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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
第1章 水火訓
第2章 神示の経綸
第3章 金剛心
第4章 微燈の影
第5章 心の奥
第6章 出征の辞
第7章 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
第8章 聖雄と英雄
第9章 司令公館
第10章 奉天出発
第11章 安宅の関
第12章 焦頭爛額
第13章 洮南旅館
第14章 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
第15章 公爺府入
第16章 蒙古の人情
第17章 明暗交々
第18章 蒙古気質
第19章 仮司令部
第20章 春軍完備
第21章 索倫本営
第4篇 神軍躍動
第22章 木局収ケ原
第23章 下木局子
第24章 木局の月
第25章 風雨叱咤
第26章 天の安河
第27章 奉天の渦
第28章 行軍開始
第29章 端午の日
第30章 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
第31章 強行軍
第32章 弾丸雨飛
第33章 武装解除
第34章 竜口の難
第35章 黄泉帰
第36章 天の岩戸
第37章 大本天恩郷
第38章 世界宗教聯合会
第39章 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
神示の世界経綸
余白歌
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霊界物語
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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特別編 入蒙記
> 第5篇 雨後月明 > 第35章 黄泉帰
<<< 竜口の難
(B)
(N)
天の岩戸 >>>
第三五章
黄泉
(
よみ
)
帰
(
がへり
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第5篇 雨後月明
よみ(新仮名遣い):
うごげつめい
章:
第35章 黄泉帰
よみ(新仮名遣い):
よみがえり
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
六月二十一日の夜、日出雄が鴻賓旅館で捕縛されたとき、そこに泊まり合わせていた日本人某がふと庭にお取次ぎを行う杓子を見つけた。そして日出雄の歌と拇印が記されているのを認め、日出雄一行の遭難を知ったのである。
パインタラから一番の汽車に乗ると、鄭家屯の日本領事館に届け出た。領事館はすぐに土屋書記生を急行せしめ、二十二日の夕ごろにパインタラに着き、知事に面会して日出雄一行の引渡しを要求した。土屋書記生は獄舎につながれている日出雄一行にも面会し、安心するようにと言いおいて帰って行った。
書記生が来る前は、日出雄一行の処置に着いて、蒙古人として処刑することに決まり、準備をしていたそうである。ところが、日本領事館に知れたことがわかり、国際上の後難を恐れて、決行するに至らなかったという。
翌日、居留日本人会長・太田勤氏、満鉄公所の志賀秀二氏が面会に来て、官憲と種々協議の結果、ようやく手かせのみ解かれることになった。国際法によれば、領事館引渡し要求から二十四時間以内に引渡しを行うべきところ、三十日までパインタラに拘束されていたのは、日本領事館と現地官憲との交渉が難しかったためであるとのことであった。
四五日経ってから日本人一同は、パインタラ県知事の法廷に引き出され、馬賊でないかどうか取調べを受けた。一同は自分たちは馬賊ではないと言って反駁した。六月三十日には、鄭家屯において同様の取調べを受けた。
七月五日の夕暮れ、鄭家屯の日本領事館に引き渡されることになった。領事館にて一応の取調べを受けた後、久しぶりに湯を使った。監房で一夜を明かし、翌六日、奉天の総領事館に送られた。
奉天にはすでに名田彦、山田、小林らが収容されており、しばらくして大倉が入ってきた。取調べの結果、三年間支那からの退去処分ということに落ち着いた。日本から中野岩太、隆光彦が役員信者代表として奉天に出張し、奉天支部の西島と共に差し入れその他について奔走した。
七月二十一日に大連に着き、船で門司に送られた。日出雄は船内で船長や乗客に請われて大本教義についての公演や揮毫を求められた。日本の玄関口に到着したのは、七月二十五日であった。その光景はあたかも凱旋将軍を迎えるがごとき有様であった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
2024/2/17出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-02-17 16:10:07
OBC :
rmnm35
愛善世界社版:
322頁
八幡書店版:
第14輯 665頁
修補版:
校定版:
325頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
日出雄
(
ひでを
)
が
六
(
ろく
)
月
(
ぐわつ
)
二十一
(
にじふいち
)
日
(
にち
)
の
夜
(
よ
)
[
※
6月22日の午前1時頃
]
、
002
白音太拉
(
パインタラ
)
の
鴻賓
(
こうひん
)
旅館
(
りよくわん
)
で
寝込
(
ねこみ
)
を
捕縛
(
ほばく
)
された
時
(
とき
)
、
003
折
(
をり
)
よく
其処
(
そこ
)
に
宿
(
とま
)
つて
居
(
ゐ
)
た
日本人
(
につぽんじん
)
某
(
ぼう
)
が、
004
朝
(
あさ
)
になつてふと
庭
(
には
)
を
見
(
み
)
ると、
005
皇道
(
くわうだう
)
大本
(
おほもと
)
の
神器
(
しんき
)
として
病者
(
びやうしや
)
の
祈願
(
きぐわん
)
に
用
(
もち
)
ゆる
杓子
(
しやくし
)
が
一本
(
いつぽん
)
遺棄
(
ゐき
)
されてあつた。
006
其
(
その
)
杓子
(
しやくし
)
には
007
天地
(
あめつち
)
の
身魂
(
みたま
)
を
救
(
すく
)
ふ
此
(
この
)
杓子
(
しやくし
)
心
(
こころ
)
のままに
世人
(
よびと
)
救
(
すく
)
はん
008
と
表
(
おもて
)
に
誌
(
しる
)
し
其
(
その
)
裏
(
うら
)
には
009
この
杓子
(
しやくし
)
我
(
わが
)
生
(
うま
)
れたる
十二夜
(
じふにや
)
の
月
(
つき
)
の
姿
(
すがた
)
にさも
似
(
に
)
たるかな
010
王仁
(
わに
)
[
*
フリガナ「わに」は底本(全集)通り。
]
011
と
誌
(
しる
)
し、
012
ス
の
拇印
(
ぼいん
)
が
押捺
(
お
)
してあつたのを
見
(
み
)
つけ
出
(
だ
)
し、
013
驚
(
おどろ
)
いて
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
知
(
し
)
り、
014
白音太拉
(
パインタラ
)
から
一番
(
いちばん
)
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
り、
015
鄭家屯
(
ていかとん
)
の
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
に
届
(
とど
)
けて
出
(
で
)
た。
016
領事館
(
りやうじくわん
)
では
驚
(
おどろ
)
いて
土屋
(
つちや
)
書記生
(
しよきせい
)
を
急行
(
きふかう
)
せしむる
事
(
こと
)
となつた。
017
扨
(
さ
)
て
日出雄
(
ひでを
)
は
総
(
すべ
)
ての
所持品
(
しよぢひん
)
を
兵営
(
へいえい
)
に
預
(
あづけ
)
ると
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
の
下
(
もと
)
に
没収
(
ぼつしう
)
され、
018
真澄別
(
ますみわけ
)
外
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
は
所持金
(
しよぢきん
)
から
帽子
(
ばうし
)
、
019
靴
(
くつ
)
、
020
帯革
(
おびかは
)
其
(
その
)
他
(
た
)
所有
(
しよいう
)
携帯品
(
けいたいひん
)
を
支那
(
しな
)
巡警
(
じゆんけい
)
から
掠奪
(
りやくだつ
)
されて
仕舞
(
しま
)
つたさうである。
021
彼
(
かれ
)
巡警
(
じゆんけい
)
等
(
ら
)
は
今晩
(
こんばん
)
日本人
(
につぽんじん
)
全部
(
ぜんぶ
)
銃殺
(
じゆうさつ
)
の
刑
(
けい
)
に
処
(
しよ
)
せらるると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
たから、
022
取
(
と
)
つたら
取得
(
とりどく
)
だと
云
(
い
)
ふ
考
(
かんがへ
)
で、
023
真裸体
(
まつぱだか
)
として
了
(
しま
)
つたのである。
024
一方
(
いつぱう
)
土屋
(
つちや
)
書記生
(
しよきせい
)
は
二十二
(
にじふに
)
日
(
にち
)
の
夕
(
ゆふ
)
頃
(
ごろ
)
に
白音太拉
(
パインタラ
)
に
着
(
つ
)
き、
025
通遼
(
つうれう
)
公署
(
こうしよ
)
に
到
(
いた
)
り、
026
知事
(
ちじ
)
に
面会
(
めんくわい
)
し、
027
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
の
引渡
(
ひきわた
)
しを
交渉
(
かうせふ
)
した。
028
さうして
翌
(
よく
)
早朝
(
さうてう
)
土屋
(
つちや
)
氏
(
し
)
は
日出雄
(
ひでを
)
の
繋
(
つな
)
がれて
居
(
ゐ
)
る
監獄
(
かんごく
)
へ
見舞
(
みまひ
)
に
来
(
き
)
て、
029
親切
(
しんせつ
)
に
慰
(
なぐさ
)
め、
030
もう
領事館
(
りやうじくわん
)
から
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
上
(
うへ
)
は、
031
生命
(
せいめい
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です
安心
(
あんしん
)
なさいと
云
(
い
)
ふて
帰
(
かへ
)
つて
往
(
い
)
つた。
032
書記生
(
しよきせい
)
が
白音太拉
(
パインタラ
)
に
着
(
つ
)
いた
二十二
(
にじふに
)
日
(
にち
)
の
夜
(
よ
)
は、
033
何
(
なん
)
となく
騒
(
さわ
)
がしく、
034
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
から
数百千
(
すうひやくせん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
犬
(
いぬ
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え、
035
何事
(
なにごと
)
か
勃発
(
ぼつぱつ
)
しさうな
形勢
(
けいせい
)
であつた。
036
後
(
あと
)
から
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
れば、
037
書記生
(
しよきせい
)
が
日出雄
(
ひでを
)
に
面会
(
めんくわい
)
する
前
(
まへ
)
、
038
蒙古人
(
もうこじん
)
として
銃殺
(
じゆうさつ
)
する
準備
(
じゆんび
)
をして
居
(
ゐ
)
たと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
である。
039
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
最早
(
もはや
)
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
に
判
(
わか
)
つた
以上
(
いじやう
)
、
040
国際
(
こくさい
)
上
(
じやう
)
後難
(
こうなん
)
を
怖
(
おそ
)
れ、
041
其
(
その
)
夜
(
よ
)
は
決行
(
けつかう
)
に
至
(
いた
)
らなかつた。
042
書記生
(
しよきせい
)
が
日出雄
(
ひでを
)
等
(
ら
)
に
面会
(
めんくわい
)
してより
漸
(
やうや
)
くにして
縄
(
なは
)
を
解
(
と
)
き、
043
各々
(
おのおの
)
足枷
(
あしかせ
)
を
入
(
い
)
れられ、
044
日出雄
(
ひでを
)
と
守高
(
もりたか
)
、
045
井上
(
ゐのうへ
)
と
萩原
(
はぎはら
)
、
046
真澄別
(
ますみわけ
)
と
坂本
(
さかもと
)
と
三組
(
さんくみ
)
、
047
二人
(
ふたり
)
づつ
手枷
(
てかせ
)
で
連
(
つな
)
がれ、
048
便所
(
べんじよ
)
へ
行
(
ゆ
)
くにも
弾丸
(
たま
)
をこめた
兵
(
へい
)
が
銃剣
(
じゆうけん
)
を
擬
(
ぎ
)
して
警戒
(
けいかい
)
し、
049
巡警
(
じゆんけい
)
は
弾込
(
たまこ
)
め
銃
(
じゆう
)
を
持
(
も
)
つて、
050
大小便
(
だいせうべん
)
ともついて
来
(
き
)
た。
051
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
、
052
居留
(
きよりう
)
日本人
(
につぽんじん
)
会長
(
くわいちやう
)
太田
(
おほた
)
勤
(
つとむ
)
及
(
およ
)
び
満鉄
(
まんてつ
)
公所
(
こうしよ
)
の
志賀
(
しが
)
秀二
(
ひでじ
)
の
二氏
(
にし
)
が
面会
(
めんくわい
)
に
来
(
き
)
て、
053
種々
(
しゆじゆ
)
支那
(
しな
)
官憲
(
くわんけん
)
と
交渉
(
かうせふ
)
した
結果
(
けつくわ
)
、
054
漸
(
やうや
)
くにして
手枷
(
てかせ
)
のみを
解
(
と
)
かれる
事
(
こと
)
となつた。
055
四五
(
しご
)
日
(
にち
)
経
(
た
)
つた
時
(
とき
)
、
056
日本
(
につぽん
)
より
広瀬
(
ひろせ
)
義邦
(
よしくに
)
が
水也
(
みづや
)
商会
(
しやうくわい
)
の
小野
(
をの
)
某
(
ぼう
)
と
共
(
とも
)
に
公署
(
こうしよ
)
を
訪
(
と
)
ひ
日出雄
(
ひでを
)
に
面会
(
めんくわい
)
し、
057
且
(
か
)
つ
太田
(
おほた
)
、
058
志賀
(
しが
)
の
両氏
(
りやうし
)
に
金
(
かね
)
を
預
(
あづ
)
けて
日出雄
(
ひでを
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
の
凡
(
すべ
)
ての
差入
(
さしい
)
れを
依頼
(
いらい
)
した。
059
それ
迄
(
まで
)
は
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
は
支那
(
しな
)
食
(
しよく
)
の
高粱飯
(
かうりやうめし
)
に
不味
(
まづ
)
い
味噌
(
みそ
)
をそへて
食
(
く
)
ひ、
060
不自由
(
ふじゆう
)
な
獄舎
(
ごくしや
)
生活
(
せいくわつ
)
を
送
(
おく
)
つて
居
(
ゐ
)
たのである。
061
種々
(
しゆじゆ
)
の
差入
(
さしいれ
)
ものが
出
(
で
)
て
来
(
く
)
ると、
062
支那
(
しな
)
の
巡警
(
じゆんけい
)
部長
(
ぶちやう
)
は
一々
(
いちいち
)
折箱
(
をりばこ
)
などを
開
(
あ
)
けて
見
(
み
)
ては、
063
之
(
これ
)
は
美味
(
うまい
)
だらうとか、
064
不味
(
まづい
)
だらうとか
云
(
い
)
つては
一口
(
ひとくち
)
食
(
く
)
ひ、
065
二口
(
ふたくち
)
食
(
く
)
ひ、
066
弁当
(
べんたう
)
の
余剰
(
あま
)
つたのは
餓鬼
(
がき
)
の
如
(
ごと
)
く
争
(
あらそ
)
ひて
食
(
くつ
)
て
了
(
しま
)
ふ。
067
又
(
また
)
ビールやサイダー、
068
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
などの
空瓶
(
あきびん
)
が
出来
(
でき
)
ると
私
(
わたし
)
に
呉
(
く
)
れ
呉
(
く
)
れと、
069
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
に
頼
(
たの
)
み
込
(
こ
)
んで
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
るのであつた。
070
さうして
知事
(
ちじ
)
や
監獄長
(
かんごくちやう
)
、
071
其
(
その
)
他
(
た
)
から、
072
我々
(
われわれ
)
にも
相当
(
さうたう
)
の
謝礼
(
しやれい
)
を
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
い、
073
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
が
殺
(
ころ
)
される
所
(
ところ
)
であつたのを、
074
知事
(
ちじ
)
や
監獄長
(
かんごくちやう
)
の
斡旋
(
あつせん
)
で
生命
(
いのち
)
が
助
(
たす
)
かつたのだ、
075
と
公然
(
こうぜん
)
賄賂
(
わいろ
)
を
要求
(
えうきう
)
する。
076
日本
(
につぽん
)
の
警察官
(
けいさつくわん
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
其
(
その
)
卑
(
いや
)
しい
事
(
こと
)
、
077
品格
(
ひんかく
)
の
下劣
(
げれつ
)
なること、
078
口卑
(
くちいや
)
しい
事
(
こと
)
など、
079
到底
(
たうてい
)
内地人
(
ないちじん
)
の
想像
(
さうざう
)
せられぬ
程
(
ほど
)
である。
080
巡警
(
じゆんけい
)
部長
(
ぶちやう
)
の
王
(
わう
)
某
(
ぼう
)
は
親切
(
しんせつ
)
に
日出雄
(
ひでを
)
の
垢
(
あか
)
の
付
(
つ
)
いた
足
(
あし
)
を
湯
(
ゆ
)
で
洗
(
あら
)
ひ、
081
肩
(
かた
)
を
揉
(
も
)
みなどして
親切
(
しんせつ
)
に
介抱
(
かいほう
)
をし、
082
王
『
大人
(
たいじん
)
が
日本
(
につぽん
)
へ
帰
(
かへ
)
らるる
時
(
とき
)
は
私
(
わたし
)
も
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
083
巡警
(
じゆんけい
)
を
止
(
や
)
めて
大本
(
おほもと
)
の
信者
(
しんじや
)
となり、
084
お
庭
(
には
)
掃除
(
さうじ
)
でもさして
頂
(
いただ
)
き
度
(
た
)
い』
085
と
頼
(
たの
)
み
込
(
こ
)
むのであつた。
086
日出雄
(
ひでを
)
は、
087
日出雄
『
奉天
(
ほうてん
)
に
着
(
つ
)
いた
上
(
うへ
)
、
088
模様
(
もやう
)
に
依
(
よ
)
つて
電報
(
でんぱう
)
を
打
(
う
)
つから、
089
電報
(
でんぱう
)
が
届
(
とど
)
いたら
奉天
(
ほうてん
)
迄
(
まで
)
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
い、
090
日本
(
につぽん
)
へ
同道
(
どうだう
)
する』
091
と
云
(
い
)
つてやつたら、
092
王
(
わう
)
部長
(
ぶちやう
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
喜
(
よろこ
)
んだ。
093
国際法
(
こくさいはふ
)
に
依
(
よ
)
つて
領事館
(
りやうじくわん
)
から
引渡
(
ひきわた
)
しを
要求
(
えうきう
)
した
時
(
とき
)
は、
094
二十四
(
にじふよ
)
時間
(
じかん
)
内
(
ない
)
に
引渡
(
ひきわた
)
すべきものなるに、
095
二十一
(
にじふいち
)
日
(
にち
)
の
夜
(
よ
)
から
三十
(
さんじふ
)
日
(
にち
)
迄
(
まで
)
十日間
(
とをかかん
)
パインタラに
繋
(
つな
)
いで
置
(
お
)
いたのは、
096
余程
(
よほど
)
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
と
支那
(
しな
)
官憲
(
くわんけん
)
との
交渉
(
かうせふ
)
が
六
(
むつ
)
ケ
敷
(
し
)
かつた
為
(
ため
)
であつたとの
事
(
こと
)
である。
097
四五
(
しご
)
日
(
にち
)
経
(
た
)
つてから
日本人
(
につぽんじん
)
一同
(
いちどう
)
は
通遼県
(
つうれうけん
)
知事
(
ちじ
)
の
法廷
(
はふてい
)
に
引出
(
ひきだ
)
され、
098
日本語
(
につぽんご
)
の
通訳官
(
つうやくくわん
)
を
介
(
かい
)
して
取調
(
とりしら
)
べを
受
(
う
)
けた。
099
此
(
この
)
取調
(
とりしらべ
)
の
要点
(
えうてん
)
は、
100
日出雄
(
ひでを
)
の
名刺
(
めいし
)
に
素尊汗
(
スーツンハン
)
と
書
(
か
)
いてあるが、
101
汗
(
ハン
)
と
云
(
い
)
へば
蒙古
(
もうこ
)
第一
(
だいいち
)
の
王
(
わう
)
の
名称
(
めいしよう
)
である。
102
又
(
また
)
出生地
(
しゆつしやうち
)
が
蒙古
(
もうこ
)
の
国
(
くに
)
としてあるが、
103
蒙古
(
もうこ
)
は
支那
(
しな
)
の
版図
(
はんと
)
であつて、
104
蒙古国
(
もうここく
)
と
云
(
い
)
ふ
国名
(
こくめい
)
は
無
(
な
)
い
筈
(
はず
)
だ。
105
汝
(
なんぢ
)
は
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
を
使嗾
(
しそう
)
して
宗教
(
しうけう
)
を
表
(
おもて
)
に
蒙古
(
もうこ
)
独立
(
どくりつ
)
を
企
(
くはだ
)
てたのであらう、
106
と
云
(
い
)
ふのである。
107
日出雄
(
ひでを
)
は
平然
(
へいぜん
)
として
108
日出雄
『
自分
(
じぶん
)
は
支那
(
しな
)
の
新宗教
(
しんしうけう
)
道院
(
だうゐん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
109
蒙古
(
もうこ
)
の
地
(
ち
)
に
宗教
(
しうけう
)
を
宣伝
(
せんでん
)
するの
特権
(
とくけん
)
を
持
(
も
)
つてゐる。
110
さうして
蒙古
(
もうこ
)
の
国
(
くに
)
と
云
(
い
)
つたのは
別
(
べつ
)
に
深
(
ふか
)
い
意味
(
いみ
)
があるのでは
無
(
な
)
い、
111
我々
(
われわれ
)
日本
(
につぽん
)
の
国
(
くに
)
には
八十
(
はちじふ
)
余
(
よ
)
個
(
こ
)
の
国名
(
こくめい
)
があり、
112
丹波
(
たんば
)
の
国
(
くに
)
、
113
丹後
(
たんご
)
の
国
(
くに
)
、
114
山城
(
やましろ
)
の
国
(
くに
)
などと
小区劃
(
せうくくわく
)
に
国名
(
こくめい
)
を
呼
(
よ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
115
さうだから
支那
(
しな
)
の
一
(
いち
)
区域
(
くくわく
)
[
*
「区域」にフリガナ「くくわく」は底本(全集)通り。
]
たる
蒙古
(
もうこ
)
を
蒙古
(
もうこ
)
の
国
(
くに
)
と
書
(
か
)
いたのだ。
116
自分
(
じぶん
)
は
蒙古
(
もうこ
)
のみならず、
117
新彊
(
しんきやう
)
、
118
印度
(
インド
)
、
119
西蔵
(
チベツト
)
、
120
支那
(
しな
)
は
云
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばず、
121
露西亜
(
ロシア
)
、
122
西比利亜
(
シベリア
)
を
経
(
へ
)
て
欧羅巴
(
ようろつぱ
)
の
天地
(
てんち
)
に
迄
(
まで
)
宗教
(
しうけう
)
的
(
てき
)
王国
(
わうこく
)
を
建設
(
けんせつ
)
するのだから、
123
小
(
ちひ
)
さい
蒙古
(
もうこ
)
などに
執着
(
しふちやく
)
して
居
(
ゐ
)
るのではない。
124
さうして
宗教
(
しうけう
)
は
国境
(
こくきよう
)
を
超越
(
てうゑつ
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ』
125
と
述
(
の
)
べた
所
(
ところ
)
、
126
知事
(
ちじ
)
は
二三
(
にさん
)
回
(
くわい
)
うなづいて、
127
日出雄
(
ひでを
)
を
獄舎
(
ごくしや
)
に
帰
(
かへ
)
した。
128
次
(
つぎ
)
には
真澄別
(
ますみわけ
)
以下
(
いか
)
の
五
(
ご
)
名
(
めい
)
は
一人
(
ひとり
)
づつ
引
(
ひ
)
き
出
(
だ
)
されて
取調
(
とりしら
)
べを
受
(
う
)
けたが、
129
真澄別
(
ますみわけ
)
は
憤然
(
ふんぜん
)
として
知事
(
ちじ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
訊問官
(
じんもんくわん
)
に
向
(
むか
)
ひ
130
真澄別
『
我々
(
われわれ
)
を
馬賊
(
ばぞく
)
とは
怪
(
け
)
しからぬ、
131
貴官
(
きくわん
)
は
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
を
馬賊
(
ばぞく
)
と
云
(
い
)
はれるが、
132
彼
(
かれ
)
と
久
(
ひさ
)
しく
行動
(
かうどう
)
を
共
(
とも
)
にして
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
たが、
133
彼
(
かれ
)
には
少
(
すこ
)
しも
馬賊
(
ばぞく
)
的
(
てき
)
行為
(
かうゐ
)
は
無
(
な
)
かつた。
134
それよりも
支那
(
しな
)
官兵
(
くわんぺい
)
は
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
の
所持金
(
しよぢきん
)
を
掠奪
(
りやくだつ
)
し、
135
其
(
その
)
他
(
た
)
一切
(
いつさい
)
の
所持品
(
しよぢひん
)
を
盗
(
ぬす
)
み
取
(
と
)
つたでは
無
(
な
)
いか。
136
泥棒
(
どろばう
)
する
者
(
もの
)
を
官兵
(
くわんぺい
)
と
云
(
い
)
ひ、
137
泥棒
(
どろばう
)
せない
者
(
もの
)
を
馬賊
(
ばぞく
)
と
云
(
い
)
ふのか、
138
張
(
ちやう
)
作霖
(
さくりん
)
だつて、
139
其
(
その
)
他
(
た
)
有名
(
いうめい
)
の
督軍
(
とくぐん
)
だつて
元
(
もと
)
は
馬賊
(
ばぞく
)
ぢやないか、
140
自分
(
じぶん
)
を
馬賊
(
ばぞく
)
と
云
(
い
)
ふのならそれでよい。
141
まづ
馬賊
(
ばぞく
)
の
定義
(
ていぎ
)
から
聴
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
い』
142
と
云
(
い
)
ふ。
143
萩原
(
はぎはら
)
も
亦
(
また
)
真澄別
(
ますみわけ
)
と
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふて
知事
(
ちじ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
を
手
(
て
)
こずらす。
144
次
(
つぎ
)
に
守高
(
もりたか
)
、
145
井上
(
ゐのうへ
)
、
146
坂本
(
さかもと
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
対
(
たい
)
し、
147
武器
(
ぶき
)
を
携帯
(
けいたい
)
して
居
(
ゐ
)
ただらうと
厳
(
きび
)
しく
訊問
(
じんもん
)
した。
148
何
(
いづ
)
れも
日出雄
(
ひでを
)
先生
(
せんせい
)
のお
弟子
(
でし
)
であつて
宗教家
(
しうけうか
)
だと
云
(
い
)
ひ
抜
(
ぬ
)
け、
149
やつと
公署
(
こうしよ
)
の
調
(
しら
)
べも
済
(
す
)
んだ。
150
それから
一行
(
いつかう
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
足枷
(
あしかせ
)
を
篏
(
は
)
められた
儘
(
まま
)
、
151
門口
(
かどぐち
)
に
並
(
なら
)
べられ
一葉
(
いちえう
)
の
写真
(
しやしん
)
を
取
(
と
)
られた
上
(
うへ
)
、
152
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
六
(
ろく
)
月
(
ぐわつ
)
三十
(
さんじふ
)
日
(
にち
)
荷車
(
にぐるま
)
三台
(
さんだい
)
に
載
(
の
)
せられ、
153
銃剣
(
じゆうけん
)
をつけた
兵士
(
へいし
)
六
(
ろく
)
名
(
めい
)
に
送
(
おく
)
られて
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
り、
154
鄭家屯
(
ていかとん
)
道尹
(
だういん
)
に
護送
(
ごそう
)
され、
155
次
(
つい
)
で
同地
(
どうち
)
の
警官
(
けいくわん
)
教習所
(
けうしふじよ
)
の
拘留所
(
かうりうじよ
)
や
警官室
(
けいくわんしつ
)
に
足枷
(
あしかせ
)
を
篏
(
は
)
められた
儘
(
まま
)
分置
(
ぶんち
)
せられた。
156
其処
(
そこ
)
へ
横尾
(
よこを
)
敬義
(
ゆきよし
)
、
157
井口
(
ゐぐち
)
藤五郎
(
とうごらう
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
見舞
(
みまひ
)
に
来
(
き
)
て
日出雄
(
ひでを
)
一行
(
いつかう
)
を
慰
(
なぐさ
)
めた。
158
其処
(
そこ
)
で
再
(
ふたた
)
び
道尹
(
だういん
)
の
取調
(
とりしら
)
べを
受
(
う
)
けたが、
159
尋
(
たづ
)
ねる
事
(
こと
)
も、
160
答
(
こた
)
へる
事
(
こと
)
も、
161
白音太拉
(
パインタラ
)
と
同様
(
どうやう
)
であつた。
162
七
(
しち
)
月
(
ぐわつ
)
五日
(
いつか
)
の
夕暮
(
ゆうぐれ
)
、
163
鄭家屯
(
ていかとん
)
の
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
に
引
(
ひ
)
き
渡
(
わた
)
さるる
事
(
こと
)
になつた。
164
別
(
わか
)
れに
臨
(
のぞ
)
んで
道尹
(
だういん
)
の
高等官
(
かうとうくわん
)
以下
(
いか
)
十数
(
じふすう
)
名
(
めい
)
は、
165
墨
(
すみ
)
と
筆
(
ふで
)
とを
用意
(
ようい
)
して
日出雄
(
ひでを
)
の
揮毫
(
きがう
)
を
乞
(
こ
)
ふた。
166
日出雄
(
ひでを
)
は
快
(
こころよ
)
く
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
請求
(
せいきう
)
に
応
(
おう
)
じ、
167
腕
(
うで
)
を
揮
(
ふる
)
ふて
大小
(
だいせう
)
数十
(
すうじふ
)
の
文字
(
もんじ
)
を
書
(
か
)
き
与
(
あた
)
へた。
168
夜
(
よ
)
の
十二
(
じふに
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
日本
(
につぽん
)
領事館
(
りやうじくわん
)
の
手
(
て
)
に
渡
(
わた
)
り、
169
一応
(
いちおう
)
の
取調
(
とりしら
)
べを
受
(
う
)
け、
170
領事館
(
りやうじくわん
)
にて
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
湯
(
ゆ
)
を
使
(
つか
)
ひ
垢
(
あか
)
を
落
(
おと
)
し、
171
監房
(
かんばう
)
に
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
し、
172
翌
(
よく
)
六日
(
むいか
)
通常服
(
つうじやうふく
)
の
領事館
(
りやうじくわん
)
の
警察
(
けいさつ
)
署長
(
しよちやう
)
以下
(
いか
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
に
送
(
おく
)
られ
奉天
(
ほうてん
)
総領事館
(
そうりやうじくわん
)
に
収容
(
しうよう
)
された。
173
其
(
その
)
時
(
とき
)
既
(
すで
)
に
名田彦
(
なだひこ
)
、
174
山田
(
やまだ
)
、
175
小林
(
こばやし
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
収容
(
しうよう
)
されて
居
(
を
)
り、
176
暫
(
しばら
)
くして
大倉
(
おほくら
)
が
這入
(
はひ
)
つて
来
(
き
)
て
都合
(
つがふ
)
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
になつた。
177
取調
(
とりしら
)
べの
結果
(
けつくわ
)
三
(
さん
)
ケ
年
(
ねん
)
の
退支
(
たいし
)
処分
(
しよぶん
)
で
一件
(
いつけん
)
落着
(
らくちやく
)
した。
178
是
(
これ
)
より
先
(
さき
)
、
179
日本
(
につぽん
)
から
中野
(
なかの
)
岩太
(
いはた
)
、
180
隆光彦
(
たかてるひこ
)
の
二人
(
ふたり
)
が
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
代表
(
だいへう
)
として
出張
(
しゆつちやう
)
し、
181
差入
(
さしい
)
れ
物
(
もの
)
其
(
その
)
他
(
た
)
について
奉天
(
ほうてん
)
支部
(
しぶ
)
の
西島
(
にしじま
)
と
共
(
とも
)
に
奔走
(
ほんそう
)
した。
182
七
(
しち
)
月
(
ぐわつ
)
二十一
(
にじふいち
)
日
(
にち
)
三浦
(
みうら
)
検事
(
けんじ
)
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
名
(
めい
)
の
警察官
(
けいさつくわん
)
に
送
(
おく
)
られ
大連
(
だいれん
)
の
水上署
(
すゐじやうしよ
)
に
着
(
つ
)
き、
183
此
(
この
)
地
(
ち
)
より
又
(
また
)
二
(
に
)
名
(
めい
)
の
警官
(
けいくわん
)
に
送
(
おく
)
られ、
184
ハルピン
丸
(
まる
)
にて
門司
(
もじ
)
に
着
(
つ
)
いた。
185
航海中
(
かうかいちう
)
日出雄
(
ひでを
)
は
船長
(
せんちやう
)
以下
(
いか
)
乗客
(
じやうきやく
)
の
依頼
(
いらい
)
に
応
(
おう
)
じて
大本
(
おほもと
)
教義
(
けうぎ
)
に
関
(
くわん
)
する
演説
(
えんぜつ
)
を
為
(
な
)
し、
186
沢山
(
たくさん
)
の
揮毫
(
きがう
)
をし、
187
数多
(
あまた
)
の
信者
(
しんじや
)
に
迎
(
むか
)
へられ、
188
日本
(
につぽん
)
の
玄関口
(
げんくわんぐち
)
に
安着
(
あんちやく
)
したのは
七
(
しち
)
月
(
ぐわつ
)
二十五
(
にじふご
)
日
(
にち
)
の
午前
(
ごぜん
)
であつた。
189
其
(
その
)
光景
(
くわうけい
)
は
恰
(
あだか
)
も
凱旋
(
がいせん
)
将軍
(
しやうぐん
)
を
迎
(
むか
)
ふるが
如
(
ごと
)
き
有様
(
ありさま
)
であつた。
190
(
大正一四、八
、筆録)
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