霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第二四章 木局(ムチ)の月(つき)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第4篇 神軍躍動 よみ(新仮名遣い):しんぐんやくどう
章:第24章 木局の月 よみ(新仮名遣い):むちのつき 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1935(昭和10)年4月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
五月十四日の午前十時半、盧占魁が兵営の出発を見送りにやってきた。日出雄の一隊は轎車二台、大車一台に荷物を積んで多くの兵士を前後に従え、何度も大原野を流れるトール河を渡り、午後三時半に無事上木局収の仮殿に安着した。
上木局収の仮殿を護衛するため、十五支里ほどの間に三箇所の兵営が設けられた。上木局収の日本人は気楽に日を送っていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考:2024/1/25出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-01-25 21:37:19 文字数:3646 OBC :rmnm24
愛善世界社版:216頁 八幡書店版:第14輯 626頁 修補版: 校定版:218頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 五(ご)月(ぐわつ)十四日(じふよつか)即(すなは)ち王日(わうじつ)午前(ごぜん)九(く)時(じ)上将(じやうしやう)盧(ろ)占魁(せんくわい)は太上将(だいじやうしやう)日出雄(ひでを)の陣営(ぢんえい)に来(きた)り、002午前(ごぜん)十(じふ)時(じ)半(はん)、003下(しも)木局収(もくきよくしう)の兵営(へいえい)の出発(しゆつぱつ)を見送(みおく)つた。004轎車(けうしや)二台(にだい)、005大車(だいしや)一台(いちだい)に荷物(にもつ)を積(つ)み数多(あまた)の兵士(へいし)を前後(ぜんご)に従(したが)へ、006蜒蜿(えんえん)として大原野(だいげんや)を流(なが)るる洮児(トール)河(がは)の激流(げきりう)を幾度(いくど)となく騎馬(きば)にて渡(わた)り、007午後(ごご)三(さん)時(じ)半(はん)008無事(ぶじ)上(かみ)木局収(もくきよくしう)の仮殿(かりどの)に安着(あんちやく)した。009蒙古(もうこ)の馬(うま)は体躯(たいく)日本(につぽん)の乗馬(じようば)に比(ひ)して稍(やや)小(せう)なれども、0091極寒(ごくかん)極暑(ごくしよ)に耐(た)へ且(か)つ忍耐力(にんたいりよく)強(つよ)く柔順(じうじゆん)である。010河水(かすゐ)を見(み)れば何(いづ)れの馬(うま)も頭(かしら)を振(ふ)つて勇(いさ)み立(た)ち、011青味(あをみ)だつた激流(げきりう)を平然(へいぜん)として渡(わた)る様(さま)は殆(ほとん)ど平地(へいち)を行(ゆ)くやうである。012井上(ゐのうへ)兼吉(かねきち)は馬賊(ばぞく)の頭目(とうもく)曼陀汗(マンダハン)等(ら)と旧(ふる)くより交際(かうさい)して居(ゐ)ただけあつて、013満蒙(まんもう)の事情(じじやう)によく通(つう)じて居(ゐ)た。014彼(かれ)は道々(みちみち)馬上(ばじやう)にて日本(につぽん)馬賊(ばぞく)の作(つく)つたと云(い)ふ勇(いさ)ましい歌(うた)を歌(うた)ひつつ進(すす)む。
015嵐(あらし)吹(ふ)け吹(ふ)けマーカツ颪(おろし)
016雪(ゆき)の蒙古(もうこ)に日(ひ)は暮(く)れて
017征鞍(せいあん)照(て)らす月影(つきかげ)に
018仰(あふ)げば高(たか)し雁(かり)の群(むれ)
019吾(われ)には家(いへ)なし妻(つま)もなし
020国(くに)を離(はな)れて十(じふ)余(よ)年(ねん)
021家(いへ)は有(あ)れ共(ども)岩(いは)の洞(ほら)
022従(したが)ふ手下(てした)は二千(にせん)余(よ)騎(き)
023馬上(ばじやう)叱咤(しつた)の戯(たはむ)れに
024鎗(やり)をしごけばスルスルと
025延(の)びて一丈(いちじやう)の穂(ほ)の光(ひか)り
026電光(でんくわう)閃(ひらめ)く玉(たま)を為(な)す
027興安嶺(こうあんれい)のかくれ家(が)に
028剣(つるぎ)の小尻(こじり)を鞭(むちう)ちて
029闇(やみ)をすかせば二千(にせん)人(にん)
030轡(くつわ)並(なら)べて忍(しの)び寄(よ)る
031殺気(さつき)立(た)ちたる馬賊(ばぞく)の群(むれ)は
032何処(どこ)で呑(の)んだか酒(さけ)臭(くさ)い
033無聊(むりやう)に苦(くる)しみ酒(さけ)を呑(の)む
034山(やま)と積(つ)みにし虎(とら)の肉(にく)
035肌(はだ)押(お)し脱(ぬ)げば一面(いちめん)に
036日頃(ひごろ)自慢(じまん)の刀傷(かたなきず)
037今日(けふ)の獲物(えもの)は五万(ごまん)両(りやう)
038明日(あす)は襲(おそ)はむ蒙古(もうこ)の地(ち)
039イザヤまどろまむ一時(ひととき)を
040取(と)り出(だ)す枕(まくら)は髑髏(しやりかうべ)
041ホンニ忘(わす)らりよか古郷(ふるさと)の
042可愛(かあい)稚児(ちご)さんが目(め)に躍(をど)る。
043 上(かみ)木局収(もくきよくしう)の仮殿(かりどの)なる日出雄(ひでを)を護衛(ごゑい)の為(た)め、044僅(わづ)か十五(じふご)支里(しり)の間(あひだ)に三(さん)ケ所(しよ)の兵営(へいえい)を設(まを)けられた。045其(その)配置(はいち)は最前方(さいぜんぱう)即(すなは)ち西北方(せいほくはう)には鄒(すう)団長(だんちやう)が二百(にひやく)の兵(へい)を引(ひ)きつれ警護(けいご)し、046中央(ちうあう)には何(か)団長(だんちやう)又(また)百(ひやく)数十(すうじふ)名(めい)にて警固(けいご)し、047最後(さいご)即(すなは)ち東南方(とうなんはう)の営所(えいしよ)には中将(ちうじやう)張(ちやう)彦三(けんさん)旅長(りよちやう)として之(これ)を警固(けいご)して居(ゐ)た。048日出雄(ひでを)は此(この)間(かん)を悠々(いういう)として何(なん)の憚(はばか)る所(ところ)もなく部下(ぶか)の兵士(へいし)と共(とも)に馳駆(ちく)して馬術(ばじゆつ)を錬(ね)つた。049日出雄(ひでを)が各兵営(かくへいえい)を訪(おと)づるるや、050各(かく)団長(だんちやう)は兵(へい)を門外(もんぐわい)に整列(せいれつ)させ、051一斉(いつせい)に捧(ささ)げ銃(つつ)の礼(れい)を施(ほど)こし、052先頭(せんとう)に立(た)つて兵営(へいえい)に入(い)るのが常(つね)であつた。053張(ちやう)旅長(りよちやう)はモーゼル銃(じゆう)を自(みづか)ら修繕(しうぜん)する際(さい)、054誤(あやま)つて自分(じぶん)の脛(はぎ)を討(う)ち、055其(そ)の弾丸(だんぐわん)は骨(ほね)に当(あた)つて肉(にく)深(ふか)く残留(ざんりう)し苦痛(くつう)を訴(うつた)へた。056急報(きふはう)により日出雄(ひでを)は医務(いむ)処長(しよちやう)猪野(ゐの)大佐(たいさ)及(およ)び真澄別(ますみわけ)、057守高(もりたか)其(その)他(た)を引(ひ)きつれ、058旅長(りよちやう)の陣営(ぢんえい)に馳(は)せつけ、059局所(きよくしよ)に鎮魂(ちんこん)を施(ほどこ)し激痛(げきつう)を其(その)場(ば)で止(と)め、060猪野(ゐの)大佐(たいさ)は直(ただ)ちに刀(とう)を取(と)つて弾丸(だんぐわん)の抉出(けつしゆつ)に尽瘁(じんすゐ)した。061されど弾丸(だんぐわん)は骨(ほね)に深(ふか)くうち込(こ)んで居(ゐ)るので抉出(けつしゆつ)することは出来(でき)なかつたので、062已(や)むを得(え)ず日出雄(ひでを)は其(その)儘(まま)平癒(へいゆ)すべく神(かみ)に祈(いの)つた。063所(ところ)が不思議(ふしぎ)にも旅長(りよちやう)は俄(にはか)に苦痛(くつう)を忘(わす)れ、064平然(へいぜん)として馬(うま)に跨(またが)り部下(ぶか)を指揮(しき)するを得(え)たので、065将卒(しやうそつ)一同(いちどう)は其(そ)の奇瑞(きずゐ)に感歎(かんたん)の声(こゑ)を放(はな)つた。066日本人(につぽんじん)側(がは)数名(すうめい)と白凌閣(パイリンク)、067温(をん)長興(ちやうこう)、068大(たい)師文(しぶん)、069康(かう)国宝(こくはう)等(ら)は或(ある)日(ひ)兵営(へいえい)と兵営(へいえい)との間(あひだ)を馬(うま)をかけて居(ゐ)た所(ところ)、070何(なに)に驚(おどろ)いたか萩原(はぎはら)敏明(としあき)の馬(うま)は突然(とつぜん)直立(ちよくりつ)した刹那(せつな)、071萩原(はぎはら)は大地(だいち)へ真逆(まつさか)様(さま)に落(おと)され大(だい)の字(じ)になつて倒(たふ)れた。072萩原(はぎはら)の乗馬(じやうば)は雲(くも)を霞(かすみ)と駆(か)け出(だ)して了(しま)つた。073後(あと)から来(き)た日出雄(ひでを)は我(わが)脚下(きやくか)に萩原(はぎはら)の倒(たふ)れてゐるのを見(み)て、074俄(にはか)に馬腹(ばふく)に鞭(むち)を加(くは)へ其(その)上(うへ)を一足(いつそく)飛(と)びに飛(と)んで馬蹄(ばてい)蹂躙(じうりん)の難(なん)をさけたが、075今度(こんど)は又(また)もや白凌閣(パイリンク)の馬(うま)は白(パイ)を地上(ちじやう)に投(な)げすて雲(くも)を霞(かすみ)とかけ出(だ)す。076数多(あまた)の騎馬兵(きばへい)を四方(しはう)に出(だ)して幸(さいは)ひ両馬(りやうば)とも捕獲(ほくわく)することを得(え)た。077二三(にさん)日(にち)すると奉天(ほうてん)に軍使(ぐんし)に行(い)つた名田彦(なだひこ)が、078支那兵(しなへい)数名(すうめい)と共(とも)に上(かみ)木局収(もくきよくしう)の仮殿(かりどの)に無事(ぶじ)帰(かへ)つて来(き)た。079名田彦(なだひこ)は日出雄(ひでを)を見(み)るより声(こゑ)をあげて懐(なつ)かしさに泣(な)いた。080彼(かれ)は幾度(いくど)も途中(とちう)危難(きなん)に遭遇(さうぐう)し081漸(やうや)くにして生命(せいめい)を全(まつた)うして帰(かへ)つて来(き)た嬉(うれ)しさが一(いち)時(じ)に込(こ)み上(あ)げて来(き)たのである。082守高(もりたか)と名田彦(なだひこ)はそれより日々(ひび)乗馬(じやうば)の練習(れんしふ)に余念(よねん)がなかつた。083さうして守高(もりたか)は王(わう)連長(れんちやう)や王(わう)参謀(さんぼう)に暇(ひま)ある毎(ごと)に柔術(じうじゆつ)を教授(けうじゆ)して居(ゐ)た。084守高(もりたか)に柔術(じうじゆつ)を学(まな)ぶものは支那(しな)将校(しやうかう)の中(うち)四五(しご)名(めい)はあつた、085併(しか)し大部分(だいぶぶん)の将卒(しやうそつ)は柔術(じうじゆつ)を蔑視(べつし)して居(ゐ)た。086彼(かれ)等(ら)は云(い)ふ『何程(いかほど)柔術(じうじゆつ)が達者(たつしや)でも飛(と)び道具(だうぐ)には叶(かな)ふまい、087今日(こんにち)の戦争(せんそう)は銃砲(じゆうはう)より外(ほか)に力(ちから)になるものはない、088柔術(じうじゆつ)など云(い)ふものは一種(いつしゆ)の遊芸(いうげい)だ』と。089守高(もりたか)は或(あるひ)は[*「或は」は底本(全集)通り。校定版では「或日(あるひ)」に修正されている。愛善世界社では「或は」。『王仁蒙古入記』267頁4行目でも「或は」。文章として「守高は或は騎馬にて」ではおかしいが、修正せずこのままにしておく。]騎馬(きば)にて郊外(かうぐわい)を散策(さんさく)する時(とき)、090例(れい)のシーゴーに吠(ほ)えつかれ、091乗馬(じやうば)が驚(おどろ)いて馳(か)[*「馳」は底本(全集)通り。]け出(だ)す途端(とたん)に落馬(らくば)したが、092彼(かれ)は落馬(らくば)したのではない無事(ぶじ)着陸(ちやくりく)したのだと不減口(へらずぐち)を云(い)つて笑(わら)つて居(ゐ)た。093名田彦(なだひこ)も自(みづか)ら乗馬(じやうば)の達人(たつじん)と称(しよう)して居(ゐ)たが、094これもシーゴー数十(すうじつ)頭(とう)に取囲(とりかこ)まれ馬(うま)が驚(おどろ)いて馳(か)[*「馳」は底本(全集)通り。]け出(だ)す途端(とたん)に地上(ちじやう)に遺棄(ゐき)され、095驚(おどろ)いて起(お)き上(あが)つた時分(じぶん)には、096乗馬(じやうば)は影(かげ)の見(み)えない所(ところ)迄(まで)遠(とほ)く逃(に)げ去(さ)つて居(ゐ)た。097日出雄(ひでを)は此(この)報告(はうこく)を聞(き)くなり数名(すうめい)の士官(しくわん)や兵卒(へいそつ)に命(めい)じ遁馬(にげうま)を捕獲(ほくわく)すべく命(めい)じた。098温(をん)少佐(せうさ)は六(ろく)名(めい)の兵士(へいし)と共(とも)に際限(さいげん)なき荒野(くわうや)を駆(か)け廻(めぐ)り、099日(ひ)の暮(く)るる頃(ころ)漸(やうや)く馬(うま)を捉(とら)へて帰(かへ)つて来(き)たので、100日出雄(ひでを)は温(をん)以下(いか)の労苦(らうく)を謝(しや)し種々(しゆじゆ)と菓子(くわし)や煙草(たばこ)などを与(あた)へて慰(なぐさ)めた。101さうして名田彦(なだひこ)に向(むか)ひ、
102日出雄『オイ、103名田彦(なだひこ)、104乗馬(じやうば)の達人(たつじん)が落馬(らくば)するとは何(なん)の事(こと)だい』105と一本(いつぽん)参(まゐ)つた、106すると名田彦(なだひこ)は頭(あたま)をガシガシ掻(か)き乍(なが)ら、
107名田彦『ハイ、108弘法(かうぼふ)も筆(ふで)の誤(あやま)りです』
109と相変(あひかは)らずの負(ま)け惜(をし)みである。110上(かみ)木局収(もくきよくしう)の仮殿(かりどの)にゐる日本人(につぽんじん)は何(いづ)れも気楽(きらく)なもので、
111『オチココテノ、112ウツトコハテナ、113ボホラヌボ、114オンクスアルテチ、115ウンヌルテ、116オホノトルテ、117ピーシヤムツトルテ、118マラカウンスナ、119コトラアンテイナ、120パサパーナ、121シエスシエーナ』
122 などと他愛(たあい)もない下(しも)がかつた話(はなし)計(ばか)りして暮(くら)して居(ゐ)た。123日出雄(ひでを)は上(かみ)木局収(もくきよくしう)の仮殿(かりどの)に起臥(きぐわ)して居(ゐ)る中(うち)、124沢山(たくさん)の歌(うた)や俳句(はいく)を詠(よ)んだが其(その)中(なか)の一部(いちぶ)を茲(ここ)に紹介(せうかい)する。
 
125 国(くに)を出(で)て四(よ)つの月(つき)をば重(かさ)ねつつ吾(わが)生(うま)れたる月夜(つきよ)に会(あ)ふかな
126 夕暮(ゆふぐれ)の東(ひがし)の空(そら)を眺(なが)むれば神島(かみしま)に似(に)し雲(くも)の浮(うか)べる
127 昨夜(よべ)降(ふ)りし雨(あめ)の大空(おほぞら)晴(は)れ渡(わた)り十二(じふに)日(にち)の月(つき)光(ひかり)目出度(めでた)し
128 東方(とうはう)の空(そら)のみ村雲(むらくも)立(た)ち昇(のぼ)るいかなる神(かみ)の示(しめ)しなるらむ
129 野雪隠(のせつちん)掘(ほ)りて日々(にちにち)パサパーナ為(な)さむ為(た)め守高(もりたか)鍬(くわ)を手(て)にする
130 温突(オンドル)の暖気(だんき)を避(さ)けむと庭(には)の面(も)に今日(けふ)改(あらた)めて久土(くど)築(つ)きにけり
131 山火事(やまくわじ)と吾(わが)出発(しゆつぱつ)の写真(しやしん)をば仕上(しあ)げの際(さい)に焦(こが)せし惜(を)しさよ
132 静(しづか)なる月(つき)の姿(すがた)を見(み)る毎(ごと)にナラヌオロスの信徒(まめひと)思(おも)ふ
133 ホイモール眼(まなこ)は弥々(いよいよ)丸(まる)くなりて夕日(ゆふひ)の空(そら)に月(つき)は輝(かがや)く
134 窓(まど)明(あ)けて月(つき)の面(おも)をば眺(なが)めつつ心(こころ)静(しづ)かに行末(ゆくすへ)おもふ
135 バラモンの醜(しこ)の鋭鋒(えいほう)避(さ)けながら蒙古(もうこ)の空(そら)に月(つき)を眺(なが)むる
136 十二夜(じふにや)の月(つき)の光(ひかり)に照(て)らされて樺(かば)の幹(みき)のみ山(やま)に光(ひか)れる
137 司令部(しれいぶ)を駒(こま)に鞭(むちう)ち立(た)ち出(い)でて今日(けふ)上(かみ)木局収(ムチヅ)の月(つき)を見(み)るかな
138 忽(たちま)ちに魚鱗(ぎよりん)の雲(くも)の塞(ふさ)がりて可惜(あたら)月影(つきかげ)呑(の)まむとぞする
139 野(の)の中(なか)に放(はな)ちやりたる馬(うま)の群(む)れ寝屋(ねや)に帰(かへ)るを厭(いと)ひて走(はし)る
140 日(ひ)の出(い)づる国(くに)にて見(み)たる月(つき)よりも蒙古(もうこ)の空(そら)は珍(めづ)らしく見(み)る
141 雨雲(あまぐも)は空(そら)一面(いちめん)に塞(ふさ)がりぬ今宵(こよひ)の月(つき)の別(わか)れおしさよ
142 瑞月(ずゐげつ)の雲(くも)かくれせしを守(まも)らむと十二夜(じふにや)の月(つき)かくれしならむ
143 浮雲(うきぐも)の薄(うす)き衣(きぬ)をば通(とほ)してゆほのかに見(み)えし今(けふ)[*「今」にフリガナ「けふ」は底本(全集)通り。校定版ではフリガナ「いま」に修正されている。愛善世界社版では「いま」。底本が「今日」の誤字である可能性もある。]の月(つき)かげ
144 すがすがし祝詞(のりと)の声(こゑ)の聞(きこ)えけり守高(もりたか)のホラの雄(を)たけびならむ
145 河辺(かはべり)に立出(たちい)で団長(だんちやう)等(ら)と共(とも)に騎馬(きば)の照相(せうさう)写(うつ)し撮(と)りけり
146 暫時(しばらく)は此(この)地(ち)にありて外蒙(ぐわいもう)に進(すす)まむ時(とき)の英気(えいき)養(やしな)ふ
147 林間(りんかん)に駒(こま)を並(なら)べて勇(いさ)ましく涼(すず)しき風(かぜ)を受(う)けつつすすむ
148 吾(われ)[*「吾」は底本(全集)通り。]は今(いま)万里(ばんり)の原野(げんや)を乗(の)り越(こ)えて草野(くさの)の小村(こむら)に経綸(けいりん)を立(た)つ
149 九十六(くじふろく)[*底本(全集)では「九十六」にフリガナは付いていない。校定版と愛善世界社版では「くじふろく」と付けられており、霊界物語ネットでもそれに準拠した。]の日(ひ)を重(かさ)ねつつ我(われ)[*「我」は底本(全集)通り。ここと次行の「我身」だけが「我」で、他は「吾」が使われている。]は今(いま)蒙古(もうこ)の奥(おく)に駒(こま)に鞭打(むちう)つ
150 時々(ときどき)に国(くに)の事(こと)など思(おも)ひ出(い)でて今日(けふ)の我(わが)身(み)の幸(さち)をよろこぶ
151 蒙古語(もうこご)を学(まな)ばむとして今日(けふ)も亦(また)肩(かた)こらしつつペンを走(はし)らす
152 窓(まど)障子(しやうじ)破(やぶ)れて風(かぜ)のあたるたび猶(なほ)ペラペラと言(い)ひさやぐかな
153 桃太郎(ももたらう)誕生(たんじやう)したる照相(せうさう)を馬飼(うまかひ)が原(はら)に撮(と)りし今日(けふ)かな
154 大空(おほぞら)の雲(くも)かき分(わ)けて三五(あななひ)の月(つき)の光(ひかり)もあきらかに照(て)る
155 雲(くも)の戸(と)を明(あ)けて今宵(こよひ)の月影(つきかげ)は吾(わ)が賤(しづ)の家(や)を照(てら)したまひぬ
156 肩(かた)痛(いた)み腰(こし)張(は)り頭痛(づつう)鉢巻(はちまき)でペンを執(と)りつつ窓(まど)の月(つき)見(み)る
157 トルコノロホルまで痛(いた)む今宵(こよひ)こそ曲神(まがみ)の吾(われ)を窺(うかが)ふなるらむ
158 ナルンオロス曲(まが)の関所(せきしよ)を潜(くぐ)り来(き)て又(また)もや蒙古(もうこ)の曲(まが)に襲(おそ)はる
159 背(せな)に肩(かた)脚(あし)腕(うで)までも痛(いた)みてゆ已(や)むを得(え)ずして昼寝(ひるね)せし哉(かな)
160○
161 木局(ムチ)の野(の)に駒(こま)嘶(いなな)きて草(くさ)萌(も)ゆる
162 木局(ムチ)の野(の)の初夏(しよか)の夕(ゆふ)べや杜鵑(ほととぎす)啼(な)く
163 人心(ひとごころ)荒(あら)き木局収(ムチヅ)の宿営(しゆくえい)かな
164 無頼(ぶらい)の徒(と)集(あつ)まりて住(す)む木局収(もくきよくしう)
165 陽(ひ)は清(きよ)く風(かぜ)暖(あたた)かに草(くさ)萌(も)ゆる
166 豚(ぶた)の児(こ)に石(いし)を投(な)げつつ野遊(やいう)かな
167 食物(しよくもつ)に乏(とぼ)しき木局収(ムチヅ)の仮寝(かりね)かな
168 ハタハタと白旗(しらはた)の鳴(な)る初夏(しよか)の風(かぜ)
169 山(やま)低(ひく)く雲(くも)また低(ひく)し木局(ムチ)の野辺(のべ)
170 牧草(ぼくさう)の乏(とぼ)しき木局収(ムチヅ)駒(こま)細(ほそ)り
171 駒(こま)止(と)めて少時(しばし)見入(みい)りぬ河(かは)の面(おも)
172 河水(かはみづ)の音(おと)高々(たかだか)と夢(ゆめ)に入(い)る
173 身(み)を忍(しの)び気力(きりよく)養(やしな)ひ時(とき)を待(ま)ち
174 コルギーホワラ、チチクさへ無(な)き上(かみ)木局収(ムチヅ)
175 オンクスアルテチ、ウンヌルテと鼻(はな)摘(つま)み
176 来客(らいきやく)にモンタラパンナと席(せき)譲(ゆづ)り
177 夜(よ)な夜(よ)なに啼(な)く杜鵑(ほととぎす)気(き)に懸(かか)り
178 雨雲(あまぐも)や瞬(またた)く中(うち)に空(そら)塞(ふさ)ぎ
179 空(そら)に雲(くも)覆(お)ひて忽(たちま)ち風(かぜ)寒(さむ)し
180 イリチーカ最(いと)も悲(かな)しげな声(こゑ)搾(しぼ)り
181 ガーガーとガーハイの声(こゑ)耳(みみ)に立(た)ち
182 喇嘛服(ラマふく)に着替(きか)へて馬上(ばじやう)の照相(すがた)撮(と)り
183 千万(せんまん)里(り)荒野(くわうや)の奥(おく)の馬遊(ばいう)かな
184 寝(ね)そべりつ窓(まど)の側(そば)にてペンを執(と)り
185 ペン先(さき)は早(はや)くも坊主(ばうず)となりにけり
186 山(やま)も野(の)も吾(われ)も坊主(ばうず)の蒙古(もうこ)かな
187 ポロハナの力(ちから)も薄(うす)き蒙古(もうこ)喇嘛(ラマ)
188 どの山(やま)も金字形(きんじがた)なり上(かみ)木局収(ムチヅ)
189 駒(こま)並(な)べて軍(いくさ)の司(つかさ)来(きた)りけり
190 紅(くれなゐ)の夕日(ゆふひ)の空(そら)に月(つき)清(きよ)し
191 夕日影(ゆふひかげ)山野(さんや)をボルに染(そ)めにけり
192 紫(むらさき)の雲(くも)たなびきて入日(いりひ)近(ちか)し
193 十四夜(や)[*底本(全集)では「十四夜」にフリガナは付いていない。校定版では「いざよひ」と付けられている。愛善世界社版と『王仁蒙古入記』277頁4行目では「夜」にだけ「や」とフリガナが付けられている。「じふしや」か?]の月(つき)は日(ひ)の内(うち)輝(かがや)けり
194 窓(まど)明(あ)けて初夏(しよか)の満月(まんげつ)拝(をが)みけり
195 初夏(しよか)の月(つき)初(はじ)めて見(み)たり蒙古地(もうこち)に
196 月(つき)清(きよ)く星(ほし)稀(まれ)にして風(かぜ)寒(さむ)し
197 吾(わが)友(とも)は今宵(こよひ)の月(つき)を吾(われ)と見(み)む
198 月次(つきなみ)の今日(けふ)の祭(まつ)りや月(つき)丸(まる)し
199 雪(ゆき)解(と)けて河水(かはみづ)日々(ひび)に増(まさ)りけり
200 草(くさ)も木(き)も青(あを)み出(い)でけり初夏(しよか)の雨(あめ)
201 大空(おほぞら)の月(つき)を包(つつ)みし雲(くも)散(ち)りぬ
202 雪(ゆき)とけて三五(あななひ)の月(つき)空(そら)に照(て)り
203 日人(にちじん)の夢(ゆめ)にも知(し)らぬ吾(わが)神業(しんげふ)
 
204(大正一四、八、筆録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→