霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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蒙古(もうこ)建国(けんこく)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:附 入蒙余録 よみ(新仮名遣い):
章:蒙古建国 よみ(新仮名遣い):もうこけんこく 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月15日(旧06月26日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1935(昭和10)年4月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
トール河畔の森林深くに馬を駆って遊んでいた聖師、松村、萩原、白凌閣、温長興らは、新緑の萌える川辺に大きな館が並んでいるところにやってきた。
白凌閣を通訳として訪ねてみれば、これはこの辺りに勢力を張る女馬賊・蘿龍(ラリウ)の館であった。
日本から来た聖者の一行であると伝えると、蘿龍は聖師を導き、日本語で身の上を語りだした。
蘿龍の父は日本人であり、日清戦争のときに台湾からやってきた人で、蘿清吉(ラシンキツ)と名乗っていた。母は蒙古の人であった。父は三千騎を率いて蒙古独立軍に参加したが、張作霖の姦計に欺かれて殺された、という。
一行は歓迎されて館に宿泊した。蘿龍は聖師と行動を共にすることを誓い、別働隊となって働いた。
しかし、聖師一行がパインタラで敗れたことを知ると、蘿龍の別働隊は洮南県を襲って敵を討とうとしたが、ついに捕らえられて処刑された。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考:2024/2/22出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-02-22 18:44:06 文字数:2943 OBC :rmnm7003
愛善世界社版:368頁 八幡書店版:第14輯 687頁 修補版: 校定版:370頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 ものいはぬ畜生(ちくしやう)ながら愛(あい)されし人(ひと)のなやみを案(あん)じ居(を)るらし
002 金竜(きんりう)は行儀(ぎやうぎ)よき馬(うま)銀竜(ぎんりう)は道(みち)かけりつつ屁(へ)をひり放(はな)つ
003 写真機(しやしんき)を携(たづさ)へ奉天城(ほうてんじやう)たちて萩原(はぎはら)敏明(としあき)進(すす)み来(きた)れり
004 素人(しろうと)の萩原(はぎはら)敏明(としあき)わがために後(のち)の記念(きねん)と写真(しやしん)にいそしむ
005 白凌閣(パイリンク)[*底本(全集)では「白」ではなく「伯」になっているが、以降では全て「白」なので、ここも「白」に直した。]松村(まつむら)伴(ともな)ひ洮児(トール)河畔(かはん)の森林(しんりん)深(ふか)く入(い)りて遊(あそ)べり
006 折(をり)もあれ人喰(ひとくひ)人種(じんしゆ)の一隊(いつたい)はわが目路(めぢ)近(ちか)く騎乗(きじやう)すすみ来(く)
007 三(さん)人(にん)は柳(やなぎ)の古木(こぼく)の朽穴(くちあな)に身(み)をかくしつつ難(なん)を逃(のが)れし
008 三(さん)人(にん)はてんでにモーゼルかざしつつよらばうたむと身(み)がまへて居(を)り
009 食人種(しよくじんしゆ)われらのあるを知(し)らざるか五十(ごじつ)騎(き)ばかり通(とほ)り過(す)ぎゆく
010 朽穴(くちあな)ゆわれと松村(まつむら)顔出(かほだ)して萩原(はぎはら)技手(ぎし)のカメラに入(い)りたり
011 ゆけどゆけど際限(さいげん)もなきさ緑(みどり)[※「さ緑」とは「若草や若葉の緑色」のこと〔広辞苑〕。]の山(やま)に匂(にほ)へるあんずの紅花(べにばな)
012 あかあかと匂(にほ)ふあんずの花(はな)見(み)つつ知(し)らず知(し)らずに山(やま)深(ふか)く入(い)る
013 白凌閣(パイリンク)温長興(ワンチヤンシン)を従(したが)へてひづめの音(おと)も勇(いさ)ましき夏(なつ)
014 新緑(しんりよく)のもゆる川辺(かはべ)に大(おほ)いなる館(やかた)七(なな)八(や)つ並(なら)びてありけり
015 騎上(きじやう)ながら川(かは)を横(よこ)ぎり何人(なにびと)の館(やかた)か知(し)らず門(もん)たたき見(み)し
016 白凌閣(パイリンク)を通訳(つうやく)としておとなへば女(をんな)馬賊(ばぞく)の頭目(とうもく)の館(やかた)
017 このあたり保安(ほあん)の権(けん)を握(にぎ)りたる女(をんな)馬賊(ばぞく)の蘿龍(ラリウ)が家(いへ)なり
018 日(につ)支(し)蒙(もう)の三人(さんにん)連(づ)れの遠(とほ)の旅(たび)茶(ちや)を与(あた)へよとかけ合(あ)ひにけり
019 獰猛(だうもう)な面(おも)ざししたる馬賊(ばぞく)連(れん)銃剣(じうけん)携(たづさ)へわれをとりまく
020 大銀貨(たいあん)を百(ひやく)枚(まい)出(だ)して与(あた)ふればにはかに変(かは)る馬賊(ばぞく)のたいど
021 この人(ひと)は日出(ひい)づる国(くに)の聖者(せいじや)よと蒙古語(もうこご)もちて白凌閣(パイリンク)のれり
022 日本(につぽん)より聖者(せいじや)の来(きた)るこの年(とし)をまちしと馬賊(ばぞく)合掌(がつしやう)を為(な)す
023 三千(さんぜん)の馬賊(ばぞく)率(ひき)ゆる頭目(とうもく)はわが前(まへ)にたちピストルを向(む)くる
024 其(そ)の方(はう)は日本人(につぽんじん)に非(あら)ずやと容易(ようい)に日本語(にほんご)使(つか)ふ頭目(とうもく)
025 われこそは日本(にほん)の出口(でぐち)と答(こた)ふれば面(おも)くもらせてうつむく頭目(とうもく)
026 ともかくもわが居間(ゐま)に来(きた)れと頭目(とうもく)はわれを導(みちび)き一間(ひとま)に入(い)れり
027 うらわかき女(をんな)馬賊(ばぞく)の頭目(とうもく)に導(みちび)かれつつ奥(おく)の間(ま)に入(い)る
028 白凌閣(パイリンク)温長興(ワンチヤンシン)を待(ま)たせおきて頭目(とうもく)とわれ語(かた)らひにけり
029 日(ひ)の本(もと)に声名(せいめい)高(たか)き君(きみ)にして蒙古(もうこ)に来(き)ますは何故(なにゆゑ)と問(と)ふ
030 日(ひ)の本(もと)の国(くに)の司(つかさ)にいれられず蒙古(もうこ)に国(くに)を建(た)てむと来(き)たれり
031 なつかしも日本人(につぽんじん)と聞(き)く上(うへ)はわが素性(すじやう)をば明(あか)さむといふ
032 わが父(ちち)は王(わう)文泰(ぶんたい)と名乗(なの)りつつ北清(ほくしん)事変(じへん)に働(はたら)きし人(ひと)
033 われも亦(また)王(わう)文泰(ぶんたい)と仮名(かめい)すと名刺(めいし)を出(だ)して彼(かれ)に示(しめ)せり
034 不思議(ふしぎ)なる事(こと)よと女(をんな)頭目(とうもく)はつくづく名刺(めいし)に目(め)を注(そそ)ぎ居(を)り
035 わが父(ちち)は日本(にほん)の生(うま)れ事情(じじやう)ありて日(ひ)かげの身(み)よとうち伏(ふ)して泣(な)く
036 わが父(ちち)は日清(につしん)戦争(せんそう)のありし時(とき)台湾島(たいわんたう)より逃(のが)れ来(き)し人(ひと)
037 わが父(ちち)は蘿(ひかりかづら)の身(み)にしあれば蘿(ラ)清吉(シンキツ)とぞ名乗(なの)りゐたりき
038 わが胸(むね)にあたるは日清(につしん)戦争(せんそう)と清吉(せいきち)といふ名(な)にぞありける
039 若(も)しや若(も)しわれの尋(たづ)ぬる人(ひと)にもやと思(おも)へば胸(むね)はかき乱(みだ)れつつ
040 わが父(ちち)は朝(あさ)な夕(ゆふ)なを日(ひ)の本(もと)の空(そら)に向(むか)ひて合掌(がつしやう)したりき
041 われも亦(また)日本(にほん)の空(そら)のなつかしく朝陽(あさひ)に向(むか)ひ手(て)を合(あは)すなり
042 わが母(はは)は蒙古(もうこ)の生(うま)れ蘿(ラ)水玉(スイギヨク)よ七年(しちねん)以前(いぜん)にこの世(よ)を去(さ)れり
043 巴布札布(パプチヤツプ)の独立軍(どくりつぐん)に三千(さんぜん)騎(き)父(ちち)は率(ひき)ひて加勢(かせい)なしたり
044 わが父(ちち)は張(ちやう)作霖(さくりん)の奸計(かんけい)にあざむかれつつ殺(ころ)されにけり
045 わが父(ちち)の殺(ころ)されし時(とき)は苗草(なへぐさ)の未(ま)だ十六(じふろく)の春(はる)なりにけり
046 三千(さんぜん)騎(き)の部下(ぶか)を率(ひき)ゐてわが父(ちち)のあとおそひつつ頭目(とうもく)となりぬ
047 何処(どこ)となく初(はじ)めて見(み)たる心地(ここち)せず語(かた)らふうちに親(した)しくなりぬ
048 われこそは未(ま)だ二十一(にじふいち)の女盛(をんなざか)り父(ちち)の仇(かたき)を打(う)たむとてなく
049 滅(ほろ)び行(ゆ)く蒙古(もうこ)を興(おこ)し国(くに)建(た)つる雄々(をを)しき君(きみ)に従(したが)はむと願(ねが)ふ
050 蒙古(もうこ)には生(うま)れたれども父(ちち)の血(ち)の流(なが)るる大和(やまと)撫子(なでしこ)といふ
051 いろいろと心尽(こころづく)しの御(ご)馳走(ちそう)にわれほだされて一夜(いちや)を泊(とま)れり
052 白凌閣(パイリンク)温長興(ワンチヤンシン)も諸共(もろとも)にわが隣室(りんしつ)を守(まも)りつつねむる
053 軍犬(ぐんけん)の声(こゑ)裏山(うらやま)にこだましていと騒(さわ)がしき夜半(よは)を起(お)き出(い)づ
054 何事(なにごと)とわれたづぬれば微笑(ほほゑ)みつ蘿龍(ラリウ)は部下(ぶか)の帰(かへ)りしと答(こた)ふ
055 月(つき)清(きよ)き庭(には)にたち出(い)で蘿龍(ラリウ)とわれ日出国(ナランオロス)の話(はな)しにふける
056 夏(なつ)の夜(よ)は忽(たちま)ちあけて向(むか)つ尾(を)のあんずの花(はな)に輝(かがや)く朝津陽(あさつひ)
057 あかあかと山(やま)一面(いちめん)に咲(さ)き匂(にほ)ふあんずの花(はな)の目(め)にさゆる朝(あさ)
058 庭先(にはさき)の限(かぎ)りも知(し)らぬ芝(しば)の生(ふ)に蘿龍(ラリウ)は観兵式(くわんぺいしき)を行(おこな)ふ
059 三千(さんぜん)騎(き)の駒(こま)のいななき高々(たかだか)と四囲(よも)の山々(やまやま)どよもしにけり
060 頭目(とうもく)の蘿龍(ラリウ)は馬上(ばじやう)高(たか)くたちて吾(わ)れに誓(ちか)ひし事(こと)を伝(つた)へり
061 わが帰(かへ)り送(おく)らむとしていや先(さき)に頭目(とうもく)はたち部下(ぶか)と送(おく)り来(く)る
062 一斉(いつせい)に馬賊(ばぞく)のうたをうたひつつ数百(すうひやく)の騎士(きし)はわれを送(おく)れり
063 わが前(まへ)に進(すす)む蘿龍(ラリウ)はふり返(かへ)り日本(にほん)は神(かみ)の国(くに)よと叫(さけ)べり
064 何(なん)となく雄々(をを)しき君(きみ)よなつかしと開(あ)けつ放(ぱな)しの蘿龍(ラリウ)の言(こと)の葉(は)
065 われも亦(また)蘿龍(ラリウ)のやさしき言(こと)の葉(は)に心(こころ)の綱(つな)はゆるみ初(そ)めたり
066 待(ま)てしばしわれは益良夫(ますらを)国(くに)建(た)つるまでは動(うご)かじこの雄心(をごころ)を
067 数百(すうひやく)騎(き)を従(したが)へ花(はな)の野辺(のべ)をゆく蒙古(もうこ)のわれは華(はな)やかなりけり
068 頭目(とうもく)の日本語(にほんご)覚(おぼ)へし馬賊(ばぞく)等(ら)は声(こゑ)も清(すが)しく歌(うた)ひ従(したが)ふ
069 国(くに)遠(とほ)み蒙古(もうこ)の空(そら)に日本語(にほんご)の歌(うた)聞(き)くわれは心(こころ)強(つよ)かり
070 みめかたち衆(しう)にすぐれてうるはしき蘿龍(ラリウ)の案内(あない)を愛(め)ぐしと思(おも)へり
071 わが父(ちち)に似(に)ませる君(きみ)とこの蘿龍(ラリウ)つくづく見(み)つつ涙(なみだ)ぐみ居(を)り
072 回天(くわいてん)の君(きみ)が事業(じげふ)に仕(つか)へむと胸(むね)を打(う)ちつつ雄猛(をたけ)ぶ蘿龍(ラリウ)
073 君(きみ)が辺(べ)をしばし離(はな)れて従軍(じうぐん)の用意(ようい)為(な)さむと駒(こま)にまたがる
074 駒(こま)の上(うへ)にまたがり後(あと)をふり返(かへ)り名残(なご)り惜(を)しげにわかれゆきけり
075 六(ろく)月(ぐわつ)の一日(いちじつ)軍事(ぐんじ)行動(かうどう)をいよいよわれは開始(かいし)なしたり
076 この蘿龍(ラリウ)三千(さんぜん)余(よ)騎(き)を従(したが)へて別働隊(べつどうたい)となりて働(はたら)く
077 パインタラにわれ破(やぶ)れしと聞(き)くよりも蘿龍(ラリウ)は洮南県(たうなんけん)を襲(おそ)へり
078 洮南県(たうなんけん)縦横(じうわう)無尽(むじん)に荒(あ)れ廻(まは)り遂(つひ)に白音太拉(パインタラ)に進(すす)めり
079 蘿龍軍(ラリウぐん)の馮河(ひようか)暴虎(ばうこ)の勢(いきほひ)も運命(うんめい)尽(つ)きて捕(とら)へられたり
080 二十二(にじふに)の春(はる)も迎(むか)へずこの蘿龍(ラリウ)甲子(かふし)の冬(ふゆ)を散(ち)り失(う)せにけり
081 蒙古(もうこ)馬賊(ばぞく)頭目(とうもく)部下(ぶか)を引(ひ)きつれて索倫山(ソーロンざん)に集(あつま)り来(きた)る
082 軍事(ぐんじ)一切(いつさい)盧(ろ)占魁(せんくわい)中将(ちうじやう)に任(まか)せおきてわれ奥蒙(おくもう)の山野(さんや)に遊(あそ)べり
083 枯草(かれくさ)の野(の)に火(ひ)を放(はな)てば山孔雀(やまくじやく)野兎(のうさぎ)驚(おどろ)き数多(あまた)飛(と)び出(だ)す
084 奥蒙古(おくもうこ)の春(はる)はたけたり山野(さんや)一面(いちめん)コルギホワラの花(はな)咲(さ)きみちて
085 コルギホワラ処(ところ)せきまで咲(さ)き匂(にほ)ふ蒙古(もうこ)の野辺(のべ)は楽(たの)しかりけり
086 金竜(きんりう)にわれはまたがり名田(なだ)大佐(たいさ)銀竜(ぎんりう)に乗(の)りて山野(さんや)に遊(あそ)ぶ
087 名田(なだ)大佐(たいさ)騎馬(きば)の達者(たつしや)をほこらひて蒙古(もうこ)の部落(ぶらく)にひとりかけ入(い)る
088 かけ入(い)りし名田氏(なだし)の姿(すがた)見(み)るよりも数十頭(すうじつとう)のシーゴーにかこまる
089 狼(おほかみ)と犬(いぬ)と番(つが)ひしあひのこのシーゴーこそは猛犬(まうけん)なりけり
090 シーゴーは馬(うま)の尻尾(しつぽ)にかみつきて名田氏(なだし)一人(ひとり)を取(と)りまき吠(ほ)ゆる
091 群犬(ぐんけん)の吠(ほ)えたつ声(こゑ)に驚(おどろ)きて白凌閣(パイリンク)したがへわれかけつけたり
092 シーゴーは鬼歯(おにば)むき出(だ)し大口(おほぐち)をあけて名田氏(なだし)をとりまきにけり
093 人(ひと)を喰(く)ふ猛犬(まうけん)シーゴーはわが姿(すがた)見(み)るより又(また)も飛(と)びつき来(きた)る
094 金竜(きんりう)に鞭(むち)うちわれは猛犬(まうけん)の中(なか)にかけ入(い)りふみにじらせり
095 つぎつぎに声(こゑ)をききつけシーゴーは波(なみ)の如(ごと)くに集(あつま)り来(きた)る
096 あやまちて名田氏(なだし)は馬上(ばじやう)より転落(てんらく)しあやふく犬(いぬ)にかまれむとせり
097 白凌閣(パイリンク)猛犬(まうけん)の上(うへ)に駒(こま)飛(と)ばせかけり狂(くる)へるさま勇(いさ)ましき
098 漸(やうや)くに名田氏(なだし)あやふく馬(うま)に乗(の)り一目散(いちもくさん)に逃(に)げ出(いだ)しけり
099 吾(わ)が駒(こま)は勇(いさ)みに勇(いさ)みわが指揮(しき)のまま猛犬(まうけん)をけ散(ち)らし戦(たたか)ふ
100 シーゴーもわが勢(いきほひ)におそれけむ次第(しだい)々々(しだい)に後(あと)しざりする
101 シーゴーの群(むれ)をのがれて白凌閣(パイリンク)と一目散(いちもくさん)に駒(こま)かけ帰(かへ)る
102 上(シヤン)木局子(モチズ)わが仮営(かりえい)に帰(かへ)り見(み)れば金竜(きんりう)の脚(あし)に犬(いぬ)のかみしあと
103 シーゴーにかみつかれたる脚(あし)のきず血潮(ちしほ)したたるさまのあはれさ
104 金竜(きんりう)を引(ひき)つれ洮児河(トールボー)の水(みづ)に血潮(ちしほ)洗(あら)ひて繃帯(はうたい)をなせり
105 金竜(きんりう)は清(きよ)き川水(かはみず)呑(の)みながら声(こゑ)勇(いさ)ましくいななき初(そ)めたり
106 金竜(きんりう)は勇(いさ)ましき馬(うま)はしき[※「はしき」=「愛(は)しき」]馬(うま)よわが身辺(しんぺん)に眼(まなこ)放(はな)たず
107 言問(ことと)ひはせねど雄々(をを)しき金竜(きんりう)はわが朝夕(あさゆふ)を仕(つか)へ怠(をこた)らず
108 ひそみゆくわが足音(あしおと)を聞(き)きつけていななき喜(よろこ)ぶさま愛(め)ぐしかり
109 名田(なだ)大佐(たいさ)馬上(ばじやう)ゆ落(お)ちたるその刹那(せつな)臀部(でんぶ)を打(う)ちて痛(いた)みに悩(なや)めり
110 銀竜(ぎんりう)は名田氏(なだし)のなやめるさまを見(み)て只(ただ)悲(かな)しげにうつむきて居(を)り
111 蒙古野(もうこの)に屍(かばね)さらすもいとはまじ天津(あまつ)乙女(をとめ)のしに行(ゆ)く思(おも)へば
112 男子(をのこ)われ蒙古(もうこ)の荒野(あらの)に果(は)てむこそ大和(やまと)魂(みたま)の誉(ほまれ)と思(おも)へり
113 朝夕(あさゆふ)をわれ日(ひ)の本(もと)に打(う)ち向(むか)ひ御国(みくに)の栄(さか)へ祈(いの)りつつゐし
114(昭和七、一〇、一五号[※10月15日発行の10月号]、昭和誌)
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