局の月
第25章 風雨叱咤
第26章 天の安河
第27章 奉天の渦
第28章 行軍開始
第29章 端午の日
第30章 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
第31章 強行軍
第32章 弾丸雨飛
第33章 武装解除
第34章 竜口の難
第35章 黄泉帰
第36章 天の岩戸
第37章 大本天恩郷
第38章 世界宗教聯合会
第39章 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
神示の世界経綸
余白歌
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霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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特別編 入蒙記
> 第4篇 神軍躍動 > 第22章 木局収ケ原
<<< 索倫本営
(B)
(N)
下木局子 >>>
第二二章
木局収
(
ムチズ
)
ケ
原
(
はら
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第4篇 神軍躍動
よみ(新仮名遣い):
しんぐんやくどう
章:
第22章 木局収ケ原
よみ(新仮名遣い):
むちずがはら
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
日出雄は軍の編成が終わった後、野山に兎狩りを催し、野生のにらやにんにくを採集しなど、愉快に索倫の日を送っていた。
すべての制度がせせこましかった国から、十六倍の面積を有するという蒙古へ来て、たくさんの兵士や畜類を相手に自由自在に勝手なことをして飛び回るのは、生まれて五十四年来なかった愉快さ、のんきさだった。
五月一日、盧占魁がやってきて、大庫倫に進むには、興安嶺付近に駐屯する赤軍と一戦交えなければならず、熱、察、綏三区域にある吾が参加軍が到達するには、遠すぎる。そこで、本年はこの区域で冬ごもりをし、完全な兵備を整えてから、来週を待って大庫倫入りをなすようにする考えである、と諮ってきた。
また、張作霖からは、兵備が整わないうちは軍資金、武器を送ることができないので、我慢してくれ、という意味の伝言が来た。
この地はいく抱えもあるような楊、柳、楡の大木が山野に繁茂し、トール河の清流はソーダを含んでゆるやかに流れ、天然の恩恵は無限に遺棄されている宝庫である。
盧占魁によれば、ジンギスカンが蒙古の原野に兵を上げてから六百六十六年となり、頭字の三つそろったのを見れば、いよいよ本年は三六の年だと言って、勇んでいた。
一日、野にて萩原や坂本が原野に放った火が、大風に吹かれてあっという間に身辺に広がってきた。日出雄は日本武尊が焼津で、神剣で草を払って賊軍の火計を追い返したという故事を思い出し、身辺の草を薙ぐと向かい火をつけて、天の数歌を奏上した。不思議にもにわかに風向きが変わり、危うく難を逃れたのである。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
2024/1/21出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-01-21 07:43:36
OBC :
rmnm22
愛善世界社版:
201頁
八幡書店版:
第14輯 621頁
修補版:
校定版:
203頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
王仁
(
おに
)
(
日出雄
(
ひでを
)
)、
002
松村
(
まつむら
)
(
真澄別
(
ますみわけ
)
)、
003
矢野
(
やの
)
(
唐国別
(
からくにわけ
)
)、
004
植芝
(
うゑしば
)
(
守高
(
もりたか
)
)、
005
名田
(
なだ
)
音吉
(
おときち
)
(
名田彦
(
なだひこ
)
)、
006
佐々木
(
ささき
)
(
榊
(
さかき
)
)、
007
大石
(
おほいし
)
(
大倉
(
おほくら
)
)
008
日出雄
(
ひでを
)
は
軍
(
ぐん
)
の
編成後
(
へんせいご
)
、
009
護衛長
(
ごえいちやう
)
馮
(
へう
)
巨臣
(
きよしん
)
以下
(
いか
)
十数
(
じふすう
)
名
(
めい
)
の
兵卒
(
へいそつ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
010
北方
(
ほくほう
)
の
野山
(
のやま
)
に
兎狩
(
うさぎがり
)
を
催
(
もよほ
)
し、
011
或
(
ある
)
時
(
とき
)
は
野生
(
やせい
)
の
韮
(
にら
)
や
蒜
(
にんにく
)
を
採集
(
さいしふ
)
し、
012
枯草
(
かれくさ
)
の
芒々
(
ばうばう
)
たる
原野
(
げんや
)
に
向
(
むか
)
つてテンムリチエブナをなし、
013
愉快
(
ゆくわい
)
に
索倫
(
ソーロン
)
の
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
014
岡崎
(
をかざき
)
鉄首
(
てつしゆ
)
、
015
萩原
(
はぎはら
)
敏明
(
としあき
)
、
016
猪野
(
ゐの
)
敏夫
(
としを
)
の
三
(
さん
)
名
(
めい
)
は
017
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
兵士
(
へいし
)
に
送
(
おく
)
られ
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
りて
018
途中
(
とちう
)
馬賊
(
ばぞく
)
や
官兵
(
くわんぺい
)
の
囲
(
かこみ
)
を
衝
(
つ
)
いて
無事
(
ぶじ
)
日出雄
(
ひでを
)
の
許
(
もと
)
に
着
(
つ
)
いた。
019
名田彦
(
なだひこ
)
は
日出雄
(
ひでを
)
及
(
および
)
盧
(
ろ
)
の
命
(
めい
)
に
依
(
よ
)
つて
020
数名
(
すうめい
)
の
衛兵
(
ゑいへい
)
を
従
(
したが
)
へ
軍使
(
ぐんし
)
として
奉天
(
ほうてん
)
の
水也
(
みづや
)
商会
(
しやうくわい
)
へ
引
(
ひ
)
き
返
(
かへ
)
した。
021
蒙古
(
もうこ
)
の
家屋
(
かをく
)
は
前述
(
ぜんじゆつ
)
の
通
(
とほ
)
り
極
(
きは
)
めて
不潔
(
ふけつ
)
で、
022
南京虫
(
なんきんむし
)
の
横行
(
わうかう
)
甚
(
はなは
)
だしく、
023
加之
(
おまけ
)
に
幾十
(
いくじふ
)
日
(
にち
)
も
湯
(
ゆ
)
を
使
(
つか
)
はない
為
(
た
)
めに
衣服
(
いふく
)
には
虱
(
しらみ
)
発生
(
はつせい
)
し、
024
一行
(
いつかう
)
は
日々
(
ひび
)
南京虫
(
なんきんむし
)
と
虱
(
しらみ
)
退治
(
たいぢ
)
に
日
(
ひ
)
を
費
(
つひや
)
し、
025
南京虫
(
なんきんむし
)
の
予防
(
よばう
)
の
為
(
た
)
めにとて、
026
いやな
香
(
にほひ
)
のする
蒜
(
にんにく
)
を
顔
(
かほ
)
をしかめて
食事
(
しよくじ
)
毎
(
ごと
)
に
喰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
027
日出雄
(
ひでを
)
も
蒜
(
にんにく
)
を
喰
(
く
)
ひ
慣
(
な
)
れて
遂
(
つひ
)
には、
028
葱
(
ねぎ
)
や
野菜
(
やさい
)
の
生
(
なま
)
を
平気
(
へいき
)
で
嗜食
(
ししよく
)
するやうになつた。
029
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
は
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
の
炊事長
(
すゐじちやう
)
となり、
030
王
(
わう
)
瓚璋
(
さんしやう
)
は
馬夫長
(
ばふちやう
)
となり、
031
王
(
わう
)
盛明
(
せいめい
)
は
随従長
(
ずいじうちやう
)
、
032
守高
(
もりたか
)
は
近侍長
(
きんじちやう
)
、
033
名田彦
(
なだひこ
)
は
近侍
(
きんじ
)
となつて
日出雄
(
ひでを
)
の
身辺
(
しんぺん
)
の
凡
(
すべ
)
ての
用務
(
ようむ
)
に
仕
(
つか
)
へ、
034
真澄別
(
ますみわけ
)
は
一切
(
いつさい
)
の
代理権
(
だいりけん
)
を
行使
(
かうし
)
する
事
(
こと
)
となつた。
035
又
(
また
)
萩原
(
はぎはら
)
敏明
(
としあき
)
は
写真
(
しやしん
)
係
(
がかり
)
、
036
坂本
(
さかもと
)
広一
(
くわういち
)
は
近侍
(
きんじ
)
、
037
外
(
ほか
)
に
李
(
り
)
連長
(
れんちやう
)
以下
(
いか
)
二十
(
にじふ
)
名
(
めい
)
の
兵士
(
へいし
)
が
直接
(
ちよくせつ
)
保護
(
ほご
)
の
任
(
にん
)
に
当
(
あた
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
038
総
(
すべ
)
ての
制度
(
せいど
)
がせせこましかつた
国
(
くに
)
から
十六
(
じふろく
)
倍
(
ばい
)
の
面積
(
めんせき
)
を
有
(
いう
)
すると
云
(
い
)
ふ
蒙古
(
もうこ
)
へ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
039
沢山
(
たくさん
)
の
兵士
(
へいし
)
や
畜類
(
ちくるゐ
)
を
相手
(
あひて
)
に
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
勝手
(
かつて
)
な
事
(
こと
)
をして
飛
(
と
)
び
廻
(
まは
)
るのは、
040
生
(
うま
)
れて
以来
(
いらい
)
五十四
(
ごじふよ
)
年間
(
ねんかん
)
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
て
経験
(
けいけん
)
した
事
(
こと
)
のない
愉快
(
ゆくわい
)
さ
呑気
(
のんき
)
さだ。
041
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
たるもの
現世
(
げんせ
)
に
生
(
うま
)
れて
狭
(
せま
)
い
国
(
くに
)
で
強
(
つよ
)
い
圧迫
(
あつぱく
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
ゐ
)
るよりも、
042
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
に
知
(
し
)
らぬ
外国
(
ぐわいこく
)
の
空
(
そら
)
で、
043
外国人
(
ぐわいこくじん
)
と
面白
(
おもしろ
)
く
遊
(
あそ
)
ぶのは
実
(
じつ
)
に
壮快
(
さうくわい
)
だと
日出雄
(
ひでを
)
は
喜
(
よろこ
)
んでゐた。
044
索倫山
(
ソーロンざん
)
の
本営
(
ほんえい
)
には
馬隊
(
ばたい
)
の
頭目
(
とうもく
)
が
日々
(
ひび
)
二百
(
にひやく
)
人
(
にん
)
三百
(
さんびやく
)
人
(
にん
)
と
部下
(
ぶか
)
を
率
(
ひき
)
ゐて、
045
喇叭
(
ラツパ
)
の
声
(
こゑ
)
も
勇
(
いさ
)
ましく
参加
(
さんか
)
し
軍気
(
ぐんき
)
大
(
おほ
)
いに
振
(
ふる
)
つた。
046
盧
(
ろ
)
総司令
(
そうしれい
)
は
五
(
ご
)
月
(
ぐわつ
)
一日
(
ついたち
)
日出雄
(
ひでを
)
の
館
(
やかた
)
に
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
047
盧占魁
『
大庫倫
(
だいクーロン
)
に
進出
(
しんしゆつ
)
せむとすれば、
048
此処
(
ここ
)
より
二百
(
にひやく
)
支里
(
しり
)
を
隔
(
へだ
)
てたる
興安嶺
(
こうあんれい
)
の
或
(
ある
)
地点
(
ちてん
)
に
赤軍
(
せきぐん
)
七千
(
しちせん
)
人
(
にん
)
駐屯
(
ちうとん
)
し、
049
警戒
(
けいかい
)
なかなか
厳重
(
げんぢう
)
なる
事
(
こと
)
が
斥候
(
せきこう
)
に
依
(
よ
)
つて
判明
(
はんめい
)
致
(
いた
)
しました。
050
それ
故
(
ゆゑ
)
、
051
貴下
(
きか
)
の
命
(
めい
)
に
従
(
したが
)
つて、
052
此
(
この
)
儘
(
まま
)
大庫倫
(
だいクーロン
)
へ
直進
(
ちよくしん
)
するは、
053
兵
(
へい
)
を
損
(
そん
)
じ
弾薬
(
だんやく
)
を
消費
(
せうひ
)
するばかりで、
054
且
(
か
)
つ
熱
(
ねつ
)
、
055
察
(
さつ
)
、
056
綏
(
すゐ
)
三
(
さん
)
区域
(
くいき
)
の
我
(
わ
)
が
数万
(
すうまん
)
の
参加軍
(
さんかぐん
)
の
到達
(
たうたつ
)
するは、
057
道
(
みち
)
遠
(
とほ
)
くして
容易
(
ようい
)
でない。
058
それ
故
(
ゆゑ
)
、
059
貴下
(
きか
)
の
意
(
い
)
に
背
(
そむ
)
くかは
知
(
し
)
りませぬが、
060
軍事
(
ぐんじ
)
の
経験
(
けいけん
)
上
(
じやう
)
、
061
熱
(
ねつ
)
、
062
察
(
さつ
)
、
063
綏
(
すゐ
)
の
特別
(
とくべつ
)
区域
(
くいき
)
に
進出
(
しんしゆつ
)
し、
064
本年
(
ほんねん
)
は
此
(
この
)
区域
(
くいき
)
に
於
(
おい
)
て
冬籠
(
ふゆごも
)
りをなし、
065
完全
(
くわんぜん
)
な
兵備
(
へいび
)
を
整
(
ととの
)
へ
諸王
(
しよわう
)
を
招撫
(
せうぶ
)
し、
066
来春
(
らいしゆん
)
を
待
(
ま
)
つて
大庫倫
(
だいクーロン
)
に
進
(
すす
)
み
赤軍
(
せきぐん
)
と
交渉
(
かうせふ
)
を
開始
(
かいし
)
し、
067
若
(
も
)
し
和議
(
わぎ
)
成
(
な
)
らざれば
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
開戦
(
かいせん
)
の
挙
(
きよ
)
に
出
(
い
)
づるを
可
(
か
)
とすべく、
068
大庫倫
(
だいクーロン
)
には
約
(
やく
)
一万
(
いちまん
)
の
赤兵
(
せきへい
)
駐屯
(
ちうとん
)
し、
069
戒厳令
(
かいげんれい
)
を
布
(
し
)
き
居
(
を
)
れば、
070
小数
(
せうすう
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
にては
容易
(
ようい
)
に
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
すべからず、
071
来春
(
らいしゆん
)
にならば
些
(
すく
)
なくとも
十万
(
じふまん
)
の
兵
(
へい
)
が
麾下
(
きか
)
に
集
(
あつ
)
まるは
確
(
たしか
)
なる
事実
(
じじつ
)
でありますから、
072
其
(
その
)
上
(
うへ
)
にて
大
(
だい
)
庫倫
(
クーロン
)
入
(
いり
)
を
為
(
な
)
し、
073
茲
(
ここ
)
に
根拠
(
こんきよ
)
を
定
(
さだ
)
め、
074
勢
(
いきほひ
)
に
乗
(
じやう
)
じて
新彊
(
しんきやう
)
を
合
(
あは
)
せ、
075
西比利亜
(
シベリア
)
の
赤軍
(
せきぐん
)
を
帰順
(
きじゆん
)
させ、
076
飽迄
(
あくまで
)
も
人類愛
(
じんるゐあい
)
の
為
(
た
)
め、
077
貴下
(
きか
)
の
為
(
た
)
め、
078
一身
(
いつしん
)
を
捧
(
ささ
)
げ、
079
此
(
この
)
上
(
うへ
)
如何
(
いか
)
になり
行
(
ゆ
)
くとも
神
(
かみ
)
の
思召
(
おぼしめし
)
と
信
(
しん
)
じ
蒙古
(
もうこ
)
男子
(
だんし
)
の
初志
(
しよし
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
さす
考
(
かんが
)
へです。
080
此
(
この
)
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
した
暁
(
あかつき
)
は
支那
(
しな
)
四百
(
よんひやく
)
余
(
よ
)
州
(
しう
)
は
言
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばず、
081
東三省
(
とうさんしやう
)
も
必
(
かなら
)
ず
貴下
(
きか
)
の
命
(
めい
)
に
服
(
ふく
)
するでせう』
082
と
誠意
(
せいい
)
を
面
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はして
軍
(
ぐん
)
の
行動
(
かうどう
)
につき
命令
(
めいれい
)
を
乞
(
こ
)
うた。
083
日出雄
(
ひでを
)
は
遠
(
とほ
)
く
故国
(
ここく
)
を
去
(
さ
)
つて
不知
(
ふち
)
案内
(
あんない
)
の
奥蒙
(
おくもう
)
の
地
(
ち
)
、
084
しかも
言語
(
げんご
)
不通
(
ふつう
)
の
支蒙人
(
しもうじん
)
を
相手
(
あひて
)
に
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
の
大神業
(
だいしんげふ
)
に
従事
(
じうじ
)
する──
彼
(
かれ
)
の
得意
(
とくい
)
は
果
(
はた
)
して
如何
(
いかが
)
であつただらう。
085
各地
(
かくち
)
の
王
(
わう
)
や
馬隊
(
ばたい
)
の
頭目
(
とうもく
)
、
086
活仏
(
くわつぶつ
)
などよりは
見舞
(
みまひ
)
として、
087
豚
(
ぶた
)
や
野羊
(
やぎ
)
、
088
炒米
(
チヨウミイ
)
などを
日出雄
(
ひでを
)
及
(
およ
)
び
盧
(
ろ
)
総司令
(
そうしれい
)
に
送
(
おく
)
つて
来
(
く
)
る。
089
日出雄
(
ひでを
)
は
盧
(
ろ
)
と
共
(
とも
)
に
日々
(
ひび
)
感謝
(
かんしや
)
の
生活
(
せいくわつ
)
を
送
(
おく
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
090
万有
(
ばんいう
)
愛護
(
あいご
)
の
教
(
をしへ
)
を
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る
日出雄
(
ひでを
)
も、
091
かかる
国
(
くに
)
へ
来
(
き
)
ては
否
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でも
豚
(
ぶた
)
や
羊
(
ひつじ
)
、
092
鶏肉
(
けいにく
)
などを
喰
(
く
)
はねばならなかつた。
093
真澄別
(
ますみわけ
)
はヌール、
094
チヤカンナ、
095
マチナ(
顔面
(
がんめん
)
の
吹腫物
(
ふきでもの
)
)に
苦
(
くるし
)
み、
096
守高
(
もりたか
)
は
出国
(
しゆつこく
)
以来
(
いらい
)
の
風邪
(
かぜ
)
未
(
いま
)
だ
癒
(
い
)
えず、
097
坂本
(
さかもと
)
も
亦
(
また
)
風邪
(
かぜ
)
の
気味
(
きみ
)
にて
全身
(
ぜんしん
)
痛
(
いた
)
み、
098
日出雄
(
ひでを
)
は
南京虫
(
なんきんむし
)
に
攻
(
せ
)
められて
居
(
ゐ
)
た。
099
一
(
いち
)
日
(
にち
)
、
100
蒙
(
もう
)
秘書長
(
ひしよちやう
)
来
(
きた
)
り、
101
支那語
(
しなご
)
を
以
(
もつ
)
て
左
(
さ
)
の
如
(
ごと
)
く
談
(
だん
)
じた。
102
蒙秘書長
『昨天到来、
103
二百槍馬完全今日送給肥猪両口肥羊二隻、
104
不出五日又来隊伍六百槍馬完全的。
105
司令近非常歓喜所愁的款項無有的又苦於告貸将来隊伍均到来的無款的怎麼必実在投法子。
106
閣下不愁不遇現状況難一点的事作到張作霖必能付給款項俟将隊伍招斉款就不困難了』
107
要
(
えう
)
するにその
主旨
(
しゆし
)
は
108
兵備
(
へいび
)
が
整
(
ととの
)
つた
上
(
うへ
)
は
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
より
相当
(
さうたう
)
の
軍資金
(
ぐんしきん
)
及
(
およ
)
び
武器
(
ぶき
)
を
送
(
おく
)
つて
来
(
く
)
るが、
109
それ
迄
(
まで
)
は
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い、
110
暫
(
しばら
)
く
辛抱
(
しんばう
)
してくれと
云
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
である。
111
さうして
今日
(
こんにち
)
も
武器
(
ぶき
)
を
携帯
(
けいたい
)
して
参加兵
(
さんかへい
)
が
二百
(
にひやく
)
名
(
めい
)
豚
(
ぶた
)
や
羊
(
ひつじ
)
を
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
た。
112
又
(
また
)
五日
(
いつか
)
の
後
(
のち
)
には
六百
(
ろくぴやく
)
の
馬隊
(
ばたい
)
が
此処
(
ここ
)
に
到着
(
たうちやく
)
するとも
云
(
い
)
うた。
113
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
の
肥
(
こ
)
えた
原野
(
げんや
)
を
雑草
(
ざつさう
)
の
生
(
お
)
ふるに
任
(
まか
)
せ
乍
(
なが
)
ら、
114
而
(
しか
)
も
他国人
(
たこくじん
)
の
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
るを
嫌
(
きら
)
ひ、
115
怖
(
おそ
)
れて
外国人
(
ぐわいこくじん
)
と
見
(
み
)
れば
直
(
ただち
)
に
銃
(
じゆう
)
を
以
(
もつ
)
て
打
(
う
)
ち
殺
(
ころ
)
すと
云
(
い
)
ふ、
116
蒙古人
(
もうこじん
)
ともつかず
支那人
(
しなじん
)
ともつかぬ
又
(
また
)
露西亜
(
ろしあ
)
人
(
じん
)
でも
無
(
な
)
いチヨロマン
人種
(
じんしゆ
)
が、
117
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
以前
(
いぜん
)
迄
(
まで
)
此
(
この
)
地
(
ち
)
に
割拠
(
かつきよ
)
して
居
(
ゐ
)
たが、
118
今
(
いま
)
は
数百
(
すうひやく
)
支里
(
しり
)
の
北方
(
ほくほう
)
の
森林
(
しんりん
)
に
退却
(
たいきやく
)
して
居
(
ゐ
)
る。
119
兎
(
うさぎ
)
や
雉
(
きじ
)
などは
此
(
この
)
方面
(
はうめん
)
は
特
(
とく
)
に
多
(
おほ
)
く、
120
幾抱
(
いくかか
)
えもあるやうな
楊
(
やう
)
、
121
柳
(
りう
)
、
122
楡
(
にれ
)
の
大木
(
たいぼく
)
は
山野
(
さんや
)
に
繁茂
(
はんも
)
し、
123
洮児
(
トール
)
川
(
がは
)
の
曹達
(
そうだ
)
を
含
(
ふく
)
んだ
清流
(
せいりう
)
はゆるやかに
流
(
なが
)
れ、
124
天然
(
てんねん
)
の
恩恵
(
おんけい
)
は
無限
(
むげん
)
に
遺棄
(
ゐき
)
されて
居
(
ゐ
)
る
稀有
(
けう
)
の
宝庫
(
はうこ
)
である。
125
日出雄
(
ひでを
)
は
日本
(
につぽん
)
の
当局
(
たうきよく
)
や
政治家
(
せいぢか
)
が、
126
何故
(
なにゆゑ
)
此
(
この
)
地
(
ち
)
に
目
(
め
)
をつけないのであらうかと
怪
(
あや
)
しんだ。
127
オンクス、
128
アルテチ、
129
ウンヌルテー(
放屁臭
(
へくさい
)
)など
云
(
い
)
つて
130
蒙古人
(
もうこじん
)
を
相手
(
あひて
)
に
日出雄
(
ひでを
)
が
戯
(
たはむ
)
れて
居
(
ゐ
)
ると、
131
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
は
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
伺
(
うかが
)
ひだと
云
(
い
)
つて、
132
洮南
(
たうなん
)
から
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
た
珍
(
めづ
)
らしい
菓子
(
くわし
)
や
果物
(
くだもの
)
などを
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
た。
133
さうして
盧
(
ろ
)
の
話
(
はなし
)
に
依
(
よ
)
れば、
134
成吉思汗
(
ジンギスカン
)
が
蒙古
(
もうこ
)
の
原野
(
げんや
)
に
兵
(
へい
)
を
挙
(
あ
)
げてから
六百
(
ろくぴやく
)
六十六
(
ろくじふろく
)
年
(
ねん
)
となり、
135
頭字
(
かしらじ
)
の
三
(
みつ
)
つ
揃
(
そろ
)
うたのを
見
(
み
)
れば、
136
愈々
(
いよいよ
)
本年
(
ほんねん
)
は
三六
(
みろく
)
の
年
(
とし
)
だと
言
(
い
)
つて
勇
(
いさ
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
137
春
(
はる
)
の
野
(
の
)
にコルギーホアラ(
野生
(
やせい
)
福寿草
(
ふくじゆさう
)
)あちこちとボルンガチチク(
紫色
(
むらさきいろ
)
の
花
(
はな
)
)
咲
(
さ
)
き
出
(
い
)
でにけり
138
五
(
ご
)
月
(
ぐわつ
)
の
上旬
(
じやうじゆん
)
でありながら、
139
蒙古
(
もうこ
)
の
奥地
(
おくち
)
では
野生
(
やせい
)
の
福寿草
(
ふくじゆさう
)
が
白
(
しろ
)
や
紫
(
むらさき
)
に
咲
(
さ
)
き
誇
(
ほこ
)
つて、
140
殆
(
ほと
)
んど
花莚
(
はなむしろ
)
を
敷
(
し
)
き
詰
(
つ
)
めた
如
(
ごと
)
く
美
(
うつく
)
しい。
141
日出雄
(
ひでを
)
は
此
(
この
)
花莚
(
はなむしろ
)
の
中
(
なか
)
に
馬
(
うま
)
を
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
鞭
(
むちう
)
ちながら、
142
数多
(
あまた
)
の
支蒙兵
(
しもうへい
)
を
指揮
(
しき
)
して
野遊
(
のあそび
)
を
試
(
こころ
)
みた。
143
ケンケンと
雉子
(
きじ
)
の
声
(
こゑ
)
が
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
の
枯草
(
かれくさ
)
の
中
(
なか
)
から
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
る、
144
其所
(
そこ
)
へ
三匹
(
さんびき
)
の
山兎
(
やまうさぎ
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した。
145
蒙古兵
(
もうこへい
)
は
直
(
ただ
)
ちにモーゼル
銃
(
じゆう
)
を
擬
(
ぎ
)
し、
146
ポンポンポンと
三発
(
さんぱつ
)
続
(
つづ
)
け
打
(
う
)
ちに
三匹
(
さんびき
)
の
兎
(
うさぎ
)
を
頭
(
あたま
)
許
(
ばか
)
り
撃
(
う
)
つて
捕獲
(
ほくわく
)
した。
147
総
(
すべ
)
て
蒙古人
(
もうこじん
)
は
楊
(
やう
)
の
枝
(
えだ
)
で
弓
(
ゆみ
)
を
拵
(
こしら
)
へ、
148
細
(
ほそ
)
いので
矢
(
や
)
を
造
(
つく
)
り、
149
矢
(
や
)
の
先
(
さき
)
に
石
(
いし
)
を
縛
(
しばり
)
付
(
つ
)
けて
荒
(
あら
)
き
麻
(
あさ
)
の
縄
(
なは
)
を
弦
(
つる
)
となし、
150
空立
(
そらた
)
つ
鳥
(
とり
)
を
撃
(
う
)
つに
滅多
(
めつた
)
に
外
(
はづ
)
れた
事
(
こと
)
がない。
151
支那
(
しな
)
や
露西亜
(
ロシア
)
で
廃物
(
はいぶつ
)
になつたやうな
銃器
(
じゆうき
)
でも、
152
蒙古人
(
もうこじん
)
が
使
(
つか
)
ふと
一々
(
いちいち
)
命中
(
めいちう
)
するのは
実
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
な
程
(
ほど
)
である。
153
殆
(
ほと
)
んど
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
ではないかと
思
(
おも
)
ふ
程
(
ほど
)
、
154
天性
(
てんせい
)
的
(
てき
)
射術
(
しやじゆつ
)
の
技能
(
ぎのう
)
が
備
(
そな
)
はつてゐる。
155
一
(
いち
)
日
(
にち
)
、
156
日出雄
(
ひでを
)
が
喇嘛服
(
ラマふく
)
を
着
(
つ
)
けた
儘
(
まま
)
司令部
(
しれいぶ
)
の
遥
(
はる
)
か
前方
(
ぜんぱう
)
で、
157
パサパーナ(
吐糞
(
とふん
)
)をやつて
居
(
ゐ
)
ると
158
シーゴーと
云
(
い
)
ふ
蒙古
(
もうこ
)
名物
(
めいぶつ
)
の
猛犬
(
まうけん
)
がパサを
食
(
く
)
はむとして
七八
(
しちはつ
)
頭
(
とう
)
も
集
(
あつま
)
つて
来
(
き
)
た。
159
このシーゴーは
蒙古犬
(
もうこいぬ
)
と
狼
(
おほかみ
)
との
混血児
(
こんけつじ
)
で、
160
非常
(
ひじやう
)
に
強
(
つよ
)
く
如何
(
いか
)
なる
猛獣
(
まうじう
)
と
雖
(
いへど
)
も
噛
(
か
)
み
殺
(
ころ
)
すと
云
(
い
)
ふ
牧畜国
(
ぼくちくこく
)
の
蒙古
(
もうこ
)
にあつては
天与
(
てんよ
)
の
貴獣
(
きじう
)
である。
161
日出雄
(
ひでを
)
がポホラを
捲
(
まく
)
つてウンウンと
気張
(
きば
)
つてゐると、
162
シーゴーがやつて
来
(
き
)
た。
163
草原
(
くさはら
)
の
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
住
(
す
)
んでゐた
大眼子
(
ターエンズ
)
(チヨロマ)がパサの
臭
(
にほひ
)
を
嗅
(
か
)
いで
穴
(
あな
)
から
首
(
くび
)
をつき
出
(
だ
)
した
所
(
ところ
)
、
164
嗅覚
(
しうかく
)
の
鋭
(
するど
)
いシーゴーが
直様
(
すぐさま
)
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
から
其
(
その
)
穴
(
あな
)
を
前足
(
まへあし
)
で
掘
(
ほ
)
り、
165
見
(
み
)
る
見
(
み
)
るチヨロマを
捕獲
(
ほくわく
)
して
了
(
しま
)
つた。
166
其
(
そ
)
の
敏捷
(
すばし
)
こい
事
(
こと
)
は
実
(
じつ
)
に
驚歎
(
きやうたん
)
に
価
(
あたひ
)
する。
167
スルト
折柄
(
をりから
)
蒙古
(
もうこ
)
名物
(
めいぶつ
)
の
大風
(
おほかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
来
(
き
)
た。
168
萩原
(
はぎはら
)
や
坂本
(
さかもと
)
が
馬
(
うま
)
に
遠乗
(
とほのり
)
して
原野
(
げんや
)
に
火
(
ひ
)
を
放
(
はな
)
つたので、
169
火
(
ひ
)
は
風
(
かぜ
)
に
煽
(
あふ
)
られ
一瀉
(
いつしや
)
千里
(
せんり
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
黒煙
(
こくえん
)
濛々
(
もうもう
)
と
日出雄
(
ひでを
)
の
身辺
(
しんぺん
)
迄
(
まで
)
迫
(
せま
)
つて
来
(
き
)
た。
170
茫々
(
ばうばう
)
たる
枯草
(
かれくさ
)
の
中
(
なか
)
到底
(
たうてい
)
逃
(
のが
)
れる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
171
シーゴーは
盛
(
さか
)
んに
吠
(
ほ
)
え
立
(
た
)
てる。
172
日出雄
(
ひでを
)
は
昔
(
むかし
)
日本
(
やまと
)
武
(
たけるの
)
尊
(
みこと
)
が
東夷
(
とうい
)
征伐
(
せいばつ
)
の
時
(
とき
)
駿河
(
するが
)
の
焼津
(
やいづ
)
で
賊軍
(
ぞくぐん
)
の
計略
(
けいりやく
)
にかかり
火
(
ひ
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
173
燧
(
ひうち
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
して
向
(
むか
)
へ
火
(
び
)
をつけ、
174
且
(
かつ
)
叢雲
(
むらくも
)
の
神剣
(
つるぎ
)
にて
草
(
くさ
)
を
薙
(
な
)
ぎ
払
(
はら
)
ひ
大勝利
(
だいしようり
)
を
得
(
え
)
られた
故事
(
こじ
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
175
直
(
ただち
)
に
佩刀
(
はいとう
)
を
抜
(
ぬ
)
き
放
(
はな
)
ち
身辺
(
しんぺん
)
の
草
(
くさ
)
を
薙
(
な
)
ぎ
176
懐中
(
くわいちう
)
よりマツチを
取出
(
とりだ
)
して
向
(
むか
)
ひ
火
(
び
)
をつけ、
177
さうして
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
奏上
(
さうじやう
)
した。
178
不思議
(
ふしぎ
)
にも
風
(
かぜ
)
は
俄
(
には
)
かに
南方
(
なんぱう
)
に
変
(
へん
)
じ、
179
日出雄
(
ひでを
)
も
兵士
(
へいし
)
も
焼死
(
しやうし
)
の
難
(
なん
)
を
免
(
まぬ
)
かれた。
180
蒙古
(
もうこ
)
の
野
(
の
)
に
火
(
ひ
)
を
放
(
はな
)
つて
遊
(
あそ
)
ぶのは
実
(
じつ
)
に
剣呑
(
けんのん
)
である。
181
(
大正一四、八
、筆録)
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