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第一三章 洮南(たうなん)旅館(りよくわん)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第2篇 奉天より洮南へ よみ(新仮名遣い):ほうてんよりとうなんへ
章:第13章 洮南旅館 よみ(新仮名遣い):とうなんりょかん 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年2月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
日出雄一行は三月八日の午後九時三十分にようやく洮南駅に到着した。そして洮南旅館で真澄別一行と合流した。洮南府は日本官憲の勢力がない場所であった。現在は特殊の関係のある者のみが二十五名逗留しているだけの地である。
ここは鄭家屯の北から鉄道で百四十マイル、東蒙古における唯一の大市街である。支那人が蒙古に発展する拠点となった街である。四方を城壁で囲み、門は官兵や巡警が控えていて護証の検査をなし、また税金を取り立てている。
蒙古の地にあって、その勢力も政治も支那の主権に属し、奉天省が管轄している。そして日本人排斥の思想が濃く、鄭家屯の日本領事館員でさえ、なかなか市内に入ることができない。
こういう場所に潜んで、一同は種々の計画を練っていたのである。その間に、満鉄の三井貫之助氏が訪ねてきたが、岡崎、大倉の両人が接見した。また、佐々木の手紙が届き、帰化城方面の支那人哥老会の揚成業氏が、一万の兵を率いて参加するという知らせがあった。
また、関東庁の陸軍三等主計正の日本人某が視察にやって来ていて、一泊した上で翌朝の汽車で帰って行った。また、有名な評論家・横山健道が日出雄と入れ違いにこのホテルを出て行ったという。横山が揮毫したという立派な書を、ホテルの支配人から見せてもらった。日出雄も請われて、日本人に書画を書き与えた。
またある日、鄭家屯の日本領事館書記生某氏が、視察のために洮南に来て、満鉄の三井氏が調査した書類を書き写し、四五日滞在して帰って行ったりした。日本官吏による調査は、すべてこのように行われていたのである。
この日、城内の猪野氏・平間氏宅に、日本人全員が移転することになった。名田彦があまり自分が選ばれた大本信者であると回りに吹聴し、計画を漏らすようなことを言うので、岡崎の機嫌は非常に悪くなった。日出雄がたしなめると、名田彦は黙り込んでしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考:2024/1/13出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-01-13 18:36:20 OBC :rmnm13
愛善世界社版:113頁 八幡書店版:第14輯 589頁 修補版: 校定版:114頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 日出雄(ひでを)はやうやくにして(さん)(ぐわつ)八日(やうか)陰暦(いんれき)()(ぐわつ)三日(みつか)午後(ごご)()()三十(さんじつ)(ぷん)002洮南(たうなん)(えき)無事(ぶじ)安着(あんちやく)し、003乞食(こじき)のやうな支那兵(しなへい)(おく)られ、004ガタ馬車(ばしや)二台(にだい)分乗(ぶんじやう)して洮南(たうなん)旅館(りよくわん)()る。005真澄別(ますみわけ)006大倉(おほくら)007名田彦(なだひこ)(さん)(にん)鶴首(かくしゆ)して()つて()た。008さうして洮南(たうなん)()日本(につぽん)官憲(くわんけん)勢力(せいりよく)なく、009領事館(りやうじくわん)(ゐん)(いへど)護照(ごせう)()ければ入洮(にふたう)(ゆる)さないので、010日本人(につぽんじん)停車場(ていしやぢやう)(むか)へに()るのは(もつと)危険(きけん)だから失礼(しつれい)をしましたと、011(さん)(にん)弁解(べんかい)して()た。012(わう)元祺(げんき)睾丸炎(かうぐわんえん)益々(ますます)激痛(げきつう)(かん)じ、013病床(びやうしやう)(はひ)つたまま()きず、014(めし)()はず(よわ)りきつて()る。
015 ()くれば(さん)(ぐわつ)九日(ここのか)016奉天(ほうてん)同志(どうし)安着(あんちやく)電報(でんぱう)(はつ)した。017(この)洮南(たうなん)旅館(りよくわん)満鉄(まんてつ)御用(ごよう)旅館(りよくわん)()名義(めいぎ)で、018(から)うじて支那(しな)官憲(くわんけん)許可(きよか)()けて()るのである。019一時(いちじ)洮南(たうなん)府内(ふない)(ひやく)七八十(しちはちじふ)(にん)日本人(につぽんじん)滞留(たいりう)して()たが、020支那(しな)官憲(くわんけん)圧迫(あつぱく)により、021(いづ)れも退去(たいきよ)(めい)ぜられ、022特殊(とくしゆ)関係(くわんけい)あるもののみ二十五(にじふご)(にん)在留(ざいりう)して()るだけである。023そうして、024日本人(につぽんじん)(をんな)()へば(わづ)かに()(にん)()ふことで、025一行(いつかう)(しち)(にん)(この)旅館(りよくわん)宿泊(しゆくはく)して種々(しゆじゆ)計画(けいくわく)着手(ちやくしゆ)して()た。026平馬(へいま)本章に「平馬」が3回出るが、底本(全集)ではフリガナは最初だけ「へいま」で後2回は「ひらま」になっている。()(たく)から猪野(ゐの)027大川(おほかは)二人(ふたり)来訪(らいほう)して蒙古(もうこ)()りの壮挙(さうきよ)()き、028()国家(こくか)前途(ぜんと)(ため)慶賀(けいが)()へないと()うて賛意(さんい)(へう)して()る。029(つぎ)満鉄(まんてつ)関係者(くわんけいしや)三井(みつゐ)貫之助(くわんのすけ)()来訪(らいほう)した。030(しか)(なが)日出雄(ひでを)真澄別(ますみわけ)一室(いつしつ)()(こも)り、031岡崎(をかざき)032大倉(おほくら)両人(りやうにん)接見(せつけん)する(こと)となつた。033大倉(おほくら)三井(みつゐ)(とも)城内(じやうない)支那(しな)料理店(れうりてん)()かけ、034種々(しゆじゆ)運動(うんどう)開始(かいし)した。035夜分(やぶん)になると東西(とうざい)南北(なんぼく)から銃砲(じゆうはう)(おと)(しき)りに(きこ)えて()る。036(これ)洮南(たうなん)()周囲(しうゐ)散在(さんざい)して()十数(じふすう)(だん)馬賊(ばぞく)二千(にせん)()(めい)が、037何時(いつ)洮南(たうなん)()(おそ)ふかも()れないので、038()になると兵士(へいし)馬賊(ばぞく)威喝(いかつ)(ため)発砲(はつぱう)するのだと()(こと)である。039(じつ)官憲(くわんけん)威力(いりよく)(およ)ばず040物騒(ぶつそう)千万(せんばん)土地(とち)である。
041 (この)洮南(たうなん)()鄭家屯(ていかとん)(きた)()鉄路(てつろ)百四十(ひやくよんじふ)(マイル)地点(ちてん)にあつて、042東蒙古(ひがしもうこ)()ける唯一(ゆゐいつ)大市街(だいしがい)である。043支那人(しなじん)蒙古(もうこ)発展(はつてん)した根拠地(こんきよち)(すなは)()()である。044四方(しはう)(つち)城壁(じやうへき)をもつて(かこ)み、045東西(とうざい)南北(なんぼく)六個(ろくこ)通行門(つうかうもん)があつて、046住民(ぢゆうみん)此処(ここ)から出入(しゆつにふ)する。047(もん)入口(いりぐち)には支那(しな)官兵(くわんぺい)巡警(じゆんけい)(ひか)へて()て、048一々(いちいち)護照(ごせう)検査(けんさ)()し、049携帯品(けいたいひん)出入(しゆつにふ)荷物(にもつ)(たい)しては、050幾何(いくら)かの税金(ぜいきん)現場(げんぢやう)徴収(ちやうしう)する。051洮南(たうなん)市街(しがい)南北(なんぽく)()支里(しり)052東西(とうざい)()支里(しり)正方形(せいほうけい)面積(めんせき)(いう)し、053(この)城壁(じやうへき)(ない)には官公署(くわんこうしよ)各商店(かくしやうてん)(のき)(なら)べて()る。054純然(じゆんぜん)たる蒙古(もうこ)土地(とち)でありながら、055(その)勢力(せいりよく)も、056政治(せいぢ)関係(くわんけい)(まつた)支那(しな)主権(しゆけん)(ぞく)し、057奉天省(ほうてんしやう)管轄(くわんかつ)して()る。058二十(にじふ)(ねん)以前(いぜん)059(はじ)めて支那人(しなじん)(この)()市街(しがい)(きづ)いた(とき)は、060(わづ)かに三四十(さんしじつ)()()ぎなかつたが、061(その)(とき)から道尹(だういん)衙門(がもん)設置(せつち)して土地(とち)発展(はつてん)(つと)めて()る。062(その)()洮南(たうなん)道尹(だういん)衙門(がもん)鄭家屯(ていかとん)()(うつ)り、063現在(げんざい)官公署(くわんこうしよ)064県公署(けんこうしよ)065(だい)二十九(にじふく)()司令部(しれいぶ)や、066監獄(かんごく)や、067警察署(けいさつしよ)068審判庁(しんぱんちやう)069捐務局(えんむきよく)070兵営(へいえい)071郵政局(いうせいきよく)072電報局(でんぱうきよく)073学校(がつかう)(とう)がある。074国民(こくみん)小学校(せうがくかう)(さん)(しよ)075国民(こくみん)女学校(ぢよがくかう)()(しよ)県立(けんりつ)高等(かうとう)小学校(せうがくかう)(いつ)(しよ)ある。076当地(たうち)支那(しな)官憲(くわんけん)(すべ)ての日本人(につぽんじん)(たい)して極力(きよくりよく)圧迫(あつぱく)(くは)へ、077排日(はいにち)思想(しさう)(もつと)(さか)んな(ところ)である。078それ(ゆゑ)079鄭家屯(ていかとん)日本(につぽん)領事館(りやうじくわん)から館員(くわんゐん)視察(しさつ)()ても、080護照(ごせう)がなければ(とほ)さないと()つて、081入城(にふじやう)(こば)むと()有様(ありさま)である。
082 かういふ状況(じやうきやう)()洮南(たうなん)()日出雄(ひでを)一行(いつかう)()()んだから083中々(なかなか)晏如(あんじよ)たる(わけ)には()かないのである。
084 洮南(たうなん)日出雄(ひでを)()いた三日目(みつかめ)に、085秦宣(しんせん)(およ)山田(やまだ)文治郎(ぶんぢらう)両人(りやうにん)佐々木(ささき)手紙(てがみ)()つてやつて()た。086それは帰化城(きくわじやう)方面(はうめん)支那人(しなじん)哥老会(からうくわい)耆宿(きしゆく)(やう)成業(せいげふ)が、087一万(いちまん)数千(すうせん)(へい)(ひき)ゐて参加(さんか)すると()(こと)であつた。088(この)(とき)関東庁(くわんとんちやう)陸軍(りくぐん)三等(さんとう)主計正(しゆけいせい)なる日本人(につぽんじん)(ぼう)洮南(たうなん)視察(しさつ)にやつて()一夜(いちや)宿泊(しゆくはく)した(うへ)089翌朝(よくてう)(はち)()汽車(きしや)(かへ)つて()つた。
090 夜分(やぶん)になると、091(かね)太鼓(たいこ)(ふえ)などの楽器(がくき)賑々(にぎにぎ)しく葬式(さうしき)行列(ぎやうれつ)街道(かいだう)通過(つうくわ)する(おと)(きこ)えるかと(おも)へば、092今度(こんど)(また)嫁入(よめいり)行列(ぎやうれつ)(おな)じやうな鳴物(なりもの)(とほ)つて()く。093さうして爆竹(ばくちく)(おと)四方(しはう)から(きこ)えて()る。094室内(しつない)(おと)ばかり()いて()ると葬式(さうしき)嫁入(よめいり)(おな)じやうに(きこ)える。095有名(いうめい)論評家(ろんぴやうか)黒頭巾(くろづきん)横山(よこやま)健堂(けんだう)096日出雄(ひでを)()(ちが)ひに()のホテルを()(かへ)つて()つた。097此処(ここ)健堂(けんだう)揮毫(きがう)した立派(りつぱ)(しよ)をホテルの支配人(しはいにん)から(しめ)され、098()揮毫(きがう)依頼(いらい)されたので、099日出雄(ひでを)(これ)(おう)日本人(につぽんじん)書画(しよぐわ)()(あた)へた。
100 (さん)(ぐわつ)十一(じふいち)(にち)未明(みめい)から機関銃(きくわんじゆう)小銃(せうじゆう)(おと)(しき)りに(きこ)え、101(なん)となく不穏(ふをん)空気(くうき)(ただよ)うて()る。102洮南(たうなん)()一個(いつこ)旅団(りよだん)(やく)四千(よんせん)(にん)常備兵(じやうびへい)があつて、103東三省(とうさんしやう)北門(ほくもん)(まも)つて()るのだが、104ホテルの支配人(しはいにん)()くと、105馬賊(ばぞく)一隊(いつたい)襲来(しうらい)したので応戦(おうせん)して()(もの)だとの(こと)であつた。
106 ()くれば(さん)(ぐわつ)十二(じふに)(にち)107鄭家屯(ていかとん)日本(につぽん)領事館(りやうじくわん)書記生(しよきせい)(ぼう)108洮南(たうなん)視察(しさつ)(ため)()(きた)り、109ホテルに宿泊(しゆくはく)し、110満鉄(まんてつ)関係(くわんけい)三井(みつゐ)()調査(てうさ)した書類(しよるゐ)()(うつ)し、111四五(しご)日間(にちかん)滞在(たいざい)して(かへ)つて()く。112日本(につぽん)官吏(くわんり)調査(てうさ)はすべてこんな具合(ぐあひ)(おこな)はれて()るのだ。113(この)()城内(じやうない)春山(はるやま)医院(いゐん)猪野(ゐの)敏夫(としを)()(たく)114(およ)平馬(へいま)慎太郎(しんたらう)()(たく)日本人(につぽんじん)全部(ぜんぶ)移転(いてん)することとなつた。115岡崎(をかざき)大変(たいへん)不気嫌(ふきげん)傍人(ばうじん)()(あた)りの(てい)である。116それは名田彦(なだひこ)が──(ぼく)柔術(じうじゆつ)達人(たつじん)だとか、117米国(べいこく)理髪(りはつ)学士(がくし)だとか、118(かたな)一本(いつぽん)あれば数十(すうじふ)(にん)相手(あひて)(またた)()()りなびけて()せるとか──大法螺(おほぼら)()いて威張(いば)()らすのが(しやく)(さは)つたのである。119支那(しな)では理髪師(りはつし)()へば下職(げしよく)とみなされて()るのに、120名田彦(なだひこ)得々(とくとく)として理髪(りはつ)妙技(めうぎ)(ほこ)つたり、121(また)ノコノコと城内(じやうない)理髪店(りはつてん)()かけて()つて、122剃刀(かみそり)使(つか)(かた)がどうだの、123かうだのと理窟(りくつ)()ひ、124支那(しな)理髪師(りはつし)(をし)へてやり、125いらざるお節介(せつかい)をやつたと()ふのである。
126 おまけに日本人(につぽんじん)洮南(たうなん)()()ると()(こと)秘密(ひみつ)にしておかねばならぬのに127自分(じぶん)三五(あなない)信者中(しんじやちう)全体(ぜんたい)から(えら)ばれて()(かみ)寵児(ちようじ)だ』とか128日出雄(ひでを)先生(せんせい)一番(いちばん)弟子(でし)だ』とか法螺(ほら)()くので、129岡崎(をかざき)憤慨(ふんがい)したのである。130そこへ秦宣(しんせん)山田(やまだ)とが佐々木(ささき)手紙(てがみ)をもつて使(つか)ひに()たので、131岡崎(をかざき)機嫌(きげん)益々(ますます)(わる)い。
132岡崎(をかざき)佐々木(ささき)133大倉(おほくら)(やつ)134乞食(こじき)のやうな人足(にんそく)使(つか)ひに()こしよつた。135あんなものが(なん)になるか、136大倉(おほくら)(やつ)137(なに)()自分(じぶん)一人(ひとり)出来(でき)るやうに()かしよつて……(なん)(おれ)()なければ(この)危険(きけん)洮南(たうなん)()()今日(けふ)のやうな(こと)があつたらどうするか、138マサカ三井(みつゐ)()つぽけな借家(しやくや)(はち)(にん)日本人(につぽんじん)宿(とま)(わけ)には()くまい。139それだから(おれ)が、140平馬(へいま)(くん)()()れておいたのだ。141(なん)()つても佐々木(ささき)大倉(おほくら)では駄目(だめ)だ。142(てう)(てき)(ひよう)占元(せんげん)(はう)から日出雄(ひでを)先生(せんせい)引張(ひつぱ)りに()()つたのに、143佐々木(ささき)(やつ)()占魁(せんくわい)一緒(いつしよ)(たの)みやがるものだから先生(せんせい)()依頼(いらい)して()占魁(せんくわい)(はう)援助(ゑんじよ)をして(もら)つたのだ。144本当(ほんたう)彼奴(あいつ)馬鹿(ばか)だからなア。145岡崎(をかざき)腹中(ふくちう)(わか)らぬのだから』
146大気焔(だいきえん)大憤慨(だいふんがい)呼吸(いき)室内(しつない)(つつ)むで仕舞(しま)つた。
147 名田彦(なだひこ)猪野(ゐの)148大川(おほかは)在留(ざいりう)日本人(につぽんじん)(むか)つて滔々(たうたう)自慢話(じまんばなし)()きかけて()る。
149名田彦自分(じぶん)沢山(たくさん)信者(しんじや)(なか)から選抜(せんばつ)せられて()(じゆん)信者(しんじや)だが、150今回(こんくわい)先生(せんせい)のお(とも)にぬけ()けしてやつて()たのも、151今年(ことし)(なん)でも神勅(しんちよく)()つて一億(いちおく)(ゑん)財産(ざいさん)(こしら)へるつもりだからだ。152蒙古(もうこ)には(きん)(ぎん)(どう)(てつ)鉱山(くわうざん)沢山(たくさん)にあると()(こと)だから、153()(とほ)検鉱器(けんくわうき)(まで)()つて()()るのだ。154(この)器械(きかい)さへあれば一目(ひとめ)(きん)か、155(てつ)か、156(どう)か、157(また)含有量(がんいうりやう)幾何(いくら)あるかと()(こと)即座(そくざ)(わか)る。158()検鉱器(けんくわうき)独逸(どいつ)(せい)で、159日本(につぽん)鉱山師(くわうざんし)(たれ)()つて()ない貴重品(きちようひん)だ。160それに先生(せんせい)(はなし)()くと大庫倫(だいクウロン)(まで)神軍(しんぐん)(すす)めると()ふお(はなし)だが、161大庫倫(だいクウロン)(まで)八千(はちせん)支里(しり)もあると()ふのじやないか。162こんな(こと)なら()るのぢやなかつたに、163チエツ……もう(かへ)つてやらうか』
164 なぞと不機嫌(ふきげん)(かほ)つきをして(つぶ)やく。165かと(おも)へば166(また)顔色(かほいろ)()へて、167大本(おほもと)信者(しんじや)(なか)でも(この)(たび)のお(とも)をするやうな精神(せいしん)(みが)けた人間(にんげん)は、168一万(いちまん)(にん)(なか)一人(ひとり)もあるまい。169それを(おも)へば(この)(たび)のお(とも)不足(ふそく)ぢやない。170(かみ)(さま)()命令(めいれい)だと(おも)へば(じつ)(わたし)幸福(かうふく)なものだ。171などと一人(ひとり)免許(めんきよ)(よろこ)んで()る。172其処(そこ)日出雄(ひでを)何気(なにげ)なくやつて()名田彦(なだひこ)法螺(ほら)()き、
173日出雄大本(おほもと)信者(しんじや)(せん)(にん)(せん)(にん)(なが)(みな)(ぼく)について()(もの)ばかりぢや。174さう自惚(うぬぼれ)するものぢやないよ』
175 と()つたので名田彦(なだひこ)(へん)(かほ)して黙言(だまり)()んで仕舞(しま)つた。
176大正一四、八、筆録)

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