霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 聖雄(せいいう)と英雄(えいいう)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第2篇 奉天より洮南へ よみ(新仮名遣い):ほうてんよりとうなんへ
章:第8章 聖雄と英雄 よみ(新仮名遣い):せいゆうとえいゆう 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1935(昭和10)年4月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
水也商会の佐々木が通訳となって、盧占魁と日出雄の会見が始まった。盧占魁は目もとの凛とした英雄的人物で、日出雄、真澄別は相提携するに可と判断した。
盧占魁はかつてから日出雄の名を聞いていたと言い、ぜひ日出雄の下で使ってください、と挨拶した。日出雄は共に東亜存立のために尽くしましょう、と返した。ただこれだけで、両者の会談は済んだのであった。
二月十六日、盧占魁の公館で内外蒙古救援軍組織について、会合があった。会議の大略は、張作霖の了解を得ること、武器を購入すること、大本ラマ教を創立し、日出雄がダライラマ、真澄別がパンチェンラマとなり、盧占魁を従えて蒙古に進入すること、とであった。
元来、蒙古で日本人が蒙古人に布教することは禁じられているが、日出雄は五大教の宣伝使でもあるので、容易に宣教を行うことができるのであった。
一同が準備を行ううちに、二月十八日、張作霖から盧占魁に対して、内外蒙古出征の命が下ってきた。十個旅団が組織され、日地月星を染め抜いた大本更始会の徽章が旗印となった。
また、日出雄は大本ラマ教の経文を、盧占魁公館内にて神示によりしたためた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考:2024/1/5出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-21 15:42:43 文字数:3589 OBC :rmnm08
愛善世界社版:69頁 八幡書店版:第14輯 573頁 修補版: 校定版:69頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 寒月(かんげつ)冴渡(さえわた)り、002烈風(れつぷう)吹荒(ふきすさ)ぶ奉天(ほうてん)日本(につぽん)租界(そかい)を離(はな)れて二台(にだい)の自動車(じどうしや)は003まつしぐらに東三省(とうさんしやう)陸軍(りくぐん)中将(ちうじやう)盧(ろ)占魁(せんくわい)が公館(こうくわん)に着(つ)いた。004一方(いつぱう)は大本(おほもと)の前(ぜん)教主輔(けうしゆほ)大怪物(だいくわいぶつ)と仇名(あだな)をとつた源(みなもと)日出雄(ひでを)、005一方(いつぱう)は陸軍(りくぐん)中将(ちうじやう)で蒙古(もうこ)の英雄(えいいう)、006馬賊(ばぞく)の大巨頭(だいきよとう)盧(ろ)占魁(せんくわい)との会見(くわいけん)である。007真澄別(ますみわけ)、008岡崎(をかざき)鉄首(てつしゆ)、009唐国別(からくにわけ)、010佐々木(ささき)弥市(やいち)、011大倉(おほくら)伍一(ごいち)、012揚(やう)萃廷(すゐてい)、013守高(もりたか)、014名田彦(なだひこ)の面々(めんめん)は015盧(ろ)氏(し)の公館(こうくわん)にストーブを中(なか)に置(お)き、016円形(ゑんけい)の座(ざ)を作(つく)つて椅子(いす)に腰打掛(こしうちか)け、017蒙古(もうこ)進出(しんしゆつ)の英雄(えいゆう)的(てき)協議(けふぎ)に耽(ふけ)つた。018佐々木(ささき)は支那語(しなご)を能(よ)くするので、019彼(かれ)が日出雄(ひでを)と盧(ろ)との通弁(つうべん)を勤(つと)めた。
020 佐々木(ささき)は盧(ろ)占魁(せんくわい)を指(ゆび)さし、
021佐々木『先生(せんせい)、022此(この)方(かた)が盧(ろ)占魁(せんくわい)さんです』
023日出雄(ひでを)『成程(なるほど)、024一見(いつけん)しても目元(めもと)の凛(りん)とした英雄(えいゆう)的(てき)人物(じんぶつ)だ。025此(この)男(をとこ)ならば何(なに)も云(い)ふに及(およ)ばぬ、026一切(いつさい)万事(ばんじ)を委任(まか)せやう。027真澄別(ますみわけ)さん、028あなた何(ど)う考(かんが)へますか』
029と真澄別(ますみわけ)を顧(かへり)みた。030真澄別(ますみわけ)は微笑(びせう)し乍(なが)ら『宜(よろ)しからう』と答(こた)へた。031盧(ろ)は日出雄(ひでを)に向(むか)つて云(い)ふ。
032盧占魁『私(わたくし)は十年前(じふねんぜん)に七万(しちまん)の精兵(せいへい)を引率(いんそつ)して、033大(だい)庫倫(クウロン)市(し)を占領(せんりやう)しました。034其(その)時(とき)は二十九(にじふきう)歳(さい)でした。035それから新彊(しんきやう)を取(と)り雲南(うんなん)迄(まで)活動(くわつどう)しました。036それから奉直(ほうちよく)戦争(せんさう)にも参加(さんか)した事(こと)もあります。037私(わたくし)が上海(シヤンハイ)にゐる時(とき)孫(そん)逸仙(いつせん)[※孫文の号]に会(あ)ひ、038先生(せんせい)の御(ご)高名(かうめい)を承(うけたま)はり、039機会(きくわい)があらば御(ご)面会(めんくわい)を願(ねが)ひたいと、0391常(つね)に憧憬(どうけい)して居(を)りましたが、040機縁(きえん)が熟(じゆく)したと見(み)えて、041今日(こんにち)拙宅(せつたく)に於(おい)て先生(せんせい)に面会(めんくわい)する事(こと)を得(え)たのは、042私(わたくし)に取(と)つては光栄(くわうえい)の至(いた)りです。043どうか私(わたくし)をあなたの下(した)に使(つか)つて下(くだ)さい。044屹度(きつと)貴方(あなた)の目的(もくてき)に叶(かな)ふべく活動(くわつどう)をしてお目(め)に掛(か)けるでせう』
045日出雄(ひでを)『相互(さうご)に協心(けふしん)戮力(りくりよく)、046東亜(とうあ)存立(そんりつ)と開発(かいはつ)の為(ため)に尽(つく)しませう』
047 二人(ふたり)の応答(おうたふ)は之(これ)にて済(す)んだのである。048宗教界(しうけうかい)の英雄(えいいう)と馬賊界(ばぞくかい)の英雄(えいいう)とが肝胆(かんたん)相照(あひてら)して空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の大業(たいげふ)を企図(きと)したのは、049実(じつ)に小説(せうせつ)的(てき)趣味(しゆみ)を帯(お)びて居(ゐ)るやうだ。
050 日出雄(ひでを)と守高(もりたか)、051通訳(つうやく)の王(わう)元祺(げんき)は盧(ろ)氏(し)の公館(こうくわん)に宿泊(しゆくはく)する事(こと)となり、052其(その)他(た)の人々(ひとびと)は水也(みづや)商会(しやうくわい)其(その)他(た)を指(さ)して帰(かへ)つて行(ゆ)く。053正(しやう)月(ぐわつ)十一(じふいち)日(にち)の月光(げつくわう)は西(にし)の空(そら)に傾(かたむ)いてゐる。
054 二(に)月(ぐわつ)十六(じふろく)日(にち)盧(ろ)の公館(こうくわん)に於(おい)て内外(ないぐわい)蒙古(もうこ)の救援軍(きうえんぐん)組織(そしき)に付(つ)き、055志士(しし)の会合(くわいがふ)があつた。056午後(ごご)八(はち)時(じ)頃(ごろ)唐国別(からくにわけ)、057真澄別(ますみわけ)其(その)他(た)の志士(しし)は会議(くわいぎ)の大略(たいりやく)を報(はう)じて来(き)た。058其(その)会議(くわいぎ)の結果(けつくわ)は、059先(ま)づ張(ちやう)作霖(さくりん)の諒解(れうかい)を得(う)る事(こと)、060武器(ぶき)を購入(かうにふ)する事(こと)及(およ)び大本(おほもと)喇嘛教(らまけう)を創立(さうりつ)し、061日地(につち)月星(げつせい)の教旗(けうき)を飜(ひるが)へして日出雄(ひでを)は達頼(だあらい)喇嘛(らま)となり、062真澄別(ますみわけ)は班善(はんぜん)喇嘛(らま)となり063盧(ろ)占魁(せんくわい)を従(したが)へて蒙古(もうこ)に進入(しんにふ)する事(こと)であつた。
064 元来(ぐわんらい)蒙古(もうこ)は支那(しな)の属邦(ぞくはう)である。065そして一百六(いつぴやくろく)名(めい)の蒙古王(もうこわう)は北京(ペキン)に参勤(さんきん)交代(かうたい)を行(おこな)つてゐる。066日本人(につぽんじん)が支那(しな)の領地(りやうち)に日本(につぽん)宗教(しうけう)を開(ひら)く事(こと)は条約(でうやく)上(じやう)許(ゆる)されてゐない。067併(しか)しながら彼(かれ)は支那(しな)の新宗教(しんしゆうけう)五大教(ごだいけう)の高級(かうきふ)宣伝使(せんでんし)である。068それ故(ゆゑ)彼(かれ)が蒙古(もうこ)に宗教(しうけう)を宣布(せんぷ)するのは公然(こうぜん)の権利(けんり)であつた。069日本(につぽん)は仏教家(ぶつけうか)や神道家(しんだうか)が支那(しな)に渡(わた)つて布教(ふけう)宣伝(せんでん)をやつて居(ゐ)る者(もの)も沢山(たくさん)あるが、070それは在留(ざいりう)日本人(につぽんじん)に限(かぎ)られてゐる。071支那人(しなじん)に宗教(しうけう)を宣伝(せんでん)する事(こと)は許(ゆる)されてゐない。072そして日本(につぽん)在留民(ざいりうみん)の一部(いちぶ)に宗教(しうけう)を吹込(ふきこ)んでゐる位(くらゐ)が関(せき)の山(やま)である。073彼(かれ)日出雄(ひでを)は五大教(ごだいけう)の宣伝使(せんでんし)たるを以(もつ)て容易(たやす)く宗教(しうけう)宣布(せんぷ)をなす事(こと)を得(う)る地位(ちゐ)にあつたのは、074今回(こんくわい)の企(くはだて)に対(たい)して最(もつと)も好都合(かうつがふ)であつた。075協議(けふぎ)の結果(けつくわ)盧(ろ)占魁(せんくわい)の命(めい)に依(よ)つて、076揚(やう)萃廷(すゐてい)は喇嘛服(らまふく)や附属品(ふぞくひん)を調製(てうせい)すべく、077急遽(きふきよ)北京(ペキン)に赴(おもむ)いた。078日本人(につぽんじん)井上(ゐのうへ)兼吉(かねきち)は盧(ろ)占魁(せんくわい)等(とう)の命(めい)に依(よ)つて、079哥老会(からうくわい)の残党(ざんたう)揚(やう)成業(せいげふ)其(その)他(た)の大頭株(おほあたまかぶ)に対(たい)し080盧(ろ)氏(し)が挙兵(きよへい)入蒙(にふもう)の報告(はうこく)を兼(か)ね応援(おうえん)を求(もと)むべく、081綏遠(すゐゑん)ならびに帰化城(きくわじやう)方面(はうめん)へと出(で)て行(い)つた。082揚(やう)成業(せいげふ)は哥老会(からうくわい)の大頭株(おほあたまかぶ)であつて、083一万(いちまん)七八千(しちはつせん)の部下(ぶか)を有(いう)し、084盧(ろ)の今回(こんくわい)の壮挙(さうきよ)に対(たい)し極力(きよくりよく)後援(こうえん)せむ事(こと)を誓(ちか)つたのである。
085 有志(いうし)は蒙古(もうこ)進出(しんしゆつ)の準備(じゆんび)の為(ため)東奔(とうほん)西走(せいそう)し、086北京(ペキン)に走(はし)る者(もの)、087蒙古(もうこ)に使(つかひ)する者(もの)、088日本(につぽん)に帰(かへ)る者(もの)など大活気(だいくわつき)が湧(わ)いて来(き)た。089越(こ)えて二(に)月(ぐわつ)廿八(にじふはち)日(にち)民国(みんごく)十三(じふさん)年(ねん)正(しやう)月(ぐわつ)廿四日(にじふよつか)090愈々(いよいよ)東三省(とうさんしやう)保安(ほあん)総司令(そうしれい)張(ちやう)作霖(さくりん)より、091盧(ろ)占魁(せんくわい)将軍(しやうぐん)に対(たい)し、092内外(ないぐわい)蒙古(もうこ)出征(しゆつせい)の命(めい)が下(くだ)つて来(き)た。093同志(どうし)の面々(めんめん)は欣喜(きんき)雀躍(じやくやく)して今更(いまさら)の如(ごと)く早速(さつそく)諸般(しよはん)の準備(じゆんび)に着手(ちやくしゆ)せんと揚々(やうやう)として四方(しはう)に飛(と)んだ。094軍隊(ぐんたい)を十個(じつこ)旅団(りよだん)となし、095日地(につち)月星(げつせい)を染抜(そめぬ)いたる大本(おほもと)更始会(かうしくわい)の徽章(きしやう)を旗印(はたじるし)となし、096それに第一(だいいち)旅団(りよだん)より第十(だいじふ)旅団(りよだん)迄(まで)の刺繍(ししう)を施(ほどこ)したる軍旗(ぐんき)や司令旗(しれいき)を誂(あつら)へる事(こと)となつた。097そして大本(おほもと)喇嘛(らま)教旗(けうき)として日地(につち)月星(げつせい)を染抜(そめぬ)いた文字無(もじな)しの神旗(しんき)も共(とも)に調製(てうせい)する事(こと)と定(さだ)めたのである。098何(いづ)れも意気(いき)天(てん)を衝(つ)き已(すで)に満蒙(まんもう)の天地(てんち)を併呑(へいどん)して了(しま)つた様(やう)な慨(がい)があつた。099彼(かれ)源(みなもと)日出雄(ひでを)が盧(ろ)の公館(こうくわん)に滞在中(たいざいちう)、100試(こころみ)に作(つく)つた詩(し)がある。101此(この)詩(し)は彼(かれ)の計画(けいくわく)の一部(いちぶ)を現(あら)はして居(ゐ)る如(よ)うだから102左(さ)に摘載(てきさい)しておかう。
 
103○
104天時地利得人和
105今丈夫救民立覇
106是宇宙神聖之命
107義軍嚮処若竹破
108○
109王仁有一万精兵
110樹仁義旗進故洲
111嗚盛哉神軍陣形[*底本(全集)では「嗚」ではなく「鳴」。]
112山河草木靡威風
113○
114防寒旅装漸調了
115奥蒙荒原将跋渉
116神兵猛虎破竹勢
117旗鼓堂々進庫府
118○
119内外蒙古惟神洲
120正義軍旅有天佑
121勿躊躇蒙古丈夫
122勝利都城在庫府
123○
124山河千里奉天空
125日月星辰同蜻洲
126神雄連馬為出陣
127蒙古荒原靡英風[※以上の漢文をChatGPTによって書き下し文(読み下し文)に直した文を以下に記す(正確性は低い)。天時(てんじ)と地利(ちり)を得て人和(じんわ)をも得、今、丈夫(じょうぶ)は民を救い覇を立つ。是れ宇宙の神聖なる命(めい)、義軍は向かう所、竹を破るが如し。王仁は一万の精兵を有し、仁義の旗を樹て故州(こしゅう)に進む。嗚呼、盛なり神軍の陣形。山河草木、皆その威風に靡く。防寒の旅装を漸く調え、奥深き蒙古の荒原を渉らんとす。神兵は猛虎の如く竹を破る勢い、旗鼓堂々と庫府(こふ)に進む。内外蒙古は唯一の神州、正義の軍旅(ぐんりょ)は天の佑け(たすけ)を有す。蒙古の丈夫(じょうぶ)よ、躊躇う(ためらう)なかれ。勝利の都は庫府(こふ)にあり。山河千里、天に仕え、日月星辰は蜻州(せいしゅう)と共にあり。神雄は馬を連ねて出陣し、蒙古の荒原に英風を靡かす。]
128○
129神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
130善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)を立別(たてわ)ける
131高天原(たかあまはら)より降(くだ)り来(き)て
132寒風(かんぷう)荒(すさ)ぶ荒野原(あれのはら)
133神馬(しんめ)に鞭(むちう)ち進(すす)み行(ゆ)く
134仁義(じんぎ)の軍(いくさ)に敵(てき)は無(な)し[*底本(全集)では「軍」にフリガナは無い。]
135進(すす)めよ進(すす)めいざ進(すす)め
136神(かみ)は汝(なんぢ)と倶(とも)に在(あ)り
137神(かみ)に叶(かな)ひし汝(なんぢ)等(ら)の
138勇気(ゆうき)は天地(てんち)に充満(じうまん)し
139山河(さんか)草木(さうもく)ことごとく
140靡(なび)き伏(ふ)すなり神軍(みいくさ)に。
141○
142仁義(じんぎ)の旗(はた)を押立(おした)てて
143進(すす)む吾(われ)等(ら)は神軍(みいくさ)ぞ
144来(きた)れよ来(きた)れ皆(みな)来(きた)れ
145故国(ここく)に仇(あだ)なす曲神(まがかみ)を
146千里(せんり)の外(そと)に追散(おひち)らし
147祖先(そせん)の造(つく)りし神洲(かみくに)を
148神(かみ)の稜威(みいづ)に回復(くわいふく)し
149都(みやこ)を中央(なか)に奠(さだ)めつつ
150上(かみ)は活仏(くわつぶつ)諸王(しよわう)より
151下(しも)蒼生(さうせい)に至(いた)る迄(まで)
152救(すく)はむ為(た)めの此(この)軍(いくさ)
153神(かみ)は吾(われ)等(ら)と倶(とも)にあり
154人(ひと)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
155神(かみ)に従(したが)ひ進(すす)む身(み)は
156如何(いか)なる曲(まが)も障(さや)らむや
157進(すす)めよ進(すす)めいざ進(すす)め
158仁義(じんぎ)の軍(いくさ)に敵(てき)はなし。
159○
160路(みち)は三千(さんぜん)六百(ろくぴやく)里(り)
161奉天城(ほうてんじやう)を後(あと)にして
162王仁(おに)の率(ひき)ゐる義勇軍(ぎゆうぐん)
163獅子(しし)奮迅(ふんじん)の勢(いきほひ)で
164悍馬(かんば)に鞭(むちう)ち進(すす)み行(ゆ)く。
165○
166我(われ)は神軍(しんぐん)王天竜(わうてんりう)
167皇天(くわうてん)皇土(くわうど)の勅(ちよく)を受(う)け
168獅子(しし)奮迅(ふんじん)の勢(いきほひ)で
169仁義(じんぎ)の軍(ぐん)を守(まも)りつつ
170神(かみ)のまにまに進(すす)み行(ゆ)く。
171○
172道(みち)は九千(きうせん)八百(はつぴやく)里(り)
173奉天城(ほうてんじやう)をあとにして
174一万(いちまん)有余(いうよ)の神卒(しんそつ)は
175轡(くつわ)を並(なら)べて進(すす)み行(ゆ)く
176寒風(かんぷう)烈(はげ)しき外蒙地(ぐわいもうち)
177如何(いか)なる敵(てき)の来(きた)る共(とも)
178我(われ)には神(かみ)の守護(まもり)あり
179進(すす)めよ進(すす)め快男児(くわいだんじ)
180勇(いさ)めよ勇(いさ)め神軍士(しんぐんし)。
181 日出雄(ひでを)は大本(おほもと)喇嘛教(らまけう)の経文(きやうもん)を、182盧(ろ)公館内(こうくわんない)に於(おい)て神示(しんじ)に依(よ)り認(したた)めた。
183○
184弥勒如来精霊下生印度霊鷲山成長顕現東瀛天教山将以五拾弐歳対衆生説明苦集滅道開示道法礼節再臨而顕現仏縁深蒙古為達頼喇嘛済度普一切衆生年将五拾四歳。[※読み下し文の一例(正確性は低い)。弥勒如来の精霊が印度の霊鷲山に下生し、成長して、東瀛(とうえい。日本の意)の天教山に顕現す。将に以て五十二歳。衆生に対し苦集滅道を説明し、道法礼節を開示す。再び臨みて顕現し、仏縁深き蒙古に達頼喇嘛と為して一切衆生を普く済度す。年は将に五十四歳。]
185○
186 ヒマラヤの山(やま)より降(くだ)り霊(ひ)の本(もと)に育(そだ)ちて今(いま)や蒙古(もうこ)に現(あら)はる
187○
188 三柱(みはしら)の御子(みこ)を引連(ひきつ)れ降(くだ)りたる達頼(だあらい)は弥勒(みろく)の下生(げしやう)なりけり
189○
190 興安嶺(こうあんれい)山秀(さんしう)生(う)み出(だ)す瑞御霊(みづみたま)蒙古(もうこ)に再(ふたた)び現(あら)はれにけり
191○
192 観世音(くわんぜおん)最勝(さいしよう)妙智(めうち)大如来(だいによらい)救世(きうせい)の為(ため)に達頼(だあらい)と化現(けげん)す
193○
194 掌中(しやうちう)に五大(ごだい)天紋(てんもん)皆流紋(かいりうもん)固(かた)く握(にぎ)りて降(くだ)る救世主(きうせいしゆ)
195○
196 基督(キリスト)の聖痕(せいこん)迄(まで)も手(て)に印(しる)し天降(あまくだ)りたる救世(ぐぜ)の活仏(くわつぶつ)
197○
198 神(かむ)素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)の聖霊(せいれい)、199万有(ばんいう)愛護(あいご)の為(た)め大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)と顕現(けんげん)し、200更(さら)に化生(けしやう)して釈迦(しやか)如来(によらい)と成(な)り、201印度(インド)に降臨(かうりん)し、202再(ふたた)び昇天(しようてん)して其(その)聖霊(せいれい)蒙古(もうこ)興安嶺(こうあんれい)に降(くだ)り、203瑞霊(ずゐれい)化生(けしやう)の肉体(にくたい)に宿(やど)り、204地教山(ちけうざん)に於(おい)て仏果(ぶつくわ)を修了(しうれう)し、205蜻洲(せいしう)出生(しゆつしやう)の肉体(にくたい)を藉(か)りて、206高熊山(たかくまやま)に現(あら)はれ、207衆生(しゆじやう)を救(すく)ふ。208時(とき)に年歯(ねんし)将(まさ)に二十(にじふ)有(いう)八(はつ)歳(さい)なり。209二十九(にじふきう)歳(さい)の秋(あき)九(く)月(ぐわつ)八日(やうか)更(さら)に聖地(せいち)桶伏山(をけふせやま)に坤(ひつじさるの)金神(こんじん)豊国主(とよくにぬしの)命(みこと)と現(あら)はれ、210天教山(てんけうざん)に修(しう)して観世音(くわんぜおん)菩薩(ぼさつ)木花姫(このはなひめの)命(みこと)と現(げん)じ、211五拾(ごじふ)弐(に)歳(さい)を以(もつ)て伊都能売(いづのめの)御魂(みたま)(弥勒(みろく)最勝妙(さいしようめう)如来(によらい))となり、212普(あまね)く衆生(しゆじやう)済度(さいど)の為(た)め更(さら)に蒙古(もうこ)に降(くだ)り、213活仏(くわつぶつ)として、214万有(ばんいう)愛護(あいご)の誓願(せいぐわん)を成就(じやうじゆ)し、215五六七(みろく)の神世(かみよ)を建設(けんせつ)す。
216 南無(なむ)弥勒(みろく)最勝妙(さいしようめう)如来(によらい)謹請(ごんぜう)再拝(さいはい)
217○
218瑞霊(ずゐれい)弐拾(にじふ)八(はち)歳(さい)にして成道(じやうだう)し、219日洲(につしう)霊鷲山(りやうしうざん)に顕現(けんげん)し、220三拾(さんじつ)歳(さい)にして弥仙山(みせんざん)に再臨(さいりん)し、221三十三(さんじふさん)相(さう)木花(このはな)咲耶姫(さくやひめ)と現(げん)じ、222天教山(てんけうざん)の秀霊(しうれい)と現(げん)じ最勝妙(さいしようめう)如来(によらい)として、223五拾(ごじふ)弐(に)歳(さい)円山(まるやま)にて苦集(くしふ)滅道(めつだう)を説(と)き道法(だうほふ)礼節(れいせつ)を開示(かいじ)す。224教章(けうしやう)将(まさ)に三千(さんぜん)三百(さんびやく)三十三(さんじふさん)章(しやう)也(なり)。225五拾(ごじふ)四(し)歳(さい)仏縁(ぶつえん)最(もつと)も深(ふか)き蒙古(もうこ)に顕現(けんげん)し、226現代(げんだい)仏法(ぶつぽふ)の邪曲(じやきよく)を正(ただ)し、227真正(しんせい)の仏教(ぶつけう)を樹立(じゆりつ)し、228普(あまね)く一切(いつさい)の衆生(しゆじやう)をして天国(てんごく)浄土(じやうど)に安住(あんぢう)せしむ、229阿難(あなん)尊者(そんじや)其(その)他(た)の仏弟子(ぶつでし)の精霊(せいれい)随従(ずゐじゆう)す。230将(まさ)に五六七(みろく)の祥代(しやうだい)完成(くわんせい)万民(ばんみん)和楽(わらく)の大本(たいほん)なり。
231 惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)[*底本(全集)では「世」ではなく「也」。]
232 南無(なむ)最勝妙(さいしようめう)如来(によらい)
 
233 斯(か)かる大活劇(だいくわつげき)の脚色(きやくしよく)最中(さいちう)に日出雄(ひでを)は優美(いうび)なる詩句(しく)に筆(ふで)を動(うご)かす余裕(よゆう)を綽々(しやくしやく)として有(も)つて居(ゐ)た。
 
234   静(しづ)かなる夜(よ)
235静(しづ)かな夜(よ)なり
236メリメリと
237氷(こほり)の解(と)くる音(おと)に
238暖(あたたか)い春(はる)が流(なが)れる
239あゝ何(なん)といふ
240嬉(うれ)しい音(おと)だらう
241花(はな)笑(わら)ひ
242蝶(てふ)舞(ま)ふ
243天国(てんごく)浄土(じやうど)の
244出現(しゆつげん)も
245やがて近(ちか)いだらう。
246○
 
247渤海湾(ぼつかいわん)の氷(こほり)
248日々(ひび)に解(と)けて
249海神(かいしん)の奏(かな)づる
250神秘(しんぴ)の曲(きよく)
251浪(なみ)の中(なか)から
252長閑(のどか)に聞(きこ)える
253あゝ嬉(うれ)しい
254勇(いさ)ましい
255春(はる)の曲(きよく)
256陽炎(かげろふ)が静(しづか)に燃(も)える。
257   私(わたくし)の昨今(さくこん)
258私(わたし)の脳裡(のうり)の
259暗黒(あんこく)から明(あか)るみへ
260勇(いさ)ましく雄々(をを)しく
261煙(けむり)の様(やう)な
262期待(きたい)が流(なが)れて
263ぐるぐる廻(まは)る
264走馬燈(そうまたう)のやうに
265聖地(せいち)母上(ははうへ)妻子(つまこ)
266弟妹(ていまい)愛児(あいじ)
267数多(あまた)の信徒(しんと)
268あゝそれは
269私(わたし)の過去(くわこ)の断片(だんぺん)だ
270半世(はんせい)の俤(おもかげ)だ
271現世(げんせ)の縮図(しゆくづ)だ
272さて今日(けふ)から
273張(は)り替(か)へる
274走馬燈(そうまたう)は
275随分(ずゐぶん)世界(せかい)の
276見物(みもの)だらう。
277(大正一四、八、筆録)
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