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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
第1章 水火訓
第2章 神示の経綸
第3章 金剛心
第4章 微燈の影
第5章 心の奥
第6章 出征の辞
第7章 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
第8章 聖雄と英雄
第9章 司令公館
第10章 奉天出発
第11章 安宅の関
第12章 焦頭爛額
第13章 洮南旅館
第14章 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
第15章 公爺府入
第16章 蒙古の人情
第17章 明暗交々
第18章 蒙古気質
第19章 仮司令部
第20章 春軍完備
第21章 索倫本営
第4篇 神軍躍動
第22章 木局収ケ原
第23章 下木局子
第24章 木局の月
第25章 風雨叱咤
第26章 天の安河
第27章 奉天の渦
第28章 行軍開始
第29章 端午の日
第30章 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
第31章 強行軍
第32章 弾丸雨飛
第33章 武装解除
第34章 竜口の難
第35章 黄泉帰
第36章 天の岩戸
第37章 大本天恩郷
第38章 世界宗教聯合会
第39章 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
神示の世界経綸
余白歌
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霊界物語
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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特別編 入蒙記
> 第2篇 奉天より洮南へ > 第11章 安宅の関
<<< 奉天出発
(B)
(N)
焦頭爛額 >>>
第一一章
安宅
(
あたか
)
の
関
(
せき
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第2篇 奉天より洮南へ
よみ(新仮名遣い):
ほうてんよりとうなんへ
章:
第11章 安宅の関
よみ(新仮名遣い):
あたかのせき
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
昌図府の宿に泊まっていると、午後六時過ぎごろにシナの巡警が宿泊人調査にやってきた。一行は岡崎一人が日本人、その他は中国人であるということにしていた。
巡警が岡崎に護照の確認を乞うと、岡崎は、自分は東三省の官吏であり、張作霖の命を受けて視察にきているのだ、と逆に居丈高になって名刺を振り回した。そして、日出雄と守高は南清の豪商であると紹介した。
巡警はいずれも立派な服装であるのを見て取ると、丁寧に挨拶をして帰って行った。岡崎は地元の巡警に不審の念を抱かせずに追い払ったことを自慢気に吹聴した。
すると今度は午後九時ごろになって、官兵がやってきた。日本人が泊まっているというので、調査に来たのである。岡崎はまたもや名刺を出して官兵を煙に巻いて、追い返した。
すると午後十二時も前になって、またもや軍靴とサーベルの音がして、今度は昌図府の日本領事館員が巡査を引き連れて、身元調べにやってきた。またもや岡崎は自分の名刺を出して応対したが、日出雄と守高は水也商会の日本人だ、と紹介した。
領事館員が帰って行った後、日出雄は岡崎に、中国の官憲には南清の豪商だと言い、日本領事館には日本人だと言ったが、後で不審に思われないか、と懸念を表した。
岡崎はあまりしゃべりすぎて余計なことを言ってしまった、と非を認めたが、再度領事館から調べに来たら、自分の舌先三寸で追い払うから、と嘯いた。
いずれにしろ、念のために日出雄と守高は明日早くに、動くほうの自動車で先発することにした。そして一同は横になると、旅の疲れからすっかり熟睡してしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
2024/1/10出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-01-11 18:11:41
OBC :
rmnm11
愛善世界社版:
96頁
八幡書店版:
第14輯 582頁
修補版:
校定版:
97頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
自動車
(
じどうしや
)
破損
(
はそん
)
の
為
(
ため
)
、
002
代用
(
だいよう
)
機械
(
きかい
)
の
奉天
(
ほうてん
)
より
到着
(
たうちやく
)
するまで、
003
昌図府
(
しやうとふ
)
の
三号店
(
さんがうてん
)
に
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
とし、
004
午後
(
ごご
)
一
(
いち
)
時
(
じ
)
から
粗末
(
そまつ
)
なる
一室
(
いつしつ
)
を
与
(
あた
)
へられ、
005
炕
(
かん
)
を
焚
(
た
)
いて
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
横臥
(
わうぐわ
)
し、
006
前途
(
ぜんと
)
の
光明談
(
くわうみやうだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐた。
007
午後
(
ごご
)
六
(
ろく
)
時
(
じ
)
過
(
す
)
ぎ
支那
(
しな
)
の
巡警
(
じゆんけい
)
二
(
に
)
名
(
めい
)
は、
008
宿泊人
(
しゆくはくにん
)
調査
(
てうさ
)
の
為
(
ため
)
に
出張
(
しゆつちやう
)
した。
009
岡崎
(
をかざき
)
は
日本人
(
につぽんじん
)
、
010
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
支那人
(
しなじん
)
と
云
(
い
)
ふ
触
(
ふ
)
れ
込
(
こ
)
みで、
011
支那服
(
しなふく
)
を
纏
(
まと
)
うて
横臥
(
わうぐわ
)
してゐた。
012
巡警
(
じゆんけい
)
は
岡崎
(
をかざき
)
に
向
(
むか
)
つて
云
(
い
)
ふ。
013
巡警
(
じゆんけい
)
『
貴下
(
あなた
)
は
日本人
(
につぽんじん
)
と
聞
(
き
)
きましたが、
014
支那
(
しな
)
の
内地
(
ないち
)
を
旅行
(
りよかう
)
するには
護照
(
ごせう
)
が
必要
(
ひつえう
)
ですが、
015
失礼
(
しつれい
)
ながら、
016
護照
(
ごせう
)
を
見
(
み
)
せて
貰
(
もら
)
ひませう』
017
岡崎
(
をかざき
)
『
僕
(
ぼく
)
は
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
の
命令
(
めいれい
)
を
受
(
う
)
けて
視察
(
しさつ
)
に
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たのだ。
018
支那
(
しな
)
の
官吏
(
くわんり
)
が
支那
(
しな
)
を
旅行
(
りよかう
)
するのに
護照
(
ごせう
)
の
必要
(
ひつえう
)
があるか、
019
分
(
わか
)
らねば
証拠
(
しようこ
)
を
見
(
み
)
せてやらう』
020
と
威丈高
(
ゐたけだか
)
になり、
021
得意然
(
とくいぜん
)
として
自分
(
じぶん
)
の
鞄
(
かばん
)
から……
東三省
(
とうさんしやう
)
裕東
(
いうとう
)
印刷所
(
いんさつじよ
)
技師長
(
ぎしちやう
)
を
命
(
めい
)
ず、
022
月俸
(
げつぱう
)
三百
(
さんびやく
)
六十
(
ろくじふ
)
元
(
げん
)
……といふ
辞令書
(
じれいしよ
)
を
振廻
(
ふりま
)
はし、
023
其
(
その
)
上
(
うへ
)
024
前
(
ぜん
)
河南
(
かなん
)
督軍
(
とくぐん
)
軍事
(
ぐんじ
)
顧問
(
こもん
)
岡崎
(
をかざき
)
鉄首
(
てつしゆ
)
といふ
大名刺
(
だいめいし
)
を
振
(
ふり
)
まはし、
025
支那
(
しな
)
巡警
(
じゆんけい
)
の
調査
(
てうさ
)
を
受
(
う
)
ける
必要
(
ひつえう
)
はないと
刎
(
は
)
ねつけた。
026
巡警
(
じゆんけい
)
は
呆気
(
あつけ
)
に
取
(
と
)
られた
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
して、
027
日出雄
(
ひでを
)
、
028
守高
(
もりたか
)
、
029
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
を
顧
(
かへり
)
み、
030
岡崎
(
をかざき
)
に
向
(
むか
)
つて、
031
巡警
(
じゆんけい
)
『
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
は
何用
(
なによう
)
あつて、
032
汽車
(
きしや
)
のあるのにも
拘
(
かかは
)
らず
自動車
(
じどうしや
)
旅行
(
りよかう
)
をされるのですか』
033
と
稍
(
やや
)
詰問
(
きつもん
)
的
(
てき
)
に
出
(
で
)
た。
034
岡崎
(
をかざき
)
は
平然
(
へいぜん
)
として、
035
岡崎
『アハヽヽヽ』と
他愛
(
たあい
)
なく
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
036
岡崎
(
をかざき
)
『そんなことを
尋
(
たづ
)
ねて
何
(
なん
)
にする?
此
(
この
)
方々
(
かたがた
)
は
南清
(
なんしん
)
方面
(
はうめん
)
の
豪商
(
がうしやう
)
だ。
037
一遍
(
いつぺん
)
満州
(
まんしう
)
が
旅行
(
りよかう
)
して
見
(
み
)
たいから
案内
(
あんない
)
して
呉
(
く
)
れぬかと
云
(
い
)
はれるので、
038
僕
(
ぼく
)
が
視察
(
しさつ
)
を
兼
(
か
)
ねて、
039
自動車
(
じどうしや
)
旅行
(
りよかう
)
を
試
(
こころ
)
みたのだ』
040
巡警
(
じゆんけい
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
熟視
(
じゆくし
)
し
乍
(
なが
)
ら、
041
立派
(
りつぱ
)
な
支那服
(
しなふく
)
を
着
(
つ
)
けてゐるのに、
042
ヤツと
安心
(
あんしん
)
したと
見
(
み
)
え、
043
巡警
『ヤアこれは
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
致
(
いた
)
しました』
044
と
丁寧
(
ていねい
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
をして
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
045
其
(
その
)
後
(
あと
)
で
岡崎
(
をかざき
)
は
又
(
また
)
もや
例
(
れい
)
のメートルを
上
(
あ
)
げ
出
(
だ
)
した。
046
岡崎
『アハヽヽヽ
先生
(
せんせい
)
、
047
私
(
わたし
)
は
偉
(
えら
)
い
者
(
もの
)
でせうがな、
048
佐々木
(
ささき
)
や
大倉
(
おほくら
)
が
何程
(
なにほど
)
偉
(
えら
)
相
(
さう
)
に
吐
(
ぬ
)
かしたつて
到底
(
たうてい
)
こんな
放
(
はな
)
れ
業
(
わざ
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
049
こういふ
時
(
とき
)
には
此
(
この
)
名刺
(
めいし
)
が
護照
(
ごせう
)
の
代理
(
だいり
)
をするのですからなア。
050
支那
(
しな
)
の
巡警
(
じゆんけい
)
が
何程
(
なにほど
)
調
(
しら
)
べようとしても、
051
先生
(
せんせい
)
に
一言
(
ひとこと
)
も
言葉
(
ことば
)
をかけささなかつた
所
(
ところ
)
は
偉
(
えら
)
い
者
(
もの
)
でせう。
052
エツヘヽヽ』
053
日出雄
(
ひでを
)
『
満蒙
(
まんもう
)
旅行
(
りよかう
)
は
君
(
きみ
)
に
限
(
かぎ
)
るよ。
054
君
(
きみ
)
のおかげで、
055
先
(
ま
)
づ
安宅
(
あたか
)
の
関
(
せき
)
を
無事
(
ぶじ
)
通過
(
つうくわ
)
することが
出来
(
でき
)
るのだ。
056
感謝
(
かんしや
)
しますよ』
057
岡崎
(
をかざき
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
日露
(
にちろ
)
戦争
(
せんそう
)
以来
(
いらい
)
、
058
支那
(
しな
)
各地
(
かくち
)
を
往来
(
わうらい
)
して、
059
支那
(
しな
)
満州
(
まんしう
)
の
事情
(
じじやう
)
に
通
(
つう
)
じて
居
(
ゐ
)
るのだから……なア
先生
(
せんせい
)
、
060
安心
(
あんしん
)
なものですよ』
061
と
頻
(
しき
)
りに
得意
(
とくい
)
な
面
(
おもて
)
を
曝
(
さら
)
してゐる。
062
だんだんと
時
(
とき
)
が
移
(
うつ
)
つて、
063
午後
(
ごご
)
九
(
く
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
となつた。
064
三号店
(
さんがうてん
)
の
門口
(
かどぐち
)
に
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
靴音
(
くつおと
)
や、
065
サーベルの
音
(
おと
)
がチヤラついて
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
066
…………と
思
(
おも
)
ふ
刹那
(
せつな
)
、
067
うす
汚
(
きたな
)
い
板戸
(
いたど
)
を
開
(
あ
)
けて
突然
(
とつぜん
)
日出雄
(
ひでを
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
這入
(
はひ
)
つて
来
(
き
)
たのは
支那
(
しな
)
の
官兵
(
くわんぺい
)
であつた。
068
一人
(
ひとり
)
は
軍曹
(
ぐんさう
)
で
四
(
よん
)
名
(
めい
)
の
兵士
(
へいし
)
を
従
(
したが
)
へ、
069
警察署
(
けいさつしよ
)
の
報告
(
はうこく
)
に
依
(
よ
)
つて
日本人
(
につぽんじん
)
が
泊
(
とま
)
つてゐると
云
(
い
)
ふことを
知
(
し
)
り、
070
わざわざ
査
(
しら
)
べに
来
(
き
)
たのであつた。
071
日出雄
(
ひでを
)
と
守高
(
もりたか
)
は
支那服
(
しなふく
)
を
着
(
つ
)
けたまま
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
して
横
(
よこ
)
になり、
072
岡崎
(
をかざき
)
と
軍曹
(
ぐんさう
)
との
応接
(
おうせつ
)
を
聞
(
き
)
いてゐた。
073
軍曹
(
ぐんさう
)
『
深夜
(
しんや
)
に
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
しましたが、
074
貴下
(
きか
)
は、
075
東三省
(
とうさんしやう
)
の
高等官
(
かうとうくわん
)
だと
承
(
うけたま
)
はりましたが、
076
支那
(
しな
)
内地
(
ないち
)
を
旅行
(
りよかう
)
されるには
護照
(
ごせう
)
が
必要
(
ひつえう
)
ですが、
077
御
(
ご
)
携帯
(
けいたい
)
になつてゐますか』
078
岡崎
(
をかざき
)
は
例
(
れい
)
の
名刺
(
めいし
)
や
辞令
(
じれい
)
を
鞄
(
かばん
)
から
取
(
とり
)
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せ、
079
岡崎
『アツハヽヽヽ』
080
と
無造作
(
むざうさ
)
に
体
(
からだ
)
をゆすつて
笑
(
わら
)
ひ、
081
岡崎
『それ、
082
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りだ、
083
此
(
この
)
度
(
たび
)
南清
(
なんしん
)
地方
(
ちはう
)
の
富豪
(
ふがう
)
なる
僕
(
ぼく
)
の
友人
(
いうじん
)
が、
084
一遍
(
いつぺん
)
満州
(
まんしう
)
の
自動車
(
じどうしや
)
旅行
(
りよかう
)
がして
見
(
み
)
たいから
案内
(
あんない
)
してくれぬかと
言
(
い
)
はれるので、
085
何
(
なん
)
でも
奇抜
(
きばつ
)
なことをやつて、
086
支那
(
しな
)
官民
(
くわんみん
)
を
驚
(
おどろ
)
かしてやらうと
思
(
おも
)
ひ、
087
自動車
(
じどうしや
)
を
雇
(
やと
)
ひ、
088
やつて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
、
089
大体
(
だいたい
)
支那
(
しな
)
の
道路
(
だうろ
)
はなつてゐないものだから、
090
堅牢
(
けんらう
)
な
自動車
(
じどうしや
)
も
滅茶
(
めちや
)
苦茶
(
くちや
)
になり、
091
運転
(
うんてん
)
不能
(
ふのう
)
となつたので
奉天
(
ほうてん
)
から
機械
(
きかい
)
が
来
(
く
)
る
迄
(
まで
)
、
092
こんな
汚
(
きたな
)
い
木賃
(
もくちん
)
ホテルに
宿泊
(
しゆくはく
)
してゐるのだ。
093
アハヽヽヽ、
094
要
(
い
)
らざる
構
(
かま
)
ひ
立
(
だ
)
てをすると、
095
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
に
報告
(
はうこく
)
するぞ』
096
と
頭
(
あたま
)
から
抑
(
おさ
)
へつける。
097
軍曹
(
ぐんさう
)
は
極
(
きは
)
めて
慇懃
(
いんぎん
)
に
言葉
(
ことば
)
もやさしく、
098
岡崎
(
をかざき
)
に
向
(
むか
)
つて
云
(
い
)
ふ。
099
軍曹
『
貴下
(
きか
)
は
東三省
(
とうさんしやう
)
の
高等官
(
かうとうくわん
)
なることは
此
(
この
)
辞令書
(
じれいしよ
)
にて
判明
(
はんめい
)
しました。
100
併
(
しか
)
し
満州
(
まんしう
)
の
旅行
(
りよかう
)
は
馬賊
(
ばぞく
)
が
横行
(
わうかう
)
して
大変
(
たいへん
)
危険
(
きけん
)
ですから、
101
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
ていろいろの
障害
(
しやうがい
)
が
起
(
おこ
)
つては
日本
(
につぽん
)
政府
(
せいふ
)
へ
対
(
たい
)
しても
済
(
す
)
みますまいから、
102
お
出
(
いで
)
になる
所
(
ところ
)
まで
護衛兵
(
ごゑいへい
)
をつけませう』
103
岡崎
(
をかざき
)
『アツハヽヽヽ、
104
イヤ
大
(
おほ
)
きに
有難
(
ありがた
)
う。
105
併
(
しか
)
し
吾々
(
われわれ
)
は
日本
(
につぽん
)
男子
(
だんし
)
だ。
106
乞食
(
こじき
)
の
様
(
やう
)
な
支那
(
しな
)
の
雇兵
(
やとひへい
)
の
二十
(
にじふ
)
人
(
にん
)
や
三十
(
さんじふ
)
人
(
にん
)
送
(
おく
)
つて
貰
(
もら
)
つた
所
(
ところ
)
で、
107
何
(
なん
)
の
役
(
やく
)
にも
立
(
た
)
ちますまい。
108
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は
有難
(
ありがた
)
いが、
109
お
断
(
ことは
)
り
申
(
まを
)
しませう。
110
必要
(
ひつえう
)
があれば
地方
(
ちはう
)
の
官憲
(
くわんけん
)
に
依頼
(
いらい
)
しますから……』
111
軍曹
(
ぐんさう
)
は
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
に
向
(
むか
)
つていろいろの
質問
(
しつもん
)
をした。
112
王
(
わう
)
元祺
(
げんき
)
は
性来
(
しやうらい
)
の
支那人
(
しなじん
)
だから、
113
何
(
なん
)
だかピチヤピチヤと
得意
(
とくい
)
の
支那語
(
しなご
)
で
応答
(
おうたう
)
してゐた。
114
軍曹
(
ぐんさう
)
は
日出雄
(
ひでを
)
、
115
守高
(
もりたか
)
の
両人
(
りやうにん
)
を
怪
(
あや
)
しげな
視線
(
しせん
)
を
投
(
な
)
げ
乍
(
なが
)
ら、
116
軍曹
『
夜中
(
やちう
)
驚
(
おどろ
)
かせまして
済
(
す
)
みませぬ』
117
と
慇懃
(
いんぎん
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
を
残
(
のこ
)
し
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
118
岡崎
(
をかざき
)
は
益々
(
ますます
)
得意
(
とくい
)
になつて
大
(
おほ
)
いに
気焔
(
きえん
)
を
上
(
あ
)
げ、
119
肇国会
(
てうこくくわい
)
の
話
(
はなし
)
や、
120
犬養
(
いぬかひ
)
先生
(
せんせい
)
を
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
振
(
ふ
)
りまはし、
121
外務省
(
ぐわいむしやう
)
の
腰
(
こし
)
の
弱
(
よわ
)
い
話
(
はなし
)
などを
喋々
(
てふてふ
)
喃々
(
なんなん
)
と
喋舌
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
て、
122
岡崎
『
吾
(
わが
)
眼
(
まなこ
)
霞
(
かすみ
)
が
関
(
せき
)
の
門
(
かど
)
にかけ
国
(
くに
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
みむとぞ
思
(
おも
)
ふ
123
アハヽヽヽこれは
私
(
わたし
)
の
作
(
つく
)
つた
歌
(
うた
)
です。
124
吾々
(
われわれ
)
が
支那
(
しな
)
で
何
(
なに
)
か
日本
(
につぽん
)
の
為
(
ため
)
になることをやらうと
思
(
おも
)
ふと、
125
弱腰
(
よわごし
)
の
日本
(
につぽん
)
外交官
(
ぐわいかうくわん
)
は
直
(
す
)
ぐに
頭
(
あたま
)
を
抑
(
おさ
)
へる。
126
それだから、
127
支那
(
しな
)
開発
(
かいはつ
)
も
満蒙
(
まんもう
)
の
経営
(
けいえい
)
も
何時
(
いつ
)
も
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
で
画餅
(
ぐわぺい
)
になつて
了
(
しま
)
ふのだ。
128
今度
(
こんど
)
といふ
今度
(
こんど
)
は
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
満蒙
(
まんもう
)
政策
(
せいさく
)
の
実行
(
じつかう
)
をやつつけてみる
覚悟
(
かくご
)
です。
129
先生
(
せんせい
)
は
支那
(
しな
)
道院
(
だうゐん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
なり、
130
私
(
わたし
)
は
東三省
(
とうさんしやう
)
の
高等官
(
かうとうくわん
)
だから、
131
日本
(
につぽん
)
政府
(
せいふ
)
がゴテゴテと
干渉
(
かんせう
)
する
権利
(
けんり
)
はない
筈
(
はづ
)
だ。
132
アハヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い
133
前途
(
ぜんと
)
有望
(
いうばう
)
だ』
134
と
切
(
しき
)
りに
顔面
(
がんめん
)
筋肉
(
きんにく
)
を
活躍
(
くわつやく
)
させ、
135
車輪
(
しやりん
)
の
如
(
ごと
)
く
舌
(
した
)
を
運転
(
うんてん
)
させてゐる。
136
そこへ
又
(
また
)
もや
靴
(
くつ
)
やサーベルの
音
(
おと
)
がして
来
(
き
)
た。
137
(日巡=日本巡査)
『
御免
(
ごめん
)
なさい』
138
と
這入
(
はひ
)
つて
来
(
き
)
たのは
昌図府
(
しやうとふ
)
の
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
員
(
ゐん
)
が
巡査
(
じゆんさ
)
を
二
(
に
)
名
(
めい
)
引連
(
ひきつ
)
れて、
139
身許
(
みもと
)
調
(
しら
)
べに
来
(
き
)
たのである。
140
日巡
(
にちじゆん
)
『
岡崎
(
をかざき
)
鉄首
(
てつしゆ
)
といふ
人
(
ひと
)
は
貴下
(
きか
)
ですか』
141
と
軍服姿
(
ぐんぷくすがた
)
の
岡崎
(
をかざき
)
に
向
(
むか
)
つて、
142
怪
(
あや
)
しげな
視線
(
しせん
)
を
向
(
む
)
け
口
(
くち
)
を
切
(
き
)
つた。
143
岡崎
(
をかざき
)
は
例
(
れい
)
の
名刺
(
めいし
)
や
辞令
(
じれい
)
を
見
(
み
)
せつけて、
144
例
(
れい
)
の
大口
(
おほぐち
)
をあけて『アハヽヽヽ』と
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
145
岡崎
『モウ
夜
(
よ
)
も
更
(
ふ
)
け
十二
(
じふに
)
時
(
じ
)
前
(
まへ
)
でありませぬか、
146
今頃
(
いまごろ
)
に
来
(
こ
)
られちや
実
(
じつ
)
に
迷惑
(
めいわく
)
です。
147
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
ですかなア』
148
日巡
(
にちじゆん
)
『エー、
149
只今
(
ただいま
)
支那
(
しな
)
の
警察
(
けいさつ
)
から
日本人
(
につぽんじん
)
が
泊
(
とま
)
つてゐるといふ
報告
(
はうこく
)
が
来
(
き
)
ましたから、
150
一応
(
いちおう
)
伺
(
うかが
)
つてみたいと
思
(
おも
)
ひ
出張
(
しゆつちやう
)
したのです』
151
岡崎
(
をかざき
)
『ヤア、
152
そりや
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
でした。
153
別
(
べつ
)
に
心配
(
しんぱい
)
して
下
(
くだ
)
さるな、
154
私
(
わたし
)
は
日本人
(
につぽんじん
)
でゐながら
東三省
(
とうさんしやう
)
の
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
の
命令
(
めいれい
)
で
支那
(
しな
)
内地
(
ないち
)
の
視察
(
しさつ
)
をなすべく、
155
やつて
来
(
き
)
たのですから、
156
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
に
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
は
決
(
けつ
)
して
掛
(
か
)
けませぬ』
157
日巡
(
にちじゆん
)
『
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
はどこの
人
(
ひと
)
ですか、
158
どうも
支那人
(
しなじん
)
のやうにありませぬがね』
159
岡崎
(
をかざき
)
は
日出雄
(
ひでを
)
を
指
(
さ
)
して、
160
岡崎
『
此
(
この
)
方
(
かた
)
は
奉天
(
ほうてん
)
平安通
(
へいあんどほり
)
水也
(
みづや
)
商会
(
しやうくわい
)
の
主人
(
しゆじん
)
です、
161
商業
(
しやうげふ
)
視察
(
しさつ
)
の
為
(
ため
)
にお
出
(
い
)
でになつたのですよ』
162
日巡
(
にちじゆん
)
『あゝさうですか、
163
さうすると
日本人
(
につぽんじん
)
ですな、
164
何時
(
いつ
)
お
発
(
た
)
ちになりますか』
165
岡崎
(
をかざき
)
『ハイ、
166
自動車
(
じどうしや
)
が
破損
(
はそん
)
しましたので
動
(
うご
)
きが
取
(
と
)
れないのです。
167
奉天
(
ほうてん
)
まで
機械
(
きかい
)
を
取
(
と
)
りにやつたから、
168
使
(
つかひ
)
が
帰
(
かへ
)
つた
上
(
うへ
)
修繕
(
しうぜん
)
を
施
(
ほどこ
)
し
出立
(
しゆつたつ
)
する
考
(
かんが
)
へです。
169
先
(
ま
)
づ
明日
(
みやうにち
)
の
午後
(
ごご
)
二
(
に
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
です。
170
それ
迄
(
まで
)
は
此
(
こ
)
の
木賃
(
もくちん
)
ホテルで
燻
(
くす
)
ぼつてゐる
考
(
かんが
)
へです。
171
アハヽヽヽ』
172
日巡
(
にちじゆん
)
『
護照
(
ごせう
)
はありますか』
173
岡崎
(
をかざき
)
『
護照
(
ごせう
)
なんか
要
(
い
)
るものか、
174
東三省
(
とうさんしやう
)
の
役人
(
やくにん
)
が
東三省
(
とうさんしやう
)
内
(
ない
)
を
旅行
(
りよかう
)
するのだからな
175
アハヽヽヽ』
176
と
笑
(
わら
)
ひに
紛
(
まぎ
)
らす。
177
日本
(
につぽん
)
巡査
(
じゆんさ
)
は、
178
日巡
『ヤ、
179
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
致
(
いた
)
しました』
180
と
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く、
181
日出雄
(
ひでを
)
は
稍
(
やや
)
心配
(
しんぱい
)
相
(
さう
)
な
顔
(
かほ
)
して、
182
日出雄
(
ひでを
)
『
岡崎
(
をかざき
)
さん、
183
支那
(
しな
)
の
巡警
(
じゆんけい
)
や
軍曹
(
ぐんさう
)
に
向
(
むか
)
つて、
184
南清
(
なんしん
)
方面
(
はうめん
)
の
豪商
(
がうしやう
)
だといひ、
185
日本
(
につぽん
)
の
官憲
(
くわんけん
)
に
向
(
むか
)
つては
日本人
(
につぽんじん
)
だと
云
(
い
)
はれましたが、
186
これは
屹度
(
きつと
)
領事館
(
りやうじくわん
)
で
不審
(
ふしん
)
を
起
(
おこ
)
し、
187
明朝
(
みやうてう
)
更
(
あらた
)
めて
調査
(
てうさ
)
に
来
(
く
)
るかも
知
(
し
)
れませぬよ。
188
何
(
なん
)
とか
考
(
かんが
)
へねばなりますまい』
189
岡崎
(
をかざき
)
は
頭
(
あたま
)
をかき
乍
(
なが
)
ら、
190
岡崎
『
余
(
あま
)
り
喋舌
(
しやべ
)
り
過
(
す
)
ぎたものだから、
191
拙劣
(
へた
)
なことをいつてしまつた。
192
ナアニ
構
(
かま
)
ふものか、
193
明日
(
みやうにち
)
領事館
(
りやうじくわん
)
から
来
(
き
)
よつたら、
194
三寸
(
さんずん
)
の
舌鋒
(
ぜつぽう
)
で
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばせば
宜
(
よろ
)
しい。
195
先生
(
せんせい
)
、
196
岡崎
(
をかざき
)
に
任
(
まか
)
しておいて
下
(
くだ
)
さい、
197
メツタに
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
はかけませぬからな。
198
アハアハヽヽヽ』
199
と
小
(
ちひ
)
さく
笑
(
わら
)
ふ。
200
日出雄
(
ひでを
)
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
領事館
(
りやうじくわん
)
員
(
ゐん
)
が
来
(
く
)
ると
面倒
(
めんだう
)
だから
明
(
みやう
)
早朝
(
さうてう
)
一台
(
いちだい
)
丈
(
だけ
)
は
先
(
さき
)
へ
出発
(
しゆつぱつ
)
する
事
(
こと
)
としようぢやないか』
201
岡崎
(
をかざき
)
『それなら
先生
(
せんせい
)
と
私
(
わたし
)
は
二十
(
にじふ
)
支里
(
しり
)
程
(
ほど
)
北
(
きた
)
の
大
(
だい
)
四家子
(
しかし
)
といふ
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
、
202
先発
(
せんぱつ
)
しませう、
203
守高
(
もりたか
)
さまや
王君
(
わうくん
)
は
修繕
(
しうぜん
)
が
出来
(
でき
)
次第
(
しだい
)
、
204
後
(
あと
)
から
追
(
お
)
つかけて
来
(
く
)
るといふことに
定
(
き
)
めておきませう』
205
日出雄
『それが
宜
(
よろ
)
しからう』
206
と
言
(
い
)
つたきり、
207
ゴロリ
横
(
よこ
)
になり
忽
(
たちま
)
ち
雷
(
かみなり
)
の
如
(
ごと
)
き
鼾
(
いびき
)
をかいて
眠
(
ねむ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
208
岡崎
(
をかざき
)
も
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
も
旅
(
たび
)
の
疲
(
つか
)
れで
前後
(
ぜんご
)
不覚
(
ふかく
)
になつて、
209
夜
(
よ
)
のホンノリと
明
(
あ
)
くる
迄
(
まで
)
他愛
(
たあい
)
もなく
熟睡
(
じゆくすゐ
)
した。
210
(
大正一四、八
、筆録)
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