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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
第1章 水火訓
第2章 神示の経綸
第3章 金剛心
第4章 微燈の影
第5章 心の奥
第6章 出征の辞
第7章 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
第8章 聖雄と英雄
第9章 司令公館
第10章 奉天出発
第11章 安宅の関
第12章 焦頭爛額
第13章 洮南旅館
第14章 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
第15章 公爺府入
第16章 蒙古の人情
第17章 明暗交々
第18章 蒙古気質
第19章 仮司令部
第20章 春軍完備
第21章 索倫本営
第4篇 神軍躍動
第22章 木局収ケ原
第23章 下木局子
第24章 木局の月
第25章 風雨叱咤
第26章 天の安河
第27章 奉天の渦
第28章 行軍開始
第29章 端午の日
第30章 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
第31章 強行軍
第32章 弾丸雨飛
第33章 武装解除
第34章 竜口の難
第35章 黄泉帰
第36章 天の岩戸
第37章 大本天恩郷
第38章 世界宗教聯合会
第39章 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
神示の世界経綸
余白歌
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(B)
(N)
安宅の関 >>>
第一〇章
奉天
(
ほうてん
)
出発
(
しゆつぱつ
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第2篇 奉天より洮南へ
よみ(新仮名遣い):
ほうてんよりとうなんへ
章:
第10章 奉天出発
よみ(新仮名遣い):
ほうてんしゅっぱつ
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
三月一日に日本人一同が盧占魁の公館にそろって、計画談義に花を咲かせていた。
大倉伍一によると、張作霖から盧占魁に対し、西北自治軍総司令の内命が下り、索倫山において募兵して活動するようにとの命令があったとのことであった。
張作霖が盧占魁の内外蒙古出征を許可するに当たっては、日本軍からの張軍閥内へのはたらきかけがあった。
日出雄は、さっそく一行より先に蒙古入りをしようと提案した。佐々木は準備が整ってから奉天から列車で行くようにと反対するが、岡崎は日出雄に賛成し、次分は東三省の高等官だから護照もいらない、自動車を雇って疾走すればよい、と言って聞かない。
他の満州浪人たちは安全を慮って反対するが、結局日出雄が岡崎の案を是としたので、奉天から鄭家屯まで自動車で行くことになった。
三月三日の午後四時から、二台の自動車に日出雄、岡崎、守高、通訳の王元祺の四名が分乗して出発した。道路は極めて険悪で、ときどき機関が損傷し、一時間ばかり走るとまた一時間ばかり停車して修理する、という有様だった。
馬賊が横行する区域とて、停車中はヘッドライトを消して懐中電灯で修理を行い、水が切れると氷を取って来て機関につめるなどの苦労をしながら北へ北へと進んでいった。
また、氷結した遼河を渡ろうとした際、氷が溶けた部分に危うく落ちそうになって危機一髪自動車が停止したこともあった。
翌四日午前七時、開原の城内で朝食を取り、また自動車を修理した後に出発した。午後一時ごろに昌図府の手前まで到着したが、一台の自動車が大破してしまったため、昌図府の安宿に宿泊し、奉天へ人をやって機械を取り寄せることになった。
二百四十支里の前人未踏の高原を自動車で冒険的に旅行してのけたのは、開闢以来の壮挙、離れ業だと、岡崎は怪気炎を上げていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
2024/1/9出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-01-09 15:56:43
OBC :
rmnm10
愛善世界社版:
89頁
八幡書店版:
第14輯 580頁
修補版:
校定版:
90頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
三
(
さん
)
月
(
ぐわつ
)
一日
(
いちじつ
)
(
中国暦
(
ちうごくれき
)
の
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
二十六
(
にじふろく
)
日
(
じつ
)
)
盧
(
ろ
)
公館
(
こうくわん
)
に
於
(
おい
)
て
002
日出雄
(
ひでを
)
、
003
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
、
004
真澄別
(
ますみわけ
)
、
005
岡崎
(
をかざき
)
、
006
揚
(
やう
)
巨芳
(
きよはう
)
、
007
佐々木
(
ささき
)
、
008
大倉
(
おほくら
)
、
009
唐国別
(
からくにわけ
)
、
010
守高
(
もりたか
)
等
(
とう
)
の
面々
(
めんめん
)
が
打
(
う
)
ち
揃
(
そろ
)
ひ
蒙古
(
もうこ
)
経営談
(
けいえいだん
)
の
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
かした。
011
大倉
(
おほくら
)
『
先生
(
せんせい
)
、
012
弥々
(
いよいよ
)
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
から
盧
(
ろ
)
さんに
対
(
たい
)
して
西北
(
せいほく
)
自治軍
(
じちぐん
)
総司令
(
そうしれい
)
の
内命
(
ないめい
)
が
下
(
くだ
)
りました。
013
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
の
意見
(
いけん
)
に
依
(
よ
)
れば
先生
(
せんせい
)
の
御
(
ご
)
計画
(
けいくわく
)
の
通
(
とほ
)
り、
014
先
(
ま
)
づ
索倫山
(
そうろんざん
)
に
於
(
おい
)
て
兵
(
へい
)
を
募集
(
ぼしふ
)
し、
015
司令部
(
しれいぶ
)
を
設
(
まう
)
けて
活動
(
くわつどう
)
せよとのことです。
016
之
(
これ
)
に
就
(
つい
)
ては
岸
(
きし
)
少将
(
せうしやう
)
も
非常
(
ひじやう
)
に
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
つて
呉
(
く
)
れました。
017
之
(
こ
)
れで
一先
(
ひとま
)
づ
安心
(
あんしん
)
です。
018
佐々木
(
ささき
)
さんも
大変
(
たいへん
)
心配
(
しんぱい
)
しましたが、
019
愈々
(
いよいよ
)
大願
(
だいぐわん
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
曙光
(
しよくわう
)
を
認
(
みと
)
めましたから
安心
(
あんしん
)
して
下
(
くだ
)
さい』
020
日出雄
(
ひでを
)
『それは
大変
(
たいへん
)
にお
骨折
(
ほねを
)
りでした。
021
御
(
ご
)
神助
(
しんじよ
)
に
依
(
よ
)
つて
意外
(
いぐわい
)
にも
早
(
はや
)
く
話
(
はなし
)
が
纏
(
まとま
)
つた
事
(
こと
)
を
喜
(
よろこ
)
びます。
022
併
(
しか
)
し
佐々木
(
ささき
)
さん、
023
随分
(
ずゐぶん
)
此
(
こ
)
の
交渉
(
かうせふ
)
は
困難
(
こんなん
)
でしただらう』
024
佐々木
(
ささき
)
『ハイ、
025
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
支那
(
しな
)
と
言
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
は
金
(
かね
)
で
動
(
うご
)
く
所
(
ところ
)
ですから、
026
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
の
側近
(
そばちか
)
く
仕
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
る
連中
(
れんちう
)
に、
027
金銭
(
かね
)
の
轡
(
くつわ
)
をはめて
反対
(
はんたい
)
しない
様
(
やう
)
にして
置
(
お
)
きました。
028
之
(
こ
)
れから
私
(
わたし
)
は
軍備
(
ぐんび
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
致
(
いた
)
します。
029
そして
輸送
(
ゆそう
)
も
大連
(
だいれん
)
から
洮南
(
たうなん
)
迄
(
まで
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
楽
(
らく
)
になりました。
030
武器
(
ぶき
)
の
輸送
(
ゆさう
)
は
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
が
引
(
ひ
)
き
受
(
う
)
けて
送
(
おく
)
つて
呉
(
く
)
れる
事
(
こと
)
になりましたから
安心
(
あんしん
)
して
下
(
くだ
)
さい』
031
日出雄
(
ひでを
)
『さうなれば
私
(
わたし
)
は
一歩
(
ひとあし
)
先
(
さ
)
きに
蒙古入
(
もうこい
)
りをして
見
(
み
)
ようと
思
(
おも
)
ふ。
032
君
(
きみ
)
等
(
ら
)
は
総
(
すべ
)
ての
準備
(
じゆんび
)
を
整
(
ととの
)
へて
後
(
あと
)
からやつて
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
ひたい。
033
王爺廟
(
ワンエメウ
)
[
*
フリガナは底本(全集)と愛善世界社版では「ワンエメウ」だが、校定版では「ワンイエメウ」になっている。
]
から
三百
(
さんびやく
)
計
(
ばか
)
りの
喇嘛僧
(
らまそう
)
が
迎
(
むか
)
へに
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だから、
034
グヅグヅしては
居
(
ゐ
)
られますまいから』
035
佐々木
(
ささき
)
『まあ
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
036
さうすれば
喇嘛服
(
らまふく
)
を
誂
(
あつら
)
へに
行
(
い
)
つた
揚
(
やう
)
萃廷
(
すゐてい
)
さんも
北京
(
ペキン
)
から
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
ませうし、
037
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
の
護照
(
ごせう
)
も
取
(
と
)
れますから、
038
其
(
その
)
上
(
うへ
)
になさつた
方
(
はう
)
が
安全
(
あんぜん
)
でせう』
039
岡崎
(
をかざき
)
『
何
(
なに
)
、
040
護照
(
ごせう
)
が
何
(
なん
)
になるか。
041
僕
(
ぼく
)
は
東三省
(
とうさんしやう
)
の
高等官
(
かうとうくわん
)
だ、
042
僕
(
ぼく
)
が
先生
(
せんせい
)
のお
供
(
とも
)
すれば
護照
(
ごせう
)
もヘツタクレも
要
(
い
)
るものか。
043
何事
(
なにごと
)
も
神命
(
しんめい
)
に
従
(
したが
)
つてやるのが
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
趣旨
(
しゆし
)
だ。
044
先生
(
せんせい
)
の
言葉
(
ことば
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
言葉
(
ことば
)
だ。
045
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
から
洮南府
(
たうなんふ
)
迄
(
まで
)
沿道
(
えんだう
)
の
視察
(
しさつ
)
をして
来
(
き
)
たが、
046
行
(
ゆく
)
先々
(
さきざき
)
に
日本人
(
につぽんじん
)
が
居
(
を
)
つて
何彼
(
なにか
)
の
世話
(
せわ
)
をして
呉
(
く
)
れる
事
(
こと
)
に
約束
(
やくそく
)
して
置
(
お
)
いたから、
047
君
(
きみ
)
達
(
たち
)
は
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
つて
準備
(
じゆんび
)
をしたがよい。
048
僕
(
ぼく
)
は
是非
(
ぜひ
)
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
の
中
(
うち
)
に
自動車
(
じどうしや
)
を
雇
(
やと
)
つて
鄭家屯
(
ていかとん
)
迄
(
まで
)
疾走
(
しつそう
)
する
積
(
つも
)
りだ』
049
佐々木
(
ささき
)
『
奉天
(
ほうてん
)
から
汽車
(
きしや
)
が
通
(
つう
)
じて
居
(
ゐ
)
るのに
高
(
たか
)
い
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
して
自動車
(
じどうしや
)
に
乗
(
の
)
る
必要
(
ひつえう
)
があるか、
050
三十
(
さんじふ
)
人
(
にん
)
計
(
ばか
)
りの
護衛兵
(
ごゑいへい
)
をつけるから、
051
先生
(
せんせい
)
に
奉天駅
(
ほうてんえき
)
から
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
になつたらどうだ、
052
其
(
それ
)
が
安全
(
あんぜん
)
でよからうと
思
(
おも
)
ふ』
053
岡崎
(
をかざき
)
『それもさうだが、
054
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
護衛兵
(
ごゑいへい
)
などが
要
(
い
)
るものか、
055
僕
(
ぼく
)
がお
供
(
とも
)
すれば
大盤石
(
だいばんじやく
)
だ。
056
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
て
奉天
(
ほうてん
)
から
鄭家屯
(
ていかとん
)
迄
(
まで
)
自動車
(
じどうしや
)
を
飛
(
と
)
ばした
者
(
もの
)
が
無
(
な
)
いのだから、
057
自動車
(
じどうしや
)
旅行
(
りよかう
)
も
地理
(
ちり
)
を
知
(
し
)
る
上
(
うへ
)
に
於
(
おい
)
て
面白
(
おもしろ
)
からう。
058
日本人
(
につぽんじん
)
はいつも
満蒙
(
まんもう
)
視察
(
しさつ
)
をして
来
(
き
)
たと
偉
(
えら
)
さうに
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
059
唯
(
ただ
)
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
つて
沿道
(
えんだう
)
を
視察
(
しさつ
)
した
位
(
ぐらゐ
)
では
駄目
(
だめ
)
だ、
060
是非
(
ぜひ
)
共
(
とも
)
自動車
(
じどうしや
)
で
行
(
い
)
つた
方
(
はう
)
が
面白
(
おもしろ
)
いだらう』
061
佐々木
(
ささき
)
『
此
(
こ
)
の
道
(
みち
)
の
悪
(
わる
)
いのに、
062
山
(
やま
)
や
畑
(
はた
)
を
突破
(
とつぱ
)
し、
063
遼河
(
れうが
)
を
渡
(
わた
)
らねばならぬ
大危険
(
だいきけん
)
がある。
064
そんな
危険
(
きけん
)
の
道
(
みち
)
を
通
(
とほ
)
る
必要
(
ひつえう
)
がどこにあるか。
065
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はないから、
066
是非
(
ぜひ
)
汽車
(
きしや
)
旅行
(
りよかう
)
にして
欲
(
ほ
)
しいものだ。
067
吾々
(
われわれ
)
も
心配
(
しんぱい
)
でならないからなあ』
068
日出雄
(
ひでを
)
『
満州
(
まんしう
)
の
事情
(
じじやう
)
も
調
(
しら
)
べたいから、
069
別
(
べつ
)
に
急
(
いそ
)
ぐ
旅
(
たび
)
でもなし、
070
自動車
(
じどうしや
)
旅行
(
りよかう
)
を
試
(
こころ
)
みたいものだ。
071
人
(
ひと
)
の
通
(
とほ
)
らない
所
(
ところ
)
を
通
(
とほ
)
つて
見
(
み
)
るのも
面白
(
おもしろ
)
いだらう』
072
岡崎
(
をかざき
)
『
佐々木
(
ささき
)
や
大倉
(
おほくら
)
は
臆病
(
おくびやう
)
だから、
073
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふが、
074
何
(
なに
)
、
075
心配
(
しんぱい
)
要
(
い
)
るものか、
076
自動車
(
じどうしや
)
旅行
(
りよかう
)
と
決定
(
けつてい
)
しようじやないか』
077
佐々木
(
ささき
)
『
先生
(
せんせい
)
が
其
(
その
)
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
なら
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い、
078
之
(
これ
)
から
自動車
(
じどうしや
)
屋
(
や
)
に
照会
(
せうくわい
)
して
見
(
み
)
よう』
079
揚
(
やう
)
巨芳
(
きよはう
)
『
私
(
わたし
)
の
知己
(
ちき
)
で
盧
(
ろ
)
さんの
恩顧
(
おんこ
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
ゐ
)
る
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
と
云
(
い
)
ふ、
080
昔
(
むかし
)
直隷軍
(
ちよくれいぐん
)
の
連長
(
れんちやう
)
をして
居
(
ゐ
)
た
男
(
をとこ
)
が、
081
城内
(
じやうない
)
に
自動車
(
じどうしや
)
会社
(
くわいしや
)
をやつて
居
(
ゐ
)
るから、
082
それに
云
(
い
)
ひつけませう。
083
彼
(
かれ
)
は
義侠心
(
ぎけふしん
)
の
強
(
つよ
)
い
剛胆
(
がうたん
)
な
男
(
をとこ
)
ですから、
084
少々
(
せうせう
)
の
馬賊
(
ばぞく
)
位
(
ぐらゐ
)
出
(
で
)
た
所
(
ところ
)
でこたえない
奴
(
やつ
)
ですから』
085
日出雄
(
ひでを
)
『それは
好都合
(
かうつがふ
)
だ、
086
そんならそれに
定
(
き
)
めて
仕舞
(
しま
)
はう。
087
愈々
(
いよいよ
)
三
(
さん
)
月
(
ぐわつ
)
三日
(
みつか
)
此
(
この
)
地
(
ち
)
を
出立
(
しゆつたつ
)
しよう』
088
盧
(
ろ
)
『
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
先生
(
せんせい
)
の
御
(
ご
)
意志
(
いし
)
に
従
(
したが
)
ふ
決心
(
けつしん
)
だからお
望
(
のぞ
)
みの
通
(
とほ
)
り
自動車
(
じどうしや
)
を
誂
(
あつら
)
へませう』
089
かくの
如
(
ごと
)
く
相談
(
さうだん
)
が
纏
(
まとま
)
つたので、
090
日出雄
(
ひでを
)
は
愈々
(
いよいよ
)
奉天
(
ほうてん
)
から
鄭家屯
(
ていかとん
)
に
向
(
むか
)
つて
自動車
(
じどうしや
)
を
駆
(
か
)
る
事
(
こと
)
となつた。
091
さうして
真澄別
(
ますみわけ
)
、
092
大倉
(
おほくら
)
、
093
名田彦
(
なだひこ
)
の
三
(
さん
)
名
(
めい
)
は
奉天
(
ほうてん
)
より
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
つて
蒙古
(
もうこ
)
の
洮南府
(
たうなんふ
)
に
先着
(
せんちやく
)
し、
094
洮南
(
たうなん
)
ホテルに
於
(
おい
)
て
諸般
(
しよはん
)
の
準備
(
じゆんび
)
を
調
(
ととの
)
へて
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
に
相談
(
さうだん
)
がまとまつた。
095
愈々
(
いよいよ
)
三
(
さん
)
月
(
ぐわつ
)
三日
(
みつか
)
(
旧
(
きう
)
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
廿八
(
にじふはち
)
日
(
にち
)
)
午後
(
ごご
)
四
(
よ
)
時
(
じ
)
から
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
の
自動車
(
じどうしや
)
二台
(
にだい
)
に
日出雄
(
ひでを
)
、
096
岡崎
(
をかざき
)
、
097
守高
(
もりたか
)
、
098
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
の
四
(
よん
)
名
(
めい
)
は
分乗
(
ぶんじよう
)
して
奉天
(
ほうてん
)
を
出発
(
しゆつぱつ
)
する
事
(
こと
)
となつた。
099
自動車
(
じどうしや
)
屋
(
や
)
の
主人
(
しゆじん
)
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
は
道路
(
だうろ
)
の
険悪
(
けんあく
)
なるを
気
(
き
)
づかひ
自
(
みづか
)
ら
運転手
(
うんてんしゆ
)
となり
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
部下
(
ぶか
)
と
共
(
とも
)
に
随
(
したが
)
ふ
事
(
こと
)
となつた。
100
道路
(
だうろ
)
は
極
(
きは
)
めて
険悪
(
けんあく
)
にして
運転
(
うんてん
)
意
(
い
)
の
如
(
ごと
)
くならず、
101
時々
(
ときどき
)
機関
(
きくわん
)
に
損障
(
そんしやう
)
を
来
(
きた
)
し、
102
一
(
いち
)
時間
(
じかん
)
許
(
ばか
)
り
走
(
はし
)
ると
又
(
また
)
一
(
いち
)
時間
(
じかん
)
許
(
ばか
)
り
停車
(
ていしや
)
して
車
(
くるま
)
の
修繕
(
しうぜん
)
を
為
(
な
)
し、
103
昼夜
(
ちうや
)
の
区別
(
くべつ
)
なく
川
(
かは
)
の
中
(
なか
)
や
畑
(
はた
)
の
中
(
なか
)
、
104
小山
(
こやま
)
などを
無理
(
むり
)
やりに
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
となつた。
105
寒気
(
かんき
)
凛烈
(
りんれつ
)
にして、
106
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
殆
(
ほと
)
んど
知覚
(
ちかく
)
を
失
(
うしな
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
107
奉天
(
ほうてん
)
から
鄭家屯
(
ていかとん
)
迄
(
まで
)
の
間
(
あひだ
)
は
馬賊
(
ばぞく
)
の
横行
(
わうかう
)
が
特
(
とく
)
に
甚
(
はなは
)
だしいので、
108
自動車
(
じどうしや
)
の
停車中
(
ていしやちう
)
はヘツドライトを
消
(
け
)
し、
109
懐中
(
くわいちゆう
)
電燈
(
でんとう
)
を
持
(
も
)
つて
修繕
(
しうぜん
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
する
事
(
こと
)
とした。
110
水
(
みづ
)
が
切
(
き
)
れると
其処
(
そこら
)
辺
(
へん
)
の
氷
(
こほり
)
を
割
(
わ
)
つて
機関
(
きくわん
)
に
詰
(
つ
)
め
込
(
こ
)
むなど、
111
いろいろの
難苦
(
なんく
)
をおかし、
112
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
を
力
(
ちから
)
に
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
113
幸
(
さいはひ
)
に
官兵
(
くわんぺい
)
や
巡警
(
じゆんけい
)
、
114
馬賊
(
ばぞく
)
の
網
(
あみ
)
を
突破
(
とつぱ
)
して、
115
鉄嶺
(
てつれい
)
の
前方
(
ぜんぱう
)
竜首山
(
りうしゆざん
)
の
麓
(
ふもと
)
なる
遼河畔
(
りやうがはん
)
に
進
(
すす
)
んだ。
116
河辺
(
かはべ
)
の
急坂
(
きふはん
)
を
下
(
くだ
)
つて
自動車
(
じどうしや
)
は
将
(
まさ
)
に
遼河
(
りやうが
)
を
横
(
よこ
)
ぎらうとした
時
(
とき
)
、
117
運転手
(
うんてんしゆ
)
は『アツ』と
驚
(
おどろ
)
きの
声
(
こゑ
)
を
発
(
はつ
)
した。
118
其
(
その
)
刹那
(
せつな
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
にも
自動車
(
じどうしや
)
は
止
(
とま
)
つた。
119
よくよく
見
(
み
)
れば
120
一二
(
いちに
)
尺
(
しやく
)
前方
(
ぜんぱう
)
には、
121
さしもに
厚
(
あつ
)
い
氷
(
こほり
)
が
解
(
と
)
けて
蒼味
(
あをみ
)
だつた
水
(
みづ
)
が
漂
(
ただよ
)
うて
居
(
ゐ
)
る、
122
実
(
じつ
)
に
危険
(
きけん
)
な
場合
(
ばあひ
)
であつた。
123
此
(
こ
)
の
自動車
(
じどうしや
)
には
通訳
(
つうやく
)
の
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
と
守高
(
もりたか
)
が
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、
124
何
(
いづ
)
れも
神明
(
しんめい
)
の
御
(
ご
)
加護
(
かご
)
として
神恩
(
しんおん
)
を
謝
(
しや
)
した。
125
此
(
この
)
地点
(
ちてん
)
は
西北
(
せいほく
)
に
竜首山
(
りうしゆざん
)
が
高
(
たか
)
く
聳
(
そび
)
え、
126
且
(
か
)
つ
河
(
かは
)
の
堤
(
つつみ
)
が
非常
(
ひじやう
)
に
高
(
たか
)
かつた
為
(
た
)
め、
127
西北
(
せいほく
)
の
寒風
(
かんぷう
)
を
遮
(
さへぎ
)
り、
128
氷結
(
ひようけつ
)
して
居
(
ゐ
)
なかつたためである。
129
是非
(
ぜひ
)
なく
二三
(
にさん
)
支里
(
しり
)
後
(
あと
)
へ
戻
(
もど
)
つて
人家
(
じんか
)
を
叩
(
たた
)
き
起
(
おこ
)
し、
130
案内者
(
あんないしや
)
を
雇
(
やと
)
うて、
131
小山
(
こやま
)
の
上
(
うへ
)
や
畑
(
はた
)
の
中
(
なか
)
を
危
(
あやふ
)
くも
馳駆
(
ちく
)
して
大道
(
だいだう
)
に
出
(
で
)
た。
132
満州
(
まんしう
)
広野
(
くわうや
)
を
走
(
はし
)
る
列車
(
れつしや
)
は、
133
遥
(
はるか
)
の
遠方
(
ゑんぱう
)
に
細長
(
ほそなが
)
く
薄
(
うす
)
い
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
つて
走
(
はし
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
134
翌
(
よく
)
四日
(
よつか
)
午前
(
ごぜん
)
七
(
しち
)
時
(
じ
)
開原
(
かいげん
)
の
城内
(
じやうない
)
に
着
(
つ
)
いた。
135
飲食店
(
いんしよくてん
)
に
入
(
はひ
)
つて
油
(
あぶら
)
濃
(
こ
)
い
支那食
(
しなしよく
)
を
喫
(
きつ
)
し、
136
此処
(
ここ
)
で
一
(
いち
)
時間
(
じかん
)
許
(
ばか
)
りも
車体
(
しやたい
)
の
修繕
(
しうぜん
)
をした。
137
此
(
この
)
地方
(
ちはう
)
では
自動車
(
じどうしや
)
の
通行
(
つうかう
)
した
事
(
こと
)
が
無
(
な
)
いので、
138
妙
(
めう
)
な
車
(
くるま
)
が
来
(
き
)
たと
云
(
い
)
ふので
次
(
つぎ
)
から
次
(
つぎ
)
へ
言
(
い
)
ひ
伝
(
つた
)
へ、
139
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
真黒
(
まつくろ
)
に
蝟集
(
ゐしふ
)
してワイワイと
騒
(
さわ
)
ぎ
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る。
140
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
牛
(
うし
)
や
驢馬
(
ろば
)
などが
四頭
(
しとう
)
曳
(
ひ
)
き、
141
五頭
(
ごとう
)
曳
(
ひ
)
きで
大車
(
おほぐるま
)
を
引
(
ひ
)
いて
通
(
とほ
)
る。
142
其
(
その
)
混雑
(
こんざつ
)
は
到底
(
たうてい
)
筆紙
(
ひつし
)
に
尽
(
つく
)
し
難
(
がた
)
い。
143
漸
(
やうや
)
く
修繕
(
しうぜん
)
が
済
(
す
)
んだので、
144
二台
(
にだい
)
の
自動車
(
じどうしや
)
は、
145
ブウブウと
警笛
(
けいてき
)
を
鳴
(
な
)
らし、
146
群集
(
ぐんしふ
)
を
押
(
お
)
しわけ、
147
大速力
(
だいそくりよく
)
でかけ
出
(
だ
)
し、
148
午後
(
ごご
)
一
(
いち
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
には
昌図府
(
しやうとふ
)
の
手前
(
てまへ
)
迄
(
まで
)
安着
(
あんちやく
)
した。
149
一台
(
いちだい
)
の
自動車
(
じどうしや
)
は
大破損
(
だいはそん
)
を
来
(
き
)
たし
運転
(
うんてん
)
不能
(
ふのう
)
となつて
仕舞
(
しま
)
つたので、
150
是非
(
ぜひ
)
なく
昌図府
(
しやうとふ
)
の
木賃
(
きちん
)
ホテル
三号店
(
さんがうてん
)
に
宿泊
(
しゆくはく
)
し、
151
奉天
(
ほうてん
)
へ
人
(
ひと
)
を
派
(
は
)
して
機械
(
きかい
)
を
取
(
と
)
り
寄
(
よ
)
せる
事
(
こと
)
にした。
152
二百
(
にひやく
)
四十
(
よんじふ
)
支里
(
しり
)
の
高原
(
かうげん
)
を
未
(
いま
)
だ
何人
(
なんびと
)
も
試
(
こころ
)
みし
事
(
こと
)
なき
冒険
(
ばうけん
)
的
(
てき
)
旅行
(
りよかう
)
をやつたのは、
153
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
の
壮挙
(
さうきよ
)
だ。
154
源
(
みなもと
)
の
義経
(
よしつね
)
の
都落
(
みやこおち
)
にも
比
(
ひ
)
して
偉大
(
ゐだい
)
なる
放
(
はな
)
れ
業
(
わざ
)
だと、
155
岡崎
(
をかざき
)
の
気焔
(
きえん
)
当
(
あた
)
るべからざるものがあつた。
156
(
大正一四、八
、筆録)
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