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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
第1章 水火訓
第2章 神示の経綸
第3章 金剛心
第4章 微燈の影
第5章 心の奥
第6章 出征の辞
第7章 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
第8章 聖雄と英雄
第9章 司令公館
第10章 奉天出発
第11章 安宅の関
第12章 焦頭爛額
第13章 洮南旅館
第14章 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
第15章 公爺府入
第16章 蒙古の人情
第17章 明暗交々
第18章 蒙古気質
第19章 仮司令部
第20章 春軍完備
第21章 索倫本営
第4篇 神軍躍動
第22章 木局収ケ原
第23章 下木局子
第24章 木局の月
第25章 風雨叱咤
第26章 天の安河
第27章 奉天の渦
第28章 行軍開始
第29章 端午の日
第30章 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
第31章 強行軍
第32章 弾丸雨飛
第33章 武装解除
第34章 竜口の難
第35章 黄泉帰
第36章 天の岩戸
第37章 大本天恩郷
第38章 世界宗教聯合会
第39章 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
神示の世界経綸
余白歌
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霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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特別編 入蒙記
> 第3篇 洮南より索倫へ > 第17章 明暗交々
<<< 蒙古の人情
(B)
(N)
蒙古気質 >>>
第一七章
明暗
(
めいあん
)
交々
(
こもごも
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第3篇 洮南より索倫へ
よみ(新仮名遣い):
とうなんよりそーろんへ
章:
第17章 明暗交々
よみ(新仮名遣い):
めいあんこもごも
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
老印君の隣家を解放して、日出雄一行の宿泊所とされた。遠近の蒙古人は、日の出の国の活き神が来たれりと言って集まり来たり、鎮魂を乞うた。
日出雄は公爺府の王より招待を受け、入蒙のいきさつについてたずねられた。王元祺が内外蒙古救援軍の趣旨を説明すると王は非常に喜び、一同を饗応した。日出雄は蒙古まで来て初めて、為政者より丁重な扱いを受けたことに感慨を覚えた。
岡崎は、日蒙両国民が相携えれば、支那人もロシア人もへこんでしまう、大庫倫の赤軍を追い払って新蒙古王国を作るのだ、などと大言壮語している。この話が公爺府の重役の知るところとなった。
岡崎の大言壮語を知り、たちまち老印君は態度を一変した。そして、『護照がなければ滞在かなわぬ、奉天へ一度お帰り願いたい』、と言ってきた。
盧の部下の温長興は、盧占魁から金をもらっておきながら、今さらこのようなことを言う老印君の態度に激怒したが、ともかく一度奉天に連絡をして窮状を伝え、荷物一切を送ってもらうこととした。
老印君は温長興に攻め立てられて、ついに自分の新宅に日出雄一行を移転させることになった。四月四日にようやく移転がかない、温長興に手紙を持たせて、現状を盧占魁に伝えさせることになった。
温長興が出発してから、その日の午後六時ごろ、やって真澄別一行が荷物や食料を満載して到着した。地獄で仏に会ったような心持に、日出雄も岡崎も非常に喜んだ。たくさんの荷物や食料が到着すると、老印君の日本人に対する態度はまたがらりとよくなった。
真澄別にしたがってやってきたのは、名田彦、猪野敏夫の両人であった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
2024/1/17出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-01-17 03:02:29
OBC :
rmnm17
愛善世界社版:
150頁
八幡書店版:
第14輯 602頁
修補版:
校定版:
150頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
日出雄
(
ひでを
)
が
公爺府
(
コンエフ
)
の
協理
(
けふり
)
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
の
包
(
はう
)
に
宿泊
(
しゆくはく
)
する
事
(
こと
)
三日
(
みつか
)
の
後
(
のち
)
002
隣家
(
りんか
)
の
丑他那寸止
(
ウタナスト
)
と
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
の
家
(
いへ
)
を
開放
(
かいはう
)
して
一行
(
いつかう
)
の
宿泊所
(
しゆくはくじよ
)
に
宛
(
あ
)
てられた。
003
遠近
(
ゑんきん
)
の
淳朴
(
じゆんぼく
)
なる
蒙古人
(
もうこじん
)
は『ナラヌオロスン、
004
イホエミトポロハナ、
005
イルヂエー イルヂエー イルヂエー』と
云
(
い
)
つて
慕
(
した
)
つて
来
(
く
)
る
者
(
もの
)
日々
(
ひび
)
に
其
(
その
)
数
(
すう
)
を
増加
(
ぞうか
)
するのみである。
006
右
(
みぎ
)
の
蒙古語
(
もうこご
)
を
訳
(
やく
)
すれば、
007
日出国
(
ひいづるくに
)
の
大活神
(
だいくわつしん
)
来
(
きた
)
れり
008
との
意味
(
いみ
)
である。
009
各人
(
かくじん
)
嬉
(
よろこ
)
んで
鎮魂
(
ちんこん
)
を
乞
(
こ
)
ひ、
010
此
(
この
)
国
(
くに
)
にて
最
(
もつと
)
も
多
(
おほ
)
い
眼病
(
がんびやう
)
、
011
皮膚病
(
ひふびやう
)
を
初
(
はじ
)
め
胃病
(
ゐびやう
)
、
012
梅毒
(
ばいどく
)
、
013
歯痛
(
しつう
)
、
014
脳病
(
のうびやう
)
の
治療
(
ちれう
)
を
受
(
う
)
け、
015
全快
(
ぜんくわい
)
して
神徳
(
しんとく
)
を
感謝
(
かんしや
)
し
大活神
(
だいくわつしん
)
と
崇敬
(
すうけい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
016
眼病
(
がんびやう
)
や
017
皮膚病
(
ひふびやう
)
、
018
梅毒
(
ばいどく
)
等
(
とう
)
は
共
(
とも
)
に
不潔
(
ふけつ
)
から
来
(
き
)
たのが
多
(
おほ
)
く、
019
又
(
また
)
花柳病
(
くわりうびやう
)
の
伝染
(
でんせん
)
するものと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
少
(
すこ
)
しも
悟
(
さと
)
らない。
020
単
(
たん
)
に
乗馬
(
じやうば
)
の
結果
(
けつくわ
)
と
心得
(
こころえ
)
、
021
病毒
(
びやうどく
)
の
伝染
(
でんせん
)
に
任
(
まか
)
せて
居
(
ゐ
)
るのである。
022
殊
(
こと
)
に
喇嘛僧
(
ラマそう
)
の
梅毒
(
ばいどく
)
に
罹
(
かか
)
つて
居
(
ゐ
)
るものは
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
多
(
おほ
)
い。
023
蒙古
(
もうこ
)
の
婦人
(
ふじん
)
は
沢山
(
たくさん
)
に
宝石
(
ほうせき
)
や
大
(
おほ
)
きな
真珠
(
しんじゆ
)
を
頭
(
あたま
)
に
飾
(
かざ
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
024
何
(
いづ
)
れも
遼河
(
りやうが
)
や
黒竜江
(
こくりうこう
)
中
(
ちう
)
に
蕃殖
(
はんしよく
)
した
直径
(
ちよくけい
)
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
余
(
あま
)
りもある
烏貝
(
からすがひ
)
の
中
(
なか
)
から
採取
(
さいしゆ
)
したものである。
025
蒙古人
(
もうこじん
)
は
貝類
(
かひるゐ
)
を
食料
(
しよくれう
)
とせないので、
026
幾
(
いく
)
百千
(
ひやくせん
)
年
(
ねん
)
を
経
(
へ
)
た
烏貝
(
からすがひ
)
が
棲息
(
せいそく
)
して
居
(
ゐ
)
るのである。
027
蒙古人
(
もうこじん
)
の
食料
(
しよくれう
)
は
支那
(
しな
)
内地
(
ないち
)
に
接近
(
せつきん
)
した
東
(
ひがし
)
蒙古
(
もうこ
)
方面
(
はうめん
)
では、
028
高粱
(
かうりやう
)
に
大豆
(
だいづ
)
、
029
粟
(
あは
)
、
030
豚
(
ぶた
)
など
支那人
(
しなじん
)
に
似
(
に
)
た
食物
(
しよくもつ
)
を
摂
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
031
奥地
(
おくち
)
の
純
(
じゆん
)
蒙古
(
もうこ
)
地帯
(
ちたい
)
公爺府
(
コンエフ
)
あたりでは
牛乳
(
ぎうにゆう
)
と
炒米
(
チヨウミイ
)
を
常食
(
じやうしよく
)
にして
居
(
ゐ
)
る。
032
之
(
これ
)
に
肉
(
にく
)
を
加
(
くは
)
へ
雑炊
(
ざふすゐ
)
にして
食
(
くら
)
ふ
事
(
こと
)
もあるが、
033
肉
(
にく
)
を
混
(
ま
)
ぜるは
最
(
もつと
)
も
上等
(
じやうとう
)
の
部
(
ぶ
)
である。
034
普通
(
ふつう
)
一般
(
いつぱん
)
の
家
(
いへ
)
では
肉
(
にく
)
なぞの
贅沢品
(
ぜいたくひん
)
は
滅多
(
めつた
)
に
食
(
く
)
はないのである。
035
米利堅粉
(
メリケンコ
)
でウドンを
拵
(
こしら
)
へ
羊
(
ひつじ
)
の
肉
(
にく
)
を
混
(
ま
)
ぜて
食
(
くら
)
ふのが
第一番
(
だいいちばん
)
の
馳走
(
ちさう
)
である。
036
牧畜
(
ぼくちく
)
が
祖先
(
そせん
)
以来
(
いらい
)
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
事業
(
じげふ
)
で、
037
随
(
したが
)
つて
牛
(
うし
)
や
羊
(
ひつじ
)
の
乳汁
(
ちち
)
が
豊富
(
ほうふ
)
であり、
038
日々
(
ひび
)
の
食料
(
しよくれう
)
に
供
(
きよう
)
して
居
(
ゐ
)
る
家
(
いへ
)
も
多
(
おほ
)
い。
039
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
日本人
(
につぽんじん
)
の
如
(
ごと
)
く
牛乳
(
ぎうにゆう
)
を
沸
(
わ
)
かしては
呑
(
の
)
まず、
040
冷
(
つめ
)
たい
儘
(
まま
)
で
呑
(
の
)
み、
041
又
(
また
)
色々
(
いろいろ
)
の
料理
(
れうり
)
に
作
(
つく
)
り
分
(
わ
)
けてゐる。
042
先
(
ま
)
づ
牛乳壺
(
ぎうにゆうつぼ
)
の
上部
(
じやうぶ
)
に
浮
(
う
)
いた
脂肪分
(
しぼうぶん
)
からバターを
採
(
と
)
り、
043
下部
(
かぶ
)
に
沈澱
(
ちんでん
)
したものは
之
(
これ
)
を
布
(
ぬの
)
の
袋
(
ふくろ
)
に
入
(
い
)
れて
汁
(
しる
)
を
壺
(
つぼ
)
に
落
(
おと
)
し、
044
袋
(
ふくろ
)
の
中
(
なか
)
に
溜
(
たま
)
つた
糟
(
かす
)
を
固
(
かた
)
めて
牛乳餅
(
ぎうにゆうもち
)
を
作
(
つく
)
る。
045
之
(
これ
)
を
奶豆腐
(
ないとうふ
)
と
称
(
とな
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
046
保存
(
ほぞん
)
に
便
(
べん
)
なる
所
(
ところ
)
から
或
(
ある
)
地方
(
ちはう
)
では
主食物
(
しゆしよくぶつ
)
となり、
047
菓子
(
くわし
)
の
代用品
(
だいようひん
)
ともなり、
048
時
(
とき
)
としては
貨幣
(
くわへい
)
の
代
(
かは
)
りとし
物々
(
ぶつぶつ
)
交換
(
かうくわん
)
の
単位
(
たんゐ
)
ともなり、
049
実
(
じつ
)
に
重宝
(
ちようほう
)
なものである。
050
又
(
また
)
バターと
奶豆腐
(
ないとうふ
)
とを
採
(
と
)
つた
残
(
のこ
)
りから
酸乳
(
さんにゆう
)
が
取
(
と
)
れ、
051
炒米
(
チヨウミイ
)
に
注
(
そそ
)
いで
食
(
くら
)
ふべき
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
調味料
(
てうみれう
)
となるのである。
052
右
(
みぎ
)
の
外
(
ほか
)
牛乳
(
ぎうにゆう
)
を
蒸発
(
じようはつ
)
せしめて
牛乳酒
(
ぎうにゆうしゆ
)
を
造
(
つく
)
る。
053
牛乳
(
ぎうにゆう
)
と
炒米
(
チヨウミイ
)
ばかりを
年中
(
ねんぢう
)
食
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
ながらも
蒙古人
(
もうこじん
)
は
体格
(
たいかく
)
が
頗
(
すこぶ
)
る
立派
(
りつぱ
)
である。
054
又
(
また
)
蒙古人
(
もうこじん
)
は
支那人
(
しなじん
)
の
如
(
ごと
)
く
一切
(
いつさい
)
野菜
(
やさい
)
を
食
(
く
)
はない、
055
家畜
(
かちく
)
が
多
(
おほ
)
いため
野菜
(
やさい
)
が
育
(
そだ
)
たないのが
一
(
ひと
)
つの
原因
(
げんいん
)
かとも
思
(
おも
)
はれる。
056
而
(
し
)
かも
壊血病
(
くわいけつびやう
)
に
罹
(
かか
)
らぬのは
草
(
くさ
)
を
常食
(
じやうしよく
)
とする
牛
(
うし
)
の
乳
(
ちち
)
を
主食
(
しゆしよく
)
としてゐる
結果
(
けつくわ
)
である。
057
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
牛
(
うし
)
は
蒙古人
(
もうこじん
)
に
取
(
と
)
つての
生命
(
せいめい
)
の
母
(
はは
)
であり
058
馬
(
うま
)
は
総
(
すべ
)
ての
交通
(
かうつう
)
機関
(
きくわん
)
である。
059
南船
(
なんせん
)
北馬
(
ほくば
)
といふ
言
(
げん
)
は
北大陸
(
きたたいりく
)
の
蒙古
(
もうこ
)
へ
来
(
き
)
て
初
(
はじ
)
めて
知
(
し
)
らるる
言葉
(
ことば
)
である。
060
一日
(
いちにち
)
蒙古人
(
もうこじん
)
の
丑他那寸止
(
ウタナスト
)
や
王得勝
(
ワントシン
)
など
云
(
い
)
ふ
公爺府
(
コンエフ
)
の
兵士
(
へいし
)
や、
061
副官
(
ふくくわん
)
の
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
と
倶
(
とも
)
に
公爺府
(
コンエフ
)
の
裏山
(
うらやま
)
へ
兎狩
(
うさぎがり
)
に
出掛
(
でか
)
けた。
062
兎狩
(
うさぎがり
)
の
道具
(
だうぐ
)
は
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
五寸
(
ごすん
)
許
(
ばか
)
りの
先
(
さき
)
の
曲
(
まが
)
つた
棒
(
ぼう
)
で、
063
その
尖端
(
せんたん
)
に
三寸
(
さんずん
)
許
(
ばか
)
りの
紐
(
ひも
)
を
結
(
むす
)
び
着
(
つ
)
け
紐
(
ひも
)
の
尖
(
さき
)
に
一塊
(
いつくわい
)
の
鉄
(
てつ
)
の
重
(
おも
)
りが
付
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
064
兎
(
うさぎ
)
の
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
すのを
待
(
ま
)
つて
此
(
こ
)
の
棒
(
ぼう
)
を
巧妙
(
かうめう
)
に
投
(
な
)
げ
付
(
つ
)
ける。
065
さうすると
棒
(
ぼう
)
の
尖
(
さき
)
にブラ
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
る
鉄片
(
てつぺん
)
が、
066
グルグル
舞
(
ま
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
兎
(
うさぎ
)
に
当
(
あた
)
ると
紐
(
ひも
)
が
捲
(
ま
)
き
付
(
つ
)
く
仕組
(
しくみ
)
である。
067
蒙古人
(
もうこじん
)
は
煙管
(
きせる
)
や
火打石
(
ひうちいし
)
と
共
(
とも
)
に
七
(
なな
)
ツ
道具
(
だうぐ
)
の
一
(
ひとつ
)
として
常
(
つね
)
に
此
(
この
)
棒
(
ぼう
)
を
携帯
(
けいたい
)
して
居
(
ゐ
)
るのである。
068
併
(
しか
)
し
蒙古犬
(
もうこいぬ
)
の
四五
(
しご
)
匹
(
ひき
)
を
以
(
もつ
)
て
兎
(
うさぎ
)
を
囲
(
かこ
)
む
時
(
とき
)
は
容易
(
ようい
)
に
捕
(
とら
)
へる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るのである。
069
日出雄
(
ひでを
)
は
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
、
070
岡崎
(
をかざき
)
鉄首
(
てつしゆ
)
と
倶
(
とも
)
に
国見山
(
くにみやま
)
に
登
(
のぼ
)
らむとした
時
(
とき
)
、
071
シーゴーと
称
(
しよう
)
する
蒙古
(
もうこ
)
特有
(
とくいう
)
の
猛犬
(
まうけん
)
に
包囲
(
はうゐ
)
され、
072
噛
(
か
)
み
付
(
つ
)
かれようとしたので
073
副官
(
ふくくわん
)
の
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
、
074
岡崎
(
をかざき
)
鉄首
(
てつしゆ
)
の
二人
(
ふたり
)
が、
075
洋杖
(
ステツキ
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げたり
石
(
いし
)
を
拾
(
ひろ
)
つて
打
(
う
)
ち
付
(
つ
)
けたりなど
防戦
(
ばうせん
)
に
努
(
つと
)
めた。
076
ワンワンと
吠
(
ほ
)
ゆる
猛犬
(
まうけん
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
き
付
(
つ
)
けて
瞬
(
またた
)
く
間
(
ま
)
に
遠近
(
ゐんきん
)
より
数十頭
(
すうじつとう
)
の
猛犬
(
まうけん
)
集
(
あつま
)
り
来
(
きた
)
り、
077
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
に
取巻
(
とりま
)
き
牙
(
きば
)
をむき
出
(
だ
)
して
飛
(
と
)
びかかつて
来
(
く
)
るその
恐
(
おそ
)
ろしき
勢
(
いきほひ
)
を
物
(
もの
)
ともせず、
078
二人
(
ふたり
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
闘
(
たたか
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
079
日出雄
(
ひでを
)
も
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になつて
祝詞
(
のりと
)
を
大声
(
おほごゑ
)
で
唱
(
とな
)
へると、
080
大
(
おほ
)
きな
日本人
(
につぽんじん
)
の
声音
(
せいおん
)
に
辟易
(
へきえき
)
してか、
081
さしもの
猛犬
(
まうけん
)
も
尾
(
を
)
を
下
(
さ
)
げて
四方
(
しはう
)
に
散乱
(
さんらん
)
して
了
(
しま
)
つた。
082
是
(
これ
)
より
当地
(
たうち
)
の
犬
(
いぬ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
見
(
み
)
ると
尾
(
を
)
を
下
(
さ
)
げて
小
(
ちひ
)
さくなつて
逃
(
に
)
げる
様
(
やう
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
083
守高
(
もりたか
)
は
公府
(
こうふ
)
の
役人
(
やくにん
)
の
家
(
いへ
)
へ
病気
(
びやうき
)
鎮魂
(
ちんこん
)
の
為
(
ため
)
、
084
稍
(
やや
)
遠方
(
ゑんぱう
)
の
家
(
いへ
)
へ
出掛
(
でか
)
けた、
085
其処
(
そこ
)
へ
鎮国公
(
ちんこくこう
)
より
重役
(
ぢうやく
)
が
来
(
き
)
て、
086
失礼
(
しつれい
)
ながら
日出国
(
ひいづるくに
)
の
大活仏
(
だいくわつぶつ
)
様
(
さま
)
に
来館
(
らいくわん
)
を
願
(
ねが
)
ひ
度
(
た
)
いと
申込
(
まをしこ
)
んで
来
(
き
)
た。
087
日出雄
(
ひでを
)
は
通訳
(
つうやく
)
と
共
(
とも
)
に
早速
(
さつそく
)
公爺府
(
コンエフ
)
内
(
ない
)
に
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つた。
088
鎮国公
(
ちんこくこう
)
は
大
(
おほい
)
に
喜
(
よろこ
)
んで
通訳
(
つうやく
)
を
介
(
かい
)
して
種々
(
しゆじゆ
)
の
談話
(
だんわ
)
を
試
(
こころ
)
み、
089
且
(
か
)
つ
今回
(
こんくわい
)
の
入蒙
(
にふもう
)
に
就
(
つい
)
ての
経緯
(
いきさつ
)
を
尋
(
たづ
)
ねるのであつた。
090
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
は
内外
(
ないぐわい
)
蒙古
(
もうこ
)
救援
(
きうゑん
)
の
義軍
(
ぎぐん
)
を
起
(
おこ
)
す
事
(
こと
)
を
諄々
(
じゆんじゆん
)
として
説
(
と
)
いた。
091
王
(
わう
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
喜
(
よろこ
)
び
其
(
その
)
好意
(
かうい
)
を
深
(
ふか
)
く
感謝
(
かんしや
)
した。
092
そして
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
の
馳走
(
ちそう
)
をして
日出雄
(
ひでを
)
を
待遇
(
たいぐう
)
したのである。
093
東西
(
とうざい
)
二百
(
にひやく
)
里
(
り
)
、
094
南北
(
なんぽく
)
八百
(
はつぴやく
)
里
(
り
)
の
地積
(
ちせき
)
を
主管
(
しゆくわん
)
する
公府
(
こうふ
)
の
王
(
わう
)
様
(
さま
)
が
態々
(
わざわざ
)
日出雄
(
ひでを
)
の
住居
(
すまゐ
)
を
訪
(
と
)
ひ、
095
今
(
いま
)
又
(
また
)
再
(
ふたた
)
び
慇懃
(
いんぎん
)
に
日本国
(
につぽんこく
)
の
大
(
だい
)
宗教家
(
しうけうか
)
として
且
(
かつ
)
貴人
(
きじん
)
として
迎
(
むか
)
へられた
事
(
こと
)
は、
096
日出雄
(
ひでを
)
に
取
(
と
)
つて
異様
(
いやう
)
の
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれた。
097
内地
(
ないち
)
であつたならば
地方
(
ちはう
)
の
官吏
(
くわんり
)
さへ、
098
なかなか
威張
(
いば
)
り
散
(
ち
)
らして
日出雄
(
ひでを
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にして
居
(
ゐ
)
る
傾向
(
けいかう
)
があるのに
比
(
くら
)
べて、
099
感慨
(
かんがい
)
無量
(
むりやう
)
であつた。
100
蒙古
(
もうこ
)
は
未開国
(
みかいこく
)
とは
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
101
上下
(
じやうげ
)
の
民
(
たみ
)
が
能
(
よ
)
く
親和
(
しんわ
)
し、
102
恰
(
あだか
)
も
神代
(
かみよ
)
の
俤
(
おもかげ
)
を
偲
(
しの
)
ばせる、
103
その
容貌
(
ようばう
)
も
日本人
(
につぽんじん
)
に
酷似
(
こくじ
)
し
日本人
(
につぽんじん
)
を
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
む
風
(
ふう
)
がある。
104
日本人
(
につぽんじん
)
は
蒙古人
(
もうこじん
)
と
其
(
その
)
祖先
(
そせん
)
を
一
(
いつ
)
にし、
105
源
(
みなもと
)
義経
(
よしつね
)
の
子孫
(
しそん
)
が
皆
(
みな
)
蒙古
(
もうこ
)
一百六
(
いつぴやくろく
)
人
(
にん
)
の
王
(
わう
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだと
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
信
(
しん
)
じ
切
(
き
)
つてゐるのである。
106
○
107
岡崎
(
をかざき
)
は
蒙古人
(
もうこじん
)
に
対
(
たい
)
し、
108
支那語
(
しなご
)
を
以
(
もつ
)
て、
109
愈
(
いよいよ
)
蒙古
(
もうこ
)
を
亡国
(
ばうこく
)
的
(
てき
)
運命
(
うんめい
)
より
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
し、
110
大庫倫
(
アルホラ
)
に
駐屯
(
ちうとん
)
せる
赤軍
(
せきぐん
)
を
兎
(
うさぎ
)
を
逐
(
お
)
ふやうに
追
(
お
)
ひまくり、
111
大庫倫
(
アルホラ
)
に
於
(
おい
)
て
新蒙古
(
しんもうこ
)
王国
(
わうこく
)
を
建設
(
けんせつ
)
し、
112
支那
(
しな
)
、
113
満州
(
まんしう
)
、
114
西比利亜
(
シベリア
)
を
席捲
(
せきけん
)
して、
115
日本
(
につぽん
)
及
(
および
)
蒙古
(
もうこ
)
男子
(
だんし
)
の
真価
(
しんか
)
を
天下
(
てんか
)
に
発表
(
はつぺう
)
する
積
(
つも
)
りだ。
116
なアに、
117
大鼻子
(
タアビイヅ
)
だつて、
118
支那人
(
しなじん
)
だつて、
119
日蒙
(
にちもう
)
両国民
(
りやうこくみん
)
が
一致
(
いつち
)
すれば
直
(
す
)
ぐに
凹
(
くぼ
)
んで
了
(
しま
)
ひますよ、
120
アハヽヽヽ……。
121
などと
万丈
(
ばんぢやう
)
の
気焔
(
きえん
)
を
吐
(
は
)
いて
独
(
ひと
)
り
悦
(
えつ
)
に
入
(
い
)
つてゐる。
122
此
(
この
)
話
(
はなし
)
を
公爺府
(
コンエフ
)
の
重役
(
ぢうやく
)
が
心配
(
しんぱい
)
相
(
さう
)
な
面
(
かほ
)
して
側
(
そば
)
に
聞
(
き
)
いてゐたが、
123
すぐに
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
を
招
(
まね
)
いて、
124
鎮国公
(
ちんこくこう
)
の
館
(
やかた
)
にあわただしく
駆
(
か
)
けつけて
行
(
い
)
つた。
125
二三
(
にさん
)
時間
(
じかん
)
許
(
ばか
)
りして、
126
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
は
六ケ
(
むつか
)
しい
面
(
かほ
)
をして
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
127
そして
岡崎
(
をかざき
)
に
向
(
むか
)
ひ、
128
老印君
『
日本
(
につぽん
)
の
方々
(
かたがた
)
は
東三省
(
とうさんしやう
)
の
護照
(
ごせう
)
を
有
(
も
)
つてゐますか、
129
護照
(
ごせう
)
の
無
(
な
)
い
方
(
かた
)
は
一日
(
いちにち
)
も
此処
(
ここ
)
に
居
(
を
)
つて
貰
(
もら
)
ふことは
出来
(
でき
)
ませぬ。
130
殊
(
こと
)
に
蒙古
(
もうこ
)
の
独立
(
どくりつ
)
などを
企
(
くはだ
)
てる
人
(
ひと
)
を
世話
(
せわ
)
することは
出来
(
でき
)
ぬ、
131
王
(
わう
)
様
(
さま
)
初
(
はじ
)
め
此
(
この
)
白髪首
(
しらがくび
)
迄
(
まで
)
飛
(
と
)
んで
了
(
しま
)
ひますから……。
132
蒙古
(
もうこ
)
へお
出
(
い
)
でになるのなら
一度
(
いちど
)
奉天
(
ほうてん
)
迄
(
まで
)
帰
(
かへ
)
つて
護照
(
ごせう
)
を
貰
(
もら
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい』
133
と
態度
(
たいど
)
をガラリと
変
(
か
)
へて
了
(
しま
)
つた。
134
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
は
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
くや
大
(
おほい
)
に
怒
(
いか
)
り、
135
温長興
『
怪
(
け
)
しからぬ
事
(
こと
)
をいふ
爺
(
ぢぢい
)
だ。
136
盧
(
ろ
)
司令
(
しれい
)
から
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
を
世話
(
せわ
)
する
為
(
ため
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
金
(
かね
)
を
頂
(
いただ
)
いて
来
(
き
)
乍
(
なが
)
ら、
137
今
(
いま
)
となつて
斯様
(
かやう
)
なことを
老爺
(
おやぢ
)
の
口
(
くち
)
から
聞
(
き
)
くとは
不都合
(
ふつがふ
)
千万
(
せんばん
)
だ。
138
その
上
(
うへ
)
吾々
(
われわれ
)
をこんな
陋屋
(
ろうをく
)
につツ
込
(
こ
)
み
139
南京虫
(
なんきんむし
)
責
(
ぜ
)
めにあはしよるとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だ。
140
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
一応
(
いちおう
)
奉天
(
ほうてん
)
まで
帰
(
かへ
)
つて、
141
司令
(
しれい
)
と
談判
(
だんぱん
)
して
来
(
く
)
る』
142
と
息巻
(
いきま
)
いてゐる。
143
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
の
態度
(
たいど
)
が
一変
(
いつぺん
)
したのは
岡崎
(
をかざき
)
の
大言
(
だいげん
)
壮語
(
さうご
)
が
祟
(
たた
)
つたのである。
144
鎮国公
(
ちんこくこう
)
はじめ
重役
(
ぢうやく
)
連
(
れん
)
は
支那
(
しな
)
政府
(
せいふ
)
や
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
を
怖
(
おそ
)
れたからであつた。
145
岡崎
(
をかざき
)
はまたソロソロ
不平
(
ふへい
)
を
洩
(
も
)
らし
出
(
だ
)
した。
146
岡崎鉄首
『
一体
(
いつたい
)
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
といふ
餓鬼
(
がき
)
や、
147
俺
(
おれ
)
をこんな
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
へ
突込
(
つつこ
)
みよつて、
148
佐々木
(
ささき
)
や
大倉
(
おほくら
)
と
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せ、
149
先生
(
せんせい
)
はじめ
吾々
(
われわれ
)
日本人
(
につぽんじん
)
をペテンに
掛
(
か
)
けよつたのだらう、
150
ようしツ、
151
俺
(
おれ
)
にも
考
(
かんがへ
)
がある。
152
之
(
これ
)
から
奉天
(
ほうてん
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
盧
(
ろ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
をすつぱ
抜
(
ぬ
)
いてきます。
153
又
(
また
)
佐々木
(
ささき
)
、
154
大倉
(
おほくら
)
の
奴
(
やつ
)
め、
155
洮南
(
たうなん
)
以西
(
いせい
)
は
馬賊
(
ばぞく
)
が
徘徊
(
はいくわい
)
するから、
156
一切
(
いつさい
)
の
荷物
(
にもつ
)
や
金銭
(
きんせん
)
などは
一銭
(
いつせん
)
も
携帯
(
けいたい
)
してはならぬ、
157
曼陀汗
(
マンダハン
)
や
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
に
金子
(
かね
)
が
渡
(
わた
)
してあるから、
158
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
不自由
(
ふじいう
)
のない
様
(
やう
)
にしてくれると
吐
(
ぬ
)
かしよつたが、
159
此
(
この
)
ザマは
何
(
なん
)
だ。
160
毛布
(
もうふ
)
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
あるでなし、
161
南京虫
(
なんきんむし
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
にアンペラ
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
布
(
し
)
いて
寝
(
ね
)
られるか、
162
そして
金子
(
かね
)
を
一文
(
いちもん
)
も
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
くな、
163
など
吐
(
ぬか
)
しよつたが、
164
先生
(
せんせい
)
がそれでもチツト
許
(
ばか
)
り
懐
(
ふところ
)
にソツと
入
(
い
)
れて
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつたお
蔭
(
かげ
)
で、
165
鶏卵
(
けいらん
)
も
買
(
か
)
ひ
又
(
また
)
旅費
(
りよひ
)
も
出来
(
でき
)
たのだ。
166
彼奴
(
きやつ
)
等
(
ら
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りにして
居
(
を
)
つたなら、
167
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
は
蒙古
(
もうこ
)
の
奥
(
おく
)
で
餓死
(
がし
)
するより
仕様
(
しやう
)
がないのだ』
168
とブウブウ
云
(
い
)
うて
怒
(
おこ
)
り
出
(
だ
)
す。
169
併
(
しか
)
し
岡崎
(
をかざき
)
の
怒
(
おこ
)
るのも
無理
(
むり
)
はない。
170
温突
(
をんどる
)
は
焚
(
た
)
いてあつても
毛布
(
もうふ
)
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
ないので、
171
外套
(
ぐわいたう
)
をかぶつて、
172
夜
(
よ
)
は
寝
(
ね
)
るといふみじめな
有様
(
ありさま
)
であつた。
173
日出雄
(
ひでを
)
が
洮南府
(
たうなんふ
)
で
二万
(
にまん
)
円
(
ゑん
)
の
旅費
(
りよひ
)
を
懐中
(
くわいちう
)
し、
174
日本人
(
につぽんじん
)
一行
(
いつかう
)
の
費用
(
ひよう
)
に
充
(
あ
)
てんとしたのを
佐々木
(
ささき
)
、
175
大倉
(
おほくら
)
、
176
唐国別
(
からくにわけ
)
から
色々
(
いろいろ
)
と
説
(
と
)
きつけられ、
177
遂
(
つひ
)
に
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
に
渡
(
わた
)
して
終
(
しま
)
つたのであつた。
178
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
を
馬
(
うま
)
で
走
(
はし
)
らせ、
179
洮南府
(
たうなんふ
)
の
真澄別
(
ますみわけ
)
一行
(
いつかう
)
に
面会
(
めんくわい
)
させ、
180
公爺府
(
コンエフ
)
に
於
(
お
)
ける
一行
(
いつかう
)
の
現状
(
げんじやう
)
を
報告
(
はうこく
)
せしめ、
181
一日
(
いちにち
)
も
早
(
はや
)
く
荷物
(
にもつ
)
一切
(
いつさい
)
を
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
はねば、
182
何
(
ど
)
うする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ないといふ
手紙
(
てがみ
)
を
持
(
も
)
たせて
出発
(
しゆつぱつ
)
せしむる
事
(
こと
)
に
定
(
き
)
めた。
183
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
は
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
蒙古人
(
もうこじん
)
の
家
(
いへ
)
に
行
(
い
)
つて
麻雀
(
マージヤン
)
と
云
(
い
)
ふ
賭博
(
とばく
)
に
耽
(
ふけ
)
り、
184
少
(
すこ
)
しも
通訳
(
つうやく
)
の
用
(
よう
)
をしない、
185
一言
(
ひとこと
)
いつても
直
(
す
)
ぐに
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て、
186
王元祺
『
私
(
わたし
)
はお
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひませぬから
帰
(
かへ
)
らして
貰
(
もら
)
ひます』
187
など、
188
足許
(
あしもと
)
を
見込
(
みこ
)
んで
駄々
(
だだ
)
をこねるので、
189
日出雄
(
ひでを
)
も
大
(
おほい
)
に
困
(
こま
)
り、
190
筆談
(
ひつだん
)
を
以
(
もつ
)
て
白凌閣
(
パイリンク
)
を
介
(
かい
)
し、
191
蒙古人
(
もうこじん
)
との
一切
(
いつさい
)
の
交渉
(
かうせふ
)
に
当
(
あた
)
らしめてゐた。
192
守高
(
もりたか
)
は
得意
(
とくい
)
の
柔術
(
じうじゆつ
)
を
蒙古人
(
もうこじん
)
に
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふ
)
く
戸外
(
こぐわい
)
で
教
(
をし
)
へてゐた。
193
一見
(
いつけん
)
しても
一癖
(
ひとくせ
)
あり
相
(
さう
)
な
武術面
(
ぶじゆつづら
)
をしてゐるので、
194
蒙古人
(
もうこじん
)
は
薄気味
(
うすきみ
)
悪
(
わる
)
く
感
(
かん
)
じてゐたけれ
共
(
ども
)
、
195
物珍
(
ものめづ
)
らしさに
一二
(
いちに
)
回
(
くわい
)
の
柔術
(
じうじゆつ
)
の
稽古
(
けいこ
)
をやつて
見
(
み
)
た。
196
守高
(
もりたか
)
は……こんな
野蛮国
(
やばんごく
)
の
人間
(
にんげん
)
には
自分
(
じぶん
)
の
力
(
ちから
)
を
見
(
み
)
せておかねば
軽蔑
(
けいべつ
)
されると
云
(
い
)
ふ
考
(
かんが
)
へから、
197
蒙古人
(
もうこじん
)
の
手首
(
てくび
)
の
急所
(
きふしよ
)
を
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
掴
(
つか
)
み
締
(
し
)
めたので、
198
蒙古人
(
もうこじん
)
は
青
(
あを
)
くなつてヘタバつた。
199
それを
蒙古人
(
もうこじん
)
は
柔術
(
じうじゆつ
)
の
手
(
て
)
といふ
事
(
こと
)
は
知
(
し
)
らず、
200
且
(
か
)
つ
言葉
(
ことば
)
の
通
(
つう
)
じない
所
(
ところ
)
より
非常
(
ひじやう
)
に
守高
(
もりたか
)
を
悪党
(
あくたう
)
と
誤解
(
ごかい
)
し、
201
村中
(
むらぢう
)
の
蒙古
(
もうこ
)
男子
(
だんし
)
が
王得勝
(
ワントウシン
)
の
家
(
いへ
)
に
集
(
あつ
)
まつて、
202
暗夜
(
あんや
)
に
乗
(
じやう
)
じ
守高
(
もりたか
)
を
鉄砲
(
てつぱう
)
で
討
(
う
)
ち
殺
(
ころ
)
さうといふ
相談
(
さうだん
)
を
定
(
き
)
めた。
203
白凌閣
(
パイリンク
)
は
蒙古人
(
もうこじん
)
の
事
(
こと
)
でもあり、
204
其
(
その
)
相談
(
さうだん
)
の
結果
(
けつくわ
)
を
心配
(
しんぱい
)
して
日出雄
(
ひでを
)
に
密告
(
みつこく
)
した。
205
そこで
日出雄
(
ひでを
)
は
王得勝
(
ワントウシン
)
に
腕時計
(
うでどけい
)
や
若干
(
じやくかん
)
の
金子
(
かね
)
を
与
(
あた
)
へ、
206
白凌閣
(
パイリンク
)
を
介
(
かい
)
して
柔道
(
じうだう
)
の
大略
(
たいりやく
)
や
守高
(
もりたか
)
の
好人物
(
かうじんぶつ
)
たる
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かせたので、
207
蒙古人
(
もうこじん
)
も
漸
(
やうや
)
く
了解
(
れうかい
)
して、
208
守高
(
もりたか
)
に
対
(
たい
)
する
悪感
(
あくかん
)
は
稍
(
やや
)
薄
(
うす
)
らぎ、
209
幸
(
さいはひ
)
に
無事
(
ぶじ
)
なるを
得
(
え
)
たのである。
210
此
(
この
)
時
(
とき
)
の
日出雄
(
ひでを
)
の
心配
(
しんぱい
)
は
一通
(
ひととほ
)
りではなかつたのである。
211
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
は
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
のきびしき
追撃
(
つひげき
)
に
堪
(
た
)
へかねて、
212
俄
(
にはか
)
に
自分
(
じぶん
)
所有
(
しよいう
)
の
新宅
(
しんたく
)
に
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
を
移転
(
いてん
)
させる
事
(
こと
)
とした。
213
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
の
宅
(
たく
)
から
西南
(
せいなん
)
に
当
(
あた
)
り
殆
(
ほとん
)
ど
五
(
ご
)
丁
(
ちやう
)
許
(
ばか
)
りの
距離
(
きより
)
がある。
214
まだ
壁
(
かべ
)
も
十分
(
じふぶん
)
乾
(
かは
)
いてゐないので、
215
盛
(
さか
)
んに
楊
(
やなぎ
)
の
枯枝
(
かれえだ
)
を
燃
(
も
)
やして
室内
(
しつない
)
の
乾燥
(
かんさう
)
を
図
(
はか
)
つた。
216
そして
牛車
(
ぎうしや
)
一台
(
いちだい
)
の
薪
(
まき
)
は
五十銭
(
ごじつせん
)
であつたが、
217
壁
(
かべ
)
を
乾
(
かは
)
かすのに
二台
(
にだい
)
許
(
ばか
)
りの
薪
(
たきぎ
)
をくすべて
了
(
しま
)
つた。
218
漸
(
やうや
)
くにして
四
(
し
)
月
(
ぐわつ
)
四日
(
よつか
)
(
旧
(
きう
)
三
(
さん
)
月
(
ぐわつ
)
二日
(
ふつか
)
)
新宅
(
しんたく
)
に
移転
(
いてん
)
し、
219
ヤツト
一安心
(
ひとあんしん
)
した、
220
そして
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
に
手紙
(
てがみ
)
を
持
(
も
)
たせて、
221
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
や
日本人
(
につぽんじん
)
側
(
がは
)
へ
公爺府
(
コンエフ
)
に
於
(
お
)
ける
困難
(
こんなん
)
の
事情
(
じじやう
)
を
報告
(
はうこく
)
せしめ、
222
且
(
かつ
)
真澄別
(
ますみわけ
)
一行
(
いつかう
)
の
一日
(
いちにち
)
も
早
(
はや
)
く
着府
(
ちやくふ
)
するのを
待
(
ま
)
つてゐる
事
(
こと
)
を
伝
(
つた
)
へしめた。
223
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
は
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むちう
)
ち
勢
(
いきほ
)
ひよく
洮南
(
たうなん
)
を
指
(
さ
)
して
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
224
ところが
其
(
その
)
日
(
ひ
)
の
午後
(
ごご
)
六
(
ろく
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
望遠鏡
(
ばうゑんきやう
)
を
以
(
もつ
)
て
洮南
(
たうなん
)
方面
(
はうめん
)
の
原野
(
げんや
)
を
眺
(
なが
)
めてゐると、
225
四台
(
よんだい
)
の
轎車
(
けうしや
)
がまつしぐらに
馳
(
か
)
けて
来
(
く
)
るのが
目
(
め
)
についた、
226
よくよく
見
(
み
)
れば
真澄別
(
ますみわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
が
沢山
(
たくさん
)
な
荷物
(
にもつ
)
や
食料
(
しよくれう
)
を
満載
(
まんさい
)
して
来
(
く
)
るのであつた。
227
此
(
この
)
時
(
とき
)
の
日出雄
(
ひでを
)
、
228
岡崎
(
をかざき
)
の
喜
(
よろこ
)
びは
一通
(
ひととほ
)
りではなかつた。
229
一同
(
いちどう
)
は
地獄
(
ぢごく
)
で
仏
(
ほとけ
)
に
会
(
あ
)
うたやうな
心持
(
こころもち
)
になつて
打喜
(
うちよろこ
)
び、
230
互
(
たがひ
)
に
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
眼
(
め
)
を
曇
(
くも
)
らした。
231
沢山
(
たくさん
)
の
荷物
(
にもつ
)
や
食料
(
しよくれう
)
が
来
(
き
)
たので
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
は
驚
(
おどろ
)
いたと
見
(
み
)
え
俄
(
には
)
かに
日本人
(
につぽんじん
)
に
対
(
たい
)
する
態度
(
たいど
)
がガラリと
変
(
かは
)
つて
来
(
き
)
た。
232
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
れば
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
の
日本人
(
につぽんじん
)
一行
(
いつかう
)
を
疑
(
うたが
)
つたのも
無理
(
むり
)
はない。
233
何
(
いづ
)
れも
北国雷
(
ほつこくかみなり
)
[
※
「北国雷」(北国の雷)とは、着の身着のままの意。
]
で
何一
(
なにひと
)
つ
目
(
め
)
ぼしい
携帯品
(
けいたいひん
)
もなく、
234
どこの
落人
(
おちうど
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たか
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
な
体裁
(
ていさい
)
だつたからである。
235
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
が
狡猾
(
かうくわつ
)
で
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
をしたのか、
236
但
(
ただ
)
しは
日本側
(
につぽんがは
)
の
三人組
(
さんにんぐみ
)
が
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
をだまして
奥
(
おく
)
へやつたのか
合点
(
がつてん
)
が
行
(
い
)
かぬと、
237
一行
(
いつかう
)
は
怪
(
あや
)
しみに
堪
(
た
)
へなかつた。
238
そして
老
(
らう
)
印君
(
いんくん
)
に
対
(
たい
)
する
悪
(
わる
)
い
感情
(
かんじやう
)
も
次第
(
しだい
)
に
剥
(
は
)
げて
来
(
き
)
た。
239
真澄別
(
ますみわけ
)
に
従
(
したが
)
つてやつて
来
(
き
)
た
日本人
(
につぽんじん
)
は
名田彦
(
なだひこ
)
、
240
猪野
(
ゐの
)
敏夫
(
としを
)
の
両人
(
りやうにん
)
であつた。
241
之
(
これ
)
より
先
(
さ
)
き
黒竜江
(
こくりうこう
)
方面
(
はうめん
)
の
馬賊団
(
ばぞくだん
)
の
頭目
(
とうもく
)
と
称
(
しよう
)
する
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
の
物騒
(
ぶつさう
)
な
面
(
かほ
)
した
男
(
をとこ
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
岡崎
(
をかざき
)
の
許
(
もと
)
へ
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
て、
242
自治軍
(
じちぐん
)
に
参加
(
さんか
)
させてくれないかと
掛合
(
かけあ
)
つた。
243
岡崎
(
をかざき
)
は
早速
(
さつそく
)
手紙
(
てがみ
)
を
認
(
したた
)
めて
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
と
佐々木
(
ささき
)
へ
宛
(
あ
)
て
相談
(
さうだん
)
に
向
(
むか
)
はしめた。
244
(
大正一四、八
、筆録)
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