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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
第1章 水火訓
第2章 神示の経綸
第3章 金剛心
第4章 微燈の影
第5章 心の奥
第6章 出征の辞
第7章 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
第8章 聖雄と英雄
第9章 司令公館
第10章 奉天出発
第11章 安宅の関
第12章 焦頭爛額
第13章 洮南旅館
第14章 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
第15章 公爺府入
第16章 蒙古の人情
第17章 明暗交々
第18章 蒙古気質
第19章 仮司令部
第20章 春軍完備
第21章 索倫本営
第4篇 神軍躍動
第22章 木局収ケ原
第23章 下木局子
第24章 木局の月
第25章 風雨叱咤
第26章 天の安河
第27章 奉天の渦
第28章 行軍開始
第29章 端午の日
第30章 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
第31章 強行軍
第32章 弾丸雨飛
第33章 武装解除
第34章 竜口の難
第35章 黄泉帰
第36章 天の岩戸
第37章 大本天恩郷
第38章 世界宗教聯合会
第39章 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
神示の世界経綸
余白歌
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霊界物語
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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特別編 入蒙記
> 第2篇 奉天より洮南へ > 第12章 焦頭爛額
<<< 安宅の関
(B)
(N)
洮南旅館 >>>
第一二章
焦頭
(
せうとう
)
爛額
(
らんがく
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第2篇 奉天より洮南へ
よみ(新仮名遣い):
ほうてんよりとうなんへ
章:
第12章 焦頭爛額
よみ(新仮名遣い):
しょうとうらんがく
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
昌図府で役人からいらぬ詮索を受けたため、日出雄と岡崎は、先に大四家子まで進んだ。
その間に奉天から、故障した自動車の修理部品が届いたので修理にかかっていたが、破損がはなはだしいために、時間がかかっていた。
ちょうど自動車の修理を終わったところへ、日本領事館員が官憲をつれて、宿に臨検に来たところであったので、残りの者は急いで荷物を積み込むと、逃げるように大四家子まで自動車を駆って来た。
大四家子で王昌紳氏宅に一泊して饗応を受けた。次の日には一行はまた自動車で茫漠たる大平原を疾走した。
途中、支那兵の一隊にであったり、またもや自動車が故障して修理にかかったりなどして道を進んでいった。道なき道を行く道中は苦労の連続で、車の動揺のたびに頭を打ち、尻を打ち、後の車が前の車に衝突したりした。守高は車体のガラスが破壊して破片を浴び、眼のあたりを負傷した。
ようやく旧四平街に到着したのは、午後三時半ごろであった。自動車は再び大破損し、もはや動くことができなくなったので、やむを得ず荷馬車二台を雇った。
新四平街の貿易商・奥村幹造氏宅に到着したのは午後五時三十分ごろであった。一行はここで久しぶりに日本食を供せられ、日本風呂を振舞われた。この後は四平街駅から列車で鄭家屯に向かうことに決まった。
列車は途中で何度も故障し、修理に何時間も費やしながらゆっくりと進んでいった。その間に、奉天から列車で出発していた真澄別一行は、三月六日の午前零時二十分ごろに洮南駅に到着していた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
2024/1/11出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-01-12 20:48:29
OBC :
rmnm12
愛善世界社版:
105頁
八幡書店版:
第14輯 586頁
修補版:
校定版:
106頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
翌
(
よく
)
五日
(
いつか
)
の
午前
(
ごぜん
)
三
(
さん
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
奉天
(
ほうてん
)
から
機械
(
きかい
)
を
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たので、
002
直様
(
すぐさま
)
自動車
(
じどうしや
)
の
修繕
(
しうぜん
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
した。
003
何分
(
なにぶん
)
破損
(
はそん
)
が
甚
(
はなは
)
だしいので
容易
(
ようい
)
に
修繕
(
しうぜん
)
が
出来
(
でき
)
なかつた。
004
日出雄
(
ひでを
)
と
岡崎
(
をかざき
)
とは
七時
(
しちじ
)
半
(
はん
)
一台
(
いちだい
)
の
自動車
(
じどうしや
)
を
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
に
操縦
(
さうじう
)
させ
乍
(
なが
)
ら、
005
二十
(
にじふ
)
支里
(
しり
)
の
地点
(
ちてん
)
なる
昌図
(
しやうと
)
の
北
(
きた
)
、
006
大
(
だい
)
四家子
(
しかし
)
の
王
(
わう
)
昌紳
(
しやうしん
)
の
宅
(
たく
)
に
安着
(
あんちやく
)
し、
007
自動車
(
じどうしや
)
を
門内
(
もんない
)
深
(
ふか
)
く
入
(
い
)
れおき、
008
守高
(
もりたか
)
等
(
ら
)
の
自動車
(
じどうしや
)
を
一
(
いち
)
時間
(
じかん
)
許
(
ばか
)
り
待
(
ま
)
つてゐた。
009
あまり
遅
(
おそ
)
いので
自動車
(
じどうしや
)
の
荷物
(
にもつ
)
を
全部
(
ぜんぶ
)
下
(
おろ
)
し、
010
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
は
一名
(
いちめい
)
の
運転手
(
うんてんしゆ
)
をつれて
再
(
ふたた
)
び
昌図
(
しやうと
)
三号
(
さんがう
)
の
木賃
(
もくちん
)
ホテルに
引返
(
ひきかへ
)
した。
011
恰度
(
ちやうど
)
大破損
(
だいはそん
)
した
自動車
(
じどうしや
)
の
修繕
(
しうぜん
)
を
全
(
まつた
)
く
終
(
をは
)
り、
012
荷物
(
にもつ
)
を
積
(
つ
)
み
込
(
こ
)
んだ
所
(
ところ
)
へ
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
員
(
ゐん
)
が
警官
(
けいくわん
)
を
二三
(
にさん
)
名
(
めい
)
引連
(
ひきつ
)
れて
臨検
(
りんけん
)
に
来
(
き
)
た。
013
そして
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
の
自動車
(
じどうしや
)
と
共
(
とも
)
に
三号店
(
さんがうてん
)
の
門
(
もん
)
へ
這入
(
はひ
)
つた。
014
日本
(
につぽん
)
官吏
(
くわんり
)
は
直
(
ただ
)
ちに
三号店
(
さんがうてん
)
内
(
ない
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
015
調査
(
てうさ
)
して
居
(
ゐ
)
る
間
(
あひだ
)
に、
016
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
は
全速力
(
ぜんそくりよく
)
を
出
(
だ
)
して
自動車
(
じどうしや
)
を
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
し、
017
日出雄
(
ひでを
)
が
待
(
ま
)
つてゐる
大
(
だい
)
四家子
(
しかし
)
の
館
(
やかた
)
を
指
(
さ
)
して
驀地
(
まつしぐら
)
に
二台
(
にだい
)
ともやつて
来
(
き
)
た。
018
王
(
わう
)
昌紳
(
しやうしん
)
の
宅
(
たく
)
は
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
大家族
(
だいかぞく
)
で
何処
(
どこ
)
となく
気品
(
きひん
)
の
高
(
たか
)
い
風貌
(
ふうばう
)
をしてゐた。
019
此処
(
ここ
)
の
家族
(
かぞく
)
は
日本
(
につぽん
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
来
(
きた
)
れりと
云
(
い
)
つて、
020
大
(
おほ
)
いに
歓待
(
くわんたい
)
し、
021
高粱
(
かうりやう
)
や
支那米
(
しなまい
)
のお
粥
(
かゆ
)
や
鶏卵
(
けいらん
)
等
(
とう
)
を
煮
(
に
)
て
饗応
(
きやうおう
)
した。
022
一同
(
いちどう
)
は
互
(
たがひ
)
に
無事
(
ぶじ
)
を
喜
(
よろこ
)
び
当家
(
たうけ
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げ、
023
茫漠
(
ばうばく
)
たる
大荒原
(
だいくわうげん
)
を
十
(
じふ
)
支里
(
しり
)
許
(
ばか
)
り
疾走
(
しつそう
)
すると
024
二百
(
にひやく
)
名
(
めい
)
許
(
ばか
)
りの
支那兵
(
しなへい
)
の
一隊
(
いつたい
)
に
出会
(
でつくわ
)
した。
025
王
(
わう
)
樹棠
(
じゆだう
)
は
一切
(
いつさい
)
構
(
かま
)
はず
兵隊
(
へいたい
)
の
列
(
れつ
)
を
目
(
め
)
あてに、
026
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆
(
かけ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
027
殆
(
ほと
)
んど
三十
(
さんじつ
)
分
(
ぷん
)
許
(
ばか
)
り
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した
時
(
とき
)
に、
028
又
(
また
)
もや
機械
(
きかい
)
の
損傷
(
そんしやう
)
を
来
(
きた
)
し、
029
一
(
いち
)
時間
(
じかん
)
許
(
ばか
)
り
時間
(
じかん
)
を
費
(
つひや
)
して
修繕
(
しうぜん
)
に
取掛
(
とりかか
)
つた。
030
丘陵
(
きうりよう
)
や
畑
(
はた
)
や
川
(
かは
)
の
区別
(
くべつ
)
なく、
031
西北
(
せいほく
)
の
空
(
そら
)
を
目
(
め
)
あてに
難路
(
なんろ
)
を
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
豪胆
(
がうたん
)
不敵
(
ふてき
)
の
行動
(
かうどう
)
に、
032
旅行
(
たびゆ
)
く
人馬
(
じんば
)
が
驚
(
おどろ
)
いて
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
逃
(
に
)
げ
廻
(
まは
)
る。
033
大車
(
だいしや
)
を
曳
(
ひ
)
いてゐる
馬
(
うま
)
の
群
(
むれ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
溝
(
みぞ
)
の
中
(
なか
)
に
顛倒
(
てんたう
)
する。
034
其
(
その
)
中
(
うち
)
に
次
(
つぎ
)
から
次
(
つぎ
)
へ
来
(
く
)
る
牛車
(
ぎうしや
)
や
馬車
(
ばしや
)
が
折重
(
をりかさ
)
なつて
顛倒
(
てんたう
)
する
有様
(
ありさま
)
は、
035
実
(
じつ
)
に
可笑
(
をか
)
しくもあれば
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
でもある。
036
車
(
くるま
)
の
動揺
(
どうえう
)
につれて
日出雄
(
ひでを
)
等
(
ら
)
は
幾度
(
いくど
)
となく
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
ち
臀
(
しり
)
を
打
(
う
)
ち、
037
時々
(
ときどき
)
後
(
あと
)
の
自動車
(
じどうしや
)
が、
038
前
(
まへ
)
の
自動車
(
じどうしや
)
に
衝突
(
しようとつ
)
したり、
039
車体
(
しやたい
)
のガラスが
破壊
(
はくわい
)
して
守高
(
もりたか
)
は
破片
(
はへん
)
の
雨
(
あめ
)
を
全面
(
ぜんめん
)
に
浴
(
あ
)
び、
040
眼辺
(
がんへん
)
に
負傷
(
ふしやう
)
し、
041
ダラダラと
血
(
ち
)
を
流
(
なが
)
してゐる。
042
かくして
漸
(
やうや
)
く
旧
(
きう
)
四平街
(
しへいがい
)
に
安着
(
あんちやく
)
したのは
午後
(
ごご
)
三
(
さん
)
時
(
じ
)
半
(
はん
)
頃
(
ごろ
)
であつた。
043
自動車
(
じどうしや
)
が
再
(
ふたた
)
び
大破損
(
だいはそん
)
を
為
(
な
)
し、
044
最早
(
もは
)
や
動
(
うご
)
く
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬので、
045
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
荷馬車
(
にばしや
)
二台
(
にだい
)
を
雇
(
やと
)
ひ
寒風
(
かんぷう
)
に
曝
(
さら
)
され
乍
(
なが
)
ら
新
(
しん
)
四平街
(
しへいがい
)
の
貿易商
(
ぼうえきしやう
)
奥村
(
おくむら
)
幹造
(
かんざう
)
氏
(
し
)
の
宅
(
たく
)
に
安着
(
あんちやく
)
したのは
午後
(
ごご
)
五
(
ご
)
時
(
じ
)
三十
(
さんじつ
)
分
(
ぷん
)
頃
(
ごろ
)
であつた。
046
此処
(
ここ
)
の
宅
(
たく
)
で
日出雄
(
ひでを
)
等
(
ら
)
は
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
日本食
(
につぽんしよく
)
を
饗
(
きやう
)
せられ、
047
鶏肉
(
とりにく
)
の
鍋
(
なべ
)
を
囲
(
かこ
)
んで
舌鼓
(
したつづみ
)
を
打
(
う
)
つた。
048
途中
(
とちう
)
開原
(
かいげん
)
で
朝飯
(
てうはん
)
を
食
(
く
)
つたきり
今日
(
けふ
)
まで
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
も
車掌
(
しやしやう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
も
昼夜
(
ちうや
)
の
区別
(
くべつ
)
なく、
049
碌
(
ろく
)
に
飯
(
めし
)
も
食
(
く
)
はなかつたが
元気
(
げんき
)
は
益々
(
ますます
)
旺盛
(
わうせい
)
であつた。
050
当夜
(
たうや
)
は
奥村
(
おくむら
)
方
(
かた
)
に
一泊
(
いつぱく
)
し
洮南府
(
たうなんふ
)
の
日本
(
につぽん
)
居留民
(
きよりうみん
)
会長
(
くわいちやう
)
平馬
(
へいま
)
慎太郎
(
しんたらう
)
氏
(
し
)
の
案内
(
あんない
)
で、
051
四平街
(
しへいがい
)
駅
(
えき
)
から
鄭家屯
(
ていかとん
)
に
向
(
むか
)
ふ
事
(
こと
)
と
決
(
きま
)
つた。
052
当家
(
たうけ
)
にて
久々
(
ひさびさ
)
にて
日本
(
につぽん
)
風呂
(
ぶろ
)
に
入浴
(
にふよく
)
し、
053
汗
(
あせ
)
や
垢
(
あか
)
を
落
(
おと
)
し
翌
(
よく
)
早朝
(
さうてう
)
四平街
(
しへいがい
)
より
列車
(
れつしや
)
の
客
(
きやく
)
となつた。
054
此
(
この
)
日
(
ひ
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
陽気
(
やうき
)
暖
(
あたた
)
かく
支那服
(
しなふく
)
の
上着
(
うはぎ
)
を
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
二
(
に
)
枚
(
まい
)
と
次々
(
つぎつぎ
)
に
脱
(
ぬ
)
ぎ、
055
窓
(
まど
)
を
開
(
あ
)
けて
茫々
(
ばうばう
)
たる
大原野
(
だいげんや
)
の
風
(
かぜ
)
に
当
(
あた
)
りつつ
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
056
午後
(
ごご
)
六
(
ろく
)
時
(
じ
)
五十
(
ごじつ
)
分
(
ぷん
)
鄭家屯
(
ていかとん
)
駅
(
えき
)
下車
(
げしや
)
、
057
山本
(
やまもと
)
熊之
(
くまゆき
)
氏
(
し
)
方
(
かた
)
に
一泊
(
いつぱく
)
する
事
(
こと
)
となつた。
058
岡崎
(
をかざき
)
、
059
平馬
(
へいま
)
、
060
守高
(
もりたか
)
、
061
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は、
062
日本
(
につぽん
)
の
東屋
(
あづまや
)
と
云
(
い
)
ふ
料理店
(
れうりてん
)
に
於
(
おい
)
て
063
牛飲
(
ぎういん
)
馬食
(
ばしよく
)
会
(
くわい
)
を
開
(
ひら
)
き
大変
(
たいへん
)
なメートルを
上
(
あ
)
げ、
064
お
多福
(
たふく
)
仲居
(
なかゐ
)
や、
065
豚
(
ぶた
)
芸者
(
げいしや
)
が
盃盤
(
はいばん
)
の
間
(
あひだ
)
を
斡旋
(
あつせん
)
し、
066
大
(
おほ
)
いに
豪傑
(
がうけつ
)
振
(
ぶ
)
りを
発揮
(
はつき
)
したが、
067
翌
(
よく
)
早朝
(
さうてう
)
日出雄
(
ひでを
)
が
泊
(
とま
)
つて
居
(
ゐ
)
る
山本
(
やまもと
)
方
(
かた
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り
直
(
ただ
)
ちに
停車場
(
ていしやぢやう
)
へと
駆
(
か
)
けつけた。
068
正
(
まさ
)
に
午前
(
ごぜん
)
六
(
ろく
)
時
(
じ
)
三十
(
さんじつ
)
分
(
ぷん
)
である。
069
臥虎屯
(
がことん
)
駅
(
えき
)
の
西北
(
せいほく
)
の
方
(
はう
)
に
土饅頭
(
どまんじう
)
形
(
がた
)
の
宝裏山
(
ほうりざん
)
が、
070
大原野
(
だいげんや
)
の
寂寞
(
じやくまく
)
を
破
(
やぶ
)
つて
端然
(
たんぜん
)
として
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
071
饅頭
(
まんじう
)
を
伏
(
ふ
)
せた
様
(
やう
)
な
山
(
やま
)
で
蒙古
(
もうこ
)
七山
(
しちざん
)
の
一
(
ひとつ
)
なりと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
である。
072
此
(
この
)
洮南
(
たうなん
)
鉄道
(
てつだう
)
は
去
(
さ
)
る
一
(
いち
)
月
(
ぐわつ
)
初
(
はじ
)
めて
試運転
(
しうんてん
)
を
行
(
おこな
)
ひ
漸
(
やうや
)
く
鉄路
(
てつろ
)
が
固
(
かた
)
まつた
所
(
ところ
)
で、
073
殊
(
こと
)
にその
汽車
(
きしや
)
は
満鉄
(
まんてつ
)
の
古物
(
ふるもの
)
許
(
ばか
)
りで
途中
(
とちう
)
機関
(
きくわん
)
に
損傷
(
そんしやう
)
を
来
(
き
)
たし、
074
茂林
(
もりん
)
駅
(
えき
)
の
手前
(
てまへ
)
で
七
(
しち
)
時間
(
じかん
)
許
(
ばか
)
りも
立往生
(
たちわうじやう
)
をした。
075
岡崎
(
をかざき
)
は
支那
(
しな
)
の
将校
(
しやうかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
相手
(
あひて
)
に
談論
(
だんろん
)
風発
(
ふうはつ
)
盛
(
さか
)
んにメートルを
挙
(
あ
)
げ、
076
三蔵
(
さんざう
)
法師
(
ほふし
)
について
行
(
い
)
つた
猪八戒
(
ちよはつかい
)
式
(
しき
)
を
発揮
(
はつき
)
し、
077
日出雄
(
ひでを
)
を
煙
(
けむ
)
に
巻
(
ま
)
いた。
078
蒙古
(
もうこ
)
名物
(
めいぶつ
)
の
黄塵
(
くわうぢん
)
万丈
(
ばんじやう
)
も
岡崎
(
をかざき
)
の
鼻息
(
はないき
)
には
跣足
(
はだし
)
で
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
しさうであつた。
079
汽車
(
きしや
)
の
途中
(
とちう
)
停車
(
ていしや
)
を
怪
(
あや
)
しんで、
080
附近
(
ふきん
)
の
村落
(
そんらく
)
より
蒙古人
(
もうこじん
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
だんぢよ
)
が
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
許
(
ばか
)
り
物珍
(
ものめづ
)
らしさうに
集
(
あつ
)
まつて
来
(
き
)
た。
081
そして
呑気
(
のんき
)
さうに
長
(
なが
)
い
煙管
(
きせる
)
で
煙草
(
たばこ
)
をパクついて
居
(
ゐ
)
た。
082
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
ても
日本
(
につぽん
)
の
神代
(
かみよ
)
は
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
く
呑気
(
のんき
)
であつたらう
等
(
など
)
と、
083
歴史
(
れきし
)
を
遡
(
さかのぼ
)
つて
日出雄
(
ひでを
)
は
冥想
(
めいさう
)
に
耽
(
ふけ
)
つた。
084
日出雄
(
ひでを
)
は
車中
(
しやちう
)
に
於
(
おい
)
て
数十
(
すうじつ
)
首
(
しゆ
)
の
和歌
(
わか
)
を
詠
(
えい
)
じた。
085
その
内
(
うち
)
の
一部
(
いちぶ
)
を
左
(
さ
)
に
録
(
ろく
)
する。
086
際
(
はて
)
しなき
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
を
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
我
(
わが
)
魂
(
たましひ
)
の
勇
(
いさ
)
みけるかな
087
天
(
あめ
)
も
地
(
つち
)
も
一
(
ひと
)
つになりて
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
広野
(
ひろの
)
の
蓆
(
むしろ
)
敷
(
し
)
きて
我
(
われ
)
待
(
ま
)
つ
088
漸
(
やうや
)
くに
安宅
(
あたか
)
の
関
(
せき
)
をくぐり
抜
(
ぬ
)
け
今
(
いま
)
は
蒙古
(
もうこ
)
の
広野
(
くわうや
)
を
走
(
はし
)
る
089
早
(
は
)
や
已
(
すで
)
に
蒙古
(
もうこ
)
の
国
(
くに
)
を
握
(
にぎ
)
りたる
如
(
ごと
)
き
心地
(
ここち
)
し
意気
(
いき
)
天
(
てん
)
を
衝
(
つ
)
く
090
風
(
かぜ
)
清
(
きよ
)
く
日
(
ひ
)
はうららかに
枯野原
(
かれのはら
)
春
(
はる
)
めき
立
(
た
)
ちて
陽炎
(
かげらふ
)
燃
(
も
)
ゆる
091
事
(
こと
)
ならば
我
(
わが
)
同胞
(
はらから
)
を
招
(
まね
)
き
寄
(
よ
)
せ
新楽園
(
しんらくゑん
)
に
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむ
092
五五
(
ごご
)
と
云
(
い
)
ふ
日数
(
ひかづ
)
重
(
かさ
)
ねて
漸
(
やうや
)
くに
宝
(
たから
)
の
国
(
くに
)
に
入
(
い
)
りし
我
(
われ
)
かな
093
際限
(
さいげん
)
も
知
(
し
)
らぬ
原野
(
げんや
)
の
真中
(
まんなか
)
に
蒙古
(
もうこ
)
の
人家
(
じんか
)
チラチラ
見
(
み
)
ゆる
094
一点
(
いつてん
)
の
曇
(
くも
)
りさへなき
大空
(
おほぞら
)
は
地平線
(
ちへいせん
)
上
(
じやう
)
に
下
(
くだ
)
りて
見
(
み
)
ゆる
095
木
(
き
)
も
草
(
くさ
)
も
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
ぬ
蒙古人
(
もうこじん
)
は
空
(
そら
)
の
月
(
つき
)
星
(
ほし
)
花
(
はな
)
と
見
(
み
)
るらむ
096
積
(
つ
)
む
雪
(
ゆき
)
の
凍
(
こほ
)
れる
上
(
うへ
)
を
日
(
ひ
)
の
照
(
て
)
りて
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
も
大海
(
だいかい
)
と
見
(
み
)
ゆ
097
海
(
うみ
)
の
潮
(
しほ
)
光
(
ひか
)
ると
許
(
ばか
)
り
疑
(
うたが
)
はる
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
の
雪
(
ゆき
)
に
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
り
[
*
「際しなき」以降、「我」が4ヶ所あるが、3つ目(事ならば我)を除く3ヶ所は、校定版・愛善世界社版では「吾」に修正されている。底本(全集)では4ヶ所全て「我」。
]
098
際限
(
さいげん
)
もなき
大荒原
(
だいくわうげん
)
の
中
(
なか
)
に
土室
(
つちむろ
)
の
如
(
ごと
)
き
人家
(
じんか
)
がポツリポツリと
建並
(
たちなら
)
び、
099
車窓
(
しやさう
)
より
眺
(
ながむ
)
れば
陸
(
りく
)
の
大洋
(
たいやう
)
に
舟
(
ふね
)
の
浮
(
うか
)
んだ
様
(
やう
)
である。
100
遠
(
とほ
)
く
眼
(
め
)
を
放
(
はな
)
てば
楊柳
(
やうりう
)
の
立木
(
たちき
)
が
大原野
(
だいげんや
)
の
単調
(
たんてう
)
を
破
(
やぶ
)
つて、
101
コンモリと
黒
(
くろ
)
ずんだ
森
(
もり
)
をなしてゐる。
102
大平川
(
たいへいせん
)
駅
(
えき
)
にて
又
(
また
)
もや
汽車
(
きしや
)
は
停車
(
ていしや
)
し、
103
給水
(
きふすゐ
)
やなんかでゴテゴテと
約
(
やく
)
一
(
いち
)
時間
(
じかん
)
余
(
よ
)
を
費
(
つひや
)
した。
104
岡崎
(
をかざき
)
は、
105
岡崎
『エー、
106
此
(
この
)
ボロ
汽車
(
きしや
)
奴
(
め
)
、
107
まるで
蛞蝓
(
なめくぢら
)
の
江戸行
(
えどゆき
)
見
(
み
)
たやうだ』
108
と
口角
(
こうかく
)
に
泡
(
あは
)
を
飛
(
と
)
ばして
怒
(
おこ
)
り
出
(
だ
)
した。
109
日出雄
(
ひでを
)
は
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
110
日出雄
『
岡崎
(
をかざき
)
さん、
111
汽車
(
きしや
)
が
動
(
うご
)
かなけりや
仕方
(
しかた
)
がないから
気
(
き
)
を
利
(
き
)
かして
徒歩
(
かち
)
と
出掛
(
でか
)
け、
112
次
(
つぎ
)
の
駅
(
えき
)
で
汽車
(
きしや
)
を
待
(
ま
)
つて
乗
(
の
)
り
換
(
か
)
へたら、
113
それ
丈
(
だ
)
け
早
(
はや
)
く
洮南
(
たうなん
)
駅
(
えき
)
に
着
(
つ
)
くだらう。
114
アハヽヽヽ』
115
と
馬鹿口
(
ばかぐち
)
をたたく、
116
支那
(
しな
)
の
商人
(
せうにん
)
が
岡崎
(
をかざき
)
を
見
(
み
)
て、
117
商人
『
貴下
(
きか
)
は
何処
(
どこ
)
まで
行
(
ゆ
)
かるるか、
118
何
(
なん
)
の
用
(
よう
)
があつて
旅行
(
りよかう
)
されるのか』
119
と
不思議
(
ふしぎ
)
さうに
問
(
と
)
ふ。
120
岡崎
(
をかざき
)
『
馬鹿
(
ばか
)
を
云
(
い
)
ふな、
121
用
(
よう
)
のない
者
(
もの
)
が
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
つて
旅
(
たび
)
をするか、
122
余計
(
よけい
)
な
世話
(
せわ
)
を
焼
(
や
)
くと
張
(
は
)
りとばすぞ、
123
貴様
(
きさま
)
のやうな
俺
(
おれ
)
は
商人
(
せうにん
)
ではないぞ、
124
金箔付
(
きんぱくつき
)
の
東三省
(
とうさんしやう
)
の
高等官
(
かうとうくわん
)
だ』
125
とエライ
馬力
(
ばりき
)
で
叱
(
しか
)
り
飛
(
と
)
ばす。
126
(日出雄)
『
日本人
(
につぽんじん
)
は
支那人
(
しなじん
)
に
対
(
たい
)
し、
127
凡
(
すべ
)
てがこんな
調子
(
てうし
)
だから
何程
(
なにほど
)
日支
(
につし
)
親善
(
しんぜん
)
を
叫
(
さけ
)
んでも
駄目
(
だめ
)
だなア』
128
と
日出雄
(
ひでを
)
は
独語
(
どくご
)
した。
129
洮南
(
たうなん
)
着
(
ちやく
)
の
時間
(
じかん
)
は
午後
(
ごご
)
四
(
よ
)
時
(
じ
)
二十
(
にじふ
)
分
(
ぷん
)
である。
130
然
(
しか
)
るに
汽車
(
きしや
)
はまだ
大平川
(
たいへいせん
)
駅
(
えき
)
に
焦
(
こ
)
げついてゐる。
131
(守高)
『
真澄別
(
ますみわけ
)
一行
(
いつかう
)
は
寒
(
さむ
)
い
停車場
(
ていしやぢやう
)
に
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
を
阿呆
(
あはう
)
待
(
ま
)
ちしてゐるだらう。
132
僕
(
ぼく
)
は
洮南
(
たうなん
)
着
(
ちやく
)
で
初
(
はじ
)
めて
三日月
(
みかづき
)
を
見
(
み
)
る
積
(
つも
)
りだから
133
一寸
(
ちよつと
)
まじない
をして
汽車
(
きしや
)
を
止
(
と
)
めてゐるのだ、
134
アハヽヽヽ』
135
と
阿呆口
(
あはうぐち
)
を
云
(
い
)
つてゐるのは
守高
(
もりたか
)
であつた。
136
通訳
(
つうやく
)
の
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
は
何処
(
どこ
)
ともなく
元気
(
げんき
)
がない。
137
青白
(
あをじろ
)
い
顔
(
かほ
)
して
横
(
よこ
)
になり、
138
鼻
(
はな
)
を
掻
(
か
)
き
撫
(
な
)
でてはウンウンと
大声
(
おほごゑ
)
に
唸
(
うな
)
り、
139
暫
(
しばら
)
くしては
又
(
また
)
キヨロリと
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
け、
140
窓外
(
さうぐわい
)
を
不足
(
ふそく
)
相
(
さう
)
な
顔
(
かほ
)
をして
眺
(
なが
)
めてゐる。
141
持病
(
ぢびやう
)
の
睾丸炎
(
かうぐわんえん
)
が
再発
(
さいはつ
)
したからであつた。
142
太陽
(
たいやう
)
は
地平線
(
ちへいせん
)
上
(
じやう
)
に
近
(
ちか
)
づけどまだ
洮南
(
たうなん
)
は
遥
(
はる
)
かなりけり
143
ぐづ
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
りて
荒原
(
くわうげん
)
馳
(
は
)
せ
行
(
ゆ
)
けば
欠伸
(
あくび
)
の
玉
(
たま
)
の
連発
(
れんぱつ
)
となる
144
車上
(
しやじやう
)
の
懐古
(
くわいこ
)
145
汽車
(
きしやは
)
破壊
(
はくわいす
)
昌図街
(
しやうとがい
)
[
*
フリガナ「しやうと」は底本(全集)では「しやうづ」。
]
146
危険
(
きけん
)
刻々
(
こくこく
)
迫我隊
(
わがたいにせまる
)
147
巡警
(
じゆんけい
)
兵士
(
へいし
)
日警官
(
にちけいくわん
)
148
窺間
(
かんをうかがひて
)
一行
(
いつかう
)
急
(
きふに
)
遁晦
(
とんくわいす
)
149
因
(
ちなみ
)
に
真澄別
(
ますみわけ
)
一行
(
いつかう
)
は、
150
三
(
さん
)
月
(
ぐわつ
)
三日
(
みつか
)
午後
(
ごご
)
十一
(
じふいち
)
時
(
じ
)
十分
(
じふぶん
)
奉天
(
ほうてん
)
駅
(
えき
)
発
(
はつ
)
長春
(
ちやうしゆん
)
行
(
ゆき
)
列車
(
れつしや
)
に
搭乗
(
たふじよう
)
し、
151
四日
(
よつか
)
午前
(
ごぜん
)
五
(
ご
)
時
(
じ
)
半
(
はん
)
四平街
(
しへいがい
)
着
(
ちやく
)
、
152
植半
(
うゑはん
)
旅館
(
りよくわん
)
にて
朝餐
(
てうさん
)
を
喫
(
きつ
)
し、
153
同日
(
どうじつ
)
午前
(
ごぜん
)
八
(
はち
)
時
(
じ
)
半
(
はん
)
四平街
(
しへいがい
)
発
(
はつ
)
154
正午前
(
しやうごまへ
)
鄭家屯
(
ていかとん
)
着
(
ちやく
)
、
155
ホテルに
投宿
(
とうしゆく
)
した。
156
そして
三
(
さん
)
月
(
ぐわつ
)
五日
(
いつか
)
午前
(
ごぜん
)
六
(
ろく
)
時
(
じ
)
半
(
はん
)
発
(
はつ
)
列車
(
れつしや
)
にて
洮南
(
たうなん
)
に
向
(
むか
)
つた。
157
中途
(
ちうと
)
三林
(
さんりん
)
駅
(
えき
)
を
発
(
はつ
)
し
間
(
ま
)
もなく、
158
機関車
(
きくわんしや
)
に
故障
(
こしやう
)
を
起
(
おこ
)
し
159
列車
(
れつしや
)
は
荒野
(
くわうや
)
の
真中
(
まんなか
)
に
立往生
(
たちわうじやう
)
した。
160
係員
(
かかりゐん
)
は
東奔
(
とうほん
)
西走
(
せいそう
)
して
遂
(
つひ
)
に
鄭家屯
(
ていかとん
)
より
救援
(
きうゑん
)
機関車
(
きくわんしや
)
を
引張
(
ひつぱ
)
つて
来
(
き
)
て
漸
(
やうや
)
く
進行
(
しんかう
)
し
始
(
はじ
)
めた。
161
時
(
とき
)
に
午後
(
ごご
)
四
(
よ
)
時
(
じ
)
、
162
沿道
(
えんだう
)
の
馬賊
(
ばぞく
)
の
襲来
(
しふらい
)
に
対
(
たい
)
する
警戒
(
けいかい
)
物々
(
ものもの
)
しき
中
(
なか
)
を
列車
(
れつしや
)
は
遅々
(
ちち
)
として
運転
(
うんてん
)
し、
163
夜
(
よ
)
十二
(
じふに
)
時
(
じ
)
を
過
(
す
)
ぐる
二十
(
にじふ
)
分
(
ぷん
)
洮南
(
たうなん
)
駅
(
えき
)
に
到着
(
たうちやく
)
した。
164
一行
(
いつかう
)
は
洮南
(
たうなん
)
旅館
(
りよくわん
)
のボーイに
迎
(
むか
)
へられ
支那
(
しな
)
馬車
(
ばしや
)
二台
(
にだい
)
に
分乗
(
ぶんじやう
)
し、
165
銃剣
(
じうけん
)
をつけたる
兵隊
(
へいたい
)
に
護
(
まも
)
られつつ
特
(
とく
)
に
開
(
ひら
)
かれたる
城門
(
じやうもん
)
を
潜
(
くぐ
)
つて
洮南
(
たうなん
)
旅館
(
りよくわん
)
に
投
(
とう
)
じた。
166
(
大正一四、八
、筆録)
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