霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】[2023/12/19] サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。[2024/6/30]8月中にサイトの大改修を行います。実験のためのサイトをこちらに作りました(今はメニューを変更しただけです)。
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一七章 明暗(めいあん)交々(こもごも)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第3篇 洮南より索倫へ よみ(新仮名遣い):とうなんよりそーろんへ
章:第17章 明暗交々 よみ(新仮名遣い):めいあんこもごも 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年2月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
老印君の隣家を解放して、日出雄一行の宿泊所とされた。遠近の蒙古人は、日の出の国の活き神が来たれりと言って集まり来たり、鎮魂を乞うた。
日出雄は公爺府の王より招待を受け、入蒙のいきさつについてたずねられた。王元祺が内外蒙古救援軍の趣旨を説明すると王は非常に喜び、一同を饗応した。日出雄は蒙古まで来て初めて、為政者より丁重な扱いを受けたことに感慨を覚えた。
岡崎は、日蒙両国民が相携えれば、支那人もロシア人もへこんでしまう、大庫倫の赤軍を追い払って新蒙古王国を作るのだ、などと大言壮語している。この話が公爺府の重役の知るところとなった。
岡崎の大言壮語を知り、たちまち老印君は態度を一変した。そして、『護照がなければ滞在かなわぬ、奉天へ一度お帰り願いたい』、と言ってきた。
盧の部下の温長興は、盧占魁から金をもらっておきながら、今さらこのようなことを言う老印君の態度に激怒したが、ともかく一度奉天に連絡をして窮状を伝え、荷物一切を送ってもらうこととした。
老印君は温長興に攻め立てられて、ついに自分の新宅に日出雄一行を移転させることになった。四月四日にようやく移転がかない、温長興に手紙を持たせて、現状を盧占魁に伝えさせることになった。
温長興が出発してから、その日の午後六時ごろ、やって真澄別一行が荷物や食料を満載して到着した。地獄で仏に会ったような心持に、日出雄も岡崎も非常に喜んだ。たくさんの荷物や食料が到着すると、老印君の日本人に対する態度はまたがらりとよくなった。
真澄別にしたがってやってきたのは、名田彦、猪野敏夫の両人であった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考:2024/1/17出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-01-17 03:02:29 OBC :rmnm17
愛善世界社版:150頁 八幡書店版:第14輯 602頁 修補版: 校定版:150頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 日出雄(ひでを)公爺府(コンエフ)協理(けふり)(らう)印君(いんくん)(はう)宿泊(しゆくはく)する(こと)三日(みつか)(のち)002隣家(りんか)丑他那寸止(ウタナスト)()(ひと)(いへ)開放(かいはう)して一行(いつかう)宿泊所(しゆくはくじよ)()てられた。
003 遠近(ゑんきん)淳朴(じゆんぼく)なる蒙古人(もうこじん)は『ナラヌオロスン、004イホエミトポロハナ、005イルヂエー イルヂエー イルヂエー』と()つて(した)つて()(もの)日々(ひび)(その)(すう)増加(ぞうか)するのみである。
006 (みぎ)蒙古語(もうこご)(やく)すれば、007日出国(ひいづるくに)大活神(だいくわつしん)(きた)れり008との意味(いみ)である。
009 各人(かくじん)(よろこ)んで鎮魂(ちんこん)()ひ、010(この)(くに)にて(もつと)(おほ)眼病(がんびやう)011皮膚病(ひふびやう)(はじ)胃病(ゐびやう)012梅毒(ばいどく)013歯痛(しつう)014脳病(のうびやう)治療(ちれう)()け、015全快(ぜんくわい)して神徳(しんとく)感謝(かんしや)大活神(だいくわつしん)崇敬(すうけい)して()る。016眼病(がんびやう)017皮膚病(ひふびやう)018梅毒(ばいどく)(とう)(とも)不潔(ふけつ)から()たのが(おほ)く、019(また)花柳病(くわりうびやう)伝染(でんせん)するものと()(こと)(すこ)しも(さと)らない。020(たん)乗馬(じやうば)結果(けつくわ)心得(こころえ)021病毒(びやうどく)伝染(でんせん)(まか)せて()るのである。022(こと)喇嘛僧(ラマそう)梅毒(ばいどく)(かか)つて()るものは(こと)(ほか)(おほ)い。023蒙古(もうこ)婦人(ふじん)沢山(たくさん)宝石(ほうせき)(おほ)きな真珠(しんじゆ)(あたま)(かざ)つて()るが、024(いづ)れも遼河(りやうが)黒竜江(こくりうこう)(ちう)蕃殖(はんしよく)した直径(ちよくけい)(いつ)(しやく)(あま)りもある烏貝(からすがひ)(なか)から採取(さいしゆ)したものである。025蒙古人(もうこじん)貝類(かひるゐ)食料(しよくれう)とせないので、026(いく)百千(ひやくせん)(ねん)()烏貝(からすがひ)棲息(せいそく)して()るのである。027蒙古人(もうこじん)食料(しよくれう)支那(しな)内地(ないち)接近(せつきん)した(ひがし)蒙古(もうこ)方面(はうめん)では、028高粱(かうりやう)大豆(だいづ)029(あは)030(ぶた)など支那人(しなじん)()食物(しよくもつ)()つて()るが、031奥地(おくち)(じゆん)蒙古(もうこ)地帯(ちたい)公爺府(コンエフ)あたりでは牛乳(ぎうにゆう)炒米(チヨウミイ)常食(じやうしよく)にして()る。032(これ)(にく)(くは)雑炊(ざふすゐ)にして(くら)(こと)もあるが、033(にく)()ぜるは(もつと)上等(じやうとう)()である。034普通(ふつう)一般(いつぱん)(いへ)では(にく)なぞの贅沢品(ぜいたくひん)滅多(めつた)()はないのである。035米利堅粉(メリケンコ)でウドンを(こしら)(ひつじ)(にく)()ぜて(くら)ふのが第一番(だいいちばん)馳走(ちさう)である。036牧畜(ぼくちく)祖先(そせん)以来(いらい)唯一(ゆゐいつ)事業(じげふ)で、037(したが)つて(うし)(ひつじ)乳汁(ちち)豊富(ほうふ)であり、038日々(ひび)食料(しよくれう)(きよう)して()(いへ)(おほ)い。039(かれ)()日本人(につぽんじん)(ごと)牛乳(ぎうにゆう)()かしては()まず、040(つめ)たい(まま)()み、041(また)色々(いろいろ)料理(れうり)(つく)()けてゐる。042()牛乳壺(ぎうにゆうつぼ)上部(じやうぶ)()いた脂肪分(しぼうぶん)からバターを()り、043下部(かぶ)沈澱(ちんでん)したものは(これ)(ぬの)(ふくろ)()れて(しる)(つぼ)(おと)し、044(ふくろ)(なか)(たま)つた(かす)(かた)めて牛乳餅(ぎうにゆうもち)(つく)る。045(これ)奶豆腐(ないとうふ)(とな)へて()る。046保存(ほぞん)便(べん)なる(ところ)から(ある)地方(ちはう)では主食物(しゆしよくぶつ)となり、047菓子(くわし)代用品(だいようひん)ともなり、048(とき)としては貨幣(くわへい)(かは)りとし物々(ぶつぶつ)交換(かうくわん)単位(たんゐ)ともなり、049(じつ)重宝(ちようほう)なものである。050(また)バターと奶豆腐(ないとうふ)とを()つた(のこ)りから酸乳(さんにゆう)()れ、051炒米(チヨウミイ)(そそ)いで(くら)ふべき唯一(ゆゐいつ)調味料(てうみれう)となるのである。052(みぎ)(ほか)牛乳(ぎうにゆう)蒸発(じようはつ)せしめて牛乳酒(ぎうにゆうしゆ)(つく)る。053牛乳(ぎうにゆう)炒米(チヨウミイ)ばかりを年中(ねんぢう)()つて()ながらも蒙古人(もうこじん)体格(たいかく)(すこぶ)立派(りつぱ)である。054(また)蒙古人(もうこじん)支那人(しなじん)(ごと)一切(いつさい)野菜(やさい)()はない、055家畜(かちく)(おほ)いため野菜(やさい)(そだ)たないのが(ひと)つの原因(げんいん)かとも(おも)はれる。056()かも壊血病(くわいけつびやう)(かか)らぬのは(くさ)常食(じやうしよく)とする(うし)(ちち)主食(しゆしよく)としてゐる結果(けつくわ)である。057(かく)(ごと)(うし)蒙古人(もうこじん)()つての生命(せいめい)(はは)であり058(うま)(すべ)ての交通(かうつう)機関(きくわん)である。059南船(なんせん)北馬(ほくば)といふ(げん)北大陸(きたたいりく)蒙古(もうこ)()(はじ)めて()らるる言葉(ことば)である。
060 一日(いちにち)蒙古人(もうこじん)丑他那寸止(ウタナスト)王得勝(ワントシン)など()公爺府(コンエフ)兵士(へいし)や、061副官(ふくくわん)(をん)長興(ちやうこう)(とも)公爺府(コンエフ)裏山(うらやま)兎狩(うさぎがり)出掛(でか)けた。062兎狩(うさぎがり)道具(だうぐ)(いつ)(しやく)五寸(ごすん)(ばか)りの(さき)(まが)つた(ぼう)で、063その尖端(せんたん)三寸(さんずん)(ばか)りの(ひも)(むす)()(ひも)(さき)一塊(いつくわい)(てつ)(おも)りが()いて()る。064(うさぎ)()()すのを()つて()(ぼう)巧妙(かうめう)()()ける。065さうすると(ぼう)(さき)にブラ(さが)つて()鉄片(てつぺん)が、066グルグル()(なが)(うさぎ)(あた)ると(ひも)()()仕組(しくみ)である。067蒙古人(もうこじん)煙管(きせる)火打石(ひうちいし)(とも)(なな)道具(だうぐ)(ひとつ)として(つね)(この)(ぼう)携帯(けいたい)して()るのである。068(しか)蒙古犬(もうこいぬ)四五(しご)(ひき)(もつ)(うさぎ)(かこ)(とき)容易(ようい)(とら)へる(こと)出来(でき)るのである。
069 日出雄(ひでを)(をん)長興(ちやうこう)070岡崎(をかざき)鉄首(てつしゆ)(とも)国見山(くにみやま)(のぼ)らむとした(とき)071シーゴーと(しよう)する蒙古(もうこ)特有(とくいう)猛犬(まうけん)包囲(はうゐ)され、072()()かれようとしたので073副官(ふくくわん)(をん)長興(ちやうこう)074岡崎(をかざき)鉄首(てつしゆ)二人(ふたり)が、075洋杖(ステツキ)()()げたり(いし)(ひろ)つて()()けたりなど防戦(ばうせん)(つと)めた。076ワンワンと()ゆる猛犬(まうけん)(こゑ)()()けて(またた)()遠近(ゐんきん)より数十頭(すうじつとう)猛犬(まうけん)(あつま)(きた)り、077(さん)(にん)十重(とへ)二十重(はたへ)取巻(とりま)(きば)をむき()して()びかかつて()るその(おそ)ろしき(いきほひ)(もの)ともせず、078二人(ふたり)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(たたか)つて()る。079日出雄(ひでを)一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて祝詞(のりと)大声(おほごゑ)(とな)へると、080(おほ)きな日本人(につぽんじん)声音(せいおん)辟易(へきえき)してか、081さしもの猛犬(まうけん)()()げて四方(しはう)散乱(さんらん)して(しま)つた。082(これ)より当地(たうち)(いぬ)(さん)(にん)()ると()()げて(ちひ)さくなつて()げる(やう)になつて(しま)つた。
083 守高(もりたか)公府(こうふ)役人(やくにん)(いへ)病気(びやうき)鎮魂(ちんこん)(ため)084(やや)遠方(ゑんぱう)(いへ)出掛(でか)けた、085其処(そこ)鎮国公(ちんこくこう)より重役(ぢうやく)()て、086失礼(しつれい)ながら日出国(ひいづるくに)大活仏(だいくわつぶつ)(さま)来館(らいくわん)(ねが)()いと申込(まをしこ)んで()た。087日出雄(ひでを)通訳(つうやく)(とも)早速(さつそく)公爺府(コンエフ)(ない)()()つた。088鎮国公(ちんこくこう)(おほい)(よろこ)んで通訳(つうやく)(かい)して種々(しゆじゆ)談話(だんわ)(こころ)み、089()今回(こんくわい)入蒙(にふもう)(つい)ての経緯(いきさつ)(たづ)ねるのであつた。090(わう)元祺(げんき)内外(ないぐわい)蒙古(もうこ)救援(きうゑん)義軍(ぎぐん)(おこ)(こと)諄々(じゆんじゆん)として()いた。091(わう)非常(ひじやう)(よろこ)(その)好意(かうい)(ふか)感謝(かんしや)した。092そして(ちから)一杯(いつぱい)馳走(ちそう)をして日出雄(ひでを)待遇(たいぐう)したのである。093東西(とうざい)二百(にひやく)()094南北(なんぽく)八百(はつぴやく)()地積(ちせき)主管(しゆくわん)する公府(こうふ)(わう)(さま)態々(わざわざ)日出雄(ひでを)住居(すまゐ)()ひ、095(いま)(また)(ふたた)慇懃(いんぎん)日本国(につぽんこく)(だい)宗教家(しうけうか)として(かつ)貴人(きじん)として(むか)へられた(こと)は、096日出雄(ひでを)()つて異様(いやう)(かん)()たれた。097内地(ないち)であつたならば地方(ちはう)官吏(くわんり)さへ、098なかなか威張(いば)()らして日出雄(ひでを)馬鹿(ばか)にして()傾向(けいかう)があるのに(くら)べて、099感慨(かんがい)無量(むりやう)であつた。100蒙古(もうこ)未開国(みかいこく)とは()(なが)ら、101上下(じやうげ)(たみ)()親和(しんわ)し、102(あだか)神代(かみよ)(おもかげ)(しの)ばせる、103その容貌(ようばう)日本人(につぽんじん)酷似(こくじ)日本人(につぽんじん)唯一(ゆゐいつ)(ちから)(たの)(ふう)がある。104日本人(につぽんじん)蒙古人(もうこじん)(その)祖先(そせん)(いつ)にし、105(みなもと)義経(よしつね)子孫(しそん)(みな)蒙古(もうこ)一百六(いつぴやくろく)(にん)(わう)()つて()るのだと(かれ)()(しん)()つてゐるのである。
106
107 岡崎(をかざき)蒙古人(もうこじん)(たい)し、108支那語(しなご)(もつ)て、109(いよいよ)蒙古(もうこ)亡国(ばうこく)(てき)運命(うんめい)より(すく)()し、110大庫倫(アルホラ)駐屯(ちうとん)せる赤軍(せきぐん)(うさぎ)()ふやうに()ひまくり、111大庫倫(アルホラ)(おい)新蒙古(しんもうこ)王国(わうこく)建設(けんせつ)し、112支那(しな)113満州(まんしう)114西比利亜(シベリア)席捲(せきけん)して、115日本(につぽん)(および)蒙古(もうこ)男子(だんし)真価(しんか)天下(てんか)発表(はつぺう)する(つも)りだ。116なアに、117大鼻子(タアビイヅ)だつて、118支那人(しなじん)だつて、119日蒙(にちもう)両国民(りやうこくみん)一致(いつち)すれば()ぐに(くぼ)んで(しま)ひますよ、120アハヽヽヽ……。121などと万丈(ばんぢやう)気焔(きえん)()いて(ひと)(えつ)()つてゐる。122(この)(はなし)公爺府(コンエフ)重役(ぢうやく)心配(しんぱい)(さう)(かほ)して(そば)()いてゐたが、123すぐに(らう)印君(いんくん)(まね)いて、124鎮国公(ちんこくこう)(やかた)にあわただしく()けつけて()つた。125二三(にさん)時間(じかん)(ばか)りして、126(らう)印君(いんくん)六ケ(むつか)しい(かほ)をして(かへ)つて()た。127そして岡崎(をかざき)(むか)ひ、
128老印君日本(につぽん)方々(かたがた)東三省(とうさんしやう)護照(ごせう)()つてゐますか、129護照(ごせう)()(かた)一日(いちにち)此処(ここ)()つて(もら)ふことは出来(でき)ませぬ。130(こと)蒙古(もうこ)独立(どくりつ)などを(くはだ)てる(ひと)世話(せわ)することは出来(でき)ぬ、131(わう)(さま)(はじ)(この)白髪首(しらがくび)(まで)()んで(しま)ひますから……。132蒙古(もうこ)へお()でになるのなら一度(いちど)奉天(ほうてん)(まで)(かへ)つて護照(ごせう)(もら)つて()(くだ)さい』
133態度(たいど)をガラリと()へて(しま)つた。134(をん)長興(ちやうこう)(これ)()くや(おほい)(いか)り、
135温長興()しからぬ(こと)をいふ(ぢぢい)だ。136()司令(しれい)から吾々(われわれ)一行(いつかう)世話(せわ)する(ため)沢山(たくさん)(かね)(いただ)いて()(なが)ら、137(いま)となつて斯様(かやう)なことを老爺(おやぢ)(くち)から()くとは不都合(ふつがふ)千万(せんばん)だ。138その(うへ)吾々(われわれ)をこんな陋屋(ろうをく)につツ()139南京虫(なんきんむし)()めにあはしよるとは(なん)(こと)だ。140()(かく)一応(いちおう)奉天(ほうてん)まで(かへ)つて、141司令(しれい)談判(だんぱん)して()る』
142息巻(いきま)いてゐる。143(らう)印君(いんくん)態度(たいど)一変(いつぺん)したのは岡崎(をかざき)大言(だいげん)壮語(さうご)(たた)つたのである。144鎮国公(ちんこくこう)はじめ重役(ぢうやく)(れん)支那(しな)政府(せいふ)(ちやう)作霖(さくりん)(おそ)れたからであつた。145岡崎(をかざき)はまたソロソロ不平(ふへい)()らし()した。
146岡崎鉄首一体(いつたい)()占魁(せんくわい)といふ餓鬼(がき)や、147(おれ)をこんな(おく)(はう)突込(つつこ)みよつて、148佐々木(ささき)大倉(おほくら)(はら)(あは)せ、149先生(せんせい)はじめ吾々(われわれ)日本人(につぽんじん)をペテンに()けよつたのだらう、150ようしツ、151(おれ)にも(かんがへ)がある。152(これ)から奉天(ほうてん)(かへ)つて(なに)()()秘密(ひみつ)をすつぱ()いてきます。153(また)佐々木(ささき)154大倉(おほくら)(やつ)め、155洮南(たうなん)以西(いせい)馬賊(ばぞく)徘徊(はいくわい)するから、156一切(いつさい)荷物(にもつ)金銭(きんせん)などは一銭(いつせん)携帯(けいたい)してはならぬ、157曼陀汗(マンダハン)(らう)印君(いんくん)金子(かね)(わた)してあるから、158一切(いつさい)万事(ばんじ)不自由(ふじいう)のない(やう)にしてくれると()かしよつたが、159(この)ザマは(なん)だ。160毛布(もうふ)(いち)(まい)あるでなし、161南京虫(なんきんむし)巣窟(さうくつ)にアンペラ(いち)(まい)()いて()られるか、162そして金子(かね)一文(いちもん)()つて()くな、163など(ぬか)しよつたが、164先生(せんせい)がそれでもチツト(ばか)(ふところ)にソツと()れて()つて()(くだ)さつたお(かげ)で、165鶏卵(けいらん)()(また)旅費(りよひ)出来(でき)たのだ。166彼奴(きやつ)()()(とほ)りにして()つたなら、167自分(じぶん)()蒙古(もうこ)(おく)餓死(がし)するより仕様(しやう)がないのだ』
168とブウブウ()うて(おこ)()す。169(しか)岡崎(をかざき)(おこ)るのも無理(むり)はない。170温突(をんどる)()いてあつても毛布(もうふ)(いち)(まい)ないので、171外套(ぐわいたう)をかぶつて、172()()るといふみじめな有様(ありさま)であつた。173日出雄(ひでを)洮南府(たうなんふ)二万(にまん)(ゑん)旅費(りよひ)懐中(くわいちう)し、174日本人(につぽんじん)一行(いつかう)費用(ひよう)()てんとしたのを佐々木(ささき)175大倉(おほくら)176唐国別(からくにわけ)から色々(いろいろ)()きつけられ、177(つひ)(かれ)()(わた)して(しま)つたのであつた。178()(かく)(をん)長興(ちやうこう)(うま)(はし)らせ、179洮南府(たうなんふ)真澄別(ますみわけ)一行(いつかう)面会(めんくわい)させ、180公爺府(コンエフ)()ける一行(いつかう)現状(げんじやう)報告(はうこく)せしめ、181一日(いちにち)(はや)荷物(にもつ)一切(いつさい)(おく)つて()(もら)はねば、182()うする(こと)出来(でき)ないといふ手紙(てがみ)()たせて出発(しゆつぱつ)せしむる(こと)()めた。
183 (わう)元祺(げんき)(あさ)から(ばん)まで蒙古人(もうこじん)(いへ)()つて麻雀(マージヤン)()賭博(とばく)(ふけ)り、184(すこ)しも通訳(つうやく)(よう)をしない、185一言(ひとこと)いつても()ぐに(はら)()て、
186王元祺(わたし)はお()()ひませぬから(かへ)らして(もら)ひます』
187など、188足許(あしもと)見込(みこ)んで駄々(だだ)をこねるので、189日出雄(ひでを)(おほい)(こま)り、190筆談(ひつだん)(もつ)白凌閣(パイリンク)(かい)し、191蒙古人(もうこじん)との一切(いつさい)交渉(かうせふ)(あた)らしめてゐた。192守高(もりたか)得意(とくい)柔術(じうじゆつ)蒙古人(もうこじん)(さむ)(かぜ)()戸外(こぐわい)(をし)へてゐた。193一見(いつけん)しても一癖(ひとくせ)あり(さう)武術面(ぶじゆつづら)をしてゐるので、194蒙古人(もうこじん)薄気味(うすきみ)(わる)(かん)じてゐたけれ(ども)195物珍(ものめづ)らしさに一二(いちに)(くわい)柔術(じうじゆつ)稽古(けいこ)をやつて()た。196守高(もりたか)は……こんな野蛮国(やばんごく)人間(にんげん)には自分(じぶん)(ちから)()せておかねば軽蔑(けいべつ)されると()(かんが)へから、197蒙古人(もうこじん)手首(てくび)急所(きふしよ)(ちから)一杯(いつぱい)(つか)()めたので、198蒙古人(もうこじん)(あを)くなつてヘタバつた。199それを蒙古人(もうこじん)柔術(じうじゆつ)()といふ(こと)()らず、200()言葉(ことば)(つう)じない(ところ)より非常(ひじやう)守高(もりたか)悪党(あくたう)誤解(ごかい)し、201村中(むらぢう)蒙古(もうこ)男子(だんし)王得勝(ワントウシン)(いへ)(あつ)まつて、202暗夜(あんや)(じやう)守高(もりたか)鉄砲(てつぱう)()(ころ)さうといふ相談(さうだん)()めた。203白凌閣(パイリンク)蒙古人(もうこじん)(こと)でもあり、204(その)相談(さうだん)結果(けつくわ)心配(しんぱい)して日出雄(ひでを)密告(みつこく)した。205そこで日出雄(ひでを)王得勝(ワントウシン)腕時計(うでどけい)若干(じやくかん)金子(かね)(あた)へ、206白凌閣(パイリンク)(かい)して柔道(じうだう)大略(たいりやく)守高(もりたか)好人物(かうじんぶつ)たる(こと)()()かせたので、207蒙古人(もうこじん)(やうや)了解(れうかい)して、208守高(もりたか)(たい)する悪感(あくかん)(やや)(うす)らぎ、209(さいはひ)無事(ぶじ)なるを()たのである。210(この)(とき)日出雄(ひでを)心配(しんぱい)一通(ひととほ)りではなかつたのである。
211 (らう)印君(いんくん)(をん)長興(ちやうこう)のきびしき追撃(つひげき)()へかねて、212(にはか)自分(じぶん)所有(しよいう)新宅(しんたく)日出雄(ひでを)一行(いつかう)移転(いてん)させる(こと)とした。213(らう)印君(いんくん)(たく)から西南(せいなん)(あた)(ほとん)()(ちやう)(ばか)りの距離(きより)がある。214まだ(かべ)十分(じふぶん)(かは)いてゐないので、215(さか)んに(やなぎ)枯枝(かれえだ)()やして室内(しつない)乾燥(かんさう)(はか)つた。216そして牛車(ぎうしや)一台(いちだい)(まき)五十銭(ごじつせん)であつたが、217(かべ)(かは)かすのに二台(にだい)(ばか)りの(たきぎ)をくすべて(しま)つた。218(やうや)くにして()(ぐわつ)四日(よつか)(きう)(さん)(ぐわつ)二日(ふつか)新宅(しんたく)移転(いてん)し、219ヤツト一安心(ひとあんしん)した、220そして(をん)長興(ちやうこう)手紙(てがみ)()たせて、221()占魁(せんくわい)日本人(につぽんじん)(がは)公爺府(コンエフ)()ける困難(こんなん)事情(じじやう)報告(はうこく)せしめ、222(かつ)真澄別(ますみわけ)一行(いつかう)一日(いちにち)(はや)着府(ちやくふ)するのを()つてゐる(こと)(つた)へしめた。223(をん)長興(ちやうこう)(こま)(むちう)(いきほ)ひよく洮南(たうなん)()して()()した。224ところが(その)()午後(ごご)(ろく)()(ごろ)望遠鏡(ばうゑんきやう)(もつ)洮南(たうなん)方面(はうめん)原野(げんや)(なが)めてゐると、225四台(よんだい)轎車(けうしや)がまつしぐらに()けて()るのが()についた、226よくよく()れば真澄別(ますみわけ)一行(いつかう)沢山(たくさん)荷物(にもつ)食料(しよくれう)満載(まんさい)して()るのであつた。227(この)(とき)日出雄(ひでを)228岡崎(をかざき)(よろこ)びは一通(ひととほ)りではなかつた。
229 一同(いちどう)地獄(ぢごく)(ほとけ)()うたやうな心持(こころもち)になつて打喜(うちよろこ)び、230(たがひ)(うれ)(なみだ)()(くも)らした。231沢山(たくさん)荷物(にもつ)食料(しよくれう)()たので(らう)印君(いんくん)(おどろ)いたと()(には)かに日本人(につぽんじん)(たい)する態度(たいど)がガラリと(かは)つて()た。232(かんが)へて()れば(らう)印君(いんくん)日本人(につぽんじん)一行(いつかう)(うたが)つたのも無理(むり)はない。233(いづ)れも北国雷(ほつこくかみなり)「北国雷」(北国の雷)とは、着の身着のままの意。何一(なにひと)()ぼしい携帯品(けいたいひん)もなく、234どこの落人(おちうど)()()たか(わか)らぬ(やう)体裁(ていさい)だつたからである。235(らう)印君(いんくん)狡猾(かうくわつ)()らぬ(かほ)をしたのか、236(ただ)しは日本側(につぽんがは)三人組(さんにんぐみ)日出雄(ひでを)一行(いつかう)をだまして(おく)へやつたのか合点(がつてん)()かぬと、237一行(いつかう)(あや)しみに()へなかつた。238そして(らう)印君(いんくん)(たい)する(わる)感情(かんじやう)次第(しだい)()げて()た。239真澄別(ますみわけ)(したが)つてやつて()日本人(につぽんじん)名田彦(なだひこ)240猪野(ゐの)敏夫(としを)両人(りやうにん)であつた。
241 (これ)より()黒竜江(こくりうこう)方面(はうめん)馬賊団(ばぞくだん)頭目(とうもく)(しよう)する団栗眼(どんぐりまなこ)物騒(ぶつさう)(かほ)した(をとこ)(さん)(にん)岡崎(をかざき)(もと)(たづ)ねて()て、242自治軍(じちぐん)参加(さんか)させてくれないかと掛合(かけあ)つた。243岡崎(をかざき)早速(さつそく)手紙(てがみ)(したた)めて()占魁(せんくわい)佐々木(ささき)()相談(さうだん)(むか)はしめた。
244大正一四、八、筆録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki