霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二五章 風雨(ふうう)叱咤(しつた)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第4篇 神軍躍動 よみ(新仮名遣い):しんぐんやくどう
章:第25章 風雨叱咤 よみ(新仮名遣い):ふううしった 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1935(昭和10)年4月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
五月二十一日、盧占魁が幹部・参謀を引き連れて日出雄を訪問に来た。佐々木を介して盧が日出雄に懇願するには、だんだん蒙古兵も集まってきたので、救世主来迎のうわさを確実なものとするため、風雨を呼び起こして彼らの肝玉を奪ってもらいたい、とのことであった。
日出雄は、用もないのに勝手に風雨を起こして神界の規則に触れることを心配したが、真澄別が大事のためなら、自分が身代わりとなって行ってみたい、と申し出たので、許可した。盧占魁は、実はすでに奇跡を起こすと部隊に布告してしまっていた、と明かし、日出雄が了承してくれたことを喜んだ。
日出雄はトール河畔に自ら聖域を卜し、真澄別の修業を指導した。
五月二十三日、朝日は麗しい光を地上に投げ、青空には一点の雲もなかった。午前八時ごろに魏副官が日出雄一行を迎えに馬車でやってきた。日出雄に従って同行するはずだった温長興はにわかに頭痛が激しくなったため、車に乗せて下木局子へと向かった。
下木局子では、盧占魁の部隊が日出雄一行を待っていたが、このような蒙古晴れの空から雨を降らすなどは到底無理だろう、などと噂をしながら待機していた。
日出雄一行が下木局子に来着すると、小憩の後、日出雄の目配せを合図に真澄別が何事か黙祷するやいなや、たちまち司令部の上天は薄暗くなり、またたくまに全天雨雲に覆われ、一陣の怪風吹くとともに、激しい暴風雨が来襲した。
一同は驚きあわて、みなあっけに取られて言葉もなかった。しばらくして、今日は写真は駄目でしょう、という失望の声が聞こえてきた。真澄別は日出雄に、五分も経てば大丈夫、と言った。日出雄はやおら身を起こして雨中に降り立ち、点に向かって「ウー」と大喝した。
すると風勢は衰え、雨は次第に小降りとなり、真澄別の宣言のごとく、暴風雨は消え去って空は元のごとく晴朗に澄み切った。盧占魁は人々の間を立ち回り、自分の宣伝が誇大ではなかったことを誇って回った。
ここで幹部一同記念撮影をなし、卓を囲んで会食をしたときに、真澄別は温長興を指して、実は大先生(日出雄)が今日の役目を承った竜神を、温さんに懸けておいたので、温さんは朝から頭痛がしていたのだ、と説明すれば、一同はただ感嘆の言葉を漏らすほかはなかった。
夕方日の没するころに、再び天候が変わって雨模様となってきた。盧占魁らは今日はここに泊まっては、と言ったが、日出雄は自分の旅立ちに雨は止むでしょう、と微笑しつつ帰って行った。果たして、帰途には雨は降らず、日出雄が帰着と同時に強雨が降り注ぎ、地上の塵を一時に流し去るほどであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考:2024/1/28出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-01-28 02:32:49 文字数:2328 OBC :rmnm25
愛善世界社版:228頁 八幡書店版:第14輯 630頁 修補版: 校定版:231頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 五(ご)月(ぐわつ)二十一(にじふいち)日(にち)(陰暦(いんれき)四(し)月(ぐわつ)十八(じふはち)日(にち))上(かみ)木局収(もくきよくしう)の仮殿(かりどの)に002日出雄(ひでを)は真澄別(ますみわけ)等(ら)と西漸(せいぜん)の時機(じき)に就(つい)て種々(しゆじゆ)協議(けふぎ)を凝(こら)してゐた。003折柄(をりから)護衛(ごゑい)の温(をん)長興(ちやうこう)は004夥(おびただ)しき馬隊(ばたい)並(ならび)に轎車(けうしや)が砂塵(さぢん)を蹴立(けた)てて、005此方(こちら)へ向(むか)つて来(く)る事(こと)を報(はう)じた。006それは盧(ろ)司令(しれい)が蒙古(もうこ)の貝勒(バイロク)貝子(バイシ)、007劉(りう)陞三(しようさん)、008佐々木(ささき)、009大倉(おほくら)、010其(その)他(た)幹部(かんぶ)参謀(さんぼう)連(れん)を引具(ひきぐ)し、011日出雄(ひでを)訪問(はうもん)の為(ため)に来(き)たのであつた。
012 盧(ろ)は佐々木(ささき)を介(かい)して日出雄(ひでを)に請(こ)ふやう『だんだん蒙古兵(もうこへい)も集(あつ)まつて来(く)るし、013救世主(きうせいしゆ)来降(らいかう)の噂(うはさ)が益々(ますます)盛(さかん)に宣伝(せんでん)せられつつある際(さい)なれば、014此(この)際(さい)彼(かれ)等(ら)の肝玉(きもたま)を奪(うば)ふ為(ため)、015風雨(ふうう)を喚(よ)び起(おこ)して貰(もら)ひたい』といふのである。
016日出雄(ひでを)『私(わたし)に風雨(ふうう)雷霆(らいてい)を叱咤(しつた)し得(う)る自信(じしん)は経験(けいけん)上(じやう)から言(い)つてもありますが、017併(しか)しそれは神界(しんかい)から見(み)て真実(しんじつ)必要(ひつえう)と認(みと)むる場合(ばあひ)以外(いぐわい)には用(もち)ゆる事(こと)は出来(でき)ない事(こと)になつてゐます。018必要(ひつえう)のない……言(い)はば奇術(きじゆつ)かなぞの様(やう)に濫用(らんよう)するのは兇党界(きようたうかい)に属(ぞく)する仕事(しごと)であるので、019一寸(ちよつと)困(こま)るなア』
020大倉(おほくら)『併(しか)し先生(せんせい)、021皆(みな)が渇望(かつばう)してゐるし、022蒙古人(もうこじん)等(ら)が更(さら)に信仰(しんかう)の度(ど)を高(たか)める材料(ざいれう)になるのですから、023神界(しんかい)から見(み)て必要(ひつえう)な場合(ばあひ)と認(みと)めてやつて頂(いただ)く訳(わけ)にはいかぬでせうか』
024日出雄(ひでを)『困(こま)るなア、025鎮魂(ちんこん)で各自(かくじ)相応(さうおう)の霊界(れいかい)でも見(み)せてやればそれで可(い)いぢやないか』
026大倉(おほくら)『併(しか)し部分(ぶぶん)的(てき)でなく、027大勢(おほぜい)一緒(いつしよ)に見(み)られる様(やう)な不思議(ふしぎ)を、028一(ひと)つ現(あら)はして頂(いただ)きたいものですなア、029司令(しれい)も熱心(ねつしん)にああ云(い)ふてゐるのですから……』
030日出雄(ひでを)『キリストですら、031奇蹟(きせき)を請(こ)はれて怒(いか)つたではないか……』
032真澄別(ますみわけ)『奇蹟(きせき)を見(み)ずして神(かみ)を信(しん)ずる者(もの)は幸(さいはひ)なり……といふ神言(しんげん)もありますけれど、033現今(げんこん)で言(い)はば、034朦昧(もうまい)の人々(ひとびと)の間(あひだ)に出(で)かけて来(き)てるのですから、035何(なん)とか工夫(くふう)せねばなるまいと思(おも)ひます。036私(わたし)は永久(えいきう)兇党界(きようたうかい)へ堕落(だらく)しても、037それがお道(みち)の為(ため)になるなら構(かま)ひませぬから、038先生(せんせい)さへ御(お)許(ゆる)し下(くだ)されば、039私(わたし)をお使(つか)ひ下(くだ)さつて彼(かれ)等(ら)の肝玉(きもつたま)を挫(ひし)いでおくのも満更(まんざら)無駄(むだ)ではありますまい。040奇蹟(きせき)を見(み)たがる者(もの)は強(あなが)ち蒙古人(もうこじん)計(ばか)りぢやありますまいから……』
041 日出雄(ひでを)は少時(しばらく)沈思(ちんし)黙考(もくかう)して、
042日出雄『では、043潔斎(けつさい)修行(しうぎやう)して見(み)るが可(よ)い、044真澄別(ますみわけ)が行(や)る事(こと)になれば構(かま)はぬだらう』
045 盧占魁(ろせんくわい)は、
046盧占魁『実(じつ)は全隊(ぜんたい)へ布告(ふこく)して、047一同(いちどう)一(いつ)週間(しうかん)の精進(しやうじん)を命(めい)じ置(お)き、048此(この)二十三(にじふさん)日(にち)を以(もつ)て終(をは)ります。049其(その)日(ひ)には先生(せんせい)が奇蹟(きせき)を見(み)せて下(くだ)さると申渡(まをしわた)して了(しま)つたのです。050何(いづ)れ更(あらた)めてお迎(むか)へに参(まゐ)りますから、051是非(ぜひ)御(お)願(ねが)ひ致(いた)します。052序(ついで)に記念(きねん)の撮影(さつえい)も致(いた)したう御座(ござ)いますから』
053との意(い)を述(の)べて、054雑談(ざつだん)の後(のち)嬉々(きき)として一同(いちどう)駒(こま)の足並(あしなみ)も勇(いさ)ましく、055下(しも)木局子(もくきよくし)の司令部(しれいぶ)指(さ)して帰(かへ)り行(ゆ)く。
056 日出雄(ひでを)は止(や)むを得(え)ず、057真澄別(ますみわけ)をして其(その)衝(しよう)に当(あた)らしむべく、058洮児(トール)河畔(がはん)に聖域(せいいき)を卜(ぼく)し、059自(みづか)らも出張(しゆつちやう)して真澄別(ますみわけ)の修業(しうげふ)を指導(しだう)した。
060 五(ご)月(ぐわつ)二十三(にじふさん)日(にち)(陰暦(いんれき)四(し)月(ぐわつ)二十日(はつか))朝暾(てうどん)殊(こと)の外(ほか)麗(うる)はしき光(ひかり)を地上(ちじやう)に投(な)げ、061蒼空(さうくう)一点(いつてん)の雲翳(うんえい)なく、062樹々(きぎ)に飛交(とびか)ふ鳥(とり)の声(こゑ)は恰(あだか)も天国(てんごく)の春(はる)を歌(うた)ふが如(ごと)く、063庭前(ていぜん)に休(やす)らふ馬(うま)の嘶(いなな)きも一層(いつそう)勇(いさ)ましさを加(くは)へて聞(きこ)え来(きた)る。064午前(ごぜん)八(はち)時(じ)頃(ごろ)魏(ぎ)副官(ふくくわん)は日出雄(ひでを)、065真澄別(ますみわけ)を迎(むか)ふべく馬車(ばしや)を急(いそ)がしてやつて来(き)た。066折(をり)しも日出雄(ひでを)に扈従(こじう)すべく準備(じゆんび)せし温(をん)長興(ちやうこう)は、067俄(にはか)に頭痛(づつう)烈(はげ)しく、068乗馬(じやうば)に堪(た)へずと愬(うつた)ふ。069日出雄(ひでを)は思(おも)ふ所(ところ)ありと見(み)え、070温(をん)長興(ちやうこう)を轎車(けうしや)に乗(の)らしめ、071自(みづか)らは真澄別(ますみわけ)其(その)他(た)の護衛兵(ごゑいへい)と共(とも)に馬(うま)に鞭(むちう)ち、072法衣(はふい)を風(かぜ)に靡(なび)かせつつ下(しも)木局子(もくきよくし)に向(むか)ひ、073仮殿(かりどの)を出発(しゆつぱつ)した。074一方(いつぱう)下(しも)木局子(もくきよくし)の西北(せいほく)自治軍(じちぐん)司令部(しれいぶ)にては、075各分営(かくぶんえい)の団長(だんちやう)以下(いか)悉(ことごと)く来集(らいしふ)し、076『斯(か)くの如(ごと)き蒙古晴(もうこばれ)の空(そら)より雨(あめ)を降(ふ)らすなど、077幾(いく)ら神(かみ)様(さま)でも嘸(さぞ)困難(こんなん)であらう』などと、078とりどりに噂(うはさ)をし乍(なが)ら079日出雄(ひでを)一行(いつかう)の来着(らいちやく)を待(ま)ち兼(か)ねて居(ゐ)た。080時(とき)しもあれ、081魏(ぎ)副官(ふくくわん)の先導(せんだう)にて日出雄(ひでを)の一行(いつかう)は総員(そうゐん)整列(せいれつ)出迎(でむか)への中(なか)を堂々(だうだう)と乗込(のりこ)んで来(き)た。082少憩(せうけい)の後(のち)、083日出雄(ひでを)の目配(めくば)せを合図(あひづ)に084真澄別(ますみわけ)が何事(なにごと)か黙祷(もくたう)すると見(み)るや、085司令部(しれいぶ)の上天(じやうてん)俄(にはか)に薄暗(うすぐら)くなり、086瞬(またた)く間(ま)に全天(ぜんてん)雨雲(あまぐも)に蔽(おほ)われ一陣(いちぢん)の怪風(くわいふう)吹(ふ)き来(きた)ると共(とも)に、087激(はげ)しき暴風雨(ばうふうう)窓(まど)を破(やぶ)らむず計(ばか)りに襲来(しふらい)して来(き)た。088一同(いちどう)驚(おどろ)きあわて、089窓(まど)を閉(し)めるやら、090記念(きねん)撮影(さつえい)の為(ため)とて庭(には)に列(なら)べてあつた椅子(いす)を持込(もちこ)むやら混雑(こんざつ)一方(ひとかた)ならず、091皆々(みなみな)呆気(あつけ)に取(と)られて、092暫(しば)し言葉(ことば)もなかつたのである。093稍(やや)あつて『大先生(タアセンシヨン)、094二先生(アルセンシヨン)、095今日(けふ)は写真(しやしん)は駄目(だめ)でせう』と、096さも失望(しつばう)らしい声(こゑ)が聞(きこ)える。097真澄別(ますみわけ)は日出雄(ひでを)の顔(かほ)を見(み)て『ナアニ五(ご)分間(ふんかん)経(た)てば大丈夫(だいぢやうぶ)だ』と云(い)へば、098日出雄(ひでを)はやおら身(み)を起(おこ)して雨中(うちう)に降(お)り立(た)ち、099天(てん)に向(むか)つて『ウー』と大喝(だいかつ)すれば、100風勢(ふうせい)頓(とみ)に衰(おとろ)へ雨(あめ)は漸次(ぜんじ)小降(こぶ)りとなり、101果(はた)して向(むか)ふ五(ご)分間(ふんかん)てふ真澄別(ますみわけ)の宣言(せんげん)に違(たが)はず、102如何(いか)に成(な)り行(ゆ)くかと案(あん)ぜられし暴風雨(ばうふうう)は、103夢(ゆめ)の如(ごと)く消(き)え去(さ)り、104再(ふたた)び日(ひ)は赫々(かくかく)と輝(かがや)きわたり、105空(そら)は元(もと)の如(ごと)く晴朗(せいらう)に澄(す)み切(き)つたのである。106盧(ろ)占魁(せんくわい)は嬉(うれ)しさの余(あま)り、107驚嘆(きやうたん)自失(じしつ)せる人々(ひとびと)の間(あひだ)を立廻(たちまは)り、108自己(じこ)の宣伝(せんでん)の誇大(こだい)にも虚偽(きよぎ)にもあらざるを誇(ほこ)つたといふも真(しん)に無理(むり)ならぬ事(こと)である。
109 茲(ここ)で各営(かくえい)の幹部(かんぶ)一同(いちどう)芽出度(めでたく)撮影(さつえい)の後(のち)、110卓(たく)を囲(かこ)んで会食(くわいしよく)し、111談(はなし)は徹頭(てつとう)徹尾(てつび)此(この)日(ひ)の奇蹟(きせき)に関(くわん)する驚嘆(きやうたん)と讃美(さんび)に終始(しうし)し、112真澄別(ますみわけ)は、113此(この)時(とき)已(すで)に朝来(てうらい)の頭痛(づつう)は忘(わす)れた様(やう)に平癒(へいゆ)しニコニコして何(なに)くれとなく斡旋(あつせん)の労(らう)を執(と)りつつありし温(をん)長興(ちやうこう)を指(さ)し、114『実(じつ)は今朝(こんてう)出発(しゆつぱつ)の際(さい)大先生(だいせんせい)が今日(けふ)の役目(やくめ)を承(うけたまは)るべき竜神(りうじん)を、115温(をん)さんに取(と)り懸(か)けられたので、116それで温(をん)さんは頭(あたま)が痛(いた)かつたのですよ。117つまりあの轎車(けうしや)に竜神(りうじん)が乗(の)つて来(き)たのです』と云(い)へば、118科学(くわがく)万能(ばんのう)かぶれの人(ひと)も、119虚妄(きよまう)と感(かん)ずる余裕(よゆう)もなく思(おも)はず感嘆(かんたん)の詞(ことば)を漏(も)らす外(ほか)はなかつたのである。
120 日(ひ)は漸(やうや)く西天(せいてん)に傾(かたむ)き、121日出雄(ひでを)等(ら)の辞(じ)し去(さ)らむとする頃(ころ)は天候(てんこう)変(かは)りて又(また)もや雨模様(あめもやう)となり、122今(いま)にも空(そら)は綻(ほころ)び相(さう)に見(み)えて居(ゐ)た。123盧(ろ)占魁(せんくわい)等(ら)は『今晩(こんばん)は此処(ここ)にお泊(とま)りになつては如何(いかが)です。124強(た)つてお帰(かへ)りなさるなら、125こんな空模様(そらもやう)ですから、126雨具(あまぐ)を差上(さしあ)げませう』といふのを、127日出雄(ひでを)は『ナアニ俺(おれ)が旅立(たびだ)ちすれば降(ふ)つてゐる雨(あめ)も歇(や)むのだ』と微笑(びせう)し乍(なが)ら、128上(かみ)木局子(もくきよくし)の仮殿(かりどの)指(さ)して帰(かへ)り行(ゆ)く。129果(はた)して日出雄(ひでを)一行(いつかう)の帰着(きちやく)迄(まで)は雨(あめ)の神(かみ)様(さま)も遠慮(ゑんりよ)されたのか、130其(その)帰着(きちやく)と同時(どうじ)に沛然(はいぜん)として、131地上(ちじやう)の塵(ちり)を一時(いちじ)に流(なが)し去(さ)るかの如(ごと)く強雨(がうう)が降(ふ)り注(そそ)いだのである。
132(大正一四、八、筆録)
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