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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
第1章 水火訓
第2章 神示の経綸
第3章 金剛心
第4章 微燈の影
第5章 心の奥
第6章 出征の辞
第7章 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
第8章 聖雄と英雄
第9章 司令公館
第10章 奉天出発
第11章 安宅の関
第12章 焦頭爛額
第13章 洮南旅館
第14章 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
第15章 公爺府入
第16章 蒙古の人情
第17章 明暗交々
第18章 蒙古気質
第19章 仮司令部
第20章 春軍完備
第21章 索倫本営
第4篇 神軍躍動
第22章 木局収ケ原
第23章 下木局子
第24章 木局の月
第25章 風雨叱咤
第26章 天の安河
第27章 奉天の渦
第28章 行軍開始
第29章 端午の日
第30章 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
第31章 強行軍
第32章 弾丸雨飛
第33章 武装解除
第34章 竜口の難
第35章 黄泉帰
第36章 天の岩戸
第37章 大本天恩郷
第38章 世界宗教聯合会
第39章 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
神示の世界経綸
余白歌
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(B)
(N)
奉天出発 >>>
第九章
司令
(
しれい
)
公館
(
こうくわん
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第2篇 奉天より洮南へ
よみ(新仮名遣い):
ほうてんよりとうなんへ
章:
第9章 司令公館
よみ(新仮名遣い):
しれいこうかん
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
日出雄は盧占魁の公館に滞在し、訪ねてくる中国の軍人に対し、通訳を介して神の道を説いていた。また、同道する日本人にシナ服をあつらえ、姓名も中国風に変えてしまった。
盧占魁は日出雄が服をあつらえるときに、密かに有名な観相学者を呼んできて、日出雄の相を仔細に調べさせていたのであった。その結果、三十三相を兼ね備えた天来の救世主であると結論づけられ、それがために盧占魁は日出雄を深く信頼することとなった。これは後になってわかったことである。
一方、張作霖の思惑は、盧占魁を利用して内外蒙古に自分の勢力を伸張することであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
2024/1/6出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-01-07 02:06:43
OBC :
rmnm09
愛善世界社版:
82頁
八幡書店版:
第14輯 577頁
修補版:
校定版:
83頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
蒙古
(
もうこ
)
の
英雄
(
えいいう
)
盧
(
ろ
)
中将
(
ちうじやう
)
の
公館
(
こうくわん
)
には
源
(
みなもと
)
日出雄
(
ひでを
)
、
002
守高
(
もりたか
)
、
003
支那語
(
しなご
)
の
通訳
(
つうやく
)
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
の
三
(
さん
)
名
(
めい
)
が
日夜
(
にちや
)
立籠
(
たてこも
)
り、
004
盧
(
ろ
)
の
副官
(
ふくくわん
)
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
、
005
何
(
か
)
全英
(
ぜんえい
)
、
006
秦宣
(
しんせん
)
、
007
盧
(
ろ
)
重廷
(
ぢうてい
)
の
幹部
(
かんぶ
)
連
(
れん
)
が
日出雄
(
ひでを
)
の
接待役
(
せつたいやく
)
として
008
盧
(
ろ
)
の
命
(
めい
)
に
依
(
よ
)
つて
懇切
(
こんせつ
)
なる
忠勤
(
ちうきん
)
振
(
ぶ
)
りを
発揮
(
はつき
)
してゐた。
009
真澄別
(
ますみわけ
)
や
其
(
その
)
他
(
た
)
の
満州
(
まんしう
)
浪人
(
らうにん
)
連
(
れん
)
は、
010
水也
(
みづや
)
商会
(
しやうくわい
)
其
(
その
)
他
(
た
)
を
策源地
(
さくげんち
)
として
種々
(
しゆじゆ
)
の
協議
(
けふぎ
)
をこらし、
011
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
の
諒解
(
れうかい
)
を
求
(
もと
)
むる
事
(
こと
)
に
奔走
(
ほんそう
)
してゐた。
012
日出雄
(
ひでを
)
は
日々
(
ひび
)
訪
(
たづ
)
ね
来
(
く
)
る
支那
(
しな
)
の
軍人
(
ぐんじん
)
に
対
(
たい
)
し、
013
通訳
(
つうやく
)
を
介
(
かい
)
して
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
を
説
(
と
)
き、
014
難病
(
なんびやう
)
に
苦
(
くる
)
しめる
人
(
ひと
)
等
(
ら
)
を
救
(
すく
)
うてゐた。
015
注意
(
ちうい
)
深
(
ぶか
)
い
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
は
稍
(
やや
)
迷信
(
めいしん
)
に
深
(
ふか
)
い
傾
(
かたむ
)
きがあり、
016
日々
(
ひび
)
三回
(
さんくわい
)
計
(
ばか
)
り
一厘銭
(
いちりんせん
)
を
六
(
ろく
)
枚
(
まい
)
掌
(
てのひら
)
にのせて
素人流
(
しろうとりう
)
の
易占
(
えきせん
)
をやつて、
017
其
(
その
)
吉凶
(
きつきよう
)
によりて
自分
(
じぶん
)
の
行動
(
かうどう
)
を
決定
(
けつてい
)
するのだから、
018
何事
(
なにごと
)
にも
緩慢
(
くわんまん
)
たるを
免
(
まぬが
)
れなかつた。
019
日本側
(
につぽんがは
)
の
同志
(
どうし
)
が
首
(
くび
)
を
鳩
(
あつ
)
めて
定
(
き
)
めておいた
事
(
こと
)
でも、
020
易占
(
うらない
)
が
面白
(
おもしろ
)
くないと
彼
(
かれ
)
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
は、
021
一
(
いち
)
も
二
(
に
)
もなく
否認
(
ひにん
)
して
採用
(
さいよう
)
しない。
022
之
(
これ
)
には
一同
(
いちどう
)
も
大変
(
たいへん
)
に
迷惑
(
めいわく
)
を
感
(
かん
)
じてゐた。
023
最後
(
さいご
)
の
解決
(
かいけつ
)
は
日出雄
(
ひでを
)
の
断定
(
だんてい
)
によるより
道
(
みち
)
はなかつた。
024
日出雄
(
ひでを
)
は
支那人
(
しなじん
)
の
近侍者
(
きんじしや
)
や、
025
日本側
(
につぽんがは
)
に
一々
(
いちいち
)
支那服
(
しなふく
)
を
調
(
しら
)
べて
之
(
これ
)
を
着用
(
ちやくよう
)
せしめ、
026
姓名
(
せいめい
)
も
支那風
(
しなふう
)
に
変
(
か
)
へて
了
(
しま
)
つた。
027
日出雄
(
ひでを
)
は
王
(
わう
)
文祥
(
ぶんしやう
)
、
028
真澄別
(
ますみわけ
)
は
王
(
わう
)
文真
(
ぶんしん
)
、
029
守高
(
もりたか
)
は
王
(
わう
)
守高
(
しゆかう
)
、
030
名田彦
(
なだひこ
)
は
趙徹
(
てうてつ
)
、
031
岡崎
(
をかざき
)
は
侯
(
こう
)
成勲
(
せいくん
)
、
032
大倉
(
おほくら
)
は
石
(
せき
)
大良
(
だいりやう
)
、
033
萩原
(
はぎはら
)
は
王
(
わう
)
敏明
(
びんめい
)
、
034
唐国別
(
からくにわけ
)
は
王
(
わう
)
天海
(
てんかい
)
、
035
佐々木
(
ささき
)
は
王
(
わう
)
昌輝
(
しやうき
)
等
(
とう
)
と
改名
(
かいめい
)
し、
036
支那人
(
しなじん
)
に
化
(
ば
)
け
済
(
す
)
まして
蒙古入
(
もうこいり
)
を
決行
(
けつかう
)
する
準備
(
じゆんび
)
に
取掛
(
とりかか
)
つた。
037
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
は
日出雄
(
ひでを
)
が
支那服
(
しなふく
)
を
誂
(
あつら
)
へた
時
(
とき
)
、
038
ソツと
被服商
(
ひふくしやう
)
の
主人
(
しゆじん
)
に
云
(
い
)
ひ
含
(
ふく
)
め、
039
支那
(
しな
)
にて
有名
(
いうめい
)
なる
観相
(
くわんさう
)
学者
(
がくしや
)
を
呼
(
よ
)
んで
来
(
き
)
て
古来
(
こらい
)
伝説
(
でんせつ
)
にある
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
資格
(
しかく
)
の
有無
(
うむ
)
を
調
(
しら
)
べむため、
040
日出雄
(
ひでを
)
の
骨格
(
こつかく
)
や
容貌
(
ようばう
)
や、
041
目
(
め
)
、
042
口
(
くち
)
、
043
鼻
(
はな
)
、
044
耳
(
みみ
)
等
(
とう
)
の
形
(
かたち
)
から
胸
(
むね
)
のまはり、
045
手足
(
てあし
)
の
長短
(
ちやうたん
)
等
(
とう
)
から、
046
指
(
ゆび
)
の
節々
(
ふしぶし
)
、
047
指紋
(
しもん
)
等
(
とう
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
を
仔細
(
しさい
)
に
調
(
しら
)
べさせた
結果
(
けつくわ
)
、
048
所謂
(
いはゆる
)
三十三
(
さんじふさん
)
相
(
さう
)
を
具備
(
ぐび
)
した
天来
(
てんらい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
だと
云
(
い
)
つた
観相家
(
くわんさうか
)
の
説
(
せつ
)
に、
049
随喜
(
ずゐき
)
の
涙
(
なみだ
)
をこぼし、
050
愈々
(
いよいよ
)
蒙古
(
もうこ
)
王国
(
わうこく
)
建設
(
けんせつ
)
の
真柱
(
まはしら
)
と
仰
(
あふ
)
ぐに
至
(
いた
)
つたのである。
051
かかる
注意
(
ちうい
)
の
下
(
もと
)
に
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
が
日出雄
(
ひでを
)
の
身体
(
しんたい
)
を
調
(
しら
)
べてゐるに
拘
(
かかは
)
らず、
052
日出雄
(
ひでを
)
は
索倫山
(
さうろんざん
)
の
本営
(
ほんえい
)
に
行
(
い
)
つて
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
が
自白
(
じはく
)
するまで、
053
そんな
事
(
こと
)
とは
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
かなかつたのである。
054
観相者
(
くわんさうしや
)
は
特
(
とく
)
に
日出雄
(
ひでを
)
の
掌中
(
しようちう
)
の
四天紋
(
してんもん
)
と
指頭
(
しとう
)
の
皆流紋
(
かいりうもん
)
を
見
(
み
)
て
左
(
さ
)
の
如
(
ごと
)
き
断定
(
だんてい
)
を
下
(
くだ
)
した。
055
掌中四天紋=乾為天
[
※
乾為天(けんいてん)は易の六十四卦の一つ。
]
056
大哉乾元万物資始乃統天雲行雨施品物流形大明終始六位時成時、
057
時乗六竜以御天乾道変化各正性命保合太和乃利貞出庶物万国咸寧。
[
※
これは易経の「乾為天」の解説文。読み下し文の一例を次に記す。──大いなる哉、乾元(けんげん)、万物(ばんぶつ)資(と)りて始(はじ)む。乃ち天を統ぶ。雲(くも)行き雨(あめ)施して、品(ひん)物(ぶつ)形(かたち)を流(し)く。大いに終始を明らかにせば、六位(りくい)時(とき)に成る(底本(全集)では最後に「時」があるがこれは一字多い)。時に六竜(りくりゅう)に乗りて、以て天を御(ぎょ)す。乾道(けんどう)変化して、各(おのおの)性命(せいめい)を正し、大和(だいわ)を保合(ほごう)す(底本(全集)では「大」ではなく「太」になっている)。乃ち利貞(りてい)なり。首(しゅ)として庶物(しょぶつ)に出でて、万国咸(ことごと)く寧(やす)し(底本(全集)では「首」が抜けている)。──参考文献:高島嘉右衛門『高島周易講釈』41頁、大正3年、https://dl.ndl.go.jp/pid/918144/1/33 / 近藤正則「「蘇氏易解」における朱子の蘇軾批判のモチ-フをめぐって」『東洋研究』1996年12月号、41~43頁、https://dl.ndl.go.jp/pid/7912866/1/22
]
058
指紋皆流=坤為地
[
※
坤為地(こんいち)は易の六十四卦の一つ。
]
059
至哉坤元万物資生乃順承天、
060
坤厚載物徳合旡彊、
061
含弘光大品物亨牡馬地類行地旡彊柔順利貞君子攸行、
062
光迷失道、
063
後順得常西南得明乃与類行東北喪明乃終有慶安貞之吉応地旡彊。
[
※
これは易経の「坤為地」の解説文。読み下し文の一例を次に記す。──至れる哉、坤元(こんげん)、万物(ばんぶつ)資(と)りて生ず。乃ち順にして天を承(う)く。坤(こん)厚うして物(もの)を載す。徳(とく)旡彊(むきょう)に合う。含弘光(がんこうこう)大にして、品物(ひんぶつ)咸(ことごと)く亨(とお)る(底本(全集)では「咸」が抜けている)。牡馬(ひんば)は地の類(るい)。地を行くこと彊旡(かぎりな)し。柔順(じゅうじゅん)利貞(りてい)は君子(くんし)の行う攸(ところ)なり。先んずれば迷いて道を失い(底本(全集)では「先」ではなく「光」になっている)、後(おく)るれば順(したが)うて常(つね)を得(う)。西南(せいなん)には朋(とも)を得(え)(底本(全集)では「朋」ではなく「明」になっている)、乃ち類(るい)と行く。東北には朋(とも)を喪(うしな)う(底本(全集)では「朋」ではなく「明」になっている)。乃ち終(つい)に慶び有り。安貞(あんてい)の吉(きつ)は地の旡彊(むきょう)に応ず。──参考文献:前掲『高島周易講釈』46~47頁 / 『易経 天の巻』190~191頁、1965年、ジャーナル社、https://dl.ndl.go.jp/pid/2994748/1/145
]
064
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
は
更
(
さら
)
に
日出雄
(
ひでを
)
の
掌中
(
しようちう
)
に
現
(
あら
)
はれたるキリストが
十字架
(
じふじか
)
上
(
じやう
)
に
於
(
お
)
ける
釘
(
くぎ
)
の
聖痕
(
せいこん
)
や、
065
背
(
せ
)
に
印
(
しる
)
せるオリオン
星座
(
せいざ
)
の
形
(
かたち
)
をなせる
黒子
(
ほくろ
)
等
(
とう
)
を
見
(
み
)
て
非常
(
ひじやう
)
に
驚喜
(
きやうき
)
した。
066
そして
此
(
この
)
次第
(
しだい
)
を
哥老会
(
からうくわい
)
の
耆宿
(
きしゆく
)
揚
(
やう
)
成業
(
せいげふ
)
や
蒙古王
(
もうこわう
)
の
貝勒
(
ばいろく
)
、
067
貝子
(
ばいし
)
鎮国
(
ちんこく
)
公
(
こう
)
を
初
(
はじ
)
め、
068
張
(
ちやう
)
彦三
(
けんさん
)
、
069
張
(
ちやう
)
桂林
(
けいりん
)
、
070
鄒
(
すう
)
秀明
(
しうめい
)
、
071
何
(
か
)
全孝
(
ぜんこう
)
、
072
劉
(
りう
)
陞三
(
しようさん
)
、
073
大英子児
(
タアインヅル
)
、
074
賈孟卿
(
ジヤムチン
)
等
(
とう
)
の
馬賊
(
ばぞく
)
の
頭目
(
とうもく
)
や、
075
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
部下
(
ぶか
)
の
将校
(
しやうかう
)
連
(
れん
)
にも
之
(
これ
)
を
示
(
しめ
)
し、
076
天来
(
てんらい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
だ、
077
此
(
この
)
救世主
(
きうせいしゆ
)
を
頭
(
かしら
)
に
戴
(
いただ
)
いて
内外
(
ないぐわい
)
蒙古
(
もうこ
)
に
活躍
(
くわつやく
)
すれば
成功
(
せいかう
)
疑
(
うたが
)
ひなしと、
078
確信
(
かくしん
)
してゐたのである。
079
それ
故
(
ゆゑ
)
日出雄
(
ひでを
)
は
蒙古
(
もうこ
)
に
入
(
はひ
)
つても
凡
(
すべ
)
ての
上下
(
じやうげ
)
の
人々
(
ひとびと
)
より、
080
非常
(
ひじやう
)
な
尊敬
(
そんけい
)
と
信用
(
しんよう
)
とを
受
(
う
)
けたのである。
081
○
082
ここに
日出雄
(
ひでを
)
と
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
と
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
との
関係
(
くわんけい
)
について
少
(
すこ
)
し
述
(
の
)
べる
必要
(
ひつえう
)
がある。
083
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
は
最近
(
さいきん
)
の
奉直戦
(
ほうちよくせん
)
によつて、
084
自分
(
じぶん
)
の
兵力
(
へいりよく
)
の
足
(
た
)
らない
事
(
こと
)
を
非常
(
ひじやう
)
に
憂慮
(
いうりよ
)
してゐた。
085
万々一
(
まんまんいち
)
再
(
ふたた
)
び
奉直戦
(
ほうちよくせん
)
が
始
(
はじ
)
まらうものなら、
086
軍備
(
ぐんび
)
の
整
(
ととの
)
はない
東三省
(
とうさんしやう
)
は
忽
(
たちま
)
ち
敗北
(
はいぼく
)
の
運命
(
うんめい
)
に
陥
(
おちい
)
り、
087
満州王
(
まんしうわう
)
として
東三省
(
とうさんしやう
)
に
君臨
(
くんりん
)
する
事
(
こと
)
の
不可能
(
ふかのう
)
なるを
知
(
し
)
つてゐた。
088
そこで
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
は
何
(
なん
)
とかして、
089
自分
(
じぶん
)
の
勢力
(
せいりよく
)
を
内外
(
ないぐわい
)
蒙古
(
もうこ
)
に
張
(
は
)
つて
北京
(
ペキン
)
を
背面
(
はいめん
)
から
圧迫
(
あつぱく
)
し、
090
脅威
(
けふゐ
)
し、
091
奉直戦
(
ほうちよくせん
)
の
勃発
(
ぼつぱつ
)
を
防
(
ふせ
)
がうと
内々
(
ないない
)
思
(
おも
)
つてゐたのである。
092
そこで
彼
(
かれ
)
は
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
を
利用
(
りよう
)
して、
093
内外
(
ないぐわい
)
蒙古
(
もうこ
)
に
進出
(
しんしゆつ
)
せしめ、
094
アワよくば
内外
(
ないぐわい
)
蒙古
(
もうこ
)
を
完全
(
くわんぜん
)
に
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて
見
(
み
)
たいと
思
(
おも
)
ふ
野心
(
やしん
)
を
持
(
も
)
つてゐた。
095
今回
(
こんくわい
)
盧
(
ろ
)
が
日出雄
(
ひでを
)
と
提携
(
ていけい
)
して
蒙古
(
もうこ
)
に
大本
(
おほもと
)
王国
(
わうこく
)
を
建設
(
けんせつ
)
するについても、
096
宗教心
(
しうけうしん
)
の
尠
(
すくな
)
い
馬賊
(
ばぞく
)
上
(
あが
)
りの
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
は
[
*
底本(全集)では「張作霖には」だが、校定版や愛善世界社版では「張作霖は」に修正している。霊界物語ネットでもそのように修正した。
]
日出雄
(
ひでを
)
に
対
(
たい
)
しては、
097
あまり
尊敬
(
そんけい
)
を
払
(
はら
)
はなかつた。
098
只
(
ただ
)
うまく
盧
(
ろ
)
を
介
(
かい
)
して
自分
(
じぶん
)
の
目的
(
もくてき
)
のために
利用
(
りよう
)
しようと
思
(
おも
)
つたのみである。
099
さうして
狡猾
(
かうくわつ
)
な
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
は
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
自身
(
じしん
)
の
金
(
かね
)
にて
武器
(
ぶき
)
を
調達
(
てうたつ
)
せよと
云
(
い
)
つて、
100
自分
(
じぶん
)
は
手
(
て
)
ぬらさずに
内外
(
ないぐわい
)
蒙古
(
もうこ
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れようとしたのである。
101
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
も
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
の
遣
(
や
)
り
方
(
かた
)
に
対
(
たい
)
しては、
102
内心
(
ないしん
)
非常
(
ひじやう
)
に
憤慨
(
ふんがい
)
し、
103
応援
(
おうえん
)
をしてくれた
日出雄
(
ひでを
)
に
対
(
たい
)
し、
104
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
に
対
(
たい
)
する
尊敬
(
そんけい
)
と
帰依
(
きえ
)
とを
移
(
うつ
)
して
傾注
(
けいちう
)
する
事
(
こと
)
となつた。
105
そして
日出雄
(
ひでを
)
に
向
(
むか
)
つて
盧
(
ろ
)
は
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
その
指揮
(
しき
)
に
服従
(
ふくじゆう
)
する
事
(
こと
)
を
誓
(
ちか
)
つたのである。
106
奉天
(
ほうてん
)
管内
(
くわんない
)
に
於
(
おい
)
ては
西北
(
せいほく
)
自治軍
(
じちぐん
)
と
云
(
い
)
ふ
名称
(
めいしよう
)
を
旗印
(
はたじるし
)
となし、
107
愈
(
いよいよ
)
索倫山
(
さうろんざん
)
に
行
(
い
)
つて
陣営
(
ぢんえい
)
が
整
(
ととの
)
つた
上
(
うへ
)
は、
108
内外
(
ないぐわい
)
蒙古
(
もうこ
)
救援軍
(
きうえんぐん
)
と
改称
(
かいしよう
)
し、
109
日出雄
(
ひでを
)
を
総大将
(
さうたいしやう
)
として
大経綸
(
だいけいりん
)
を
行
(
おこな
)
ふ
計画
(
けいくわく
)
を
以
(
もつ
)
て、
110
索倫
(
さうろん
)
に
進出
(
しんしゆつ
)
する
事
(
こと
)
を
企
(
くはだ
)
てたのである。
111
日出雄
(
ひでを
)
は
盧
(
ろ
)
の
公館
(
こうくわん
)
に
滞在中
(
たいざいちう
)
、
112
又
(
また
)
もや
数百
(
すうひやく
)
の
詩歌
(
しか
)
を
詠
(
よ
)
んだ。
113
其
(
その
)
一部
(
いちぶ
)
114
路遠蜻蛉洲
115
企回天鴻業
116
同志僅数名
117
頭戴大神教
118
○
119
部下十万兵
120
皆是決死士
121
志節簡直強
122
神命奉頭進
[
※
読み下し文の一例。──路(みち)遠く蜻蛉(せいれい)の洲(くに)、回天の鴻業(こうぎょう)を企つ。同志わずか数名、頭に大神教を戴く。部下、十万の兵、皆これ決死の士なり。志節、簡直(かんちょく)で強し、神命を頭に奉じて進む。
]
123
○
124
国
(
くに
)
のため
世人
(
よびと
)
のために
我
(
われ
)
は
今
(
いま
)
海外
(
かいぐわい
)
万里
(
ばんり
)
の
旅
(
たび
)
にたつかな
125
言葉
(
ことのは
)
の
通
(
かよ
)
はぬ
国
(
くに
)
に
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
生
(
うま
)
れもつかぬ
唖
(
おし
)
となりぬる
126
聖地
(
せいち
)
にて
見
(
み
)
たる
月影
(
つきかげ
)
奉天
(
ほうてん
)
に
眺
(
なが
)
むる
空
(
そら
)
は
殊
(
こと
)
にさやけし
127
大空
(
おほぞら
)
に
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
りつつ
高光
(
たかひか
)
る
奉天
(
ほうてん
)
の
月
(
つき
)
殊
(
こと
)
にさやけし
128
小夜
(
さよ
)
更
(
ふ
)
けて
月
(
つき
)
のみ
独
(
ひと
)
り
大空
(
おほぞら
)
に
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
りつつ
霜
(
しも
)
に
宿
(
やど
)
かる
129
澄
(
す
)
みきりし
月
(
つき
)
の
鏡
(
かがみ
)
を
眺
(
なが
)
めつつ
心
(
こころ
)
うつして
暫
(
しば
)
し
佇
(
たたづ
)
む
130
我
(
わが
)
友
(
とも
)
は
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
にあり
乍
(
なが
)
ら
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
るらむ
瑞月
(
ずゐげつ
)
の
空
(
そら
)
131
月
(
つき
)
見
(
み
)
れば
益々
(
ますます
)
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
つ
清
(
きよ
)
き
姿
(
すがた
)
のたぐひなければ
132
東天
(
とうてん
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
満月
(
まんげつ
)
は
我
(
わが
)
行末
(
ゆくすゑ
)
の
光
(
ひかり
)
とぞ
思
(
おも
)
ふ
133
天
(
あま
)
の
原
(
はら
)
打仰
(
うちあふ
)
ぎつつ
眺
(
なが
)
むれば
日本
(
につぽん
)
に
同
(
おな
)
じ
月
(
つき
)
のかかれる
134
東天
(
とうてん
)
の
大空
(
おほぞら
)
高
(
たか
)
く
澄
(
す
)
む
月
(
つき
)
は
我
(
わが
)
魂
(
たましひ
)
の
鏡
(
かがみ
)
なるらむ
135
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
る
今宵
(
こよひ
)
の
月
(
つき
)
のさやけさに
我
(
わが
)
魂
(
たましひ
)
のささやきを
聞
(
き
)
く
136
明
(
あき
)
らけき
清
(
きよ
)
けき
今宵
(
こよひ
)
の
月影
(
つきかげ
)
を
我
(
わが
)
恋
(
こ
)
ふ
人
(
ひと
)
の
姿
(
すがた
)
とや
見
(
み
)
む
137
我
(
わが
)
恋
(
こ
)
ふる
人
(
ひと
)
の
姿
(
すがた
)
の
映
(
うつ
)
れかしと
月
(
つき
)
の
鏡
(
かがみ
)
を
打仰
(
うちあふ
)
ぎ
見
(
み
)
る
138
我
(
わが
)
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
の
姿
(
すがた
)
のうつれるかと
月
(
つき
)
の
中
(
なか
)
なる
黒点
(
こくてん
)
を
見
(
み
)
る
[
*
「国のため世人のために我は~」以降の「我」8ヶ所は全て、底本(全集)では「我」だが、校定版や愛善世界社版では「吾」に修正している。
]
139
(
大正一四、八
、筆録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
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霊界物語
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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特別編 入蒙記
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【第9章 司令公館|特別編 入蒙記|山河草木|霊界物語|/rmnm09】
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